JP2014231877A - ラジアルニードル軸受用保持器及びラジアルニードル軸受 - Google Patents

ラジアルニードル軸受用保持器及びラジアルニードル軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】フレッチングの防止を図ると共に、ラジアルニードル軸受内を潤滑した潤滑油を、このラジアルニードル軸受の周辺に配置された部材に効率良く供給でき、更に、ニードルの脱落防止構造を備えた構造を低コストで実現する。
【解決手段】保持器7cを構成する保持器素子9a、9aの柱部11b、11bを、軸方向中央部の内径寄り部分18aと、軸方向両端部の外径寄り部分19a、19aとを、傾斜部20a、20aにより連続させて全体が屈曲した形状に形成する。又、前記保持器7cの両リム部10b、10bから前記各外径寄り部分19a、19aに掛けての部分に、径方向外方に開口すると共に、前記両リム部10b、10bの軸方向外端と前記各外径寄り部分19a、19aの軸方向内端とに開口した通油用凹溝23、23を形成する。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば自動車用変速機や各種機械装置等の回転支持部に組み込まれるラジアルニードル軸受、及びこのラジアルニードル軸受を構成するラジアルニードル軸受用保持器の改良に関する。
例えば特許文献1に記載されている様に、自動車用変速機では従来から、図11に示す様な構造により、変速用歯車1(特許請求の範囲の外輪相当部材に相当)を、動力伝達軸2(特許請求の範囲の内輪相当部材に相当)の周囲に、ラジアルニードル軸受3により回転自在に支持している。このラジアルニードル軸受3は、前記変速用歯車1の内周面に設けた円筒状の外輪軌道4と、前記動力伝達軸2の外周面に設けた円筒状の内輪軌道5との間に複数本のニードル6を、円筒状の保持器7により保持した状態で、転動自在に設けて成る。尚、前記内輪軌道5は、前記動力伝達軸2の外周面に直接設ける他、別途設けた円筒状の内輪の外周面に設ける場合もある。又、前記変速用歯車1の側方には、シンクロ機構を構成する為の係合歯8を設けている。
上述の様なラジアルニードル軸受3に組み込む保持器として、図12に示す様な所謂分割型の保持器7aを組み込む事が従来から知られている。この保持器7aは、金属製で部分円筒状の2個の保持器素子9、9を、円周方向に並べる事により全体を円筒状に構成している。又、前記保持器7aは、これら各保持器素子9、9を組み合わせた状態で、軸方向(特に断らない限り、軸方向、径方向とは保持器の軸方向、径方向を言う。本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ。)に間隔を開けた状態で互いに同心に配置された、円環状である1対のリム部10、10同士の間に、円周方向に間隔を開けて配置された複数の柱部11、11を掛け渡した状態で設けている。尚、前記両リム部10、10及びこれら各柱部11、11の外周面は、全周に亙って、同一円筒面上に存在している。
そして、円周方向に隣り合う柱部11、11と前記両リム部10、10とにより四周を囲まれる空間を、それぞれ前記各ニードル6を転動自在に保持する為のポケット12、12としている。又、前記各保持器素子9、9の周方向長さの合計は、前記外輪軌道4と前記内輪軌道5との間に存在して前記各ニードル6、6を配置する環状空間13(図11参照)の周方向長さよりも少し短くしている。この様な構造によれば、この環状空間13のうちの非負荷圏(ラジアル荷重が加わるのと反対側部分)に存在する保持器素子9が、円周方向に若干変位可能になる。この為、前記動力伝達軸2と前記変速用歯車1とが同期して回転する場合にも、前記各ニードル6、6の転動面と前記外輪軌道4及び前記内輪軌道5との接触部を少しずつ移動させられる為、当該接触部にフレッチング磨耗が生じる事を防止できる。
又、前記図11に示す構造の場合、前記変速用歯車1は、前記動力伝達軸2の外周面に形成された段部14と、この動力伝達軸2の外周面にスプライン係合したシンクロハブ15との間に位置する。又、このシンクロハブ15と前記係合歯8とを含んで、シンクロナイザを構成している。このシンクロ機構の非結合時には、前記変速用歯車1と前記動力伝達軸2との相対回転が自在となり、この変速用歯車1が動力伝達に寄与しない状態となる。これに対して、前記シンクロ機構の結合時には、前記変速用歯車1と前記動力伝達軸2とが同期して回転する様になり、この変速用歯車1が動力伝達に寄与する状態となる。この様なシンクロ機構の構成及び作用に関しては、従来から周知であり、本発明の要旨とも関係しない為、詳しい説明は省略する。
上述の様な変速用歯車1と動力伝達軸2との間に設けた、前記ラジアルニードル軸受3は、前記シンクロナイザを結合せず、前記変速用歯車1が動力伝達に寄与しない状態では、この変速用歯車1と前記動力伝達軸2とを高速で相対回転させる。この状態では、当然に、前記ラジアルニードル軸受3部分に十分な量の潤滑油を流通させる必要がある。これに対して、前記変速用歯車1が動力伝達に寄与する状態では、前記ラジアルニードル軸受3は、この変速用歯車1と前記動力伝達軸2との相対回転を許容する必要はない。但し、この状態では、前記各ニードル6の転動面と前記外輪軌道4及び前記内輪軌道5との各接触部で微小な往復滑りが発生する。この様な微小な往復滑りに拘らず、これら各接触部でフレッチングが発生する事を防止する為には、前記シンクロ機構が結合されて、前記変速用歯車1と前記動力伝達軸2とが同期して回転する状態でも、前記ラジアルニードル軸受3部分に十分な量の潤滑油を流通させる必要がある。
