JP2014233762A - 伸縮性伝送路付機器 - Google Patents
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Description
このような屈曲、回転、伸長などの動作を伴う機器の先端に取り付けられるカメラ、センサ、チャック、モータ等の機器を動かすために、配線の向きを変える場所を経由する電気および/または信号配線が必要となる。これらの機器において配線の向きが変わる場所では配線の向きが変わることにより多少なりとも必要な配線の長さが変わるため最長の配線長を見込んで余裕をもって配線する必要があり、コンパクトに配線できないという課題がある。配線が変向される部位の余長処理のため配線を巻き取る装置もあるが、巻き取りのためのモータや巻き取り部が必要になるという課題がある。
このような課題を解決するために、フレキシブルガイドを有する産業ロボット用支持装置(下記特許文献1参照)やロボットなどの関節部のガイド(下記特許文献2参照)などが提案されている。
しかし、いずれも長寿命とコンパクトさを両立するものでない。
本発明者らは、配線が変向される部位で伸縮する電線を屈曲伸長させることにより、不要な巻き取り装置無しで屈曲部に沿わせて配線できることを見出し、特許出願を行っているが(特願2012−266661)、さらにコンパクトで長寿命な技術が求められている。
本発明の目的は上述のような状況に鑑みて、配線が変向される機器において配線のコンパクト化と長寿命化を両立させた機器を提供することである。
(1)伸縮性伝送路と回転ガイドを有し、回転ガイドにより伸縮性伝送路が変向されることを特徴とする機器。
(2)回転ガイドの伸縮性伝送路受け部の回転軸が移動可能な機構を備えていることを特徴とする上記1項に記載の機器。
(3)回転ガイドが配線外れ防止ガイドを有することを特徴とする上記1または2項に記載の機器。
(4)回転ガイドが複数セットとなっており、当該複数のガイドのつば部同士の間隔が伸縮性伝送路の弛緩状態の直径以下であることを特徴とする上記1〜3項のいずれか一項に記載の機器。
(5)伸縮性伝送路の固定部が回転可能な機構を備えていることを特徴とする上記1〜4項のいずれか一項に記載の機器。
(6)伸縮性伝送路が線状弾性体とその周囲に螺旋状に捲回された導体線からなる導体部を有していることを特徴とする上記1〜5項のいずれか一項に記載の機器。
(7)導体線が複数であり、互いに交差することなく並列に捲回されていることを特徴とする上記6項記載の機器。
(8)導体部が、1本または複数の導体線の外側と内側(線状弾性体側)を交互に通り、導体線と逆方向で線状弾性体に捲回されている糸状態を含むことを特徴とする上記6または7項に記載の機器。
(9)導体部が2層以上積層されており、各層の導体線が同一方向に捲回されていることを特徴とする上記6〜8項のいずれか一項に記載の機器。
(10)導体部の最外層に、導体部と同一方向に捲回された導体からなるシールド層を有することを特徴とする上記6〜9項のいずれか一項に記載の機器。
(11)伸縮性伝送路の弛緩時直径L、導体線の直径Dおよび回転ガイドの伸縮性伝送路受け部の円弧の半径Rが下記式を満足することを特徴とする上記6〜10項のいずれか一項に記載の機器。
0.5mmまたは0.3Lのいずれか大きい値<R<10L
本発明は伸縮性伝送路が回転するガイドによって変向される伸縮性伝送路付機器に関するものである。本発明が対象とする配線が変向される機器には、例えば屈曲動作を有する機器、伸長動作を有する機器、回転動作を有する機器など様々な機器がある。その代表的なものはロボットアームを持つ多軸ロボットである。以下、配線が変向される機器の代表例としてロボットアームを取り上げて説明する。
これらの装置の配線はアームの屈曲部で配線が変向されるように取り付けられる。
図1−aおよびbにおいて、1が0°〜90°の範囲で動くアームの回転軸である。2が伸縮性伝送路であり、3および4が回転ガイドである。図1−aは装置の屈曲部が最短配線長時の状態を示した図であり、図1−bは配線変向部が曲げられ配線長が最長をなった状態を示している。図1−aと図1−bの間で、伸縮性伝送路が伸縮しこの動きに追随し回転ガイドが回転する。
