JP2014230528A - 燻製の製造装置及び燻製の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間で食材の燻製を製造する燻製の製造装置と燻製の製造方法を提供する。【解決手段】食材10及び燻材11又は燻液12を密閉し、該食材及び燻材又は燻液を減圧下で加熱する減圧加熱炉と、該減圧加熱炉内を減圧するための真空ポンプ14とを備える装置により、食材及び燻材又は燻液をヒータにより加熱する。これにより食材からの水分の蒸発が促進され、燻材から発生した煙又は燻液から発生した蒸気が、水分の抜けたところに浸透するため短時間で食材の燻製を製造する。また、食材として、燻液を注入した食材を減圧状態で加熱することによっても短時間で燻製を製造することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、減圧環境下で食材と燻材又は燻液を用いて燻製を製造する燻製の製造装置及び燻製の製造方法に関する。
鶏肉や魚介類、タラコ、チーズ等の各種食材は燻煙することにより、煙中のフェノール系化合物が食材に浸透することで殺菌作用を付与する。さらに、食材中の水分量を減少させて保存性を高めて独特の香味をもたせた食品として燻製がある。
燻製を製造する方法としては、サクラやナラ、ブナ、ハンノキ、シナノキ、カシワ、クルミなどといった樹木を破片に加工したスモークチップと呼ばれる燻材を加熱し、燻材から発生した煙を食材に接触させて燻煙するのが一般的である。
このように燻材によって燻製を製造する方法としては、例えば、特許文献1に開示されているように、内部空間を多数の透孔のある仕切板で上下に区切り、上方の空間を食材を入れて燻す燻製室、下方の空間を燻材を入れる燃焼室とした燻製の製造装置を用いることが知られている。
このように特許文献1の燻製の製造装置を用いて燻製を製造する方法は、燃焼室において燻材を加熱して燻材から煙を発生させ、煙を燻製室内の食材に接触させて燻煙し、燻製を製造する。
しかしながら、特許文献1のような装置を用いて燻煙を行う場合、常圧下で燻材を燃焼することにより煙を発生させ、食材は燻材からの煙の熱のみによって加熱される。さらに、特許文献1の燻製の製造装置では、燻材から発生した煙を排気口から常時排気するため、燻材から発生した煙の通る道筋によって、煙を食材に均一に接触させることができない場合がある。これらのことから、特許文献1の燻製の製造装置では、食材に含まれる水分量を減少・蒸発させるために時間を要し、燻製が出来上がるまでには半日〜1日程度の時間を要する。
また、燻製を製造する別の方法としては、燻材から発生する煙から作られる燻液(いわゆる木酢液)に食材を浸して、燻製を製造する液体燻製がある。液体燻製は、燻煙成分が含まれる燻液に食材を浸すことにより、食材内部に燻液を拡散させ、その後、加熱することで食材の内部から燻煙するというものである。
しかしながら、液体燻製では、食材に燻液が浸透するまで十数時間〜1日程度の時間を要することに加え、別途加熱調理する必要があり、燻製が完成するまでに時間を要するという欠点がある。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、燻製を短時間で製造することができる燻製の製造装置及び燻製の製造方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成する本発明の燻製の製造装置は、減圧環境下で、食材及び燻材又は燻液を加熱することで、燻材又は燻液から発生する煙又は蒸気により食材を燻す減圧加熱炉と、減圧加熱炉を減圧する真空ポンプとを備えることを特徴とする。
また、上述した目的を達成する本発明の燻製の製造方法は、減圧環境下で、食材及び燻材又は燻液を加熱することで、燻材又は燻液から発生する煙又は蒸気により食材を燻すことを特徴とする。
また、上述した目的を達成する本発明の燻製の製造方法は、減圧環境下で、予め燻液を注入した食材のみを加熱することで食材を燻すことを特徴とする。
本発明では、減圧環境下で、食材をヒータにより加熱することで、食材からの水分蒸発が促進するため、容易に水分が蒸発する。さらに、本発明では、食材の水分が抜けた部分に、食材と共に加熱した燻材から発生した煙又は燻液から発生した蒸気が染み込みやすくなる。これにより、本発明では従来の常圧で行う燻製の製造方法に比べ短時間で燻製を製造することができる。
以下、本発明を適用した燻製の製造装置及び燻製の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明は特に限定がない限り、以下の詳細な説明に限定されるものではない。
1.燻製の製造装置
1−1.第1の実施の形態
1−2.第2の実施の形態
1−3.第3の実施の形態
2.燻製の製造方法
2−1.第1の実施の形態
2−2.第2の実施の形態
3.実施例
1.燻製の製造装置
1−1.第1の実施の形態
1−2.第2の実施の形態
1−3.第3の実施の形態
2.燻製の製造方法
2−1.第1の実施の形態
2−2.第2の実施の形態
3.実施例
<1.燻製の製造装置>
<1−1.第1の実施の形態>
