JP2014231852A - 湿式摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【課題】摩擦界面のATFの流れを制御することで従来の形状に対し引き摺りトルクを低減することが可能となること。【解決手段】環状コアプレート10に沿ってセグメント間溝41を設けた複数枚のセグメントピース40の特定のセグメントピース40nの前記環状コアプレート10の中心を通る中心線、及びこの中心線に対して環状コアプレート10の中心から所定角度θ毎にコアプレート10から放射方向に延ばした直線上に環状コアプレート10の中心から特定距離W離れた位置を中心とする円を規定し、この円によってセグメントピース40に、セグメントピース40の厚みよりも浅い円弧状の溝を形成してなる円弧溝43を具備することで摩擦界面のATFの流れが制御でき、冷却効果を高めることができると同時に、引き摺りトルクを低減することができる。【選択図】図2
Description
本発明は、車両の自動変速機(Automatic Transmission、以下「AT」とも略する。)の変速用クラッチ、自動車等やオートバイ等の自動変速機に用いられ、単数または複数の摩擦板を設けた湿式摩擦材に関するものである。
近年、原油価格の上昇や地球温暖化防止の観点から車の低燃費化が要求されており、ATにおいても低い引き摺りトルク特性が要求されている。
引き摺りトルクの低減にはセグメントピースの接触面側に油溝を形成し、そこに、潤滑油(Automatic Transmission Fluid,自動変速機潤滑油、以下「ATF」とも略する。)を供給している。なお、「ATF」は出光興産株式会社の登録商標であるが、ここでは、当該登録商標とは無関係に自動変速機潤滑油のことを「ATF」と略する。
そこで、摩擦界面のATFの流れを制御すること、摩擦界面に溝を形成することによって、従来の湿式摩擦材は引き摺りトルクの低減を行ってきた。
引き摺りトルクの低減にはセグメントピースの接触面側に油溝を形成し、そこに、潤滑油(Automatic Transmission Fluid,自動変速機潤滑油、以下「ATF」とも略する。)を供給している。なお、「ATF」は出光興産株式会社の登録商標であるが、ここでは、当該登録商標とは無関係に自動変速機潤滑油のことを「ATF」と略する。
そこで、摩擦界面のATFの流れを制御すること、摩擦界面に溝を形成することによって、従来の湿式摩擦材は引き摺りトルクの低減を行ってきた。
特許文献1では、摩擦材に内周側で半径方向となす角が左右対称に左方向と右方向に、それぞれ40°〜58°である直線溝を交差するようにし、この交差によるX字型パターンが円周方向に等間隔で2個以上繰り返した油溝パターンを有する湿式摩擦材において、引き摺りトルクの低減と、相対するプレート間を通過する油流量を大幅に増加できる技術を開示している。この技術によれば、引き摺りトルク損失の低減に効果があり、また、湿式摩擦材の冷却性能を向上できる。この油溝パターンとしては、その形態から後述するラジアル溝、円周溝、スパイラル溝、ワッフル溝等がある。しかし、このような特許文献1で開示された従来技術の油溝パターンでは、引き摺りトルク損失を低減させるには限界があった。
即ち、図8に示すように、コアプレートAの中心O位置から放射方向に延びた中心線L−Lと平行な直線溝Da及びそれに直角方向の直線溝Dbをセグメントピースの表面に形成した試験品を作製した。この表面に作製した油溝形態がワッフルに酷似しているので以下この油溝形態を図9(e)に示すようにワッフル溝と呼ぶ。
更に、ワッフル溝以外にも、図9に示すように(a)溝なしのセグメントピース、(b)ラジアル溝(放射方向に形成した溝)を表面に設けたセグメントピース、(c)円周溝(円周の接線方向の溝)を表面に設けたセグメントピース、(d)スパイラル溝(放射方向に対して所定の傾きを持つ溝)を表面に設けたセグメントピースを作製し引き摺りトルクの測定を行った。
更に、ワッフル溝以外にも、図9に示すように(a)溝なしのセグメントピース、(b)ラジアル溝(放射方向に形成した溝)を表面に設けたセグメントピース、(c)円周溝(円周の接線方向の溝)を表面に設けたセグメントピース、(d)スパイラル溝(放射方向に対して所定の傾きを持つ溝)を表面に設けたセグメントピースを作製し引き摺りトルクの測定を行った。
試験条件は、回転数2000rpm、潤滑油ATF、油温40℃、潤滑油量2リットル/min、湿式摩擦材のサイズは外径φ152.8、内径φ118.8で、湿式摩擦材のディスク枚数を4枚とした。なお、使用した湿式摩擦材は、溝幅が1.2mm、後述する溝深さ比が0.4、である。ワッフル溝の本数は、溝本数100本で設定した。なお、セグメントピースの大きさは全て同一であり、セグメントピース表面に作製した溝形態のみ異なっている。
このような直線状の溝形状を有するセグメントピースでは、図9(a)に示す溝なしのセグメントピースB1の場合には、図10に示すように、引き摺りトルク3.0〔Nm〕であった。セグメントピースB2の中心線として図9(b)に示す放射方向に延びた中心線L−Lと同一なラジアル溝E1を形成したものでは、図10に示すように、引き摺りトルク2.8〔Nm〕であった。また、セグメントピースB3の中央に周方向の円周溝E2を形成した図9(c)の場合では引き摺りトルク2.6〔Nm〕であった。