伸長方向に回転することによりこれまでの知見では不可能と考えられていた小さい曲げ半径でも長寿命が実現できる。
ロボットケーブルは長寿命を達成するために、曲げ半径は使用される配線の直径の10倍以上が推奨されており、曲げ半径が直径の10倍以下になると長寿命を実現することが難しいと言われている。一方伸縮性伝送路は従来のロボットケーブルよりも屈曲寿命にすぐれることが示唆されており、曲げ半径を直径の10倍以下にしても従来のロボットケーブルに比較して長寿命化を達成できるが、曲げ半径を小さくしてゆくと長寿命化は次第に困難となる。
伸縮性伝送路の固定方法は配線が変向される動作により伸縮性伝送路が最も短くなる状態でガイドからはずれないようにすればよい。この時タルミが生じないようにすることが好ましくその目安は伸縮性伝送路の弛緩時の長さの0.5%〜15%伸長させて固定されているのが好ましい。3%〜10%がさらに好ましい。
最短距離配線状態で伸縮性伝送路に張力が掛けられていると配線がガイドからはずれにくい。
これらの図において、回転ガイド9は回転ガイドの回転軸Xが移動可能、例えば回転可能に取り付けられている。従って、図2−aの回転ガイド9の回転軸が、リスト部の回転方向に沿って回転するので、回転ガイドの回転軸は概ね30°変向されることになる(図2−bの9’)。回転ガイド9の回転軸が回転しない場合はリスト部の動きにより回転ガイドから配線が外れることが多いが、回転ガイド9の回転軸が移動(向きを変える)する(図2−bの9’)場合は、概ね当該ガイドを起点に配線が30°以内になるように配線できガイドからはずれにくくなる。
この配線外れ防止ガイドは配線後にとりつけてもよく、配線の弛緩時直径以下のすきまを回転ガイドのつば部との間に有するように、配線外れ防止ガイドをあらかじめ取り付けておいても良い。
図4−a〜cに示したようにリスト部近くにダブル型回転ガイドを取り付けて伸縮性伝送路をガイドすると、リスト部の回転に伴うワーク固定テーブルの回転により伸縮性伝送路固定部が円弧を描きながら左右に移動してもガイドに沿って配線されコンパクトに配線することができる。
ダブル型回転ガイドのように複数の回転ガイドをセットにして用いる場合は、互いのつば部同士の間隔が伸縮性伝送路の弛緩状態の直径以下であることが好ましい。伸縮性伝送路は弛緩時にガイドから浮くことがあるので、その時にガイドからはずれないようにしておくことが重要である。
例えば、棒状金属が渦巻きリング状に成形されたスネルガイドで、重なった部分の棒状金属間隔が弛緩時の配線の直径の80%以上でかつ直径未満のガイドを用いることができ、重なった部分の棒状金属間隔が開口部となる。
上記のような配線固定用具を取り付ける適当な部材がない場合は、配線固定用具として市販のケーブル固定用金具を用いることができ、あらかじめケーブル固定用金具をハンド部に取り付けておいてもよい。
線状弾性体の周囲に導体線を配した所謂円筒状の伸縮性伝送路は、任意の方向に曲げて用いることができるので好ましく用いられる。
特に線状弾性体の周囲に複数の導体線が互いに交差することなく並列に螺旋巻されている導体部を有しているものは、屈曲伸長による導体線同志の圧縮や摩耗が無く、コンパクトと長寿命の両立に好適に用いられる。また、螺旋捲きされている1本または複数本の導体線の外側と内側(線状弾性体側)を交互に通り、導体線と逆方向に糸状体を捲回しておくと、伸縮性伝送路を曲げても導体線がずれ難く好ましい。
多層となっている導体部は、上述のように各層毎に導体線同志が交差しないことが好ましい。さらに、各層の導体線の捲回方向が同一であると伸縮性伝送路が捻じられた場合に、捲回されている導体線が各層同時に締め付けられるかまたは解ける方向に変形するので捻回寿命を長くすることができ好ましい。
シールド層には、銀、銅などの導電性金属やカーボンナノチューブなどの有機導電体を含む導電繊維か、銅細線、アルミ細線などの導電性金属線か、有機繊維の周囲に線状金属箔を捲回した糸状物からなるものがある。
シールド層が金属導体からなる場合は、内部の導体部と同一方向に捲回されている金属導体から構成されていることが捻回長寿命を実現しやすいので好ましい。
