以下、本発明のコンパレータを適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1のコンパレータ100の回路構成を示す図である。
以下では、Pチャンネル型のトランジスタをMPを含む記号で示し、Nチャンネル型のトランジスタをMNを含む記号で示す。なお、GNDはグランド(Ground)を示す。
実施の形態1のコンパレータ100は、入力端子Vin、基準端子VR1、VR2、及びVR3、出力端子XD0、XD1、XD2、及びXD3、クロック入力端子CK、及び電力端子AVDを含む。
コンパレータ100は、さらに、リセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、及びMPR3、及びスイッチMN0を含む。
コンパレータ100は、さらに、正帰還接続される一対のインバータ11及び12、差動対回路13、及びインバータINV1及びINV2を含む。インバータ11は、トランジスタMPI1及びMNI1を有し、インバータ12は、トランジスタMPI2及びMNI2を有する。また、差動対回路13は、トランジスタMNC2及びMNR2を含む。
ここで、インバータ11及び12、差動対回路13、インバータINV1及びINV2、スイッチMN0、及びリセットスイッチMPR1及びMPR2は、コンパレータ部10を構築する。コンパレータ部10は、第1比較器の一例である。
コンパレータ100は、さらに、正帰還接続される一対のインバータ21及び22、スイッチMN01、MN11、MN03、及びMN13、及び差動対回路23及び24を含む。
インバータ21は、トランジスタMPI0及びMNI0を有する。インバータ22は、トランジスタMPI3及びMNI3を有する。差動対回路23は、トランジスタMNR1及びMNC1を有する。差動対回路24は、トランジスタMNR3及びMNC3を有する。
ここで、インバータ21及び22、スイッチMN01、MN11、MN03、及びMN13、差動対回路23及び24、及びリセットスイッチMPR0及びMPR3は、コンパレータ部20を構築する。コンパレータ部20は、第2比較器の一例である。
入力端子Vinは、差動対回路13のトランジスタMNC2のゲート、差動対回路23のトランジスタMNC1のゲート、及び差動対回路24のトランジスタMNC3のゲートに接続されている。入力端子Vinは、コンパレータ100の入力端子である。
基準端子VR1、VR2、及びVR3は、それぞれ、差動対回路23のトランジスタMNR1のゲート、差動対回路13のトランジスタMNR2のゲート、及び差動対回路24のトランジスタVR3のゲートに接続される。
基準端子VR1、VR2、及びVR3には、それぞれ、基準電圧VR1、VR2、及びVR3が入力される。基準電圧VR1、VR2、及びVR3には、VR1<VR2<VR3の関係がある。
基準電圧VR1、VR2、及びVR3は、コンパレータ100の3つの基準電圧であり、入力電圧Vinの比較基準になる電圧である。基準電圧VR2は第1信号の一例であり、基準電圧VR1は第2信号の一例であり、基準電圧VR3は第3信号の一例である。
出力端子XD0は、インバータ21の出力端子に接続されている。すなわち、出力端子XD0は、インバータ21のトランジスタMPI0のドレインと、トランジスタMNI0のドレインとに接続されている。
また、出力端子XD0は、インバータ22の入力端子に接続されている。すなわち、出力端子XD0は、インバータ22のトランジスタMPI3のゲートと、トランジスタMNI3のゲートとに接続されている。
また、出力端子XD0は、リセットスイッチMPR0のドレインに接続されている。
出力端子XD1は、インバータ11の出力端子に接続されている。すなわち、出力端子XD1は、インバータ11のトランジスタMPI1のドレインと、トランジスタMNI1のドレインとに接続されている。
また、出力端子XD1は、インバータ12の入力端子に接続されている。すなわち、出力端子XD1は、インバータ12のトランジスタMPI2のゲートと、トランジスタMNI2のゲートとに接続されている。
また、出力端子XD1は、リセットスイッチMPR1のドレインと、インバータINV2の入力端子とに接続されている。
出力端子XD2は、インバータ12の出力端子に接続されている。すなわち、出力端子XD2は、インバータ12のトランジスタMPI2のドレインと、トランジスタMNI2のドレインとに接続されている。
また、出力端子XD2は、インバータ11の入力端子に接続されている。すなわち、出力端子XD2は、インバータ11のトランジスタMPI1のゲートと、トランジスタMNI1のゲートとに接続されている。
また、出力端子XD2は、リセットスイッチMPR2のドレインと、インバータINV1の入力端子とに接続されている。
