JP2014231587A - 防錆塗膜及び水系防錆塗料 - Google Patents

防錆塗膜及び水系防錆塗料 Download PDF

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後藤 禎次
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Yasuyuki Kamiyama
靖之 上山
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Abstract

【課題】防錆性、バリア性、及び耐候性に優れる各種金属部材への防錆塗膜、及び該防錆塗膜に用いられる水系防錆塗料を提供する。
【解決手段】塩化ビニリデン単量体単位70〜92質量部と該塩化ビニリデン単量体と共重合可能な少なくとも1種のビニル系単量体単位8〜30質量部を有する塩化ビニリデン系樹脂(1)とシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位および加水分解性シラン単量体単位を有するアクリル系樹脂(2)とを含み、前記アクリル系樹脂(2)のガラス転移温度(Tg)が20〜40℃である防錆塗膜。塩化ビニリデン系樹脂(1)30〜80質量部とアクリル系樹脂(2)20〜70質量部を含んでいる防錆塗膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、防錆塗膜及び水系防錆塗料に関する。
近年、地球環境保護に対する関心の高まりやコストダウンの観点から、多層塗装の一部を複合機能層へ置き換えることや2液塗料からなる塗膜を1液にすることによる作業性と環境負荷、コストの低減が強く望まれている。機能性のひとつである防錆性、防湿性に優れた塗膜は、耐久性、安全性が求められる被塗物用途において強く望まれている。種々の塗料用樹脂の中で特に塩化ビニリデン系樹脂は、水蒸気透過率や酸素透過率が低いなどのバリア性に優れていることから、防錆塗料用樹脂として非常に適している。しかしながら塩化ビニリデン系樹脂は耐候性の機能が乏しく、塩化ビニリデン系樹脂塗膜の上に耐候性に優れる別の塗膜を形成する必要があった。
このような観点から、防錆塗料としてリン酸塩類を含んでいる塩化ビニリデン系樹脂ラテックスと水性塗料組成物2層からなる塗装物が特許文献1に開示されている。また、耐候性に優れる硬化性組成物としてアルコキシシリル基を持つ反応性ケイ素重合体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位を含む重合体と有機樹脂微小中空体としてポリ塩化ビニリデン系樹脂バルーンを含む硬化性組成物が特許文献2に開示されている。
特開2010−131897号公報 特開2004−204239号公報
しかしながら、特許文献1の塗装物は塩化ビニリデン系樹脂の上に重ね塗りし2層構造にしなくてはならず、煩雑でありコストの低減が図れないという問題がある。また、特許文献2の硬化物は、耐候性は発現するが十分な防錆性、バリア性は発現しないという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、防錆性、バリア性、及び耐候性に優れる各種金属部材への防錆塗膜、及び該防錆塗膜に用いられる水系防錆塗料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、塩化ビニリデン系樹脂と特定のガラス転移温度(Tg)を持つアクリル系樹脂を組み合わせることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
塩化ビニリデン系樹脂(1)とアクリル系樹脂(2)とを含み、
前記アクリル系樹脂(2)のガラス転移温度(Tg)が20〜40℃である、
防錆塗膜。
〔2〕
前記アクリル系樹脂(2)が、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体を含む、前項〔1〕に記載の防錆塗膜。
〔3〕
前記アクリル系樹脂(2)が、加水分解性シラン単量体単位を含む共重合体を含む、前項〔1〕又は〔2〕に記載の防錆塗膜。
〔4〕
前記塩化ビニリデン系樹脂(1)が、塩化ビニリデン単量体単位70〜92質量部と、該塩化ビニリデン単量体と共重合可能な少なくとも1種のビニル系単量体単位8〜30質量部と、の共重合体を含む、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の防錆塗膜。
〔5〕
前記塩化ビニリデン系樹脂(1)30〜80質量部と、
前記アクリル系樹脂(2)20〜70質量部と、を含み、
前記塩化ビニリデン系樹脂(1)と前記アクリル系樹脂(2)との合計が、100質量部である、
前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の防錆塗膜。
〔6〕
前記アクリル系樹脂(2)が下記式(i)で表されるSi含有化合物をも含んでいる、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の防錆塗膜。
(R−Si−(R4−n (i)
(式(i)中、
nは0から3の整数であり、
は、互いに独立して、水素、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、及び炭素数5〜6のシクロアルキル基からなる群より選ばれる基であり、
は、互いに独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、及び水酸基からなる群より選ばれる基である。)
〔7〕
塩化ビニリデン系樹脂(1)とアクリル系樹脂(2)とを含み、
アクリル系樹脂(2)のガラス転移温度(Tg)が20〜40℃である、
水系防錆塗料。
〔8〕
前記アクリル系樹脂(2)は、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体を含む、前項〔7〕に記載の水系防錆塗料。
〔9〕
前記アクリル系樹脂(2)は、加水分解性シラン単量体単位を含む共重合体を含む、前項〔7〕又は〔8〕に記載の水系防錆塗料。
〔10〕
前記塩化ビニリデン系樹脂(1)が、塩化ビニリデン単量体単位70〜92質量部と、該塩化ビニリデン単量体と共重合可能な少なくとも1種のビニル系単量体単位8〜30質量部と、の共重合体を含む、前項〔7〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の水系防錆塗料。
〔11〕
前記塩化ビニリデン系樹脂(1)30〜80質量部と、
前記アクリル系樹脂(2)20〜70質量部と、を含み、
前記塩化ビニリデン系樹脂(1)と前記アクリル系樹脂(2)との合計が、100質量部である、
前項〔7〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の水系防錆塗料。
〔12〕
前記アクリル系樹脂(2)が下記式(i)で表されるSi含有化合物をも含んでいる、前項〔7〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の水系防錆塗料。
(R−Si−(R4−n (i)
(式(i)中、
nは0から3の整数であり、
は、互いに独立して、水素、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、及び炭素数5〜6のシクロアルキル基からなる群より選ばれる基であり、
は、互いに独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、及び水酸基からなる群より選ばれる基である。)
本発明によれば、防錆性、バリア性、及び耐候性に優れる防錆塗膜、及び該防錆塗膜に用いられる水系防錆塗料を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔防錆塗膜〕
本実施形態に係る防錆塗膜は、
塩化ビニリデン系樹脂(1)とアクリル系樹脂(2)とを含み、
前記アクリル系樹脂(2)のガラス転移温度(Tg)が20〜40℃である。
<塩化ビニリデン系樹脂(1)>