(伸縮性伝送路の評価方法)
デマッチャー試験機((株)大栄科学精機製作所製)を用い、図6に示したように、チャック部(30)およびチャック部(31)を試料(33)の長さにセットし、その中間(32)に所定のステンレス製丸棒からなる固定ガイドまたは各種回転ガイドを配置する。チャック部(31)の可動位置を試料の伸張時の長さに設定し、室温で、初期伸張10%および引っ張り時伸張50%で200回/minで所定回伸縮を繰り返し、繰り返し伸張試験を行う。
繰り返し伸張試験の前後で試料の全ての導体線の電気抵抗を測定し、最も変化の大きい導体線につき、次式により繰り返し伸張試験前後での電気抵抗の変化率(ΔR)を求める。
ΔR=100×(R2−R1)/R1
(但し、R1:試験前の電気抵抗、R2:試験後の電気抵抗)
電気抵抗の変化率(ΔR)に基づいて、下記基準により、耐断線性を判定した。
A:100万回後のΔR<10%
B: 20万回後のΔR<10%
C: 20万回後のΔR≧10%
940dtexのポリウレタン弾性長繊維(旭化成せんい(株)製、商品名:ロイカ)を芯にして、伸張倍率を4.2倍下で、230dtexのウーリーナイロン(黒染め糸)を700T/Mの下撚りおよび500T/Mの上撚りで捲回し、ダブルカバー糸を得た。得られたダブルカバー糸を製紐用ボビンに巻き取り、当該ボビン4本を、8本打ち製紐機((有)桜井鉄工製)のS方向に2本、Z方向に2本、均等に配置して組み紐を作製し、直径1.8mmの弾性円筒体を得た。伸縮性伝送路Aは当該弾性円筒体1本を、伸縮性伝送路Bは当該弾性体4本を、特殊製紐機((1)弾性円筒体を芯部として供給する機構、(2)弾性円筒体を、複数のV溝を有する2連のロールのV溝に8の字掛けに沿わせて把持し、フィードする機構、(3)弾性円筒体を、複数のV溝を有する2連のロールのV溝に8の字掛けに沿わせて把持し、巻き取る機構、(4)弾性円筒体を伸張した状態で、導体線を弾性円筒体に並列に捲回する機構、および(5)弾性円筒体を伸張した状態で、導体線の捲回方向と逆方向に導体線の内側と外側を交互に通って絶縁性糸状体を捲回する機構を備えた製紐機)により、2.2倍に伸張しながら、弾性円筒体に所定の導体線((有)竜野電線社製2USTC:30μ*114本で全体の直径は0.5mm)を伸縮性伝送路Aについては4本、同じくBについては8本Z方向に並列に等間隔で捲回し、ポリエステル繊維(56dtex(12f))8本をS方向に導体線の内側と外側を交互に通して並列に等間隔で捲回して銅線捲回品を得た。当該銅線捲回品を芯部として、1.8倍伸張下で、エステルウーリー(330dtex*2本引き揃え)をS方向に8本、Z方向に8本捲回し伸縮性伝送路A、Bを得た。
得られた伸縮性伝送路の弛緩時直径はAが4mm、Bが5mmであった。
上記記載の伸縮性伝送路Bについて、上記評価方法に従って評価した結果を表1に示した。
この結果より、従来の固定ガイドを使用した場合、繰り返し伸縮20万回で電気抵抗の変化率(ΔR)が上昇して低寿命であるが、本発明では伸縮伝送路受け部の円弧の半径(R)が10L未満であっても100万回の繰り返し伸縮でΔRが上昇せず、長寿命であることがわかる。
表1記載の回転ガイドBと伸縮性伝送路Bを用いて、図1−aに示したロボットアームに配線し、ロボットアームの回転軸1の回転を行った結果、ガイドはずれがなく、コンパクトに配線できることがわかった。なお、繰り返し回転操作を行った後、上記ΔRを測定した結果、100万回以上の寿命があることを確認した。
市販ロボットケーブル(ロボトップAWG24−4C)を用いたところ、ガイドからはずれコンパクトに配線ができなかった。
表1記載の回転ガイドBと伸縮性伝送路Bを用いて、図2−aに記載のロボットアームに最短配線長時に3%伸長させるようにして配線し、リスト部(8)を右に90°回転させたところ、ガイドはずれがなく、コンパクトに配線できることがわかった。しかし、ガイド9に回転軸Xの向きを変向できないガイドを用いた場合、伸縮性伝送路のガイドはずれが生じた。