図1に燻製の製造装置1を示す。燻製の製造装置1は、食材10及び燻材11又は燻液12を密閉し、食材10及び燻材11又は燻液12を減圧下で加熱する減圧加熱炉13と、減圧加熱炉13内を排気することにより減圧する真空ポンプ14とを備えている。
<1−1.第1の実施の形態>
図1に燻製の製造装置1を示す。燻製の製造装置1は、食材10及び燻材11又は燻液12を密閉し、食材10及び燻材11又は燻液12を減圧下で加熱する減圧加熱炉13と、減圧加熱炉13内を排気することにより減圧する真空ポンプ14とを備えている。
また、燻製の製造装置1は、減圧加熱炉13と真空ポンプ14とを連結する配管に、減圧加熱炉13内の圧力を調整するための圧力調整弁15と、圧力調整弁15と減圧加熱炉13との間に、燻材11又は燻液12から発生した煙又は蒸気を冷却して凝縮する凝縮器16と、凝縮した液体を回収する容器17とを備えている。
さらに、燻製の製造装置1は、燻材11を加熱することにより発生した煙又は燻液12を加熱することにより発生した蒸気の不純物成分を除去するためのフィルタ18aを備えている。
減圧加熱炉13は、食材10及び燻材11又は燻液12を密閉し、減圧環境下で食材10及び燻材11又は燻液12を加熱し、燻材11から発生した煙又は燻液12から発生した蒸気により、食材10を燻すためのものである。減圧加熱炉13の材質としては、減圧環境下での加熱に耐えうるものであれば特に限定されないが、例えば、一般的な減圧加熱炉に用いられるようなステンレス鋼を用いることができる。また、減圧加熱炉13の形状は、食材10及び燻材11又は燻液12を配置できるものであれば特に限定されない。減圧加熱炉13は、食材10及び燻材11又は燻液12を密閉することで、減圧加熱炉13内に燻材11又は燻液12から発生した煙を充満させることができるため、食材10の全体を均一に燻すことができる。
減圧加熱炉13は、減圧加熱炉13内の圧力を測定するための真空圧力計19と、食材10及び燻材11又は燻液12を加熱するため、炉壁内部から減圧加熱炉13内を加熱するヒータ20と、食材10を直接加熱するためのヒータ21と、ヒータ20及びヒータ21の温度を調節するための温度調節器22と、減圧加熱炉13内の下部に燻材11又は燻液12を収容する金属製容器23と、金属製容器23の直上に食材10を配置するための金網24と、金網24の上に食材10を吊るして載置するための吊り具25とを備えている。
真空圧力計19は、減圧加熱炉13内の圧力を測定するための圧力計である。減圧加熱炉15内の圧力は、真空圧力計19の測定値に基いて、圧力調整弁15の弁を開放することで圧力を適宜調整する。なお、真空圧力計19は、図示しない制御部と接続することで、圧力調整弁15に圧力情報が伝達するようにしてもよい。これにより、真空圧力計19及び圧力調整弁15は、減圧加熱炉13内の細かい圧力調整が可能となり、圧力制御の誤差を少なくすることができる。
ヒータ20は、減圧加熱炉13の内部を加熱するものであり、減圧加熱炉13の炉壁全体に亘って内蔵されている。これにより、従来のような煙の熱のみによって食材10を加熱する方法とは異なり、ヒータ20は、減圧加熱炉13の内部全体を均等に加熱するため、食材10全体も同時に加熱することができる。なお、加熱手段としては、ヒータに限らず、熱風等を減圧加熱炉13内に送りこむことによって加熱してもよい。
ヒータ21は、食材10を直接加熱するものであり、食材10に近接して配置することが好ましい。なお、ヒータ21は、ヒータ20により食材10が十分に加熱できる場合には、必ずしも配置する必要はない。
温度調節器22は、ヒータ20の温度を調節するためのものである。温度調節器22は、ヒータ20と接続されており、ヒータ20を所定の設定温度に駆動させることができる。なお、ヒータ21の温度調節は、ヒータ20と同様に、図面には記載されていない温度調節器によって調節される。
なお、減圧加熱炉13内には、温度を測定する温度計を備えてもよい。その際、温度計と温度調節器22を図示しない制御部を介して接続し、温度調節器22に減圧加熱炉13内の温度がフィードバックされるようにしてもよい。それにより、減圧加熱炉13内の温度は、温度調節器22及び温度計により細かく調節され、食材10及び燻材11又は燻液12を加熱する際の温度の誤差を少なくすることができる。
金属製容器23は、燻材11又は燻液12を入れる容器であり、減圧加熱炉13の下部に配置される。金属製容器23の素材は特に限定はされないが、熱伝導率の高い容器であることが好ましい。熱伝導率の高い素材とすることにより、燻材11又は燻液12を均一に熱することができる。
金網24は、食材10を載置するためのものであり、金属製容器23の上部に配置される。金網24の素材は、食材10を載置できる大きさと強度があれば特に限定されない。
吊り具25は、減圧加熱炉13の天面から食材10を吊るすためのものである。吊り具25は、載置すると不安定になってしまうような丸みを帯びた食材10を金網24に載置する際に用いることができる。これにより、形のいびつなものでも、食材10を金網24に載置することができる。吊り具25としては、耐熱性があるものであればよく、例えば、ワイヤー等を用いることができる。なお、食材10の配置に関しては、金網24の上に食材10を直接配置するか、吊り具25によって吊るして金網24の上に配置するかは、食材10の種類によって変えてもよい。
