JP2014228378A - モータ軸受の電食の度合いを推定するモータ制御装置、およびその方法 - Google Patents

モータ軸受の電食の度合いを推定するモータ制御装置、およびその方法 Download PDF

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Abstract

【課題】運転パターンを考慮した、電食の進行度合いを評価することが困難であった。【解決手段】モータ制御装置100は、軸受210の温度を検出する温度検出部103と、回転シャフト204の回転速度を検出する回転速度検出部104と、温度と回転速度とに基づいて、稼働中の潤滑膜の厚みを算出する膜厚算出部と、算出された潤滑膜の厚みを予め定められた範囲に分類し、且つ、該範囲毎に、モータの駆動時間を積算する駆動時間積算部とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、軌道輪に生じ得る電食の度合いを評価することが可能な、モータの軸受の電食の度合いを推定するモータ制御装置、およびモータの軸受の電食の度合いを推定するための方法に関する。
電動モータの分野においては、従来、軸受の軌道輪に電食が発生し、これにより、モータが故障してしまうという課題があった。このような課題に対処するために、種々の手段が開発されてきた(例えば、特許文献1および2)。特許文献1には、軸受の放電を軸電圧の低下を検出し、電食に起因する寿命を予測する方法が記載されている。また、特許文献2には、軸受の稼働中の潤滑膜の厚さを所定の厚さ以下とすることによって、放電によるダメージ低減させる方法が記載されている。
特開2001−289738号公報 特開2010−209988号公報
軸受に発生する電食は、放電が繰り返し発生することによって生じる現象である。軸受内部の放電は、常に同様の放電が繰り返されるのではなく、軸受の潤滑膜の厚さによって放電の状況が異なる。モータの駆動中には、軸受の潤滑膜の厚さが刻々と変化するため、同じモータであっても、運転パターンによって電食の進行度合いが異なる。
しかしながら、従来技術では、運転パターンを含めた電食の評価を行うことができなかった。また、電食の進行の度合いを把握するためには特別な装置が必要であり、このような特別な装置を使用した場合、コストが増加してしまうという課題もあった。
本発明の第1の態様において、モータ制御装置は、回転シャフトを有するロータ、および軌道面を有する軌道輪、および軌道面上を転動する転動体を有し、ロータの回転シャフトを回転可能に支持し、回転シャフトの回転時に軌道面と転動体の間に潤滑膜が形成される軸受を具備するモータを制御するモータ制御装置であって、軸受の温度を検出する温度検出部と、回転シャフトの回転速度を検出する回転速度検出部と、温度と回転速度とに基づいて、モータの稼働時における潤滑膜の厚さを算出する膜厚算出部と、モータの駆動時間を積算する駆動時間積算部とを備える。
ここで、駆動時間積算部は、膜厚算出部によって算出された潤滑膜の厚さを予め定められた範囲に分類し、且つ、該範囲毎に、モータの駆動時間を積算する。本発明によれば、特別な装置を使用することなく、モータを通常制御する際に使用する、温度や回転速度といった情報に基づいて、モータの軸受の電食状態を知ることができる。それとともに、その電食状態毎にモータ駆動時間を積算することによって、電食の度合いを推定することも可能となる。
駆動時間積算部は、潤滑膜の厚さを第1の範囲に分類している間には、モータの駆動時間を第1の駆動時間として積算し、潤滑膜の厚さを、第1の範囲と異なる第2の範囲に分類している間には、モータの駆動時間を第2の駆動時間として積算してもよい。
この場合において、モータ制御装置は、第1の駆動時間に対して、第1の範囲内の潤滑膜の厚さに応じて定められた第1の電食係数を乗算して得られる第1の乗算値と、第2の駆動時間に対して、第2の範囲内の潤滑膜の厚さに応じて定められた第2の電食係数を乗算して得られる第2の乗算値とを加算して合算値を算出する演算部をさらに備えてもよい。また、演算部は、上記合算値を、モータの総駆動時間でさらに除算して平均値を算出してもよい。
モータ制御装置は、駆動時間積算部によって範囲毎に積算されたモータの駆動時間に基づいて、軸受に生じている電食の度合い、および将来の電食の危険度の少なくとも一方を推定する電食推定部をさらに備えてもよい。
また、モータ制御装置は、演算部によって算出された値に基づいて、軸受に生じている電食の度合い、および、将来の電食の危険度の少なくとも一方を推定する電食推定部をさらに備えてもよい。
また、モータ制御装置は、駆動時間積算部によって範囲毎に積算されたモータの駆動時間に基づいて、軸受の温度を調整する温度調整部をさらに備えてもよい。また、モータ制御装置は、演算部によって算出された平均値に基づいて、軸受の温度を調整する温度調整部をさらに備えてもよい。
温度調整部は、モータに供給する無効電流を制御することによって、軸受の温度を調整してもよい。または、温度調整部は、モータの冷却用に設けられた冷却ファンの風量を制御することによって、軸受の温度を調整してもよい。
モータ制御装置は、演算部によって算出された値が予め定められた閾値を超えたときに、使用者に視覚的または聴覚的に報知してもよい。
モータ制御装置は、駆動時間積算部によって範囲毎に積算されたモータの駆動時間の情報を表示する表示部、および該情報を外部に出力する出力部の少なくとも一方をさらに備えてもよい。または、モータ制御装置は、演算部によって算出された値の情報を表示する表示部、および該情報を外部に出力する出力部の少なくとも一方をさらに備えてもよい。
または、モータ制御装置は、電食推定部によって推定された電食の度合いおよび危険度の少なくとも一方の情報を表示する表示部、および該情報を外部に出力する出力部の少なくとも一方をさらに備えてもよい。上記電食係数の値は、モータの種類、モータに電力を供給するアンプの種類、モータとアンプとを接続するケーブルの長さ、および接地状態の少なくとも一方に応じて変えられてもよい。
本発明の第2の態様において、本発明に係る方法は、モータの軸受の電食の度合いを推定する方法は、回転シャフトを有するロータ、および、軌道面を有する軌道輪と、軌道面上を転動する転動体とを有し、回転シャフトを回転可能に支持し、回転シャフトの回転時に軌道面と転動体の間に潤滑膜が形成される軸受、とを備えるモータの軸受の電食度合いを推定する方法である。
この方法は、軸受の温度を検出するステップと、回転シャフトの回転速度を検出するステップと、温度と回転速度とに基づいて、モータの動作時における潤滑膜の厚さを算出するステップと、モータの駆動時間を積算するステップとを備える。
ここで、モータの駆動時間を積算するステップは、潤滑膜の厚さを算出するステップによって算出された潤滑膜の厚さを、予め定められた範囲に分類し、且つ、該範囲毎にモータの駆動時間を積算することを特徴とするモータの軸受の電食度合いを推定するステップを含む。
本発明によれば、モータの稼働中において、軸受の温度と回転速度とを検出し、これらの情報から、潤滑膜の範囲毎に、モータの駆動時間を積算することによって、モータの稼働に伴って進行する電食の度合いを、定量的に評価することができる。また、特別な装置を使用せずに、既存のモータ制御装置で、モータを通常制御する際に使用する、温度や回転速度といった情報を使用して電食の度合いを推定できるので、余計な費用が発生しない。