本実施形態で用いる塩化ビニリデン系樹脂(1)は、特に限定されず、単独重合体であっても共重合体であってもよいが、例えば、塩化ビニリデン単量体から導かれる構成単位と、これと共重合可能な少なくとも1種以上のその他のビニル系単量体から導かれる構成単位と、を含むことが好ましい。なお、本明細書において「単量体」とは、重合前の化合物をいい、「単量体単位」とは、単量体から導かれる樹脂中の構成単位をいう。
上記塩化ビニリデン系樹脂(1)を構成するラジカル重合性単量体由来の構成単位は特に限定されるものではないが、塩化ビニリデン系樹脂(1)としては、例えば、共重合体を構成する単量体単位を100質量部として、塩化ビニリデン単量体単位70〜92質量部と、該塩化ビニリデン単量体と共重合可能な少なくとも1種以上のその他のビニル系単量体単位8〜30質量部を含むものが好ましい。
上記塩化ビニリデン単量体単位の含有量は、70〜92質量部が好ましく、70〜87質量部がより好ましく、70〜83質量部がさらに好ましい。塩化ビニリデン単量体単位が70質量部以上であることにより、バリア性の低下がより抑制されるためより優れた防錆性が効果的に発現できる傾向にある。一方、92質量部以下であることにより、塗膜の成膜性の低下や防錆性の低下がさらに抑制できるばかりでなく、光や熱による塗膜の変色が抑制されるため耐候性もより向上する傾向にある。
また、ビニル系単量体単位の含有量は、好ましくは8〜30質量部であり、より好ましくは13〜30質量部であり、さらに好ましくは17〜30質量部である。ビニル系単量体単位の含有量が8質量部以上であることにより、成膜性がより向上し基材への密着性が良くなるためより優れた防錆性が発現する傾向にある。また、光や熱による塗膜の変色がより少なくなるためより耐候性が向上する傾向にある。一方、ビニル系単量体単位の含有量が30質量部以下であることにより、防錆性とバリア性の低下を一層防ぐことができる傾向にある。
前記塩化ビニリデン単量体と共重合可能な、その他のビニル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル等のエチレン系α,β−不飽和カルボン酸のアルキルエステル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基を有する単量体;アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピルなどのエチレン系α,β−不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエチレン系α,β−不飽和カルボン酸エポキシ基含有アルキルエステル;アクリルアミド等のエチレン系α,β−不飽和カルボン酸のアミド化合物;塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル;酢酸アリル等のアリルエステル;アリルメチルエーテル等のアリルエーテル;スチレン系化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸含有ビニル系単量体が挙げられる。これらの中でもアクリル酸ブチルやメタクリル酸メチル、塩化ビニル、アクリル酸やメタクリル酸が汎用性と作業性の点から好ましい。
塩化ビニリデン系樹脂(1)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合により製造することができる。ラジカル重合の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられる。このなかでも、本実施形態では乳化重合により製造することが好ましい。乳化重合法を用いた製造方法では、塩化ビニリデン単量体と前記のビニル系単量体とを所定の範囲内で混合し、重合開始剤、界面活性剤等を添加して乳化重合することにより塩化ビニリデン系樹脂を含むエマルションを得ることができる。なお、重合開始剤、界面活性剤等の種類は特に限定されず、公知のものを用いることができる。また、この乳化重合は従来公知の方法と同様の方法で実施することができる。
塩化ビニリデン系樹脂エマルションの平均粒子径は好ましくは50〜250nmであり、より好ましくは100〜200nmであり、さらに好ましくは100〜170nmである。平均粒子径が50nm以上であることにより、エマルションの粘度が高過ぎないので、塗料化時の分散不良を防止できる傾向にある。一方、平均粒子径が250nm以下であることにより、十分な耐候性を効果的に発現できる傾向にある。なお、平均粒子径は実施例に記載の方法により測定することができる。
<アクリル系樹脂(2)>
本実施形態で用いるアクリル系樹脂(2)はガラス転移温度(Tg)が20℃以上40℃以下である。ガラス転移温度(Tg)は、23℃以上40℃以下が好ましく、23℃以上38℃以下がより好ましい。ガラス転移温度(Tg)が20℃未満であると、塩化ビニリデン系樹脂との混合膜に十分な防錆性、バリア性を発現することが難しい。また、ガラス転移温度(Tg)が40℃より高いと、塩化ビニリデン系樹脂との混合膜に十分な耐候性を与えることができない。一方で、ガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であることにより、防錆性、バリア性、及び耐候性に優れる防錆塗膜を得ることができる。ガラス転移温度(Tg)は、アクリル系樹脂(2)を構成する単量体単位の組成により制御することができる。本実施形態で用いられるアクリル系樹脂は特に限定されず、単独重合体であっても共重合体であってもよいが、樹脂物性を調節する点から共重合体であることが好ましい。
なお、本実施形態において単独重合体で使用するTgは例えばポリマーハンドブック(John Willey&Sons)に記載されている値を使用することができる。共重合体のTg(K:絶対温度)は、重合体を構成する単量体の単独重合体のTgと単量体の共重合比率(共重合体中の質量分率)より次式によって推定することが可能である。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・
Tg:単量体1、2・・・から導かれる構成単位を含む共重合体のTg(゜K)
W1、W2・・:単量体1、単量体2、・・の共重合体中の質量分率
ここでW1+W2+・・=1
Tg1、Tg2・・:単量体1、単量体2、・・の単独重合体のTg(゜K)
計算に使用する単量体の単独重合体のTg(゜K)は、例えばポリマーハンドブック(John Willey&Sons)に記載されている。以下、一部の単独重合体のTgを例示する。カッコ内の値が単独重合体のTgを示す。ポリスチレン(373゜K)、ポリメタクリル酸メチル(378゜K)、ポリメタクリル酸シクロヘキシル(339゜K)、ポリアクリル酸ブチル(219゜K)、ポリアクリル酸(379゜K)である。なお、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、Si含有化合物、分子中にビニル基、アクリロイル基あるいはメタクリロイル基などのラジカル重合性の二重結合を有しアクリル系単量体と共重合可能な界面活性剤はTg計算に考慮しない。
アクリル系樹脂(2)からは、熱分解ガスクロマトグラフィーや質量分析熱分解ガスクロマトグラフィーにより単量体単位の組成を分析し、上記式からTgを特定することができる。
アクリル系樹脂(2)を構成するラジカル重合性単量体由来の構成単位は特に限定されるものではないが、アクリル系樹脂(2)としては、例えば、少なくとも1種のカルボキシル基を持つエチレン性不飽和単量体単位と、少なくとも1種の他のエチレン性不飽和単量体単位とを含んでなるものが好ましい。
カルボキシル基を持つエチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸、及び無水マレイン酸、並びに、イタコン酸、及びマレイン酸の半エステルならなる群より選ばれる1又は2以上のエチレン性不飽和単量体を使用することが好ましい。このなかでも、アクリル酸とメタクリル酸が好ましい。
