JP2014234458A - 硬化性組成物およびその硬化物 - Google Patents

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沙織 山木
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Abstract

【課題】従来の硬化性組成物と比べて、ハンドリング性および成形性、形成される硬化物の透明性、耐熱性、並びに、色収差のうち1または2以上の性質が向上した硬化性組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】特定の化合物(A1)および特定のシラン化合物(A2)で表面処理されたシリカ微粒子(A)と、(メタ)アクリロイルオキシ基を3つ有しかつ環構造を有しない(メタ)アクリレート化合物(B1)および(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有しかつ脂環式構造を有する(メタ)アクリレート化合物(B2)と、重合開始剤(C)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物およびその硬化物に関する。更に詳しくは、本発明は、硬化性組成物、前記組成物を硬化させて得られる硬化物、および前記硬化物からなる光学材料・電子材料・高耐熱性レンズ材料に関する。
近年、光学機器や光通信、ディスプレイなどの光産業の技術の進展と共に、光学性能の優れた材料が要望されている。前記材料としては、例えば、光学レンズ、光ディスク基板、液晶表示素子用基板、カラーフィルター用基板、有機EL(Electro Luminescence)表示素子用基板、太陽電池用基板、タッチパネル、光学素子、光導波路およびLED(Light Emitting Diode)封止材等の光学材料・電子材料が挙げられる。
一般に、液晶表示素子用基板、カラーフィルター用基板、有機EL表示素子用基板、太陽電池用基板およびタッチパネル等の形成材料としては、無機ガラスが多く用いられている。しかしながら、ガラス板は割れやすい、曲げられない、比重が大きく軽量化に不向きである等の問題から、近年、ガラス板の代わりにプラスチック材料を用いる試みが数多く行われている。また、上記の光学材料、例えば液晶表示素子用基板は、光を通すことから高い透明性が求められる。
また、光学レンズ、光学素子、光導波路およびLED封止材の形成材料としては、近年、鉛フリーはんだに対応した耐熱性に優れたプラスチック材料が要望されてきている。例えば、プラスチック材料の加熱時の体積変化が小さく、線膨張係数が小さいことも望まれる。
また、ガラス板の代わりにプラスチック材料を光学レンズ、光導波路等の光学部品・電子部品へ適用するには、精密な加工のために硬化の際の収縮率が小さいことが重要である。
また、画像表示装置において、高画質、高画素を達成することで画像を鮮明化しようとする検討が広く行われている。光学レンズなどの光学材料において、この流れに対応することが求められ、そのためには、前記光学材料の色収差を少なくすることが重要である。色収差を低減するためにはアッベ数が高い材料を用いることが必要である。
従来使用されている光学材料の形成材料として、例えば、特許文献1には、非晶質熱可塑性樹脂と活性エネルギー線により硬化可能なビス(メタ)アクリレートとよりなる樹脂組成物を、活性エネルギー線により硬化させてなる部材が開示されている。特許文献1に、前記部材が、ガラス基板に代えて光学レンズ、光ディスク基板およびプラスチック液晶基板などに好適に利用できることが記載されている。
しかしながら、特許文献1では、前記樹脂組成物の収縮率および前記部材の線膨張係数については検討がなされていない。また、前記非晶質熱可塑性樹脂の屈折率と、前記ビス(メタ)アクリレートを活性エネルギー線により硬化して得られた樹脂の屈折率との差により、前記部材の透明性が低下する懸念がある。
特許文献2には、特定のシラン化合物をコロイダルシリカ分散系中で加水分解、縮重合させて得られたシリカ系縮重合体を、メチルメタクリレート等やビスフェノールA型のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート中に均一分散した硬化性組成物が開示されている。特許文献2には、前記組成物は、透明性および剛性に優れた硬化物を与えることができ、当該硬化物は光学材料用途等の用途に有用である旨が記載されている。
しかしながら、特許文献2では、前記硬化性組成物の収縮率および前記硬化物の線膨張係数については検討がなされていない。
収縮率や線膨張係数を低減させる方法としては、一般に、樹脂組成物に無機フィラーを添加する方法や基板に無機膜を積層する等の方法がある。
しかしながら、樹脂組成物に無機フィラーを添加した場合、樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物(基板)の透明性が著しく損なわれる、表面平滑性が失われる、無機フィラーの分散性が悪いために基板内に不均一性が生じ、基板が割れやすくなる等の問題がある。
また、基板に無機膜を積層した場合、以下の問題などがある。下記(2)の問題は、無機膜と、硬化して基板となる樹脂組成物との硬化時の収縮の差が大きい等の理由から生じる。
(1)無機膜と基板との密着性が悪い。
(2)基板から無機膜が剥離したり、基板に割れが発生したりする。
特許文献3には、炭素数1〜10の炭化水素残基を有するシラン化合物をコロイダルシリカ分散系中で加水分解、縮重合させて得られたシリカ系縮重合体を、(メタ)アクレート中に均一分散した、透明性および剛性に優れた硬化物を与える硬化性組成物が記載されている。
しかしながら、この硬化性組成物から得られる硬化物の粘度、収縮率、およびアッベ数は検討されていない。
特許文献4には、特定のシラン化合物をコロイダルシリカ分散系中で加水分解、縮重合させて得られたシリカ系縮重合体を、ビスフェノールA型のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート中に均一分散した、透明性および剛性に優れた硬化物を与える硬化性組成物が記載されている。
しかしながら、特許文献4では、シラン化合物のエチレン性不飽和基を有する有機基の炭素数は10以下の短鎖のものに限られているのでコロイダルシリカの疎水性が不充分になり、コロイダルシリカの配合量が15重量パーセントを超えるとゲル化してしまい、充分なシリカ量を添加できないので線膨張係数の低減が見込めない。
特許文献5には、特定の脂環式構造を有し、二官能(メタ)アクリレートと有機溶媒に分散したコロイダルシリカとを含む組成物の有機溶媒を除去して得られる複合体組成物を、架橋してなる硬化物が開示されている。
しかしながら、特許文献5に記載の発明では、前記複合体組成物中のシリカの分散性や硬化収縮抑制が不充分である。また、シリカの分散性を補うこと、および複合体組成物の粘度低減のために脂環構造を有するシラン化合物を前記組成物に添加することも記載されているが、そのシラン化合物の加水分解が極めて遅い。このために、製造時間の点で経済的でない上、その効果が発現しにくいという問題がある。また、特許文献5には、線膨張係数に関する記載はあるが、硬化収縮が大きい。
特開平10−077321号公報 特開平10−298252号公報 特許第2902525号公報 特開平10−231339号公報 特許第4008246号公報
本発明は、上記の従来技術に伴う問題点を解決することを目的とする。すなわち本発明は、従来の硬化性組成物と比べて、ハンドリング性および成形性、形成される硬化物の透明性、耐熱性、並びに、色収差のうち1または2以上の性質が向上した硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した。その結果、以下の構成を有する硬化性組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、例えば以下の[1]〜[11]に関する。
[1](A)下記一般式(1)で表される重合性シラン化合物(A1)および下記一般式(2)で表されるシラン化合物(A2)を少なくとも含むシラン化合物で表面処理されたシリカ微粒子と、
(B)(メタ)アクリロイルオキシ基を3つ有しかつ環構造を有しない(メタ)アクリレート化合物(B1)および(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有しかつ脂環式構造を有する(メタ)アクリレート化合物(B2)と、
(C)重合開始剤と
を含有することを特徴とする硬化性組成物。
Figure 2014234458
[式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、R2は水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、aは8〜16の整数であり、bは0〜2の整数である。なお、bが2である場合に複数存在するR2は互いに同一でも異なっていてもよく、bが0または1である場合に複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
Figure 2014234458
[式(2)中、Rは水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を表し、nは1〜10の整数であり、mは0〜21の整数かつ2n+1よりも小さい整数である。複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
[2]前記一般式(1)中、Rがメチル基を表し、Rがメチル基またはエチル基を表し、aが8であり、bが0である前記[1]に記載の硬化性組成物。
[3]前記一般式(2)中、nが3、mが3であり、Rがメチル基またはエチル基を表す前記[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4]前記(メタ)アクリレート化合物(B2)がアダマンチル、イソボニルおよびトリシクロデカンからなる群から選ばれる少なくとも1種の脂環式構造を含む前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[5]前記硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物のアッベ数が50以上である前記[1]〜[4]に記載の硬化性組成物。
