JP2014224473A - 可変動弁機構の弁開閉時期検出装置、及び可変動弁機構の制御装置 - Google Patents

可変動弁機構の弁開閉時期検出装置、及び可変動弁機構の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】カム信号により可変動弁機構の弁開閉時期を検出できない場合でも、他の情報から弁開閉時期を検出することが可能な可変動弁機構の弁開閉時期検出装置、及び可変動弁機構の制御装置を提供する。
【解決手段】エンジン10のクランク軸38に対するカム軸25a,26aの回転位相を変化させることにより、カム軸25a,26aの回転で駆動される吸気弁21及び排気弁22の少なくとも一方の開閉時期を変化させる可変動弁機構の弁開閉時期を検出する可変動弁機構の弁開閉時期装置であって、エンジン10には、気筒内の圧力である筒内圧力を検出する圧力センサ37が設けられており、エンジン10の筒内圧力と弁開閉時期との予め設定された対応関係、及び圧力センサ37により検出された筒内圧力に基づいて、弁開閉時期を検出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関の吸排気弁の開閉時期を可変とする可変動弁機構の弁開閉時期を検出する装置、及び可変動弁機構の制御装置に関する。
クランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させて、カム軸の回転で駆動される吸排気弁の開閉時期を変化させる可変動弁機構が知られている(例えば特許文献1参照)。このような可変動弁機構では、内燃機関の気筒判別後、基準クランク信号とカム信号との時間差を角度換算して吸排気弁の開閉時期を検出し、この開閉時期を制御している。特に、内燃機関の始動時に、弁開閉時期を目標開閉時期に制御するものがある。
特開2003−201870号公報
内燃機関の始動時に、吸排気弁の開閉時期を制御する場合、実際の開閉時期に合わせて始動時噴射量を切り替える必要がある。しかしながら、気筒判別後から燃料噴射の間までに、カム信号による弁開閉時期の検出が間に合わず、弁開閉時期が始動時の目標開閉時期になっているか否か確認できないことがある。また、始動時は内燃機関の回転速度の変動が大きいため、カム信号に基づいて弁開閉時期を正確に検出できないおそれがある。その結果、弁開閉時期が始動時の目標開閉時期になっていないにも関わらず、始動時の目標開閉時期に応じた始動時噴射量に切り替えられ、始動時エミッション及びドライバビリティを悪化させるおそれがある。
本発明は、上記実情に鑑み、カム信号により可変動弁機構の弁開閉時期を検出できない場合でも、他の情報から弁開閉時期を検出することが可能な可変動弁機構の弁開閉時期検出装置、及び可変動弁機構の制御装置を提供することを主たる目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、内燃機関のクランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させることにより、カム軸の回転で駆動される吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉時期を変化させる可変動弁機構の弁開閉時期を検出する可変動弁機構の弁開閉期間検出装置であって、前記内燃機関には、気筒内の圧力である筒内圧力を検出する圧力センサが設けられており、前記内燃機関の筒内圧力と前記弁開閉時期との予め設定された対応関係、及び前記圧力センサにより検出された前記筒内圧力に基づいて、前記弁開閉時期を検出する。
本発明者は、内燃機関の筒内圧力と吸排気弁の開閉時期とには相関関係があることに注目した。そこで、請求項1に記載の発明によれば、予め内燃機関の筒内圧力と吸排気弁の開閉時期との対応関係が設定されている。また、気筒に設けられた圧力センサにより、内燃機関の筒内圧力が検出される。そして、対応関係及び検出された筒内圧力に基づいて吸排気弁の開閉時期が検出される。よって、カム信号により吸排気弁の開閉時期を検出できない場合でも、筒内圧力により吸排気弁の開閉時期を検出することができる。