この為、従来から、前記動力伝達軸2の内側中心部に潤滑油の供給路16を形成している。そして、この供給路16にその内端部を通じさせた分岐流路17の外端部を、前記ラジアルニードル軸受3に向け開口させている。自動車の走行時には、変速機に組み込まれたポンプの作用に基づいて潤滑油を前記供給路16内に送り込み、前記分岐流路17を通じて前記ラジアルニードル軸受3部分に送り込んで、このラジアルニードル軸受3を潤滑する。この為、一般的な使用条件下では、前記シンクロ機構が結合されているか否かに関係なく、前記ラジアルニードル軸受3内に十分な量の潤滑油を流通させられる。
又、前記分岐流路17からラジアルニードル軸受3部分に送り込まれた潤滑油は、その後、遠心力に基づいて前記外輪軌道4に押し付けられてから、この外輪軌道4と前記両リム部10の外周面との間の隙間を通じて周囲に排出される。そして、この排出された潤滑油は、例えば、前記変速用歯車1の側面と前記段部14との摺接部、この変速用歯車1の噛合部、或いは、前記係合歯8の噛合部等を潤滑する。この為、前記潤滑油が前記ラジアルニードル軸受3を通過できる様に、前記外輪軌道4と前記両リム部10、10の外周面との間に、前記潤滑油を排出する為の隙間を確保する事が要求される。
この様な隙間を確保する為に、一体型の保持器の場合には、両リム部の内周面と前記動力伝達軸2の外周面との係合によりこの保持器の径方向に関する姿勢(位置)を規制する所謂内輪案内の構造を採用する事により、前記隙間を確保する事ができる。一方で、上述の様な分割型の保持器7aの場合、内輪案内の構造を採用したとしても、使用時の遠心力に基づいて、前記各保持器素子9、9(両リム部10、10)の外周面がそれぞれ前記外輪軌道4に押し付けられてしまい、前記隙間を確保する事が困難な場合がある。尚、保持器の外周面と外輪軌道との係合によりこの保持器の姿勢を規制する所謂外輪案内の構造を採用した場合には、一体型及び分割型の保持器の何れの構造を採用した場合でも、前記隙間を十分に確保する事は困難である。又、金属製の保持器に於いて、前記各ニードル6の転動面と前記各ポケット12、12の内面との係合に基づいて、前記保持器の径方向に関する姿勢を規制する所謂転動体案内の構造を採用した場合、前記隙間を確保する面では有利になるが、前記各ニードル6と前記各ポケット12、12との係合部に焼き付きが発生する可能性が高くなってしまう。
又、ラジアルニードル軸受の組立性を良好にする面からは、上述の様なラジアルニードル軸受用保持器7aに、前記各ニードル6を前記各ポケット12、12内に、径方向に抜け出るのを阻止した状態で保持する為の脱落防止構造を設ける事が望ましい。この為に、前記各ポケット12、12の開口部の外端寄り部分及び内端寄り部分の円周方向に関する距離を、前記各ニードル6の直径よりも小さくする構造が従来から知られている。但し、前述した様な保持器7aの場合、上述の様な脱落防止構造を設ける為の加工を、切削加工或いは研削加工により行う為、大掛かりな加工設備が必要になると共に、加工時間が長くなる為、加工設備の運転経費等も嵩んでしまう可能性がある。
一方で、上述の様な脱落防止構造を、効率良く短時間で形成する事ができる保持器として、例えば特許文献2には、図13、14に示す様な保持器7bが記載されている。この保持器7bは、1対のリム部10a、10aと複数本の柱部11a、11aとを備える。
このうちの1対のリム部10a、10aは、全体を円環状としたものであり、軸方向両端部に、互いに同心且つ平行に配置されている。又、前記各柱部11a、11aは、それぞれの両端部を前記両リム部10a、10aの内側面に連続させる事により、これら両リム部10a、10a同士の間に掛け渡された状態で、円周方向に間欠的に設けられている。そして、円周方向に隣り合う柱部11a、11aと前記両リム部10a、10aとで四周を囲まれる部分を、それぞれニードル6、6を保持する為のポケット12a、12aとしている。
図示の例は、断面形状が略M字形である、所謂M型保持器と称されるもので、前記各柱部11a、11aを、前記各ニードル6、6のピッチ円よりも径方向内方に配置された状態で、軸方向中央部に設けられた内径寄り部分18、18(特許請求の範囲の小径部に相当)と、前記各ニードル6、6のピッチ円よりも径方向外方に配置された状態で、軸方向両端部に設けられた外径寄り部分19、19(特許請求の範囲の大径部に相当)とを、傾斜部20、20(特許請求の範囲の連続部に相当)により連続させて成る形状としている。
又、円周方向に隣り合う各柱部11a、11aの互いに対向する側縁部のうち、前記内径寄り部分18、18と各外径寄り部分19、19とにそれぞれ、互いに近づく方向に突出した内径側、外径側両係合部21、22(特許請求の範囲の脱落防止部に相当)を形成している。この様にして、前記保持器7bの周方向に関する、前記各ポケット12a、12aの幅寸法を、前記各内径寄り部分18、18及び前記各外径寄り部分19、19で、前記各ニードル6、6の最大径よりも僅かに小さくしている。従って、これら各ニードル6、6は、それぞれの転動面と、前記各ポケット12a、12aの開口縁部を構成する、前記内径側、外径側両係合部21、22の周方向端縁との係合に基づいて、前記各ポケット12a、12aからの脱落を防止されている。