さらに本実施形態で用いられる他のエチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル(以下、単に「(メタ)アクリル酸エステル」ともいう。);スチレン、ビニルトルエン等の芳香族単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、パーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;ブタジエン等のジエン類;(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ジアセトン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アシッドホスホオキシエチル、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル、メチルプロパンスルホン酸アクリルアミド、ジビニルベンゼン、(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の種々の単量体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
本実施形態で用いる(メタ)アクリル酸エステルの中でもシクロアルキル基を含有するエチレン性不飽和単量体を使用することが好ましい。シクロアルキル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、具体的には、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、及び(メタ)アクリル酸第3級ブチルシクロヘキシル等からなる群より選ばれる1種又は2種以上の単量体を使用することが好ましい。このなかでも、特に好ましくは、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルである。このように、アクリル系樹脂(2)として、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体を用いることにより、耐候性により優れる傾向にある。
上記シクロアルキルエチレン性不飽和単量体の含有量は、アクリル系樹脂(2)に使用する重合性単量体全体を100質量部として、5〜50質量部が好ましく、より好ましくは10〜45質量部であり、さらに好ましくは20〜40質量部である。含有量が5質量部以上であることにより、耐候性により優れる傾向にある。また、含有量が50質量部以下であることにより、重合安定性により優れる傾向にある。
本実施形態で用いるアクリル系樹脂(2)は、加水分解性シラン単量体単位を含むシリコーン変性アクリル系共重合体を含む樹脂であってもよい。このようなアクリル系樹脂(2)を用いることにより、耐候性により優れる傾向にある。
当該加水分解性シラン単量体としては、特に限定されないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等からなる群より選ばれる1種又は2種以上の単量体を使用することが好ましい。このなかでも、特に好ましくは、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランである。
加水分解性シラン単量体の含有量は、アクリル系樹脂(2)に使用する重合性単量体全体を100質量部として、0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.05〜2質量部である。0.01質量部以上であることにより、基材との密着性が向上するため耐候性が向上する傾向にある。また、5質量部以下であることにより、塗膜の柔軟性が維持される傾向にある。
本実施形態で用いるアクリル系樹脂(2)がSi含有化合物をも含んだ樹脂であってもよい。本実施形態に使用されるSi含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(i)で表される化合物が挙げられる。
(R−Si−(R4−n (i)
(式(i)中、
nは0〜3の整数であり、Rは、互いに独立して、水素、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、及び炭素数5〜6のシクロアルキル基からなる群より選ばれる基であり、Rは、互いに独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、及び水酸基からなる群より選ばれる基である。)
Si含有化合物としては、式(i)においてn=0であるシラン(I)又は式(i)においてn=1であるシラン(II)の少なくとも1種を含んでいることが好ましい。このなかでも、良好な重合安定性を得るためには式(i)においてn=1であるシラン(II)を含むことがより好ましい。
シラン(I)のRは、特に限定されないが、互いに独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、水酸基が好ましい。このようなシラン(I)の好ましい具体例としては、特に限定されないが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。
シラン(II)のRとしては、特に限定されないが、例えば、メチル基、フェニル基が好ましい。また、Rは、特に限定されないが、互いに独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、水酸基が好ましい。このようなシラン(II)の好ましい具体例としては、特に限定されないが、メチルトリメトシキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、柔軟性が必要とされる場合には、Si含有化合物として、環状シラン及び式(i)においてn=2であるシラン(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を用いることが好ましい。さらに、シラン(II)と、環状シラン及びシラン(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を併用することがより好ましい。これにより、Si含有化合物が形成するシリコーン重合体の架橋密度を低くし、重合体の構造が複雑になるのを防ぐことができ、これによって、アクリル系樹脂(2)から提供される塗膜に柔軟性を付与することができる傾向にある。
環状シランとしては、特に限定されないが、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
シラン(III)のRとしては、特に限定されないが、例えば、メチル基、フェニル基が好ましく、Rとしては、特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、水酸基が好ましい。このようなシラン(III)としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等が挙げられる。
さらに、Si含有化合物には、線状シロキサン、アルコキシシランオリゴマー、及び式(i)においてn=3であるシラン(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。このようなSi含有化合物を用いることにより、用途に合った膜に硬さの調整により優れる傾向にある。
シラン(IV)のRとしては、特に限定されないが、例えば、メチル基、フェニル基が好ましく、Rとしては、特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、水酸基が好ましい。このようなシラン(IV)としては、特に限定されないが、例えば、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン等が挙げられる。
線状シロキサンとしては、特に限定されないが、例えば、下記の式(ii)、(iii)、(iv)で表される化合物が挙げられる。

(式(ii)、(iii)、(iv)中、Rは、互いに独立して、水素、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基、及び炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基、エポキシ基、アルキレンオキサイド基、及びポリアルキレンオキサイド基からなる群より選ばれる基であり、Rは、互いに独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、水酸基からなる群より選ばれる基であり、mは1〜999の正の整数を表す。)
