JP2014228304A - レーダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アナログ処理的に内部反射波(クラッタ)の影響を低減させることが可能なレーダ装置を提供する。
【解決手段】レーダ装置1では、第1の受光部20aが、受光素子9により受光された反射波の波形に応じた電圧波形を示す受光信号を生成し、第2の受光部20bが、発光部10によりパルスレーザ光が発光されてからクラッタが受光素子9により受光されるまでの既知の時間に基づくタイミングで、模擬回路11bに流れる電流の波形に応じた電圧波形を示す模擬信号を生成する。ここで、模擬回路11bが発光回路11aを模擬した回路であることから、模擬信号が示す電圧波形として、クラッタ電圧波形に相似する波形が生成されることになる。このため、キャンセル回路20cでは、第2の受光部20bにより生成された模擬信号を用いて、第1の受光部20aにより生成された受光信号が示す電圧波形からクラッタ電圧波形を除去することが可能となる。
【選択図】図3

Description

本発明は、送信波を発光する発光部と、その送信波の発光方向から到来する反射波を受光する受光部とを備え、受光部からの入力信号に基づいて、その送信波を反射した物標との相対関係を示す相対値を測定するためのレーダ装置に関する。
従来、この種のレーダ装置を利用するものとして、例えば送信波が発光されてからその送信波の反射波が受光されるまでの時間(つまり、送信波の往復時間)を計測し、その送信波を反射した物標との距離を測定する測距装置が知られている。
この種の測距装置は、例えば車両に搭載され、物標として他車両や歩行者、障害物等との距離を測定することにより、これら物標との衝突を予防したり衝突被害を抑制させたりするための安全制御(例えば、プリクラッシュセーフティシステム)に用いられたり、他車両に追従走行するための走行制御(例えば、クルーズコントロールシステム)に用いられたりしている。
ところで、例えば車両においては、設置スペースの制約上、レーダ装置の小型化への要請がある。このような要請に応えるために、レーダ装置では、装置内部において、発光部と受光部とを、互いに近接した位置に配置したり、光学上同軸となる位置に配置したりする等の構成が採用されている。
このような構成のレーダ装置では、前記した配置上の理由から、発光部により発光された送信波(例えばレーザ光)が、装置内部にて、例えば走査ミラーや偏向板等の構成品に反射され、内部反射波として受光部により受光されてしまうことが避けがたいという問題を有している。
つまり、このような内部反射波を物標からの反射波とみなしてしまうと、他車両や歩行者、障害物等が存在しない状況において距離を測定することにより、前記した安全制御や走行制御といった車両制御に影響を及ぼす可能性がある。また、内部反射波が物標からの反射波に重畳してしまうと、例えば自車両から近距離に存在する物標との正確な距離を測定できなくなる(場合によっては物標を検出できなくなる)ことで、特に物標との衝突前に行う安全制御に影響を及ぼす可能性がある。
このため、例えば測距装置では、特に小型化されたレーダ装置を利用する場合には、内部反射波による測距誤差を低減させることが望まれることになる。
これに対し、測距装置において、受光部が内部反射波だけを受光したときのサンプリングデータを予め記憶しておき、以降、受光部からの入力信号をA/D変換する際に、そのサンプリングデータを用いて内部反射波に応じたサンプリング値を差し引いたり、距離を測定する際に、サンプリングデータを基に算出距離を補正したりすることが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2003−185747号公報 特開2008−145237号公報 特開2000−314835号公報
しかし、測距装置において、上記提案のようにデジタル処理的に内部反射波による測距誤差を低減させようとする構成では、例えば測距に関するリアルタイム性を確保しようとすると、従来用いられている一般的なA/D変換器やマイコンよりも高速に処理を行うことが可能な高速A/D変換器や高速DSP等を搭載する必要性が生じることにより、製品コストの増加に繋がってしまうという懸念があった。
本発明は、上記懸念等に鑑みてなされたものであり、アナログ処理的に内部反射波の影響を低減させることにより、製品コストを抑制することが可能なレーダ装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明は、発光回路に流れる電流の波形に応じた波形の送信波を発光する発光部と、発光部による送信波の発光方向から到来するその送信波の反射波を受光する受光部とを備え、受光部からの入力信号に基づいて、送信波を反射した物標との相対関係を示す相対値を測定するためのレーダ装置である。
ここで、本発明において、受光部は、第1の受光部と、第2の受光部と、キャンセル回路とを具備している。具体的には、本発明において、第1の受光部は、反射波を受光するための受光素子を有し、その受光素子により受光された反射波の波形に応じた電圧波形を示す受光信号を生成する。一方、第2の受光部は、発光回路を模擬した模擬回路を有し、発光部により送信波が発光されてからその送信波の内部反射波が受光素子により受光されるまでの既知の時間に基づくタイミングで、模擬回路に流れる電流の波形に応じた電圧波形を示す模擬信号を生成する。そして、キャンセル回路は、第2の受光部により生成された模擬信号を用いて、第1の受光部により生成された受光信号が示す電圧波形から、内部反射波の波形に応じた電圧波形を除去する構成とした。