以上の様な保持器7bは、金属製の素材に塑性加工或いは削り加工を施して得た中間素材に、上述の様な脱落防止構造を備えたポケット12a、12aを形成する為のピアス(プレスによる打ち抜き)加工を施して造られる(特許文献3参照)。この様に、M型の保持器7bの場合、脱落防止構造を前記各ポケット12a、12aを形成する為のピアス加工と同時に形成する事ができる。この為、大掛かりな設備が不要であると共に、短時間で効率良く加工できる為、加工設備の運転経費等が嵩む事もない。但し、上述の様なM型保持器を分割型とした構造は、前述した特許文献1〜3の何れにも記載されていない。
特開2009−85401号公報 特開2006−342883号公報 特開2005−233317号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、フレッチングの防止を図れると共に、ラジアルニードル軸受内を潤滑した潤滑油を、このラジアルニードル軸受の周辺に配置された部材に効率良く供給でき、更に、ニードルの脱落防止構造を備えた構造を低コストで実現すべく発明したものである。
本発明のラジアルニードル軸受用保持器及びラジアルニードル軸受のうち、請求項1に記載したラジアルニードル軸受用保持器は、金属製で、それぞれが部分円筒形である複数個の保持器素子を組み合わせる事で全体を円筒状に構成している。
又、これら各保持器素子を組み合わせた状態で、軸方向に間隔を開けた状態で互いに同心に配置された、それぞれが円環状である1対のリム部と、これら両リム部同士の間に、円周方向に間隔を開けて配置された複数の柱部とを備え、円周方向に隣り合う柱部と前記両リム部とにより四周を囲まれる空間を、それぞれ前記各ニードルを転動自在に保持する為のポケットとしている。
特に請求項1に記載したラジアルニードル軸受用保持器に於いては、前記各柱部は、全体が屈曲した形状を有し、前記各ニードルのピッチ円よりも径方向外方に配置される状態で軸方向両端部に設けられた大径部と、前記各ニードルのピッチ円よりも径方向内方に配置される状態で軸方向中間部に設けられた小径部と、前記各大径部とこの小径部とを軸方向に連続させた連続部とを備えている。
又、円周方向に隣り合う前記各柱部の互いに対向する側縁部のうち、前記各小径部と前記各大径部とにそれぞれ、円周方向に関する間隔が前記各ニードルの直径よりも小さくなる脱落防止部を設けている。
更に、円周方向に関して前記各柱部と整合する部分で、且つ、前記両リム部の外周面とこれら各柱部の大径部の外周面とのうちの少なくともこれら両リム部の外周面を含む部分に、軸方向両端が開口した通油用凹溝を形成する事により、前記各柱部の径方向外方に存在する空間と、前記各リム部の軸方向外方に存在する空間とを軸方向に連通させている。
上述の様な本発明のラジアルニードル軸受用保持器を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記両リム部の外径寸法を、前記各柱部の各大径部の外径寸法よりも大きくする。
又、請求項2に記載した発明を実施する場合に例えば、請求項3に記載した発明の様に、前記各通油用凹溝を、前記両リム部のみに形成する。
又、上述の様な本発明のラジアルニードル軸受用保持器を実施する場合に例えば、請求項4に記載した発明の様に、前記各通油用凹溝を、前記両リム部に形成されたリム部側凹溝と、前記各柱部の各大径部に形成された柱部側凹溝とを、軸方向に連続させる事により構成する。
又、請求項5に記載したラジアルニードル軸受は、内周面に円筒状の外輪軌道を設けた外輪相当部材と、外周面に円筒状の内輪軌道を設けた内輪相当部材と、この外輪軌道とこの内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数本のニードルと、これら各ニードルを保持する為の保持器とを備えている。
特に、請求項5に記載したラジアルニードル軸受に於いては、前記保持器が、上述したラジアルニードル軸受用保持器である。
又、上述の様な本発明のラジアルニードル軸受を実施する場合に好ましくは、請求項6に記載した発明の様に、前記保持器(を構成する少なくともリム部)の外周面と前記外輪軌道とを摺接若しくは近接対向させる事により、この保持器の姿勢を外輪案内により規制する。
上述の様に構成する本発明のラジアルニードル軸受用保持器によれば、フレッチングの防止を図れると共に、ラジアルニードル軸受内を潤滑した潤滑油を、このラジアルニードル軸受の周辺に配置された部材に効率良く供給でき、更に、ニードルの脱落防止構造を備えた構造を低コストで造れる。
先ず、フレッチングの防止を図れる理由は、前述した分割型の保持器と同様に、保持器を、複数個の保持器素子により構成しているからである。即ち、外輪軌道と内輪軌道との間に存在して各ニードルを配置する環状空間のうちの、非負荷圏(ラジアル荷重が加わるのと反対側部分)に存在する前記保持器素子が、円周方向に若干変位可能になる。この為、使用時に於いて、前記各ニードルの転動面と、前記外輪軌道及び前記内輪軌道との接触部が少しずつ移動する。この結果、当該接触部にフレッチング磨耗が生じる事を防止できる。