出力端子XD3は、インバータ22の出力端子に接続されている。すなわち、出力端子XD3は、インバータ22のトランジスタMPI3のドレインと、トランジスタMNI3のドレインとに接続されている。
また、出力端子XD3は、インバータ21の入力端子に接続されている。すなわち、出力端子XD3は、インバータ21のトランジスタMPI0のゲートと、トランジスタMNI0のゲートとに接続されている。
また、出力端子XD3は、リセットスイッチMPR3のドレインに接続されている。
ここで、コンパレータ部10の出力端子XD1及びXD2は、一対の第1端子の一例であり、コンパレータ部20の出力端子XD0及びXD3は、一対の第2端子の一例である。
クロック入力端子CKは、スイッチMN0、及びリセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、及びMPR3の各ゲートに接続されている。クロック入力端子CKには、コンパレータ100を動作させるための基準クロックが入力される。
電力端子AVDは、電源からアナログの電力が入力される電力入力端子である。電力端子ANDは、トランジスタMPI0、MPI1、MPI2、及びMPI3と、リセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、及びMPR3との各ソースに接続されている。
リセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、及びMPR3の各ソースは、ソースが電力端子AVDに接続される。リセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、及びMPR3の各ゲートは、クロック入力端子CKに接続される。
リセットスイッチMPR0のドレインは、インバータ21の出力端子と、インバータ22の入力端子と、出力端子XD0とに接続される。
リセットスイッチMPR1のドレインは、出力端子XD1、インバータ11の出力端子、インバータ12の入力端子、及びインバータINV2の入力端子に接続される。
リセットスイッチMPR2のドレインは、出力端子XD2、インバータ12の出力端子、インバータ11の入力端子、及びインバータINV1の入力端子に接続される。
リセットスイッチMPR3のドレインは、インバータ22の出力端子と、インバータ21の入力端子と、出力端子XD3とに接続される。
スイッチMN0は、ゲートがクロック入力端子CKに接続され、ドレインが差動対回路13の共通端子(トランジスタMNC2及びMNR2のソース)に接続され、ソースが接地される。スイッチMN0は、第3スイッチの一例である。
インバータ11及び12は、互いの入力端子と出力端子が接続されることにより、正帰還接続されている。インバータ11及び12は、正帰還接続される一対の第1インバータの一例である。
インバータ11は、トランジスタMPI1及びMNI1を有し、インバータ12は、トランジスタMPI2及びMNI2を有する。
インバータ11のトランジスタMPI1のソースは電力端子AVDに接続され、トランジスタMNI1のソースは、差動対回路13のトランジスタMNC2のドレインに接続される。
インバータ12のトランジスタMPI2のソースは電力端子AVDに接続され、トランジスタMNI2のソースは、差動対回路13のトランジスタMNR2のドレインに接続される。
差動対回路13は、トランジスタMNC2及びMNR2を含む。トランジスタMNC2のゲートは入力端子Vinに接続されており、ソースは、トランジスタMNR2のソースに接続されるとともに、スイッチMN0のドレインに接続されている。トランジスタMNR2のゲートは基準端子VR2に接続されており、ソースは、トランジスタMNC2のソースに接続されるとともに、スイッチMN0のドレインに接続されている。差動対回路13は、第1差動対回路の一例である。
インバータINV1は、入力端子がリセットスイッチMPR2のドレインと、インバータ12の出力端子とに接続され、出力端子がスイッチMN01及びMN11のゲートに接続されている。
インバータINV2は、入力端子がリセットスイッチMPR1のドレインと、インバータ11の出力端子とに接続され、出力端子がスイッチMN03及びMN13のゲートに接続されている。
インバータ21及び22は、互いの入力端子と出力端子が接続されることにより、正帰還接続されている。インバータ21及び22は、帰還接続される一対の第2インバータの一例である。
インバータ21はトランジスタMPI0及びMNI0を有し、インバータ22はトランジスタMPI3及びMNI3を有する。
インバータ21のトランジスタMPI0のソースは電力端子AVDに接続され、トランジスタMNI0のソースは、スイッチMN11及びMN03のドレインに接続される。ここで、トランジスタMNI0のソースと、スイッチMN11及びMN03のドレインとの接続点をノードBD0と称す。
