以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に、本発明の居住者安否確認システムの実施形態の一例を示す。本実施形態の居住者安否確認システムは、安否確認の対象世帯9に設置されたスマートメーター1によって計測されたエネルギー使用量の計測データを蓄積する記憶装置としての見守りデータサーバ3と、当該見守りデータサーバ3に蓄積された計測データに基づいて安否確認の対象世帯9の居住者の安否を見守る見守りセンター装置4とを有し、安否確認の対象世帯9は住民基本台帳に記録されている情報を少なくとも用いて選定され、見守りセンター装置4は、安否確認の対象世帯9について少なくとも住民基本台帳から抽出された情報が記憶された記憶部4Bと、見守りデータサーバ3に蓄積された計測データに基づいて安否確認の対象世帯9の居住者の活動停止時間又は活動継続時間が所定の時間以上である場合に安否確認の対象世帯9の居住者が非常状態であると判定する制御部4Aと、安否確認の対象世帯9の居住者が非常状態であると判定された場合に警告情報を表示する表示部4Cとを備えるようにしている。
本発明は、例えば一定範囲の地域や住宅団地やコミュニティなど(以下、地域等という)を単位として導入されて当該地域等内の世帯の居住者の安否確認に用いられることが想定される。以下の説明では、本発明の居住者安否確認システムが導入される地域等のことを「対象地域」と呼ぶ。また、対象地域における居住者の安否確認を行う主体(具体的には例えば、自治体,自治会・町内会,民生委員,NPO,警察などの団体やグループが想定される)のことを「見守り者」と呼ぶ。付け加えると、見守り者の具体例として、介護保険法で定められ、市町村又は市町村から委託を受けた法人(具体的には、在宅介護支援センターの設置者,社会福祉法人,医療法人,公益法人,NPO法人,その他市町村が適当と認める法人)が設置主体である地域包括支援センターが挙げられる。
なお、安否確認の対象世帯9(電力システムの側面からは需要家とも呼ばれる)内の屋内回線には例えばテレビや冷蔵庫や照明器具など種々の電気機器が接続されている。また、世帯9内には例えばガスコンロやガス湯沸かし器などのガス設備が備えられている。また、世帯9内には例えば流し台や洗面台や浴室などの水道設備が設けられている。
本発明におけるエネルギー使用量は、居住者の世帯9内での活動に伴って使用されるエネルギーや資源の量であり、具体的には電力量,ガス使用量,水道使用量が考えられる。
(スマートメーター)
本発明におけるスマートメーター1は、例えば、経産省基本要件を満たしているスマートメーターであれば良い。具体的には、電力用スマートメーターであれば、世帯9内に配設された電気機器による総使用電力の積算値、即ち世帯9全体での積算電力量を計測する機能と、当該積算電力量の計測データを、時刻情報とともに、30分間隔で外部へ送信する通信機能とを備える。
また、ガス用スマートメータであれば、世帯9内に備えられたガス設備による総使用ガスの積算値、即ち世帯9全体での積算ガス使用量を計測する機能と、当該積算ガス使用量の計測データを、時刻情報とともに、60分間隔で外部へ送信する通信機能とを備える。
また、水道用スマートメーターについては引き続き技術的検証を進めることが期待されるとされて「経産省基本要件」では具体的な要件には言及されていないものの、水道用スマートメーターであれば、世帯9内に設けられた水道設備による総使用水道の積算値、即ち世帯9全体での積算水道使用量を計測する機能と、当該積算水道使用量の計測データを、時刻情報とともに、所定の間隔で外部へ送信する通信機能とを備えるものが想定される。
ただし、経産省基本要件が変更されたとしても、少なくとも、世帯9全体での積算電力量,積算ガス使用量,積算水道使用量のうちのいずれか(以下、積算エネルギー使用量という)を計測する機能と、当該積算エネルギー使用量の計測データを、時刻情報とともに、所定の間隔で外部に送信する通信機能とを備える機器であれば、本発明におけるスマートメーター1として用いられ得る。なお、上述における「積算」とは、計測時点までの過去に使ったエネルギー使用量の総量(即ち、累積積算値)のことである。
また、所定の間隔で、世帯9全体での使用エネルギー(積算値ではなくて瞬間値:エネルギーは、具体的には電力,ガス流量,水道流量)を計測する機能と、当該使用エネルギーの計測データを、時刻情報とともに、外部に送信する通信機能とを備える機器であっても良い。このような瞬間の使用エネルギーの計測機能と通信機能とを備える機器も、本件発明においては、便宜上、スマートメーター1と呼ぶ。
つまり、本発明におけるスマートメーター1としては、世帯9全体での使用エネルギーや資源(電力,ガス流量,水道流量)を計測し積算し続けて累積積算値として所定の間隔で外部へ送信するもの、或いは、世帯9全体での使用エネルギーや資源(電力,ガス流量,水道流量)を計測して瞬間値として所定の間隔で外部へ送信するものが用いられ得る。
以下においては、スマートメーター1によって計測される、居住者の世帯9内での活動に伴って使用されるエネルギーや資源の量のことを、積算値であるものも瞬間値であるものも含めてエネルギー使用量と呼んで説明する。
そして、スマートメーター1は、世帯9全体でのエネルギー使用量を計測し、当該計測によって取得されたエネルギー使用量の計測データを、時刻情報とともに、所定の間隔でエネルギーデータサーバ2に送信する。なお、時刻情報とは、計測の日付の情報を含むものである。
(エネルギーデータサーバ)
本実施形態では、スマートメーター1によって計測されたエネルギー使用量の計測データは、記憶装置としてのエネルギーデータサーバ2に一旦蓄積され、このエネルギーデータサーバ2から見守りデータサーバ3に供給される。
エネルギーデータサーバ2は、スマートメーター1から送信されたエネルギー使用量の計測データを受信して蓄積する。なお、経産省基本要件では、スマートメーターの電力等使用情報の提供先として需要家(世帯)及び電力会社・ガス会社が挙げられている。本実施形態では、電力会社・ガス会社・水道事業者の管理下におかれる計測データ蓄積用記憶装置としてのエネルギーデータサーバ2にスマートメーター1から送信されたエネルギー使用量の計測データが蓄積される。
スマートメーター1とエネルギーデータサーバ2との間のデータ送信のための通信手段は、特定の仕組みに限定されるものではなく、スマートメーター1が設置されている地域や施設の事情及びエネルギーデータサーバ2が設置されている地域や施設の事情などを考慮して適切なものが適宜選択される。具体的には例えば、光ファイバ,メタル線,PLC(Power Line Communications の略;電力線通信),携帯電話回線,有線電話回線,専用無線回線などの利用が考えられる。なお、経済産業省等が検討しているスマートメーターの要件としてスマートメーター1とエネルギーデータサーバ2との間のデータ送信のための通信手段が特定された場合にはその通信手段が用いられる。
(見守りデータサーバ)
見守りデータサーバ3は、見守り者が管理する記憶装置としてのデータサーバであり、エネルギーデータサーバ2から、見守り者が担当する対象地域内の安否確認の対象世帯9についてのエネルギー使用量の計測データが入力されて蓄積される。
エネルギーデータサーバ2と見守りデータサーバ3との間のデータ送信のための通信手段は、特定の仕組みに限定されるものではなく、両サーバが設置されている地域や施設の事情などを考慮して適切なものが適宜選択される。具体的には例えば、光ファイバ,メタル線,PLC(Power Line Communications の略;電力線通信),携帯電話回線,有線電話回線,専用無線回線などの利用が考えられる。なお、前掲の「スマートメーター制度検討会 報告書」(平成23年2月)における「需要家の電力等使用情報の取得ルート」についての構成と対応させると、電力会社等の通信ネットワークとWebとを経由するAルート、或いは、電力会社等以外の第三者(民間企業等)を経由するCルートでエネルギーデータサーバ2から計測データが入手されて見守りデータサーバ3に蓄積されるようにすることが考えられる。
(見守りセンター装置)
見守りセンター装置4は、対象地域における安否確認の対象者(言い換えると、本システムによる被見守り者)の選定及び登録を行う手段としての選定部4aと、エネルギー使用量から所定の間隔(本実施形態では30分間)のエネルギー量を算出する手段としての演算部4bと、所定の間隔のエネルギー量の値と活動エネルギー量閾値とを比較して世帯9における居住者による屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備(のうちのいずれか一つ)の使用の有無を推定する手段としての使用有無推定部4cと、電気機器・ガス設備・水道設備の使用有無の推定結果に基づいて世帯9の居住者の生活状況を推定する手段としての生活状況推定部4dと、生活状況の推定結果に基づいて世帯9の居住者の安否を推定する手段としての安否推定部4eと、安否の推定結果に基づいて必要に応じて警告情報を送信する手段としての通知部4fとを有する。
