JP2014234851A - 密封装置付転がり軸受 - Google Patents

密封装置付転がり軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な密封性を維持可能な密封装置付転がり軸受を提供する。【解決手段】密封装置3は、第1密封部材50と、第2密封部材60と、からなる。第1密封部材50は、金属製の第1芯金52に第1弾性部材51を被覆してなる。第1弾性部材50は、第2密封部材60と摺接し若しくはラビリンスを形成する、又は、第2密封部材60及び内輪20と摺接し若しくはラビリンスを形成する、第1シール部55eを有する。第1芯金52の軸方向外側面56は、全て第1弾性部材51で覆われ、第1芯金52の軸方向内側面57には、円環状に第1芯金52が露出した露出面57aが形成される。第2密封部材60は、金属製の第2芯金69と、第2芯金69の径方向外側部分に形成され、第1密封部材50の露出面57aに摺接し又はラビリンスを形成する、第2弾性部材68からなる第2シール部66と、からなる。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、自動車用エンジンにより駆動する無端ベルトを掛け渡すプーリを、支持軸に対し回転自在に支持する為に使用する、外輪回転型の密封装置付転がり軸受の改良に関する。
自動車用エンジンに使用されているタイミングベルトや補機駆動用ベルトと言った無端ベルトを掛け渡す各種プーリのうち、この無端ベルトの張力を調整する為のテンションプーリや、この無端ベルトの走行位置を調節する為のアイドラプーリは、転がり軸受により、支持軸等の静止部材に対し回転自在に支持されている。この様な転がり軸受は、自動車の走行時に路面から跳ね上がった雨水や泥水が掛かり易い位置に設置される事が多い。この為、これら雨水や泥水等の異物が転がり軸受の軸受内部空間内に侵入して、軸受寿命が低下すると言った不都合が発生する事を防止すべく、従来から、転がり軸受として、軸受内部空間の端部開口を塞ぐ密封装置付のものを使用する事が一般的に行われている。
図4〜5は、この様な密封装置付転がり軸受の従来構造の1例として、特許文献1に記載されたものを示している。この密封装置付転がり軸受は、外周面の軸方向中間部に複列の内輪軌道面101、101を有する内輪102と、内周面の軸方向中間部に複列の外輪軌道面103、103を有する外輪104とを、互いに同心に配置している。そして、複列の内輪軌道面101、101と複列の外輪軌道面103、103との間に、両列ごとに複数個ずつの転動体である玉105、105を、保持器106、106により保持した状態で転動自在に設けている。更に、内輪102の外周面と外輪104の内周面との間に存在して、各玉105、105を設置した軸受内部空間107の軸方向両端開口を、1対の密封装置108、108により塞いでいる。なお、使用時に、内輪101は、静止部材である支持軸109に外嵌固定された状態で、回転しない。これに対し、外輪103は、回転部材である、アイドラプーリ、テンションプーリ等のプーリ110を外嵌固定した状態で、このプーリ110と共に回転する。
また、一対の密封装置108、108はそれぞれ、スリンガ111とシールリング112とを組み合わせて成り、図5に詳示する様な構成を有する。このうちのスリンガ111は、金属板により全体を円輪状に造られている。この様なスリンガ111は、軸受内部空間107の軸方向端部開口を塞ぐ位置に配置した状態で、内周縁部に設けた円筒部を、内輪102の外周面の軸方向両端部に存在する小径部に締り嵌めで外嵌固定している。又、シールリング112は、金属板により円輪状に造られた芯金113により、ゴムの如きエラストマー製の弾性材114を補強して成る。この様なシールリング112は、スリンガ111の軸方向内側に配置した状態で、外周縁部を構成する、弾性材114の一部分を、外輪104の内周面の軸方向両端部に形成した係止溝117に係止している。また、この状態で、シールリング112の内周縁部に設けた、弾性材114の一部を構成する主シールリップ115の先端縁(図示の例では二股の先端縁)を、内輪102の外周面の軸方向両端寄り部分に存在する円輪状の主シール摺接面118に、全周に亙り摺接させている。これと共に、シールリング112の外側面のうちで主シールリップ115よりも径方向外側に位置する径方向中間部から軸方向外側に延出する状態で設けた、弾性材114の一部を構成する補助シールリップ116の先端縁を、スリンガ111の内側面の外周寄り部分に存在する円輪状の補助シール摺接面119に、全周に亙り摺接させている。補助シールリップ116は、先端側に向かう程径寸法が大きくなる方向に傾斜している。