そして、セグメントピースB4に放射方向に延びた中心線L−Lの中心に所定の角度で形成した図9(d)のスパイラル溝E3の場合では、引き摺りトルク1.55〔Nm〕であった。また、コアプレートAの放射方向に延びた中心線L−Lと平行な直線溝E4及びそれに直角方向の直線溝E5を表面に形成している図9(e)のワッフル溝のセグメントピースB5では、引き摺りトルク2.1〔Nm〕であった。
そして、セグメントピースB4に放射方向に延びた中心線L−Lの中心に所定の角度で形成した図9(d)のスパイラル溝E3の場合では、引き摺りトルク1.55〔Nm〕であった。また、コアプレートAの放射方向に延びた中心線L−Lと平行な直線溝E4及びそれに直角方向の直線溝E5を表面に形成している図9(e)のワッフル溝のセグメントピースB5では、引き摺りトルク2.1〔Nm〕であった。
上記のように構成した湿式摩擦材は、セグメントピースの摩擦面に直線形状の油溝を形成することで引き摺りトルクを低減させようとするものであり、溝なしに比べてセグメントピースの摩擦面にラジアル溝、円周溝、スパイラル溝、ワッフル溝を設けることで引き摺りトルクは低減する。特にスパイラル溝を設けることで引き摺りトルクは約半分まで低下させることができる。しかし、溝なしに比べて半分以下と大幅な低減をさせることはこのスパイラル溝を採用しても困難である。
そこで、本発明は、摩擦面での溝なしに比べて引き摺りトルクを半分以下と大幅に低減することを可能する湿式摩擦材の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかる湿式摩擦材は、環状コアプレートの特定の片面または両面に接合された複数のセグメントピース相互間に所定の間隔でセグメント間溝を形成し、更に、前記複数のセグメントピースの中から特定のセグメントピースの円周方向を2分して前記環状コアプレートの中心を通る中心線及び前記中心線に対して前記環状コアプレートの中心から所定角度毎に放射方向に延ばした直線上に、特定距離を中心とする円を規定し、前記円によって前記複数のセグメントピースに前記セグメントピースの厚みよりも浅い円弧状の円弧溝を形成したものである。
ここで、上記セグメント間溝は、前記環状コアプレートの特定の片面または両面に接合されたセグメントピース相互間の間隔で形成した環状コアプレートの円の中心から放射方向に延びる隙間である。
請求項2の発明にかかる湿式摩擦材の前記セグメントピースに対して前記円弧溝を形成する円の半径は、前記複数枚のセグメントピースの外周によって規定されるライニング環の半径に対し4〜8割の範囲内としたものである。
請求項3の発明にかかる湿式摩擦材の前記円弧溝を形成する円の中心を規定する前記環状コアプレートの中心からの特定距離は、前記ライニング環の外径の半径に対し3〜7割の距離としたものである。
ここで、上記環状コアプレートの中心からの特定距離は、前記セグメントピースに対して前記円弧溝を形成する円の中心を決定する要因であり、前記円弧溝を形成する円の半径に拘束されるものでなく別途規定されるものである。
請求項4の発明にかかる湿式摩擦材の前記円弧溝の深さは、前記セグメントピースの厚みに対し2〜6割の範囲内の深さとしたものである。
請求項5の発明にかかる湿式摩擦材の前記円弧溝の幅は、1〜3mmの範囲内としたものである。
請求項1に係る発明の湿式摩擦材は、環状コアプレートに沿ってセグメント間溝を設けた複数のセグメントピースの中から特定のセグメントピースの円周方向を2分して前記環状コアプレートの中心を通る中心線及び前記中心線に対して前記環状コアプレートの中心から所定角度毎に放射方向に延ばした直線上に、特定距離を中心とする円を規定し、前記円によって前記複数のセグメントピースに前記セグメントピースの厚みよりも浅い円弧状の溝を円弧溝として形成したものである。このような円弧溝を前記セグメントピースに形成することで、湿式摩擦材の回転時の遠心力を受けて潤滑油が移動する方向に溝形状を合わせることができ、潤滑油が溝から受ける抵抗低減を可能とする。この抵抗低減によって引き摺りトルクを低下させることができる。
また、前記円弧溝の円の中心がセグメント間溝を設けた複数のセグメントピースの中から特定のセグメントピースの円周方向を2分して前記環状コアプレートの中心を通る中心線及び前記中心線に対して前記環状コアプレートの中心から所定角度毎に放射方向に延ばした直線上に、特定距離を中心とする円を規定しているため、この規定された前記円に基づいて形成された円弧溝は、前記中心線に対し対称となる。このため湿式摩擦材の回転方向が右回転でも左回転でも特性を同一にすることができる。
更に、本発明の湿式摩擦材は、潤滑油が前記セグメント間溝に加えて、潤滑油を滑らかに流通させる前記円弧溝を流れることができるから、湿式摩擦材の冷却を効率よく行うことができる。
更に、本発明の湿式摩擦材は、潤滑油が前記セグメント間溝に加えて、潤滑油を滑らかに流通させる前記円弧溝を流れることができるから、湿式摩擦材の冷却を効率よく行うことができる。
請求項2に係る発明の前記円弧溝を形成する円の半径は、前記複数枚のセグメントピースの外周によって規定されるライニング環の半径に対し4〜8割の範囲内としたものであるから、確実に潤滑油に対する流通抵抗を低減させることができ引き摺りトルクを抑制できる。
請求項3に係る発明の前記円弧溝を形成する円の中心を規定する前記環状コアプレートの中心からの特定距離は、前記ライニング環の外径の半径に対し3〜7割の距離としたものであるから、潤滑油に対する流通抵抗を低減させることができる円弧溝を確実に形成させることができる。