Si含有化合物は、シラン(II)、環状シラン、シラン(III)、線状シロキサン、アルコキシシランオリゴマー、シラン(IV)からなる群から選ばれる少なくとも1種に加え、クロロシランを含むことができる。クロロシランとしては、特に限定されないが、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシランが挙げられる。
上記Si含有化合物を用いることによって、本実施形態のアクリル系樹脂(2)より得られる塗膜の屋外などに長期曝露における光沢保持性をより改善することができる。上記したアクリル系樹脂(2)中のSi含有化合物の存在は、29SiNMR(29Si核磁気共鳴スペクトル)又はHNMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)によって知ることができる。例えば、シラン(II)の加水分解脱水縮合物は、29SiNMRのケミカルシフトが−40〜−80PPMにピークを示すため、当該ピークを確認することで同定することができる。Si含有化合物の含有量は、アクリル系樹脂(2)100質量部に対して、0.01〜200質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜150質量部であり、さらに好ましくは0.1〜100質量部である。Si含有化合物の含有量が0.01質量部以上であることにより、膜に柔軟性を与える傾向にある。一方、Si含有化合物の含有量が200質量部以下であることにより、アクリル系樹脂(2)による基材との密着性を維持することができ、耐候性の低下を防ぐことができる傾向にある。
本実施形態のアクリル系樹脂(2)はラジカル重合により製造することができる。ラジカル重合の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられる。このなかでも、乳化重合を用いた製造方法が好ましい。乳化重合法は従来公知の方法により行なうことができる。その代表例としては、水中にて乳化剤及び重合開始剤などの存在下で、pHが4以下の状態で重合性単量体を、通常60〜90℃の加温下で乳化重合する方法が挙げられる。この工程を一回又は複数段回繰り返し行う方法も挙げられる。
本実施形態で用いる重合方法としては、単量体を一括して仕込む単量体一括仕込み法や、単量体を連続的に滴下する単量体滴下法、単量体と水と乳化剤とを予め混合乳化しておき、これらを滴下するプレエマルション法、あるいは、これらを組み合わせる方法などが挙げられる。なお、重合開始剤の使用方法は特に限定されるものではない。また、Si含有化合物の使用方法としては、加水分解性シランの縮合反応と不飽和単量体のラジカル重合を同時に及び/又は加水分解性シランの縮合反応を先行させた後に不飽和単量体のラジカル重合を進行させる乳化重合方法又は不飽和単量体のラジカル重合を進行させた後に加水分解性シランの縮合反応を進行させる方法などが用いられる。
本実施形態のアクリル系樹脂を乳化重合する際に使用する重合開始剤としては、特に限定されず、一般に用いられるラジカル開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤は、熱又は還元性物質等によってラジカルを生成して重合性単量体の付加重合を起こさせるもので、水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物がある。このようなラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。このなかでも、好ましくは水溶性のものである。なお、重合速度の促進や低温反応を望む場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホオキシレート塩等の還元剤をラジカル重合開始剤と組み合わせて用いることができる。
必要に応じて乳化重合に際して、分子量調整剤を使用することができる。分子量調整剤としては、特に限定されないが、具体的には、ドデシルメルカプタン、ブチルメルカプタン等が挙げられる。使用方法は特に限定されるものではないが、その量は全体単量体量の2%以下が好ましい。
本実施形態のSi含有化合物を用いた乳化重合において、乳化重合終了後、成膜時の硬化用触媒として、例えばジブチルすずジラウレート、ジオクチルすずジラウレート、ジブチルすずジアセテート、オクチル酸すず、ラウリン酸すず、オクチル酸鉄、オクチル酸鉛、テトラブチルチタネートなどの有機酸の金属塩;n−ヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどのアミン化合物を添加することができる。なおこれらの硬化用触媒が水溶性でない場合には、その使用に際して、乳化剤と水を用いてエマルション化しておくことが望ましい。なお、硬化用触媒は上記に限定されない。
乳化重合により得られたアクリル系樹脂エマルションの平均粒子径は好ましくは10〜250nmであり、より好ましくは20〜200nmであり、さらに好ましくは30〜180nmである。平均粒子径が10nm以上であることにより、エマルションの粘度が高くなり過ぎて塗料化時に分散不良を起こすことを効果的に抑制でき、また効果的に十分な耐候性が発現できる傾向にある。一方、250nm以下であることにより、十分な防錆性を効果的に発現できる傾向にある。なお、平均粒子径は実施例に記載の方法により測定することができる。
〔防錆塗膜の形成方法〕
本実施形態の水系防錆塗料から防錆塗膜を形成する方法には特に制限はないが、本技術分野において従来公知、又は好適に用いられている方法(例えば刷毛塗り、スプレー塗装、ローラー塗装、浸漬塗装、静電塗装、電着塗装)を、適宜使用することができる。
〔水系防錆塗料〕
本実施形態に係る水系防錆塗料は、塩化ビニリデン系樹脂(1)とアクリル系樹脂(2)を含み、アクリル系樹脂(2)のガラス転移温度(Tg)が20〜40℃である。水系防錆塗料は、塩化ビニリデン系樹脂エマルションとアクリル系樹脂エマルションは混合して水系防錆塗料としたものが好ましい。
(塩化ビニリデン系樹脂(1))
塩化ビニリデン系樹脂(1)は、特に限定されないが、例えば、塩化ビニリデン系樹脂エマルションの状態であることが好ましい。塩化ビニリデン系樹脂エマルションは、塩化ビニリデン系単量体70〜92質量部と、該塩化ビニリデン単量体と共重合可能な少なくとも1種のビニル系単量体8〜30質量部との混合物を乳化重合することにより得ることができる。なお、塩化ビニリデン系樹脂(1)及び乳化重合方法については上記と同様の内容が挙げられる。
(アクリル系樹脂(2))
アクリル系樹脂(2)は、特に限定されないが、例えば、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体、加水分解性シラン単量体単位を含む共重合体であることが好ましい。また、アクリル系樹脂(2)は、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂エマルションの状態であることが好ましい。アクリル系樹脂エマルションは、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む単量体混合物を乳化重合により共重合すること、又は、加水分解性シラン単量体を含む単量体混合物を乳化重合により共重合することにより得ることができる。なお、アクリル系樹脂(2)及び乳化重合方法については上記と同様の内容が挙げられる。
本実施形態における防錆塗膜及び水系防錆塗料の塩化ビニリデン系樹脂(1)の固形分の配合量は、塩化ビニリデン系樹脂(1)とアクリル系樹脂(2)との合計100質量部に対して、30〜80質量部が好ましく、50〜70質量部がさらに好ましい。また、アクリル系樹脂(2)の固形分の配合量は、塩化ビニリデン系樹脂(1)とアクリル系樹脂(2)との合計100質量部に対して、20〜70質量部が好ましく、30〜50質量部がさらに好ましい。アクリル系樹脂(2)の含有量が20質量部以上であることにより、光や熱による塗膜の変色が少なくなるため耐候性が向上するばかりでなく、重ね塗り時の耐水密着性、バリア性が向上する傾向にある。一方、含有量が70質量部以下であることにより防錆性、バリア性の低下を一層防ぐことができる傾向にある。