エンジンのシステム構成図。 クランク信号とカム信号との位相差を示す図。 エンジンの始動時にカム信号によりバルブタイミングを検出する時期を示す図。 筒内圧力と閉弁時期との対応を示す図。 筒内圧力により弁開閉時期を検出する処理手順を示すフローチャート。 エンジンの始動時に、筒内圧力により弁開閉時期を検出する処理手順を示すフローチャート。 エンジンの始動後に、筒内圧力により弁開閉時期を検出する処理手順を示すフローチャート。 機械圧縮比及び筒内圧力により弁開閉時期を検出する処理手順を示すフローチャート。 筒内圧力と機械圧縮比との対応を示す図。 筒内表面積及び筒内圧力により弁開閉時期を検出する処理手順を示すフローチャート。 筒内圧力とシリンダボア径との対応を示す図。 エンジンの回転速度及び筒内圧力により弁開閉時期を検出する処理手順を示すフローチャート。 筒内圧力とエンジンの回転速度との対応を示す図。 温度及び筒内圧力により弁開閉時期を検出する処理手順を示すフローチャート。 筒内圧力と温度との対応を示す図。 吸気圧力及び筒内圧力により弁開閉時期を検出する処理手順を示すフローチャート。 筒内圧力と筒内空気量との対応を示す図。 筒内残留ガス濃度及び筒内圧力により弁開閉時期を検出する処理手順を示すフローチャート。 筒内圧力と筒内残留ガス濃度との対応を示す図。 エンジンの運転状態に応じて、筒内圧力により弁開閉時期を検出する処理手順を示すフローチャート。
以下、可変動弁機構の弁開閉時期検出装置、及び可変動弁機構の制御装置を、直噴式の多気筒4サイクルエンジンに適用した実施形態について説明する。まず、図1を参照して、エンジンシステムの構成について説明する。
エンジン10(内燃機関)は、吸気管11と、吸気管11に接続された燃焼室23と、燃焼室23に接続された排気管24と、燃焼室23に突出するようにして設けられて燃焼室23に燃料を直噴射する燃料噴射弁19とを備える。
吸気管11の最上流部には吸入される空気を濾過するエアクリーナ12が設けられ、エアクリーナ12の下流側には吸入空気量を検出するためのエアフローメータ13が設けられている。エアフローメータ13の下流側には、DCモータ等のアクチュエータによって開度調節されるスロットルバルブ14と、スロットル開度を検出するためのスロットル開度センサ15とが設けられている。スロットルバルブ14の下流側にはサージタンク16が設けられ、サージタンク16には、吸気管11内の圧力すなわち吸気圧力を検出するための吸気管圧力センサ17が設けられている。また、サージタンク16には、エンジン10の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド18が接続されている。
エンジン10の吸気ポート及び排気ポートにはそれぞれ吸気弁21及び排気弁22が設けられており、吸気弁21の開弁動作により空気と燃料との混合気が燃焼室23内に導入され、排気弁22の開弁動作により燃焼後の排気ガスが排気管24に排出される。排気ガスが排出される排気管24には、排気ガス中のCO,HC,NOx等を浄化するための三元触媒等の触媒31が設けられ、この触媒31の上流側には排気ガスを検出対象として混合気の空燃比を検出するための空燃比センサ32が設けられている。また、排気管24において触媒31の上流から分岐して、サージタンク16に接続するEGR配管41が設けられている。排気管24内の排気の一部は、EGRガスとしてEGR配管41を通って吸気管11に還流する。EGR配管41には、EGR配管41の流通路を開閉するEGRバルブ42が設けられている。EGRバルブ42によりEGR配管41の流路面積が調整され、EGRガスの導入量が調整される。
吸気弁21及び排気弁22にはそれぞれ可変動弁機構25,26が設けられている。可変動弁機構25,26は、クランク軸38に対するカム軸25a,26aの回転位相を変化させることにより、カム軸25a,26aの回転で駆動される吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミング(開閉時期)を、エンジン運転状態や運転者の要求等に応じて変化させる。本実施形態では、エンジン10の始動時に可変動弁機構25,26の少なくとも一方を作動状態とする。なお、可変動弁機構25,26はいずれか一方のみでもよい。
エンジン10のシリンダヘッドには、吸気側のカム角センサ27と排気側のカム角センサ28とが取り付けられている。吸気側のカム角センサ27は、吸気弁21のバルブタイミング等を算出するために吸気側のカム角を検出する。排気側のカム角センサ28は、排気弁22のバルブタイミング等を算出するために排気側カム角を検出する。検出されたこれら吸気側及び排気側のカム角から、吸気弁21と排気弁22のバルブオーバーラップ量も算出される。また、カム角センサ27,28は、カム軸25a,26aが1回転(クランク軸38が2回転)する毎に、図2に示すように、パルス状のカム信号を出力する。