請求項4に係る発明の前記円弧溝の深さは、前記セグメントピースの厚みに対し2〜6割の範囲内の深さとしたものであるから、確実に引き摺りトルク低減が可能となる。
請求項5に係る発明の湿式摩擦材の前記円弧溝の幅は、1〜3mmの範囲内としたものであるからより確実な引き摺りトルク低減が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
[実施の形態]
まず、図1を用いて本発明の実施の形態の湿式摩擦材の使用構成を説明する。
図1のように、湿式摩擦材は、図示のように、環状のコアプレート10に接合する複数枚のセグメントピース40からなり、コアプレート10の円周方向に沿って接合されている。即ち、コアプレート10は、その中心位置からその半径方向に放射方向に延びた直線上に、複数枚のセグメントピース40の相互間の間隔で形成されたセグメント間溝41を形成し、コアプレート10の特定の片面または両面に複数枚のセグメントピース40を接合している。
まず、図1を用いて本発明の実施の形態の湿式摩擦材の使用構成を説明する。
図1のように、湿式摩擦材は、図示のように、環状のコアプレート10に接合する複数枚のセグメントピース40からなり、コアプレート10の円周方向に沿って接合されている。即ち、コアプレート10は、その中心位置からその半径方向に放射方向に延びた直線上に、複数枚のセグメントピース40の相互間の間隔で形成されたセグメント間溝41を形成し、コアプレート10の特定の片面または両面に複数枚のセグメントピース40を接合している。
湿式摩擦材1は、一般に鋼板からリング状(円環状)に形成された芯金としてのコアプレート10と、この環状コアプレート10の特定の片面または両面に環状に接合されたペーパー系の複数のセグメントピース40とからなり、この環状のセグメントピース40の外周によってライニング環50が規定される。なお、コアプレート10には、回転軸等のトルク伝達要素のスプラインまたは同様なものと係合する係合歯11が一体に形成され、この例では内周側に設けられている。
ここで、複数のセグメントピース40は、木材パルプ或いはアラミド繊維等の繊維基材と、カシューダスト等の摩擦調整剤や炭酸カルシウム或いはケイソウ土等の体質充填剤等の充填剤とを抄造して得た抄紙体に、熱硬化性樹脂からなる樹脂結合剤を含浸し、次いで熱成形により加熱硬化して形成したものである。具体的には、その一例として、基材繊維としてのリンターパルプ25重量%及びアラミド繊維30重量%からなる繊維基材と、充填材としてのカシューダスト15重量%及びケイソウ土30重量%からなる摩擦調整剤とからなる抄紙体に、30重量%の樹脂率(摩擦材全体に対する割合)でレゾール型のフェノール樹脂を含浸し、次いで熱成形により硬化したものを挙げることができる。なお、本発明を実施する場合、セグメントピース40は、上記構成配合に限定されるものではない。
他方、複数のセグメントピース40と圧接して摩擦係合するカウンタプレート2は、コアプレート10と同様に、一般に金属製の1枚板からリング状(円環状)に形成され、複数のセグメントピース40と摺接する平坦な表面を有する本体部20を備えている。また、この本体部20には係合歯21が一体に付設され、トルク伝達要素のスプラインまたは同様なものと係合するようになっている。なお、このようなカウンタプレート2は一般には鋼材(炭素鋼材)から形成されるが、ねずみ鋳鉄等から形成することもできる。
そして、湿式摩擦材1とカウンタプレート2とは、ATF等の潤滑油中に浸漬した状態で複数枚交互に組合わされ、それによって湿式摩擦係合装置30が形成される。図1の例の湿式摩擦係合装置30は、湿式多板形クラッチとして形成され、入力または出力回転軸31にキー止めされたクラッチハブ32に、湿式摩擦材1がスプライン結合によって軸方向に可動に組付けられる。一方、出力また入力回転軸を形成するクラッチハウジング33の内側に、カウンタプレート2が同様にスプライン結合によって軸方向に可動に組付けられている。また、クラッチハウジング33内には、カウンタプレート2を押圧する環状ピストン34を含む油圧作動装置が形成されている。なお、クラッチハウジング33の開口端には、その油圧作動装置の荷重を受けるための受圧部材35が組付けられている。
したがって、この湿式摩擦係合装置30において、油圧源からの油圧によってピストン34が作動されると、交互に組合わされた湿式摩擦材1とカウンタプレート2とがピストン34と受圧部材35との間で相互に圧接され、その摩擦係合によりクラッチハブ32とクラッチハウジング33間のトルクの伝達が行われる。また、油圧を解き、ピストン34の作動を解除すると、それらの圧接による摩擦係合が解かれ、それによってトルクの伝達が遮断される。こうして、ピストン34を含む作動手段の作動、及び解除によって、トルクを伝達し、また遮断することができる。なお、この湿式摩擦係合装置30において、例えば、クラッチハブ32側を入力とし、クラッチハウジング33側を固定することによって、湿式多板形ブレーキとして形成することができる。また、湿式摩擦材1とカウンタプレート2とを相互に圧接し、摩擦係合させる作動手段は、本例のように油圧式が一般的であるが、他にも機械式、電磁式等であることができ、更には、本例のようにポジティブ形式であっても、またはネガティブ形式であってもよい。