〔その他の添加剤〕
本実施形態の防錆塗膜及び水系防錆塗料は、塩化ビニリデン系樹脂、及びアクリル系樹脂のみで構成して、コーティング剤としてクリヤー塗膜を形成させるために使用することもできるし、必要に応じて、一般的に使用されている種々の公知成分、たとえば、成膜助剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、防腐剤、及び、界面活性剤等の安定化剤、湿潤剤、可塑剤、フラッシュラスト防止剤、pH調整剤、ワックス、シリコーンオイルなどを任意に配合してもよい。また、必要に応じて、着色染顔料、体質顔料、防錆顔料、紫外線吸収剤を配合することもできる。
成膜助剤として、特に限定されないが、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ブタンジオールイソブチレート、グルタル酸ジイソプロピル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルなどが挙げられる。これら成膜助剤は、単独で、又は任意に併用して配合することができる。
増粘剤としては、特に限定されないが、例えば、変性オルガノクレー、ポリビニルアルコール(部分鹸化ポリ酢酸ビニル等を含む)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の高分子分散安定剤等、その他ポリエーテル系、ポリカルボン酸系増粘剤等が挙げられる。
着色顔料としては、特に限定されないが、例えば、白色顔料であれば、酸化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、リトポン(硫化亜鉛と硫酸バリウムの混合物)、二酸化チタン、沈降性硫酸バリウム及びバライト粉等の無機顔料及び、ポリスチレン系共重合体粒子等の有機顔料が使用できる。また、黒色顔料であればカーボンブラック等が、赤色顔料であれば鉛丹、酸化鉄赤等が、黄色顔料であれば、黄鉛、亜鉛黄等が、青色顔料であればウルトラマリンブルー、フタロシアニン青が、緑色顔料であればフタロシアニン緑等が使用できる。
紫外線吸収剤にとしては、特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物があり、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として具体的には、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアリルオキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5’−ジ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物(BASFジャパン株式会社製、製品名:TINUVIN1130)、イソオクチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート(BASFジャパン株式会社製、製品名:TINUVIN384)、2−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロフェニル)ベンゾトリアゾール(BASFジャパン株式会社製、製品名:TINUVIN571)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチルレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2,2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェノールエチル)フェノール(BASFジャパン株式会社製、製品名:TINUVIN900)などが挙げられる。
〔用途〕
本実施形態において、水性防錆塗料を用いて防錆塗膜を設けるべき物品には特に制限はなく、例えば建築及び建材、橋梁やプラントなどの大型構造物などの各種金属部材を始めとする、本技術分野において従来好適に防錆塗膜が適用されている物品に、適宜適用することができる。
以下、実施例等により本実施形態を更に具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例等により何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の部及び%は、別途の記載がないかぎりそれぞれ質量部、及び質量%を示す。
<平均粒子径>
得られた塩化ビニリデン系樹脂エマルションVD−aの平均粒子径を、大塚電子株式会社製の濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000にて測定した。
また、得られたアクリル系樹脂エマルションAC−a〜AC−hの平均粒子径を、リーズ&ノースラップ社製のマイクロトラック粒度分布計にて測定した。
<固形分率の測定>
得られた塩化ビニリデン系樹脂エマルションVD−aの固形分率をCEM社製 水分固形分計SMART System5にて測定した。
また、得られたアクリル系樹脂エマルションAC−a〜AC−hを予め質量の分かっているアルミ皿に、約1g正確に秤量し、恒温乾燥機で105℃にて3時間乾燥した後、シリカゲルを入れたデシケーター中で、30分放冷後に精秤した。当該物質の乾燥後質量を乾燥前質量で割ったものをアクリル系樹脂エマルションAC−a〜AC−hの固形分率とした。
[防錆性試験]
<防錆試験用顔料分散液の作製>
純水 16.35部
エチレングリコールモノブチルエーテル(成膜助剤:和光純薬工業(株)製)1.89部
Benton LT
(増粘剤:商品名、NL.Induatries Inc.製) 0.13部
SNデフォーマーH2(消泡剤:商品名、サンノプコ(株)製) 0.20部
エマルゲンPP290(安定化剤:商品名、花王(株)製)30%水溶液 3.43部
サーフィノール104E(湿潤剤:商品名、日信化学工業(株)製) 0.30部
Proxel BD(防腐剤:商品名、Avecia製) 0.05部
BYK154(分散剤:商品名、BYK Chemie Gmbh製) 0.50部
K−white84(防錆顔料:商品名、テイカ(株)製) 5.96部
JR−701(着色顔料:商品名、テイカ(株)製) 5.60部
トダカラー120ED(着色顔料:商品名、戸田工業(株)製) 0.30部
タルクMS(体質顔料:商品名、日本タルク(株)製) 20.37部
以上を容器に仕込み、VMA GETZMANN GmbH社製 DISPERMAT GMBH−D−51580にて毎分10000回転で20分間攪拌して防錆試験用顔料分散液を調製した。
<試験用防錆塗料の作製>
防錆試験用顔料分散液 55.08部
実施例又は比較例で調製した水性防錆塗料 45.50部
TINUVIN 1130
(紫外線吸収剤:商品名、BASFジャパン(株)製) 0.45部
10%亜硝酸ナトリウム(フラッシュラスト防止剤:和光純薬工業(株)製)1.14部
CS−12(成膜助剤:商品名、チッソ(株)製) 1.00部
上記組成物を均一になるまで攪拌して各試験用防錆塗料を得た。
<防錆性>
JIS K 5600−1−4に準処して処理、調整した研磨鋼板(寸法:70×150×1t)にアプリケーターを用いて試験用防錆塗料を防錆塗膜が40μmとなるように塗装し、乾燥させたのち、端部と背面も試験用防錆塗料を用いて塗装した。この塗装板を20℃、55%RH雰囲気下、7日間乾燥した。このようにして得られた塗板をJIS K 5600−7−1に準処して耐中性塩水噴霧性の試験を240時間行った。なお防錆性の評価は以下の基準とした。
○:膨れがなく、スクラッチからの錆巾が1mm以下
△:膨れがあるが、スクラッチからの錆巾が1mm以下
×:膨れがあり、スクラッチからの錆巾が1mm以上
××:膨れが激しく、スクラッチからの錆巾が1mm以上
[バリア性試験]
<バリア性試験用塗工フィルムの作製>