又、ラジアルニードル軸受内を潤滑した潤滑油を、効率良くこのラジアルニードル軸受の周辺に配置された部材に供給できる理由は、円周方向に関して前記各柱部と整合する部分のうち、少なくとも前記保持器の両リム部の外周面を含む部分に、軸方向両端に開口した通油用凹溝を形成しているからである。即ち、本発明の場合、使用時に前記各保持器素子が遠心力に基づいて、外輪軌道に押し付けられた場合でも、ラジアルニードル軸受を潤滑した潤滑油を、このラジアルニードル軸受の内部空間から外部空間へ、前記通油用凹溝を通じて排出する事ができる。特に、本発明の場合、断面形状が略M字形の保持器の使用状態に於いて、潤滑油が滞留し易い前記外輪軌道と前記各柱部(小径部)の外周面との間の空間(内部空間)に存在する潤滑油を、前記両リム部の軸方向外方の空間(外部空間)に効率良く排出できる。
更に、ニードルの脱落防止構造を備えた構造を低コストで形成できる理由は、断面形状が略M字形の保持器の構造を採用しているからである。即ち、この様な構造の場合、ポケットをピアス加工により形成するのと同時に、円周方向に隣り合う各柱部の互いに対向する側縁部のうち、小径部と大径部とにそれぞれ、使用状態に於いて、円周方向に関する間隔が各ニードルの直径よりも小さくなる脱落防止部を形成できる。この為、大掛かりな設備が不要であり、短時間で効率良く加工できて、加工設備の運転経費等が嵩む事もない。
又、請求項2に記載した発明の場合、前記両リム部の外径寸法を、前記各柱部の各大径部の外径寸法よりも大きくしている。この為、例えば、前記保持器を外輪案内で使用する場合に、剛性の高い前記両リム部により案内する事ができる。この結果、保持器の耐久性の向上を図れる。
又、ポケットをピアス(プレス打ち抜き)加工により形成した場合に、このピアス加工による変形の影響の少ない前記両リム部で、ラジアルニードル軸受用保持器を安定して案内できる。
更に、前記各柱部の強度の低下を抑えつつ、前記両リム部に形成する各通油用凹溝の断面積を確保する事により、この通油用凹溝の通油性を向上できる構造を実現し易い。具体的には、請求項3に記載した発明の様に、前記両リム部と前記各柱部の各大径部との外径寸法の差に基づいて、前記各通油用凹溝を、前記両リム部のみに形成する構造を採用すれば、前記各柱部の強度の低下を抑える事ができる。
更に、請求項6に記載したラジアルニードル軸受の様に、前記保持器の外周面と外輪軌道とを摺接若しくは近接対向させる事により、この保持器の姿勢を外輪案内により規制する構造を採用した場合でも、前記保持器の通油用凹溝により、前記ラジアルニードル軸受の内部空間に存在する潤滑油を、このラジアルニードル軸受の外部空間に効率良く排出できる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、ラジアルニードル軸受用保持器の斜視図。 同じく、ラジアルニードル軸受用保持器を軸方向外方から見た状態で示す正投影図。 同じく、図2のA−A断面図。 同じく、ラジアルニードル軸受用保持器にニードル軸受を組み込んだ状態を軸方向外方から見た状態で示す部分正投影図。 本発明の実施の形態の第2例を示す図1と同様の図。 同じく、図3と同様の図。 同じく、図6のB部拡大図。 本発明の実施の形態の第3例を示す図1と同様の図。 同じく、図3と同様の図。 同じく、図7と同様の図。 本発明の対象となるラジアルニードル軸受を組み込んだ自動車用手動変速機の1例を示す部分断面図。 従来構造の保持器の第1例を示す斜視図。 同第2例の保持器の一部を径方向外方から見た図。 従来構造の第2例の保持器にニードルを組み込んだ状態で示す斜視図。
[実施の形態の第1例]
図1〜4は、請求項1、4〜6に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本発明の特徴は、断面形状が略M字形の保持器7cを分割型にすると共に、この保持器7cに後述する通油用凹溝23、23を設けた点にある。この特徴部分以外の構造は、図13、14に示した従来構造の保持器7bを含め、従来から知られている断面形状が略M字形のラジアルニードル軸受用保持器の構造とほぼ同様であるから、従来と同様に構成する部分に就いては説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例のラジアルニードル軸受用保持器7cは、図12に示した分割型の保持器7aと同様に、部分円筒状(略半円筒状)の2個の保持器素子9a、9aを、円周方向に並べる事により全体を円筒状に構成しており、1対のリム部10b、10bと複数本の柱部11b、11bとを備える。このうちの1対のリム部10b、10bは、断面が矩形状であり、前記両保持器素子9a、9aを組み合わせた状態で、全体を円環状としている。