[6]前記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物。
[7]前記[6]に記載の硬化物からなることを特徴とする光学材料。
[8]前記[6]に記載の硬化物からなることを特徴とする電子材料。
[9]前記[6]に記載の硬化物からなることを特徴とする高耐熱レンズ材料。
[10]シリカ微粒子を、下記一般式(1)で表される重合性シラン化合物(A1)および下記一般式(2)で表されるシラン化合物(A2)を少なくとも含むシラン化合物で表面修飾して、シリカ微粒子(A)を得る工程1と、
前記工程1で得られたシリカ微粒子(A)と、(メタ)アクリロイルオキシ基を3つ有しかつ環構造を有しない(メタ)アクリレート化合物(B1)および(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有しかつ脂環式構造を有する(メタ)アクリレート化合物(B2)を含む(メタ)アクリレート化合物(B)と、を混合して、混合液を得る工程2と、
前記工程2で得られた混合液から揮発分を留去して、混合物を得る工程3と、
前記工程3で得られた混合物に重合開始剤(C)を添加・混合して、硬化性組成物を得る工程4と、
を有することを特徴とする硬化性組成物の製造方法。
Figure 2014234458
[式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、R2は水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、aは8〜16の整数であり、bは0〜2の整数である。なお、bが2である場合に複数存在するR2は互いに同一でも異なっていてもよく、bが0または1である場合に複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
Figure 2014234458
[式(2)中、Rは水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を表し、nは1〜10の整数であり、mは0〜21の整数かつ2n+1以下の整数である。複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
[11]前記[10]に記載の硬化性組成物の製造方法を用いて得られた硬化性組成物を硬化させる工程を有することを特徴とする硬化物の製造方法。
本発明によれば、従来の硬化性組成物と比べて、ハンドリング性および成形性、形成される硬化物の透明性、耐熱性、並びに、色収差のうち1または2以上の性質が向上した硬化性組成物を提供することができる。
例えば、本発明によれば、光線透過率が大きく、従来の硬化性組成物と比べて、アッベ数が大きく、線膨張係数が小さく、屈折率温度依存性が小さい硬化物を与えることができ、かつ調製・保存時にゲル化せず、適度な粘度を有し、硬化時の収縮率が小さい硬化性組成物を提供することができる。
以下、本発明の硬化性組成物、前記組成物を硬化させて得られる硬化物(以下、単に「硬化物」ともいう。)および前記硬化物からなる光学材料・電子材料・高耐熱レンズ材料の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、以下に説明する具体的な実施形態に何ら限定されない。
〔硬化性組成物〕
本発明の硬化性組成物は、(A)一般式(1)で表される重合性シラン化合物(A1)および一般式(2)で表されるシラン化合物(A2)を少なくとも含むシラン化合物で表面処理されたシリカ微粒子と、(B)(メタ)アクリロイルオキシ基を3つ有しかつ環構造を有しない(メタ)アクリレート化合物(B1)および(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有しかつ脂環式構造を有する(メタ)アクリレート化合物(B2)を含む(メタ)アクリレート化合物と、(C)重合開始剤とを含有する。
以下、これらの各成分を「成分(A)」、「成分(B)」、「成分(C)」ともいい、上記シラン化合物で表面修飾されたシリカ微粒子(A)を「表面修飾シリカ微粒子」ともいう。なお、重合性シラン化合物のここでいう「重合性」とは、炭素−炭素二重結合の反応に基づく重合を示す。
本明細書において、表面修飾されるシリカ微粒子として、有機溶媒に分散したシリカ微粒子を用いる場合、「表面修飾前のシリカ微粒子100質量部」とは、特に言及のない限り、「有機溶媒に分散したシリカ微粒子のみの質量」(すなわち、有機溶媒の質量は含まない。)を指す。
本明細書において、「(メタ)アクリレート化合物」とは、アクリレート化合物および/またはメタクリレート化合物を意味する。以降、その他の(メタ)アクリレート化合物においても同様の意味である。同様に「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基を意味する。
本発明の硬化性組成物は、特定のシラン化合物で表面修飾されたシリカ微粒子(A)を含有しているために、組成物の状態での粘度が適度に低く、ハンドリング性に優れる。また、表面修飾によりシリカ微粒子に結合した重合性シラン化合物(A1)およびシラン化合物(A2)(それぞれ化学構造は変化している)が、(メタ)アクリレート化合物(B)と反応することにより、硬化性組成物中のシリカ微粒子(A)の分散安定性が向上する。さらに、重合性シラン化合物(A1)およびシラン化合物(A2)で表面修飾することで色収差が小さくなる。
本発明では、(メタ)アクリレート化合物(B)と特定のシラン化合物で表面修飾されたシリカ微粒子(A)とが重合開始剤(C)とともに使用されることで、本発明の硬化性組成物は重合反応により強固に硬化するため、色収差が小さく、(指標として、アッベ数が大きく、)耐熱性に優れ(指標として、線膨張係が小さく、屈折率温度依存性の絶対値が低い)、かつ従来品と同等以上の透明性を有する(指標として、光線透過率が大きい)硬化物が得られる。この硬化の際には、特定のシラン化合物で表面修飾されたシリカ微粒子(A)の存在により、組成物の硬化収縮が抑制され、結果として硬化物(これは、基板上に硬化膜として形成されることが多い。)の反りも抑制され、硬化物が脆くなる、あるいはクラックが発生することを防止することもできる。
以下、本発明の硬化性組成物の各含有成分について説明する。
〈シリカ微粒子(A)〉
シリカ微粒子(A)は、重合性シラン化合物(A1)およびシラン化合物(A2)を少なくとも含むシラン化合物で、シリカ微粒子を表面修飾することにより得られた表面修飾シリカ微粒子である。
《シラン化合物で表面修飾されるシリカ微粒子》
シラン化合物で表面修飾されるシリカ微粒子としては、従来公知のシリカ微粒子を用いることができる。また、多孔質シリカゾルや、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛等とケイ素との複合金属酸化物を用いてもよい。
上記シリカ微粒子としては、粒径に特に制限はないが、平均粒子径が1〜1000nmの粒子を用いることが好ましい。前記硬化物の透明性の観点から、平均粒子径は1〜500nmがさらに好ましく、1〜100nmが最も好ましい。また、シリカ微粒子の本発明の硬化物への充填量を上げるために、平均粒子径が異なるシリカ微粒子を混合して用いてもよい。
上記シリカ微粒子(表面修飾前)の平均粒子径は、高分解能透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製H−9000型)でシリカ微粒子を観察し、観察される微粒子像から任意に100個のシリカ粒子像を選び、公知の画像データ統計処理手法により数平均粒子径として求められた値である。なお、上記シリカ微粒子(表面修飾前)の平均粒子径の好適範囲は、通常、シリカ微粒子(A)(表面修飾後)の平均粒子径の好適範囲でもある。
《シリカ微粒子の表面修飾に用いられるシラン化合物》
重合性シラン化合物(A1)およびシラン化合物(A2)は、硬化性組成物中でのシリカ微粒子の分散安定性を向上させるために用いられる。
すなわち、シリカ微粒子を重合性シラン化合物(A1)およびシラン化合物(A2)を少なくとも含むシラン化合物で表面修飾すると、シリカ微粒子の分散安定性を向上させることができる。一方、表面修飾されていないシリカ微粒子のみを用いた場合、硬化性組成物の粘度が著しく増加し、ゲル化するので好ましくない。
<シラン化合物(A1)>
重合性シラン化合物(A1)は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2014234458
式(1)中、各記号の意味は以下のとおりである:
は水素原子またはメチル基を表し、メチル基が好ましい。
2は水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を表す。炭素数1〜4の炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、シラン化合物の保存安定性やハンドリング性の観点からメチル基またはエチル基であることが好ましく、シラン化合物の合成の容易さからメチル基であることが特に好ましい。
は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表す。炭素数1〜10の炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられ、シラン化合物の保存安定性やハンドリング性の観点、シラン化合物の合成の容易さから、メチル基またはエチル基であることが好ましい。
aは8〜16の整数であり、8〜10の整数が好ましく、8が特に好ましい。
bは0〜2の整数であり、シラン化合物の反応性の観点から、bが0〜1であることが好ましく、0であることが特に好ましい。
なお、bが2である場合に複数存在するR2は互いに同一でも異なっていてもよく、bが0または1である場合に複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。