コアプレート10は、トルク伝達要素のスプラインと係合する係合歯11が内周側に設けられているが、その外周は円形(円盤形)であり、複数枚のセグメントピース40を接合した外周、即ち、図2及び図3に記載のセグメントピース401〜4020(ここで、特定の位置のセグメントピース401〜4020を指定しない共通的な場合には、単に「セグメントピース40」と記す)の外周で規定されるライニング環50の半径Rよりも0.5〜3mm大径となっている。
以下、本実施の形態である実施例1について詳細に説明する。
実施例1は環状のコアプレート10に20枚のセグメントピース40を図2に示すように均等に接合した。このように接合することで、20枚のセグメントピース40の相互間にはセグメント間溝41が均一に配される。また、図2に示す環状コアプレート10の中心線M−M線は、セグメントピース406の円周方向を2分する。つまり、セグメントピース406の周方向の幅を等分(角度的に1/2)する中心線となっている。更に、本実施の形態では、中心Oを通る中心線M−Mから所定角度θ=90/5=18°毎に中心Oから放射状に延ばした直線上に中心Oから特定距離Wの位置を中心とする半径rの円を規定し、この円によって円弧溝43を形成している。実施例1のようにセグメントピース40のコアプレート10への接合位置に合わせて所定角度を規定することにより、中心Oから放射状に延ばしたセグメントピース401〜4020の中心線は、セグメントピース401〜4020の周方向の幅を等分(角度的に1/2)する中心線と合致する。
実施例1は環状のコアプレート10に20枚のセグメントピース40を図2に示すように均等に接合した。このように接合することで、20枚のセグメントピース40の相互間にはセグメント間溝41が均一に配される。また、図2に示す環状コアプレート10の中心線M−M線は、セグメントピース406の円周方向を2分する。つまり、セグメントピース406の周方向の幅を等分(角度的に1/2)する中心線となっている。更に、本実施の形態では、中心Oを通る中心線M−Mから所定角度θ=90/5=18°毎に中心Oから放射状に延ばした直線上に中心Oから特定距離Wの位置を中心とする半径rの円を規定し、この円によって円弧溝43を形成している。実施例1のようにセグメントピース40のコアプレート10への接合位置に合わせて所定角度を規定することにより、中心Oから放射状に延ばしたセグメントピース401〜4020の中心線は、セグメントピース401〜4020の周方向の幅を等分(角度的に1/2)する中心線と合致する。
ここで、セグメントピース401〜4020に形成する円弧溝の半径は規定した円の半径で決まり、この円の半径を以下、「円弧溝半径」と呼ぶ。円弧溝半径rは、セグメントピース401〜4020の外周によって規定されるライニング環50の半径Rよりも小さい半径であり、ライニング環50の半径Rに対し4〜8割の範囲内としている。
従来のように直線形状の溝でなく湾曲した円弧溝とすることで、直線形状の溝に比べて潤滑油、つまり、ATFは、溝から受ける抵抗が少なくなる。そして、上記円弧溝を形成する円の半径が、前記ライニング環の半径に対し4〜8割の範囲内にすることで、引き摺りトルクをセグメントピースの摩擦面に設けないときの半分以下と、大幅に低減できるものとすることが可能となる。
つまり、上記円弧溝を形成する円の半径が、ライニング環の半径に対し4〜8割の範囲内とは、ライニング環の半径に対し4割を切ると、前記円弧溝を形成する円の半径が小さくなることで溝の湾曲が大きくなり、溝を流通する潤滑油の溝から受ける抵抗が大きくことで引き摺りトルクを低減させる効果が低下する。また、前記ライニング環の外径の半径に対し8割を超えると、引き摺りトルクを低減させる効果が低下する。
なお、実施例1ではセグメントピース40の中心線と所定角度の直線を合致させているが、所定角度の直線は、要求される仕様によっては、セグメントピース40の中心線と合致しない角度に適宜設定することができる。このようなセグメントピース40の中心線と合致しない場合の円弧溝も、セグメントピース40の中心線に合致させた円弧溝と同様に溝形状を湾曲させているため同様の効果が期待できる。
従来のように直線形状の溝でなく湾曲した円弧溝とすることで、直線形状の溝に比べて潤滑油、つまり、ATFは、溝から受ける抵抗が少なくなる。そして、上記円弧溝を形成する円の半径が、前記ライニング環の半径に対し4〜8割の範囲内にすることで、引き摺りトルクをセグメントピースの摩擦面に設けないときの半分以下と、大幅に低減できるものとすることが可能となる。
つまり、上記円弧溝を形成する円の半径が、ライニング環の半径に対し4〜8割の範囲内とは、ライニング環の半径に対し4割を切ると、前記円弧溝を形成する円の半径が小さくなることで溝の湾曲が大きくなり、溝を流通する潤滑油の溝から受ける抵抗が大きくことで引き摺りトルクを低減させる効果が低下する。また、前記ライニング環の外径の半径に対し8割を超えると、引き摺りトルクを低減させる効果が低下する。
なお、実施例1ではセグメントピース40の中心線と所定角度の直線を合致させているが、所定角度の直線は、要求される仕様によっては、セグメントピース40の中心線と合致しない角度に適宜設定することができる。このようなセグメントピース40の中心線と合致しない場合の円弧溝も、セグメントピース40の中心線に合致させた円弧溝と同様に溝形状を湾曲させているため同様の効果が期待できる。
次に、円弧溝の形成方法について図3を用いて説明する。