表1記載の回転ガイドBと伸縮性伝送路A2本を用いて、図4−aに記載のロボットアームに最短配線長時に3%伸長させるようにして配線し、リスト部(21)を左右に90°回転させたところ、ガイド外れも無理な伸長もなくコンパクトに配線できた。なお、ガイド18、19および20には回転軸Xの向きを変向できないガイドを用いた。
実施例4と同様に配線し、リスト部(21)を左右に90°/minで繰り返し回転させて断線寿命を調べたところ、伸縮性伝送路固定部(24)の根元の箇所が20万回未満で断線したが、伸縮性伝送路固定部(24)を図4−cのように回転できるようにした場合、30万回以上の長寿命が実現できた。
図5に示した多軸ロボットに表1記載の回転ガイドB(100〜103)とスネルガイド(104)取り付けた後、伸縮性伝送路A(104)を6軸および5軸が0°の状態で3%伸張するように配線した。配線後、6軸を0°のまま5軸を0°から90°へ回転させた(図5の状態)。次に、6軸を左右に90°回転させた後0°に戻した。その後、4軸を左右に90°回転させた後0°に戻した。このように動かしても配線のタルミがなくコンパクトな配線状態が維持された。なお、ガイド100には図3に示した配線外れ防止ガイド付きの回転ガイドを、101および102には回転ガイドを3つ組み合わせて用いた図7に示すトリプル型回転ガイドを、103には図4−aの20に示したダブル型回転ガイドをそれぞれ用いた。また、ワーク固定テーブル(106)には伸縮性伝送路固定部(図示されていない)が回転可能に取り付けられている。
これらの実施例から、本発明の機器は屈曲部のコンパクトと長寿命を実現した機器であることが確認された。
2、22、105 伸縮性伝送路
3、4、9、10、18〜20、100〜103 回転ガイド
8、21 リスト部
11、24 伸縮伝送路固定部
12、23、106 ワーク固定テ−ブル
13 伸縮性伝送路受け部
14 配線外れ防止ガイド
15 つば部
26 ネジ
30、31 チャック部
32 ガイド
33 試料
Claims (11)
- 伸縮性伝送路と回転ガイドを有し、回転ガイドにより伸縮性伝送路が変向されることを特徴とする機器。
- 回転ガイドの伸縮性伝送路受け部の回転軸が移動可能な機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の機器。
- 回転ガイドが配線外れ防止ガイドを有することを特徴とする請求項1または2に記載の機器。
- 回転ガイドが複数セットとなっており、当該複数のガイドのつば部同士の間隔が伸縮性伝送路の弛緩状態の直径以下であることを特徴とする請求項1〜3項いずれか一項に記載の機器。
- 伸縮性伝送路の固定部が回転可能な機構を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の機器。
- 伸縮性伝送路が線状弾性体とその周囲に螺旋状に捲回された導体線からなる導体部を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の機器。
- 導体線が複数であり、互いに交差することなく並列に螺旋巻されていることを特徴とする請求項6に記載の機器。
- 導体部が、1本または複数の導体線の外側と内側(線状弾性体側)を交互に通り、導体線と逆方向に捲回されている糸状体を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の機器。
- 導体部が2層以上積層されており、各層の導体線が同一方向に捲回されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の機器。
- 導体部の最外層に、導体部と同一方向に捲回された導体からなるシールド層を有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の機器。
- 伸縮性伝送路の弛緩時直径L、導体線の直径Dおよび回転ガイドの伸縮性伝送路受け部の円弧の半径Rが下記式を満足することを特徴とする請求項6〜10のいずれか一項に記載の機器。
0.5mmまたはDのいずれか大きい値<R<10L
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