重合性シラン化合物(A1)としては、例えば、8−アクリロイルオキシオクチルジメチルメトキシシラン、8−アクリロイルオキシオクチルメチルジメトキシシラン、8−アクリロイルオキシオクチルジエチルメトキシシラン、8−アクリロイルオキシオクチルエチルジメトキシシラン、8−アクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、8−アクリロイルオキシオクチルジメチルエトキシシラン、8−アクリロイルオキシオクチルメチルジエトキシシラン、8−アクリロイルオキシオクチルジエチルエトキシシラン、8−アクリロイルオキシオクチルエチルジエトキシシラン、8−アクリロイルオキシオクチルトリエトキシシラン、8−メタクリロイルオキシオクチルジメチルメトキシシラン、8−メタクリロイルオキシオクチルメチルジメトキシシラン、8−メタクリロイルオキシオクチルジエチルメトキシシラン、8−メタクリロイルオキシオクチルエチルジメトキシシラン、8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、8−メタクリロイルオキシオクチルジメチルエトキシシラン、8−メタクリロイルオキシオクチルメチルジエトキシシラン、8−メタクリロイルオキシオクチルジエチルエトキシシラン、8−メタクリロイルオキシオクチルエチルジエトキシシラン、8−メタクリロイルオキシオクチルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、12−アクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、12−メタクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、12−アクリロイルオキシドデシルトリエトキシシラン、12−メタクリロイルオキシドデシルトリエトキシシランが挙げられる。
これらの中でも、本発明の硬化性組成物の粘度の低減および保存安定性の向上の観点から、8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、8−メタクリロイルオキシオクチルトリエトキシシランがより好ましく、8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシランが特に好ましい。
重合性シラン化合物(A1)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合性シラン化合物(A1)は公知の方法で製造することができ、市販されているものもある。
<シラン化合物(A2)>
シラン化合物(A2)は次の式で表される。
Figure 2014234458
式(2)中、各記号の意味は以下のとおりである。
は水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を表す。炭素数1〜4の炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、シラン化合物の保存安定性やハンドリング性の観点からメチル基またはエチル基であることが好ましく、シラン化合物の合成の容易さからメチル基であることが特に好ましい。複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。
nは1〜10の整数であり、3、6、8、10のいずれかの整数が好ましく、3がより好ましい。
mは1〜21の整数であり、かつ2n+1以下の整数であり、nが2以上の整数の場合、2n−3の整数がより好ましい。中でも、mは3であることが特に好ましい。
シラン化合物(A2)として、例えば、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランが挙げられる。
これらの中でも、本発明の硬化性組成物の粘度上昇やゲル化を防止する観点から、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシランがより好ましく、トリフルオロプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
シラン化合物(A2)は単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。シラン化合物(A2)は公知の方法で製造することができ、市販もされている。
《シリカ微粒子の表面修飾に用いられるシラン化合物の使用量》
シリカ微粒子(A)(表面修飾シリカ微粒子)は重合性シラン化合物(A1)およびシラン化合物(A2)を少なくとも含むシラン化合物で表面修飾されている。表面修飾の詳細な条件は、後述する〈硬化性組成物の製造方法〉の《工程1》の欄に記載したとおりである。
表面修飾に用いられるシラン化合物の全量(シラン化合物(A1)とシラン化合物(A2)の総量)は、表面修飾前のシリカ微粒子100質量部(これは溶媒を含まないシリカのみの量である。)に対して、5〜100質量部が好ましく、20〜50質量部がより好ましく、25〜35質量部が最も好ましい。
シラン化合物の使用量が上記範囲を下回ると、組成物の粘度が高くなり、組成物中でのシリカ微粒子(A)の分散性が悪化してゲル化したり、前記組成物から得られる硬化物の耐熱性が低下したりする場合がある。シラン化合物の使用量が上記範囲を上回ると、シリカ微粒子の表面修飾時にシリカ微粒子間での反応が起こることにより、組成物中でのシリカ微粒子(A)の凝集またはゲル化を引き起こす場合がある。
表面修飾に用いられるシラン化合物(A1)および(A2)の質量比は(A1):(A2)=1:99〜99:1であることが好ましく、10:90〜70:30であることがより好ましく、35:65〜65:35であることが最も好ましい。
《シリカ微粒子(A)の含有量》
本発明の硬化性組成物中のシリカ微粒子(A)は、シリカ微粒子(A)における表面修飾前のシリカ微粒子換算の量と、(メタ)アクリレート化合物(B)の量との合計量100質量部に対し、シリカ微粒子(A)における表面修飾前のシリカ微粒子換算の量が1〜90質量部となるように配合することが好ましく、15〜65質量部であることがより好ましく、45〜55質量部であることが最も好ましい。
シリカ微粒子(A)の「表面修飾前のシリカ微粒子換算」の量とは、例えば、x質量部のシリカ微粒子をy質量部のシラン化合物にて表面修飾して得られたz質量部のシリカ微粒子(A)を含有する硬化性組成物の場合、x質量部のシリカ微粒子に基づいて算出される量を指す。
シリカ微粒子(A)の含有量が上記範囲であれば、組成物の流動性および組成物中のシリカ微粒子(A)の分散性が良好である。よって、当該組成物を用いれば、充分な強度および耐熱性を有する硬化物を製造することができる。
〈(メタ)アクリレート化合物(B)〉
本発明の硬化性組成物中の(メタ)アクリレート化合物(B)は、シリカ微粒子(A)における表面修飾前のシリカ微粒子換算の量と、(メタ)アクリレート化合物(B)の量との合計量100質量部に対し、(メタ)アクリレート化合物(B)の量((メタ)アクリレート化合物(B1)および(メタ)アクリレート化合物(B2)の総量)が10〜99質量部となるように配合することが好ましく、35〜85質量部であることがより好ましく、45〜55であることが最も好ましい。
(メタ)アクリレート化合物(B1)および(B2)の質量比は(B1):(B2)=1:99〜99:1であることが好ましく、40:60〜90:10であることがより好ましく、35:65〜65:35であることが最も好ましい。
《(メタ)アクリレート化合物(B1)》
(メタ)アクリレート化合物(B1)は、(メタ)アクリロイルオキシ基を3つ有しかつ環構造を有しない(メタ)アクリレート化合物である。
(メタ)アクリレート化合物(B1)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の収縮率および耐熱性の観点からトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(メタ)アクリレート(B1)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《(メタ)アクリレート化合物(B2)》
(メタ)アクリレート化合物(B2)は、(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有しかつ脂環式構造を有する(メタ)アクリレート化合物である。なお、脂環式構造とは、炭素原子が環状に結合した構造のうち、芳香環構造を除外した構造である。
上記(B2)の脂環式構造は特に限定されないが、好ましくは基本骨格としてシクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロデカン構造、イソボルニル構造、アダマンタン構造、これらの構造が連なったもの、またはこれらの構造に二重結合を加えた構造を1つ以上有するものであり、アダマンチル、イソボニルおよびトリシクロデカン構造を1つ以上有するものがより好ましく、アダマンチル構造を1つ有するものが特に好ましい。
(メタ)アクリレート(B2)としては、例えば、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、硬化物の透明性および耐熱性の観点から、アダマンチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(メタ)アクリレート(B2)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〈重合開始剤(C)〉
重合開始剤(C)としては、例えば、ラジカルを発生する光重合開始剤および熱重合開始剤が挙げられる。これらの化合物は、本発明の硬化性組成物の硬化性に寄与する。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシドが挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物中の光重合開始剤の含有量は、組成物を適度に硬化させる量であればよく、光重合開始剤を除いた組成物100質量部に対して、0.01〜15質量部が好ましく、0.02〜10質量部がより好ましく、0.1〜5質量部が更に好ましい。光重合開始剤の含有量が多すぎると、組成物の保存安定性が低下したり、着色したり、架橋して硬化物を得る際の架橋が急激に進行して硬化時の割れ等の問題が発生することがある。また、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、組成物を充分に硬化させることができないことがある。
熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、ジラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパンが挙げられる。これらの熱重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物中の熱重合開始剤の含有量は、組成物を適度に硬化させる量であればよく、熱重合開始剤を除いた組成物100質量部に対して、0.01〜15質量部が好ましく、0.02〜10質量部がより好ましく、0.1〜5質量部が更に好ましい。熱重合開始剤の含有量が多すぎると、組成物の保存安定性が低下したり、着色したり、架橋して硬化物を得る際の架橋が急激に進行して硬化時の割れ等の問題が発生することがある。また、熱重合開始剤の含有量が少なすぎると、組成物を充分に硬化させることができないことがある。
〈その他の成分〉
本発明の硬化性組成物は、上記必須成分(A)〜(C)の他に、必要に応じて、組成物の粘度、ならびに硬化物の透明性および耐熱性等の特性を損なわない範囲で、重合禁止剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、顔料、他の無機フィラー等の充填剤、反応性希釈剤、その他改質剤等を含有してもよい。
《重合禁止剤》
重合禁止剤は、保存中に硬化性組成物の含有成分が重合反応を起こすことを防止するために用いることができる。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールが挙げられる。
重合禁止剤の含有量は、組成物の透明性、硬化物の耐熱性の観点から、重合禁止剤を除いた硬化性組成物100質量部に対して0.1質量部以下であることが好ましい。重合禁止剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《レベリング剤》
レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合物、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合物、ポリエーテル変性メチルアルキルポリシロキサン共重合物、アラルキル変性メチルアルキルポリシロキサン共重合物およびポリエーテル変性メチルアルキルポリシロキサン共重合物が挙げられる。レベリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《酸化防止剤》
酸化防止剤とは、フリーラジカルなどの酸化促進因子を捕捉する機能を有する化合物である。酸化防止剤としては、工業的に一般に使用される酸化防止剤であれば特に限定はなく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、イルガノックス1010(IRGANOX1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASFジャパン(株)製)、イルガノックス1076(IRGANOX 1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、BASFジャパン(株)製)、イルガノックス1330(IRGANOX 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、BASFジャパン(株)製)、イルガノックス3114(IRGANOX 3114:1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、BASFジャパン(株)製)、イルガノックス3790(IRGANOX 3790:1,3,5−トリス((4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、BASFジャパン(株)製)、イルガノックス1035(IRGANOX 1035:チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ− t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASFジャパン(株)製)、イルガノックス1135(IRGANOX 1135:ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、C7−C9側鎖アルキルエステル、BASFジャパン(株)製)、イルガノックス1520L(IRGANOX 1520L:4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、BASFジャパン(株)製)、イルガノックス3125(IRGANOX 3125、BASFジャパン(株)製)、イルガノックス565(IRGANOX 565:2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ3’,5’−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、BASFジャパン(株)製)、アデカスタブAO−80(アデカスタブAO−80:3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、(株)ADEKA製)、スミライザーBHT(Sumilizer BHT、住友化学(株)製)、スミライザーGA−80(Sumilizer GA−80、住友化学(株)製)、スミライザーGS(Sumilizer GS、住友化学(株)製)、シアノックス1790(Cyanox 1790、(株)サイテック製)、ビタミンE(エーザイ(株)製)が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、イルガフォス168(IRGAFOS 168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、BASFジャパン(株)製)、イルガフォス12(IRGAFOS 12:トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、BASFジャパン(株)製)、イルガフォス38(IRGAFOS 38:ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、BASFジャパン(株)製)、アデカスタブ329K((株)ADEKA製)、アデカスタブPEP36((株)ADEKA製)、アデカスタブPEP−8((株)ADEKA製)、Sandstab P−EPQ(クラリアント社製)、ウェストン618(Weston 618、GE社製)、ウェストン619G(Weston 619G、GE社製)、ウルトラノックス626(Ultranox 626、GE社製)、スミライザーGP(Sumilizer GP:6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン)、住友化学(株)製)が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチルまたはジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート化合物、テトラキス[メチレン(3−ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル化合物が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、多量に加えると着色したり、硬化を妨げたりすることがあることから、酸化防止剤を除いた硬化性組成物100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。酸化防止剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《紫外線吸収剤》
紫外線吸収剤とは、一般的に波長約200〜380nmの紫外線を吸収して、熱や赤外線などのエネルギーに変化させて放出させることができる化合物である。
紫外線吸収剤としては、工業的に一般に使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ジフェニルメタン系、2−シアノプロペン酸エステル系、サリチル酸エステル系、アントラニレート系、ケイヒ酸誘導体系、カンファー誘導体系、レゾルシノール系、オキザリニド系、クマリン誘導体系の紫外線吸収剤等を本発明に使用することができる。紫外線吸収剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(t−ブチル)フェノールが挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2,4,6−トリス−(ジイソブチル4’−アミノ−ベンザルマロネート)−s−トリアジン、4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。
ジフェニルメタン系紫外線吸収剤としては、例えば、ジフェニルメタノン、メチルジフェニルメタノン、4−ヒドロキシジフェニルメタノン、4−メトキシジフェニルメタノン、4−オクトキシジフェニルメタノン、4−デシルオキシジフェニルメタノン、4−ドデシルオキシジフェニルメタノン、4−ベンジルオキシジフェニルメタノン、4,2’,4’−トリヒドロキシジフェニルメタノン、2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシジフェニルメタノン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ−ジフェニルメタノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾインエチルエーテルが挙げられる。