図3に示すように、本発明の実施の形態である実施例1は20枚の複数のセグメントピースの中から特定のセグメントピース406を2分してコアプレート10の円の中心を通る中心線M−M線上にコアプレートの円の中心Oから特定距離Wだけ離れた位置を中心とする半径rの円を規定し、この円に基づいて溝を形成する。この形成された溝が円弧溝43である。実施例1では更に、コアプレートの中心Oから中心線M−Mに対して所定角度θを+18°とし、+18°毎に18°から342°までの19本の直線を規定し、この直線上に中心線M−M線上と同じ特定距離Wだけ離れた位置を中心とする半径rの円を規定し、この円に基づいて円弧溝43を形成した。
図3に示すように、本発明の実施の形態である実施例1は20枚の複数のセグメントピースの中から特定のセグメントピース406を2分してコアプレート10の円の中心を通る中心線M−M線上にコアプレートの円の中心Oから特定距離Wだけ離れた位置を中心とする半径rの円を規定し、この円に基づいて溝を形成する。この形成された溝が円弧溝43である。実施例1では更に、コアプレートの中心Oから中心線M−Mに対して所定角度θを+18°とし、+18°毎に18°から342°までの19本の直線を規定し、この直線上に中心線M−M線上と同じ特定距離Wだけ離れた位置を中心とする半径rの円を規定し、この円に基づいて円弧溝43を形成した。
ここで円弧溝43を形成するとき、円弧溝半径r及び特定距離Wによっては、円を規定した中心線及び直線上に在るセグメントピースに円弧は描かれない。本発明の実施の形態である実施例1では、セグメントピース406には中心線M−M上に規定した円による円弧溝43は形成されず、セグメントピース406の両側に位置するセグメントピース403乃至セグメントピース405並びにセグメントピース407乃至セグメントピース409に円弧溝43が形成され、同様に18°毎に規定された直線、本実施の形態の実施例1では全ての直線がセグメントピース401〜セグメントピース4020の中心線と合致していることからセグメントピース40の中心線となるが、この線上に規定した円によっては中心線上のセグメントピースに円弧溝43は形成されておらず、このセグメントピースの両端に位置するセグメントピース40に円弧溝43が形成されている。
ここで、本実施の形態では所定角度θは360°をセグメントピース40の数20で割った値を設定したが、本発明を実施する場合には、これに限定するものではない。
しかし、所定角度θをセグメントピース40の数で割った値に設定することで、所定角度θ毎の直線をセグメントピース40の中心線と合致させることができる。この際円弧溝43はコアプレートの中心Oに対し点対称形状を成し、また、特定のセグメントピースを2分する中心線に対し線対称形状を成す。このような対称形状は湿式摩擦材の回転方向に影響されないため好ましい。
しかし、所定角度θをセグメントピース40の数で割った値に設定することで、所定角度θ毎の直線をセグメントピース40の中心線と合致させることができる。この際円弧溝43はコアプレートの中心Oに対し点対称形状を成し、また、特定のセグメントピースを2分する中心線に対し線対称形状を成す。このような対称形状は湿式摩擦材の回転方向に影響されないため好ましい。
次に、円弧溝43を流れるATFの流れについて説明する。コアプレート10が図3の左回転矢印Leftの方向または右回転矢印Rightの方向に示すように、左回転または右回転を行っている場合、湿式摩擦材を流通するATFは、遠心力によって湿式摩擦材の内周側から外周側へと移動しようとする。この際円弧溝43を構成する各弧状の溝は、湾曲しながら内周側から外周側へ通じている。この湾曲によって円弧溝43を流れるATFは遠心力が働く放射方向の移動が可能となり、円弧溝43から受ける接触抵抗は従来の溝形状より小さく抑えることができ、ATFの流通は滑らかになる。したがって、ATFが円弧溝43を流通するときに発生する円弧溝43からの接触抵抗が抑えられて引き摺りトルクは減少する。
ここで本発明ではセグメントピース間にセグメント間溝を有しているが、セグメントピース40nのATFの入口となる円弧溝43の開口aは、その前の位置にあるセグメントピース40n-1に形成した円弧溝43におけるATFの出口となる開口bから流れ出るATFに対向しており、また、円弧溝43は円弧溝半径rに沿って形成されているから、セグメント間溝41が介在していても、セグメントピース40n-1の円弧溝43を通過したATFは、セグメント間溝41に一部が流れるとともに円弧溝半径rに沿って形成されているセグメントピース40nの開口aからなる円弧溝43にも流れる。このため、湿式摩擦材1を流れるATFはセグメント間溝41と円弧溝43によって効率よく湿式摩擦材1を冷却して引き摺りトルクを低減することができる。
また、円弧溝43はセグメントピース40の外周にATFの入口となる開口aが設けられ、ATFの出口となる開口bが開口aに対してセグメントピース40の内周側に設けられている。このような円弧溝43は湿式摩擦材10が回転すると、セグメントピース40の外周側に在るATFを内周側に開口aを通して引き入れることができる。この作用によって外周側に溜まったATFに起因する引き摺りトルクを抑えることができる。
ここで円弧溝43は図4の円弧溝43ghのように規定された1つの円によって単一のセグメントピース40に形成されることも有り得るが、実施例1や図4の円弧溝43efのようにセグメントピース40の少なくとも2枚に円弧が描けることが好ましい。