コロナ放電処理を施したナイロン(デュポン商標)に、アンカーコート剤(武田薬品工業(株)製、タケラックA−310(商品名)/タケネートA−3(商品名)/酢酸エチル=12/2/98重量比)を、塗工量0.2g/mとなるよう塗布乾燥し、次いで実施例又は比較例で調製した水性防錆塗料をメイヤーロッドを用いて乾燥後塗膜重量が5g/mとなるように塗布し、熱風循環乾燥機中120℃、10秒にて乾燥した後、40℃で2日エージング処理を行った。
<バリア性(水蒸気透過率)>
得られた塗工フィルムをJIS Z 0208に準処して透湿度試験(カップ法)を40℃において相対湿度90%で行った。なおバリア性試験の評価は以下の基準とした。
◎:透湿度 60%未満
○:透湿度 60%以上70%未満
△:透湿度 70以上80%未満
×:透湿度 80%以上
[耐候性試験]
<耐候試験用顔料分散液の作製>
SNディスパーサント5027(分散剤:製品名、サンノプコ(株)製) 10.5部
アンモニア水 1.0部
プロピレングリコール 49.0部
水 310.4部
タイピュアR706(白色顔料:商品名、デュポン(株)製) 700.0部
SND−1310 (消泡剤:商品名、サンノプコ(株)製) 6.0部
上記、組成物を卓上サンドミルにて20分分散させ、耐候試験用顔料分散液を得た。
<エナメル塗料の作製>
アクリル系樹脂エマルション(AC−e)(固形分換算) 500.0部
エチレングリコールモノブチルエーテル(成膜助剤:和光純薬工業(株)製)50.0部
水 50.0部
CS−12(商品名、チッソ(株)製) 100.0部
耐候試験用顔料分散液 512.8部アデカノールUH−438(増粘剤:商品名、旭電化工業(株)製)10%水溶液 適量
上記、配合物をスリーワンモーターにて20分間分散させたのち濾過し、エナメル塗料を得た。
〔耐候試験用クリヤー塗料の作製〕
実施例又は比較例で調製した水性防錆塗料(固形分換算) 100.0部
CS−12(商品名、チッソ(株)製) 20.0部
水(粘度調整用) 適量
上記、配合物をスリーワンモーターにて20分間分散させたのち濾過し、クリヤー塗料を得た。
<耐候性>
コーターを用いて、膜厚が0.15mmとなるように硫酸アルマイト板に上記のエナメル塗料を塗布し、100℃、10分間乾燥させた。室温に戻し十分乾燥しエナメル塗膜を得た。次に、コーターを用いて、膜厚が0.15mmとなるようにエナメル塗膜上に耐候試験用クリヤー塗料を重ね塗りし、50℃、1週間乾燥させクリヤー塗膜を得た。引き続きサンシャイン型ウエザオメーター(スガ試験機(株)製、WEL−SUN−DC)を使用して曝露試験(降雨サイクル;18分/2時間、ブラックパネル温度60〜66℃)を行った。曝露300時間経過後の色差を分光測色計(コニカミノルタ製、CM−700d)で測定した。なお判定基準は色差が10以下のものを合格、10より大きく15以下のものを準合格、15以上のものを不合格とした。
<塩化ビニリデン系樹脂エマルションの合成>
[塩化ビニリデン系樹脂エマルション VD−a]
ガラスライニングを施した耐圧反応器中に水100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.2部、過硫酸ナトリウム0.1部を仕込み、脱気を行った後、内容物の温度を55℃に保った。別の容器に塩化ビニリデン70部、塩化ビニル20部、及びアクリル酸メチル10部を計量混合して単量体混合物を作製した。該単量体混合物のうち2部を上記耐圧反応器中に一括添加し、内圧が降下するまで重合した。続いて、単量体混合物98部を12時間にわたって連続的に定量圧入した。並行して、アルキルスルホン酸ソーダ1.0部も10時間にわたって連続的に定量圧入した。この間、内容物を55℃に保ち、内圧が十分に降下するまで反応を進行させたのち室温冷却した。かくして得られたラテックスに15%アルキルスルホン酸ソーダ水溶液を加えて、20℃における表面張力が42mN/mとなるように調整した。この後、エバポレーターに移し60℃に加温して未反応単量体を除去したのち室温まで冷却した。その後に樹脂固形分を50%に調整して塩化ビニリデン系樹脂エマルション〔VD−a〕を得た。得られたエマルションの平均粒子径は130nmであった。VD−aを表1に示す。
<アクリル系樹脂エマルションの合成>
[アクリル系樹脂エマルション AC−a]
撹拌機、還流冷却器、2つの滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水50部とアニオン性反応性乳化剤「アクアロンKH−1025」(登録商標、第一工業製薬(株)製、25%水溶液)0.8部、を投入し、反応容器温度を80℃に保ったまま、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を1.5部添加した。添加した5分後に、メタクリル酸メチル43部、メタクリル酸シクロヘキシル20部、アクリル酸ブチル35部、アクリル酸2部、「アクアロンKH−1025」6.0部、ノニオン性乳化剤「エマルゲン120」(商品名、花王(株)製)の20%水溶液1.5部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液8.5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.25部、水70部をホモジナイザーにより5分間混合して作製した乳化液を反応容器に200分かけて滴下した。反応容器温度を80℃に保ったまま60分維持し、その後室温まで冷却し、アクリル系樹脂エマルション〔AC−a〕を得た。得られたエマルションのガラス転移温度(Tg)は23℃、平均粒子径は130nm、固形分は46.0%であった。〔AC−a〕を表1に示す。
[アクリル系樹脂エマルション AC−b]
撹拌機、還流冷却器、2つの滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水50部とアニオン系反応性乳化剤「アクアロンKH−1025」(登録商標、第一工業製薬(株)製、25%水溶液)0.8部、を投入し、反応容器温度を80℃に保ったまま、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を1.5部添加した。添加した5分後に、メタクリル酸メチル47部、メタクリル酸シクロヘキシル20部、アクリル酸ブチル31部、アクリル酸2部、「アクアロンKH−1025」6.0部、ノニオン性乳化剤「エマルゲン120」(商品名、花王(株)製)の20%水溶液1.5部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液8.5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.25部、水70部をホモジナイザーにより5分間混合して作製した乳化液を反応容器に200分かけて滴下した。反応容器温度を80℃に保ったまま60分維持し、その後室温まで冷却し、アクリル系樹脂エマルション〔AC−b〕を得た。得られたエマルションのガラス転移温度(Tg)は30℃、平均粒子径は130nm、固形分は46.0%であった。〔AC−b〕を表1に示す。
[アクリル系樹脂エマルション AC−c]
撹拌機、還流冷却器、2つの滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水50部とアニオン性反応性乳化剤「アクアロンKH−1025」(登録商標、第一工業製薬(株)製、25%水溶液)0.8部、を投入し、反応容器温度を80℃に保ったまま、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を1.5部添加した。添加した5分後に、メタクリル酸メチル45部、メタクリル酸シクロヘキシル20部、アクリル酸ブチル33部、アクリル酸2部、「アクアロンKH−1025」6.0部、ノニオン性乳化剤「エマルゲン120」(商品名、花王(株)製)の20%水溶液1.5部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液8.5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.7部、メチルトリメトキシシラン3.4部、ジメチルジメトキシシラン5.4部,水70部をホモジナイザーにより5分間混合して作製した乳化液を反応容器に200分かけて滴下した。反応容器温度を80℃に保ったまま60分維持し、その後室温まで冷却し、アクリル系樹脂エマルション〔AC−c〕を得た。得られたエマルションのガラス転移温度(Tg)は26℃、平均粒子径は130nm、固形分は47.3%であった。〔AC−c〕を表1に示す。
