JP2014233880A - 加飾合成樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成樹脂成形品の表面に、紫外線硬化型のコート液を塗布し、紫外線硬化して形成したアンダーコート層を積層し、このアンダーコート層上に金属蒸着層を積層した加飾合成樹脂成形品において、金属蒸着層の表面には網目状の模様により分割された多数のドメインが形成され、ドメインには、内部に金属蒸着層の表面に形成される微細な凹凸による虹彩色状の視覚効果が現出する虹彩部が形成された領域を有するものがある構成とする。
【選択図】図1
Description
このような加飾性を付与する方法の一つとして、金属蒸着層を積層して成形品の表面を加飾する方法があり、金属光沢を付与することにより高級感を演出することができる。
なお、上記アンダーコートは金属蒸着層の基材への密着性を強固に保持するためのものであり、成形品の表面に金属蒸着層を積層する場合には必須のものである。
合成樹脂成形品の表面に、UV硬化型のコート液を塗布し、UV硬化して形成したアンダーコート層を積層し、このアンダーコート層上に金属蒸着層を積層した加飾合成樹脂成形品において、
金属蒸着層の表面に網目状の模様により分割された多数のドメインが形成され、
このドメインには、内部に金属蒸着層の表面に形成される微細な凹凸による虹彩色状の視覚効果が現出する虹彩部が形成された領域を有するものがある構成とする、と云うものである。
本願発明者らはこのような硬化条件による凹凸形状の変化について検討するなかで、塗膜の硬化条件を適宜に設定することにより、金属蒸着層を積層した状態で虹彩色状の視覚効果が発揮される虹彩部が現出することを見出し、上記構成を創出するに到った。
この虹彩色状の視覚効果が現出する虹彩部を含めて、後述する鏡面部等の視覚効果と共に、成形品の表面に、金属蒸着層によりさまざまなバリエーションで金属光沢による高度な加飾効果を付与することが可能となる。
虹彩部に、これら鏡面部、異方性鏡面部、あるいは白化部を組み合せることにより成形品の表面に金属光沢による、より多様な加飾効果を付与することが可能となる。
すなわち、虹彩部における微細な凹凸が形成される方向性が多角形状に区分けされる各ドメインによって異なるため、各ドメイン毎に、見る方向よって虹彩の出方が変化するため、観察方向を変えると虹彩状の色彩変化がドメイン毎に多様に変化するため、虹彩部による色彩変化がモザイク模様状に現出し、成形品の表面に金属光沢による、より高度な加飾効果を付与することができる。
図1〜4は本発明の加飾合成樹脂成形品の一実施例を説明するためのものであり、図1の(a)は表面の加飾状態を示す写真、(b)は(a)の要部を拡大した写真、図2は虹彩部Aと鏡面部Mの凹凸状態を示す電子顕微写真、図3は図2中の白矢印方向に沿った虹彩部Aの積層構造を示す断面図、図4は異方性鏡面部Maの凹凸状態を示す電子顕微写真である。
そして、図1(a)の写真に示されるように、後述するアンダーコート層2の表面にUV硬化過程で形成される微細な凹凸構造と、金属蒸着層3による光の反射による作用効果により、さまざまな態様で視覚効果が発揮されている。
なお、図1(b)は図1(a)中の要部を拡大した写真であるが、複数のドメインRの境界を形成する網目状の模様Nwを黒色の線で強調して描いている。
この例では各ドメインRの径は1〜5mm程度の大きさであるが、各ドメインRでの視覚効果を詳細に調べると、大きくわけて虹彩状の色彩効果が現出する虹彩部Aと、観察方向に拘わらず鏡面状の視覚効果が発揮される鏡面部Mと、観察する方向により鏡面状の視覚効果が発揮される異方性鏡面部Maがある。
たとえば、図1(b)中で、ドメインRaでは白く見える虹彩部Aと黒く見える鏡面部Mが隣接して混在しており、ドメインRbはほぼ全体が異方性鏡面部Maとなっている。
虹彩部Aでは、微細な凹凸Pが観察され、この凹凸Pは縞状に並列し、交互に規則性を有して繰り返す凸部Ptと凹部Pbによるものであり、図2中の白矢印の範囲で測定、算出した凸部Ptと凹部Ptの繰返し間隔dの平均値は1.9マクロメートルであり、この縞状に並列した凹凸Pの反射型の回折格子状の作用効果により、虹彩状の色彩が現出するものと推察され、この縞模様の方向性のため観察方向によりその色彩が大きく変化する。
ただ、CDの場合には隣接する溝の間隔は1.6マイクロメートルで、ディスク全体に亘って高い規則性で形成されているため、見る方向により現出する色が明確に区別されるが、上記虹彩部Aでは縞状の凹凸Pの間隔の規則性が低く、すなわちかなりのフレ幅を有し、さらにその縞状模様の延設方向は一つの虹彩部Aで直線状や同心円上でもなく、図2にも見られるように緩やかに湾曲しながら変化するものであり、現出される虹彩色状の視覚効果は、観察する方向によって緩やかに色彩が変化すると共に、柔らかな視覚効果が発揮され、むしろ落ち着いて、高品位な視覚効果が発揮される。