ここで、見守りセンター装置4を、制御部,記憶部,入力部,表示部,メモリなどを備えてこれらが相互にバス等の信号回線によって接続され、記憶部に格納されたプログラムが実行されることによって所定の処理が行われるコンピュータによって実現するようにしても良い。
コンピュータによって実現する場合、制御部は、記憶部に格納されたプログラムに従って見守りセンター装置4全体の制御並びに居住者の見守りに係る演算を行うものであり、例えばCPU(中央演算処理装置)である。そして、制御部には、記憶部に格納されたプログラムが実行されることによって、上述の選定部4a,演算部4b,使用有無推定部4c,生活状況推定部4d,安否推定部4e,通知部4fが構成される。
コンピュータによって実現する場合、また、記憶部は、少なくともデータやプログラムを記憶可能な装置であり、例えばハードディスクである。メモリは、制御部が種々の制御や演算を実行する際の作業領域となるものであり、例えばRAM(Random Access Memory の略)である。入力部は、少なくとも作業者の命令を制御部に与えるためのインターフェイスであり、例えばキーボードである。表示部は、制御部の制御によって文字や図形等の描画・表示を行うものであり、例えばディスプレイである。
本実施形態では、見守りセンター装置4は、上述の選定部4a、演算部4b,使用有無推定部4c,生活状況推定部4d,安否推定部4e,通知部4fが構成される制御部4Aと、記憶部4Bと、表示部4Cとを少なくとも備えるものとして構成される。なお、記憶部4Bは、上述のようにハードディスクでも良いし、RAMを使うようにしても良い。
また、見守りセンター装置4は、見守りデータサーバ3と通信可能になっており、見守りデータサーバ3に蓄積されたエネルギー使用量の計測データを取得することができる。なお、見守りセンター装置4と見守りデータサーバ3との間のデータ送信のための通信手段は、特定の仕組みに限定されるものではなく、見守りセンター装置4が設置されている地域や施設の事情及び見守りデータサーバ3が設置されている地域や施設の事情などを考慮して適切なものが適宜選択される。具体的には例えば光ファイバやバス等の信号回線などの利用が考えられる。
(処理ステップ)
以下に、本発明の安否確認システムの処理ステップを説明する。
まず、制御部4Aの選定部4aが、安否確認の対象者の選定及び登録を行う(S1)。
具体的には、選定部4aは、まず、住民基本台帳データや種々のデータベースやその他地域等毎に把握されている情報等から、必要な場合には複数のデータベースや情報等を組み合わせて、本発明によって安否確認を行う対象者(被見守り者)を選定基準に基づいて選定する。
選定基準は、特定の内容に限定されるものではなく、対象地域における居住者の見守りとして必要とされる要件に基づいて適宜設定される。基本的には、自立的・自律的に生活が可能である一方で、年齢,健康や身体の状態,行動面などの不安から見守る必要があると判断される人を対象とする。
具体的には例えば、対象地域において、高齢者単身世帯や高齢者のみ世帯における孤立死を防ぐことが必要とされる場合には高齢者のみで構成される世帯を選定するようにしたり、身体障害者単身世帯や身体障害者のみ世帯における孤立死を防ぐことが必要とされる場合には身体障害者のみで構成される世帯を選定するようにしたり、生活困窮世帯の見守りが必要とされる場合には生活保護受給世帯を選定するようにしたりすることが考えられる。なお、選定基準に含められる要件は一つに限られるものではなく、例えば、高齢者のみで構成される世帯と身体障害者のみで構成される世帯との両方を選定するようにしても勿論良い。
なお、住民基本台帳には、生年月日,住所,氏名,同居家族の氏名,続柄が登録されている。このため、住民基本台帳の情報から、高齢者か否か、及び、高齢者のみ世帯か否かの判断ができる。
また、障害者総合支援法(平成24年6月27日公布;旧障害者自立支援法(平成17年法律第123号))に基づくデータベースには、障害の有無,障害の程度区分(障害支援区分)が登録されている。このため、障害者総合支援法に基づくデータベースの情報から障害者であることが判断できる。そして、住民基本台帳の情報と組み合わせることによって障害者のみ世帯か否かの判断ができる。
また、介護保険法(平成9年12月17日法律第123号)に基づく要介護認定データベースには、要介護が否か,要介護の程度区分が登録されている。このため、要介護認定データベースの情報から要介護者であることが判断できる。そして、住民基本台帳の情報と組み合わせることによって要介護者のみ世帯か否かの判断ができる。
その他、地域の民生委員から提供される情報を用いたり、地域に設置された地域包括支援センターから提供される情報を用いたりすることも考えられる。
なお、例えば住民基本台帳は自治体(市区町村長)が管理するものであるので、見守り者が自治体ではない場合には、自治体が選定基準に則って選定した世帯のデータを見守り者に提供するようにすることが考えられる。このように、安否確認の対象者の選定に利用されるデータベース等の管理者と見守り者とが異なる場合には、安否確認の対象世帯の選定の処理は、他の処理が行われる装置とは別の装置で行われる。
本発明の居住者安否確認システムの運用としては、世帯を特定する情報が少なくともあれば良く、具体的には住所及び原則として世帯主の氏が少なくともあれば良い。しかしながら、見守りを行うに際して有用と考えられる情報も、住民基本台帳や自治体等が管理する他のデータ・資料から抽出して利用するようにしても良い。例えば、世帯構成、世帯各人の生年月日、障害の有無、要介護認定の有無、生活保護受給の有無などが考えられる。例えばこのような情報があれば、見守り者が、特にどのような事態に注意すれば良いかの判断の参考になる。
そして、上記の世帯を特定する情報は、具体的には、スマートメーター1が設置されている世帯情報(言い換えると、スマートメーター1の計測データに付随している世帯情報)との対応づけに用いられる。したがって、上記の世帯を特定する情報は、実際には、スマートメーター1が設置されている世帯を特定する情報と対応づけられることが必要とされ、その対応づけに必要な項目が上記の世帯を特定する情報に含められる。
以下においては、上述の処理によって住民基本台帳や他のデータ・資料・情報等から選定・抽出されたデータのことであって世帯を特定する情報を少なくとも含むデータのことを選定世帯データと呼ぶ。
なお、自治会・町内会,民生委員,警察などが保有している情報のうち見守りに有用な情報があれば関連情報として選定世帯データに含めるようにしても良い。
続いて、上述の処理によって選定された世帯に対し、居住者安否確認システムによる見守りの対象になることについての意思確認が行われる。この意思確認は、選定基準を満たすためにたとえ選定されたとしても選定された世帯の居住者が知らないうちに安否確認が行われることにはプライバシー上の問題があることも考慮し、選定された世帯の構成員本人やその家族などに対して行われることが考えられる。
そして、選定部4aは、安否確認の対象世帯になることに同意した世帯についてのデータを選定世帯データの中から抽出し、登録世帯データとして記憶部4Bに記憶させる。
なお、対象地域において本システムの制度を周知し、本システムによって見守られることを自ら希望する人も対象に含めることも考えられる。そして、この場合には、選定部4aは、安否確認の対象世帯になることを希望する世帯についてのデータを、希望する人の申告に基づいて登録世帯データとして記憶部4Bに記憶させることも考えられる。
次に、スマートメーター1が、世帯9全体でのエネルギー使用量の計測を行うと共に、計測データの送信を行う(S2)。
スマートメーター1は、世帯9全体でのエネルギー使用量を計測し、当該計測によって取得されたエネルギー使用量の計測データを、時刻情報とともに、所定の間隔で(本実施形態では30分毎に)エネルギーデータサーバ2に送信する。
エネルギーデータサーバ2では、スマートメーター1から送信された時刻情報及びエネルギー使用量の計測データが、世帯別に、時刻tでのエネルギー使用量E(t)として蓄積される。すなわち、エネルギーデータサーバ2には、エネルギー使用量E(t)の値と時刻tとの組み合わせデータが、当該データが計測された世帯9の識別情報と対応づけられて蓄積される。
そして、エネルギーデータサーバ2に蓄積されているスマートメーター1の計測データに付随している世帯を特定する情報と、登録世帯データに登録されている世帯の世帯を特定する情報とのマッチングが行われ、登録世帯データに登録されている世帯9についてのエネルギー使用量E(t)がエネルギーデータサーバ2から見守りデータサーバ3に送信されて蓄積される。
なお、スマートメーター1による世帯9のエネルギー使用量の計測及び計測データの出力はスマートメーター1の機能として自動的に行われる。そして、以下のS3からS6までの処理は、見守りデータサーバ3への計測データの入力をトリガーとして繰り返し行われるようにしても良いし、見守りセンター装置4の制御部4Aによって処理開始時刻及び処理間隔が制御されて繰り返し行われるようにしても良い。