上述の様に構成する従来構造の場合には、一対の密封装置108、108により、軸受内部空間107内に封入した潤滑用のグリースの漏洩防止と、外部空間からこの軸受内部空間107内への雨水、泥水等の異物の侵入防止とを図れる。特に、一対の密封装置108、108の場合には、シールリング112の軸方向外側にスリンガ111を配置すると共に、このスリンガ111の内側面に存在する補助シール摺接面119に補助シールリップ116の先端縁を摺接させている。この為、主シールリップのみを備えたシールリングのみから成る密封装置に比べて、異物の侵入防止効果を高くできる。即ち、一対の密封装置108、108の場合には、補助シールリップ116の存在により、スリンガ111とシールリング112と内輪102とに囲まれたシール内部空間120に、外部空間から異物が侵入する事を抑制できる。この為、この異物が、主シールリップ115の先端縁と主シール摺接面118との摺接部に到達しにくくなり、その分だけ、異物の侵入防止効果を高くできる。
特開2010−25252号公報
しかしながら、近年、水環境の過酷さが増していることから、高い防水性能が必要になっており、軸受のさらなる密封性の向上が必要とされている。例えば、上述した特許文献1に記載の一対の密封装置108、108によっても密封性を向上させることは可能であるが、シールリング112とスリンガ111との接触が一箇所のみであるため、シールリップから一度異物が浸入した場合には、異物が容易に軸受内部に浸入してしまう虞がある。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、良好な密封性を維持可能な密封装置付転がり軸受を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 回転軌道輪である外輪と、
固定軌道輪である内輪と、
前記外輪と前記内輪との間に、保持器により転動自在に保持される複数の転動体と、
前記転動体の軸方向両側に配置され、前記外輪の内周面と前記内輪の外周面との間の環状空間を密封する一対の密封装置と、
を備えた密封装置付転がり軸受であって、
前記密封装置は、前記外輪の内周面の軸方向両端部に固定された略円環形状の第1密封部材と、軸方向において、前記第1密封部材と前記転動体との間に配置されると共に、前記内輪の外周面に固定された略円環形状の第2密封部材と、からなり、
前記第1密封部材は、金属製の第1芯金に第1弾性部材を被覆してなり、
前記第1弾性部材は、前記第2密封部材と摺接し若しくはラビリンスを形成する、又は、前記第2密封部材及び前記内輪と摺接し若しくはラビリンスを形成する、第1シール部を有し、
前記第1芯金の軸方向外側面は、全て前記第1弾性部材で覆われ、
前記第1芯金の軸方向内側面には、円環状に前記第1芯金が露出した露出面が形成され、
前記第2密封部材は、金属製の第2芯金と、前記第2芯金の径方向外側部分に形成され、前記第1芯金の露出面に摺接し又はラビリンスを形成する、第2弾性部材からなる第2シール部と、からなる
ことを特徴とする密封装置付転がり軸受。
(2) 前記内輪の外周面の軸方向両端部には、前記内輪の外周面よりも径が小さな一対の段部が設けられ、
前記第2密封部材の第2芯金は、前記段部に圧入固定されて軸方向に延びる円筒部と、前記円筒部の軸方向内側端部から径方向外側に延びる円環部と、を有し、
前記第2シール部は、軸方向外側及び径方向外側に延びる第4リップ部と、軸方向外側及び径方向内側に延びる第5リップ部と、を有し
前記第4リップ部及び前記第5リップ部は、前記第1芯金の露出面と摺接し又はラビリンスを形成し、
前記第1弾性部材の内周縁部には、軸方向内側に延びる第1リップ部と、径方向内側に延びる首部と、前記首部の径方向内側端部からそれぞれ軸方向内側及び軸方向外側に延びる第2リップ部及び第3リップ部からなる前記第1シール部と、が形成され、
前記第1リップ部は、前記第2芯金の円環部とラビリンスを形成し、
前記第2リップ部は、前記第2芯金の円環部と摺接し又はラビリンスを形成し、
前記第3リップ部は、前記第2芯金の円筒部と摺接し又はラビリンスを形成する
ことを特徴とする(1)に記載の密封装置付転がり軸受。
(3) 前記内輪の外周面の軸方向両端部には、前記内輪の外周面よりも径が小さな一対の段部が設けられ、