インバータ22のトランジスタMPI3のソースは電力端子AVDに接続され、トランジスタMNI3のソースは、スイッチMN13及びMN01のドレインに接続される。ここで、トランジスタMNI3のソースと、スイッチMN13及びMN01のドレインとの接続点をノードBD3と称す。
スイッチMN01は、ドレインがノードBD3に接続され、ゲートがインバータINV1の出力に接続され、ソースが差動対回路23のトランジスタMNC1のドレインに接続される。
スイッチMN11は、ドレインがノードBD0に接続され、ゲートがインバータINV1の出力に接続され、ソースが差動対回路23のトランジスタMNR1のドレインに接続される。なお、スイッチMN01及びMN11のゲート同士の接続点をノードBTD1と称す。また、スイッチMN01及びMN11は、一対の第1スイッチの一例である。
スイッチMN03は、ドレインがノードBD0に接続され、ゲートがインバータINV2の出力に接続され、ソースが差動対回路24のトランジスタMNC3のドレインに接続される。
スイッチMN13は、ドレインがノードBD3に接続され、ゲートがインバータINV2の出力に接続され、ソースが差動対回路23のトランジスタMNR3のドレインに接続される。なお、スイッチMN03及びMN13のゲート同士の接続点をノードBTD2と称す。また、スイッチMN03及びMN13は、一対の第2スイッチの一例である。
差動対回路23は、トランジスタMNR1及びMNC1を有する。トランジスタMNR1のドレインはスイッチMN11のソースに接続され、ゲートは基準端子VR1に接続され、ソースは接地される。差動対回路23は、第2差動対回路の一例である。
トランジスタMNC1のドレインはスイッチMN01のソースに接続され、ゲートは入力端子Vinに接続され、ソースは接地される。
差動対回路24は、トランジスタMNR3及びMNC3を有する。トランジスタMNR3のドレインはスイッチMN13のソースに接続され、ゲートは基準端子VR3に接続され、ソースは接地される。差動対回路24は、第3差動対回路の一例である。
トランジスタMNC3のドレインはスイッチMN03のソースに接続され、ゲートは入力端子Vinに接続され、ソースは接地される。
なお、ここでは、インバータINV1及びINV2がコンパレータ部10の構成要素に含まれるものとして説明するが、インバータINV1及びINV2はコンパレータ部10に含まれないものとして取り扱ってもよい。
この場合に、インバータINV1及びINV2がコンパレータ部20の構成要素に含まれるものとして取り扱ってもよいし、コンパレータ部10及び20の構成要素に含まれないものとして取り扱ってもよい。
また、差動対回路23とスイッチMN01及びMN11は、第2比較器の一例としてのコンパレータ部20に含まれる第1比較回路の一例である。また、差動対回路24とスイッチMN03及びMN13は、第2比較器の一例としてのコンパレータ部20に含まれる第2比較回路の一例である。
次に、実施の形態1のコンパレータ100の動作について説明する。ここで、基準電圧VR2は第1電圧の一例であり、基準電圧VR1は第2電圧の一例であり、基準電圧VR3は第3電圧の一例である。基準電圧VR1、VR2、VR3には、VR1<VR2<VR3の関係がある。
コンパレータ100は、まず、第1段階として、入力電圧Vinと基準電圧VR2を比較する。この第1段階での比較は、コンパレータ部10で行われる。
次に、コンパレータ100は、第1段階での比較結果に応じて、第2段階での比較を行う。第2段階では、コンパレータ100は、入力電圧Vinが基準電圧VR2よりも低い場合は、入力電圧Vinを基準電圧VR2よりも低い基準電圧VR1と比較し、入力電圧Vinが基準電圧VR2よりも高い場合に、入力電圧Vinを基準電圧VR2よりも高い基準電圧VR3と比較する。
すなわち、コンパレータ100は、入力電圧Vinが基準電圧VR2よりも低い場合は、第2段階では、入力電圧Vinを基準電圧VR2よりも高い基準電圧VR3とは比較せずに、入力電圧Vinを基準電圧VR2よりも低い基準電圧VR1と比較する。
また、コンパレータ100は、入力電圧Vinが基準電圧VR2よりも高い場合は、第2段階では、入力電圧Vinを基準電圧VR2よりも低い基準電圧VR1とは比較せずに、入力電圧Vinを基準電圧VR2よりも高い基準電圧VR3と比較する。
この第2段階での比較は、コンパレータ部20で行われる。
以下、図2乃至図5を用いて、コンパレータ100による比較動作について、より詳しく説明する。
図2乃至図5は、実施の形態1のコンパレータ100の動作を示すタイミングチャートである。図2乃至図5には、クロック入力端子CK、出力端子XD1、XD2、ノードBTD1、BTD2、出力端子XD3、XD0の電圧レベル(H(High)又はL(Low))を示す。