このような構成では、発光回路に電流が流れ、発光部により送信波が発光されると、内部反射波が受光素子により受光されるタイミングに合わせて、発光回路を模擬した模擬回路に電流が流れ、模擬回路に流れる電流の波形に応じた電圧波形(模擬電圧波形)が生成される。ここで、模擬回路が発光回路を模擬した回路であることから、模擬電圧波形が発光回路に流れる電流の波形(発光電流波形)に相似する波形となり、内部反射波の波形が発光電流波形に相似することから、模擬回路では、模擬電圧波形として、内部反射波の波形に相似する電圧波形が生成されることになる。
そして、内部反射波の電圧波形を実験やシミュレーション等により予め知り得ることから、模擬回路で生成される模擬電圧波形が内部反射波の電圧波形(クラッタ電圧波形)と同じ大きさになるように、模擬回路に流れる電流の値を予め調整しておくことや、模擬電圧波形を増幅する構成を採用することにより、模擬電圧波形としてクラッタ電圧波形に応じた電圧波形を生成することが可能となる。
このため、内部反射波が受光素子により受光されるタイミングに合わせて、模擬信号がキャンセル回路に入力されると、キャンセル回路では、例えばオペアンプ等の簡易な構成により、模擬信号(模擬電圧波形)を用いて、第1の受光部により生成された受光信号が示す電圧波形から、内部反射波の波形に応じた電圧波形(クラッタ電圧波形)を除去することが可能となる。
したがって、本発明によれば、高速A/D変換器や高速DSP等を搭載することなく、アナログ処理的に内部反射波の影響を低減させることができ、ひいては製品コストを抑制することができる。
なお、本発明において、内部反射波とは、受光素子により受光される反射波のうち、送信波が当該レーダ装置の内部にて反射されて受光素子により受光される反射波をいう。また、物標との相対関係を示す相対値とは、例えば物標との距離や相対速度、物標の位置する方位等を示す値をいう。
さらに、本発明は、以下の構成により限定することができる。
例えば、本発明において、発光回路が、送信波を発光する発光素子と、当該発光回路を通電させるための第1のスイッチング素子とを有し、模擬回路が、発光回路の発光素子を模擬したダイオードと、当該模擬回路を通電させるための第2のスイッチング素子とを有する構成では、模擬回路のダイオードに流れる電流(模擬電流)を、発光回路の発光素子に流れる電流よりも小さくすることが可能である。
このような構成において、第2のスイッチング素子は、模擬電流が発光電流と同じ時間変化率になる応答速度によって模擬回路を通電させる構造を有していることが望ましい。具体的には、例えば、本発明において、第2のスイッチング素子をMOSFETによって構成する場合は、ゲート面積(チャンネル)を大きくすることにより、オン抵抗値を小さく調整することが可能となり、第2のスイッチング素子をバイポーラトランジスタによって構成する場合は、デバイスサイズを大きくすることにより、オン抵抗値を小さく調整することが可能となる。
つまり、発光回路に流れる電流量が大きいと、発光素子(例えばレーザダイオード)においては、電圧−電流特性の線形領域が用いられるため、発光電流の時間変化率が高くなるのに対し、模擬回路に流れる電流量が小さいと、ダイオードにおいては、電圧−電流特性の非線形領域が用いられるため、ダイオードの抵抗成分が増すことにより、模擬電流の時間変化率が低くなる。これに対して、前述のような第2のスイッチング素子の構造を採用することにより、模擬電流の時間変化率を発光電流と同じにすることが可能となる。
したがって、このような構成によれば、模擬回路に流れる電流量を小さくしつつ、内部反射波の波形(クラッタ電圧波形)と同じ模擬電圧波形を好適に生成することができる。
また例えば、本発明において、第1の受光部が、受光信号を増幅する増幅回路と、受光信号の高周波成分を除去する第1のフィルタ回路とを有し、第2の受光部が、模擬信号のうち予め設定された周波数閾値以上の高周波成分を除去する第2のフィルタ回路を有する構成では、周波数閾値は、模擬電圧波形がクラッタ電圧波形と同じ時間変化率の波形になる値に設定されていることが望ましい。
つまり、受光信号が増幅回路および第1のフィルタ回路を通過すると、これらの回路により(第1のフィルタ回路だけでなく増幅回路により増幅されることによっても)高周波成分が除去されるため、これらの回路を通過した受光信号が示す電圧波形(受光電圧波形)は、時間変化率の低い波形(鈍った波形)となる。これに対して、内部反射波の成分の受光電圧波形としてのクラッタ電圧波形と同じ時間変化率の波形となる値に第2のフィルタ回路における周波数閾値を設定しておくことにより、第2のフィルタ回路を通過した模擬信号が示す電圧波形(模擬電圧波形)を、受光電圧波形(クラッタ電圧波形)と同等に鈍った波形にすることが可能となる。
したがって、このような構成によれば、受光信号を増幅して高周波成分を除去することができるため、例えば内部反射波以外の外来ノイズの影響を受けにくくしつつ、内部反射波の波形(クラッタ電圧波形)と同じ模擬電圧波形を生成することができるため、内部反射波の影響を好適に抑制することができる。
また例えば、本発明において、第2の受光部が、発光部に送信波を発光させる際に用いられる発光トリガ信号を入力すると、模擬回路を通電させる第2のスイッチング素子と、発光トリガ信号の第2のスイッチング素子への入力を、内部反射時間に応じた時間だけ遅延させる遅延回路とを有する構成でもよい。
このような構成では、例えばマイコン等から発光トリガ信号が入力されると、発光回路に電流が流れ、発光部により送信波が発光されて、送信波が発光されてからこの送信波の内部反射波が受光素子により受光されるまでの既知の時間(内部反射時間)に応じた時間後に、遅延回路を介して発光トリガ信号が入力され、模擬回路に電流が流れることになる。
したがって、このような構成によれば、例えばマイコン等が発光回路と模擬回路とに電流を流すためのトリガ信号を個別に異なるタイミングで出力する必要がなくなるため、マイコンの処理負担を軽減させつつ、アナログ処理的に内部反射波の影響を好適に低減させることができる。