真空ポンプ14は、減圧加熱炉13内の気体を排出し、減圧加熱炉13内を減圧するためのものである。真空ポンプ14は、減圧加熱炉13内を減圧できれば構成は特に限定されないが、減圧加熱炉13内の気体を吸入するための吸気口と、真空ポンプ14内に吸気された気体を外部へ排出するための排気口と、密閉容器から気体をくみ出すためのポンプとを備えた一般的な真空ポンプを用いることができる。
圧力調整弁15は、真空ポンプ14の吸引する気体の量を調節するためのものである。具体的には、圧力調整弁15は、食材10の水分等の蒸発により、減圧加熱炉13内の高くなった圧力を真空圧力計19に基いて検知し、弁を開放する。これにより、真空ポンプ14が、減圧加熱炉13内の気体を排出することで、減圧加熱炉13内の圧力を所定の圧力にまで圧力を下げることができる。
凝縮器16は、気体を凝縮するためのものである。凝縮器16は、真空ポンプ14と減圧加熱炉13との間に配置され、真空ポンプ14によって減圧加熱炉13と共に減圧にされる。そのため、凝縮器16は、減圧環境下で気体を凝縮する。具体的には、凝縮器16は、燻材11又は燻液12を加熱することにより発生した煙又は蒸気を、減圧環境下で凝縮器16内の水や不凍液により冷却し液体とする。また、凝縮器16は、真空ポンプ14と減圧加熱炉13との間に配置することにより、燻材11又は燻液12から発生した煙又は蒸気が、凝縮器16に直接流れるため、高収率で凝縮した液体が得られる。凝縮器16としては、例えば、容器内を減圧した状態で煙又は蒸気を凝縮できる減圧凝縮器を用いる。
なお、燻材11又は燻液12から発生した煙又は蒸気は、圧力調整弁15を開放し、真空ポンプ14を経由すればそのまま大気へ排出させることも可能である。
容器17は、凝縮器16によって液化したものを回収して貯留する容器である。容器17は、減圧に耐えうる容器であれば用いることができる。なお、ここで回収した液体は、燻材11又は燻液12を加熱することで発生した煙又は蒸気を凝縮したものであり、煙中又は蒸気中には燻液の成分が含まれている。そのため、容器17により回収した液体は、燻液となる。容器17で貯留した燻液は、燻液12として金属製容器23に充填することで再利用することも可能である。また、貯留した燻液は、容器17と減圧加熱炉13とを繋ぐ配管を設け、減圧加熱炉13と容器17との間に、容器17で回収した燻液を減圧加熱炉13内に導入するようなポンプを設けることで、燻材11から発生する煙より生成した燻液を燻製の製造装置1内で循環させることもできる。回収した燻液を減圧加熱炉13を循環させて再利用する際には、例えば、燻液を精製する精製装置を設けるとよい。これにより、不純物を除去した純度の高い燻液を循環させることができる。
フィルタ18aは、減圧加熱炉13から発生した煙又は蒸気中の不純物を除去するためのもので、活性炭等を用いることができる。また、フィルタ18aは、オイルやタールといった有害成分を分解除去することが可能なアルミナやニッケルといった分解触媒を用い、且つ、分解を促進するための加熱機能を付与してもよい。フィルタ18aを、減圧加熱炉13と凝縮器16との間に設けることによって、不純物を除去された煙又は蒸気が、凝縮器16へと流れる。これにより、容器17で回収される燻液には不純物が含まれない。また、フィルタ18aを通過した気体は、凝縮器16から真空ポンプ14を通して大気に排出する上でも、気体中には不純物が含まれないため、無害な気体を大気に放出することができる。
以上のような燻製の製造装置1は、食材10及び燻材11又は燻液12を減圧加熱炉13内に密閉し、真空ポンプ14により減圧し、ヒータ20及びヒータ21により食材10及び燻材11又は燻液12を加熱する。これにより、燻製の製造装置1では、減圧環境下におかれた食材10は水分蒸発が促進され、加熱により常圧状態よりも水分が容易に蒸発する。そして食材10の水分が抜けた部分に、燻材11又は燻液12を加熱することで発生する煙又は蒸気が染み込みやすくなる。さらに、減圧加熱炉13は、密閉系であるため、燻材11又は燻液12から発生した煙が充満することで食材10全体に均一に接触させることができる。これらのことから、燻製の製造装置1は、食材10から容易に水分を蒸発させ、食材10に燻材11又は燻液12から発生した煙又は蒸気を簡単に燻すことができるため、短時間で燻製を製造することができる。
<1−2.第2の実施の形態>
また、燻製の製造装置としては、燻製の製造装置1に限らず、図2に示す燻製の製造装置2としてもよい。燻製の製造装置1と燻製の製造装置2の同じ構成については、同じ符号を付して説明は省略する。
また、燻製の製造装置としては、燻製の製造装置1に限らず、図2に示す燻製の製造装置2としてもよい。燻製の製造装置1と燻製の製造装置2の同じ構成については、同じ符号を付して説明は省略する。
燻製の製造装置2は、真空ポンプ14と大気との間に凝縮器26と容器27とを備えている点で、燻製の製造装置1とは異なる。
凝縮器26は、凝縮器16で凝縮しきれなかった煙又は蒸気を常圧下で、水や不凍液により冷却し液体とするものである。なお、凝縮器26は、常圧で煙又は蒸気を凝縮するという点で凝縮器16とは異なる。
