JP2014231113A - 多関節リンク機構の逆運動学解法、及びこの逆運動学解法を利用した教示データ作成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
多関節ロボットや、ポジショナなどの周辺装置は、各関節(ジョイント、軸)の回転動作や並進動作を行う軸方向や各関節間のつながりを定義したリンク機構で表現される。
このような多関節リンク機構の動きを計算するに際しては、多関節リンク機構の動きを決定する必要十分な駆動関節の移動・回転量を与えると共に、従動関節の移動・回転量を幾何学的な解析手法による計算やヤコビ行列を用いた収束計算により導出するとよい。導出結果に従って図形データを移動・回転することで、教示データのグラフィック表示を可能としている。
しかしながら、対象となる多関節リンク機構の構成は様々であり、ポジショナに限定したとしても、様々な構成のものが存在する(本実施形態の図2や図8など)。そのため、幾何学的な解法による逆変換では、多関節リンク機構の構成が異なるものに対しては使用できず、可能性のある全ての多関節リンク機構に対して事前に全ての幾何学的な解法を用意して対応できるようにしておく必要がある。
すなわち、特許文献1は、CAD図の作成装置を用いて前記CAD図で表示された機構部品形状をもとにリンク機構解析モデルを生成するシステムにおいて、入力された前記リンク機構解析モデルを、それと等価で、機構系の姿勢解析における独立変数を含むループで構成される前記リンク機構解析モデルに自動変換する機構解析モデリングシステムを開示する。
本発明に係る多関節リンク機構の逆運動学解法は、多関節型のロボットと、当該ロボットの周辺装置として配備された多関節リンク機構とからなるロボットシステムにおいて、前記多関節リンク機構に配置された対象物を所望の位置・姿勢に動かすために、当該多関節リンク機構の各関節の移動・回転量を決定する方法であって、前記多関節リンク機構は、駆動源により駆動される駆動関節と、前記駆動関節の動きに伴って従動的に動く従動関節とを有しており、以下の(i)〜(iii)の工程を行うことで、前記駆動関節及び従動関節の移動・回転量を決定することを特徴とする。
(ii) 前記多関節リンク機構に載置された対象物の所望の位置・姿勢より、(i)で選定した開ループリンク機構を構成する各関節の移動・回転量を導出する。
(iii) (ii)にて導出された開ループリンク機構の各関節の移動・回転量を固定値として、前記開ループリンク機構の関節の少なくとも一部及び非選定とされた関節で構成された閉ループリンク機構の各関節の移動・回転量を導出する。
好ましくは、前記多関節リンク機構が、対象物が載置され且つ当該対象物の位置、姿勢を可変とするポジショナとされているとよい。
本発明に係る教示データ作成装置は、多関節型のロボットと、当該ロボットの周辺装置として配備された多関節リンク機構とが備えられたロボットシステムにおいて、前記ロボット及び多関節リンク機構の教示データを決定する教示データ作成装置であって、前記教示データ作成装置が、上記した多関節リンク機構の逆運動学解法を実行するように構成されていることを特徴とする。
そこで、まずは、本発明に係るロボットシステムの概略を述べ、続いて、本発明に係る多関節リンク機構を有する装置の逆運動学解法の説明を行う。なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
[第1実施形態]
[ロボットシステム]
まず、本実施形態に係るロボットシステムの全体構成について説明する。
以下、多関節リンク機構10を有する装置の逆問題導出方法を用いた、ポジショナ3に対するオフライン教示データの算出方法について、述べることとする。
[関節、リンクの説明]
まず、図3には、対象となるポジショナ3(図2参照)がスケルトン表示されている。このスケルトンから明らかなように、対象となるポジショナ3を構成するリンク機構の中には、少なくとも1つの従動関節12を備えるものとなっている。
すなわち、開ループリンク(開ループリンク機構)は、固定側F(基礎側)から延びる第1リンク13、この第1リンク13の先端に回転従動関節12cを介してつながる第2リンク14、第2リンク14の先端に回転駆動関節11bを介してつながる第3リンク15及びワーク取り付け台8から構成されている。すなわち、開ループリンクとは、リンク部材と関節とから構成されており、その先端が自由端の状態となっているリンク機構のことである。
[逆問題(逆運動学)の説明(概略)]
このような構成の多関節リンク機構10の逆変換、すなわち、所望とするワークW(ワーク取り付け台8)の位置、姿勢を決定するために、並進駆動関節11a及び回転駆動関節11bをどの程度駆動させたらよいかを求め、その駆動量を教示データとして算出する方法は、以下の処理を行うことになる。