前記一対の段部の軸方向内側部には、加締め溝が凹設され、
前記第2密封部材の第2芯金は、前記加締め溝に加締め固定されて軸方向に延びる円筒部と、前記円筒部の軸方向内側端部から径方向外側に延びる円環部と、を有し、
前記第2シール部は、軸方向外側及び径方向外側に延びる第4リップ部と、軸方向外側及び径方向内側に延びる第5リップ部と、を有し
前記第4リップ部及び前記第5リップ部は、前記第1芯金の露出面と摺接し又はラビリンスを形成し、
前記第1弾性部材の内周縁部には、軸方向内側に延びる第1リップ部と、径方向内側に延びる首部と、前記首部の径方向内側端部からそれぞれ軸方向内側及び軸方向外側に延びる第2リップ部及び第3リップ部からなる前記第1シール部と、が形成され、
前記第1リップ部は、前記第2芯金の円環部とラビリンスを形成し、
前記第2リップ部は、前記第2芯金の円環部と摺接し又はラビリンスを形成し、
前記第3リップ部は、前記第2芯金の円筒部と摺接し又はラビリンスを形成する
ことを特徴とする(1)に記載の密封装置付転がり軸受。
(4) 前記内輪の外周面の軸方向両端部には、前記内輪の外周面よりも径が小さな一対の段部が設けられ、
前記一対の段部の軸方向内側部には、凹溝が形成され、
前記第2密封部材の第2芯金は、その軸方向内側面及び径方向内側面を覆うように第3弾性部材が形成されて、径方向外側に延びる円環部と、前記円環部の径方向外側端部に接続し、径方向外側に向かうにしたがって軸方向外側に延出する円弧部と、を有し、
前記第3弾性部材が前記凹溝に嵌合されることによって、前記第2密封部材は前記内輪に固定され、
前記第2芯金の円環部及び円弧部には、前記第2弾性部材からなる前記第2シール部が形成され、
前記第2シール部は、軸方向外側及び径方向内側に延びる第6リップ部を有し、
前記第6リップ部は、前記第1芯金の露出面と摺接し又はラビリンスを形成し、
前記円弧部の径方向外側面と前記第1密封部材との間にはラビリンスが形成され、
前記第1弾性部材の内周縁部には、軸方向内側に延びる第1リップ部と、径方向内側に延びる首部と、前記首部の径方向内側端部からそれぞれ軸方向内側及び軸方向外側に延びる第2リップ部及び第3リップ部からなる前記第1シール部と、が形成され、
前記第1リップ部は、前記第2芯金の円環部とラビリンスを形成し、
前記第2リップ部は、前記第2芯金の円環部と摺接し又はラビリンスを形成し、
前記第3リップ部は、前記段部と摺接し又はラビリンスを形成する
ことを特徴とする(1)に記載の密封装置付転がり軸受。
本発明の密封装置付転がり軸受によれば、第1密封部材の第1弾性部材は、第2密封部材と摺接し若しくはラビリンスを形成する、又は、第2密封部材及び内輪と摺接し若しくはラビリンスを形成する、第1シール部を有し、第2密封部材は、第2芯金の径方向外側部分に形成され、第1芯金の露出面に摺接し又はラビリンスを形成する、第2弾性部材からなる第2シール部を有するので、軸受内部のグリースが外部に漏出すること、及び軸受外部から異物が内部に浸入することを抑制し、良好な密封性を維持することが可能である。
また、外輪は回転軌道輪であり、内輪は固定軌道輪であるので、外輪に固定された第1密封部材に異物が接近し、又は付着した場合には、遠心力で振り飛ばし、第1シール部への異物接近を防止することが可能である。これにより、異物の軸受内部への浸入をさらに抑制することが可能である。
また、第2密封部材は遠心力の影響を受けない固定軌道輪である内輪に固定されているので、第2密封部材に形成された第2シール部は、遠心力の影響を受けることがなく、安定的な密封性を確保可能である。
第1実施形態に係る密封装置付転がり軸受の要部断面図である。 第2実施形態に係る密封装置付転がり軸受の要部断面図である。 第3実施形態に係る密封装置付転がり軸受の要部断面図である。 従来の密封装置付転がり軸受の断面図である。 従来の密封装置の断面図である。
以下、本発明の各実施形態の密封装置付転がり軸受について、図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る密封装置付転がり軸受1の要部断面図である。なお、転がり軸受1は、図1、図2、図3の一点鎖線で示す中心線Cに対して線対照な構造を有している。
回転軌道輪である外輪10は、その内周面11に凹面状の外輪軌道面12が形成されており、そして当該外輪軌道面12を挟む内周面の軸方向両端部には凹状の係止溝13が形成されている。