レーダ装置の全体構成を例示する概略図である。 レーダ装置における内部反射波を説明するための概略図である。 レーダ装置の主要部の構成を例示する回路図である。 レーダ装置の動作を例示するタイミングチャートである。 発光素子およびダイオードの電圧−電流特性を例示する説明図である。 増幅回路および第1のフィルタ回路の周波数特性を例示する説明図である。 増幅回路および第1のフィルタ回路を通過した信号波形を例示する説明図である。
以下に、本発明の実施形態としてのレーダ装置について図面と共に説明する。なお、本実施形態のレーダ装置は、車両の前面部に設置され、車両の前方に位置する他車両や歩行者、障害物等の物標との距離や相対速度、物標の位置する方位といった物標との相対関係を示す相対値を測定するために用いられる。また、これらの測定値は、車両に搭載されたプリクラッシュセーフティシステムやクルーズコントロールシステム等に用いることができる。
<全体構成>
図1に示すように、本実施形態のレーダ装置1は、コリメートレンズ3を含む発光部10と、アパーチャ4と、偏光ビームスプリッタ5と、λ/4波長板6と、光走査部7と、受光レンズ8を含む受光部20と、発光部10、光走査部7、および受光部20を制御する制御部30(図3参照)と、これらの構成要素を収納する筐体(非図示)とを備えている。
発光部10は、詳細については後述するが、例えば半導体レーザダイオード等の発光素子2(図3参照)を有して構成されており、制御部30(図3参照)から後述する発光トリガ信号を入力すると、直線偏光のパルスレーザ光を送信波として照射する。
コリメートレンズ3は、発光素子2から照射されたパルスレーザ光を平行光に変換して、アパーチャ4に向けて照射する。
アパーチャ4は、一部に開口部4aが形成された板状部材であり、コリメートレンズ3と偏光ビームスプリッタ5との間に配置される。これにより、アパーチャ4は、パルスレーザ光が入射する入射面のうち、開口部4a以外の領域に入射したパルスレーザ光を反射し、開口部4a内の領域に入射したパルスレーザ光を通過させる。つまり、コリメートレンズ3からアパーチャ4に入射したパルスレーザ光は、開口部4aの形状に整形されて、偏光ビームスプリッタ5に向けて照射される。
偏光ビームスプリッタ5は、アパーチャ4から偏光ビームスプリッタ5に入射したパルスレーザ光のうち、所定の偏光方向を有する成分を透過させる一方、この所定の偏光方向以外の偏光方向を有する成分を反射させる機能を有する。
そして、偏光ビームスプリッタ5は、上記所定の偏光方向が、発光素子2から照射されるパルスレーザ光の偏光方向と一致するように配置される。さらに、偏光ビームスプリッタ5は、直角プリズムを貼り合わせてキューブ状に形成されるキューブ型であり、貼り合わせ面に対して垂直な方向を、パルスレーザ光の入射方向に対して傾けた状態(例えば45°の傾斜角度)で配置されている。
λ/4波長板6は、直線偏光を円偏光に変換するとともに円偏光を直線偏光に変換する機能を有し、偏光ビームスプリッタ5と光走査部7との間に配置される。
光走査部7は、制御部30(図3参照)からの制御指令に従って、パルスレーザ光を反射するミラー7aを、ミラー7aに設けられた回転軸を中心にして振動させることにより、λ/4波長板6から入射したパルスレーザ光の走査を予め設定された走査角度範囲で行う。
受光部20は、詳細については後述するが、例えばフォトダイオード等の受光素子9(図3参照)を有して構成されており、受光レンズ8から入射したパルスレーザ光を検出し、その検出結果を示す信号を制御部30(図3参照)に出力する。
受光レンズ8は、光走査部7側から入射して偏光ビームスプリッタ5で反射したパルスレーザ光を受光素子9へ導く。
次に、このように構成されたレーダ装置1において、パルスレーダ光を反射した物体(物標)を検知する方法を説明する。
まず、発光素子2から照射されたパルスレーザ光は、コリメートレンズ3により平行光に変換され、さらにアパーチャ4により光径が絞られて、偏光ビームスプリッタ5に到達する。
そして、偏光ビームスプリッタ5に到達したパルスレーザ光は、偏光ビームスプリッタ5を透過し、さらにλ/4波長板6を通過する。これにより、パルスレーザ光は、直線偏光から円偏光に変換され、光走査部7に到達する。
そして、光走査部7に到達したレーザ光は、ミラー7aで反射することにより、ミラー7aの走査角度に応じた方向に向けてレーダ波として照射される。
その後、物標で反射したパルスレーザ光(反射波)が光走査部7に到達すると、ミラー7aで反射し、λ/4波長板6を再度通過する。これにより、物標で反射したパルスレーザ光(以下「反射レーザ光」という)は、円偏光からに直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ5に到達する。
なお、λ/4波長板6により直線偏光に変換された反射レーザ光の偏光方向は、発光素子2から照射されて円偏光に変換される前のパルスレーザ光の偏光方向に対して90°ずれる。このため、偏光ビームスプリッタ5に到達した反射レーザ光は、偏光ビームスプリッタ5で反射し、受光レンズ8に向けて照射される。これにより、反射レーザ光が受光部20に到達し、パルスレーザ光を反射した物体を検知することができる。
制御部30は、例えば、発光部10がパルスレーザ光を照射した時刻と、反射レーザ光を受光部20が検出した時刻との差に基づいて、パルスレーザ光を反射した物標までの距離を計測することができる。なお、このような測距処理については、必ずしもレーダ装置1の制御部30が行わなければならないわけではなく、レーダ装置1に接続された他のECU等が行ってもよい。