(i) 多関節リンク機構10から、ワークWの位置・姿勢を変化させる最小限のリンク構成からなる開ループリンク機構を選定する。
(ii) 多関節リンク機構10に載置されたワークWの所望の位置・姿勢より、(i)で選定した開ループリンク機構を構成する各関節の移動・回転量を導出する。
以上の処理を行う前に、まずは、教示データの決定の概略について説明する。
まず、
(STEP1)ワークW上の溶接部位に対して、所望の姿勢となるようにポジショナ3の値(関節値)を設定する。
(STEP3)溶接ロボット2が動作範囲となりかつ干渉しないように、必要に応じてスライダ位置を設定する。
もし、干渉が発生したり、溶接ロボット2が動作範囲外に移動する時は、STEP1やSTEP2の設定値を変更し、適切な教示データが算出されるまで繰り返すようにする。
上記のSTEP1について、詳述すると、
(STEP1−1)ワークW上の溶接部位として、溶接位置、溶接方向、溶接基準方向を指定し、その溶接姿勢が所望の溶接姿勢となるように左右上下の傾斜角度を指定する。
(STEP1−3)オフライン教示データ作成装置5内にて、ポジショナ3のワーク取り付け台8の姿勢から、ポジショナ3の各関節の値を計算する。
[逆問題(逆運動学)の説明(詳細)]
本実施形態において、本発明の技術は、上記した(STEP1−3)において実施される。以下、(STEP1−3)内の処理の詳細を説明する。
(STEP1−3−1)ワークWを移動させる最小限のリンク構成として、ポジショナ3のワーク取り付け台8を先端に持つ開ループリンクを選び出す。このとき、開ループリンクとして、ワークWを起点とし、最短距離でリンク機構の固定側Fに達するリンク節及び関節とから構成されるリンク機構を採用するとよい。
(STEP1−3−2)前記した(STEP1−3−1)で選定された開ループリンクに対して、ポジショナ3のワーク取り付け台8の姿勢より、当該開ループリンクを構成する各関節(ジョイント、軸の両方を含む)の移動・回転量を導出する。
(STEP1−3−3)最小限のリンク機構の各関節の移動・回転量が決まれば、当業者が通常使用するCADソフトなどで行われている機構解析に用いられる計算を行うことが出来る。具体的には、(STEP1−3−2)にて導出された各関節の移動・回転量を固定値として、残りの全ての関節を含む閉ループリンク(リンク同士を繋いでできる閉多角形)に対して、計算を行い、残りの全ての関節の移動・回転量を導出する。
図2のポジショナ3は、並進駆動関節11、回転駆動関節11の2関節を駆動することが可能である。また、従動関節12として回転従動関節を3関節保有している。駆動可能な2関節を動作させることによりワーク取り付け台8の先端に設置したワークWの姿勢を2自由度の範囲で変更することが可能である。この装置のスケルトン表記したリンク機構を図3に示す。
以上述べたように、本発明に係る多関節リンク機構10を有する装置の逆運動学解法技術を用いれば、操作者が装置の先端に配置された対象の部位に対して、位置や姿勢を装置の自由度の範囲内で設定すれば、所望の位置や姿勢となる駆動すべき関節の回転・移動量を迅速に演算することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明に係る多関節リンク機構10を有する装置の逆運動学解法の第2実施形態について述べる。
図9に示されているように、ポジショナ3は、固定側F(基礎側)から延びる第1リンク13を有しており、この第1リンク13の先には、並進駆動関節11aが取り付けられている。並進駆動関節11aの上端からは水平方向を向く第2リンク14が延びている。並進駆動関節11aが作動することで、第2リンク14が固定側Fに対して、上下に伸縮する。この第2リンク14の先端には、第2リンク14の先端と同軸で回転する回転駆動関節11bが設けられ、この回転駆動関節11bを介して第2リンク14の先端側に第3リンク15が接続されている。この第3リンク15には、水平方向軸心回りに回転する回転従動関節12dを介して、長尺のワークWの一方側が取り付けられるようになっている。
すなわち、開ループリンク(第1の開ループリンク)は、固定側F(基礎側)から延びる第1リンク13、この第1リンク13の先に設けられた並進駆動関節11a、並進駆動関節11aの先端から水平方向にから延びる第2リンク14、第2リンク14の先端に設けられた回転駆動関節11b、この回転駆動関節11bを介して第2リンク14の先端側に第3リンク15、第3リンク15の先端に設けられた回転従動関節12dと、から構成されている。
ワークWの他方側が取り付けられた開ループリンク(第2の開ループリンク)は、固定側F(基礎側)から延びる第4リンク16、この第4リンク16の基端側を水平方向に自由に移動可能としている並進従動関節12g、第4リンク16の先端に取り付けられた並進駆動関節11c、並進駆動関節11cの上端から水平方向に延びる第5リンク17、この第5リンク17の先端に設けられた回転従動関節12f、この回転従動関節12fを介して第5リンク17の先端側に取り付けられた第6リンク18、この第6リンク18の先端に取り付けられた回転従動関節12eから構成されている。