次に、制御部4Aの演算部4bが、S2の処理によって得られるエネルギー使用量Eを用いてエネルギー量W若しくはエネルギー積分値∫Eの算出を行う(S3)。
具体的には、演算部4bは、S2の処理によって得られるエネルギー使用量Eが積算エネルギー使用量である場合には、S2の処理によって見守りデータサーバ3に蓄積された世帯9別のエネルギー使用量E(t)及びE(t−1)の値を見守りデータサーバ3から読み込み、数式1によって世帯9別にエネルギー量W(t')を算出する。
(数1) W(t')=E(t)−E(t−1)
なお、本実施形態では、t'はタイムスタンプとしてtと同じであるようにする。また、t−1は時刻tに対して一つ前のタイムスタンプであることを意味する。すなわち、本実施形態では、t−1は時刻tの30分前のタイムスタンプであることを意味する。
そして、演算部4bは、算出した世帯9別のエネルギー量W(t’)の値を時刻t’と対応づけて記憶部4Bに記憶させる。
また、スマートメーター1として、所定の間隔で世帯9全体での瞬間の使用エネルギーを計測する機能と、当該使用エネルギーの計測データを、時刻情報とともに、外部に送信する通信機能とを備える機器を採用した場合には、演算部4bは、見守りデータサーバ3から時刻tにおける世帯9別のエネルギー使用量E(t)(=瞬間の使用エネルギー)の値を読み込み、算出間隔Ta〔分〕の間隔で、評価時間Δt〔分〕としたときの時刻tからt+Δtまでの間のエネルギー使用量E(t)を積分し、エネルギー積分値∫E(t')を連続して算出する。なお、本実施形態では、t'はタイムスタンプとしてt+Δtと同じであるようにする。
ここで、エネルギー積分値∫E(t')を算出する際のエネルギー使用量E(t)の積分時間である評価時間Δt〔分〕は、エネルギー使用量E(t)の短時間の変動の影響を排除し、居住者による屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備の使用によるエネルギー使用量E(t)を平均化してエネルギー積分値∫E(t')として表すための変数である。
このため、評価時間Δt〔分〕は、居住者による屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備の使用がされている時の平均的なエネルギー使用量E(t)と、使用がされていない時の平均的なエネルギー使用量E(t)との間の差がエネルギー積分値∫E(t')の差として顕著に現れるように適宜設定される。
エネルギー使用量E(t)(=瞬間の使用エネルギー)が使用電力Ep(t)であってエネルギー積分値∫E(t')が電力積分値∫Ep(t')である場合の、評価時間Δt〔分〕の長短が電力積分値∫Ep(t')に与える影響については、特開2011−39886における説明が参考になる。この特開2011−39886は総負荷電流A(t)のデータを用いて評価時間Δtの長短が電流積分値∫A(t')に与える影響の検討を行っているものであり、電流と電力との関連性に鑑みればこの文献における説明は評価時間Δt〔分〕の長短が電力積分値∫Ep(t')に与える影響として参考になる。
特開2011−39886によると、具体的には、評価時間Δtは、適切な設定値に対して短過ぎると総負荷電流A(t)を適切に平均化させることができないので、居住者による屋内での活動に伴う電気機器の使用状況を電流積分値∫A(t')において顕著化させることができず、一方、適切な設定値に対して長過ぎると居住者の活動が実際には活発であって前後の時間帯と比べて総負荷電流A(t)が高い値になっていても、電流積分値∫A(t')としては平準化されてしまい居住者が実際に活動している時間帯が曖昧になってしまうおそれがある。
評価時間Δtは、具体的には、3分から30分程度の範囲で設定することが好ましく、より好ましくは15分から30分程度の範囲で設定することであり、最も好ましくは30分程度に設定することである。しかしながら、評価時間Δtはこの範囲に限られるものではなく、3分より短くても良いし、30分より長くても良い。
また、算出間隔Ta〔分〕は、居住者による屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備の使用によるエネルギー使用量E(t)のレベル変動を見逃さない時間間隔に適宜設定される。なお、算出間隔Ta=評価時間Δtでも良いし、Ta>ΔtでもTa<Δtでも良い。
なお、算出間隔Ta及び評価時間Δtの値は、対象地域において共通の値が一つ設定されるようにしても良いし、その世帯に関する過去の瞬間の使用エネルギーのデータに基づいて世帯9毎に設定されるようにしても良い。
本実施形態では、対象地域において共通の値として、算出間隔Ta=評価時間Δt=30〔分〕に設定される。すなわち、演算部4bは、算出間隔Ta=30分毎に、評価時間Δt=30分間に亘る瞬間の使用エネルギーの積分値であるエネルギー積分値∫E(t')を算出し、算出した世帯9別のエネルギー積分値∫E(t')の値を時刻t'と対応づけて記憶部4Bに記憶させる。この場合、エネルギー積分値∫E(t')は、先に示した30分間のエネルギー量W(t')と同義になる。
次に、制御部4Aの使用有無推定部4cが、S3の処理によって得られるエネルギー量W若しくはエネルギー積分値∫E(本実施形態では、どちらも30分間としての値)を用いて世帯9における居住者による屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備(のうちのいずれか一つ)の使用の有無を推定する(S4)。
具体的には、使用有無推定部4cは、S3の処理において記憶部4Bに記憶されたエネルギー量W(t')若しくはエネルギー積分値∫E(t')の値を時刻t'と共に読み込み、このエネルギー量W(t')若しくはエネルギー積分値∫E(t')の値と活動エネルギー量閾値Dの値とを比較する。
活動エネルギー量閾値Dは、世帯9において居住者による屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備(のうちのいずれか一つ)の使用が行われたか否かを判断するための閾値である。
活動エネルギー量閾値Dの値は、特定の値に限定されるものではなく、居住者安否確認システムの対象になっている世帯9毎に、当該世帯に関する過去のエネルギー使用量あるいは瞬間の使用エネルギーのデータに基づいて設定されることが好ましい。ただし、対象地域において共通の活動エネルギー量閾値Dの値が一つ設定されるようにしても良い。この活動エネルギー量閾値Dの設定の仕方も特定の方法に限定されるものではない。具体的には例えば以下のようにして設定することが考えられる。
まず、見守りデータサーバ3に記憶されている直近の数十日分又は数ヶ月分のエネルギー使用量E(t)の計測データの中から在宅日に計測されたと判断される計測データを抽出する。例えば、見守りデータサーバ3に直近のX日分の計測データが記憶されている場合に、各日毎に一日の合計エネルギー量を求め、この一日の合計エネルギー量が大きい方から順にZ日分のデータを抽出する。これは、過去X日のうち完全に不在であった日数は(X−Z)日よりも少ないこと、言い換えると、居住者によって屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備(のうちのいずれか一つ)の使用が行われた日数は少なくともZ日であることを前提にしている。抽出日数Zは、このような観点から予め設定され、例えば計測日数Xの1/2や1/3程度に設定することが考えられる。具体的には例えば、計測日数Xを14日にすると共に抽出日数Zを5〜7日程度にすることが考えられる。また、直近のX日分の一日の合計エネルギー量の分布から抽出日数Zを設定するようにしても良い。
そして、スマートメーター1による出力が積算エネルギー使用量の場合は、積算エネルギー使用量E(t)の出力が30分間隔で行われるとすると、一日分のデータ(即ち、一日分の30分間のエネルギー量W(t')のデータ)は24時間×60分/30分=48個になり、X日分のデータは48×X〔個〕になる。また、各日毎に一日の合計エネルギー量を算出し、この一日の合計エネルギー量が大きい方から順にZ日分のデータを抽出する。これにより、世帯の在宅日に計測されたと判断されるデータとして、Z日分の、具体的には48×Z〔個〕のデータ(30分間のエネルギー量W(t')のデータ)が抽出される。
一方、スマートメーター1による出力が瞬間の使用エネルギーの場合も、同様に48×Z〔個〕の、30分間のエネルギー積分値∫E(t')のデータが抽出される。
次に、得られたエネルギー量W(t')若しくはエネルギー積分値∫E(t')を降順に並べ、予め設定したパーセンタイル設定値Yを用い、「その値以上になるエネルギー量W(t')若しくはエネルギー積分値∫E(t')の個数が降順に並べられたエネルギー量W(t')若しくはエネルギー積分値∫E(t')の総数に対してY%になる値」であるY%値を求め、このY%値を活動エネルギー量閾値Dとする。すなわち、データ数をn個とすると「n×Y/100」番目のデータの値をY%値とする。なお、「n×Y/100」の値が整数とならない場合は、「n×Y/100」の値の小数部分を、切り上げたり、切り捨てたり、四捨五入したりする。