ここで円弧溝43は図4の円弧溝43ghのように規定された1つの円によって単一のセグメントピース40に形成されることも有り得るが、実施例1や図4の円弧溝43efのようにセグメントピース40の少なくとも2枚に円弧が描けることが好ましい。
即ち、円弧溝43は、セグメントピース40の中から特定のセグメントピース40nの中心線と、この中心線に対し所定角度θ毎にコアプレート10の中心Oから放射方向に延びた直線を規定し、この直線上にコアプレート10の中心Oから特定距離Wを取り、特定距離Wを中心とする円弧溝半径rの円規定する。この円の円弧に基づいて特定のセグメントピース40nの両側に在る1以上の対のセグメントピース40に、例えば、セグメントピース40n-1及びセグメントピース40n+1、及び/または対となるセグメントピース40n-2及びセグメントピース40n+2、及び/または対となるセグメントピース40n-3及びセグメントピース40n+3、及び/または対となるセグメントピース40n-4及びセグメントピース40n+4に、セグメントピース40の厚みよりも浅い円弧状の溝からなる円弧溝43を形成するものである。ここで円弧溝半径rによっては図2に記載したように特定のセグメントピース40nに円弧が形成されない場合があり、また図4に記載したように円弧が形成される場合もある。そして、ATFに加わる遠心力や、内周側でのATF量等が特定な条件によっては、図4に記載した円弧溝半径r1のように開口gと開口hがセグメントピース40の内周面に形成されるような円弧溝も有用となる場合がある。
以下、本発明の実施形態の試験結果について説明する。
実施例1は、ライニング環50の半径Rと円弧溝半径rとの関係、つまりライニング環50の半径Rに対する円弧溝半径rの比(以下、「半径比率」と表す)r/R=0.6とし、所定角度θ毎の特定距離Wとライニング環外半径Rとの関係、つまりライニング環外半径Rに対する特定距離Wの比(以下、「変位率」と表す)W/R=0.4とし、所定角度θを決定する分割数をセグメントピース40の枚数20とし、円弧溝43の総溝数(以下、「溝数」という)をN=120として円弧溝43を形成した。ここで溝数は、1つのセグメントピースに1つの円弧によって形成される溝を1としている。例えば、図4の半径rによって得られる溝本数は5本となる。そして溝幅を1.2mmとし、溝の深さはセグメントピースの厚みに対する比(以下、「溝深さ比」と呼ぶ)で0.4とした。以下の実施例もすべて溝幅、溝深さ比は同じとしている。
実施例1は、ライニング環50の半径Rと円弧溝半径rとの関係、つまりライニング環50の半径Rに対する円弧溝半径rの比(以下、「半径比率」と表す)r/R=0.6とし、所定角度θ毎の特定距離Wとライニング環外半径Rとの関係、つまりライニング環外半径Rに対する特定距離Wの比(以下、「変位率」と表す)W/R=0.4とし、所定角度θを決定する分割数をセグメントピース40の枚数20とし、円弧溝43の総溝数(以下、「溝数」という)をN=120として円弧溝43を形成した。ここで溝数は、1つのセグメントピースに1つの円弧によって形成される溝を1としている。例えば、図4の半径rによって得られる溝本数は5本となる。そして溝幅を1.2mmとし、溝の深さはセグメントピースの厚みに対する比(以下、「溝深さ比」と呼ぶ)で0.4とした。以下の実施例もすべて溝幅、溝深さ比は同じとしている。
実施例2は、半径比率r/R=0.7、変位率W/R=0.4、分割数30、溝数N=100として円弧溝43を形成した。
実施例3は、半径比率r/R=0.6、変位率W/R=0.5、分割数30、溝数N=80として円弧溝43を形成した。
実施例4は、半径比率r/R=0.6、変位率W/R=0.5、分割数40、溝数N=160として円弧溝43を形成した。
実施例3は、半径比率r/R=0.6、変位率W/R=0.5、分割数30、溝数N=80として円弧溝43を形成した。
実施例4は、半径比率r/R=0.6、変位率W/R=0.5、分割数40、溝数N=160として円弧溝43を形成した。
実施例5は、半径比率r/R=0.6、変位率W/R=0.4、分割数20、溝数N=80として円弧溝43を形成した。
実施例6は、半径比率r/R=0.8、変位率W/R=0.4、分割数30、溝数N=120として円弧溝43を形成した。
実施例7は、半径比率r/R=0.65、変位率W/R=0.4、分割数30、溝数N=120として円弧溝43を形成した。
実施例6は、半径比率r/R=0.8、変位率W/R=0.4、分割数30、溝数N=120として円弧溝43を形成した。
実施例7は、半径比率r/R=0.65、変位率W/R=0.4、分割数30、溝数N=120として円弧溝43を形成した。
図7に得られた引き摺りトルク低減率(%)の結果を示す。ここで、引き摺りトルク低減率とは、図8に示した(e)ワッフル溝形状のセグメントピースの引き摺りトルクを基準とし、各実施例の引き摺りトルクがワッフル溝形状のセグメントピースの引き摺りトルクからどれだけ引き摺りトルクを低減したかを示す割合であり、ワッフル溝形状のセグメントピースの引き摺りトルクに対する各実施例の引き摺りトルクの引き摺りトルク低減量の割合である。ここでワッフル溝形状の湿式摩擦材の溝幅、溝深さ比は、実施例と同様であり、溝本数は100本としている。
実施例1は図10に記載したように引き摺りトルクは、0.9(Nm)であった。