固定軌道輪である内輪20は、その外周面21に凹面状の内輪軌道面22が形成されており、当該内輪軌道面22を挟む外周面21の軸方向両端部には段部23が形成されている。
外輪軌道面12と内輪軌道面22との間には、保持器30により円周方向に等間隔に配置されて転動自在に保持される複数の転動体である玉40が配置される。
外輪10および内輪20間の玉40の軸方向両側に配置された一対の密封装置3は、外輪10の内周面11及び内輪20の外周面21との間の環状空間を密封し、該環状空間内に封入されたグリースが外部へ漏れ出すのを防止すると共に、外部からの異物(例えば、水、泥水、塵埃等)が該環状空間内に侵入するのを防止する。
密封装置3は、外輪10の内周面11の軸方向両端部に固定された略円環形状の第1密封部材50と、軸方向において、第1密封部材50と玉40との間に配置されると共に、内輪20の外周面21に固定された円環状の第2密封部材60と、から成る。
第2密封部材60は、軸方向に延びる円筒部61と、円筒部61の軸方向内側端部から径方向外側に延びる円環部62と、からなる断面形状略L字形状の金属製の第2芯金69を有する。第2芯金69の径方向外側部分には、ゴムやエラストマー等の第2弾性部材68からなる第2シール部66が形成されている。第2シール部66は、軸方向外側かつ径方向外側に延びて、後述する第1密封部材50の第1芯金52の露出面57aと一定の締め代を持って摺接する第4リップ部66aと、軸方向外側かつ径方向内側に延びて、第1密封部材50の露出面57aと一定の締め代を持って摺接する第5リップ部66bと、から形成される。
内輪20の外周面21の軸方向両端部には、外周面21よりも径が小さな一対の段部23が設けられている。段部23の外周面は、同一直径の円周面23aであり、軸方向外側に開放している。一方、段部23の軸方向内側は、円周面23aに対し略垂直に外周面21に至る壁面23bとなっている。
第2密封部材60は、円環部62が壁面23bに当接するまで円筒部61を円周面23aに圧入することで、内輪20の外周面21に固定されている。
円環部62は、壁面23bに当接することにより、第2密封部材60の倒れを支えている。なお、第2密封部材60に十分な剛性があり、径方向の寸法に余裕がある場合には、内輪20に段部23を設けず、内輪20の外周面21に円筒部61を直接圧入しても構わない。
図1に図示した第2密封部材60の第2芯金69の円環部62は、径方向中央付近で軸方向外側にオフセットしている。これは、保持器30との干渉を避けるためであり。また、第2芯金69の剛性を上げる効果も期待できる。第2密封部材60に十分な剛性があり、軸方向の寸法に余裕がある場合には、このようなオフセットは不要である。
第1密封部材50は、補強の役目を持つ金属製の第1芯金52に、ゴムやエラストマー等の第1弾性部材51を被覆して成形され、全体が円環板状に形成されている。
第1弾性部材51の外周縁部53は、外輪10の内周面11の軸方向端部に形成された係止溝13に圧入等によって係止され、固定される。一方、第1弾性部材51の内周縁部55には、軸方向内側に延び、第2密封部材60の第2芯金69の円環部62に近接し、ラビリンス隙間を形成する第1リップ部55aが設けられている。
第1リップ部55aは、リップ先端を円環部62に近接し、ラビリンス隙間を形成するとともに、リップ形状を、前述の円環部62の軸方向オフセット形状に合わせることにより、より、広範囲のラビリンス隙間を設定することが可能である。
第1弾性部材51の内周縁部55には、さらに、径方向内側に延びる首部55dと、首部55dの径方向内側端部から軸方向内側に延びて第2密封部材60の第2芯金69の円環部62に一定の締め代を持って摺接する第2リップ部55bと、軸方向外側及び径方向内側に延びて第2密封部材60の第2芯金69の円筒部61に一定の締め代を持って摺接する第3リップ部55cと、からなる第1シール部55eが形成されている。
首部55dは、軸方向幅の狭い円環形状をしており、剛性を低くすることにより第2リップ部55bと、第3リップ部55cの追従性を高めている。また、首部55dは、径方向外側よりも内側の方が軸方向内側に位置するよう傾いていることにより、回転軌道輪である外輪10が回転したときに、遠心力により首部55dを中心としたモーメントが発生し、第2リップ部55bは、軸方向内側に向かって円環部62に押し付けられ、第3リップ部55cは、軸方向内側かつ径方向内側に向かって、円筒部61に斜めに押し付けられるようになっている。