ここで、パーセンタイル設定値Yは、世帯9の居住者の屋内での活動に伴って電気・ガス・水道(のうちのいずれか一つ)を使用していると確実に考えられる時間の割合〔%〕である。パーセンタイル設定値Yは、特定の値に限定されるものではなく、その世帯に関する過去の在宅の日のデータに基づいて世帯9毎に設定されることが好ましく、具体的には例えば5〜30程度に設定される。なお、対象地域において共通のパーセンタイル設定値Yの値が一つ設定されるようにしても良い。例えば、パーセンタイル設定値Y=15とすれば、得られたエネルギー量W(t')若しくはエネルギー積分値∫E(t')を降順に並べて上位から15%にあたる値を活動エネルギー量閾値Dとする。
本実施形態では、データ数n=48×Z〔個〕であるので、抽出日数Z=7,パーセンタイル設定値Y=15にすると、「48×7×15/100」=50.4≒50である(小数部分を四捨五入)。したがって、降順に並べた48×7=336〔個〕のデータのうち、大きい方から50番目のデータの値(即ち、エネルギー量W(t')若しくはエネルギー積分値∫E(t')の値)がY%値となり、このエネルギー量W(t')若しくはエネルギー積分値∫E(t')を活動エネルギー量閾値Dとする。
活動エネルギー量閾値Dは、例えば世帯9の家族構成が変わったり生活態様が変わったりして電気機器・ガス設備・水道設備の使用パターンが変化すること、或いは、季節によって電気機器・ガス設備・水道設備の使用パターンが変化することなどに適確に対応するため、例えば毎日,1週間毎,1ヶ月毎など、定期的に設定し直すことが好ましい。
なお、活動エネルギー量閾値Dは記憶部4Bに記憶され、使用有無推定部4cは、S4の処理を行うに際して活動エネルギー量閾値Dの値を記憶部4Bから読み込む。
そして、使用有無推定部4cは、エネルギー量W(t')若しくはエネルギー積分値∫E(t')の値が活動エネルギー量閾値D以下の値から活動エネルギー量閾値Dよりも大きな値に推移した場合には世帯9において居住者による屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備(のうちのいずれか一つ)の使用が開始されたと判断する。
一方、使用有無推定部4cは、エネルギー量W(t')若しくはエネルギー積分値∫E(t')の値が活動エネルギー量閾値Dよりも大きな値から活動エネルギー量閾値D以下の値に推移した場合には世帯9における居住者による屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備(のうちのいずれか一つ)の使用が終了したと判断する。
次に、制御部4Aの生活状況推定部4dが、S4の処理によって得られる居住者による屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備の使用の有無の推定結果に基づいて世帯9の居住者の生活状況の推定を行う(S5)。
具体的には、生活状況推定部4dは、S4の処理において居住者による屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備の使用が開始されたと推定された場合には、居住者は在宅中であり且つ活動中であると判断し、この推定結果を表す情報として活動開始情報を安否推定部4eに対して出力する。
一方、生活状況推定部4dは、S4の処理において居住者による屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備の使用が終了したと推定された場合には、居住者は在宅しているが活動停止中または不在または就寝中であると判断し、この推定結果を表す情報として活動終了情報を安否推定部4eに対して出力する。
また、生活状況推定部4dは、例えば、昼間に活動終了情報を出力してから所定の時間が経過した場合には居住者は不在であると推定したり、夜間に活動終了情報を出力してから所定の時間が経過した場合には居住者は就寝中であると推定したりするようにしても良い。
次に、制御部4Aの安否推定部4eが、S5の処理によって得られる世帯9の居住者の生活状況の推定結果に基づいて世帯9の居住者の安否の推定を行う(S6)。
具体的には、安否推定部4eは、S5の処理において出力される活動終了情報の入力を最後に受けた時刻から活動開始情報の入力がないまま経過した現在時刻までの時間(以下、活動停止時間と呼ぶ)を算出すると共に算出された活動停止時間と予め設定された活動停止時間閾値とを比較する。
活動停止時間閾値は、世帯9の居住者の生活パターンなどを考慮して世帯9別に適宜設定される。具体的には例えば、一日8時間程度の睡眠中に屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備の使用は行われないことが通常であることを考慮して活動停止時間閾値が9時間から12時間程度の間に設定されることが考えられる。または、居住者の生活パターンとして日中は外出する時間が長い場合や居住者の生活態様として屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備の使用を頻繁には行わないことが通常である場合にはこれらの事情を考慮して活動停止時間閾値が12時間から24時間程度の間に設定されることも考えられる。
さらに、安否推定部4eは、S5の処理において出力される活動開始情報の入力を最後に受けた時刻から活動終了情報の入力がないまま経過した現在時刻までの時間(以下、活動継続時間と呼ぶ)を算出すると共に算出された活動継続時間と予め設定された活動継続時間閾値とを比較する。
活動継続時間閾値は、世帯9の居住者の生活パターンなどを考慮して世帯9別に適宜設定される。具体的には例えば、居住者の生活態様として一日16時間程度の屋内での活動中は電気機器・ガス設備・水道設備が継続的に使用されることが通常である場合にはこれを考慮して活動継続時間閾値が16時間から20時間程度の間に設定されることが考えられる。
そして、安否推定部4eは、活動停止時間が活動停止時間閾値以上になる場合又は活動継続時間が活動継続時間閾値以上になる場合に、安否確認の対象世帯9の居住者が非常状態であると判定し、表示部4Cに警告メッセージ等の警告情報を表示させ、見守り者又は居住者の家族や担当医師などに対して注意を促す。
この場合に、例えば、活動停止時間や活動継続時間が24時間になったときに予備警報を表示し、48時間になったときに一次警報を表示し、96時間になったときに二次警報を表示するなどのように、警報の種類を複数設定してそれらの警報を警告情報として順次表示するようにしても良い。
なお、居住者は在宅中で活動中であるや不在であるや就寝中であるとS5の処理において推定されている場合には、このような生活状況の推定結果を警告情報に含めるようにしても良い。
そして、警告情報を認めた見守り者又は居住者の家族や担当医師などは居住者が寝たきりになっていたり屋内で倒れていたりするなどの非常状態にある可能性があると判断し、例えば、見守り者又は居住者の家族や担当医師などが居住者に電話連絡等をして安否確認を行ったり、見守り者が居住者の家族や担当医師などに電話連絡等をして居住者の安否確認の依頼を行ったりするなどの措置をとることが可能になる。これにより、高齢者単身世帯や高齢者のみ世帯等において非常事態が発生した場合にそのことが誰にも知られることなく事態が悪化してしまうことを防ぐことが可能になり、高齢者単身世帯や高齢者のみ世帯等の生活安全性が確保される。
また、安否推定部4eは、警告情報を出力することに加えて、活動停止時間又は活動継続時間が長い順に世帯を並べた世帯リストを生成し、当該世帯リストを表示部4Cに表示させるようにしても良い。すなわち、活動停止時間又は活動継続時間が長い世帯は注意が特に必要な世帯であるということになるので、見守り者としての例えば民生委員や警察などが巡回する際に当該世帯には特に注意を向けるようにすることが可能になり、より一層確実な見守りを行うことが可能になる。
さらに、必要に応じ、安否推定部4eが警告情報を通知部4fに出力し、通知部4fが、見守り者又は世帯9の居住者の家族や担当医師などが使用する外部機器5にこの警告情報を送信するようにしても良い。具体的には例えば、予め登録されたアドレスにメールを送信したり、登録された番号に自動音声による電話をかけ或いは所定様式のFAXを送ったりするようにしても良い。そして、見守り者又は居住者の家族や担当医師などは外部機器5としての例えば各種の携帯端末やパソコンや固定電話機によってこの警告情報を受信する。この場合には、複数の関係者が同時にリアルタイムで警告情報を知覚することができ、それら関係者が居住者に電話連絡等をして安否確認を行ったり、世帯9を訪問して安否確認を行ったりし、より一層迅速な対応をとることが可能になる。