また、以下では、クロック入力端子CKに入力されるクロックをクロックCKと称し、出力端子XD1、XD2、XD3、XD0の電圧を出力電圧XD1、XD2、XD3、XD0と称し、電力端子AVDに入力される電圧を電源電圧AVDと称す。
まず、図1及び図2を用いて、入力電圧Vinと基準電圧VR1、VR2、VR3との間に、Vin<VR1<VR2<VR3が成立する場合におけるコンパレータ100の動作について説明する。
まず、クロックCKがLレベルになることにより、リセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、MPR3がオンにされるとともに、スイッチMN0がオフにされる。
リセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、MPR3がオンにされると、出力電圧XD0、XD1、XD2、XD3は、電源電圧AVDによってプルアップされてHレベルになる(図2の時刻t0参照)。これにより、出力電圧XD0、XD1、XD2、XD3はリセットされ、すべてHレベルになる。
次に、時刻t1でクロックCKが立ち上がると、リセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、MPR3はオフにされ、スイッチMN0がオンにされる。
これにより、電力端子AVDからインバータ11、トランジスタMNC2、及びスイッチMN0を経る電流経路と、電力端子AVDからインバータ12、トランジスタMNR2、及びスイッチMN0を経る電流経路とに貫通電流が流れる。
2つの電流経路に貫通電流が流れることにより、出力電圧XD1とXD2がプルダウンされ、入力電圧Vinと基準電圧VR2の比較が行われる。
ここでは、入力電圧Vinが基準電圧VR2よりも低い(Vin<VR2)ので、トランジスタMNR2のゲート・ソース間電圧(VGS)の方が、トランジスタMNC2のゲート・ソース間電圧(VGS)よりも大きくなる。
このため、トランジスタMNR2のオン抵抗がトランジスタMNC2のオン抵抗よりも低くなり、出力電圧XD2の方が、出力電圧XD1よりも早く低下する。
そして、インバータ11及び12の正帰還がかかることにより、時刻t2で出力電圧XD2はLレベルに変化し、出力電圧XD1はHレベルに保持される。なお、時刻t2の直前で出力電圧HD1が少し低下するのは、両方の電流経路に貫通電流が流れる影響によって生じる現象である。
また、入力電圧Vinと基準電圧VR2の比較が終了すると、トランジスタMNI1とMPI2がオフするため、貫通電流は流れなくなる。
ここで、時刻t2で出力電圧XD2がLレベルになることで、時刻t3でノードBTD1がHレベルになり、スイッチMN01及びMN11がオンになる。これにより、差動対回路23のトランジスタMNC1とMNR1により、入力電圧Vinと基準電圧VR1との比較が行われる。
また、このとき、出力電圧XD1がHレベルに保持されることで、ノードBDT2はLレベルになり、スイッチMN03とMN13はオフになるため、差動対回路24は動作せず、入力電圧Vinと基準電圧VR3との比較は行われない。
なお、時刻t2とt3の差は、インバータINV1による遅時間によるものである。
ここでは、入力電圧Vinよりも基準電圧VR1が大きい(Vin<VR1)ため、トランジスタMNR1のゲート・ソース間電圧(VGS)の方が、トランジスタMNC1のゲート・ソース間電圧(VGS)よりも大きくなる。
このため、トランジスタMNR1のオン抵抗がトランジスタMNC1のオン抵抗よりも低くなり、出力電圧XD0の方が、出力電圧XD3よりも早く低下する。
そして、インバータ21及び22の正帰還がかかることにより、時刻t4で出力電圧XD0はLレベルに変化し、出力電圧XD3はHレベルに保持される。
なお、入力電圧Vinと基準電圧VR1の比較が終了すると、トランジスタMNI3とMPI0がオフするため、貫通電流は流れなくなる。
以上より、入力電圧Vinと基準電圧VR1、VR2、VR3との比較が終了し、出力電圧XD0、XD1、XD2、XD3のレベルは、それぞれ、L、H、L、Hになる。
次に、図1及び図3を用いて、入力電圧Vinと基準電圧VR1、VR2、VR3との間に、VR1<Vin<VR2<VR3が成立する場合におけるコンパレータ100の動作について説明する。
時刻t0から時刻t3までの動作は、図2に示すVin<VR1<VR2<VR3が成立する場合と同様であるため、説明を省略する。
ここでは、基準電圧VR1よりも入力電圧Vinが大きい(VR1<Vin)ため、トランジスタMNC1のゲート・ソース間電圧(VGS)の方が、トランジスタMNR1のゲート・ソース間電圧(VGS)よりも大きくなる。
このため、トランジスタMNC1のオン抵抗がトランジスタMNR1のオン抵抗よりも低くなり、出力電圧XD3の方が、出力電圧XD0よりも早く低下する。