2−シアノプロペン酸エステル系紫外線吸収剤としては、例えば、エチルα−シアノ−β,β−ジフェニルプロペン酸エステルおよびイソオクチルα−シアノ−β,β−ジフェニルプロペン酸エステルが挙げられる。
サリチル酸エステル系紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸イソセチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸グリコール、サリチル酸フェニルが挙げられる。アントラニレート系紫外線吸収剤としては、例えば、メンチルアントラニレートが挙げられる。
ケイヒ酸誘導体系紫外線吸収剤としては、例えば、エチルヘキシルメトキシシンナメート、イソプロピルメトキシシンナメート、イソアミルメトキシシンナメート、ジイソプロピルメチルシンナメート、グリセリル−エチルヘキサノエートジメトキシシンナメート、メチル−α−カルボメトキシシンナメート、メチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメートが挙げられる。
カンファー誘導体系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファースルホン酸、カンファーベンザルコニウムメトスルフェート、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファーが挙げられる。レゾルシノール系紫外線吸収剤としては、例えば、ジベンゾイルレゾルシノールビス(4−t−ブチルベンゾイルレゾルシノール)が挙げられる。
オキザリニド系紫外線吸収剤としては、例えば、4,4’−ジ−オクチルオキシオキザニリド、2,2’−ジエトキシオキシオキザニリド、2,2’−ジ−オクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキザニリド、2,2’−ジ−ドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキザニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキザニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキザニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エトキシオキザニリドが挙げられる。クマリン誘導体系紫外線吸収剤としては、例えば、7−ヒドロキシクマリンが挙げられる。
《赤外線吸収剤》
赤外線吸収剤としては、例えば、金属錯体系化合物を用いることができ、具体的にはフタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物が挙げられる。
《光安定剤》
光安定剤とは、光エネルギーによって発生したラジカルによる自動酸化分解を低減させ、硬化物の劣化を抑制する効能を有する化合物である。
光安定剤としては、工業的に一般に使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、ヒンダードアミン系化合物(以下「HALS」ともいう。)、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物が挙げられる。なお、光安定剤のなかには(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物も含まれる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有する光安定剤のなかには前記(メタ)アクリレート化合物(B)に該当するものもあるが、それらは(メタ)アクリレート化合物(B)であると同時に光安定剤であるとみなす。
HALSとしては、例えば、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]などの、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などの、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した高分子量HALS;ペンタメチルピペリジニルメタクリレートが挙げられる。
光安定剤の含有量は、着色性の観点から、光安定剤を除いた硬化性組成物100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。光安定剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《充填剤、顔料》
充填剤または顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、アルミノケイ酸塩、アエロジル(登録商標)、黒鉛、カーボンナノチューブ、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ステアリン酸亜鉛、亜鉛華、ベンガラ、アゾ顔料が挙げられる。
〈硬化性組成物の粘度〉
本発明の硬化性組成物の、B型粘度計DV−III ULTRA(BROOKFIELD社製)で測定される25℃における粘度は、50〜20,000mPa・sが好ましく、100〜8,000mPa・sがより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、溶媒を含有していなくとも適度な粘度を有しており、良好なハンドリング性を有する。これは、上述のシリカ微粒子の表面修飾に基づくシリカ微粒子(A)の、(メタ)アクリレート化合物(B)との高い反応性および相溶性、(メタ)アクリレート化合物(B)中における高い分散安定性に起因する。
〈硬化性組成物の製造方法〉
本発明の硬化性組成物の製造方法は、シリカ微粒子を、前記一般式(1)で表される重合性シラン化合物(A1)および前記一般式(2)で表されるシラン化合物(A2)を少なくとも含むシラン化合物で表面修飾して、シリカ微粒子(A)を得る工程1と、
前記工程1で得られたシリカ微粒子(A)と、(メタ)アクリロイルオキシ基を3つ有しかつ環構造を有しない(メタ)アクリレート化合物(B1)および(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有しかつ脂環式構造を有する(メタ)アクリレート化合物(B2)を含む(メタ)アクリレート化合物(B)と、を混合して、混合液を得る工程2と、
前記工程2で得られた混合液から揮発分を留去して、混合物を得る工程3と、
前記工程3で得られた混合物に重合開始剤(C)を添加・混合して、硬化性組成物を得る工程4と、
を有する。
本発明の硬化性組成物は、例えば、シリカ微粒子を上述のシラン化合物で表面修飾して、シリカ微粒子(A)を得る工程(工程1);工程1で得られたシリカ微粒子(A)と、(メタ)アクリレート化合物(B)と、必要に応じてその他の成分とを混合して、混合液を得る工程(工程2);工程2で得られた混合液から揮発分を留去(以下「脱溶媒」ともいう。)して、混合物を得る工程(工程3);工程3で得られた混合物に重合開始剤(C)と、必要に応じてその他の成分とを添加・混合して、硬化性組成物を得る工程(工程4)を順次行うことにより、製造することができる。
《工程1》
工程1では、シリカ微粒子を、重合性シラン化合物(A1)およびシラン化合物(A2)を少なくとも含むシラン化合物で表面修飾する。表面修飾では、シリカ微粒子の表面において、シラン化合物の加水分解・縮重合が進行する。
シリカ微粒子としては、硬化性組成物におけるその分散性の点から、有機溶媒にシリカ微粒子が分散してなる分散体(コロイダルシリカ)を用いることが好ましい。前記有機溶媒としては、硬化性組成物中に含有される有機成分(例:(メタ)アクリレート化合物(B))が溶解するものを用いることが好ましい。
上記分散体中のシリカ微粒子の含有量は、硬化性組成物におけるその分散性の点から、1〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%が更に好ましい。
上記有機溶媒としては、例えば、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒およびグリコールエーテル溶媒が挙げられる。工程3における揮発分の留去のしやすさから、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;などの有機溶媒が好ましい。
上記分散体は従来公知の方法で製造することができ、市販されている。その他の上記で説明したシリカ微粒子も、従来公知の方法で製造することができ、また市販もされている。
表面修飾は、シリカ微粒子(好ましくはコロイダルシリカ)を反応器に入れ、攪拌しながら、重合性シラン化合物(A1)およびシラン化合物(A2)を添加して、攪拌混合し、さらに当該シラン化合物の加水分解を行うのに必要な水および触媒を添加して、攪拌しながら、当該シラン化合物を加水分解し、シリカ微粒子表面にて縮重合させることにより行う。
加水分解の過程において、シラン化合物の加水分解による消失は、ガスクロマトグラフィーにより確認することができる。その測定条件は、実施例に記載したとおりである。
〈シリカ微粒子(A)〉の欄で上述したように、シリカ微粒子を表面修飾する際のシラン化合物の使用量(例:シラン化合物(A1)と(A2)の総量)は、表面修飾前のシリカ微粒子100質量部に対して、5〜100質量部が好ましく、20〜50質量部がより好ましく、25〜35質量部が最も好ましい。
加水分解を行うのに必要な水の量は、シラン化合物1モル等量に対して0.1〜10モル等量が好ましく、1〜10モル等量がより好ましく、1〜5モル等量が最も好ましい。水の量が過度に少ないと、加水分解速度が極端に遅くなり経済性に欠ける、表面修飾が充分進行しない、などの恐れがある。水の量が過度に多いと、シリカ微粒子(A)がゲルを形成する恐れがある。
加水分解を行う際には、通常、加水分解反応用の触媒が使用される。