また、通知部4fが、見守り者が使用する外部機器としての携帯端末5からの送信要求に応じて若しくは定期的に、安否推定部4eが生成する活動停止時間又は活動継続時間が長い順の世帯リスト(その一部若しくは全部)を見守り者が使用する携帯端末5に送信するようにしても良い。この場合には、見守り者が巡回を行う際に、特に注意が必要な世帯をリアルタイムで確認することができ、また、この世帯リストを随時確認することによって特に注意が必要な世帯を漏らさず確実に確認することが可能になる。
以上のように構成された本発明の居住者安否確認システムによれば、独自の特別な付加的な計測機器を設けることなく、且つ、世帯9内に配設された特定の(言い換えると、個別の)電気機器・ガス設備・水道設備の使用情報を使うことなく、居住者による屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備の使用の有無を判断して居住者が健常に生活しているか否かを推定することができる。このため、システムの整備コストを低減させることが可能であり、また、生活状況の細部が第三者に常に監視され生活態様が知られてしまうなどの不快感を居住者に与えることを防止することが可能であり、システム普及のコスト面の障害及びプライバシー面の障害を軽減してシステムの普及を促進し、例えば高齢者単身世帯や高齢者のみ世帯などの生活安全性の向上を図ることが可能になる。
本発明の居住者安否確認システムによれば、さらに、居住者の世帯9に直接出向くことなく、居住者が健常に生活しているか否かを確認することができる。このため、例えば高齢者単身世帯や高齢者のみ世帯などの生活安全性の向上を図ることが可能になる。また、普段の運用上は少ない労力で、複数の世帯の居住者が健常に生活しているか否かを確認することができる。このため、システム普及のコスト面の障害を軽減してシステムの普及を促進し、例えば高齢者単身世帯や高齢者のみ世帯などの生活安全性の向上を図ることが可能になる。
なお、上述の形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの、本発明の実施の形態が上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態ではS5の処理において生活状況推定部4dが活動開始情報や活動終了情報を安否推定部4eに対して出力するようにしているが、これに限られず、使用有無推定部4cが屋内での活動に伴う電気機器・ガス設備・水道設備の使用が開始された若しくは終了したとの判断結果を活動開始情報若しくは活動終了情報として安否推定部4eに対して直接出力するようにしても、すなわち、生活状況推定部4dを備えないと共にS5の処理を行わないようにしても良い(したがって、この場合には、居住者は不在であるとの推定や、居住者は就寝中であるとの推定も行われない)。
また、上述の実施形態では見守りデータサーバ3と見守りセンター装置4との各々を独立した装置として有するようにしてエネルギーデータサーバ2から見守りデータサーバ3を経由して見守りセンター装置4にエネルギー使用量の計測データが入力されるようにしているが、これに限られず、エネルギーデータサーバ2から見守りセンター装置4に計測データが直接入力される(言い換えると、見守りデータサーバ3と見守りセンター装置4とを一体の装置で構成する。具体的には、見守りセンター装置4の記憶部4Bを、スマートメーター1の計測データを蓄積する記憶装置としての見守りデータサーバ3として利用する)ようにしても良い。さらに言えば、スマートメーター1から送信された計測データは、見守りセンター装置4に入力されるのであれば、どのような経路・装置を経由しても構わない。
また、上述の実施形態では、エネルギー量Wやエネルギー積分値∫Eの時間区切りを30分にしているが、これらの時間区切りは、30分に限られるものではなく、必要に応じて計測データの計測間隔も考慮して適宜調整され得る。例えば上述の実施形態ではスマートメーター1の計測間隔(出力間隔)が30分であるので、1時間や1時間半や2時間などの、エネルギー量Wやエネルギー積分値∫E、また、活動エネルギー量閾値Dを用いるようにしても良い。
生活状況の推定の仕方は上述の実施形態における手順には限られない。すなわち、演算部4bによるS3の処理,使用有無推定部4cによるS4の処理,生活状況推定部4dによるS5の処理,安否推定部4eによるS6の処理は上述の実施形態におけるものには限られない。具体的には、以下のようにしても良い(第二の実施形態と呼ぶ:図3)。なお、第二の実施形態の場合も、選定部4aによる安否確認の対象者の選定及び登録の処理(S1)とスマートメーター1による世帯9全体でのエネルギー使用量の計測によってエネルギー使用量E(t)を得る処理(S2)は共通である。
また、第二の実施形態の場合は、図1に示す居住者安否確認システムの構成は共通であるが、見守りセンター装置4の演算部4b,使用有無推定部4c,生活状況推定部4d,安否推定部4eの処理内容が上述の実施形態の場合と異なる。すなわち、第二の実施形態の場合は、見守りセンター装置4は、対象地域における安否確認の対象者(言い換えると、本システムによる被見守り者)の選定及び登録を行う手段としての選定部4aと、記憶装置としての見守りデータサーバ3に蓄積されたエネルギー使用量のデータに基づいて直近過去所定時間内におけるエネルギー使用量合計値を算出する手段としての演算部4bと、直近過去短時間内における複数のエネルギー使用量合計値の値のばらつきの程度を表すエネルギー使用量合計値の短期変動幅を算出すると共に直近過去所定期間内における複数のエネルギー使用量合計値の値のばらつきの程度を表すエネルギー使用量合計値の長期変動幅を算出し、さらに、直近過去長期間内の複数のエネルギー使用量合計値の短期変動幅の値の昇順配列若しくは降順配列におけるXパーセンタイル値(Xの値は予め設定される)を長期変動幅閾値として決定する手段としての使用有無推定部4cと、エネルギー使用量合計値の長期変動幅の値と長期変動幅閾値とを対比して世帯9の居住者の屋内での活動が継続している生活状況であるのか或いは直近過去所定期間に亘って沈静化している生活状況であるのかを判断する手段としての生活状況推定部4dと、生活状況の推定結果に基づいて世帯9の居住者の安否を推定する手段としての安否推定部4eと、安否の推定結果に基づいて必要に応じて警告情報を送信する手段としての通知部4fとを有する。
また、第二の実施形態では、見守りセンター装置4は、制御部4A,記憶部4B,表示部4Cに加え、制御部4Aが種々の制御や演算を実行する際の作業領域となるメモリを少なくとも備えるものとして構成される。
なお、下記に述べる手順によって生活状況の推定を行う場合には、後述するS7の処理の最後において過去におけるエネルギー使用量合計値Em(t),エネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t),エネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t),長期変動幅閾値Dp_th(t)の値として記録しておくための計算値データファイルが、記憶部4B若しくは他の適当な記憶装置・記憶媒体に格納(保存)される。
上述の実施形態におけるS1の処理及びS2の処理に続いて、制御部4Aの演算部4bが、S2の処理によって得られるエネルギー使用量の計測データを用いてエネルギー使用量合計値Em(t)を算出する(S3)。
具体的には、演算部4bにより、S2の処理において計測されて見守りデータサーバ3に蓄積されたエネルギー使用量の計測データ(具体的には、エネルギー使用量E(t)の値と時刻tとの組み合わせデータ)の中から、算出時点から直近過去所定時間m〔分〕の範囲のエネルギー使用量の計測データが見守りデータサーバ3から読み込まれる。
そして、演算部4bにより、読み込まれたエネルギー使用量の計測データがメモリに記憶させられる。
続いて、演算部4bにより、エネルギー使用量のデータに基づいて直近過去所定時間内におけるエネルギー使用量合計値Em(t)が算出される。
具体的には、演算部4bにより、上述の処理においてメモリに記憶された直近過去所定時間m〔分〕の範囲のエネルギー使用量E(t)の値がメモリから読み込まれ、直近過去所定時間m〔分〕の範囲におけるエネルギー使用量E(t)の合計であるエネルギー使用量合計値Em(t)が算出される。
具体的には、エネルギー使用量E(t)が累積積算値である場合には、エネルギー使用量合計値Em(t)はEm(t)=E(t)−E(t−m)により算出される。一方、エネルギー使用量E(t)が瞬間値である場合には、エネルギー使用量合計値Em(t)は時刻[t−m]から時刻tまでのエネルギー使用量E(t)の値の合計値として算出される。なお、エネルギー使用量合計値Em(t)の具体的な算出の仕方は、スマートメーター1による計測の内容及び送信されるデータの内容により、直近過去所定時間m〔分〕の範囲におけるエネルギー使用量E(t)の定義によって適宜調整される。