又、前記各柱部11b、11bの形状は、図12に示した保持器7bの各柱部11a、11aとほぼ同様に、全体を屈曲させた構造を有しており、各ニードル6、6のピッチ円よりも径方向内方に配置された状態で、軸方向中央部に設けられた内径寄り部分18a、18a(特許請求の範囲の小径部に相当)と、前記各ニードル6、6のピッチ円よりも径方向外方に配置された状態で、軸方向両端部に設けられた外径寄り部分19a、19a(特許請求の範囲の大径部に相当)とを、傾斜部20a、20a(特許請求の範囲の連続部に相当)により連続させて成る形状としている。又、前記両リム部10b、10bの外径寸法D10bと、前記各外径寄り部分19a、19aの外径寸法D19aとを等しく形成しており、(D10b=D19a)、前記両リム部10b、10bの外周面と前記各外径寄り部分19a、19aの外周面とを滑らかに連続させている(単一の円筒面状に位置させている)。
又、本例の場合も、円周方向に隣り合う各柱部11b、11bの互いに対向する側縁部のうち、前記内径寄り部分18a、18aと各外径寄り部分19a、19aとにそれぞれ、互いに近づく方向に突出した内径側、外径側両係合部21a、22aを形成して、各ニードル6、6が、各ポケット12b、12bから脱落する事を防止している。
特に、本例の場合、前記保持器7cの外周面のうち、前記両リム部10b、10bの軸方向外端(リム部に関して「軸方向外」とは、柱部と対向しない側を言い、同じく「軸方向内」とは、柱部と対向する側を言う。本明細書全体で同じ。)から前記各外径寄り部分19a、19aの軸方向内端(前記両リム部10b、10bと反対側)に掛けての部分に、複数個(柱部11b、11bの数の2倍)の通油用凹溝23、23を形成している。この様な各通油用凹溝23、23は、断面形状が略半円形で、リム部側凹溝24、24と、柱部側凹溝25、25とから成る。尚、前記通油用凹溝23、23の断面形状は、特に限定されるものではなく、例えば、矩形状或いは台形状等に形成する事もできる。
このうちの各リム部側凹溝24、24は、前記両リム部10b、10bの外周面のうち、円周方向に関して前記各柱部11b、11bと整合する部分の一部(中央部)に、これら両リム部10b、10bの軸方向の全長に亙り形成している。
又、前記各柱部側凹溝25、25は、前記各柱部11b、11bの各外径寄り部分19a、19aの外周面のうち、前記各リム部側凹溝24、24と円周方向に関して整合する部分の一部(中央部)に、これら各外径寄り部分19a、19aの軸方向の全長に亙り形成している。
そして、前記各リム部側凹溝24、24と前記各柱部側凹溝25、25とを軸方向に滑らかに連続させて、前記各通油用凹溝23、23を構成している。即ち、本例の場合、これら各通油用凹溝23、23は、径方向外方に開口すると共に、前記両リム部10b、10bの軸方向外端と前記各柱部11b、11bの各外径寄り部分19a、19aの軸方向内端とに開口している。尚、本例の場合、前記各リム部側凹溝24、24の深さ寸法T24及び円周方向に関する幅寸法H24は軸方向に亙り一定であり、前記各柱部側凹溝25、25の深さ寸法T25及び円周方向に関する幅寸法H25も軸方向に亙り一定である。又、前記各リム部側凹溝24、24の深さ寸法T24及び幅寸法H24と、前記各柱部側凹溝25、25の深さ寸法T25及び幅寸法H25とは、それぞれ等しい(T24=T25、H24=H25)。又、本例の場合、前記各通油用凹溝23、23の深さ寸法を軸方向に亙り一定に形成している。但し、これら各通油用凹溝23、23を、その深さ寸法が、軸方向に亙り変化する状態で形成する事もできる。例えば、これら各通油用凹溝23、23の深さ寸法が、軸方向外方に進む程小さくなる様な状態に形成する。
又、前記保持器7cは、図13、14に示した保持器7bと同様に、金属製の素材に塑性加工或いは削り加工を施して得た中間素材に、ピアス(プレスによる打ち抜き)加工を施す事により、上述の様な脱落防止構造を備えた前記各ポケット12b、12bを形成する。尚、前記各通油用凹溝23、23は、切削加工或いは潰し加工により形成する。
上述の様な本例のラジアルニードル軸受用保持器7cは、図4に示す様に、前記各ポケット12b、12bの内側に前記各ニードル6、6を転動自在に保持した状態で、図11に示した様な、自動車用手動変速機を構成する変速用歯車1の外輪軌道4と、同じく動力伝達軸2の内輪軌道5との間に組み込まれて、ラジアルニードル軸受を構成する。
又、この様に組み込まれた状態で、本例のラジアルニードル軸受用保持器7cの場合、この保持器7bの外周面(両リム部10b、10bの外周面及び前記各外径寄り部分19a、19aの外周面)と前記外輪軌道4(図11、及び、図3の鎖線α参照)とを、摺接若しくは近接対向させる事により、前記保持器7cの姿勢を外輪案内により規制されている。
又、本例の場合、図3に示す様に、使用状態に於いて、前記各通油用凹溝23、23(リム部側、柱部側各凹溝24、25)の底部と、前記外輪軌道4との間に、軸方向両側に開口した通油用空間26、26を設ける事ができる。即ち、これら各通油用空間26、26は、前記各柱部11b、11bの外周面と、前記外輪軌道4との間の内部空間27と、前記両リム部10b、10bの軸方向外方の外部空間28、28とを連通している。
上述の様に構成する本例のラジアルニードル軸受用保持器7cによれば、フレッチングの防止を図れると共に、ラジアルニードル軸受内を潤滑した潤滑油を、このラジアルニードル軸受の周辺に配置された部材に効率良く供給でき、更に、ニードル6、6の脱落防止構造を備えた構造を低コストで造れる。