また、上記のように算出された合算値は、発生し得る電食の度合いによって重み付けされた駆動時間の要素を含むので、使用者は、この合算値を、モータの稼働に伴って進行する電食の度合いを定量的に評価するための1つの指標値として利用することができる。
また、使用者は、上記のように算出された平均値を用いることによって、動作パターンが異なる2つのモータについて、総駆動時間が異なる場合においても、電食の発生し易さを定量的に比較することが可能となる。この比較によって、使用者は、装置の動作パターンが電食の発生し易い動作パターンか否かを比較することができるので、動作パターンと電食の発生のし易さとの関係を定量的に評価することができる。
また、電食推定部によって、モータの稼働に伴って進行する電食の度合いが推定することができるので、使用者は、モータを分解することなく、軸受が電食によって故障してしまう可能性を把握することが可能となる。
また、この電食推定部によって推定された電食の度合いを、表示部に表示することによって、使用者は、モータを分解することなく、軸受に発生し得る電食の度合いを、視覚的に容易に把握することができる。
また、電食推定部によって推定された電食の度合いを、インターフェース部を介して外部機器またはネットワークに出力することによって、使用者は、遠隔地にいる場合でも電食の度合いを把握することができるとともに、その情報を他者と共有することもできる。
また、温度調整部によってモータの温度を調整することによって、電食に起因してモータが故障する可能性を低減するように、モータの駆動条件を制御することができる。
本発明の一実施形態に係るシステムのブロック図を示す。 電食の度合いを評価する手段の概念を説明するための図である。 稼働中の転動体と外輪の外周面との接触部分の拡大図を示す。 本発明の一実施形態に係るモータ軸受の電食度合いを推定する方法のフローチャートを示す。 図4に示す軸受温度調整ステップのフローチャートを示す。 本発明の他の実施形態に係るモータ軸受の電食度合いを推定する方法のフローチャートを示す。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係るシステム10について説明する。システム10は、モータ200と、モータ200を駆動する電源300と、モータ200の軸受210の電食の度合いを推定するためのモータ制御装置100とを備える。
モータ200は、内部空間を画定するハウジング201と、ハウジング201の内部空間に固定されるステータ202と、ステータ202の径方向内側に回転可能に支持されるロータ203と、軸受210とを備える。モータ200は、例えばサーボモータとして構成される。
ロータ203は、回転シャフト204と、回転シャフト204の径方向外側に固定されるロータ部材205を有する。ロータ203は、軸受210によって、ハウジング201に回転可能に支持される。より具体的には、ハウジング201の軸方向両端には、それぞれ軸受210が固定されており、ロータ203の回転シャフト204が、その軸方向両側において、軸受210によって、回転可能に支持される。
軸受210は、回転シャフト204の外周面上に嵌設される内輪211と、内輪211の径方向外側に配置される外輪212と、内輪211と外輪212との間に配置される複数の転動体213とを有する。内輪211は、その外周面が軌道面として機能する軌道輪であって、転動体213は、内輪211の外周面上を転動する。一方、外輪212は、その内周面が軌道面として機能する軌道輪であって、転動体213は、外輪212の内周面上を転動する。
転動体213は、例えば玉または針状ころから構成され、内輪211と外輪212との間において、周方向に複数配置される。隣り合う転動体の間には、保持器(図示せず)が配置される。保持器は、複数の転動体213を、周方向に略等間隔に保持する。
内輪211と外輪212との間には、潤滑剤214(図2を参照)が配置される。この潤滑剤は、軌道面(すなわち、内輪211の外周面および外輪212の内周面)と、転動体213との間の摩擦抵抗を低減し、転動体213が軌道面上を円滑に転動するのを補助する。
電源300は、モータ200のロータに電気的に接続されている。電源300は、モータ200を駆動するための電圧を供給する。例えば、モータ200がサーボモータである場合、電源300は、インバータ回路を含み、PWM電圧をモータ200に印加する。電源300から出力された電圧は、アンプ301を経て、ケーブル302を介して、モータ200に入力される。
モータ制御装置100は、制御部101を備える。制御部101は、モータ制御装置100を構成する各要素を直接的または間接的に制御する。制御部101は、メモリ102と通信する。メモリ102は、電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM(登録商標)等により構成される。メモリ102は、稼働時における潤滑膜の厚さを算出するために用いるデータテーブルや、軸受における潤滑膜厚さの一般的な計算式を格納する。なお、これらについては、後述する。
モータ制御装置100は、軸受210の温度を検出する温度検出部103と、回転シャフト204の回転速度を検出する回転速度検出部104とを備える。温度検出部103は、熱電対等から構成された温度センサを含み、軸受210の温度に関する情報を取得し、制御部101に送信する。
より具体的には、温度検出部103は、内輪211および外輪212に直接取り付けられ、内輪211と外輪212の温度を取得する。なお、温度検出部103を、例えばモータ200のハウジング201に取り付け、制御部101において、ハウジング201の温度に基づいて、内輪211と外輪212の温度を推定してもよい。
また、温度検出部103は、巻線からの温度情報や、検出器からの温度情報を用いることもできる。このように、温度情報を軸受210から直接取得しない場合は、温度検出部103によって検出された温度は、軸受210の実際の稼働中の温度と完全に一致しない。
このため、予め記録された係数を得られた温度に乗算し、軸受210の稼働中の温度と推定してもよい。または、モータ200の各部材の温度と、軸受の温度との相関データを、メモリ102に予め記憶し、この相関データに基づいて、軸受の温度を推定してもよい。一般的なモータの制御装置では巻線や検出器の温度を常に監視し、所定の温度を超えた場合にアラームとする処理などが行われているため、これらの温度情報を元に軸受温度を推定すれば特別な温度検出器が不要である。
回転速度検出部104は、回転シャフト204の回転速度に関する情報を取得し、制御部101に送信する。より具体的には、回転速度検出部104は、例えばフォトインタラプタを含むエンコーダによって構成され、回転シャフト204に電磁波を照射することによって、回転シャフト204の回転速度を取得する。
また、モータに具備されている速度検出器から回転速度を取得することもできる。モータ制御装置ではモータの速度制御を行うことが一般的であり、この制御に用いる速度情報をそのまま、軸受の回転速度とすることができ、特別な速度検出装置が不要である。
モータ制御装置100は、軸受210の温度を調整するための温度調整部105を備える。温度調整部105は、例えばモータ200に設置される冷却ファンを含み、制御部101からの指令に応じて、冷却ファンの風量を制御することによって、軸受210の温度を調整する。