そこで、図10のワッフル溝の引き摺りトルク2.3(N・m)と比較すると、実施例1の引き摺りトルク低減率55%となる。同様に、実施例2の低減率は35%、実施例3の低減率は32%、実施例4の低減率は53%、実施例5の低減率は39%、実施例6の低減率は45%、実施例7の低減率は49%となった。これらをまとめたのが図7である。このように本実施の形態である円弧溝形状の湿式摩擦材1は、従来のワッフル溝形状の湿式摩擦材に対し引き摺りトルクを30%以上低減することが確認され、図9(d)に示したスパイラル溝形状に対しても、図10に示したスパイラル溝形状の引き摺りトルク以下となっている。因みにワッフル溝形状に対するスパイラル溝形状の引き摺りトルク低減率は30%であった。
このようにセグメントピース表面に設ける溝形状を従来の直線状から湾曲させた円弧状にすることで引き摺りトルクを従来以上に低減させることができる。特に、図9に示す溝無し形状に対しては略半分以下まで低減させることが可能となる。
そこで、図10のワッフル溝の引き摺りトルク2.3(N・m)と比較すると、実施例1の引き摺りトルク低減率55%となる。同様に、実施例2の低減率は35%、実施例3の低減率は32%、実施例4の低減率は53%、実施例5の低減率は39%、実施例6の低減率は45%、実施例7の低減率は49%となった。これらをまとめたのが図7である。このように本実施の形態である円弧溝形状の湿式摩擦材1は、従来のワッフル溝形状の湿式摩擦材に対し引き摺りトルクを30%以上低減することが確認され、図9(d)に示したスパイラル溝形状に対しても、図10に示したスパイラル溝形状の引き摺りトルク以下となっている。因みにワッフル溝形状に対するスパイラル溝形状の引き摺りトルク低減率は30%であった。
このようにセグメントピース表面に設ける溝形状を従来の直線状から湾曲させた円弧状にすることで引き摺りトルクを従来以上に低減させることができる。特に、図9に示す溝無し形状に対しては略半分以下まで低減させることが可能となる。
なお、試験条件は、回転数2000rpm、潤滑油ATF、油温40℃、潤滑油量2リットル/min、湿式摩擦材のサイズは外径φ152.8、内径φ118.8で、湿式摩擦材1のディスク枚数を4枚として実験を行った。
ここで形成した円弧溝43は、セグメントピース40の厚みXaよりも浅く形成された深さXbの溝である。前述の溝深さ比はXb/Xaで表される。その円弧溝43としては、その垂直断面が円弧を描くように孤状となるように形成してもよいし、図2に示した実施例1のように両側を徐々に浅くなるように形成してもよい。
以上説明してきたように、本実施の形態の湿式摩擦材は、環状コアプレート10の特定の片面または両面に接合された複数枚のセグメントピース40相互間に所定の間隔を設けることで形成したセグメント間溝41と、環状コアプレート10に沿ってセグメント間溝41を設けた複数枚のセグメントピース40の特定のセグメントピース40nの前記環状コアプレート10の中心を通りセグメントピース40nの周方向を2分する中心線、及びこの中心線に対して環状コアプレート10の中心から所定角度θ毎にコアプレート10から放射方向に延ばした直線上に環状コアプレート10の中心から特定距離W離れた位置を中心とする円を規定し、この円によってセグメントピース40に、セグメントピース40の厚みよりも浅い円弧状の溝を形成してなる円弧溝43とを具備する。
このようなセグメント間溝41と円弧状の円弧溝43によって、冷却効果を高めることができると同時に、引き摺りトルクを低減することができる。
特に、円弧状に湾曲させた円弧溝43は、ATFが遠心力を受けて湿式摩擦材の内周側から外周側へ移動する際、直線状の溝以上にATFの移動時の抵抗を減らして滑らかに移動させることができる効果を有する。
更に、円弧溝43は回転時におけるATFの移動に際し、湿式摩擦材の外周側に開口した開口から流入したATFは湿式摩擦材の内周側へ移動し易くなる。この作用によっても、湿式摩擦材の外周側で引き起こされる引き摺りトルクの低減が可能となる。
特に、円弧状に湾曲させた円弧溝43は、ATFが遠心力を受けて湿式摩擦材の内周側から外周側へ移動する際、直線状の溝以上にATFの移動時の抵抗を減らして滑らかに移動させることができる効果を有する。
更に、円弧溝43は回転時におけるATFの移動に際し、湿式摩擦材の外周側に開口した開口から流入したATFは湿式摩擦材の内周側へ移動し易くなる。この作用によっても、湿式摩擦材の外周側で引き起こされる引き摺りトルクの低減が可能となる。
また、円弧溝43は、単一のセグメントピース40を2分する中心線で線対称の円弧としたものであるから、コアプレート10の回転方向が右回転であっても、左回転であっても特性を同一にすることができる。
更にセグメントピース40は、所定角度毎の特定距離Wを中心とする円の軌跡下にセグメント間溝41を介在させて円弧溝43を配設することが好ましい。このとき、ATFがセグメント間溝41と円弧溝43を流れることができるから、湿式摩擦材1の冷却を効率よく行うことができる。また、ATFがセグメント間溝41と円弧溝43を流れ、湿式摩擦材1の表面をATFが流れるから引き摺りトルクを低減することができる。
更にセグメントピース40は、所定角度毎の特定距離Wを中心とする円の軌跡下にセグメント間溝41を介在させて円弧溝43を配設することが好ましい。このとき、ATFがセグメント間溝41と円弧溝43を流れることができるから、湿式摩擦材1の冷却を効率よく行うことができる。また、ATFがセグメント間溝41と円弧溝43を流れ、湿式摩擦材1の表面をATFが流れるから引き摺りトルクを低減することができる。