また、エンジン10のシリンダヘッドには気筒毎に、燃焼室23内に導入した混合気に着火する点火プラグ29が取り付けられている。さらに、エンジン10のシリンダヘッドには気筒毎に、点火プラグ29の近傍に、気筒内の圧力である筒内圧力を検出する筒内圧力センサ37が設置されている。
エンジン10のシリンダブロックには、エンジン10内を主に循環する冷却水の温度(冷却水温)を検出する冷却水温センサ33や、クランク位置(回転角)及びエンジン10の回転速度を検出するクランク角センサ34が設置されている。クランク角センサ34は、図2に示すように、所定クランク角毎にパルス状のクランク信号を出力する。後述するECU40が、クランク角センサ34から出力される角度信号の単位時間当たりに出力された回数をカウントして、エンジン10の回転速度を算出する。
ECU40(可変動弁機構の弁開閉時期検出装置、可変動弁機構の制御装置)は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバスライン等よりなるマイクロコンピュータとして構成されている。ECU40は、上記各種センサの他、吸入空気の温度(吸気温)を検出する吸気温センサ35や、大気圧力を検出する大気圧センサ36からの検出信号を受信する。ECU40は、各種センサの検出値に基づいて、ROMに記憶された各種プログラムを実行することにより、気筒判別手段及び信号検出手段を含む各種機能を実現する。
EUC40は、吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを検出する。また、ECU40は、検出した吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングが、エンジン10の運転状態に応じた目標バルブタイミング(目標弁開閉時期)と異なる場合に、吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを目標バルブタイミングになるように変化させる。さらに、ECU40は、目標バルブタイミングに応じて、燃料噴射弁19から噴射させる燃料量を変える。
アイドルストップ機能を有する車両や、高圧縮エンジンが搭載された車両では、静かにエンジンを始動させるために、エンジンの始動時にバルブタイミングの制御が行われる。本実施形態では、エンジン10の始動時に、バルブタイミングを検出して、バルブタイミングの制御を行う。
次に、ECU40が、エンジン10の始動時に行う処理について図3を参照しつつ説明する。
ECU40は、エンジン10の始動時にクランキングが開始されると、クランク軸38に取り付けられているシグナルロータ39の欠歯を検出する。シグナルロータ39は、所定クランク角度間隔として30°CA間隔で繰り返される凸部と、その凸部の一部が欠落した欠け歯部を有する。ECU40は、シグナルロータ39の欠歯に基づき、クランク軸38の基準角度位置を検出する。
気筒判別手段は、検出した基準角度位置及びカム角センサ27,28から出力されるカム信号に基づき、燃焼サイクル4行程のうち現時点での行程がいずれであるかを各気筒に対して判別する。
気筒判別手段による気筒判別が完了すると、信号検出手段は、クランク角センサ34から出力されたクランク信号と、カム角センサ27,28から出力されたカム信号とから、クランク軸38に対するカム軸25a,26aの位相を検出する。
ECU40は、カム信号を検出できる場合は、カム信号により吸気弁21及び排気弁22のバルブタタイミングを検出する。しかしながら、気筒判別後から燃料噴射の間までに、カム信号によるバルブタイミングの検出が間に合わず、バルブタイミングが始動時の目標バルブタイミングになっているか否か確認できないまま、燃料噴射が行われることがある。一方で、クランキング開始から始動(初爆)までの期間を短くしたいという要求があり、燃料噴射をバルブタイミング検出後に遅らせることは好ましくない。
本発明者は、気筒内の圧力である筒内圧力の圧縮行程における最大値と、実圧縮比すなわち吸気弁21の閉弁時期とには相関関係があることに着目した。例えば、図4に示すように、圧縮行程における筒内圧力の最大値が2400kPaのときには、閉弁時期は下死点後70°CAになる。そこで、筒内圧力の最大値とバルブタイミング(詳しくは、弁閉時期又は弁開時期)との対応関係を実験等に基づいて予め設定しておき、カム信号を検出できない場合は、予め設定した対応関係、及び筒内圧力センサ37により検出された筒内圧力の最大値に基づいて、バルブタイミングを検出する。以下に、ECU40によりバルブタイミングを検出する各実施例について説明する。