または、温度調整部105は、モータ200に供給する無効電流を制御することによって、軸受210の温度を調整してもよい。この場合、温度調整部105は、制御部101からの指令に応じて、電源300またはアンプ301と通信し、モータ200に入力される無効電流を増加または減少させることによって、軸受210の温度を調整する。
制御部101は、予め定められたサンプリング周期(Δt)毎に、モータ200の駆動時間を積算する。すなわち、本実施形態においては、制御部101は、駆動時間積算部として機能する。
モータ制御装置100は、表示部107を備える。表示部107は、制御部101からの指令を受信し、指令に応じた画像を表示する。表示部107には、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が用いられる。
また、モータ制御装置100は、外部の機器と通信可能なインターフェース部106を備える。インターフェース部106は、出力部として、制御部101からの指令に応じて、外部機器へ情報を出力することができる。これとともに、インターフェース部106は、外部機器から情報を受信することもできる。インターフェース部106は、例えば、外部ネットワークと通信可能なI/Oインターフェースであってもよいし、外部機器と無線により通信可能な無線送受信機によって構成されてもよい。
制御部101は、温度検出部103によって得られた軸受210の温度と、回転速度検出部104によって得られた回転シャフト204の回転速度とに基づいて、モータ200の稼働時における潤滑膜の厚さを算出する。そして、制御部101は、このように算出された潤滑膜の厚さに基づいて、軌道面に生じ得る電食の度合いを、定量的に推定する。
以下、電食の度合いを定量的に推定する方法について、図1〜図3を参照して詳細に説明する。なお、図2は、x軸に回転シャフト204の回転速度を示し、y軸に軸受210の温度を示し、これら回転速度と温度とに基づいて、潤滑膜の厚さを3つの範囲に区分した状態を示すグラフである。
モータ200の稼働中においては、例えばスイッチングの時間的なずれによって、中性点電位が変化する。これに伴って、回転シャフト204の軸電圧が変化する。その結果、軸受210の内輪と外輪の間に電位差が生じ、軸受210の軌道面(すなわち、内輪211の外周面および外輪212の内周面)と、転動体213との間にて放電が発生する。この放電によって、軌道面に放電痕が発生し、電食となる。このように生じた電食は、軸受210の不具合の要因となる。
内輪と外輪の間に生じる電位差(電圧)は、モータ200の駆動装置の構成にも依存し、モータ200、アンプ301、モータ200とアンプ301とを接続するケーブルの長さ、接地状態の組み合わせによって、電圧の大きさが変化する。言い換えれば、これらの組み合わせによって、軸受210の内輪211と外輪212に生じる電圧の大きさが決まる。この軸受210の内輪211と外輪212に生じる電圧が、軸受210の耐電圧を超えた場合に、軸受210の軌道面と転動体213の間で放電が生じる。
図3に、稼働中の軸受210における、1つの転動体213と、外輪212の外周面212aとの接触部分の拡大図を示す。軸受210の潤滑は、いわゆる流体潤滑によって行われる。図3に示すように、稼働中においては、転動体213と、外輪212の外周面212aとの間に、潤滑膜214が形成される。このように形成される潤滑膜214によって、稼働中の転動体213と外輪212とは、距離dだけ互いに離隔することになる。
ここで、一般的には、放電エネルギーは、モータ200の稼働中に転動体213と軌道面との間に形成される潤滑膜の厚さに依存する。具体的には、潤滑膜の厚さが厚くなるにつれて、転動体213と軌道面との間における潤滑膜の耐電圧が大きくなるので、放電は発生し難くなる。その一方で、潤滑膜の厚さが厚くなるにつれて、放電が発生した場合の放電エネルギーが大きくなるので、軌道面に生じる放電痕がより大きくなる。
このように、モータ200の稼働中に軌道面に生じ得る電食は、モータ200の稼働中に転動体213と軌道面との間に形成される潤滑膜の厚さに大きく依存する。換言すれば、モータ200の稼働中における潤滑膜の厚さを算出し、潤滑膜の厚さ毎の駆動時間を把握することができれば、軌道面に生じ得る放電痕の幅、長さ、または深さといった放電痕の寸法、および放電痕の発生個所の数等、軸受210に生じ得る電食の度合いを、定量的に推定することができる。
本実施形態においては、モータ200の稼働中における潤滑膜の厚さが、軸受の温度と回転速度とに大きく依存する点に着目し、軸受の温度と回転速度とに基づいて、稼働中の潤滑膜の厚さを算出する。
モータ200の稼働中における潤滑膜の厚さと、軸受の温度および回転速度との間には、以下に示す関係性があることが明らかとなっている。すなわち、軸受の温度が低くなると、潤滑剤の粘度が高くなり、その結果、潤滑膜の厚さが厚くなる。
また、回転シャフトの回転速度が高くなると、潤滑膜の厚さが厚くなる。より具体的には、内輪211と転動体213との間の回転速度の差、すなわち、転動体213に対する内輪211の相対速度が高くなるにつれて、内輪211の外周面と転動体213との間に形成される潤滑膜の厚さが厚くなる。
一方、転動体213と外輪212との間の回転速度の差、すなわち、外輪212に対する転動体213の相対速度が高くなるにつれて、外輪212の内周面と転動体213との間に形成される潤滑膜の厚さが厚くなる。
転動体213に対する内輪211の相対速度と、外輪212に対する転動体213の相対速度とは、概して、回転シャフトの回転速度に依存する。したがって、内輪211の外周面と転動体213との間、および、外輪212の内周面と転動体213との間に形成される潤滑膜の厚さは、回転シャフトの回転速度にも依存する。
本実施形態においては、制御部101は、稼働中に検出した軸受210の温度および回転速度に基づいて、潤滑膜の厚さを算出する。そして、制御部101は、算出した潤滑膜の厚さが、図2に示す3つの範囲401〜403のいずれの範囲内にあるかを分類し、その範囲毎に、駆動時間を積算する。これにより、制御部101は、稼働中の軸受210の電食の度合いを推定する。
潤滑膜の厚さの算出に関して、軸受210の温度および回転速度を、潤滑膜の厚さを求める一般的な計算式に代入して、潤滑膜の厚さを求めても良い。または、温度および回転速度と、潤滑膜の厚さとの関係をデータテーブルとして、メモリ102に予め格納し、このデータテーブルに基づいて、潤滑膜の厚さを算出しても良い。
また、温度および回転速度に対応する、図2に示す3つの範囲401〜403のデータテーブルに基づいて、稼働中のモータ200の温度および回転速度が、図2に示すいずれの範囲に該当するかを分類し、その範囲毎に、モータ200の駆動時間を積算してもよい。
具体的には、図2に示す範囲401は、稼働中の転動体213と軌道面との間の潤滑膜の厚さが非常に薄い(例えば、0〜0.2μm)範囲である。この範囲は、軸受210に掛かる電圧で放電が発生してしまうが、放電エネルギーが非常に小さく、軸受に生じる電食の度合いが小さい範囲として、予め定められている。