そして、インバータ21及び22の正帰還がかかることにより、時刻t4で出力電圧XD3はLレベルに変化し、出力電圧XD0はHレベルに保持される。
なお、入力電圧Vinと基準電圧VR1の比較が終了すると、トランジスタMNI0とMPI3がオフするため、貫通電流は流れなくなる。
以上より、入力電圧Vinと基準電圧VR1、VR2、VR3との比較が終了し、出力電圧XD0、XD1、XD2、XD3のレベルは、それぞれ、H、H、L、Lになる。
次に、図1及び図4を用いて、入力電圧Vinと基準電圧VR1、VR2、VR3との間に、VR1<VR2<Vin<VR3が成立する場合におけるコンパレータ100の動作について説明する。
まず、クロックCKがLレベルになることにより、リセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、MPR3がオンにされるとともに、スイッチMN0がオフにされる。
リセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、MPR3がオンにされると、出力電圧XD0、XD1、XD2、XD3は、電源電圧AVDによってプルアップされてHレベルになる(図2の時刻t0参照)。これにより、出力電圧XD0、XD1、XD2、XD3はリセットされ、すべてHレベルになる。
次に、時刻t1でクロックCKが立ち上がると、リセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、MPR3はオフにされ、スイッチMN0がオンにされる。
これにより、電力端子AVDからインバータ11、トランジスタMNC2、及びスイッチMN0を経る電流経路と、電力端子AVDからインバータ12、トランジスタMNR2、及びスイッチMN0を経る電流経路とに貫通電流が流れる。
2つの電流経路に貫通電流が流れることにより、出力電圧XD1とXD2がプルダウンされ、入力電圧Vinと基準電圧VR2の比較が行われる。
ここでは、入力電圧Vinが基準電圧VR2よりも高い(VR2<Vin)ので、トランジスタMNC2のゲート・ソース間電圧(VGS)の方が、トランジスタMNR2のゲート・ソース間電圧(VGS)よりも大きくなる。
このため、トランジスタMNC2のオン抵抗がトランジスタMNR2のオン抵抗よりも低くなり、出力電圧XD1の方が、出力電圧XD2よりも早く低下する。
そして、インバータ11及び12の正帰還がかかることにより、時刻t2で出力電圧XD1はLレベルに変化し、出力電圧XD2はHレベルに保持される。なお、時刻t2の直前で出力電圧XD2が少し低下するのは、両方の電流経路に貫通電流が流れる影響によって生じる現象である。
また、入力電圧Vinと基準電圧VR2の比較が終了すると、トランジスタMNI2とMPI1がオフするため、貫通電流は流れなくなる。
ここで、時刻t2で出力電圧XD1がLレベルになることで、時刻t3でノードBTD2がHレベルになり、スイッチMN03及びMN13がオンになる。これにより、差動対回路24のトランジスタMNC3とMNR3により、入力電圧Vinと基準電圧VR3との比較が行われる。
また、このとき、出力電圧XD2がHレベルに保持されることで、ノードBDT1はLレベルになり、スイッチMN01とMN11はオフになるため、差動対回路23は動作せず、入力電圧Vinと基準電圧VR1との比較は行われない。
なお、時刻t2とt3の差は、インバータINV2による遅時間によるものである。
ここでは、入力電圧Vinよりも基準電圧VR3が大きい(Vin<VR3)ため、トランジスタMNR3のゲート・ソース間電圧(VGS)の方が、トランジスタMNC3のゲート・ソース間電圧(VGS)よりも大きくなる。
このため、トランジスタMNR3のオン抵抗がトランジスタMNC3のオン抵抗よりも低くなり、出力電圧XD3の方が、出力電圧XD0よりも早く低下する。
そして、インバータ21及び22の正帰還がかかることにより、時刻t4で出力電圧XD3はLレベルに変化し、出力電圧XD0はHレベルに保持される。
なお、入力電圧Vinと基準電圧VR3の比較が終了すると、トランジスタMNI0とMPI3がオフするため、貫通電流は流れなくなる。
以上より、入力電圧Vinと基準電圧VR1、VR2、VR3との比較が終了し、出力電圧XD0、XD1、XD2、XD3のレベルは、それぞれ、H、L、H、Lになる。
次に、図1及び図5を用いて、入力電圧Vinと基準電圧VR1、VR2、VR3との間に、VR1<VR2<VR3<Vinが成立する場合におけるコンパレータ100の動作について説明する。
時刻t0から時刻t3までの動作は、図4に示すVR1<VR2<Vin<VR3が成立する場合と同様であるため、説明を省略する。