ところで、このように構成されたレーダ装置1では、発光部10と受光部20とが光学上同軸となる位置に配置されているため、図2に示すように、発光部10により発光されたパルスレーザ光が、筐体内部において、例えばλ/4波長板6やミラー7aに反射され、さらに偏光ビームスプリッタ5で反射することにより、内部反射波(以下「クラッタ」という)として受光部20に到達する。このため、受光部20が、反射レーザ光にクラッタが重畳されたり、クラッタを反射レーザ光として誤検出したりすると、測距処理の精度が低下してしまうことになる。
これに対し、以下で述べるように、本実施形態のレーダ装置1では、受光部20において、アナログ処理的にクラッタの影響を低減させるための回路構成がなされている。なお、以下では、物標を無限遠とした場合の測定やシミュレーション等により、発光部10の発光素子2によりパルスレーザ光が発光されてからその内部反射波としてのクラッタが受光部20の受光素子9により受光されるまでの時間(以下「内部反射時間」という)は、既知のものとして予め計算されているものとする。
制御部30は、例えばCPUやROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、CPUが、ROMに記憶されているプログラムに基づいて、RAMをワークスペースとして用い、発光部10にパルスレーザ光を発光させるためのトリガ信号(以下「発光トリガ信号」という)を所定の周期毎に出力したり、光走査部7に前記した走査角度範囲で走査させるための制御指令を出力したりする。また、制御部30は、受光部20から後述する受光信号を入力することにより、前述したように測距処理等を実施可能に構成されている。
<発光部の構成>
図3に示すように、発光部10は、送信波としてパルスレーザ光を発光するための発光素子2を有する発光回路11aと、直流電源VCと発光回路11aとに接続された電源回路12とをさらに備えて構成される。
なお、発光回路11aは、抵抗13、インダクタ14、およびコンデンサ15が直列接続された周知のRLC回路を中心に構成されており、このRLC回路を通電させるための第1のスイッチング素子16を備え、抵抗13に直列接続された発光素子2がRLC回路に流れる電流の波形に応じた波形のパルスレーザ光を発光するようになっている。
電源回路12は、一端が直流電源VC、他端がコンデンサ15およびインダクタ14に接続されており、直流電源VCから供給される電圧を、RLC回路(発光回路11a)が動作するために必要な電圧に変換する抵抗成分を有している。
第1のスイッチング素子16は、周知のMOSFETやバイポーラトランジスタ等によって構成され、図4(a)に示すように、制御部30から発光トリガ信号が入力されている間、オン状態となってRLC回路(発光回路11a)を通電させ、制御部30から発光トリガ信号が入力されていない間、オフ状態となってRLC回路(発光回路11a)を非通電にさせるように構成されている。
なお、第1のスイッチング素子16は、例えばMOSFETによって構成される場合は、その一例として、ソース側に発光素子2、ドレイン側にグラウンド(接地)、ゲート側に制御部30が接続され、例えばバイポーラトランジスタによって構成される場合は、その一例として、エミッタ側に発光素子2、コレクタ側にグラウンド(接地)、ベース側に制御部30が接続される態様を採用することができる。
コンデンサ15は、例えば一端がグラウンド(接地)、他端が電源回路12およびインダクタ14に接続されており、図4(b)に示すように、第1のスイッチング素子16がオフ状態の間(RLC回路(発光回路11a)を非通電の間)、直流電源VCから電源回路12を介して供給される電圧(電荷)を蓄え、第1のスイッチング素子16がオフ状態からオン状態に切り替わることにより、放電するように構成されている。
そして、発光部10では、図4(c)に示すように、コンデンサ15が放電すると、コンデンサ15からインダクタ14、抵抗13、発光素子2、第1のスイッチング素子16を含む発光回路11aに電流が流れ、このときに発光回路11aに流れる電流(以下「発光電流」という)の波形に応じた波形のパルスレーザ光が発光素子2から発光されることになる。
なお、発光部10では、図5(a)に示すように、発光素子2に流れる発光電流をI、このときの発光素子2の両端電圧をVとすると、発光素子2において、図5(b)に示すV−I特性の線形領域が用いられる。このため、電源回路12は、比較的大きい電圧をコンデンサ15に供給するように構成されており、コンデンサ15は、この電圧を蓄えられる大きさのキャバシタを有して構成される。
このように、発光部10では、制御部30から発光トリガ信号が入力されると、第1のスイッチング素子16がオン状態になることにより、発光回路11aに発光電流が流れ、その発光電流の波形に応じた波形のパルスレーザ光が発光される。
<受光部の構成>
一方、受光部20は、パルスレーザ光の反射波として反射レーザ光を受光するための受光素子9を有する第1の受光部20aと、発光回路11aを模擬した模擬回路11bを有する第2の受光部20bと、第1の受光部20aにて生成された受光信号(後述する)が示す電圧波形から、前記したクラッタの波形に応じた電圧波形(以下「模擬電圧波形」という)を除去するキャンセル回路20cとをさらに備えて構成される。なお、模擬電圧波形は、物標を無限遠とした場合の測定やシミュレーション等により、その波形の形状や大きさが既知のものとして予め算出されているものとする。
<第1の受光部の構成>
第1の受光部20aは、図4(d)に示すように、受光素子9により受光された反射レーザ光の波形に応じて電流が出力されると、図4(e)に示すように、そのときに受光素子9から出力された電流(受光時電流)を電圧に変換するための抵抗21(図3参照)と、後述する増幅回路22および第1のフィルタ回路23とを備えて構成される。