(実施例1)
図5に示すフローチャートを参照して、実施例1において、バルブタイミングを検出する処理手順について説明する。本処理は、ECU40が所定間隔で繰り返し実行する。
まず、S11で、筒内圧力センサ37により圧縮行程における筒内圧力の最大値を検出する。続いて、S12で、予め設定された圧縮行程における筒内圧力の最大値とバルブタイミングとの対応関係、及びS11で検出した圧縮行程における筒内圧力の最大値とに基づいて、バルブタイミングを検出する。
(実施例2)
カム信号によるバルブタイミングの不検出は、エンジン10の始動時に多く起こる。そこで、実施例2では、エンジン10が始動時であることを条件として、筒内圧力によりバルブタイミングを検出する。図6に示すフローチャートを参照して、実施例2において、バルブタイミングを検出する処理手順について説明する。本処理は、ECU40が所定間隔で繰り返し実行する。
まず、S21では、エンジン10の始動時か否かを判定する。始動時でない場合は(NO)、本処理を終了する。始動時の場合は(YES)、S22及びS23において、S11及びS12と同様の処理を行う。
(実施例3)
カム信号によるバルブタイミングの不検出は、カム角センサ27,28とECU40とを接続する信号線の断線時や、基準となるバルブタイミングの学習値がクリアされた場合にも起こる。そこで、実施例3では、エンジン10が始動後であることを条件として、筒内圧力によりバルブタイミングを検出する。図7に示すフローチャートを参照して、実施例3において、バルブタイミングを検出する処理手順について説明する。本処理は、ECU40が所定間隔で繰り返し実行する。
まず、S22では、エンジン10の始動後か否か判定する。始動後でない場合は(NO)、本処理を終了する。始動後の場合は(YES)、S32及びS33において、S11及びS12と同様の処理を行う。
(実施例4)
ピストンシリンダ間の圧縮空気漏れや、放熱等が発生すると、筒内圧力センサ37により検出された筒内圧力と、吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングとが、予め設定された対応関係からずれるおそれがある。そのため、エンジン10の状態に応じて、予め設定した対応関係を補正する必要がある。そこで、以下の実施例4〜実施例9では、エンジン10の状態に応じて、予め設定した対応関係を補正する。
実施例4では、設計により定まる気筒の機械的な圧縮比である機械圧縮比に基づいて、対応関係を補正する。図8に示すフローチャートを参照して、実施例4において、バルブタイミングを検出する処理手順について説明する。本処理は、ECU40が所定間隔で繰り返し実行する。
まず、S41では、S11と同様に、筒内圧力の最大値を検出する。続いて、S42で、機械圧縮比に基づいて、予め設定した筒内圧力の最大値とバルブタイミングとの対応関係を補正する。図9に示すように、機械圧縮比が大きいほど筒内圧力は高くなる。
そこで、予め設定した対応関係において想定していた機械圧縮比よりも実際の機械圧縮比が大きい場合は、所定のバルブタイミングに対する筒内圧力を高くするように対応関係を補正する(図4のグラフを上側にずらす)。一方、予め設定した対応関係において想定した機械圧縮比よりも実際の機械圧縮比が小さい場合は、所定のバルブタイミングに対する筒内圧力を低くするように対応関係を補正する(図4のグラフを下側にずらす)。
続いて、S43で、S41で検出した筒内圧力の最大値と、S42で補正した対応関係とに基づいて、バルブタイミングを検出する。
(実施例5)
実施例5では、シリンダボア径すなわち筒内表面積に基づいて、対応関係を補正する。図10に示すフローチャートを参照して、実施例5において、バルブタイミングを検出する処理手順について説明する。本処理は、ECU40が所定間隔で繰り返し実行する。
まず、S51では、S11と同様に、筒内圧力の最大値を検出する。続いて、S52で、筒内表面積に基づいて、予め設定した筒内圧力の最大値とバルブタイミングとの対応関係を補正する。筒内表面積が大きいほど放熱量が増加し、筒内温度が低下する。筒内温度が低下すると筒内圧力は低下する。それゆえ、図11に示すように、シリンダボア径が大きいほど、すなわち筒内表面積が大きいほど筒内圧力は小さくなる。