また、図3に示す範囲402は、転動体213と軌道面との間の潤滑膜の厚さが、範囲401よりも比較的に厚い(例えば、0.2〜1μm)範囲である。この範囲は、軸受に掛かる電圧で放電し、且つ放電エネルギーが高く、軸受に生じる電食の度合いが大きい範囲として、予め定められている。
また、図3に示す範囲403は、範囲401、402と比べて、転動体213と軌道面との間の潤滑膜の厚さが十分に厚い(例えば、1μm以上)範囲である。この範囲は、軸受の耐電圧が高く、軸受に掛かる電圧では放電せず、軸受に電食が生じない範囲として、予め定められている。
図3に示す範囲401〜403は、潤滑膜の厚さと軸受210に生じる電食の度合いとの関係に基づいて、実験的に定められた範囲である。
図3に示すグラフに相当するデータテーブルは、メモリ102に予め格納される。制御部101は、稼働中の回転シャフトの回転速度および軸受の温度から、図3に示すグラフに相当するデータテーブルに当てはめることによって、稼働中の潤滑膜の厚さを算出し、その潤滑膜の厚さが範囲401〜403のいずれに該当するかを、分類する。
制御部101は、稼働中の潤滑膜の厚さが、範囲401〜403のいずれの範囲に該当するかを分類した後、それぞれの範囲毎に、モータ200の駆動時間を積算する。具体的には、制御部101は、予め定められたサンプリング周期Δt(例えば制御周期)毎に、軸受210の温度および回転速度の情報を取得する。
次いで、制御部101は、取得した温度および回転速度から、潤滑膜の厚さが範囲401〜403のいずれの範囲に該当するかを分類する。そして、制御部101は、稼働中の潤滑膜の厚さが範囲401の範囲内である判断すると、サンプリング周期(Δt)の時間を駆動時間1として積算し、メモリ102に記録する。これにより、潤滑膜の厚さが範囲401内に存在していた期間のモータ200の駆動時間の総計を記録することができる。
同様にして、制御部101は、潤滑膜の厚さが範囲402の範囲内となるモータ200の駆動時間2、および、潤滑膜の厚さが範囲403の範囲内となるモータ200の駆動時間3を、それぞれ積算し、メモリ102に記録する。
軸受210の温度や回転速度は、時々刻々と変化するが、これらの情報は、モータ200の制御に用いられるので、予め定められた周期毎に、モータ制御装置100によって検出される。このため、これら情報に基づいて、上記計算を行うことが望ましい。また、潤滑膜の厚さの範囲の分類を、モータ制御装置100の制御周期毎に行うことによって、速度が急速に変化するような動作にも対応して、モータ200の駆動時間を算出することができる。
使用者は、上記のようにして積算された駆動時間1〜3に基づいて、軸受210に生じ得る電食の度合いを評価することができる。例えば、稼働中の潤滑膜の厚さが範囲401の範囲内である期間(すなわち、駆動時間1)のモータ200の駆動状態を駆動状態1とする。同様に、潤滑膜の厚さが範囲402内である期間(すなわち、駆動時間2)のモータ200の駆動状態を駆動状態2、潤滑膜の厚さが範囲402内である期間(すなわち、駆動時間3)のモータ200の駆動状態を駆動状態3とする。
使用者は、駆動状態1〜3を以下のように区分することによって、軸受210に生じ得る電食の度合いを評価することができる。
(1)駆動状態1(膜厚=0〜0.2μm):駆動時間1=300時間・・・潤滑膜の厚さが薄く、放電しても損傷が少ない状態で、モータ200が計300時間駆動されている。
(2)駆動状態2(膜厚=0.2〜1μm):駆動時間2=50時間・・・膜厚が比較的厚く、高いエネルギーで放電し、軸受が損傷し易い状態で、モータ200が計50時間駆動されている。
(3)駆動状態3(膜厚=0.2〜1μm):駆動時間3=0時間・・・膜厚が厚く、軸受に十分な耐電圧があり、放電が発生しない状態で、モータ200が0時間駆動されている。
また、次のように、合算値を算出し、この合算値に基づいて軸受210に生じ得る電食の度合いを評価することも可能である。この方法について、以下に説明する。
この場合、制御部101は、メモリ102に記録された駆動時間1〜3を読み出して、以下の式1に従って、合算値S1を演算し、メモリ102に記録する。すなわち、本実施形態においては、制御部101は、合算値S1を演算する演算部として機能する。
(式1)合算値S1=K1×駆動時間1+K2×駆動時間2+K3×駆動時間3
ここで、K1、K2、およびK3は、それぞれ電食係数を示す。以下、これら電食係数K1、K2、およびK3について、説明する。
駆動時間1〜3は、それぞれ、稼働中の潤滑膜の厚さが範囲401〜403の範囲内となるモータの駆動時間の総計を示している。また、範囲401〜403では、それぞれ、放電の発生し易さ、および、発生した場合の放電のエネルギーの大きさが異なっているので、軌道面に生じ得る電食の度合い(例えば、放電痕の幅、長さ、または深さといった放電痕の寸法、および放電痕の発生個所の数)が異なっている。
そこで、本実施形態においては、稼動中の潤滑膜の厚さ(すなわち、発生し得る放電エネルギーの大きさ)に応じた重み付けを行った電食係数K1、K2、およびK3を、対応する駆動時間1、2、および3の各々に、乗算する。
具体的には、最も電食の度合いが大きくなると推定される駆動時間2に対応する電食係数K2を、最も大きく設定する。そして、電食が殆ど発生しないものと推定される駆動時間3に対応する電食係数K3を、最も小さく設定する。すなわち、K2>K1>K3となるように、設定する。
このようにして算出された合算値S1は、発生し得る電食の度合いによって重み付けされた駆動時間の要素を含むので、使用者は、この合算値S1を、モータ200の稼働に伴って進行する電食の度合いを定量的に評価するための1つの指標値として利用することができる。
実際上においては、同じモータを使用している場合であっても、モータが取り付けられる装置が異なれば、そのモータにて生じ得る電食の度合いは異なる。さらに、モータを同じ装置に使用した場合であっても、その装置の運転パターンが異なれば、モータにて生じ得る電食の度合いが異なる。
ここで、使用者は、ある装置を1ヶ月間駆動した後に、合算値S1を確認することによって、その装置の動作パターンにおける電食リスクを1つの数値として評価することができ、他の装置の動作パターンとの電食リスクの比較や、同じ装置でも用途に応じて電食リスクを比較することが可能となる。
また、上記合算値S1を、モータの総駆動時間によって除算した時間平均値に基づいて、電食の度合いを定量的に評価することもできる。具体的には、制御部101は、メモリ102から合算値S1を読み出し、以下の式2に従って、時間平均値A1を演算し、メモリ102に記録する。
(式2)時間平均値A1=合算値S1÷モータ200の総駆動時間Ts=(K1×駆動時間1+K2×駆動時間2+K3×駆動時間3)÷Ts
なお、モータ200の総駆動時間Tsは、駆動時間1+駆動時間2+駆動時間3として求めることができる。使用者は、時間平均値A1を、モータ200の総駆動時間Tsに依存しないパラメータとして用いて、電食の度合いを定量的に評価することができる。
これにより、例えば、動作パターンが異なる2つのモータについて、総駆動時間Tsが異なる場合においても、電食の発生し易さを定量的に比較することが可能となる。この比較によって、使用者は、装置の動作パターンが電食の発生し易い動作パターンか否かを比較することができるので、動作パターンと電食の発生のし易さとの関係を定量的に評価することができる。