抵抗21は、例えば一端がグラウンド(接地)、他端が受光素子9および増幅回路22に接続されており、抵抗21により受光時電流が変換された電圧の波形を示す信号(以下「受光信号」という)を増幅回路22に供給するように構成されている。なお、受光信号は、反射レーザ光の波形に応じた電流(受光時電流)を単に電圧に変換して生成された信号であるため、反射レーザ光の波形に応じた電圧波形を示すことになる。
増幅回路22は、抵抗21を介して供給された受光信号を増幅する回路である。なお、図4(f)に示すように、増幅回路22にて増幅された受光信号は、その電圧波形が反転されて第1のフィルタ回路23に出力されるように構成されている。また、増幅回路22は、受光信号を増幅する際に、図6(a)に示すように、第1のカットオフ周波数fh1を超える周波数を持つ入力電圧Vinを減衰させる。
第1のフィルタ回路23は、増幅回路22によって増幅された受光信号の高周波成分を除去する回路である。なお、図4(g)に示すように、第1のフィルタ回路23を通過した受光信号は、その電圧波形が鈍った波形となってキャンセル回路20cに出力されるように構成されている。また、第1のフィルタ回路23は、受光信号の高周波成分を除去する際に、図6(b)に示すように、第1のカットオフ周波数fh1よりも小さい値として予め設定された第2のカットオフ周波数fh2を超える周波数を持つ入力電圧Vinを減衰させる。さらに、第1のフィルタ回路23は、第2のカットオフ周波数fh2よりも小さい値として予め設定された第3のカットオフ周波数fh3を下回る周波数を持つ入力電圧Vinを減衰させるバンドパスフィルタとして構成することができる。
つまり、増幅回路22および第1のフィルタ回路23は、受光信号を増幅させてその高周波成分を除去する際に、図6(c)に示すように、少なくともカットオフ周波数fh1,fh2によって規定される高周波成分を減衰させるように構成されている。
このため、図7に示すように、特に高周波成分を多く含んでいた受光信号が示す電圧波形(入力電圧Vin)では、立ち上がりが急峻であったのに対し、増幅回路22および第1のフィルタ回路23を通過した受光信号が示す電圧波形(出力電圧Vout)は、高周波成分を除去することにより、急峻さが緩和され、時間変化率の低い波形(鈍った波形)となる。
以上のように、第1の受光部20aでは、受光素子9が反射レーザ光を受光すると、その反射レーザ光の波形に応じた電圧波形を示す信号(受光信号)を生成し、生成した受光信号を、増幅回路22によって増幅するとともに、第1のフィルタ回路23によってその高周波成分を除去して、これら増幅回路22および第1のフィルタ回路23を通過した受光信号を、キャンセル回路20cに出力するように構成されている。
このため、第1の受光部20aでは、受光素子9が反射レーザ光のうち内部反射波としてクラッタを受光すると、そのクラッタの波形に応じた電圧波形(クラッタ電圧波形)を含む受光信号がキャンセル回路20cに出力されるようになっている。なお、クラッタ電圧波形として、増幅回路22および第1のフィルタ回路23を通過する前の電圧波形と、増幅回路22および第1のフィルタ回路23を通過した後の電圧波形とのそれぞれについては、実験やシミュレーション等により、波形の形状や大きさが既知のものとして予め算出されている。
<第2の受光部の構成>
第2の受光部20bは、図4(h)に示すように、制御部30から発光トリガ信号が入力されると、前述の内部反射時間に応じた時間だけ遅延させてから、後段の模擬回路11bにその発光トリガ信号を出力する遅延回路24と、模擬回路11bおよび第2のフィルタ回路25とを備えて構成される。なお、ここでの内部反射時間に応じた時間とは、第1の受光部20aからキャンセル回路20cにクラッタ電圧波形(受光信号)が出力されるタイミングに同期させて、第2の受光部20bからキャンセル回路20cに後述する模擬電圧波形(模擬信号)を出力するために予め設定された時間をいう。
また、図3に示すように、第2の受光部20bは、遅延回路24、模擬回路11b、および第2のフィルタ回路25の他、直流電源VCと模擬回路11bとに接続された電源回路26を備えている。
模擬回路11bは、発光回路11aの抵抗13を模擬した抵抗33、発光回路11aのインダクタ14を模擬したインダクタ34、および発光回路11aのコンデンサ15を模擬したコンデンサ35が直列接続された周知のRLC回路を中心に構成されており、このRLC回路を通電させるための第2のスイッチング素子36と、発光回路11aの発光素子2を模擬したものでありこの発光素子2と同じV−I特性を有するダイオード32とを備えている。
電源回路26は、例えば一端が直流電源VC、他端がコンデンサ35およびダイオード32に接続されており、直流電源VCから供給される電圧を、RLC回路(模擬回路11b)が動作するために必要な電圧に変換する抵抗成分を有している。但し、電源回路26の抵抗成分は、発光部10における電源回路12の抵抗成分よりも大きく設定されている。このため、模擬回路11bに流れる電流(以下「模擬電流」という)は、発光回路11aに流れる発光電流よりも小さい電流値となる。従って、第1の受光部20aでは、図5(a)に示すように、ダイオード32に流れる模擬電流をI、このときのダイオード32の両端電圧をVとすると、ダイオード32において、図5(b)に示すV−I特性の非線形領域が用いられるようになっている。
第2のスイッチング素子36は、周知のMOSFETやバイポーラトランジスタ等によって構成され、図4(h)に示すように、制御部30から遅延回路24を介して発光トリガ信号が入力されている間、オン状態となってRLC回路(模擬回路11b)を通電させ、制御部30から遅延回路24を介して発光トリガ信号が入力されていない間、オフ状態となってRLC回路(模擬回路11b)を非通電にさせるように構成されている。