したがって、従来のラジアル溝を表面に設けたセグメントピースB2、円周溝を表面に設けたセグメントピースB3、スパイラル溝を表面に設けたセグメントピースB4、ワッフル溝を表面に設けたセグメントピースB5に比べて円弧の大きさを調整することで、ATFの流れを阻害することが少なくなり、外周側のATFを効率よく引き込むことができることから引き摺りトルクを低減でき、冷却効果を高めることができる。
そして、円弧溝43は、円弧溝43を規定する円の中心位置と、円弧溝半径rによって湿式摩擦材1の引き摺りトルクの設定、摩擦材の冷却能力の設定ができる。
そして、円弧溝43は、円弧溝43を規定する円の中心位置と、円弧溝半径rによって湿式摩擦材1の引き摺りトルクの設定、摩擦材の冷却能力の設定ができる。
本実施の形態の湿式摩擦材の円弧溝43は、ライニング環外半径Rと円弧溝半径rとの関係、つまり、半径比率が4〜8割としたものである。これは、4割未満では円弧溝での抵抗が大きくなりすぎ、8割を超えると、従来の直線形状と同様の効果しか得られないからである。
本実施の形態の湿式摩擦材の円弧溝43はライニング環外半径Rの中心位置と前記円弧溝半径の円の中心位置との関係、つまり変位率が3〜7割としたものである。これは、変位率が3割未満の場合、円弧溝半径rを大きくする必要があり従来の直線形状と同様の効果になり易く、7割を超えると円弧溝半径rを小さくする必要があり溝での抵抗が大きくなり易くなるからである。
本実施の形態の湿式摩擦材の円弧溝43の深さは、セグメントピース40の厚みXaに対し2〜6割としたものである。このように特定することで、円弧溝43を流通するATFの流量を、引き摺りトルクを低下させる適切な量に制御することができる。また、円弧溝43の深さがセグメントピース40の厚みに対し2〜6割の範囲内であるから、円弧溝43を設けることによる機械的強度の劣化が少ない。
本実施の形態の湿式摩擦材の円弧溝43の幅は、1〜3mmの範囲内としたものである。この特定も円弧溝43の深さ同様円弧溝43を流通するATFの流量を、引き摺りトルクを低下させる適切な量に制御するためのものである。
以上、本発明の実施の形態は、円弧溝43の円弧溝半径r及び特定距離Wを一定とした単一の円弧を用いているが、異なる円弧溝半径r、異なる特定距離Wを用いて2以上の円弧形状を有する円弧溝とすることも有り得る。この際、回転時のATFの湿式摩擦材を移動する移動状態を均一にできることから、本発明の実施例同様に単一のセグメントピース40に対して対称形状とすることが好ましい。
以上、本発明の実施の形態は、円弧溝43の円弧溝半径r及び特定距離Wを一定とした単一の円弧を用いているが、異なる円弧溝半径r、異なる特定距離Wを用いて2以上の円弧形状を有する円弧溝とすることも有り得る。この際、回転時のATFの湿式摩擦材を移動する移動状態を均一にできることから、本発明の実施例同様に単一のセグメントピース40に対して対称形状とすることが好ましい。
1 湿式摩擦材
2 カウンタプレート
10 コアプレート
40、401〜4020、40n セグメントピース
41 セグメント間溝
43 円弧溝
50 ライニング環
R ライニング環外半径
r 円弧溝半径
W 特定距離
Xa セグメントピースの厚み
Xb 円弧溝の深さ
2 カウンタプレート
10 コアプレート
40、401〜4020、40n セグメントピース
41 セグメント間溝
43 円弧溝
50 ライニング環
R ライニング環外半径
r 円弧溝半径
W 特定距離
Xa セグメントピースの厚み
Xb 円弧溝の深さ
Claims (5)
- 環状コアプレートの特定の片面または両面に接合された複数のセグメントピース相互間に所定の間隔の溝を形成してなるセグメント間溝と、
前記環状コアプレートの中心を通り前記複数枚のセグメントピースの中から特定したセグメントピースの円周方向を2分する中心線及び前記中心線に対して前記環状コアプレートの中心から所定角度毎に放射方向に延ばした直線上に、特定距離を中心とする円を規定し、前記円によって前記複数のセグメントピースに、前記セグメントピースの厚みよりも浅い円弧状の溝を形成してなる円弧溝と
を具備することを特徴とする湿式摩擦材。 - 前記円弧溝を形成する円の半径は、前記複数枚のセグメントピースの外周によって規定されるライニング環の半径に対し4〜8割の範囲内としたことを特徴とする請求項1に記載の湿式摩擦材。
- 前記円弧溝を形成する円の中心を規定する前記環状コアプレートの中心からの特定距離は、前記ライニング環の外径に対し3〜7割の距離としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の湿式摩擦材。
- 前記円弧溝の深さは、前記セグメントピースの厚みに対し2〜6割の範囲内の深さとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の湿式摩擦材。
- 前記円弧溝の幅は、1〜3mmの範囲内としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の湿式摩擦材。
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- 2013-05-28 JP JP2013111837A patent/JP2014231852A/ja active Pending
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