なお、上記合算値S1または時間平均値A1を算出する場合に、稼働中の潤滑膜の厚さに応じて重み付けを行うために用いる電食係数を、固定値とすることなく、例えば、稼働中の潤滑膜の厚さtを変数とした、以下の式3に示す関数として定義することもできる。
(式3)
電食係数K(t)=αt (0<t<b)
電食係数K(t)=0 (t>b)
ここで、αは、定数である。なお、上記したように、潤滑膜の厚さtは、軸受の温度及び回転速度を、潤滑膜の厚さを求める一般的な計算式に代入することによって算出しても良いし、モータ200の温度、回転速度、潤滑膜の厚さの関係に係るデータテーブルに基づいて算出してもよい。
一般的に、放電エネルギーは、潤滑膜の厚さtの2乗に比例する。したがって、この電食係数K(t)は、潤滑膜の厚さtが所定の範囲内(0<t<b)である場合、厚さtの2乗に比例するように定義されている。その一方で、潤滑膜の厚さtが、所定の厚さbよりも大きくなった場合は、放電が殆ど発生しない状態となるので、電食係数K(t)が0となるように定義されている。
関数として定義した電食係数K(t)を用いることによっても、軌道面に生じる電食の度合いを、定量的に評価することができる。例えば、制御部101は、予め定められたサンプリング周期Δt(例えば制御周期)毎にK(t)を計算する。次いで、制御部101は、K(t)に、サンプリング周期Δtを乗算して乗算値:K(t)×Δtを算出する。そして、以下の式4によって、合算値S2を算出することができる。
(式4)合算値S2=Σ{K(t)×Δt}
また、以下の式5によって、時間平均値A2を算出することができる。
(式5)時間平均値A2=Σ{K(t)×Δt}÷モータ200の総駆動時間Ts
この方法によれば、サンプリング周期Δt(すなわち、サンプリング周波数1/Δt)で、デジタル信号処理によって合算値S2および時間平均値A2を算出することができる。
上記合算値S2および時間平均値A2を用いても、使用者は、モータ200に生じ得る電食の度合いを、定量的に評価することができる。なお、上記した式3に示すように電食係数K(t)を決定するための情報(例えば、上記厚さbや、定数α)は、メモリ102に予め記録される。
上記のように、本実施形態に係るモータ制御装置100は、稼働中の潤滑膜の厚さに基づいて、例えば、放電痕の幅、長さ、または深さといった放電痕の寸法、および放電痕の発生個所の数といった電食の度合いを、定量的に評価する。
また、本実施形態に係るモータ制御装置100は、上記のように算出した駆動時間1〜3を用いて、モータ200を、電食によってモータ200が故障する可能性を低減するように、駆動条件を制御することができる。
具体的には、制御部101は、駆動時間1〜3を積算した後に、温度調整部105に指令を送り、軸受210の温度を増加または減少させる。温度調整部105が冷却ファンを含む場合は、温度調整部105は、冷却ファンの風量を制御することによって、軸受210の温度を増加または減少させる。または、温度調整部105は、モータ200に供給する無効電流を制御することによって、軸受210の温度を調整してもよい。
例えば、駆動時間1が0時間、駆動時間2が50時間、駆動時間3が300時間となっていた場合に、制御部101は、軸受210の温度を下げるように温度調整部105を制御する。回転速度が同じであれば、潤滑膜の厚さが厚くなるので、モータ200が同じ動作(速度)パターンで駆動される場合、駆動時間2に積算されていた駆動時間のうちの一部が、駆動時間3に積算されることになる。その結果、電食の度合いを小さくすることができる。
一方、例えば、駆動時間1が300時間、駆動時間2が50時間、駆動時間3が0時間となっていた場合に、制御部101は、軸受210の温度を上げるように温度調整部105を制御する。回転速度が同じであれば、潤滑膜の厚さが薄くなるため、モータ200が同じ動作(速度)パターンで駆動される場合、駆動時間2に積算されていた動作時間のうちの一部が、駆動時間1に積算されることになる。その結果、電食の度合いを小さくすることができる。
この構成によれば、モータ200の回転速度、すなわち動作パターンを同じとして稼働を継続しつつ、電食によってモータ200の軸受210が故障する可能性を低減することができる。したがって、例えばモータを製造装置に適用した場合に、製品の生産性に低下させることなく、電食によるモータ200の軸受210の故障を抑え、その結果、モータ200の寿命を引き延ばすことができる。
次に、図4を参照して、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置100の動作フローについて、説明する。なお、本実施形態においては、制御部101は、予め定められたサンプリング周期Δtで、S1〜S14のフローを実行する。
図4に示すフローが開始されると、開始時点からΔt経過後に、制御部101はステップS1において、軸受210の温度を検出する。具体的には、制御部101は、温度検出部103から送信された軸受210の内輪211および外輪212の温度を取得する。ステップS2において、制御部101は、回転速度検出部104から送信された回転シャフト204の回転速度を取得する。
ステップS3において、制御部101は、稼働中の潤滑膜の厚さを算出する。具体的には、制御部101は、図3に示すグラフに相当するデータテーブルをメモリ102から読み出す。そして、制御部101は、ステップS1およびステップS2にて取得した内輪211および外輪212の温度および回転シャフト204の回転速度に基づいて稼働中の潤滑膜の厚さを算出する。このように、本実施形態においては、制御部101は、膜厚算出部として機能する。
ステップS4において、制御部101は、潤滑膜の厚さが範囲401内にあるか否かを判断する。具体的には、制御部101は、ステップS3にて算出した潤滑膜の厚さが、メモリ102に格納された範囲401に該当する場合に、YESと判断し、ステップS5に進む。
一方、制御部101は、範囲401に該当しない場合に、NOと判断し、ステップS6に進む。このステップS4により、制御部101は、潤滑膜の厚さが範囲401に分類されるか否かを判断する。
ステップS5において、制御部101は、駆動時間1を積算する。具体的には、制御部101は、メモリ102に記録された駆動時間1に、サンプリング周期Δtを積算する。一方、ステップS4にて、制御部101がNOと判断した場合、ステップS6において、制御部101は、ステップS3にて算出された潤滑膜の厚さが、上記した範囲402内にあるか否かを判断する。
具体的には、制御部101は、ステップS3にて算出した潤滑膜の厚さが、メモリ102に格納された範囲402に該当する場合に、YESと判断し、ステップS7に進む。一方、制御部101は、範囲402に該当しない場合に、NOと判断し、ステップS8に進む。このステップS6により、制御部101は、潤滑膜の厚さが範囲402に分類されるか否かを判断する。
ステップS7において、制御部101は、駆動時間2を積算する。具体的には、制御部101は、メモリ102に記録された駆動時間2に、サンプリング周期Δtを積算する。一方、ステップS6において、制御部101がNOと判断した場合、制御部101は、潤滑膜の厚さが上記した範囲403に分類されるものと判断し、ステップS8に進む。ステップS8において、制御部101は、駆動時間3を積算する。具体的には、制御部101は、メモリ102に記録された駆動時間3に、サンプリング周期Δtを積算する。