なお、第2のスイッチング素子36は、例えばMOSFETによって構成される場合は、その一例として、ソース側にダイオード32、ドレイン側にグラウンド(接地)、ゲート側に遅延回路24(制御部30側)が接続され、例えばバイポーラトランジスタによって構成される場合は、その一例として、エミッタ側にダイオード32、コレクタ側にグラウンド(接地)、ベース側に遅延回路24(制御部30側)が接続される態様を採用することができる。
また、第2のスイッチング素子36は、例えばMOSFETによって構成される場合は、ゲート面積(チャンネル)を大きくすることにより、オン抵抗値が小さく調整されており、例えばバイポーラトランジスタによって構成される場合は、デバイスサイズを大きくすることにより、オン抵抗値が小さく調整されている。
これにより、第1のスイッチング素子16よりも第2のスイッチング素子36の応答速度を大きくすることが可能となるため、ダイオード32において、図5(b)に示すV−I特性の非線形領域が用いられることで、図5(c)に示すように、ダイオード32の抵抗成分が指数関数的に増加することにより、発光電流と比較して模擬電流の時間変化率が低くなる場合であっても、その模擬電流の時間変化率の低下分を相殺することができる。
つまり、第2のスイッチング素子36では、構造的にオン抵抗値が調整されることにより、模擬電流が発光電流と同じ時間変化率になる応答速度で模擬回路11bを通電させるようになっている。なお、発光電流の時間変化率が既知であることから、実験やシミュレーション等により上記時間変化率の条件を満たす第2のスイッチング素子36のオン抵抗値(つまり、ゲート面積やデバイスサイズ)を予め調整しておくことができる。
コンデンサ35は、例えば一端がインダクタ14、他端が電源回路26およびダイオード32に接続されており、図4(i)に示すように、第2のスイッチング素子36がオフ状態の間(RLC回路(模擬回路11b)を非通電の間)、直流電源VCから電源回路26を介して供給される電圧(電荷)を蓄え、第2のスイッチング素子36がオフ状態からオン状態に変わると、放電するように構成されている。
そして、第2の受光部20bでは、図4(j)に示すように、コンデンサ35が放電すると、コンデンサ35からインダクタ34、抵抗33、ダイオード32、第2のスイッチング素子36を含む模擬回路11bに電流が流れる。なお、このときに模擬回路11bに流れる電流(模擬電流)の波形は、模擬回路11bが発光回路11aを模擬した回路であることから、発光回路11aに流れる発光電流の波形(発光電流波形)に相似する波形となる。
なお、第2の受光部20bでは、電源回路12が比較的小さい電圧をコンデンサ35に供給するように構成されており、コンデンサ35がこの電圧を蓄えられる大きさのキャバシタを有している。また、模擬回路11bにおいて、抵抗33は、例えば一端がグラウンド(接地)、他端がインダクタ34および第2のフィルタ回路25に接続されており、模擬回路11bに流れた模擬電流を電圧に変換して、その模擬電流が変換された電圧の波形を示す信号(模擬信号)を第2のフィルタ回路25に供給する。ちなみに、模擬信号は、模擬電流を単に電圧に変換して生成された信号であるため、発光電流波形に相似する電圧波形を示すことになる。そして、本実施形態では、図4(k)に示すように、後述する模擬電圧波形がクラッタ電圧波形と同じ大きさとなるように、抵抗33の抵抗値やインダクタ34のインダクタンスが予め設定されている。
第2のフィルタ回路25は、模擬回路11bとキャンセル回路20cとの間に設けられ、抵抗33を介して供給された模擬信号のうち予め設定された周波数閾値以上の高周波成分を除去する(減衰させる)回路である。
前述したように、第1の受光部20aでは、増幅回路22および第1のフィルタ回路23が、受光信号を増幅させてその高周波成分を除去する際に、カットオフ周波数fh2,fh3によって規定される高周波成分を減衰させている。これより、増幅回路22および第1のフィルタ回路23を通過した受光信号が示す電圧波形(受光電圧波形)は、急峻さが緩和され、時間変化率の低い波形(鈍った波形)となる。
これに対し、第2のフィルタ回路25では、図4(l)に示すように、当該第2のフィルタ回路25を通過した模擬信号が示す電圧波形(以下「模擬電圧波形」という)がクラッタの受光電圧波形であるクラッタ電圧波形と同じ時間変化率の波形になる値に周波数閾値が予め設定されている。なお、周波数閾値は、カットオフ周波数fh1,fh2によって規定される値である。また、第2のフィルタ回路25は、第3のカットオフ周波数fh3を下回る周波数を持つ入力電圧Vinが減衰するバンドパスフィルタとして構成することもできる。
以上のように、第2の受光部20bでは、制御部30から遅延回路24を介して発光トリガ信号が入力されると、第2のスイッチング素子36がオン状態に切り替わることにより、模擬回路11bに模擬電流が流れ、その模擬電流の波形に応じた波形の信号(模擬信号)を生成する。そして、第2の受光部20bでは、生成した模擬信号の高周波成分を第2のフィルタ回路25によって除去し、この第2のフィルタ回路25を通過した模擬信号を、キャンセル回路20cに出力するようになっている。
さらに、第2の受光部20bでは、発光部10によりパルスレーザ光が発光されてからその反射レーザ光が第1の受光部20aにより受光され、第1の受光部20aからキャンセル回路20cにクラッタ電圧波形(受光信号)が出力されるタイミングで、模擬電圧波形(模擬信号)をキャンセル回路20cに出力するように構成されている。
なお、キャンセル回路20cは、第1の受光部20aからの受光信号を非反転入力(+)、第2の受光部20bからの模擬信号を反転入力(−)とし、二つの入力間の電位差によって動作する差動増幅回路(例えばオペアンプ)によって構成され、第2の受光部20bから入力される模擬電圧波形(模擬信号)を用いて、第1の受光部20aから入力される受光信号が示す電圧波形からクラッタ電圧波形を除去する(図4(m)参照)。そして、クラッタ電圧波形を除去した受光信号を制御部30に出力するように構成されている。