先ず、フレッチングの防止を図れる理由は、図12に示した分割型の保持器7bと同様に、前記保持器7cを、複数個(本例の場合2個)の保持器素子9a、9aにより構成しているからである。即ち、前記外輪軌道4と前記内輪軌道5との間に存在して前記各ニードル6、6を配置する環状空間13(図11参照)のうちの非負荷圏(ラジアル荷重が加わるのと反対側部分)に存在する保持器素子9aが、円周方向に若干変位可能になる。この為、使用時に於いて、前記各ニードル6、6の転動面と前記外輪軌道4及び前記内輪軌道5との接触部が少しずつ移動する。この結果、当該接触部にフレッチング磨耗が生じる事を防止できる。
又、ラジアルニードル軸受内を潤滑した潤滑油を、効率良くこのラジアルニードル軸受の周辺に配置された部材に供給できる理由は、前記保持器7cに前記各通油用凹溝23、23を形成しているからである。即ち、本例の場合、使用時に前記各保持器素子9a、9aが遠心力に基づいて、前記外輪軌道4に押し付けられた場合でも、ラジアルニードル軸受を潤滑した潤滑油を、このラジアルニードル軸受の内部から外部へ、前記各通油用凹溝23、23を通じて排出する事ができる。
特に、本例の場合、断面形状を略M字形とした事により、潤滑油が滞留し易い部分である前記外輪軌道4と前記各柱部11b、11bの外周面との間の内部空間27、27に存在する潤滑油を、前記両リム部10b、10bの軸方向外方の外部空間28、28に効率良く排出できる。そして、これら各外部空間28、28に排出された前記潤滑油を、例えば、前記図11に示した、前記変速用歯車1の側面と前記動力伝達軸2の段部14との摺接部、この変速用歯車1の噛合部、或いは前記係合歯8の噛合部等の周辺部材の潤滑に使用する事ができる。
更に、脱落防止構造を備えた構造を低コストで造れる理由は、断面形状を略M字形とした構造を採用しているからである。即ち、この様な構造の保持器7cの場合、前記各ポケット12b、12bをピアス加工により形成すると同時に、円周方向に隣り合う各柱部11b、11bの互いに対向する側縁部のうち、前記各内径寄り部分18a、18aと前記各外径寄り部分19a、19aとにそれぞれ、円周方向に関する間隔が前記各ニードル6の直径よりも小さくなる内径側、外径側両係合部21a、22aを形成できる。この為、大掛かりな設備が不要となり、短時間で効率良く加工できて、加工設備の運転経費等が嵩む事もない。
その他の部分の構成及び作用・効果に就いては、前述した従来構造の第1例及び第2例の構造の場合と同様である。
[実施の形態の第2例]
図5〜7は、請求項1〜2、4〜6に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例のラジアルころ軸受用保持器7dも、前述した実施の形態の第1例と同様に、部分円筒状の2個の保持器素子9b、9bを、円周方向に並べる事により全体を円筒状に構成している。
特に、本例の場合、両リム部10c、10cの外径寸法D10cを、前述した実施の形態の第1例の両リム部10b、10bの外径寸法D10bよりも大きくしている(D10c>D10b)。一方、各柱部11b、11bの外径寄り部分19a、19aの外径寸法D19aは、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。即ち、本例の場合、前記両リム部10c、10cの外径寸法D10cを、前記各外径寄り部分19a、19aの外径寸法D19aよりも大きくしている(D10c>D19a)。
又、本例の場合も、前記保持器7dの外周面のうち、前記両リム部10c、10cの軸方向外端から前記各外径寄り部分19a、19aの軸方向内端に掛けての部分に、リム部側凹溝24a、24aと、柱部側凹溝25a、25aとから成る通油用凹溝23a、23aを形成している。
このうちのリム部側凹溝24a、24aは、前記両リム部10c、10cの外周面のうち、円周方向に関して前記各柱部11b、11bと整合する部分に、これら両リム部10c、10cの軸方向両端及び径方向外方に開口した状態で形成している。又、前記両リム部側凹溝24a、24aの深さT24a(図7参照)及び円周方向に関する幅寸法H24a(図5参照)は、前述した実施の形態の第1例のリム部側凹溝24、24の深さT24(図3参照)及び円周方向に関する幅寸法H24(図1参照)と同じである(T24a=T24、H24a=H24)。従って、前記各リム部側凹溝24a、24aの断面積は、前述した実施の形態の第1例のリム部側凹溝24、24と同じである。
又、前記各柱部側凹溝25a、25aは、前記各柱部11b、11bの各外径寄り部分19a、19aの外周面のうち、前記各リム部側凹溝24a、24aと円周方向に関して整合する部分に、これら各外径寄り部分19a、19aの軸方向両端及び径方向外方に開口した状態で形成している。そして、前記各リム部側凹溝24a、24aと前記各柱部側凹溝25a、25aとを、互いの底部が同一面上に存在する状態で軸方向に連続させて、前記各通油用凹溝23a、23aを構成している。即ち、本例の場合、前記各柱部側凹溝25a、25aの深さ寸法T25a(図7参照)が、前述した実施の形態の第1例の各柱部側凹溝25、25の深さ寸法T25(図3参照)よりも小さい(T25a<T25)。又、本例の場合、前記各柱部側凹溝25a、25aの円周方向に関する幅寸法H25aを、前記各リム部側凹溝24a、24aの円周方向に関する幅寸法H24aよりも小さく(約半分に)している(H25a<H24a)。