そこで、予め設定した対応関係において想定していたシリンダボア径よりも実際のシリンダボア径が大きい場合は、所定のバルブタイミングに対する筒内圧力を低くするように対応関係を補正する。一方、予め設定した対応関係において想定したシリンダボア径よりも実際のシリンダボア径が小さい場合は、所定のバルブタイミングに対する筒内圧力を高くするように対応関係を補正する。
続いて、S53で、S51で検出した筒内圧力の最大値と、S52で補正した対応関係とに基づいて、バルブタイミングを検出する。
(実施例6)
実施例6では、エンジン10の回転速度に基づいて、対応関係を補正する。図12に示すフローチャートを参照して、実施例6において、バルブタイミングを検出する処理手順について説明する。本処理は、ECU40が所定間隔で繰り返し実行する。
まず、S61では、S11と同様に、筒内圧力の最大値を検出する。続いて、S62で、エンジン10の回転速度に基づいて、予め設定した筒内圧力の最大値とバルブタイミングとの対応関係を補正する。エンジン10の回転速度が高いほど、ピストンは速く動くため、シリンダピストン間の空気漏れ量が少なくなる。シリンダピストン間の空気漏れ量が少ないほど、筒内圧力は高くなる。それゆえ、図13に示すように、エンジン10の回転速度が高いほど、筒内圧力は高くなる。
そこで、予め設定した対応関係において想定していたエンジン10の回転速度よりも実際のエンジン10の回転速度が大きい場合は、所定のバルブタイミングに対する筒内圧力を高くするように対応関係を補正する。一方、予め設定した対応関係において想定したエンジン10の回転速度よりも実際のエンジン10の回転速度が小さい場合は、所定のバルブタイミングに対する筒内圧力を低くするように対応関係を補正する。
続いて、S63で、S61で検出した筒内圧力の最大値と、S62で補正した対応関係とに基づいて、バルブタイミングを検出する。
(実施例7)
実施例7では、エンジン10の温度状態に基づいて、対応関係を補正する。詳しくは、吸気温度、外気温度、シリンダ壁面温度、冷却水温、油温等に基づいて、対応関係を補正する。図14に示すフローチャートを参照して、実施例7において、バルブタイミングを検出する処理手順について説明する。本処理は、ECU40が所定間隔で繰り返し実行する。
まず、S71では、S11と同様に、筒内圧力の最大値を検出する。続いて、S72で、エンジン10の温度状態に基づいて、予め設定した筒内圧力の最大値とバルブタイミングとの対応関係を補正する。例えば、吸気温度が高いほど、圧縮端空気の温度が高くなり、筒内圧力が高くなる。また、シリンダ壁面温度が高いほど、放熱量が小さくなり、筒内圧力が高くなる。すなわち、図15に示すように、エンジン10の温度状態が高温になるほど、筒内圧力は高くなる。
そこで、予め設定した対応関係において想定していたエンジン10の温度状態よりも実際のエンジン10の温度状態が高い場合は、所定のバルブタイミングに対する筒内圧力を高くするように対応関係を補正する。一方、予め設定した対応関係において想定したエンジン10の温度状態よりも実際のエンジン10の温度状態が低い場合は、所定のバルブタイミングに対する筒内圧力を低くするように対応関係を補正する。
続いて、S73で、S71で検出した筒内圧力の最大値と、S72で補正した対応関係とに基づいて、バルブタイミングを検出する。
(実施例8)
実施例8では、吸入空気量により変化する吸気圧力、すなわちエンジン10の負荷に基づいて、対応関係を補正する。図16に示すフローチャートを参照して、実施例8において、バルブタイミングを検出する処理手順について説明する。本処理は、ECU40が所定間隔で繰り返し実行する。
まず、S81では、S11と同様に、筒内圧力の最大値を検出する。続いて、S82で、エンジン10の吸気圧力に基づいて、予め設定した筒内圧力の最大値とバルブタイミングとの対応関係を補正する。吸気圧力が高い、すなわちエンジン10の負荷が高く筒内空気量が多いほど、気筒内の空気密度が大きくなる。それゆえ、図17に示すように、筒内空気量が多いほど、筒内圧力が高くなる。
そこで、予め設定した対応関係において想定していたエンジン10の吸気圧力よりも実際のエンジン10の吸気圧力が高い場合は、所定のバルブタイミングに対する筒内圧力を高くするように対応関係を補正する。一方、予め設定した対応関係において想定したエンジン10の吸気圧力よりも実際のエンジン10の吸気圧力が低い場合は、所定のバルブタイミングに対する筒内圧力を低くするように対応関係を補正する。
続いて、S83で、S81で検出した筒内圧力の最大値と、S82で補正した対応関係とに基づいて、バルブタイミングを検出する。
(実施例9)