<効果>
以上説明したように、本実施形態のレーダ装置1では、第1の受光部20aが、受光素子9により受光された反射波の波形に応じた電圧波形を示す受光信号を生成し、第2の受光部20bが、発光部10によりパルスレーザ光が発光されてからクラッタが受光素子9により受光されるまでの既知の時間に基づくタイミングで、模擬回路11bに流れる電流の波形に応じた電圧波形を示す模擬信号を生成する。そして、キャンセル回路20cが、第2の受光部20bにより生成された模擬信号を用いて、第1の受光部20aにより生成された受光信号が示す電圧波形から、クラッタの波形に応じた電圧波形を除去する。
このため、発光回路11aに電流が流れ、発光部10によりパルスレーザ光が発光されると、クラッタが受光素子9により受光されるタイミングに合わせて、発光回路11aを模擬した模擬回路11bに電流が流れ、模擬回路11bに流れる電流の波形に応じた電圧波形(模擬電圧波形)が生成される。ここで、模擬回路11bが発光回路11aを模擬した回路であることから、模擬電圧波形が発光回路11aに流れる電流の波形(発光電流波形)に相似する波形となり、クラッタの波形が発光電流波形に相似することから、模擬回路11bでは、模擬電圧波形として、クラッタの波形に相似する電圧波形が生成されることになる。
そして、クラッタの電圧波形を実験やシミュレーション等により予め知り得ることから、模擬回路11bで生成される模擬電圧波形がクラッタの電圧波形(クラッタ電圧波形)と同じ大きさになるように、模擬回路11bに流れる電流の値を予め調整しておくことにより、模擬電圧波形としてクラッタ電圧波形と同じ電圧波形を生成することが可能となる。
このため、クラッタが受光素子9により受光されるタイミングに合わせて、模擬信号がキャンセル回路20cに入力されると、キャンセル回路20cでは、オペアンプ等の簡易な構成により、模擬信号(模擬電圧波形)を用いて、第1の受光部20aにより生成された受光信号が示す電圧波形からクラッタ電圧波形を除去することが可能となる。
したがって、レーダ装置1によれば、高速A/D変換器や高速DSP等を搭載することなく、アナログ処理的にクラッタの影響を低減させることができ、ひいては製品コストを抑制することができる。
また、レーダ装置1では、第2のスイッチング素子36を、模擬電流が発光電流と同じ時間変化率になる応答速度によって模擬回路11bを通電させる構造にしている。
つまり、発光回路11aに流れる電流量が大きいと、発光素子2においては、V−I特性の線形領域が用いられるため、発光電流の時間変化率が高くなるのに対し、模擬回路11bに流れる電流量が小さいと、ダイオード32においては、V−I特性の非線形領域が用いられるため、ダイオード32の抵抗成分が増すことにより、模擬電流の時間変化率が低くなる。これに対して、前述のような第2のスイッチング素子36の構造を採用することにより、模擬電流の時間変化率を発光電流と同じにすることが可能となる。
したがって、レーダ装置1によれば、模擬回路11bに流れる電流量を小さくしつつ、クラッタ電圧波形と同じ模擬電圧波形を好適に生成することができる。
また、レーダ装置1では、第1の受光部10aが、受光信号を増幅する増幅回路22と、受光信号の高周波成分を除去する第1のフィルタ回路23とを有し、第2の受光部20bが、模擬信号のうち予め設定された周波数閾値以上の高周波成分を除去する第2のフィルタ回路25を有する構成において、周波数閾値が、模擬電圧波形がクラッタ電圧波形と同じ時間変化率の波形になる値に設定されている。
つまり、受光信号が増幅回路22および第1のフィルタ回路23を通過すると、高周波成分が除去されるため、これらの回路を通過した受光信号が示す電圧波形(受光電圧波形)は、時間変化率の低い波形(鈍った波形)となる。これに対して、クラッタの成分の受光電圧波形としてのクラッタ電圧波形と同じ時間変化率の波形となる値に第2のフィルタ回路25における周波数閾値を設定しておくことにより、第2のフィルタ回路25を通過した模擬信号が示す電圧波形(模擬電圧波形)を、受光電圧波形(クラッタ電圧波形)と同等に鈍った波形にすることが可能となる。
したがって、レーダ装置1によれば、受光信号を増幅して高周波成分を除去することができるため、例えばクラッタ以外の外来ノイズの影響を受けにくくしつつ、クラッタ電圧波形と同じ模擬電圧波形を生成することができるため、クラッタの影響を好適に抑制することができる。
また、レーダ装置1では、第2の受光部20bが、発光部10にパルスレーザ光を発光させる際に用いられる発光トリガ信号を入力すると、模擬回路11bを通電させる第2のスイッチング素子36と、発光トリガ信号の第2のスイッチング素子36への入力を、内部反射時間に応じた時間だけ遅延させる遅延回路24とを有する。
このため、制御部30から発光トリガ信号が入力されると、発光回路11aに電流が流れ、発光部10によりパルスレーザ光が発光されて、パルスレーザ光が発光されてからクラッタが受光素子9により受光されるまでの既知の時間(内部反射時間)に応じた時間後に、遅延回路24を介して発光トリガ信号が入力され、模擬回路11bに電流が流れることになる。
したがって、レーダ装置1によれば、制御部30が発光回路11aと模擬回路11bとに電流を流すためのトリガ信号を個別に異なるタイミングで出力する必要がなくなるため、制御部30の処理負担を軽減させつつ、アナログ処理的にクラッタの影響を好適に低減させることができる。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記実施形態のレーダ装置1では、第2の受光部20bにおいて、模擬回路11bに流れる電流の値を予め調整しておくことにより、模擬電圧波形としてクラッタ電圧波形と同じ大きさの電圧波形を生成するようにしているが、これに限らず、模擬電圧波形を増幅する増幅回路を備えることにより、模擬電圧波形としてクラッタ電圧波形と同じ大きさの電圧波形を生成するようにしてもよい。