容器27は、凝縮器26によって液化したものを回収して貯留する容器である。容器27は、常圧で液体を回収できればよく、容器の素材については特に限定されない。なお、ここで回収した液体も燻液として利用できるため、容器27で回収した液体は、燻液12として金属製容器23に充填することで再利用することも可能である。さらに、容器27で貯留した燻液は、容器27と減圧加熱炉13とを繋ぐ配管を設け、減圧加熱炉13と容器27との間に、容器27で回収した燻液を減圧加熱炉13内に導入するようなポンプを設置することで、燻製の製造装置1内で循環させることもできる。
これにより、燻製の製造装置2は、燻製の製造装置1と同様に、短時間で食材10の燻製を製造できる。さらに、燻製の製造装置2は、容器17で回収しきれなかった煙又は蒸気を凝縮することにより燻液を回収することができる。
<1−3.第3の実施の形態>
さらに、燻製の製造装置としては、図3に示す燻製の製造装置3としてもよい。燻製の製造装置2と同じ構成は、同じ符号で説明は省略する。
さらに、燻製の製造装置としては、図3に示す燻製の製造装置3としてもよい。燻製の製造装置2と同じ構成は、同じ符号で説明は省略する。
燻製の製造装置3は、燻製の製造装置2にさらにフィルタ18bを備えている。
フィルタ18bは、凝縮器26と大気との間に配設され、凝縮器16と減圧加熱炉13との間に配設されたフィルタ18aにより除去しきれなかった煙又は蒸気中の不純物を除去することができる。なお、フィルタ18bは、凝縮器16と真空ポンプ14との間に設けてもよい。フィルタ18bとしては、フィルタ18aと同様に、活性炭等を用いることができる。フィルタ18bを通った気体は、大気に排出する上でも、不純物が含まれないため、無害な気体を大気に放出することができる。
このように、燻製の製造装置3は、燻製の製造装置1,2と同様に、短時間で食材10の燻製を製造することができる。さらに、燻製の製造装置3は、凝縮器16と減圧加熱炉13との間と、凝縮器26と大気との間にフィルタ18bを配設することにより、フィルタ18aで除去しきれなかった不純物成分を除去することができる。これにより、燻製の製造装置3は、不純物が少ない状態で大気に排気できる。
<2.燻製の製造方法>
<2−1.第1の実施の形態>
次に、図1に示す燻製の製造装置1を用いた燻製の製造方法について説明する。燻製の製造装置1を用いた燻製の製造方法を実施するに際しては、減圧加熱炉13内に食材10と燻材11又は燻液12とを入れて密閉し、減圧加熱炉13において食材10及び燻材11又は燻液12を減圧環境下にて加熱し、燻材11から発生した煙又は燻液12から発生した蒸気により食材10を燻す。
<2−1.第1の実施の形態>
次に、図1に示す燻製の製造装置1を用いた燻製の製造方法について説明する。燻製の製造装置1を用いた燻製の製造方法を実施するに際しては、減圧加熱炉13内に食材10と燻材11又は燻液12とを入れて密閉し、減圧加熱炉13において食材10及び燻材11又は燻液12を減圧環境下にて加熱し、燻材11から発生した煙又は燻液12から発生した蒸気により食材10を燻す。
食材10として、一般的な燻製の対象となるような鶏肉や魚介類、タラコ、チーズなどを用いることができる。また、燻煙を発生させるための燻材11としては、サクラやナラ、ブナ、ハンノキ、シナノキ、カシワ、クルミなどといった樹木を破片に加工したスモークチップなどが用いられる。この燻材11の種類によって、完成した燻製の香りが違ってくる。燻液12としては、燻材を燃焼させて発生する燻煙を冷却凝縮し、食用に精製した燻液(いわゆる木酢液)を使用することができる。
食材を燻製する方法では、減圧加熱炉13で食材10を燻す。具体的には、減圧加熱炉13内に燻製する食材10及び燻材11又は燻液12とを配置した後、減圧加熱炉13内を密閉し、真空ポンプ14により減圧加熱炉13内を減圧する。次いで、減圧状態で、ヒータ20を駆動させることで減圧加熱炉13内を加熱し、ヒータ21で食材10及び燻材11又は燻液12を加熱する。
食材10及び燻材11又は燻液12を配置するに際しては、まず減圧加熱炉13内の下部に設置された金属製容器23に燻材11又は燻液12を入れる。次いで、金属製容器23の上部に配置された金網24に、食材10を載置する。このとき、食材10の形状によっては、吊り具25に食材10を結びつけ、減圧加熱炉13の上部から食材10を吊るしてもよい。これにより、載置するのが不安定な食材10であっても燻すことができる。
減圧加熱炉13の減圧に際しては、真空ポンプ14により減圧加熱炉13内の気体を排出することで減圧する。このとき、減圧圧力値は、圧力調整弁15で気体の排出量の調整をし、真空圧力計19により減圧加熱炉13内の圧力を確認して、所定の圧力に保持する。
減圧加熱炉13の減圧に際しては、減圧圧力値としては特に限定されないが、減圧加熱炉13内を1kPa以上100kPa未満に減圧することで、食材10は加熱時に水分の蒸発が促進される。減圧加熱炉13内の圧力が100kPaを超えると、加熱時に食材10の水分蒸発が促進されず、食材10から十分に水分が蒸発しない。また、減圧加熱炉13内の圧力が1kPa未満になると、加熱時に食材10中の水分が蒸発しすぎることで、燻煙しすぎてしまう。また、減圧加熱炉13内の圧力を1kPa未満にするに際しては、高真空ポンプといった高度な真空ポンプや、容器の高い密閉性等が必要とされ、装置のコスト的にも非常に不利になってしまう。