ここでは、基準電圧VR3よりも入力電圧Vinが大きい(VR3<Vin)ため、トランジスタMNC3のゲート・ソース間電圧(VGS)の方が、トランジスタMNR3のゲート・ソース間電圧(VGS)よりも大きくなる。
このため、トランジスタMNC3のオン抵抗がトランジスタMNR3のオン抵抗よりも低くなり、出力電圧XD0の方が、出力電圧XD3よりも早く低下する。
そして、インバータ21及び22の正帰還がかかることにより、時刻t4で出力電圧XD0はLレベルに変化し、出力電圧XD3はHレベルに保持される。
なお、入力電圧Vinと基準電圧VR3の比較が終了すると、トランジスタMNI3とMPI0がオフするため、貫通電流は流れなくなる。
以上より、入力電圧Vinと基準電圧VR1、VR2、VR3との比較が終了し、出力電圧XD0、XD1、XD2、XD3のレベルは、それぞれ、L、L、H、Hになる。
次に、図6を用いて、コンパレータ100の出力端子XD0、XD1、XD2、XD3に、NAND型ラッチ回路とエンコード部を接続する構成について説明する。
図6は、実施の形態1のコンパレータ100を含むコンパレータ回路1000の構成を示す図である。
コンパレータ回路1000は、コンパレータ回路部500とエンコード部50を含む。
コンパレータ回路部500は、コンパレータ100とNAND型ラッチ回路30及び40を含む。
コンパレータ100の出力電圧XD0、XD1、XD2、XD3は、クロックCKがLレベルのときHレベルを出力するので、出力端子XD1及びXD2と、出力端子XD0及びXD3とはそれぞれ"H"、"H"の状態となり、NAND型ラッチ回路30及び40の出力は、それぞれ前の出力状態を保持する。この部分までの素子をコンパレータ部とし、その出力を2bitのデジタルコードにエンコードするエンコード部に分かれる。
ここで、図6では、図1に示すコンパレータ100を簡略化し、入力端子Vin、基準端子VR1、VR2、VR3、クロック入力端子CK、及び出力端子XD0、XD1、XD2、XD3のみを示す。
図6に示すように、コンパレータ回路部500では、コンパレータ100の出力端子XD1及びXD2と、出力端子XD0及びXD3とに、それぞれ、NAND型ラッチ回路30及び40が接続される。
NAND型ラッチ回路30の一対の入力端子は、コンパレータ100の出力端子XD1及びXD2に接続される。また、NAND型ラッチ回路30は一対の出力端子DO1、DO2を有する。NAND型ラッチ回路30は、第1NAND型ラッチ回路の一例である。
NAND型ラッチ回路40の一対の入力端子は、コンパレータ100の出力端子XD0及びXD3に接続される。また、NAND型ラッチ回路30は一対の出力端子DO0、DO3を有する。NAND型ラッチ回路40は、第2NAND型ラッチ回路の一例である。
クロックCKがLレベルになるリセット期間において、コンパレータ100の出力電圧XD0、XD1、XD2、XD3はすべてHレベルにリセットされる。これは、クロックCKの各周期において行われる。
NAND型ラッチ回路30及び40をコンパレータ100の出力側に用いるのは、リセット期間においても、リセットされる前の状態における比較結果を保持するためである。
また、エンコード部50は、入力端子50A、50B、50C、50D、NAND回路51、52、53、及び出力端子D0及びD1を含む。
入力端子50A、50B、50C、50Dは、それぞれ、出力端子DO0、DO1、DO2、DO3に接続される。
NAND回路51の一方(図中上側)の入力端子は入力端子50Cに接続され、他方(図中下側)の入力端子は入力端子50Dに接続される。NAND回路52の一方(図中上側)の入力端子は入力端子50Aに接続され、他方(図中下側)の入力端子は入力端子50Bに接続される。NAND回路51及び52の出力端子は、NAND回路53の一対の入力端子に接続される。
出力端子D0は入力端子50Bに接続され、出力端子D1はNAND回路53の出力端子に接続される。
エンコード部50は、NAND型ラッチ回路30及び40の出力端子DO0、DO1、DO2、DO3から出力される4つの出力を2値にエンコードするために設けられている。
このようなコンパレータ100の出力端子XD0、XD1、XD2、XD3、NAND型ラッチ回路30の出力端子DO1、DO2、NAND型ラッチ回路40の一対の出力端子DO0、DO3、及び出力端子D0及びD1の出力レベルは、図7に示す通りである。
図7は、実施の形態のコンパレータ100、NAND型ラッチ回路30及び40、及びエンコード部50で得られる出力レベルを示す図である。図7では、クロックCKの↑(H)は、Hレベルへの立ち上がりを表す。
ここでは、出力端子XD0、XD1、XD2、XD3、及び出力端子DO0、DO1、DO2、DO3の出力レベルを内部ノード論理として示す。また、出力端子D0、D1の出力レベルを出力論理として示す。