加水分解反応用の触媒としては、例えば、塩酸(塩化水素水溶液)、酢酸、硫酸およびリン酸等の無機酸;蟻酸、プロピオン酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸およびマレイン酸等の有機酸;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムおよびアンモニア等のアルカリ触媒;有機金属;金属アルコキシド;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチレートおよびジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)およびジルコニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)等の金属キレート化合物;ホウ素ブトキシドおよびホウ酸等のホウ素化合物が挙げられる。これらの中でも、水への溶解性や、充分な加水分解速度が得られることから、塩酸、酢酸、マレイン酸およびホウ素化合物が好ましい。
加水分解反応用の触媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
工程1において1種または複数種のシラン化合物の加水分解を行う際には、非水溶性触媒を使用してもよいが、水溶性触媒を使用することが好ましい。加水分解反応用の水溶性触媒を使用する場合は、水溶性触媒を適当量の水に溶解し、反応系に添加すると、触媒を均一に分散させることができるので好ましい。
加水分解に使用される触媒の添加量は、特に限定されない。なお、上記触媒は水に溶解した水溶液として加水分解反応に使用されることがあるが、その場合には、上記触媒の添加量は、水溶液中に含まれる触媒(例えば、酸や塩基)のみの量を表す。
加水分解反応の反応温度は特に限定されないが、10〜80℃の範囲が好ましく、20〜50℃の範囲が好ましい。反応温度が過度に低いと、加水分解速度が極端に遅くなり経済性に欠ける、表面修飾が充分進行しない、などの恐れがある。反応温度が過度に高いと、ゲル化反応が起こりやすくなる傾向がある。
加水分解反応を行うための反応時間は特に限定されないが、10分間〜48時間の範囲が好ましく、30分間〜24時間の範囲がより好ましい。
なお、工程1における2種以上のシラン化合物による表面修飾は、シラン化合物ごとに逐次に行ってもよいが、同時に一段で行う方が反応プロセスの単純化や効率化の点で好ましい。
《工程2》
工程2において、工程1で得られたシリカ微粒子(A)と、(メタ)アクリレート化合物(B)と、必要に応じてその他の成分とを混合する方法としては、特に制限は無いが、例えば、室温または加熱条件下でミキサー、ボールミルまたは3本ロールなどの混合機により前記各成分を混合する方法、工程1を行った反応器中で連続的に攪拌しながら(メタ)アクリレート化合物(B)と、必要に応じてその他の成分とを添加・混合する方法が挙げられる。
《工程3》
工程3において、シリカ微粒子(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)等との混合液から有機溶媒および水等の揮発分の留去(脱溶媒)を行うには、減圧状態で当該混合液を加熱することが好ましい。
温度は、20〜100℃に保つことが好ましく、凝集ゲル化防止と脱溶媒スピードとのバランスで、30〜70℃に保つことがより好ましく、30〜50℃に保つことが更に好ましい。温度を上げすぎると、硬化性組成物の流動性が極端に低下したり、ゲル状になってしまったりすることがある。
減圧する際の真空度は、10〜4,000kPaが好ましく、脱溶媒スピードと凝集ゲル化防止とのバランスを図る上で、10〜1,000kPaが更に好ましく、10〜500kPaが最も好ましい。真空度の値が大きすぎると、脱溶媒スピードが極端に遅くなり経済性に欠けることがある。
脱溶媒後の混合物は、実質的に有機溶媒および水を含有しないことが好ましい。ここでいう実質的とは、本発明の硬化性組成物を用いて実際に硬化物を得る際に、脱溶媒する工程を再度経る必要がないことを意味し、具体的には、硬化性組成物中の有機溶媒および水のそれぞれの残存量が、1質量%以下であることを意味することが好ましく、0.5質量%以下であることを意味することがより好ましい。
工程3においては、脱溶媒する前に、脱溶媒後の混合物100質量部に対して0.1質量部以下の添加量となるように、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤は、脱溶媒過程中や脱溶媒後の硬化性組成物の保存中にその含有成分が重合反応を起こすことを防止するために用いることができる。
工程3は、工程2で得られた、シリカ微粒子(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)等との混合液を専用の装置に移して行うこともできるし、工程2を工程1で実施した反応器を用いて行ったのであれば、工程2に引き続いて当該反応器中で行うこともできる。
《工程4》
工程4において、工程3で脱溶媒後の混合物に重合開始剤(C)と、必要に応じてその他の成分とを添加・混合する方法としては、特に制限は無いが、例えば、室温でミキサー、ボールミルまたは3本ロールなどの混合機により前記各成分を混合する方法、工程1〜3を行った反応器中で連続的に攪拌しながら重合開始剤(C)と、必要に応じてその他の成分とを添加・混合する方法が挙げられる。
さらに、このような重合開始剤(C)等の添加・混合を行って得られた硬化性組成物に対して、必要に応じて濾過を行ってもよい。この濾過は、硬化性組成物中のゴミ等の外来の異物除去を目的として行う。濾過方法には、特に制限は無いが、加圧濾過孔径1〜5μmのメンブレンタイプ、カートリッジタイプ等のフィルターを使用し、加圧濾過する方法が好ましい。
以上のようにして、本発明の硬化性組成物が得られる。
〔硬化物〕
本発明の硬化性組成物を硬化させることにより、硬化物が得られる。
本発明の硬化物は、重合性シラン化合物(A1)およびシラン化合物(A2)で表面修飾されたシリカ微粒子(A)および(メタ)アクリレート化合物(B)等が強固に硬化したことにより、色収差が小さく(指標としてアッベ数が大きい)、耐熱性に優れ(指標として、線膨張係数が小さい)、しかも従来品と同等以上の透明性を有する(指標として、光線透過率が大きい)。したがって、前記硬化物は、後述するように光学材料・電子材料として好適に用いることができる。
表面修飾されたシリカ微粒子(A)を含有せず、(メタ)アクリレート化合物(B)を含有する硬化性組成物からなる硬化物に対して、重合性シラン化合物(A1)およびシラン化合物(A2)で表面修飾されたシリカ微粒子(A)を含有し、(メタ)アクリレート化合物(B)を含有する硬化性組成物からなる本発明の硬化物は、シリカ微粒子(A)を含有しない硬化性組成物からなる硬化物に比べて35℃から250℃までの範囲における平均線膨張係数が、10ppm以上小さくなることが好ましく、15ppm以上小さくなることがより好ましい。平均線膨脹係数の測定方法の詳細は、実施例に記載したとおりである。
重合性シラン化合物(A1)およびシラン化合物(A2)で表面修飾されたシリカ微粒子(A)を含有し、(メタ)アクリレート化合物(B)を含有する硬化性組成物を硬化させることで得られる本発明の硬化物は、重合性シラン化合物(A1)のみで表面修飾されたシリカ微粒子(A)を含有し、(メタ)アクリレート化合物(B)を含有する硬化性組成物を硬化させることで得られる硬化物に比べてアッベ数が1以上大きくなることが好ましく、2以上大きくなることがより好ましい。本発明の硬化性組成物を硬化した硬化物のアッベ数は、40以上が好ましく、45以上がより好ましく、50以上が更に好ましい。アッベ数の測定方法の詳細は、実施例に記載したとおりである。
重合性シラン化合物(A1)およびシラン化合物(A2)で表面修飾されたシリカ微粒子(A)を含有し、(メタ)アクリレート化合物(B)を含有する本発明の硬化性組成物は、表面修飾されたシリカ微粒子(A)を含有せず、(メタ)アクリレート化合物(B)を含有する硬化性組成物に比べて収縮率が、1%低減することが好ましく、2%低減することがより好ましい。本発明の硬化性組成物の硬化時の収縮率は、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、8%以下が更に好ましい。収縮率の定義・測定方法の詳細は、実施例に記載したとおりである。
〔硬化物の製造方法〕
本発明の硬化物の製造方法は、本発明の硬化性組成物を硬化させる工程を有する。具体的には、上述した本発明の硬化性組成物の製造方法を用いて得られた硬化性組成物を硬化させる工程を有する。
硬化の方法としては、例えば、活性エネルギー線の照射によりエチレン性不飽和基を架橋させる方法、熱をかけてエチレン性不飽和基を熱重合させる方法があり、これらを併用することもできる。
硬化性組成物に紫外線等の活性エネルギー線を照射して硬化させる場合は、上記の工程4において、硬化性組成物中に光重合開始剤を含有させる。硬化性組成物に熱をかけて硬化させる場合は、上記の工程4において、硬化性組成物中に熱重合開始剤を含有させる。
本発明の硬化物は、例えば、本発明の硬化性組成物をガラス板、プラスチック板、金属板またはシリコンウエハ等の基板上に塗布して塗膜を形成した後、当該塗膜に活性エネルギー線を照射することによって、あるいは当該塗膜を加熱することによって、得ることができる。硬化のために、活性エネルギー線の照射と加熱との両方を行ってもよい。
前記硬化性組成物の塗布方法としては、例えば、バーコーター、アプリケーター、ダイコーター、スピンコーター、スプレーコーター、カーテンコーターまたはロールコーターなどによる塗布、スクリーン印刷などによる塗布、ならびにディッピングなどによる塗布が挙げられる。
本発明の硬化性組成物の基板上への塗布量は特に限定されず、目的に応じて適宜調整することができ、活性エネルギー線照射および/または加熱での硬化処理後に得られる塗膜の膜厚が、1μm〜10mmとなる量が好ましく、10〜1000μmとなる量がより好ましい。
硬化のために使用される活性エネルギー線としては、電子線、または紫外から赤外の波長範囲の光が好ましい。光源としては、例えば、紫外線であれば超高圧水銀光源またはメタルハライド光源、可視光線であればメタルハライド光源またはハロゲン光源、赤外線であればハロゲン光源が使用できるが、この他にもレーザー、LEDなどの光源が使用できる。