上述の様な本例のラジアルニードル軸受用保持器7dも、図11に示した様な、自動車用手動変速機を構成する変速用歯車1の外輪軌道4と、同じく動力伝達軸2の内輪軌道5との間に組み込まれた状態で、前記保持器7dの外周面(両リム部10c、10cの外周面)と前記外輪軌道4(図11、及び、図6、7の鎖線β参照)とを、摺接若しくは近接対向させる事により、前記保持器7dの姿勢を外輪案内により規制されている。
又、本例の場合、図6、7に示す様に、使用状態に於いて、前記各通油用凹溝23a、23aのうちの、前記各リム部側凹溝24a、24aの底部と、前記外輪軌道4との間に、軸方向両側に開口した通油用空間26a、26aを設ける事ができる。即ち、これら各通油用空間26a、26aは、前記各柱部11b、11bの外周面と前記外輪軌道4との間の内部空間27aと、前記両リム部10c、10cの軸方向外方の外部空間28、28とを連通している。尚、本例の場合、前記各柱部11b、11bの各外径寄り部分19a、19aに、前記各通油用凹溝23a、23aを構成する各柱部側凹溝25a、25aを形成している為、前記潤滑油を、前記各リム部側凹溝24a、24aに効率良く誘導する事ができる。
以上の様に構成する本例のラジアルニードル軸受用保持器7dによれば、前記各柱部11b、11bの強度の低下の程度を抑えて、ラジアルニードル軸受の内部空間と外部空間との通油性の向上を図れる。即ち、本例の場合、前記両リム部10c、10cの各リム部側凹溝24a、24aの断面積を、前述した実施の形態の第1例の場合と同じだけ確保すると共に、前記各柱部側凹溝25a、25aの深さ寸法T25aを、実施の形態の第1例の場合よりも小さくしている。この為、前記各柱部11b、11bの径方向に関する厚さ寸法を十分に確保して、これら各柱部11b、11bの強度を確保できる。
又、前記外輪軌道4と、これら各柱部11b、11bに比べて剛性の高い前記両リム部10c、10cとの係合による外輪案内により前記保持器7dの姿勢を規制できる為、この保持器7dの耐久性を向上できる。又、前記両リム部10c、10cは、前記各柱部11b、11bと比べてピアス加工による変形の影響が少ない為、前記保持器7dの姿勢を安定して規制できる。その他の構成及び作用・効果に就いては、前述した実施の形態の第1例の場合とほぼ同様である。
[実施の形態の第3例]
図8〜10は、請求項1〜3、5〜6に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例のラジアルころ軸受用保持器7eも、前述した実施の形態の第1例と同様に、部分円筒状の2個の保持器素子9c、9cを、円周方向に並べる事により全体を円筒状に構成している。
特に、本例の場合、両リム部10d、10dの外径寸法D10dを、前述した実施の形態の第2例の両リム部10c、10cの外径寸法D10cよりも大きくしている(D10d>D10c)。又、各柱部11b、11bの外径寄り部分19a、19aの外径寸法D19aは、前述した実施の形態の第2例の場合と同様である。
又、本例の場合、通油用凹溝23b、23bを、リム部側凹溝24b、24bのみで構成している。この様なリム部側凹溝24b、24bは、前記両リム部10d、10dの外周面のうち、円周方向に関して前記各柱部11b、11bと整合する位置の一部(中央部)に、径方向外方及び軸方向両側に開口した状態で形成している。従って、本例の場合、前記各柱部11b、11bの外径寄り部分19a、19aの外周面には、凹溝を形成していない。
又、前記両リム部側凹溝24b、24bの深さT24b(図10参照)及び円周方向に関する幅寸法H24b(図8参照)は、前述した実施の形態の第2例のリム部側凹溝24a、24aの深さT24a及び円周方向に関する幅寸法H24aと同じである(T24b=T24a、H24b=H24a)。従って、前記各リム部側凹溝24b、24bの断面積は、前述した実施の形態の第2例のリム部側凹溝24a、24aの断面積と同じである。即ち、本例の場合、前記各リム部側凹溝24b、24bの断面積を、前記実施の形態の第2例のリム部側凹溝24a、24aの断面積と同じだけ確保する為に、前記両リム部10d、10dの外径寸法D10dを、前記実施の形態の第2例の両リム部10c、10cの外径寸法D10cよりも、この実施の形態の第2例の柱部側凹溝25a、25aの深さ寸法T25aだけ大きくしている(D10d=D10c+T25a)。
上述の様な本例のラジアルニードル軸受用保持器7eも、図11に示した様な、自動車用手動変速機を構成する変速用歯車1の外輪軌道4と、同じく動力伝達軸2の内輪軌道5との間に組み込まれた状態で、前記保持器7eの外周面(両リム部10d、10dの外周面)と前記外輪軌道4(図11、及び、図9、10の鎖線γ参照)とを、摺接若しくは近接対向させる事により、前記保持器7eの姿勢を外輪案内により規制している。
本例の場合、図9に示す様に、使用状態に於いて、前記各通油用凹溝23b、23bを構成するリム部側凹溝24b、24bの底部と前記外輪軌道4との間に、軸方向両側に開口した通油用空間26b、26bを設ける事ができる。これら各通油用空間26b、26bは、前記各柱部11b、11bの外周面と前記外輪軌道4との間に存在する内部空間27bと、前記両リム部10d、10dの軸方向外方の外部空間28、28とを連通している。