図7に示すように、クロックCKがLレベルになるリセット期間において、出力端子XD0、XD1、XD2、XD3の出力レベルは、すべてHレベルになるが、出力端子DO0、DO1、DO2、DO3の出力レベルは、比較結果を保持している。
また、図7に示すように、出力端子D0及びD1の出力レベルは、入力電圧Vinと基準電圧VR1、VR2、VR3との比較結果を2ビットのデジタルコードで表すことができる。出力端子D0及びD1の出力レベルは、出力端子DO0、DO1、DO2、DO3の出力レベルに基づいて2値にエンコードすることによって得られている。
以上より、実施の形態1のコンパレータ100は、第1段階において入力電圧Vinと基準電圧VR2を比較し、入力電圧Vinが基準電圧VR2よりも低い場合は、第2段階において、入力電圧Vinを基準電圧VR2よりも低い基準電圧VR1と比較する。この場合に、入力電圧Vinと基準電圧VR3との比較は行わない。
また、実施の形態1のコンパレータ100は、第1段階において入力電圧Vinと基準電圧VR2を比較し、入力電圧Vinが基準電圧VR2よりも高い場合は、第2段階において、入力電圧Vinを基準電圧VR2よりも高い基準電圧VR3と比較する。この場合に、入力電圧Vinと基準電圧VR1との比較は行わない。
従って、貫通電流を低減することができ、これにより、消費電力の低減を実現することができる。
換言すれば、第1段階において3つの基準電圧(VR1、VR2、VR3)のうちの中央値(VR2)との比較を行い、第2段階では、第1段階で得られる比較結果により、残りの2つの基準電圧(VR1、VR3)のうちの一方のみと比較を行うことにより、駆動されるトランジスタの数を低減し、消費電力の低減を実現している。
また、3つの基準電圧(VR1、VR2、VR3)と入力電圧Vinとを比較するために3つのコンパレータを用いる場合には、3つのNAND回路を使用するが、実施の形態1のコンパレータ100には2つのNAND型ラッチ回路30及び40を接続すれば足りる。
このため、実施の形態1によれば、NAND型ラッチ回路の数を減らすことができることによっても、消費電力の低減を図ることができる。
ここで、図8乃至図11を用いて、比較用のコンパレータについて説明する。
図8は、比較用のコンパレータ回路90を示す図である。
比較用のコンパレータ回路90は、コンパレータ回路部70とエンコード部80を含む。
コンパレータ回路部70は、3つのコンパレータ71、72、及び73、及び3つのNAND型ラッチ回路74、75、及び76を含む。また、エンコード部80は、NAND回路81、82、及び83を含む。
コンパレータ71、72、及び73には、それぞれ、基準電圧VR1、VR2、及びVR3が入力されており、クロックCKの立ち上がりによって比較動作を行い、入力電圧Vinとの比較結果を表す差動出力を出力する。なお、基準電圧VR1、VR2、及びVR3は、実施の形態1と同様に、VR1<VR2<VR3の関係を有する。
コンパレータ71、72、及び73がそれぞれ差動出力を出力する一対の出力端子は、図8に示すように、NAND型ラッチ回路74、75、及び76に接続されている。
NAND型ラッチ回路74の一方(図中上側)の出力端子は、出力先がなく、他方(図中下側)の出力端子は、エンコード部80のNAND回路81の他方(図中下側)の入力端子に接続されている。
NAND型ラッチ回路75の一方(図中上側)の出力端子は、エンコード部80のNAND回路81の一方(図中上側)の入力端子に接続されており、他方(図中下側)の出力端子は、エンコード部80の出力端子D1とNAND回路82の他方(図中下側)の入力端子とに接続されている。
NAND型ラッチ回路76の一方(図中上側)の出力端子は、出力先がなく、他方(図中下側)の出力端子は、エンコード部80のNAND回路82の一方(図中上側)の入力端子に接続されている。
エンコード部80のNAND回路81の出力端子と、NAND回路82の出力端子とは、それぞれ、NAND回路83の一対の入力端子に接続されており、NAND回路83の出力端子は、エンコード部80の出力端子D0に接続されている。
このような比較用のコンパレータ回路90のコンパレータ回路部70では、コンパレータ71、72、及び73において、それぞれ、入力端子Vinと、基準電圧VR1、VR2、及びVR3とを比較する。コンパレータ71、72、73は、比較結果を表す差動出力を、それぞれ、NAND型ラッチ回路74、75、76に入力する。
そして、エンコード部80は、NAND型ラッチ回路74、75、76の出力に基づいて、入力電圧Vinと、基準電圧VR1、VR2、及びVR3との比較結果を表す2ビットの出力D0、D1を出力端子D0、D1からそれぞれ出力する。