実施例9では、気筒内の残留ガス濃度、すなわちEGR量に基づいて、対応関係を補正する。図18に示すフローチャートを参照して、実施例9において、バルブタイミングを検出する処理手順について説明する。本処理は、ECU40が所定間隔で繰り返し実行する。
まず、S91では、S11と同様に、筒内圧力の最大値を検出する。続いて、S92で、気筒内の残留ガス濃度、すなわちEGR量に基づいて、予め設定した筒内圧力の最大値とバルブタイミングとの対応関係を補正する。気筒内の混合気は、空気と気化した燃料と残留ガスから成り、残留ガス濃度が高いほど混合気の比熱比は高くなる。図19の式に示すように、比熱比が高くなると、筒内圧力は高くなる。それゆえ、図19に示すように、筒内の残留ガス濃度が高いほど、筒内圧力は高くなる。
そこで、予め設定した対応関係において想定していた気筒内の残留ガス濃度よりも実際の気筒内の残留ガス濃度が高い場合は、所定のバルブタイミングに対する筒内圧力を高くするように対応関係を補正する。一方、予め設定した対応関係において想定した気筒内の残留ガス濃度よりも実際の気筒内の残留ガス濃度が低い場合は、所定のバルブタイミングに対する筒内圧力を低くするように対応関係を補正する。
続いて、S93で、S91で検出した筒内圧力の最大値と、S92で補正した対応関係とに基づいて、バルブタイミングを検出する。
(実施例10)
実施例10では、エンジン10の始動時か否かに応じて、筒内圧力とカム信号のいずれか一方によりバルブタイミングの検出を行う。図20に示すフローチャートを参照して、実施例10において、バルブタイミングを検出する処理手順について説明する。本処理は、ECU40が所定間隔で繰り返し実行する。
まず、S111で、エンジン10の始動時か否か判定する。エンジン10の始動時の場合は(YES)、S112及びS113において、S11及びS12と同様の処理を行い、筒内圧力センサ37により検出される筒内圧力からバルブタイミングを検出する。この場合、実施例4〜9のいずれかのように補正した対応関係に基づいて、バルブタイミングを検出してもよい。
一方、エンジン10の始動時でない場合は(NO)、S114において、カム信号からバルブタイミングを検出する。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
・予め設定された筒内圧力の最大値とバルブタイミングとの対応関係、及び筒内圧力センサ37により検出された筒内圧力に基づいて、吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングが検出される。よって、カム信号により吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを検出できない場合でも、筒内圧力により吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを検出することができる。
・エンジン10の始動時では、カム信号を用いて吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを検出することが困難であるが、筒内圧力センサ37により検出される筒内圧力を用いることにより吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを検出できる。よって、エンジン10の始動時において吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを確認できるため、エンジン10の始動時におけるエミッション及びドライバビリティの悪化を抑制できる。
・エンジン10の始動後であっても、カム信号の信号線が断線した場合や、基準となるバルブタイミングの学習値がクリアされた場合のように、カム信号を用いて吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを検出できない場合がある。そのような場合でも、筒内圧力センサ37により検出される筒内圧力を用いることにより、吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを検出できる。
・設計により定まる気筒の機械的な圧縮比である機械圧縮比が大きいほど、筒内圧力は高くなる。そこで、気筒の機械圧縮比に基づいて、筒内圧力とバルブタイミングとの対応関係を補正することにより、吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングの検出精度を向上させることができる。