また、減圧加熱炉13内の減圧に際しては、1kPa以上50kPa未満にすることがより好ましく、6kPa以上10kPa未満に減圧することがさらに好ましい。減圧圧力値は、この圧力範囲にすることにより、270℃以下の低い温度でも食材10中の水分が蒸発されるため、オイルやタール成分が発生しにくい温度範囲で食材10を燻すことができる。
減圧加熱炉13内の加熱に際しては、減圧加熱炉13の炉壁に内蔵されたヒータ20を温度調節器22によって行う。
加熱の温度条件は、特に限定されないが、減圧環境下であるため、室温〜270℃という比較的低い温度で食材10及び燻材11又は燻液12を加熱することができる。このような温度条件で加熱することができることから、燻材11又は燻液12から発生する煙にはオイルやタール成分は含まれない。さらに、減圧環境下であることから、この温度範囲での加熱は、食材10から水分が蒸発促進されるため、容易に水分が蒸発し、燻材11又は燻液12から発生した煙又は蒸気は食材10によく染み込むようになる。
なお、減圧加熱炉13内の加熱に際しては、270℃を超える高い温度で加熱するようにしてもよい。これにより、さらに食材10からの水分の蒸発や燻材等からの煙の発生をより促進させることができる。ただし、燻材11又は燻液12から発生する煙又は蒸気にはオイルやタール成分が含まれるが、その際には、フィルタ18aにアルミナやニッケルといった分解触媒を用いてオイルやタール成分を分解除去すれば大気中へ排出されない。
また、減圧環境下で減圧加熱炉13内の温度が室温未満では、食材10からの水分が十分に蒸発せず、燻材11又は燻液12から煙又は蒸気が発生しないため、燻煙がうまく行われない可能性がある。
また、減圧加熱炉13の加熱に際しては、加熱により食材10中から発生した水蒸気や、燻材11又は燻液12を加熱することにより発生した煙又は蒸気により、減圧加熱炉13内の圧力が高くなり、減圧加熱炉13内の圧力が所望の圧力を超えてしまうことがある。その際には、真空圧力計19を見つつ、圧力調整弁15と真空ポンプ14を用いて所望の圧力まで減圧し直すということが必要となる。所望の圧力を超えた状態で、加熱を行った場合には、食材10の水分蒸発が遅くなり、燻煙に時間がかかってしまう可能性がある。
加熱時間は、食材10により異なるが、基本的には燻製が完成するまで行う。その際の燻製の完成の判断は、食材10の色の変化や香り等で行う。
このような食材を燻製する方法は、減圧環境下で加熱することにより、食材10の水分蒸発が促進されるため、食材10の水分が蒸発しやすくなる。このような食材を燻製する方法は、食材10の水分を蒸発させる時間を短縮でき、水分の蒸発した部分に煙又は蒸気が染み込みやすくなるため、煙の染み込みも早い。このことから、このような食材を燻製にする方法では、短い時間で食材10を燻製にすることができる。特に、減圧加熱炉13内を密閉するこのような食材を燻製する方法では、従来の燻製の製造方法とは異なり、均一に煙又は蒸気を接触させることができる。そのため、このような食材を燻製する方法では、食材10に均一に煙又は蒸気が接触することから、煙又は蒸気に含まれるフェノール系化合物により、食材10の酸化を抑制することができる。
次に、減圧加熱炉13で発生した煙又は蒸気中の不純物をフィルタ18aにより除去する。具体的には、減圧加熱炉13から発生した煙又は蒸気が、フィルタ18a内を通ることで、活性炭フィルタなどの表面に不純物を吸着する。また、フィルタ18aにアルミナやニッケルといった分解触媒を用いた際には、オイルやタールといった有害成分が分解除去される。このように、フィルタ18aが不純物や有害成分を取り除くことで、後述する燻液の回収する際、不純物の混入を避けることができる。
最後に、不純物を取り除いた煙又は蒸気を凝縮器16で凝縮することで液化させ、容器17により貯留し回収する。具体的には、不純物を取り除いた、燻材11から発生した煙又は燻液12から発生した蒸気を、凝縮器16へ導入し、凝縮器16へ入ってきた煙又は蒸気を、水や不凍液などにより冷却することで液化させる。このように液化したものを、容器17へ流し、貯留し回収する。これにより、燻材11又は燻液12を加熱することで発生した煙又は蒸気は燻液として回収することができる。
以上のように、本発明の燻製の製造方法は、燻製の製造装置1を用いて、食材10及び燻材11又は燻液12を、減圧加熱炉13内に配置し密閉した後、減圧加熱炉13を真空ポンプ14により減圧し、ヒータ20、さらにはヒータ21により食材10及び燻材11又は燻液12を加熱し、燻材11から発生した煙又は燻液12から発生した蒸気により食材10を燻す。減圧環境下で加熱することにより、食材10の水分蒸発が促進されるため、容易に水分が蒸発し、さらに食材10の水分が蒸発した部分に、燻材11又は燻液12から発生した煙又は蒸気が染み込みやすいため、短時間で食材10を燻すことができる。特に、密閉系で行う本発明の燻製の製造方法では、従来の燻製の製造方法とは異なり、均一に煙又は蒸気を接触させることで、均一に食材10を燻すことができる。燻材11又は燻液12から発生する煙又は蒸気中にはフェノール系化合物が含有されているため、食材10に煙又は蒸気が接触することで、食材10の酸化を抑制することができる。