ステップS9において、制御部101は、モータ200の軸受210の温度を調整する必要があるか否かを判断する。例えば、制御部101は、駆動時間1が0時間、駆動時間2が50時間、駆動時間3が300時間として積算されていた場合は、軸受210の温度を下げる必要があると判断する。
また、制御部101は、駆動時間1が300時間、駆動時間2が50時間、駆動時間3が0時間として積算されていた場合は、軸受210の温度を上げる必要があると判断する。制御部101は、温度を調整する必要があると判断すると、ステップS15に進む。一方、制御部101は、温度を調整する必要がないと判断すると、ステップS10に進む。
ステップS10において、制御部101は、ステップS5、S7、およびS8にて積算された駆動時間1〜3を元に合算値を演算する。具体的には、制御部101は、メモリ102に記録された駆動時間1〜3と、電食係数K1〜K3を読み出して、上記した式1に従って、合算値S1を演算する。
ステップS11において、制御部101は、ステップS10にて算出した合算値から、時間平均値を演算する。具体的には、制御部101は、ステップS10にて算出した合算値S1と、モータ200の総駆動時間Tsを、上記した式2に適用し、時間平均値A1を演算する。
ステップS12において、制御部101は、ステップS11にて算出した時間平均値が、予め定められた閾値を超えたか否かを判断する。具体的には、制御部101は、メモリ102に予め格納されている時間平均値の閾値Athを読み出し、時間平均値A1と閾値Athとを比較する。そして、制御部101は、A1>Athの場合にYESと判断して、ステップS13に進む。一方、制御部101は、A1≦Athの場合にNOと判断して、ステップS14に進む。
ステップS12においてYESと判断された場合、ステップS13において、制御部101は、ステップS11にて算出した時間平均値が閾値を超えた旨を使用者に視覚的に報知すべく、警告を表示部107に表示する。具体的には、制御部101は、警告表示に対応する画像データをメモリ102から読み出し、表示部107に送信する。
表示部107は、受信した画像データを表示する。例えば、表示部107は、「時間平均値が閾値を超過しました」という文字を表示する。なお、制御部101は、警告の表示に代えて(または加えて)、インターフェース部106を介して、警告情報を外部機器に出力してもよい。警告の表示および/または出力が行われた後、ステップS13は完了し、ステップS14に進む。
一方、ステップS9にてYESと判断されると、ステップS15が開始される。このステップS15において、制御部101は、軸受210の温度を調整する。このステップS15について、図5を参照して説明する。
なお、図5の(a)は、温度調整部105が冷却ファンを含む場合の軸受温度調整ステップのフローチャートを示し、(b)は、温度調整部105がモータ200に供給する無効電流を制御することによって軸受210の温度を調整する場合における、軸受温度調整ステップのフローチャートを示す。
図5(a)を参照して、温度調整部105が冷却ファンを含む場合について説明する。制御部101は、軸受温度調整ステップS15を開始すると、ステップS151において、軸受210の近傍に配置された冷却ファンに指令を送り、冷却ファンの風量を制御する。ステップS152において、制御部101は、温度検出部103から送信された軸受210の内輪211および外輪212の温度を取得する。
ステップS153において、制御部101は、ステップS152にて取得した軸受の温度が、目標値の範囲内にあるか否かを判断する。例えば、制御部101は、駆動時間1が0時間、駆動時間2が50時間、駆動時間3が300時間として積算されていた場合は、軸受210の温度を下げるべく目標値を設定する。
または、制御部101は、駆動時間1が300時間、駆動時間2が50時間、駆動時間3が0時間として積算されていた場合は、軸受210の温度を上げるべく目標値を設定する。そして、制御部101は、ステップS152にて取得した温度が、該目標値の範囲内にある場合にYESと判断し、軸受温度調整ステップを終了する。一方、制御部101は、該目標値の範囲内にない場合にNOと判断し、ステップS151に戻る。
次に、図5(b)を参照して、温度調整部105がモータ200に供給する無効電流を制御することによって軸受210の温度を調整する場合について説明する。制御部101は、軸受温度調整ステップを開始すると、ステップS154において、制御部101は、無効電流を制御すべく温度調整部105に指令を送る。温度調整部105は、電源300またはアンプ301と通信し、受け取った指令に応じて、モータ200に入力される無効電流を増加または減少させる。
ステップS155において、制御部101は、温度検出部103から送信された軸受210の内輪211および外輪212の温度を取得する。ステップS156において、制御部101は、ステップS155にて取得した軸受の温度が、目標値の範囲内にあるか否かを判断する。制御部101は、ステップS155にて取得した温度が目標値の範囲内にある場合にYESと判断し、軸受温度調整ステップを終了する。一方、制御部101は、ステップS155にて取得した温度が目標値の範囲内にない場合にNOと判断し、ステップS154に戻る。
再度、図4を参照して、制御部101は、ステップ12またはステップS13の後に、ステップS14において、使用者からモータの稼働を終了する指令を受けたか否かを判断する。制御部101は、使用者から終了の指令を受けた場合にYESと判断し、動作フローを終了する。
一方、制御部101は、使用者から終了の指令を受けていない場合NOと判断し、ステップS1に戻る。そして、制御部101は、この動作フローの開始時点からΔt経過後に、ステップS1を再度実行する。このようにして、制御部101は、使用者から終了の指令を受けるまで、ステップS1〜14に示すフローを、サンプリング周期Δtで繰り返し実行する。
次に、図6を参照して、モータ制御装置100の、他の実施形態に係る動作フローについて、説明する。なお、図6に示す動作フローのステップS1〜ステップS8、ステップS10、およびステップS14は、図4に示す動作フローのステップS1〜ステップS8、ステップS10、およびステップS14と同じであるので、詳細な説明を省略する。
ステップS9にて合算値を算出した後、ステップS100において、制御部101は、ステップS9にて算出した合算値が、予め定められた第1の閾値を超えたか否かを判断する。具体的には、制御部101は、メモリ102に予め格納されている第1の閾値Sth1を読み出し、ステップS9にて算出した合算値S1と閾値Sth1とを比較する。そして、制御部101は、S1>Sth1の場合にYESと判断し、ステップS101に進む。一方、制御部101は、S1≦Sth1の場合にNOと判断し、ステップS102に進む。
ステップS100にてYESと判断した場合、ステップS101にて、制御部101は、合算値が、予め定められた第2の閾値を超えたか否かを判断する。具体的には、制御部101は、メモリ102に予め格納されている第2の閾値Sth2を読み出し、合算値S1と閾値Sth2とを比較する。そして、制御部101は、S1>Sth2である場合にYESと判断し、ステップS103に進む。一方、制御部101は、S1≦Sth2である場合にNOと判断し、ステップS104に進む。なお、第2の閾値Sth2は、第1の閾値Sth1よりも大きく設定される。