なお、エネルギー使用量合計値Em(t)の時刻tには、算出時点から直近過去所定時間m〔分〕の範囲における最終の時刻t(言い換えると、算出時点からみて直近の時刻t)の値が割り当てられる。以下では、エネルギー使用量合計値Em(t)に割り当てられる時刻のことを算出時刻tと呼ぶ。
ここで、エネルギー使用量合計値Em(t)を算出するために用いられるエネルギー使用量E(t)の範囲としての時間であるm〔分〕の値は、特定の値に限定されるものではなく、適宜調整され得る。なお、本発明者の検討によれば、15〜120〔分〕程度であることが好ましく、30〜60〔分〕程度であることがより一層好ましい。
そして、演算部4bにより、算出されたエネルギー使用量合計値Em(t)の値が、世帯の識別情報と対応づけられて算出時刻tとの組み合わせデータとしてメモリに記憶させられる。
ここで、スマートメーター1による世帯9のエネルギー使用量の計測及び計測データの外部への送信はスマートメーター1の機能として自動的に行われる。一方、S2からS6までの処理は、エネルギー使用量合計値Em(t)を算出する範囲である直近過去所定時間m〔分〕毎に繰り返し行われる。
次に、制御部4Aの使用有無推定部4cが、直近過去短時間内のエネルギー使用量合計値Em(t)の値に基づいてエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)を算出する(S4)。
まず、使用有無推定部4cにより、算出時点から直近過去短時間s〔分〕の範囲のエネルギー使用量合計値Em(t)の値が読み込まれる。具体的には、S2−2の処理においてメモリに記憶された算出時刻tにおけるエネルギー使用量合計値Em(t)の値がメモリから読み込まれる。また、S6の処理において計算値データファイルに記録されたエネルギー使用量合計値のデータ(具体的には、エネルギー使用量合計値Em(t)の値と算出時刻tとの組み合わせデータ)の中から、時刻[t−s+m]から時刻[t−m]までの範囲のエネルギー使用量合計値Em(t)の値が計算値データファイルから読み込まれる。
そして、使用有無推定部4cにより、直近過去短時間s〔分〕におけるエネルギー使用量合計値Em(t)の短期変動幅Ds(t)として、前記s分間における複数のEm(t)の値のばらつきの程度を表す指標が算出される。ばらつきの程度を表す指標は、特定の指標に限定されるものではなく、統計解析などにおいて用いられる種々の指標が用いられ得る。具体的には例えば、Em(t)の最大値と最小値との差,Em(t)の分散,Em(t)の標準偏差などが用いられ得る。なお、エネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の時刻tは、S2−2の処理において決定された算出時刻tと同じにされる。
ここで、エネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)を算出するために用いられるエネルギー使用量合計値Em(t)の範囲としての時間であるs〔分〕の値は、特定の値に限定されるものではなく、適宜調整され得る。なお、本発明者の検討によれば、120〜360〔分〕程度であることが好ましい。なお、エネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の算出に関する時間s〔分〕は、エネルギー使用量合計値Em(t)の算出に関する時間m〔分〕よりも大きい値に設定される。
そして、使用有無推定部4cにより、算出されたエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の値が、世帯の識別情報と対応づけられて算出時刻tとの組み合わせデータとしてメモリに記憶させられる。
次に、使用有無推定部4cが、直近過去所定期間内のエネルギー使用量合計値Em(t)の値に基づいてエネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)を算出する(S5)。
まず、使用有無推定部4cにより、算出時点から直近過去所定期間p〔時間 若しくは 日〕の範囲のエネルギー使用量合計値Em(t)の値が読み込まれる。具体的には、S2−2の処理においてメモリに記憶された算出時刻tにおけるエネルギー使用量合計値Em(t)の値がメモリから読み込まれる。また、S6の処理において計算値データファイルに記録されたエネルギー使用量合計値のデータ(具体的には、エネルギー使用量合計値Em(t)の値と算出時刻tとの組み合わせデータ)の中から、時刻[t−p+m]から時刻[t−m]までの範囲のエネルギー使用量合計値Em(t)の値が計算値データファイルから読み込まれる。
そして、使用有無推定部4cにより、直近過去所定期間p〔時間,日〕におけるエネルギー使用量合計値Em(t)の長期変動幅Dp(t)として、前記p〔時間,日〕における複数のEm(t)の値のばらつきの程度を表す指標が算出される。このS4の処理におけるばらつきの程度を表す指標としては、S3の処理において短期変動幅Ds(t)として採用されている指標と同じものが算出される(例えば、Ds(t)を標準偏差としたならば、Dp(t)も標準偏差とする)。なお、エネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)の時刻tは、S2−2の処理において決定された算出時刻tと同じにされる。
ここで、エネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)を算出するために用いられるエネルギー使用量合計値Em(t)の範囲としての期間であるp〔時間,日〕の値は、特定の値に限定されるものではなく、適宜調整され得る。なお、本発明者の検討によれば、1〜5〔日〕(言い換えると、24〜120〔時間〕)程度であることが好ましい。なお、エネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)の算出に関する期間p〔時間,日〕は、エネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の算出に関する時間s〔分〕よりも長い期間になるように設定される。
そして、使用有無推定部4cにより、算出されたエネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)の値が、世帯の識別情報と対応づけられて算出時刻tとの組み合わせデータとしてメモリに記憶させられる。
次に、使用有無推定部4cが、直近過去長期間内のエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の値に基づいて、エネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)の値が居住者が健常に生活していると判断される値であるのか否かを決めるための長期変動幅閾値Dp_th(t)の値を決定する(S6)。
まず、使用有無推定部4cにより、算出時点から直近過去長期間d〔日〕(算出時点の当日も含む)の範囲のエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の値が読み込まれる。具体的には、S3の処理においてメモリに記憶された算出時刻tにおけるエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の値がメモリから読み込まれる。また、S6の処理において計算値データファイルに記録されたエネルギー使用量合計値の短期変動幅のデータ(具体的には、エネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の値と算出時刻tとの組み合わせデータ)の中から、算出時点から直近過去長期間d〔日〕の範囲のエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の値が計算値データファイルから読み込まれる。
そして、使用有無推定部4cにより、直近過去長期間d〔日〕の範囲の複数のエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の値が昇順に並べ替えられ、昇順配列におけるXパーセンタイル値が抽出されて当該値が長期変動幅閾値Dp_th(t)として決定される。なお、長期変動幅閾値Dp_th(t)の時刻tは、S2−2の処理において決定された算出時刻tと同じにされる。
長期変動幅閾値Dp_th(t)は、つまり、「その値以下になるエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の個数が、昇順に並べられたエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の総数に対してX%になる値」であり、短期変動幅Ds(t)の総数をn個とすると「n×X/100」番目の短期変動幅Ds(t)の値である。なお、「n×X/100」の値が整数とならない場合は、「n×X/100」の値の小数部分を、切り上げたり、切り捨てたり、四捨五入したりする。