また、上記実施形態で示した発光回路11aおよび模擬回路11bの回路構成はあくまでも一例であり、模擬回路11bは、発光回路11aを模擬した回路であれば、各種の回路構成にすることができる。
さらに、上記実施形態のレーダ装置1では、第2の受光部20bにおいて、遅延回路24を備えることにより、第2の受光部20bからキャンセル回路20cに模擬電圧波形を出力するタイミングを調整しているが、これに限らず、制御部30が発光回路11aと模擬回路11bとに電流を流すためのトリガ信号を個別に異なるタイミングで出力するように構成してもよい。
なお、上記実施形態のレーダ装置1では、例えば差動増幅回路等のキャンセル回路20cを用いているが、これに限定されるものではなく、第1の受光部20aから出力される受光信号と、第2の受光部20から出力される模擬信号とのいずれか一方の正負を出力前に予め反転させておく構成を採用する(例えば、入力信号の正負を反転させる反転回路を設ける)ことにより、第1の受光部20aおよび第2の受光部20の出力側を結線し、キャンセル回路20cを不要としてもよい。
1…レーダ装置、2…発光素子、3…コリメートレンズ、4…アパーチャ、4a…開口部、5…偏光ビームスプリッタ、6…λ/4波長板、7…光走査部、7a…ミラー、8…受光レンズ、9…受光素子、10…発光部、10a…第1の受光部、11a…発光回路、11b…模擬回路、12…電源回路、13…抵抗、14…インダクタ、15…コンデンサ、16…第1のスイッチング素子、20…受光部、20a…第1の受光部、20b…第2の受光部、20c…キャンセル回路、21…抵抗、22…増幅回路、23…第1のフィルタ回路、24…遅延回路、25…第2のフィルタ回路、26…電源回路、30…制御部、32…ダイオード、33…抵抗、34…インダクタ、35…コンデンサ、36…第2のスイッチング素子、VC…直流電源。

Claims (4)

  1. 発光回路(11a)に流れる電流の波形に応じた波形の送信波を発光する発光部(10)と、
    前記発光部による前記送信波の発光方向から到来する該送信波の反射波を受光する受光部(20)と、
    を備え、
    前記受光部からの入力信号に基づいて、前記送信波を反射した物標との相対関係を示す相対値を測定するためのレーダ装置(1)であって、
    前記受光部は、
    前記反射波を受光するための受光素子(9)を有し、該受光素子により受光された反射波の波形に応じた電圧波形を示す受光信号を生成する第1の受光部(20a)と、
    前記受光素子により受光される反射波のうち、前記送信波が当該レーダ装置の内部にて反射されて前記受光素子により受光される反射波を内部反射波とし、
    前記発光回路を模擬した模擬回路(11b)を有し、前記発光部により前記送信波が発光されてから該送信波の前記内部反射波が前記受光素子により受光されるまでの既知の時間に基づくタイミングで、前記模擬回路に流れる電流の波形に応じた電圧波形を示す模擬信号を生成する第2の受光部(20b)と、
    前記第2の受光部により生成された模擬信号を用いて、前記第1の受光部にて生成された受光信号が示す電圧波形から、前記内部反射波の波形に応じた電圧波形を除去するキャンセル回路(20c)と、
    を具備していることを特徴とするレーダ装置。
  2. 前記発光回路は、前記送信波を発光するための発光素子(2)と、当該発光回路を通電させるための第1のスイッチング素子(16)とを有し、
    前記模擬回路は、前記発光素子を模擬したダイオード(32)と、当該模擬回路を通電させるための第2のスイッチング素子(36)とを有し、
    前記模擬回路の前記ダイオードに流れる電流を模擬電流、前記発光回路の前記発光素子に流れる電流を発光電流とし、
    前記模擬電流は、前記発光電流よりも小さく、
    前記第2のスイッチング素子は、前記模擬電流が前記発光電流と同じ時間変化率になる応答速度によって前記模擬回路を通電させる構造を有していることを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
  3. 前記第1の受光部は、前記受光信号を増幅する増幅回路(22)と、前記受光信号の高周波成分を除去する第1のフィルタ回路(23)とを有し、
    前記第2の受光部は、前記模擬信号のうち予め設定された周波数閾値以上の高周波成分を除去する第2のフィルタ回路(25)を有し、
    前記増幅回路および前記第1のフィルタ回路を通過した前記受光信号のうち前記内部反射波の成分が示す電圧波形をクラッタ電圧波形、前記第2のフィルタ回路を通過した前記模擬信号が示す電圧波形を模擬電圧波形とし、
    前記周波数閾値は、前記模擬電圧波形が前記クラッタ電圧波形と同じ時間変化率の波形になる値に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーダ装置。
  4. 前記発光部により前記送信波が発光されてから該送信波の前記内部反射波が前記受光素子により受光されるまでの既知の時間を内部反射時間とし、
    前記第2の受光部は、
    前記発光部に前記送信波を発光させる際に用いられる発光トリガ信号を入力すると、前記模擬回路を通電させる第2のスイッチング素子(36)と、
    前記発光トリガ信号の前記第2のスイッチング素子への入力を、前記内部反射時間に応じた時間だけ遅延させる遅延回路(24)と、
    を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のレーダ装置。
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