また、本発明の燻製の製造方法では、燻材11又は燻液12から発生した煙又は蒸気中の不純物を、フィルタ18aにより除去した後、凝縮器16で液化し、容器17に貯留することが可能である。これにより、発生した煙又は蒸気の再利用ができるため、経済的に有利である。
なお、図2及び図3に示した燻製の製造装置2及び燻製の製造装置3を用いて上述した燻製の製造方法により燻製を製造することも可能である。
<2−2.第2の実施の形態>
上述した燻製の製造方法においては、燻材11又は燻液12を加熱することで発生した煙又は蒸気を、食材10に接触させることで燻製を製造した。第2の燻製の製造方法として、食材10として、注射器などで食材10の内部に燻液12を注入したものを減圧・加熱することで、減圧加熱炉13内に燻材11又は燻液12を配置せずとも燻製を製造することが可能である。
上述した燻製の製造方法においては、燻材11又は燻液12を加熱することで発生した煙又は蒸気を、食材10に接触させることで燻製を製造した。第2の燻製の製造方法として、食材10として、注射器などで食材10の内部に燻液12を注入したものを減圧・加熱することで、減圧加熱炉13内に燻材11又は燻液12を配置せずとも燻製を製造することが可能である。
具体的には、食材10として、一般的な燻製の対象となるような鶏肉や魚介類、タラコ、チーズなどに、注射器等の各種手段により、食材10の内部に燻液を、例えば一か所又は複数個所に注入する。燻液を注入した食材10は、減圧・加熱することで、食材10の内部の燻液が水分とともに蒸発する。これにより、このような燻製の製造方法では、食材10の内部から表面にかけて燻液の蒸気が拡散的に染み出すため燻煙することができる。
このように、燻液を注入した食材10を用いた燻製の製造方法は、食材10の内部から燻煙が染み出すため、減圧加熱炉13内に燻材11又は燻液12を配置せずとも燻製を製造することができる。
また、燻液を注入した食材10と共に燻材11又は燻液12を減圧加熱炉13に配置して減圧・加熱をすることで燻製を製造してもよい。これにより、食材10の内部から拡散的に燻煙させることに加え、燻材11から発生した煙又は燻液12から発生した蒸気を食材10の表面にも接触させて燻すことができる。
<3.実施例>
以下、本発明の実施例について説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下、本発明の実施例について説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1では、図1に示す燻製の製造装置1を用いて、食材の燻製を製造した。まず、減圧加熱炉13に燻材11としてスモークチップ100gを入れた金属製容器23を配置し、金属製容器23の上方に食材10として鶏肉100gを金網24の上に吊り具25を用いて吊るした。次に、真空ポンプ14により減圧加熱炉13、凝縮器16、容器17の内部を6kPaまで減圧した後、圧力調整弁15で弁を閉じて減圧加熱炉13を密閉状態とし、減圧状態を保持した。次に、ヒータ20により減圧加熱炉13を加熱することで、スモークチップ及び鶏肉を同時に加熱した。その後3〜4時間の間、食材10からの水分の蒸発などにより減圧加熱炉13内の圧力が10kPaを超えた場合には、真空ポンプ14により6kPaまで減圧した。これにより、減圧加熱炉13内の圧力を6〜10kPaの間に制御しながら180℃に加熱した。燻製にした鶏肉を取り出すに際しては、減圧加熱炉13、凝縮器16、容器17を常圧に戻した後に減圧加熱炉13から回収した。スモークチップと鶏肉を取り出したときの温度はそれぞれ185℃と126℃であった。鶏肉の燻製に要した時間は2.8時間であった。
実施例1では、図1に示す燻製の製造装置1を用いて、食材の燻製を製造した。まず、減圧加熱炉13に燻材11としてスモークチップ100gを入れた金属製容器23を配置し、金属製容器23の上方に食材10として鶏肉100gを金網24の上に吊り具25を用いて吊るした。次に、真空ポンプ14により減圧加熱炉13、凝縮器16、容器17の内部を6kPaまで減圧した後、圧力調整弁15で弁を閉じて減圧加熱炉13を密閉状態とし、減圧状態を保持した。次に、ヒータ20により減圧加熱炉13を加熱することで、スモークチップ及び鶏肉を同時に加熱した。その後3〜4時間の間、食材10からの水分の蒸発などにより減圧加熱炉13内の圧力が10kPaを超えた場合には、真空ポンプ14により6kPaまで減圧した。これにより、減圧加熱炉13内の圧力を6〜10kPaの間に制御しながら180℃に加熱した。燻製にした鶏肉を取り出すに際しては、減圧加熱炉13、凝縮器16、容器17を常圧に戻した後に減圧加熱炉13から回収した。スモークチップと鶏肉を取り出したときの温度はそれぞれ185℃と126℃であった。鶏肉の燻製に要した時間は2.8時間であった。
[実施例2]