ステップS101にてYESと判断した場合、ステップS103にて、制御部101は、合算値が、予め定められた第3の閾値を超えたか否かを判断する。具体的には、制御部101は、メモリ102に予め格納されている第3の閾値Sth3を読み出し、合算値S1と閾値Sth3とを比較する。そして、制御部101は、S1>Sth3である場合にYESと判断し、ステップS105に進む。一方、制御部101は、S1≦Sth3である場合にNOと判断し、ステップS106に進む。なお、第3の閾値Sth3は、第2の閾値Sth2よりも大きく設定される。
ステップS103にてYESと判断した場合、ステップS105にて、制御部101は、合算値が、予め定められた第4の閾値を超えたか否かを判断する。具体的には、制御部101は、メモリ102に予め格納されている第4の閾値Sth4を読み出し、合算値S1と閾値Sth4とを比較する。そして、制御部101は、S1>Sth4である場合にYESと判断し、ステップS107に進む。一方、制御部101は、S1≦Sth4である場合にNOと判断し、ステップS108に進む。なお、第4の閾値Sth4は、第3の閾値Sth3よりも大きく設定される。
一方、ステップS100にてNOと判断した場合、ステップS102において、制御部101は、電食の度合いをレベル0であると推定し、メモリ102に記録する。すなわち、本実施形態においては、制御部101は、モータ200の稼働とともに進行する電食の度合いを推定する電食推定部として機能する。同様に、ステップS101にてNOと判断した場合、ステップS104において、制御部101は、電食の度合いをレベル1であると推定し、メモリ102に記録する。
また、ステップS103にてNOと判断した場合、ステップS106において、制御部101は、電食の度合いをレベル2であると推定し、メモリ102に記録する。また、ステップS105にてNOと判断した場合、ステップS108において、制御部101は、電食の度合いをレベル3であると推定し、メモリ102に記録する。また、ステップS105にてYESと判断した場合、ステップS107において、制御部101は、電食の度合いをレベル4であると推定し、メモリ102に記録する。
ステップS109において、制御部101は、使用者に電食の度合いを報知すべく、電食の度合いを表示部に表示する。具体的には、制御部101は、ステップS102、S104、S106、S107、およびS108にてメモリ102に記録された電食の度合いのレベルに係る情報のうち、最新のものを検索する。そして、制御部101は、最新のレベルに対応する画像データを読み出し、使用者に電食の度合いを報知すべく、表示部107に表示する。
例として、メモリ102には、電食の度合いのレベルの各々に対応して、以下のような画像表示用のデータが予め格納されている。
レベル0:「電食が発生する可能性なし」
レベル1:「電食が発生する可能性があるが、異音や軸受損傷に至る可能性はない」
レベル2:「電食が発生する可能性があり、異音や軸受損傷に至る可能性がある」
レベル3:「電食が発生し、異音や軸受損傷に至る可能性が高い」
レベル4:「電食が発生し、異音や軸受損傷に至る可能性が非常に高い」
例えば、合算値S1が閾値Sth4を超えていた場合を考えると、制御部101は、ステップS109にて、「電食が発生し、異音や軸受損傷に至る可能性が非常に高い」という画像データをメモリ102から読み出し、表示部107に表示する。
このように、この動作フローによれば、制御部101は、合算値S1に基づいて、モータ200の稼働に伴って進行する電食の度合いを推定し、使用者に報知することができる。これにより、使用者は、モータ200を分解することなく、軸受210が電食によって故障してしまう可能性を把握することが可能となる。
なお、この動作フローにおいては、合算値S1に基づいて電食の度合いを推定した場合について述べたが、これに限らず、上記した合算値S2、または時間平均値A1、A2に基づいて電食の度合いを推定することもできる。
また、合算値S1を求めることなく、駆動時間1〜3のうち、電食の度合いが最も大きくなると推定される駆動時間2のみに注目し、駆動時間2が予め定められた閾値を超えたときに、それに対応して電食レベルを引き上げてもよい。電食の発生は、モータの温度や速度に大きく依存するため、同じ機械であっても同じように電食が発生するとは限らない。
本実施例では、装置の運転パターンも加味して、電食レベルを表示するため、電食のリスクが高い装置にだけ電食対策を行うことができる。言い換えれば、電食対策が必要な装置にだけ、対策を行うことができるので、全ての装置に電食対策を行うことと比較して、対策費用を削減することができる。
なお、上記した実施形態においては、合算値S1を求める場合に、電食係数K1を、0〜0.2μmの潤滑膜の厚さに対応する駆動時間1に乗算し、電食係数K2を、0.2〜1μmの潤滑膜の厚さに対応する駆動時間2に乗算し、且つ、電食係数K3を、1μm以上の潤滑膜の厚さに対応する駆動時間3に乗算する場合について述べた。
しかしながら、これに限らず、電食係数を乗算する場合に、駆動時間1〜3の各々に対応する潤滑膜の厚さの範囲を、モータ200の種類、アンプ301の種類、モータ200に供給される電圧、ケーブル302の種類、および、接地状態の組み合わせによって、変更してもよい。ここで、接地状態とは、例えばアース線のケーブルの直径、接地点の数等を示す。モータ200の種類、アンプ301の種類、モータ200に供給される電圧、ケーブル302の種類、および接地状態といった要素は、軸受に掛かる電圧の大きさに影響を与え得るものであり、これらの組み合わせに応じて、軸受内部で発生する放電の状況が異なる。
より具体的には、第1のシステムにおいては、モータ200の種類が「A」、アンプ301の種類が「A」、入力電圧が400V、ケーブル302の種類が「A」、接地状態が「Aパターン」であったとする。
この場合、上記実施形態と同様に、合算値S1を求めるために、リスク係数K1を、0〜0.2μmの潤滑膜の厚さに対応する駆動時間1に乗算し、電食係数K2を、0.2〜1μmの潤滑膜の厚さに対応する駆動時間2に乗算し、電食係数K3を、1μm以上の潤滑膜の厚さに対応する駆動時間3に乗算するものとする。
一方、第2のシステムにおいては、モータ200の種類が「A」、アンプ301の種類が「A」、入力電圧が400V、ケーブル302の種類が「B」、接地状態が「Bパターン」であったとする。
この場合においては、合算値S1を求めるために、リスク係数K1を、0〜0.4μmの潤滑膜の厚さに対応する駆動時間に乗算し、電食係数K2を、0.4〜1.5μmの潤滑膜の厚さに対応する駆動時間に乗算し、電食係数K3を、1.5μm以上の潤滑膜の厚さに対応する駆動時間に乗算する。
さらに、第3のシステムにおいては、モータ200の種類が「B」、アンプ301の種類が「A」、入力電圧が400V、ケーブル302の種類が「B」、接地状態が「Bパターン」であったとする。
この場合においては、合算値S1を求めるために、リスク係数K1を、0〜0.6μmの潤滑膜の厚さに対応する駆動時間に乗算し、電食係数K2を、0.6〜2.2μmの潤滑膜の厚さに対応する駆動時間に乗算し、電食係数K3を、2.2μm以上の潤滑膜の厚さに対応する駆動時間に乗算する。