なお、第2芯金69は、板材をプレス成形して作られるので、第2リップ部55bが摺接する円環部62と、第3リップ部55cが摺接する円筒部61の摺接面は、面粗度の低い面となっている。さらに、これら摺接面に面押し加工等を施すことにより、より面祖度の低い良好な面を得ることが可能である。
第1芯金52の軸方向外側面56は、全面が、防錆のために第1弾性部材51に被覆されている。一方、第1芯金52の軸方向内側面57には、第2密封部材60の第4リップ部66aと、第5リップ部66bと、が摺接するために、第1弾性部材51に被覆されずに第1芯金52が円環形状に露出している露出面57aが設けられている。
第1芯金52は、板材をプレス成形して作られるので、第4リップ部66aと第5リップ部66bが摺接する露出面57aは、面粗度の低い面となっている。さらに、露出面57aに面押し加工等を施すことにより、より面祖度の低い良好な面を得ることが可能である。
また、図1に示した第1密封部材50は、外輪10の係止溝13に対し、軸方向外側にオフセットしている。これは、密封装置3としての軸方向幅を小さく抑えるためであり、必須の構成ではない。軸方向の寸法に余裕がある場合には、このようなオフセットは不要である。
以上説明したように本実施形態の転がり軸受1によれば、第1密封部材50は、第2密封部材60と摺接する第1シール部55eを有し、第2密封部材60は、第1密封部材50の第1芯金52の露出面57aと摺接する第2シール部66を有するので、軸受内部のグリースが外部に漏出すること、及び軸受外部から異物が内部に浸入することを抑制し、良好な密封性を維持することが可能である。
また、外輪10は回転軌道輪であり、内輪20は固定軌道輪であるので、外輪10に固定された第1密封部材50に異物が接近し、又は付着した場合には、遠心力で振り飛ばし、第1シール部55eへの異物接近を防止することが可能である。これにより、異物の軸受内部への浸入をさらに抑制することが可能である。また、第2密封部材60は遠心力の影響を受けない固定軌道輪である内輪20に固定されているので、第2密封部材60に形成された第2シール部66は、遠心力の影響を受けることなく安定的な密封性を確保できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る密封装置付転がり軸受について説明する。なお、本実施形態の密封装置付転がり軸受1の構成は、第1実施形態と基本的構成を同一とするため、同一又は相当部分には同一符号を付すことにより説明を省略又は簡略化する。
本実施形態では、内輪20の段部23の円周面23aの軸方向内側部に加締め溝24が凹設されている。この加締め溝24に、円筒部61が加締められることによって、第2密封部材60は内輪20に固定される。
ここで、第1密封部材50の第1シール部55eは、第2リップ部55bが第2密封部材60の円環部62に一定の締め代を持って摺接し、第3リップ部55cが第2密封部材60の円筒部61との間にラビリンス隙間を形成する。
このように構成することによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る転がり軸受について説明する。なお、本実施形態の密封装置付転がり軸受1の構成は、第1及び第2実施形態と基本的構成を同一とするため、同一又は相当部分には同一符号を付すことにより説明を省略又は簡略化する。
本実施形態では、内輪20の段部23の円周面23aの軸方向内側部に凹溝25が形成されている。また、第2密封部材60は、上述の実施形態と異なり円筒部61を有しておらず、円環部62の径方向内側部分には、軸方向内側面63及び径方向内側面64を覆うように、ゴムやエラストマー等の第3弾性部材70が形成されている。そして、この第3弾性部材70が、凹溝25に嵌合されることによって、第2密封部材60は内輪20に固定される。このように構成することによって、第2密封部材60と内輪20との間からの異物浸入を、より抑制することが可能である。
また、本実施形態では、第1密封部材50の第1シール部55eは、第2リップ部55bが第2密封部材60の円環部62に一定の締め代を持って摺接し、第3リップ部55cが内輪20の段部23の円周面23aに一定の締め代を持って摺接することにより、密封性を確保する。