・気筒の内表面積が大きいほど放熱量が増加し、筒内温度が低下する。筒内温度が低下すると筒内圧力は低くなる。そこで、気筒の内表面積に基づいて、筒内圧力とバルブタイミングとの対応関係を補正することにより、吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングの検出精度を向上させることができる。
・エンジン10の回転速度が高いほど、ピストンは速く動くため、シリンダピストン間の空気漏れ量が少ない。シリンダピストン間の空気漏れ量が少ないと、筒内圧力は高くなる。そこで、エンジン10の回転速度に基づいて、筒内圧力とバルブタイミングとの対応関係を補正することにより、吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングの検出精度を向上させることができる。
・吸気温度やシリンダ壁面温度等のエンジン10の温度状態が高温になると、筒内圧力は高くなる。そこで、エンジン10の温度状態に基づいて、筒内圧力とバルブタイミングとの対応関係を補正することにより、吸気弁21及び排気弁22の検出精度を向上させることができる。
・吸気圧力が大きいと筒内の空気密度が大きくなり、筒内圧力が大きくなる。そこで、エンジン10の吸気圧力に基づいて、筒内圧力とバルブタイミングとの対応関係を補正することにより、吸気弁21及び排気弁22の検出精度を向上させることができる。
・気筒内の混合気は、空気と気化した燃料と残留ガスすなわちEGRから成り、EGR量が多いほど混合気の比熱比は高くなる。比熱比が高くなると、筒内圧力が高くなる。そこで、気筒内の残留ガス濃度に基づいて、筒内圧力とバルブタイミングとの対応関係を補正することにより、吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングの検出精度を向上させることができる。
・カム信号により吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを検出できないエンジン10の始動時では、筒内圧力センサ37により検出される筒内圧力から吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを検出できる。また、エンジン10の始動時以外では、カム信号により、筒内圧力から検出する場合よりも正確に吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを検出できる。
・筒内圧力に基づいて検出されたバルブタイミングが目標バルブタイミングと異なる場合は、バルブタイミングを目標バルブタイミングとなるように制御することにより、エミッション及びドライバビリティを向上させることができる。
(他の実施形態)
・実施例4〜9を組み合わせて、筒内圧力とバルブタイミングとの対応関係を補正してもよい。実施例4〜9において、それぞれ異なるパラメータについて対応関係を補正しているが、複数のパラメータについて対応関係を補正してもよい。このようにすれば、吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングの検出精度をより向上させることができる。
・実施例5において、シリンダボア径の代わりにシリンダ長に基づいて、対応関係を補正してもよい。あるいは、シリンダボア径とシリンダ長の両方に基づいて、対応関係を補正してもよい。
・実施例4〜9において、対応関係の代わりに筒内圧力センサ37により検出された筒内圧力を補正してもよい。例えば、実施例4では、予め設定した対応関係において想定していた機械圧縮比よりも実際の機械圧縮比が大きい場合は、筒内圧力センサ37により検出された筒内圧力を低くするように補正する。一方、予め設定した対応関係において想定した機械圧縮比よりも実際の機械圧縮比が小さい場合は、筒内圧力センサ37により検出された筒内圧力を高くするように補正する。そして、補正された筒内圧力を図4に示す対応関係に適用する。
・筒内圧力の最大値と実圧縮比との関係である第1対応関係と、実圧縮比とバルブタイミングとの関係である第2対応関係とを、実験等により予め設定しておいてもよい。そして、第1対応関係及び筒内圧力センサ37により検出された筒内圧力に基づいて実圧縮比を算出し、第2対応関係及び算出された実圧縮比に基づいて、吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを検出してもよい。