すなわち、第1実施形態の(STEP1−3−1)〜(STEP1−3−3)に対応するものとして、以下の(STEP2−3−1)〜(STEP2−3−3)を行うとよい。
まず、
(STEP2−3−1)ワークWを移動させる最小限のリンク構成として、ポジショナ3のワーク取り付け台8を先端に持つ開ループリンクを選び出す。この開ループリンクとしては、例えば、図9(b)に示す第1の開ループリンク(第1リンク13、並進駆動関節11a、第2リンク14、回転駆動関節11b、第3リンク15、回転従動関節12d)を選ぶことができる。なお、第2の開ループリンクを選んでもよい。
(STEP2−3−2)次に、(STEP2−3−1)で選定された開ループリンクに対して、ポジショナ3のワーク取り付け台8の姿勢より、当該開ループリンクを構成する各関節(ジョイント、軸の両方を含む)の移動・回転量を導出する。
(STEP2−3−3)最小限のリンク機構の各関節の移動・回転量が決まれば、当業者が通常使用するCADソフトなどで行われている機構解析に用いられる計算を行うことが出来る。具体的には、(STEP2−3−2)にて導出された各関節の移動・回転量を固定値として、残りの全ての関節を含む閉ループリンク(第1の開ループリンク〜ワークW〜第2の開ループリンクでできる閉多角形)に対して、計算を行い、残りの全ての関節の移動・回転量を導出する。
以上まとめれば、本願発明に係る多関節リンク機構10の逆運動学解法を用いることで、駆動関節11以外に従動関節12により拘束されたリンクを持つ多関節リンク機構10を有する装置の目的となる先端位置・姿勢を、従来の所定の位置・姿勢になるまで駆動軸を変更して所定内に収まるまで試行する時間が無くなり、教示時間の短縮や精度よい位置・姿勢の指定が可能となる。また、ループリンク機構に含まれない関節に対しても最小リンク機構の構成を考えることにより導出することが出来、従来技術の多関節リンク機構10の導出方法としてループリンク機構以外の軸に対してのアプローチも可能としている。
2 溶接ロボット
3 ポジショナ
4 制御装置
5 オフライン教示データ作成装置
6 溶接トーチ
7 教示ペンダント
8 ワーク取り付け台
10 多関節リンク機構
11 駆動関節
12 従動関節
13 第1リンク
14 第2リンク
15 第3リンク
16 第4リンク
17 第5リンク
18 第6リンク
W ワーク
F 固定側
Claims (4)
- 多関節型のロボットと、当該ロボットの周辺装置として配備された多関節リンク機構とからなるロボットシステムにおいて、前記多関節リンク機構に配置された対象物を所望の位置・姿勢に動かすために、当該多関節リンク機構の各関節の移動・回転量を決定する方法であって、
前記多関節リンク機構は、駆動源により駆動される駆動関節と、前記駆動関節の動きに伴って従動的に動く従動関節とを有しており、以下の(i)〜(iii)の工程を行うことで、前記駆動関節及び従動関節の移動・回転量を決定することを特徴とする多関節リンク機構の逆運動学解法。
(i) 前記多関節リンク機構から、前記対象物の位置・姿勢を変化させる最小限のリンク構成からなる開ループリンク機構を選定する。
(ii) 前記多関節リンク機構に載置された対象物の所望の位置・姿勢より、(i)で選定した開ループリンク機構を構成する各関節の移動・回転量を導出する。
(iii) (ii)にて導出された開ループリンク機構の各関節の移動・回転量を固定値として、前記開ループリンク機構の関節の少なくとも一部及び非選定とされた関節で構成された閉ループリンク機構の各関節の移動・回転量を導出する。 - 前記開ループリンク機構として、
前記対象物を起点とし、最短距離でリンク機構の固定側に達するリンク節及び関節から構成されるリンク機構を採用することを特徴とする請求項1に記載の多関節リンク機構の逆運動学解法。 - 前記多関節リンク機構が、対象物が載置され且つ当該対象物の位置、姿勢を可変とするポジショナとされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の多関節リンク機構を有する装置の逆運動学解法。
- 多関節型のロボットと、当該ロボットの周辺装置として配備された多関節リンク機構とが備えられたロボットシステムにおいて、前記ロボット及び多関節リンク機構の教示データを決定する教示データ作成装置であって、
前記教示データ作成装置が、請求項1〜3のいずれかに記載された多関節リンク機構の逆運動学解法を実行するように構成されていることを特徴とする教示データ作成装置。
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