さらに、第2密封部材60は、円環部62の径方向外側端部に接続し、径方向外側に向かうにしたがって軸方向外側に延出する断面略円弧形状の円弧部67を有している。円弧部67の径方向外側面67aと第1弾性部材51の軸方向オフセット部の径方向内側面54とは、径方向隙間を介して対向配置されてラビリンス隙間を形成する。そして、第2弾性部材68及び第2シール部66は、円環部62の径方向外側部分及び円弧部67に沿うような形状とされると共に、軸方向外側及び径方向内側に延びる第6リップ部66cを有しており、この第6リップ部66cは、第1芯金52の露出面57aに一定の締め代を持って摺接する。ここで、円弧部67の径方向外側面67aと第1弾性部材51の軸方向オフセット部の径方向内側面54との間に形成されるラビリンス隙間は、軸受内部のグリースが外部に漏れ出すことを防止し、第6リップ部66cは、第2密封部材60と第1密封部材50の内周縁部55との間から異物が浸入してきた場合に、さらなる内部への浸入を防止する。
このように構成することによっても、第1及び第2実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、第1密封部材50の第1シール部55eは、第2密封部材60と摺接する構成に限られず、第2密封部材60とラビリンスを形成する構成や、第2密封部材60及び内輪20と摺接し若しくはラビリンスを形成する構成であっても構わない。また、第2密封部材60の第2シール部66は、第1芯金52の露出面57aと摺接する構成に限定されず、露出面57aとラビリンスを形成する構成であっても構わない。
また、第1及び第2実施形態において、第3実施形態における第2密封部材60の円弧部67、及び第2弾性部材68の第2シール部66の形状を適用してもよい。また、第3実施形態において、第1及び第2実施形態における第2弾性部材68の第2シール部66の形成を適用してもよい。
また、上述の実施形態においては、第2密封部材60を内輪20の外周面21に圧入、加締め、又は嵌合することよって固定していたが、係止することによって固定しても構わない。また、第1密封部材50を、外輪10の内周面11に固定する際には、圧入、加締め、嵌合、又は係止等何れの方法によって固定しても構わない。
また、上述の各実施例においては、本発明を深溝玉軸受に適用する例を用いて説明したが、特許文献1のような複列玉軸受や、複数のころを転動体としたころ軸受などに適用することも可能である。
1 密封装置付転がり軸受
3 密封装置
10 外輪
11 内周面
12 外輪軌道溝
13 係止溝
20 内輪
21 外周面
22 内輪軌道溝
23 段部
23a 円周面
23b 壁面
24 加締め溝
25 凹溝
30 保持器
40 玉(転動体)
50 第1密封部材
51 第1弾性部材
52 第1芯金
56 軸方向外側面
57 軸方向内側面
53 外周縁部
54 径方向内側面
55 内周縁部
55a 第1リップ部
55b 第2リップ部
55c 第3リップ部
55d 首部
55e 第1シール部
57a 露出面
60 第2密封部材
61 円筒部
62 円環部
63 軸方向内側面
64 径方向内側面
66 第2シール部
66a 第4リップ部
66b 第5リップ部
66c 第6リップ部
67 円弧部
67a 径方向外側面
68 第2弾性部材
69 第2芯金
70 第3弾性部材
C 中心線

Claims (4)

  1. 回転軌道輪である外輪と、
    固定軌道輪である内輪と、
    前記外輪と前記内輪との間に、保持器により転動自在に保持される複数の転動体と、
    前記転動体の軸方向両側に配置され、前記外輪の内周面と前記内輪の外周面との間の環状空間を密封する一対の密封装置と、
    を備えた密封装置付転がり軸受であって、
    前記密封装置は、前記外輪の内周面の軸方向両端部に固定された略円環形状の第1密封部材と、軸方向において、前記第1密封部材と前記転動体との間に配置されると共に、前記内輪の外周面に固定された略円環形状の第2密封部材と、からなり、
    前記第1密封部材は、金属製の第1芯金に第1弾性部材を被覆してなり、
    前記第1弾性部材は、前記第2密封部材と摺接し若しくはラビリンスを形成する、又は、前記第2密封部材及び前記内輪と摺接し若しくはラビリンスを形成する、第1シール部を有し、
    前記第1芯金の軸方向外側面は、全て前記第1弾性部材で覆われ、
    前記第1芯金の軸方向内側面には、円環状に前記第1芯金が露出した露出面が形成され、
    前記第2密封部材は、金属製の第2芯金と、前記第2芯金の径方向外側部分に形成され、前記第1芯金の露出面に摺接し又はラビリンスを形成する、第2弾性部材からなる第2シール部と、からなる