[アクリル系樹脂エマルション AC−d]
撹拌機、還流冷却器、2つの滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水50部とアニオン性反応性乳化剤「アクアロンKH−1025」(登録商標、第一工業製薬(株)製、25%水溶液)0.8部、を投入し、反応容器温度を80℃に保ったまま、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を1.5部添加した。添加した5分後に、スチレン0.1部、メタクリル酸メチル56部、メタクリル酸シクロヘキシル10部、アクリル酸ブチル32部、アクリル酸2部、「アクアロンKH−1025」6.0部、ノニオン性乳化剤「エマルゲン120」(商品名、花王(株)製)の20%水溶液1.5部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液8.5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.65部、水70部をホモジナイザーにより5分間混合して作製した乳化液を反応容器に200分かけて滴下した。反応容器温度を80℃に保ったまま60分維持し、その後室温まで冷却し、アクリル系樹脂エマルション〔AC−d〕を得た。得られたエマルションのガラス転移温度(Tg)は31℃、平均粒子径は120nm、固形分は46.1%であった。〔AC−d〕を表1に示す。
[アクリル系樹脂エマルション AC−e]
撹拌機、還流冷却器、2つの滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水50部とアニオン性反応性乳化剤「アクアロンKH−1025」(登録商標、第一工業製薬(株)製、25%水溶液)0.8部、を投入し、反応容器温度を80℃に保ったまま、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を1.5部添加した。添加した5分後に、メタクリル酸メチル52部、メタクリル酸シクロヘキシル20部、アクリル酸ブチル26部、アクリル酸2部、「アクアロンKH−1025」6.0部、ノニオン性乳化剤「エマルゲン120」(商品名、花王(株)製)の20%水溶液1.5部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液8.5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.25部、水70部をホモジナイザーにより5分間混合して作製した乳化液を反応容器に200分かけて滴下した。反応容器温度を80℃に保ったまま60分維持し、その後室温まで冷却し、アクリル系樹脂エマルション〔AC−e〕を得た。得られたエマルションのガラス転移温度(Tg)は39℃、平均粒子径は120nm、固形分は46.0%であった。〔AC−e〕を表1に示す。
[アクリル系樹脂エマルション AC−f]
撹拌機、還流冷却器、2つの滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水50部とアニオン性反応性乳化剤「アクアロンKH−1025」(登録商標、第一工業製薬(株)製、25%水溶液)0.8部、を投入し、反応容器温度を80℃に保ったまま、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を1.5部添加した。添加した5分後に、メタクリル酸メチル47部、メタクリル酸シクロヘキシル20部、アクリル酸ブチル31部、アクリル酸2部、「アクアロンKH−1025」6.0部、ノニオン性乳化剤「エマルゲン120」(商品名、花王(株)製)の20%水溶液1.5部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液8.5部、水70部をホモジナイザーにより5分間混合して作製した乳化液を反応容器に200分かけて滴下した。反応容器温度を80℃に保ったまま60分維持し、その後室温まで冷却し、アクリル系樹脂エマルション〔AC−f〕を得た。得られたエマルションのガラス転移温度(Tg)は30℃、平均粒子径は130nm、固形分は45.9%であった。〔AC−f〕を表1に示す。
[アクリル系樹脂エマルション AC−g]
撹拌機、還流冷却器、2つの滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水50部とアニオン性反応性乳化剤「アクアロンKH−1025」(登録商標、第一工業製薬(株)製、25%水溶液)0.8部、を投入し、反応容器温度を80℃に保ったまま、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を1.5部添加した。添加した5分後に、メタクリル酸メチル33部、メタクリル酸シクロヘキシル20部、アクリル酸ブチル45部、アクリル酸2部、「アクアロンKH−1025」6.0部、ノニオン性乳化剤「エマルゲン120」(商品名、花王(株)製)の20%水溶液1.5部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液8.5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.25部、メチルトリメトキシシラン0.1部、ジメチルジメトキシシラン0.1部、水70部をホモジナイザーにより5分間混合して作製した乳化液を反応容器に200分かけて滴下した。反応容器温度を80℃に保ったまま60分維持し、その後室温まで冷却し、アクリル系樹脂エマルション〔AC−g〕を得た。得られたエマルションのガラス転移温度(Tg)は7℃、平均粒子径は120nm、固形分は46.0%であった。〔AC−g〕を表1に示す。
[アクリル系樹脂エマルション AC−h]
撹拌機、還流冷却器、2つの滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水50部とアニオン性反応性乳化剤「アクアロンKH−1025」(登録商標、第一工業製薬(株)製、25%水溶液)0.8部、を投入し、反応容器温度を80℃に保ったまま、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を1.5部添加した。添加した5分後に、メタクリル酸メチル58部、メタクリル酸シクロヘキシル20部、アクリル酸ブチル20部、アクリル酸2部、「アクアロンKH−1025」6.0部、ノニオン性乳化剤「エマルゲン120」(商品名、花王(株)製)の20%水溶液1.5部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液8.5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.25部、水70部をホモジナイザーにより5分間混合して作製した乳化液を反応容器に200分かけて滴下した。反応容器温度を80℃に保ったまま60分維持し、その後室温まで冷却し、アクリル系樹脂エマルション〔AC−h〕を得た。得られたエマルションのガラス転移温度(Tg)は51℃、平均粒子径は130nm、固形分は46.0%であった。〔AC−h〕を表1に示す。
[実施例1]
塩化ビニリデン系樹脂エマルション〔VD−a〕とアクリル系樹脂エマルションを〔AC−a〕を樹脂固形分比が50:50になるように配合、均一に混合し実施例1の水性防錆塗料を得た。得られた塗料を夫々防錆試験用塗膜、バリア性試験用塗工フィルム、耐候性試験用クリヤー塗膜にして、前記の試験を行った。その結果を表2に示す。
[実施例2]
アクリル系樹脂エマルションを〔AC−b〕に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2の水性防錆塗料を得た。得られた塗料を夫々防錆試験用塗膜、バリア性試験用塗工フィルム、耐候性試験用クリヤー塗膜にして、前記の試験を行った。その結果を表2に示す。