実施例2では、スモークチップ及び鶏肉を減圧加熱炉13内に密閉した後、80kPaまで減圧した。その後、圧力範囲を80〜90kPaの間に制御しながら180℃まで加熱した。圧力と温度の条件以外は、実施例1と同様の手順で行った。スモークチップと鶏肉を取り出したときの温度はそれぞれ192℃と174℃であった。鶏肉の燻製に要した時間は3.6時間であった。
実施例2では、スモークチップ及び鶏肉を減圧加熱炉13内に密閉した後、80kPaまで減圧した。その後、圧力範囲を80〜90kPaの間に制御しながら180℃まで加熱した。圧力と温度の条件以外は、実施例1と同様の手順で行った。スモークチップと鶏肉を取り出したときの温度はそれぞれ192℃と174℃であった。鶏肉の燻製に要した時間は3.6時間であった。
[実施例3]
実施例3ではまず、スモークチップの代わりに水で10倍に希釈した燻液100gを入れた金属製容器23を配置した。燻液と鶏肉を密閉した後、50kPaまで減圧した。圧力範囲を50〜60kPaの間に制御しながら125℃まで加熱した。それ以外の手順は実施例1と同様の手順で行った。燻液と鶏肉を取り出したときの温度はそれぞれ78℃と104℃であった。燻製に要した時間は1.9時間であった。
実施例3ではまず、スモークチップの代わりに水で10倍に希釈した燻液100gを入れた金属製容器23を配置した。燻液と鶏肉を密閉した後、50kPaまで減圧した。圧力範囲を50〜60kPaの間に制御しながら125℃まで加熱した。それ以外の手順は実施例1と同様の手順で行った。燻液と鶏肉を取り出したときの温度はそれぞれ78℃と104℃であった。燻製に要した時間は1.9時間であった。
[実施例4]
実施例4では、燻液及び鶏肉を減圧加熱炉13内に密閉した後、6kPaまで減圧した。その後、圧力範囲を6〜10kPaの間に制御しながら100℃まで加熱した。それ以外の手順は実施例3と同様の手順で行った。燻液と鶏肉を取り出したときの温度はそれぞれ47℃と91℃であった。鶏肉の燻製に要した時間は5.9時間であった。
実施例4では、燻液及び鶏肉を減圧加熱炉13内に密閉した後、6kPaまで減圧した。その後、圧力範囲を6〜10kPaの間に制御しながら100℃まで加熱した。それ以外の手順は実施例3と同様の手順で行った。燻液と鶏肉を取り出したときの温度はそれぞれ47℃と91℃であった。鶏肉の燻製に要した時間は5.9時間であった。
[実施例5]
実施例5では、燻液及び鶏肉を減圧加熱炉13内に密閉した後、80kPaまで減圧した。その後、80〜90kPaの間に制御しながら125℃まで加熱した。それ以外の手順は実施例3と同様の手順で行った。燻液と鶏肉を取り出したときの温度はそれぞれ81℃と86℃であった。鶏肉の燻製に要した時間は2.3時間であった。
実施例5では、燻液及び鶏肉を減圧加熱炉13内に密閉した後、80kPaまで減圧した。その後、80〜90kPaの間に制御しながら125℃まで加熱した。それ以外の手順は実施例3と同様の手順で行った。燻液と鶏肉を取り出したときの温度はそれぞれ81℃と86℃であった。鶏肉の燻製に要した時間は2.3時間であった。
[実施例6]
実施例6では、食材10として鮭肉100gを金網24の上に吊り具25を用いて吊るした。燻液及び鮭肉を減圧加熱炉13内に密閉した後、50kPaまで減圧した。その後、圧力範囲を50〜60kPaの間に制御しながら100℃まで加熱した。それ以外の手順は実施例3と同様の手順で行った。燻液と鮭肉を取り出したときの温度はそれぞれ73℃と89℃であった。鮭肉の燻製に要した時間は4.5時間であった。
実施例6では、食材10として鮭肉100gを金網24の上に吊り具25を用いて吊るした。燻液及び鮭肉を減圧加熱炉13内に密閉した後、50kPaまで減圧した。その後、圧力範囲を50〜60kPaの間に制御しながら100℃まで加熱した。それ以外の手順は実施例3と同様の手順で行った。燻液と鮭肉を取り出したときの温度はそれぞれ73℃と89℃であった。鮭肉の燻製に要した時間は4.5時間であった。
[実施例7]
実施例7では、まず、減圧加熱炉13に、食材10として注射器で合計1gの燻液12を注入した鶏肉100gを金網24の上に吊り具25を用いて吊るした。次に、真空ポンプ14により減圧加熱炉13、凝縮器16、容器17の内部を80kPaまで減圧した後、圧力調整弁15で弁を閉じて減圧加熱炉13を密閉状態とし、減圧状態を保持した。次に、ヒータ20により減圧加熱炉13を加熱することで鶏肉を加熱した。その後1〜2時間の間、食材10からの水分の蒸発などにより減圧加熱炉13内の圧力が90kPaを超えた場合には、真空ポンプ14により80kPaまで減圧した。これにより、減圧加熱炉13内の圧力を80〜90kPaの間に制御しながら125℃加熱した。燻製にした鶏肉を取り出すに際しては、減圧加熱炉13、凝縮器16、容器17を常圧に戻した後に減圧加熱炉13から回収した。鶏肉を取り出したときの温度は90℃であった。鶏肉の燻製に要した時間は1.9時間であった。