ここで、長期変動幅閾値Dp_th(t)を決定するために用いられるエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の範囲としての期間であるd〔日〕の値は、特定の値に限定されるものではなく、適宜調整され得る。なお、本発明者の検討によれば、5〜30〔日〕程度であることが好ましい。なお、長期変動幅閾値Dp_th(t)の決定に関する期間d〔日〕は、エネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)の算出に関する期間p〔時間,日〕よりも長い期間になるように設定される。
また、長期変動幅閾値Dp_th(t)として抽出されるパーセンタイル値を定義づけるX〔%〕の値は、特定の値に限定されるものではなく、適宜調整され得る。なお、本発明者の検討によれば、50〜90〔%〕程度であることが好ましい。
ここで、エネルギー使用量合計値Em(t)を算出するために用いられるエネルギー使用量E(t)の範囲である直近過去所定時間m=30〔分〕,エネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)を算出するために用いられるエネルギー使用量合計値Em(t)の範囲である直近過去短時間s=180〔分〕,長期変動幅閾値Dp_th(t)を決定するために用いられるエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の範囲である直近過去長期間d=28〔日〕とすると、長期変動幅閾値Dp_th(t)を決定するために用いられる、エネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の個数は (24時間×60分/30分)×28日=1344〔個〕であり、エネルギー使用量合計値Em(t)の個数は1344+5=1349〔個〕である。
したがって、パーセンタイル値を定義づけるX=90〔%〕とすると、1344×90/100≒1210になる(少数部分を四捨五入)。よって、昇順に並べ替えられた1344個のエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)のうち、小さい方から1210番目の短期変動幅Ds(t)の値が長期変動幅閾値Dp_th(t)として決定される。なお、長期変動幅閾値Dp_th(t)の時刻tは、S2−2の処理において決定された算出時刻tと同じにされる。
そして、使用有無推定部4cにより、Xパーセンタイル値として抽出されたエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の値が、長期変動幅閾値Dp_th(t)として、世帯の識別情報と対応づけられて算出時刻tとの組み合わせデータとしてメモリに記憶させられる。
次に、制御部4Aの生活状況推定部4dが、世帯9の居住者の生活状況を推定する(S7)。
具体的には、生活状況推定部4dにより、S4の処理においてメモリに記憶されたエネルギー使用量合計値の長期変動幅のデータ(具体的には、エネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)の値と算出時刻tとの組み合わせデータ)のうち算出時刻tにおけるエネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)の値がメモリから読み込まれると共に、S5の処理においてメモリに記憶された長期変動幅閾値のデータ(具体的には、長期変動幅閾値Dp_th(t)の値と算出時刻tとの組み合わせデータ)のうち算出時刻tにおける長期変動幅閾値Dp_th(t)の値がメモリから読み込まれる。
そして、生活状況推定部4dにより、算出時刻tにおけるエネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)の値と長期変動幅閾値Dp_th(t)の値とが対比される。
そして、算出時刻tにおいてエネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)が長期変動幅閾値Dp_th(t)よりも小さい場合には、直近過去所定期間p(例えば1〜5日間)におけるエネルギー使用量の変動の大きさが、直近過去長期間d(例えば5〜30日間)におけるエネルギー使用量の変動の大きさと比べて小さいということである。したがって、Dp(t)<Dp_th(t)(若しくは、Dp(t)≦Dp_th(t))である場合には、世帯9の居住者の屋内での活動が直近過去所定期間pに亘って沈静化している生活状況であると推定され、延いては、居住者が寝たきりになっていたり屋内で倒れていたりするなどの非常状態にある可能性があると判断される。
そこで、生活状況推定部4dは、世帯9の居住者の屋内での活動が直近過去所定時間pに亘って沈静化しているとの情報(以下、活動沈静化情報)を安否推定部4eに対して出力する。
一方、エネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)が長期変動幅閾値Dp_th(t)以上である場合には、直近過去所定期間p(例えば1〜5日間)におけるエネルギー使用量の変動の大きさが、直近過去長期間d(例えば5〜30日間)におけるエネルギー使用量の変動の大きさと同等以上であるということである。したがって、Dp(t)≧Dp_th(t)(若しくは、Dp(t)>Dp_th(t))である場合には、世帯9の居住者の屋内での活動が継続している生活状況であると推定され、延いては、居住者は健在で非常状態にある可能性はないと判断される。
そこで、生活状況推定部4dは、世帯9の居住者の屋内での活動が継続しているとの情報(以下、活動継続情報)を安否推定部4eに対して出力する。
次に、制御部4Aの安否推定部4eが、S7の処理によって得られる世帯9の居住者の生活状況の推定に基づいて世帯9の居住者の安否を推定する(S8)。
具体的には、安否推定部4eは、S7の処理において活動沈静化情報が出力された場合に、安否確認の対象世帯9の居住者が非常状態であると判定し、表示部4Cに警告メッセージ等の警告情報を表示させ、見守り者又は居住者の家族や担当医師などに対して注意を促す。
安否推定部4eが必要に応じて警告情報を通知部4fに出力し、通知部4fが外部機器5に警告情報を送信するようにしても良いのは、先に挙げた実施形態と同様である。
なお、上述のことから分かるように、エネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)を算出するために用いられるエネルギー使用量合計値Em(t)の範囲としての期間であるp〔時間,日〕の値は、世帯9において非常状態が発生している可能性があると判断されるまでの経過時間に相当する。
また、算出時刻tにおける処理を終了するにあたり、制御部4Aにより、算出時刻tにおけるものとして算出されてメモリに記憶されたエネルギー使用量合計値Em(t),エネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t),エネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t),長期変動幅閾値Dp_th(t)のそれぞれの値が、メモリから読み込まれ、世帯の識別情報と対応づけられて算出時刻tとの組み合わせデータとして、記憶部4B若しくは他の適当な記憶装置・記憶媒体に格納(保存)されている計算値データファイルに記録される。
第二の実施形態によれば、世帯9で計測されたエネルギー使用量E(t)が用いられて長期変動幅閾値Dp_th(t)が世帯9毎に設定されるようにしているので、世帯9毎のエネルギー使用の特性(言い換えると、生活パターン)が反映された長期変動幅閾値Dp_th(t)を自動的に設定することができ、計測データを目視等して閾値を設定するという手間と経験とが必要な作業を行なう必要がなく、例えば多数の世帯を同時に推定の対象にする場合であっても個々の世帯について適切な閾値を迅速に設定することが可能になる。
第二の実施形態によると、また、世帯9のエネルギー使用パターンは季節変化などに応じて変化するものであるところ、長期変動幅閾値Dp_th(t)を自動的に設定することができるので、エネルギー使用パターンの変化を反映させて長期変動幅閾値Dp_th(t)を常時更新し、世帯9毎の生活状況を常に適切に推定することが可能になる。しかも、長期変動幅閾値Dp_th(t)を設定する際に直近の計測データを使用することで当該長期変動幅閾値Dp_th(t)を世帯9の直近のエネルギー使用パターンを反映させた値にすることができるので、世帯9の現状に沿った適切な推定を常に行うことが可能になる。