[実施例3]
アクリル系樹脂エマルションを〔AC−c〕に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例3の水性防錆塗料を得た。得られた塗料を夫々防錆試験用塗膜、バリア性試験用塗工フィルム、耐候性試験用クリヤー塗膜にして、前記の試験を行った。その結果を表2に示す。
[実施例4]
アクリル系樹脂エマルションを〔AC−d〕に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例4の水性防錆塗料を得た。得られた塗料を夫々防錆試験用塗膜、バリア性試験用塗工フィルム、耐候性試験用クリヤー塗膜にして、前記の試験を行った。その結果を表2に示す。
[実施例5]
アクリル系樹脂エマルションを〔AC−e〕に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例5の水性防錆塗料を得た。得られた塗料を夫々防錆試験用塗膜、バリア性試験用塗工フィルム、耐候性試験用クリヤー塗膜にして、前記の試験を行った。その結果を表2に示す。
[実施例6]
アクリル系樹脂エマルションを〔AC−f〕に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例6の水性防錆塗料を得た。得られた塗料を夫々防錆試験用塗膜、バリア性試験用塗工フィルム、耐候性試験用クリヤー塗膜にして、前記の試験を行った。その結果を表2に示す。
[比較例1]
アクリル系樹脂エマルションを〔AC−g〕に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の水性防錆塗料を得た。得られた塗料を夫々防錆試験用塗膜、バリア性試験用塗工フィルム、耐候性試験用クリヤー塗膜にして、前記の試験を行った。その結果を表3に示すが、防錆性とバリア性に劣るものであった。
[比較例2]
アクリル系樹脂エマルションを〔AC−h〕に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例2の水性防錆塗料を得た。得られた塗料を夫々防錆試験用塗膜、バリア性試験用塗工フィルム、耐候性試験用クリヤー塗膜にして、前記の試験を行った。その結果を表3に示すが、耐候性に劣るものであった。
[比較例3]
塩化ビニリデン系樹脂エマルション〔VD−a〕を未配合とし、アクリル系樹脂エマルションを〔AC−e〕に変更し、塩化ビニリデン系樹脂とアクリル系樹脂の固形分比0:100に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例3の水性防錆塗料を得た。得られた塗料を夫々防錆試験用塗膜、バリア性試験用塗工フィルム、耐候性試験用クリヤー塗膜にして、前記の試験を行った。その結果を表3に示すが、防錆性、バリア性に著しくに劣るものであった。
[比較例4]
アクリル系樹脂エマルションを未配合とし、塩化ビニリデン系樹脂とアクリル系樹脂の固形分比100:0に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例4の水性防錆塗料を得た。得られた塗料を夫々防錆試験用塗膜、バリア性試験用塗工フィルム、耐候性試験用クリヤー塗膜にして、前記の試験を行った。その結果を表3に示すが、耐候性に著しくに劣るものであった。
(1):塩化ビニリデン系樹脂
(2):アクリル系樹脂
(1):塩化ビニリデン系樹脂
(2):アクリル系樹脂
本発明は、防錆性、バリア性、耐候性を兼ね備えた防錆塗膜及び水系防錆塗料を提供できる。そのため、本発明は、各種金属部材への防錆塗料用途において好適であり、産業の各分野おいて高い利用可能性を有する。

Claims (12)

  1. 塩化ビニリデン系樹脂(1)とアクリル系樹脂(2)とを含み、
    前記アクリル系樹脂(2)のガラス転移温度(Tg)が20〜40℃である、
    防錆塗膜。
  2. 前記アクリル系樹脂(2)が、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体を含む、請求項1に記載の防錆塗膜。
  3. 前記アクリル系樹脂(2)が、加水分解性シラン単量体単位を含む共重合体を含む、請求項1又は2に記載の防錆塗膜。
  4. 前記塩化ビニリデン系樹脂(1)が、塩化ビニリデン単量体単位70〜92質量部と、該塩化ビニリデン単量体と共重合可能な少なくとも1種のビニル系単量体単位8〜30質量部と、の共重合体を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防錆塗膜。
  5. 前記塩化ビニリデン系樹脂(1)30〜80質量部と、
    前記アクリル系樹脂(2)20〜70質量部と、を含み、
    前記塩化ビニリデン系樹脂(1)と前記アクリル系樹脂(2)との合計が、100質量部である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の防錆塗膜。
  6. 前記アクリル系樹脂(2)が下記式(i)で表されるSi含有化合物をも含んでいる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の防錆塗膜。
    (R−Si−(R4−n (i)
    (式(i)中、
    nは0から3の整数であり、
    は、互いに独立して、水素、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、及び炭素数5〜6のシクロアルキル基からなる群より選ばれる基であり、
    は、互いに独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、及び水酸基からなる群より選ばれる基である。)
  7. 塩化ビニリデン系樹脂(1)とアクリル系樹脂(2)とを含み、
    アクリル系樹脂(2)のガラス転移温度(Tg)が20〜40℃である、
    水系防錆塗料。
  8. 前記アクリル系樹脂(2)は、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体を含む、請求項7に記載の水系防錆塗料。
  9. 前記アクリル系樹脂(2)は、加水分解性シラン単量体単位を含む共重合体を含む、請求項7又は8に記載の水系防錆塗料。
  10. 前記塩化ビニリデン系樹脂(1)が、塩化ビニリデン単量体単位70〜92質量部と、該塩化ビニリデン単量体と共重合可能な少なくとも1種のビニル系単量体単位8〜30質量部と、の共重合体を含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の水系防錆塗料。
  11. 前記塩化ビニリデン系樹脂(1)30〜80質量部と、
    前記アクリル系樹脂(2)20〜70質量部と、を含み、
    前記塩化ビニリデン系樹脂(1)と前記アクリル系樹脂(2)との合計が、100質量部である、
    請求項7〜10のいずれか1項に記載の水系防錆塗料。
  12. 前記アクリル系樹脂(2)が下記式(i)で表されるSi含有化合物をも含んでいる、請求項7〜11のいずれか1項に記載の水系防錆塗料。
    (R−Si−(R4−n (i)
    (式(i)中、
    nは0から3の整数であり、
    は、互いに独立して、水素、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、及び炭素数5〜6のシクロアルキル基からなる群より選ばれる基であり、
    は、互いに独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、及び水酸基からなる群より選ばれる基である。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104817922A (zh) * 2015-04-23 2015-08-05 柳州凡一科技有限公司 用于农业机械的防锈耐高温涂料

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