活性エネルギー線の照射量は、光源の種類、塗膜の膜厚などに応じて適宜設定されるが、好ましくは(メタ)アクリレート化合物(B)の(メタ)アクリロイルオキシ基の反応率が80%以上になるように設定することが好ましく、90%以上になるように設定することがより好ましい。反応率は、赤外吸収スペクトルにより、反応前後の(メタ)アクリロイルオキシ基の吸収ピーク強度の変化から算出される。
また、活性エネルギー線を照射して硬化させた後、必要に応じて、加熱処理(アニール処理)をして硬化を更に進行させてもよい。その際の加熱温度は80〜220℃の範囲にあることが好ましく、加熱時間は10分〜60分の範囲にあることが好ましい。
本発明の硬化性組成物の硬化のために加熱処理により熱重合させる場合は、加熱温度は、80〜200℃の範囲にあることが好ましく、100〜160℃のの範囲にあることがより好ましい。加熱温度が前記範囲を下回ると、加熱時間を長くする必要があり経済性に欠ける傾向にあり、加熱温度が前記範囲を上回ると、エネルギーコストがかかるうえに、加熱昇温時間および降温時間がかかるため経済性に欠ける傾向にある。
加熱時間は、加熱温度、塗膜の膜厚などに応じて適宜設定されるが、好ましくは(メタ)アクリレート化合物(B)の(メタ)アクリロイルオキシ基の反応率が80%以上になるように設定することが好ましく、90%以上になるように設定することがより好ましい。反応率は、上述したように、赤外吸収スペクトルにより、反応前後の(メタ)アクリロイルオキシ基の吸収ピーク強度の変化から算出される。
〔光学材料・電子材料・高耐熱レンズ材料〕
本発明の硬化物は、透明板、光学レンズ、光ディスク基板、液晶表示素子用プラスチック基板、カラーフィルター用基板、有機EL表示素子用プラスチック基板、太陽電池用基板、タッチパネル、光学素子、光導波路、LED封止材等の光学材料・電子材料、高耐熱レンズ材料などとして、好適に用いることができる。ここでいう高耐熱とは250℃以上のリフロー処理をした後もクラックや黄変がなく、レンズ材料に好適に用いることができるものを指す。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
〈硬化性組成物の調製〉
[実施例1]
表面修飾されるシリカ微粒子として、イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカ(シリカ微粒子含量30質量%、平均粒子径10〜20nm、商品名:スノーテックIPA−ST;日産化学工業(株)製)を用いた。
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカ100g(溶媒を含む量)を入れ、当該セパラブルフラスコにシラン化合物(A1)として8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン(MOS)を3.6g(コロイダルシリカ中の表面修飾前のシリカ微粒子量100部に対して12部となる量)と、シラン化合物(A2)としてトリフルオロプロピルトリメトキシシラン(FPS)を5.4g(コロイダルシリカ中の表面修飾前のシリカ微粒子量100部に対して18部となる量)加え、攪拌混合し、さらに濃度0.1825質量%の塩酸を2.6g加え、25℃で24時間撹拌することにより、シリカ微粒子の表面修飾を行い、表面修飾シリカ微粒子を含む分散液を得た。
シラン化合物(ここではMOSおよびFPS)の加水分解による消失は、ガスクロマトグラフィー(型式6850;アジレント(株)製)により確認した。無極性カラムDB−1(J&W社製)を使用し、温度50〜300℃、昇温速度10℃/分、キャリアガスとしてHeを使用し、流量1.2cc/分、水素炎イオン化検出器にて内部標準法で測定した。MOSおよびFPSは、上記塩酸を添加後24時間で消失した。
前記表面修飾シリカ微粒子を含む分散液に、(メタ)アクリレート(B1)としてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)を15g(分散液中の表面修飾前換算のシリカ微粒子量50部に対して、25部となる量)と、(メタ)アクリレート(B2)としてアダマンチルメタクリレート(ADMA)15g(分散液中の表面修飾前換算のシリカ微粒子量50部に対して、25部となる量)と、酸化防止剤としてイルガノックス1135(IRGANOX1135:ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、C7−C9側鎖アルキルエステル;BASFジャパン(株)製)0.09g(分散液中の表面修飾前換算のシリカ微粒子量と、TMPTAとADMAの合計質量100部に対して0.15部となる量)と、HALSとしてペンタメチルピペリジニルメタクリレート(商品名:FA−711MM;日立化成(株)製)0.09g(分散液中の表面修飾前換算のシリカ微粒子量と、TMPTAとADMAの合計質量100部に対して0.15部となる量)を加え、均一に混合した。その後、攪拌しながら40℃、100kPaにて減圧加熱して、揮発分を除去して母液を得た。
得られた母液100部に、熱重合開始剤としてパーブチルO(日油(株)製)1.0部を添加して、硬化性組成物(X−1)を得た。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、シリカ微粒子およびシラン化合物を用いず、(メタ)アクリレート化合物(B)の使用量を表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(Y−1)を得た。なお、本比較例は、実施例1と異なり、組成物中にコロイダルシリカ分散液由来の溶媒は添加されていないため、溶媒留去の工程は省略した。
[比較例2]
実施例1において、シラン化合物により表面修飾されたシリカ微粒子を使用せず、未修飾のイソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカをそのまま使用し、各成分の使用量を表2に示したように変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(Y−2)を得た。硬化性組成物(Y−2)は溶媒の留去の際にゲル化し、その後の操作(重合開始剤の添加・硬化・物性評価)が不可能であった。
[比較例3]〜[比較例6]
実施例1において、シリカ微粒子、シラン化合物および(メタ)アクリレート化合物(B)の添加量を表1に示したように変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(Y−3)〜(Y−6)を得た。
〈硬化膜の製造〉
硬化性組成物(X−1)、(Y−1)および(Y−3)〜(Y−6)をガラス基板上に、硬化膜の厚さが約500〜550μmまたは約200μmになるように塗布して塗膜を形成し、130℃で30分間加熱処理して塗膜を硬化させた。
得られた硬化膜を、庫内を180℃にしたオーブンで30分熱処理することでアニール処理を行った。
アニール処理後の硬化膜を260℃のはんだリフロー炉で15秒間の熱処理を3回行うことでリフロー処理を行った。硬化性組成物(X−1)、(Y−1)および(Y−3)〜(Y−6)から得られたアニール処理後の硬化物はリフロー後もクラックや黄変は見られなかった。
〈性能評価方法〉
(1)粘度
各硬化性組成物の粘度は、B型粘度計DV−III ULTRA(BROOKFIELD社製)を用いて、25℃で測定した。粘度が適度に低いほど、ハンドリング性が良好な硬化性組成物である。
(2)収縮率
上記硬化性組成物(ゲル化していないもの)の収縮率は、硬化性組成物の硬化前の比重を密度比重計(DA−650;京都電子工業(株)製)で測定し、〈硬化膜の製造〉の欄で記載した条件で硬化した後の比重を自動比重計(DMA−220H;新光電子(株)製)により測定し、下記式により求めた。
Figure 2014234458
(3)屈折率
上記〈硬化膜の製造〉で得られたリフロー処理後の硬化膜の波長594nmの光の屈折率を、MODEL 2010M PRISM COUPLER(Metricon社製)を用いて30℃において測定した。
(4)アッベ数
上記〈硬化膜の製造〉で得られたリフロー処理後の硬化膜のアッベ数を、MODEL 2010M PRISM COUPLER(Metricon社製)を用いて30℃で測定した、波長486nm、589nm、656nmの光についての前記硬化膜の屈折率より算出した。アッベ数が高いほど色収差が少ないので良好な硬化膜である。
(5)屈折率温度依存係数
上記〈硬化膜の製造〉で得られた厚さ約500〜550μmのリフロー処理後の硬化膜について、MODEL 2010M PRISM COUPLER(Metricon社製)を用いて、測定温度を30〜60℃まで5℃刻みで温度を変えて屈折率を測定し、温度に対する波長594nmの光の屈折率をプロットした際の傾きを屈折率温度依存係数として、その絶対値を求めた。その値が小さいほど、屈折率の温度依存性が小さく耐環境性に優れている。
(6)平均線膨張係数
上記〈硬化膜の製造〉で得られた厚さ約200μmのアニール処理後の硬化膜の線膨張係数を、熱機械分析装置(TMA/SS6100、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)を用いて、窒素雰囲気下で、20mNの加重をかけて、30℃から300℃まで昇温して測定した。35℃から250℃までの範囲での平均線膨張係数を算出した。平均線膨張係数が小さいほど、耐熱性に優れた硬化膜である。
(7)光線透過率
上記〈硬化膜の製造〉で得られた厚さ約500〜550μmのリフロー処理後の硬化膜の波長400nmでの光線透過率(T%)を、分光光度計(日本分光(株)製、UV3600)を用いて測定した。光線透過率が大きいほど、透明性に優れた硬化膜である。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2014234458
表中、シリカ微粒子およびシラン化合物(A1),(A2)および(メタ)アクリレート(B1),(B2)の組成の数値の単位は質量部である。ただし、シラン化合物(A1)および(A2)の量は、表面修飾前のシリカ微粒子100部に対する、その表面修飾に用いたシラン化合物の量である。また、シリカ微粒子量(表面修飾されたシリカ微粒子(A)においては表面修飾前のシリカ微粒子換算の質量、未修飾のシリカ微粒子においてはそのままの質量)と(メタ)アクリレート(B1)および(メタ)アクリレート(B2)の量との合計が100部となるように設定される。