    ことを特徴とする密封装置付転がり軸受。
  2. 前記内輪の外周面の軸方向両端部には、前記内輪の外周面よりも径が小さな一対の段部が設けられ、
    前記第2密封部材の第2芯金は、前記段部に圧入固定されて軸方向に延びる円筒部と、前記円筒部の軸方向内側端部から径方向外側に延びる円環部と、を有し、
    前記第2シール部は、軸方向外側及び径方向外側に延びる第4リップ部と、軸方向外側及び径方向内側に延びる第5リップ部と、を有し
    前記第4リップ部及び前記第5リップ部は、前記第1芯金の露出面と摺接し又はラビリンスを形成し、
    前記第1弾性部材の内周縁部には、軸方向内側に延びる第1リップ部と、径方向内側に延びる首部と、前記首部の径方向内側端部からそれぞれ軸方向内側及び軸方向外側に延びる第2リップ部及び第3リップ部からなる前記第1シール部と、が形成され、
    前記第1リップ部は、前記第2芯金の円環部とラビリンスを形成し、
    前記第2リップ部は、前記第2芯金の円環部と摺接し又はラビリンスを形成し、
    前記第3リップ部は、前記第2芯金の円筒部と摺接し又はラビリンスを形成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の密封装置付転がり軸受。
  3. 前記内輪の外周面の軸方向両端部には、前記内輪の外周面よりも径が小さな一対の段部が設けられ、
    前記一対の段部の軸方向内側部には、加締め溝が凹設され、
    前記第2密封部材の第2芯金は、前記加締め溝に加締め固定されて軸方向に延びる円筒部と、前記円筒部の軸方向内側端部から径方向外側に延びる円環部と、を有し、
    前記第2シール部は、軸方向外側及び径方向外側に延びる第4リップ部と、軸方向外側及び径方向内側に延びる第5リップ部と、を有し
    前記第4リップ部及び前記第5リップ部は、前記第1芯金の露出面と摺接し又はラビリンスを形成し、
    前記第1弾性部材の内周縁部には、軸方向内側に延びる第1リップ部と、径方向内側に延びる首部と、前記首部の径方向内側端部からそれぞれ軸方向内側及び軸方向外側に延びる第2リップ部及び第3リップ部からなる前記第1シール部と、が形成され、
    前記第1リップ部は、前記第2芯金の円環部とラビリンスを形成し、
    前記第2リップ部は、前記第2芯金の円環部と摺接し又はラビリンスを形成し、
    前記第3リップ部は、前記第2芯金の円筒部と摺接し又はラビリンスを形成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の密封装置付転がり軸受。
  4. 前記内輪の外周面の軸方向両端部には、前記内輪の外周面よりも径が小さな一対の段部が設けられ、
    前記一対の段部の軸方向内側部には、凹溝が形成され、
    前記第2密封部材の第2芯金は、その軸方向内側面及び径方向内側面を覆うように第3弾性部材が形成されて、径方向外側に延びる円環部と、前記円環部の径方向外側端部に接続し、径方向外側に向かうにしたがって軸方向外側に延出する円弧部と、を有し、
    前記第3弾性部材が前記凹溝に嵌合されることによって、前記第2密封部材は前記内輪に固定され、
    前記第2芯金の円環部及び円弧部には、前記第2弾性部材からなる前記第2シール部が形成され、
    前記第2シール部は、軸方向外側及び径方向内側に延びる第6リップ部を有し、
    前記第6リップ部は、前記第1芯金の露出面と摺接し又はラビリンスを形成し、
    前記円弧部の径方向外側面と前記第1密封部材との間にはラビリンスが形成され、
    前記第1弾性部材の内周縁部には、軸方向内側に延びる第1リップ部と、径方向内側に延びる首部と、前記首部の径方向内側端部からそれぞれ軸方向内側及び軸方向外側に延びる第2リップ部及び第3リップ部からなる前記第1シール部と、が形成され、
    前記第1リップ部は、前記第2芯金の円環部とラビリンスを形成し、
    前記第2リップ部は、前記第2芯金の円環部と摺接し又はラビリンスを形成し、
    前記第3リップ部は、前記段部と摺接し又はラビリンスを形成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の密封装置付転がり軸受。
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