このように、リスク係数K1を乗算する際の潤滑膜の厚さの範囲を、モータ200の種類、アンプ301の種類、モータ200に供給される電圧、ケーブル302の種類、および、接地状態の組み合わせによって変更することによって、種々のシステムに応じて、電食の度合いを評価することができる。これにより、より広範なシステムに亘って、電食の度合いを容易に把握することができる。
なお、モータ200の種類は、例えば、モータの最大トルク、入力電力、直径等に応じて定められる。また、アンプ301の種類は、例えば、最大入力電力、最大出力電力、ゲイン等に応じて定められる。ケーブル302の種類は、ケーブルの直径もしくは長さ、同軸線もしくは平衡線といったケーブルのタイプ、または、ケーブルに使用される材料の種類等に応じて定められる。また、接地状態は、接地点の数、アース線として用いられるケーブルの種類等によって定められる。
また、上記した実施形態においては、図2に示すように、潤滑膜の厚さおよび電食の度合いを算出するために用いる範囲を、3つの範囲401〜403に区分した場合について述べたが、これに限らず、1つのみの範囲を設定してもよいし、または、3以上の区分となるように、範囲をより細分化して設定してもよい。
以上、発明の実施形態を通じて本発明を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが、発明の解決手段に必須であるとは限らない。さらに、上述の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
10 システム
100 モータ制御装置
101 制御部
102 メモリ
103 温度検出部
104 回転速度検出部
105 温度調整部
200 モータ
210 軸受
300 電源

Claims (15)

  1. 回転シャフトを有するロータ、および、
    軌道面を有する軌道輪と、前記軌道面上を転動する転動体とを有し、前記回転シャフトを回転可能に支持し、前記回転シャフトの回転時に前記軌道面と前記転動体との間に潤滑膜が形成される軸受を具備するモータを制御するモータ制御装置であって、
    前記軸受の温度を検出する温度検出部と、
    前記回転シャフトの回転速度を検出する回転速度検出部と、
    前記温度と前記回転速度とに基づいて、前記モータの動作時における前記潤滑膜の厚さを算出する膜厚算出部と、
    前記モータの駆動時間を積算する駆動時間積算部と、を備え、
    前記駆動時間積算部は、前記膜厚算出部によって算出された前記潤滑膜の厚さを、予め定められた範囲に分類し、且つ、該範囲毎に、前記モータの駆動時間を積算する、モータ制御装置。
  2. 前記駆動時間積算部は、
    前記潤滑膜の厚さを第1の前記範囲に分類している間には、前記モータの駆動時間を第1の駆動時間として積算し、
    前記潤滑膜の厚さを、前記第1の範囲と異なる第2の前記範囲に分類している間には、前記モータの駆動時間を第2の駆動時間として積算し、
    前記モータ制御装置は、
    前記第1の駆動時間に対して、前記第1の範囲内の前記潤滑膜の厚さに応じて定められた第1の電食係数を乗算して得られる第1の乗算値と、
    前記第2の駆動時間に対して、前記第2の範囲内の前記潤滑膜の厚さに応じて定められた第2の電食係数を乗算して得られる第2の乗算値と、を加算して合算値を算出する演算部をさらに備える、請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記演算部は、前記合算値を前記モータの総駆動時間でさらに除算して、平均値を算出する、請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記駆動時間積算部によって前記範囲毎に積算された前記モータの駆動時間に基づいて、前記軸受に生じている電食の度合い、および将来の電食の危険度の少なくとも一方を推定する電食推定部をさらに備える、請求項1に記載のモータ制御装置。
  5. 前記演算部によって算出された値に基づいて、前記軸受に生じている電食の度合い、および、将来の電食の危険度の少なくとも一方を推定する電食推定部をさらに備える、請求項2または3に記載のモータ制御装置。
  6. 前記駆動時間積算部によって前記範囲毎に積算された前記モータの駆動時間に基づいて、前記軸受の温度を調整する温度調整部をさらに備える、請求項1に記載のモータ制御装置。
  7. 前記演算部によって算出された前記平均値に基づいて、前記軸受の温度を調整する温度調整部をさらに備える、請求項3に記載のモータ制御装置。
  8. 前記温度調整部は、前記モータに供給する無効電流を制御することによって、前記軸受の温度を調整する、請求項6または7に記載のモータ制御装置。
  9. 前記温度調整部は、前記モータの冷却用に設けられた冷却ファンの風量を制御することによって、前記軸受の温度を調整する、請求項6または7に記載のモータ制御装置。
  10. 前記モータ制御装置は、前記演算部によって算出された値が予め定められた閾値を超えたときに、使用者に視覚的または聴覚的に報知する、請求項2または3に記載のモータ制御装置。
  11. 前記モータ制御装置は、前記駆動時間積算部によって前記範囲毎に積算された前記モータの駆動時間の情報を表示する表示部、および該情報を外部に出力する出力部の少なくとも一方をさらに備える、請求項1に記載のモータ制御装置。
  12. 前記モータ制御装置は、前記演算部によって算出された前記値の情報を表示する表示部、および該情報を外部に出力する出力部の少なくとも一方をさらに備える、請求項2または3に記載のモータ制御装置。
  13. 前記モータ制御装置は、前記電食推定部によって推定された電食の度合いおよび危険度の少なくとも一方の情報を表示する表示部、および該情報を外部に出力する出力部の少なくとも一方をさらに備える、請求項4または5に記載のモータ制御装置。
  14. 前記電食係数の値は、前記モータの種類、前記モータに電力を供給するアンプの種類、前記モータと前記アンプとを接続するケーブルの長さ、および接地状態の少なくとも一方に応じて変えられる、請求項2または3に記載のモータ制御装置。
  15. 回転シャフトを有するロータ、および、
    軌道面を有する軌道輪と、前記軌道面上を転動する転動体とを有し、前記回転シャフトを回転可能に支持し、前記回転シャフトの回転時に前記軌道面と前記転動体との間に潤滑膜が形成される軸受、を具備するモータの前記軸受の電食度合いを推定する方法であって、
    前記軸受の温度を検出するステップと、
    前記回転シャフトの回転速度を検出するステップと、
    前記温度と前記回転速度とに基づいて、前記モータの動作時における前記潤滑膜の厚さを算出するステップと、
    前記モータの駆動時間を積算するステップと、を備え、
    前記モータの駆動時間を積算するステップは、前記潤滑膜の厚さを算出するステップによって算出された前記潤滑膜の厚さを、予め定められた範囲に分類し、且つ、該範囲毎に、前記モータの駆動時間を積算するステップを含む、方法。
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