表中の記号の意味は以下のとおりである:
・MOS:8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン
・FPS:トリフルオロプロピルトリメトキシシラン
・MPS:8−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
・PhS:フェニルトリメトキシシラン
・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製)
・ADMA:アダマンチルメタクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
《表1について》
硬化性組成物(X−1)は、適度な粘度を有しており、ハンドリング性に優れ、硬化収縮が十分に小さい。さらに、硬化性組成物(X−1)を熱重合して得られる硬化物は、アッベ数が高いので色収差が小さい。さらに、硬化性組成物(X−1)を熱重合して得られる硬化物は、平均線膨張係数が小さく、屈折率温度依存係数の絶対値が低いので耐熱性に優れる。さらに、硬化性組成物(X−1)を熱重合して得られる硬化物は、400nmにおける光線透過率が高いので、透明性に優れる。したがって、前記シラン化合物(A1)および(A2)で表面修飾した表面修飾シリカ(A)を含む硬化性組成物を添加することで、色収差が小さく、耐熱性と透明性が高い硬化物が得られ、適度な粘度を有し、ハンドリング性に優れ、成形性が良い硬化性組成物が得られる。
硬化性組成物(Y−1)は、硬化性組成物(X−1)に比べて粘度が極端に低くハンドリング性に劣る。さらに、硬化性組成物(Y−1)は硬化性組成物(X−1)に比べて硬化収縮が大きく、成形性に劣る。また、硬化性組成物(Y−1)を熱重合して得られる硬化物は、硬化性組成物(X−1)を熱重合して得られる硬化物に比べて平均線膨張係数が大きく、屈折率温度依存係数の絶対値が高いので耐熱性に劣る。
したがって、前記シラン化合物(A1)および(A2)で表面修飾した表面修飾シリカ(A)を硬化性組成物に添加することで、耐熱性と透明性が高い硬化物が得られ、適度な粘度を有し、ハンドリング性に優れ、成形性が良い硬化性組成物が得られる。
シリカ微粒子を表面修飾しないで得られた硬化性組成物(Y−2)はゲル化した。したがって、前記シラン化合物(A1)および(A2)でシリカ微粒子を表面修飾することにより、シリカ微粒子の分散安定性が向上する。
硬化性組成物(Y−3)を熱重合して得られる硬化物は、硬化性組成物(X−1)を熱重合して得られる硬化物に比べてアッベ数が小さく、色収差が大きい。
したがって、前記シラン化合物(A1)および(A2)で表面修飾した表面修飾シリカ(A)を硬化性組成物に添加することで、色収差が小さく良好な硬化物を与えることができる硬化性組成物が得られる。
硬化性組成物(Y−4)を熱重合して得られる硬化物は、硬化性組成物(X−1)を熱重合して得られる硬化物に比べてアッベ数が小さく、色収差が大きい。
したがって、前記シラン化合物(A1)および(A2)で表面修飾した表面修飾シリカ(A)を硬化性組成物に添加することで、前記シラン化合物(A1)のみで表面修飾した表面修飾シリカを添加した場合よりも色収差が小さく良好な硬化物を与えることができる硬化性組成物が得られる。
硬化性組成物(Y−5)を熱重合して得られる硬化物は、硬化性組成物(X−1)を熱重合して得られる硬化物に比べてアッベ数が小さく、色収差が大きい。さらに、硬化性組成物(Y−5)を熱重合して得られる硬化物は、硬化性組成物(X−1)を熱重合して得られる硬化物に比べて平均線膨張係数が高いので耐熱性に劣る。さらに、化性組成物(Y−5)を熱重合して得られる硬化物は白濁し、硬化性組成物(X−1)を熱重合して得られる硬化物に比べて400nmでの光線透過率が著しく低いので透明性に劣る。
硬化性組成物(Y−6)を熱重合して得られる硬化物は、硬化性組成物(X−1)を熱重合して得られる硬化物に比べて、粘度が大きく、平均線膨張係数が大きい。よってハンドリング性および耐熱性に劣る。
したがって、前記シラン化合物(A1)および(A2)で表面修飾した表面修飾シリカ(A)を硬化性組成物に添加することで、前記シラン化合物(A2)のみで表面修飾した表面修飾シリカを添加した場合よりも色収差が小さく、耐熱性および透明性にすぐれた良好な硬化物を与えることができる硬化性組成物が得られる。
特定の2種類以上のシラン化合物で表面処理したシリカ微粒子(A)と、特定の重合性化合物、および重合開始剤よりなる本発明の該硬化性組成物は、適度な粘度でハンドリング性が良好であり、硬化収縮が小さく成形性が優れる。さらに、本発明の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物は、色収差が小さく、透明性および耐熱性に優れる。
該硬化物は、光学レンズ、光ディスク基板、液晶表示素子用プラスチック基板、カラーフィルター用基板、有機EL表示素子用プラスチック基板、透明板、太陽電池基板、タッチパネル、光学素子、光導波路およびLED封止材等に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. (A)下記一般式(1)で表される重合性シラン化合物(A1)および下記一般式(2)で表されるシラン化合物(A2)を少なくとも含むシラン化合物で表面処理されたシリカ微粒子と、
    (B)(メタ)アクリロイルオキシ基を3つ有しかつ環構造を有しない(メタ)アクリレート化合物(B1)および(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有しかつ脂環式構造を有する(メタ)アクリレート化合物(B2)と、
    (C)重合開始剤と
    を含有することを特徴とする硬化性組成物。
    Figure 2014234458
    [式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、R2は水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、aは8〜16の整数であり、bは0〜2の整数である。なお、bが2である場合に複数存在するR2は互いに同一でも異なっていてもよく、bが0または1である場合に複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
    Figure 2014234458
    [式(2)中、Rは水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を表し、nは1〜10の整数であり、mは0〜21の整数かつ2n+1以下の整数である。複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
  2. 前記一般式(1)中、Rがメチル基を表し、Rがメチル基またはエチル基を表し、aが8であり、bが0である請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記一般式(2)中、nが3、mが3であり、Rがメチル基またはエチル基を表す請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記(メタ)アクリレート化合物(B2)がアダマンチル、イソボニルおよびトリシクロデカンからなる群から選ばれる少なくとも1種の脂環式構造を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物のアッベ数が50以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化させて得られることを特徴とする硬化物。
  7. 請求項6に記載の硬化物からなることを特徴とする光学材料。
  8. 請求項6に記載の硬化物からなることを特徴とする電子材料。
  9. 請求項6に記載の硬化物からなることを特徴とする高耐熱レンズ材料。
  10. シリカ微粒子を、下記一般式(1)で表される重合性シラン化合物(A1)および下記一般式(2)で表されるシラン化合物(A2)を少なくとも含むシラン化合物で表面修飾して、シリカ微粒子(A)を得る工程1と、
    前記工程1で得られたシリカ微粒子(A)と、(メタ)アクリロイルオキシ基を3つ有しかつ環構造を有しない(メタ)アクリレート化合物(B1)および(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有しかつ脂環式構造を有する(メタ)アクリレート化合物(B2)を含む(メタ)アクリレート化合物(B)と、を混合して、混合液を得る工程2と、
    前記工程2で得られた混合液から揮発分を留去して、混合物を得る工程3と、
    前記工程3で得られた混合物に重合開始剤(C)を添加・混合して、硬化性組成物を得る工程4と、
    を有することを特徴とする硬化性組成物の製造方法。
    Figure 2014234458
    [式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、R2は水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、aは8〜16の整数であり、bは0〜2の整数である。なお、bが2である場合に複数存在するR2は互いに同一でも異なっていてもよく、bが0または1である場合に複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
    Figure 2014234458
    [式(2)中、Rは水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を表し、nは1〜10の整数であり、mは0〜21の整数かつ2n+1以下の整数である。複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
  11. 請求項10に記載の硬化性組成物の製造方法を用いて得られた硬化性組成物を硬化させる工程を有することを特徴とする硬化物の製造方法。
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