以上の様に構成する本例のラジアルニードル軸受用保持器7eによれば、前記各柱部11b、11bの強度を低下させる事なく、ラジアルニードル軸受の内部空間と外部空間との通油性の向上を図れる。即ち、本例の場合、前記両リム部10d、10dのみに、前記各リム部側凹溝24b、24bを形成し、前記各柱部11b、11bには凹溝を形成していない。この為、これら各柱部11b、11bの径方向に関する厚さ寸法を十分に確保して、これら各柱部11b、11bの強度を確保できる。その他の構成及び作用・効果に就いては、前述した実施の形態の第1例の場合とほぼ同様である。
前述した実施の形態の各例では、分割型の保持器を構成する保持器素子の個数を2個としているが、本発明を実施する場合に、保持器素子の個数は2個に限定されるものではない。保持器素子の個数を、例えば、3個以上の複数個とする事もできる。
又、通油用凹溝は、軸方向両端が開口して、柱部の径方向外方の空間と、リム部の軸方向外方の空間とを軸方向に連通できる構造であれば、軸方向に関して直線的な形状に限定されず、円周方向に折れ曲がっている様な構造でも良いし、その深さ寸法も軸方向に関して変化させても良い。
又、本発明のラジアルニードル軸受用保持器は、外輪案内だけでなく、内輪案内或いは転動体(ニードル)案内により保持器の姿勢を規制する事もできる。
1 変速用歯車
2 動力伝達軸
3、3a ラジアルニードル軸受
4 外輪軌道
5 内輪軌道
6 ニードル
7、7a、7b、7c、7d、7e 保持器
8 係合歯
9、9a、9b、9c 保持器素子
10、10a、10b、10c、10d リム部
11、11a、11b 柱部
12、12a、12b ポケット
13 環状空間
14 段部
15 シンクロハブ
16 供給路
17 分岐流路
18、18a 内径寄り部分
19、19a 外径寄り部分
20、20a 傾斜部
21、21a 内径側係合部
22、22a 外径側係合部
23、23a、23b 通油用凹溝
24、24a、24b リム部側凹溝
25、25a 柱部側凹溝
26、26a、26b 通油用空間
27、27a、27b 内部空間
28 外部空間

Claims (6)

  1. 金属製で、それぞれが部分円筒形である複数個の保持器素子を組み合わせる事で全体を円筒状に構成されており、これら各保持器素子を組み合わせた状態で、軸方向に間隔を開けた状態で互いに同心に配置された、それぞれが円環状である1対のリム部と、これら両リム部同士の間に、円周方向に間隔を開けて配置された複数の柱部とを備え、円周方向に隣り合う柱部と前記両リム部とにより四周を囲まれる空間を、それぞれ前記各ニードルを転動自在に保持する為のポケットとしたものであるラジアルニードル軸受用保持器に於いて、
    前記各柱部は、全体が屈曲した形状を有し、前記各ニードルのピッチ円よりも径方向外方に配置される状態で軸方向両端部に設けられた大径部と、前記各ニードルのピッチ円よりも径方向内方に配置される状態で軸方向中間部に設けられた小径部と、前記各大径部とこの小径部とを軸方向に連続させた連続部とを備え、
    円周方向に隣り合う前記各柱部の互いに対向する側縁部のうち、前記各小径部と前記各大径部とにそれぞれ、円周方向に関する間隔が前記各ニードルの直径よりも小さくなる脱落防止部を設けており、
    円周方向に関して前記各柱部と整合する部分で、且つ、前記両リム部の外周面とこれら各柱部の大径部の外周面とのうちの少なくともこれら両リム部の外周面を含む部分に通油用凹溝を形成する事により、前記各柱部の径方向外方に存在する空間と、前記各リム部の軸方向外方に存在する空間とを軸方向に連通させている事を特徴とするラジアルニードル軸受用保持器。
  2. 前記両リム部の外径寸法が、前記各柱部の大径部の外径寸法よりも大きい請求項1に記載したラジアルニードル軸受用保持器。
  3. 前記各通油用凹溝が、前記両リム部のみに形成されている請求項2記載したラジアルニードル軸受用保持器。
  4. 前記各通油用凹溝が、前記両リム部に形成されたリム部側凹溝と、前記各柱部の各大径部に形成された柱部側凹溝とを、軸方向に連続させる事により構成されている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したラジアルニードル軸受用保持器。
  5. 内周面に円筒状の外輪軌道を設けた外輪相当部材と、
    外周面に円筒状の内輪軌道を設けた内輪相当部材と、
    前記外輪軌道とこの内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数本のニードルと、
    これら各ニードルを保持する為の保持器とを備えたラジアルニードル軸受に於いて、
    この保持器が、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したラジアルニードル軸受用保持器である事を特徴とするラジアルニードル軸受。
  6. 前記保持器の外周面と前記外輪軌道とを摺接若しくは近接対向させる事により、この保持器の姿勢を外輪案内により規制している、請求項5に記載したラジアルニードル軸受。
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