図4中に示した白矢印の方向に対して直角方向から観察した際、すなわち縞模様の延設方向と平行な方向から観察した際には鏡面状に見え、白矢印の方向と平行な方向から観察した際には、凹凸による光の散乱により、白く光るような視覚効果が現出するものと推察される。
・工程1;成形品1の表面にアクリル系のUV硬化型のコート液(東邦化研工業株式会社製のVMCR−100)を10マイクロメータの厚さで塗布する。
・工程2;上記のコート液を塗布した成形品1を、赤外線乾燥炉で、60℃で1分間乾燥する。
・工程3;図6に示した、メタルルハイドライトタイプのランプ32を配設したUV硬化装置31内をベルトコンベア32に積載した状態で、塗布層2aを積層した成形品1を一定速度で移動させながら、UV33を照射し、アンダーコート層を形成する。
なお、本実施例において、UVの照度は47mW/cm2、照射時間は50秒、積算光量計で測定した積算光量は252mJ/cm2である。
・工程4;金属蒸着装置で、金属としてアルミニウムを使用し金属蒸着層3を積層する。
図7は、アンダーコート層2を形成するためのアクリル系のUV硬化型のコート液の組成を変えて上記工程に沿って製造した5種類の加飾成形品の表面の加飾態様を示す写真であり、写真(a)から(e)にかけてドメインが細かいものから大きなものとなっている。
また、積算光量を上記した工程に記載されるよりもさらに大きくすると、図5のSEM写真で示したような、縦糸と横糸による織物状の微細な凹凸構造を形成することができ、この凹凸による光の散乱効果により白化状の視覚効果が現出する白化部を形成することもできる。
また、上記実施例では成形品1をABS樹脂製の射出成形による平板としたが、勿論、成形品に使用する樹脂や、成形品の成形方法、形状については使用目的に適宜選択することができる。
2 ;アンダーコート層
2a;塗布層
3 ;金属蒸着層
31;UV硬化装置
32;ランプ
33;UV
34;ベルトコンベア
A ;虹彩部
M ;鏡面部
Ma;異方性鏡面部
Nw;網目状の模様
R、Ra、Rb;ドメイン
P ;凹凸
Pt;凸部
Pb;凹部
d ;間隔
Claims (9)
- 合成樹脂成形品の表面に、紫外線硬化型のコート液を塗布し、紫外線硬化して形成したアンダーコート層(2)を積層し、該アンダーコート層(2)上に金属蒸着層(3)を積層した加飾合成樹脂成形品において、前記金属蒸着層(3)の表面には網目状の模様(Nw)により分割された多数のドメイン(R)が形成され、前記ドメイン(R)には、該ドメイン(R)内に金属蒸着層(3)の表面に形成される微細な凹凸(P)よる虹彩色状の視覚効果が現出する虹彩部(A)が形成された領域を有するものがある構成とした加飾合成樹脂成形品。
- 網目状の模様(Nw)、及び微細な凹凸はいずれもアンダーコート層(2)の紫外線硬化工程で該アンダーコート層(2)の表面に形成されたものであるとした請求項1記載の加飾合成樹脂成形品。
- 観察方向による虹彩部(A)からの視覚効果が、該虹彩部(A)が位置するドメイン(R)毎に異なるものとした請求項1または2記載の加飾合成樹脂成形品。
- 微細な凹凸(P)が、縞状に並列し、交互に規則性を有して繰り返す凸部(Pt)と凹部(Pb)によるものであり、該凹凸(P)による光の回折効果より虹彩色状の視覚効果が現出するものとした請求項1、2または3記載の加飾合成樹脂成形品。
- 凸部(Pt)と凹部(Pb)による縞状模様の繰返し間隔を0.3〜5マイクロメートルの範囲とした請求項4記載の加飾合成樹脂成形品。
- ドメイン(R)には、観察方向によらず鏡面状の視覚効果が現出する鏡面部(M)が形成された領域を有するものがある構成とした請求項1、2、3、4または5記載の加飾合成樹脂成形品。
- ドメイン(R)には、該ドメイン(R)内に金属蒸着層(3)の表面に形成される微細な凹凸による、観察方向により鏡面状の視覚効果が現出する異方性鏡面部(Ma)が形成された領域を有するものがある構成とした請求項1、2、3、4、5または6記載の加飾合成樹脂成形品。
- ドメイン(R)には、該ドメイン(R)内に金属蒸着層(3)の表面の形成される微細な凹凸による光の散乱効果により白化状の視覚効果が現出する白化部が形成された領域を有するものがある構成とした請求項1、2、3、4、5、6または7記載の加飾合成樹脂成形品。
- 金属蒸着層(3)上にトップクリアコート層(4)を積層する請求項1、2、3、4、5,6、7または8記載の加飾合成樹脂成形品。
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