・実施例4〜9の少なくとも1つのパラメータについて補正された対応関係と、筒内圧力センサ37により検出された筒内圧力と、気筒が判別される前に検出されたカム信号とに基づいて、吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングを検出してもよい。気筒判別前でも、どの気筒に対応しているかは不明であるが、カム信号によりバルブタイミングを検出できる。気筒判別前はエンジン10の回転速度の変動が大きいため、カム信号により検出されるバルブタイミングの精度は低いが、筒内圧力によるバルブタイミングの検出と組み合わせることにより、吸気弁21及び排気弁22のバルブタイミングをより高精度に検出できる。
・筒内圧力の排気行程における最大値と、排気弁22の閉弁時期とにも相関関係がある。それゆえ、筒内圧力の最大値と排気弁22のバルブタイミングとの対応関係を実験等に基づいて予め設定しておき、予め設定した対応関係、及び筒内圧力センサ37により検出された筒内圧力の最大値に基づいて、バルブタイミングを検出するようにしてもよい。
・可変動弁機構の弁開閉時期検出装置、及び可変動弁機構の制御装置を、ポート噴射式のエンジンに適用してもよい。
10…エンジン、21…吸気弁、22…排気弁、25,26…可変動弁機構、25a,26a…カム軸、37…筒内圧力センサ、38…クランク軸、40…ECU。

Claims (11)

  1. 内燃機関(10)のクランク軸(38)に対するカム軸(25a,26a)の回転位相を変化させることにより、カム軸の回転で駆動される吸気弁(21)及び排気弁(22)の少なくとも一方の開閉時期を変化させる可変動弁機構(25,26)の弁開閉時期を検出する装置(40)であって、
    前記内燃機関には、気筒内の圧力である筒内圧力を検出する圧力センサ(37)が設けられており、
    前記内燃機関の筒内圧力と前記弁開閉時期との予め設定された対応関係、及び前記圧力センサにより検出された前記筒内圧力に基づいて、前記弁開閉時期を検出する可変動弁機構の弁開閉時期検出装置。
  2. 前記内燃機関の始動時に、前記弁開閉時期を検出する請求項1に記載の可変動弁機構の弁開閉時期検出装置。
  3. 前記内燃機関の始動後に、前記弁開閉時期を検出する請求項1又は2に記載の可変動弁機構の弁開閉時期検出装置。
  4. 設計により定まる前記気筒の機械的な圧縮比である機械圧縮比に基づいて、前記対応関係を補正し、補正した前記対応関係に基づいて、前記弁開閉時期を検出する請求項1〜3のいずれかに記載の可変動弁機構の弁開閉時期検出装置。
  5. 前記気筒の内表面積に基づいて、前記対応関係を補正し、補正した前記対応関係に基づいて、前記弁開閉時期を検出する請求項1〜4のいずれかに記載の可変動弁機構の弁開閉時期検出装置。
  6. 前記内燃機関の回転速度に基づいて、前記対応関係を補正し、補正した前記対応関係に基づいて、前記弁開閉時期を検出する請求項1〜5のいずれかに記載の可変動弁機構の弁開閉時期検出装置。
  7. 前記内燃機関の温度状態に基づいて、前記対応関係を補正し、補正した前記対応関係に基づいて、前記弁開閉時期を検出する請求項1〜6のいずれかに記載の可変動弁機構の弁開閉時期検出装置。
  8. 前記内燃機関の吸気圧力に基づいて、前記対応関係を補正し、補正した前記対応関係に基づいて、前記弁開閉時期を検出する請求項1〜7のいずれかに記載の可変動弁機構の弁開閉時期検出装置。
  9. 前記内燃機関の気筒内の残留ガス濃度に基づいて、前記対応関係を補正し、補正した前記対応関係に基づいて、前記弁開閉時期を検出する請求項1〜8のいずれかに記載の可変動弁機構の弁開閉時期検出装置。
  10. 前記内燃機関は、前記気筒を判別する気筒判別手段、及び前記内燃機関のクランク軸に対する前記カム軸の位相を示す信号を検出する信号検出手段と、を備え、
    補正した対応関係及び前記圧力センサにより検出された前記筒内圧力と、前記気筒判別手段により前記気筒が判別される前に前記信号検出手段により検出された信号とに基づいて、前記弁開閉時期を検出する請求項4〜9のいずれかに記載の可変動弁機構の弁開閉時期検出装置。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の可変動弁機構の弁開閉時期検出装置により検出された前記弁開閉時期が、前記内燃機関の運転状態に応じた目標弁開閉時期と異なる場合に、前記弁開閉時期を前記目標弁開閉時期になるように変化させる可変動弁機構の制御装置。
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