なお、上述の第二の実施形態ではS6の処理において長期変動幅閾値Dp_th(t)の値が決定される際に複数のエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の値が昇順に並べ替えられた上でXパーセンタイル値が抽出されるようにしているが、これに限られず、複数のエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の値が降順に並べ替えられた上でXパーセンタイル値が抽出されるようにしても良い。なお、この場合には、長期変動幅閾値Dp_th(t)として抽出されるパーセンタイル値を定義づけるX〔%〕の値は10〜50〔%〕程度であることが好ましい。
また、上述の第二の実施形態では一日の生活時間帯の区分が考慮されることなくエネルギー使用量合計値Em(t)並びにエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)及び長期変動幅Dp(t)が算出されると共に長期変動幅閾値Dp_th(t)が決定されて世帯9の居住者の生活状況が推定されるようにしているが、これに限られず、一日の生活時間帯の区分毎に各値が算出・決定されて生活状況が推定されるようにしても良い。具体的には例えば、一日の時間帯が以下の四つの時間帯に区分され、これらの区分毎に上述の各処理が行われるようにしても良い。
第1時間帯T1:午前3時〜午前9時
第2時間帯T2:午前9時〜午後3時
第3時間帯T3:午後3時〜午後9時
第4時間帯T4:午後9時〜翌日の午前3時
すなわち、上記時間帯T1,T2,T3,T4毎に、直近過去短時間s〔分〕におけるエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds_T1(t),Ds_T2(t),Ds_T3(t),Ds_T4(t)が算出される(S4)と共に直近過去所定期間p〔時間,日〕におけるエネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp_T1(t),Dp_T2(t),Dp_T3(t),Dp_T4(t)が算出される(S5)。
その上で、エネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)の値の判断指標である長期変動幅閾値Dp_th(t)が、上記時間帯T1,T2,T3,T4毎に、直近過去長期間d〔日〕の範囲の複数のエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds_T1(t),Ds_T2(t),Ds_T3(t),Ds_T4(t)それぞれの昇順・降順配列におけるパーセンタイル値の適当な範囲として決定される(S6)。具体的には、上記時間帯T1,T2,T3,T4毎に、昇順・降順配列における下位パーセンタイル値と上位パーセンタイル値との組み合わせの範囲として長期変動幅閾値範囲Dp_th_T1l(t)〜Dp_th_T1h(t),Dp_th_T2l(t)〜Dp_th_T2h(t),Dp_th_T3l(t)〜Dp_th_T3h(t),Dp_th_T4l(t)〜Dp_th_T4h(t)の値が決定される。なお、長期変動幅閾値範囲Dp_th_T1l(t)〜Dp_th_T1h(t)等として抽出されるパーセンタイル値を定義づける下限及び上限のパーセントの値の組み合わせは、特定の値の組み合わせに限定されるものではなく、具体的には例えば10%と90%との組み合わせにされることなどが考えられる。すなわち、例えば、エネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds_T1(t)の昇順配列における10パーセンタイル値が長期変動幅閾値範囲の下限値Dp_th_T1l(t)として抽出されると共に90パーセンタイル値が長期変動幅閾値範囲の上限値Dp_th_T1h(t)として抽出される。
そして、上記時間帯T1,T2,T3,T4毎に、エネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp_T1(t),Dp_T2(t),Dp_T3(t),Dp_T4(t)の値と長期変動幅閾値範囲Dp_th_T1l(t)〜Dp_th_T1h(t),Dp_th_T2l(t)〜Dp_th_T2h(t),Dp_th_T3l(t)〜Dp_th_T3h(t),Dp_th_T4l(t)〜Dp_th_T4h(t)とが対比され、長期変動幅Dp_T1(t)等の値が対応する時間帯の長期変動幅閾値範囲Dp_th_T1l(t)〜Dp_th_T1h(t)等に入っている場合には世帯9の居住者の生活パターンに変化はなかったという意味で生活状況が推定され、長期変動幅Dp_T1(t)等の値が対応する時間帯の長期変動幅閾値範囲Dp_th_T1l(t)〜Dp_th_T1h(t)等に入っていない場合には世帯9の居住者の生活パターンに変化があったという意味で生活状況が推定される(S7)。
このように、一日の生活時間帯の区分毎に各値が算出・決定された上で生活状況が推定されるようにすることにより、一日の生活パターンの変化をより一層詳細に捉えることによる生活状況の推定を行うようにすることができ、延いては、生活状況の推定を通しての例えば世帯の見守りをきめ細かく行うことができるようになる。
第二の実施形態における生活状況の推定方法の判定精度を検証するために行った実施例を図4乃至図7を用いて説明する。
本実施例では、11世帯で得られた延べ3,844日分の1分毎の総負荷電流データが用いられた。なお、1分毎の総負荷電流から30分間の平均総負荷電流を求めた上で電圧100V且つ力率1と仮定(十分に許容できると考えられる)して30分間の平均総負荷電流に50を乗じることによって30分間の電力量が求められるが、本実施例では、50を乗じることなく、30分間の平均総負荷電流がそのままエネルギー使用量合計値Em(t)として用いられた(S2及びS3の処理に該当)。
この計測データには、別途行われた聞き取り調査により、居住者が48時間以上連続して不在であったケース(以下、不在ケースと呼ぶ)が18件存在していたと共にその他に48時間以上連続して居住者の屋内での活動が沈静化するような特別な事情・事態はなかったことが予め判明していた。
この不在ケースである18件を確実に検出できることが、本発明を世帯居住者の安否確認の仕組みとして適用した場合の信頼性の確保の観点から重要であり、同時に、在宅にも関わらず長時間不在であると(安全側ではあるものの)推定してしまうことが少ないことが、効率性の観点から重要である。
そこで、本実施例では、48時間に亘って世帯の居住者の屋内での活動が沈静化している生活状況であると推定された場合に警報を発報するものとして、第二の実施形態の生活状況の推定方法の判定精度を評価するようにした。
本実施例では、算出時点から直近過去短時間の範囲における複数のエネルギー使用量合計値Em(t)の値のばらつきの程度を表す指標としてEm(t)の最大値と最小値との差が採用された。具体的には、算出時点から直近の過去短時間s=360分間における複数のエネルギー使用量合計値Em(t)の最大値と最小値との差が算出された(S4)。或る世帯9に関するエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の一例として図4に示す結果が得られた。
そして、算出時点から直近過去所定期間の範囲における複数のエネルギー使用量合計値Em(t)の値のばらつきの程度を表す指標としてもEm(t)の最大値と最小値との差が採用され、算出時点から直近の過去所定期間p=48時間における複数のエネルギー使用量合計値Em(t)の最大値と最小値との差が算出された(S5)。或る世帯9に関するエネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)の一例として図5に示す結果が得られた。なお、図5には、長期変動幅閾値Dp_th(t)の推移も例示している。
次に、算出時点から直近の過去長期間d日間における複数のエネルギー使用量合計値の短期変動幅Ds(t)の値が昇順に並べ替えられ、この昇順配列におけるXパーセンタイル値が抽出された(S6)。或る世帯9に関する長期変動幅閾値Dp_th(t)の決定の一例としてd=28日間、X=90%とした場合の結果を図6に示す。
次に、算出時刻tにおけるエネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)の値と長期変動幅閾値Dp_th(t)の値とが対比された(S7)。そして、処理結果の一例として図7に示すように、或る世帯9において、7月11日にエネルギー使用量合計値の長期変動幅Dp(t)の値が長期変動幅閾値Dp_th(t)の値よりも小さくなり、当該世帯9の居住者の屋内での活動が直近過去48時間に亘って沈静化している生活状況であると推定される結果が得られた。
そして、第二の実施形態の生活状況の推定方法の適用の結果、不在ケース18件全てを居住者の屋内での活動が直近過去48時間に亘って沈静化している生活状況であるとして検出することに成功し、且つ、在宅を不在と推定した回数は7回であった。
この結果から、第二の実施形態の生活状況の推定方法は、不在ケースを確実に検出することができると共に在宅を不在とする誤推定の回数も少なく、実用に耐え得る十分な判定精度を有していることが確認された。