実施例7では、まず、減圧加熱炉13に、食材10として注射器で合計1gの燻液12を注入した鶏肉100gを金網24の上に吊り具25を用いて吊るした。次に、真空ポンプ14により減圧加熱炉13、凝縮器16、容器17の内部を80kPaまで減圧した後、圧力調整弁15で弁を閉じて減圧加熱炉13を密閉状態とし、減圧状態を保持した。次に、ヒータ20により減圧加熱炉13を加熱することで鶏肉を加熱した。その後1〜2時間の間、食材10からの水分の蒸発などにより減圧加熱炉13内の圧力が90kPaを超えた場合には、真空ポンプ14により80kPaまで減圧した。これにより、減圧加熱炉13内の圧力を80〜90kPaの間に制御しながら125℃加熱した。燻製にした鶏肉を取り出すに際しては、減圧加熱炉13、凝縮器16、容器17を常圧に戻した後に減圧加熱炉13から回収した。鶏肉を取り出したときの温度は90℃であった。鶏肉の燻製に要した時間は1.9時間であった。
[実施例8]
実施例8では、鶏肉を減圧加熱炉13内に密閉した後、50kPaまで減圧した。その後、圧力範囲を50〜60kPaの間に制御しながら125℃まで加熱した。それ以外の手順は実施例7と同様の手順で行った。鶏肉を取り出したときの温度は87℃であった。鶏肉の燻製に要した時間は2.2時間であった。
実施例8では、鶏肉を減圧加熱炉13内に密閉した後、50kPaまで減圧した。その後、圧力範囲を50〜60kPaの間に制御しながら125℃まで加熱した。それ以外の手順は実施例7と同様の手順で行った。鶏肉を取り出したときの温度は87℃であった。鶏肉の燻製に要した時間は2.2時間であった。
[比較例1]
比較例1では、まず、加熱炉に燻材としてスモークチップ100gを入れた金属製容器を配置し、金属製容器の上方に食材として鶏肉100gを金網の上に吊り具を用いて吊るした。次に、常圧状態のまま、圧力調整弁で弁を閉じて加熱炉を密閉状態とし、常圧状態を保持した。次に、ヒータにより加熱炉を180℃に加熱することで、スモークチップのみを加熱した。その後12時間の間、常圧のままスモークチップを加熱し、スモークチップから発生したガスのみで鶏肉を燻した。燻製にした鶏肉を取り出すに際しては、加熱炉、凝縮器、容器を常圧に戻した後に加熱炉から回収した。このとき、スモークチップと鶏肉を取り出したときの温度は181℃と76℃であった。燻製に要した時間は鶏肉の12時間であった。
比較例1では、まず、加熱炉に燻材としてスモークチップ100gを入れた金属製容器を配置し、金属製容器の上方に食材として鶏肉100gを金網の上に吊り具を用いて吊るした。次に、常圧状態のまま、圧力調整弁で弁を閉じて加熱炉を密閉状態とし、常圧状態を保持した。次に、ヒータにより加熱炉を180℃に加熱することで、スモークチップのみを加熱した。その後12時間の間、常圧のままスモークチップを加熱し、スモークチップから発生したガスのみで鶏肉を燻した。燻製にした鶏肉を取り出すに際しては、加熱炉、凝縮器、容器を常圧に戻した後に加熱炉から回収した。このとき、スモークチップと鶏肉を取り出したときの温度は181℃と76℃であった。燻製に要した時間は鶏肉の12時間であった。
以上のように、実施例1〜6では、減圧環境下で、食材10及び燻材11又は燻液12を密閉して加熱することで、短い時間で燻製を製造することができた。
さらに、実施例6及び8では、減圧環境下で、燻液12を注入した食材10を密閉して加熱することで、短い時間で燻製を製造することができた。
一方、比較例1では、常圧環境下で、食材及び燻材を加熱することで、燻製が完成するまで12時間要し、実施例よりも長い時間を要した。
1,2,3 燻製の製造装置、10 食材、11 燻材、12 燻液、13 減圧加熱炉、14 真空ポンプ、15 圧力調整弁、16 凝縮器、17 容器、18a,18b フィルタ、19 真空圧力計、20 ヒータ、21 ヒータ、22 温度調節器、23 金属製容器、24 金網、25 吊り具、26 凝縮器、27 容器
Claims (10)
- 減圧環境下で、食材及び燻材又は燻液を加熱することで、該燻材又は該燻液から発生する煙又は蒸気により食材を燻す減圧加熱炉と、
上記減圧加熱炉を減圧する真空ポンプとを備える燻製の製造装置。 - 上記減圧加熱炉は、ヒータを備える請求項1記載の燻製の製造装置。
- 上記減圧加熱炉から発生した煙又は蒸気を凝縮する凝縮器と、
上記凝縮器で生成された液体を貯留する容器とを備える請求項2記載の燻製の製造装置。 - 上記減圧加熱炉で発生した煙又は蒸気中の不純物成分を除去するフィルタを備える請求項2又は3記載の燻製の製造装置。
- 上記減圧加熱炉には燻液を注入した食材を配置する請求項2乃至4の何れか1項記載の燻製の製造装置。
- 減圧環境下で、食材及び燻材又は燻液を加熱することで、該燻材又は該燻液から発生する煙又は蒸気により食材を燻す工程を有する燻製の製造方法。
- 上記減圧加熱下で発生した上記煙又は蒸気を凝縮する工程と、
上記凝縮する工程で生成された液体を貯留する工程とを有する請求項6記載の燻製の製造方法。 - 上記減圧加熱下で発生した上記煙又は蒸気の不純物成分を除去する工程を有する請求項6又は7記載の燻製の製造方法。
- 上記燻す工程では、予め上記食材に燻液を注入したものを燻す請求項6乃至8の何れか1項記載の燻製の製造方法。
- 減圧環境下で、予め燻液を注入した食材のみを加熱することで該食材を燻す工程を有する燻製の製造方法。
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