ここで、図9及び図10を用いて、比較用のコンパレータ回路90のコンパレータ回路部70に含まれるコンパレータ71の回路構成について説明する。なお、コンパレータ71、72、及び73は、同様の構成を有するため、ここでは、コンパレータ71について説明する。
図9は、コンパレータ71の回路構成を示す図である。図10は、コンパレータ71を記号で示す図である。
コンパレータ71は、スイッチMN0、インバータ71A及び71B、トランジスタQM1及びQM2、リセットスイッチQRP0、QRP1、入力端子Vin+、基準端子Vin−、電力端子AVD、及び出力端子OP及びOMを含む。
インバータ71A及び71Bは、それぞれ、トランジスタQPI1及びQNI1と、トランジスタQPI2及びQNI2を有する。
インバータ71A、トランジスタQM1、及びスイッチMN0は、電力端子AVDとグランド端子GNDとの間で電流経路を構築する。また、インバータ71B、トランジスタQM2、及びスイッチMN0は、電力端子AVDとグランド端子GNDとの間で電流経路を構築する。
リセットスイッチQRP0は、ソースが電力端子AVDに接続され、ゲートがクロック入力端子CKに接続され、ドレインがインバータ71Aの出力端子、インバータ71Bの入力端子、及び出力端子OPに接続される。
リセットスイッチQRP1は、ソースが電力端子AVDに接続され、ゲートがクロック入力端子CKに接続され、ドレインがインバータ71Aの入力端子、インバータ71Bの出力端子、及び出力端子OMに接続される。
このようなコンパレータ71は、クロックCKがLレベルになると、リセットスイッチQRP0、QRP1がともにオンにされ、出力端子OP、OMの出力がリセットされてHレベルになる。このときスイッチMN0はオフである。
また、クロックCKが立ち上がると、セットスイッチQRP0、QRP1がともにオフにされるとともに、スイッチMN0がオンにされ、入力電圧Vin+と基準電圧Vin−との比較が行われ、出力端子OP及びOMから比較結果を表す差動出力が出力される。
入力電圧Vin+と基準電圧Vin−との比較を行う際には、2つの電流経路に貫通電流が流れることになる。なお、ここでは基準電圧Vin−として示すが、基準電圧としてはVR1、VR2、VR3(図8参照)のうちのいずれか1つが入力されることになる。
このようなコンパレータ71は、図10に示すような記号で表すことができる。図10に示すコンパレータ71は、入力端子Vin+、基準端子Vin−、クロック入力端子CK、及び出力端子OP及びOMを含む。図10に示すコンパレータ71は、図8に示すコンパレータ71、72、及び73を表す記号と同一である。
コンパレータ71は、所謂NMOS(N-channel Metal Oxide Semiconductor)差動型ダイナミックコンパレータである。これは、コンパレータ72及び73も同様である。
次に、図11を用いて、比較用のコンパレータ回路90(図8参照)における、入力端子Vinと、基準電圧VR1、VR2、及びVR3との大小関係と、エンコード部80の出力D0、D1との関係について説明する。
図11は、比較用のコンパレータ回路90の出力を示す図である。
Vin<VR1<VR2<VR3の場合には、クロックCKの立ち上がりに伴って行われる比較動作により、エンコード部80の出力D0、D1は、それぞれ、L、Lとなる。また、VR1<Vin<VR2<VR3の場合には、クロックCKの立ち上がりに伴って行われる比較動作により、エンコード部80の出力D0、D1は、それぞれ、H、Lとなる。
また、VR1<VR2<Vin<VR3の場合には、クロックCKの立ち上がりに伴って行われる比較動作により、エンコード部80の出力D0、D1は、それぞれ、L、Hとなる。また、VR1<VR2<VR3<Vinの場合には、クロックCKの立ち上がりに伴って行われる比較動作により、エンコード部80の出力D0、D1は、それぞれ、H、Hとなる。
このように、エンコード部80の2ビットの出力D0、D1は、入力端子Vinと、基準電圧VR1、VR2、及びVR3との大小関係との関係を表す。
以上のように、比較用のコンパレータ回路90によれば、実施の形態1のコンパレータ回路1000(図6参照)と同様に、入力電圧Vinと、3つの基準電圧VR1、VR2、及びVR3との比較結果を表す2ビットの出力が得られる。
しかしながら、入力電圧Vinと、3つの基準電圧VR1、VR2、及びVR3とを比較するために、比較用のコンパレータ回路90は、図8に示すように、3つのコンパレータ71、72、及び73を有する。
3つのコンパレータ71、72、及び73は、それぞれ、図9に示す回路構成を有するため、それぞれ、入力電圧Vinと、基準電圧VR1、VR2、及びVR3とを比較するために、2つの電流経路を使うことになり、トータルで6つの電流経路を使うことになる。
これに対して、実施の形態1のコンパレータ100は、第1段階でインバータ11及び12をそれぞれ含む2つの電流経路に貫通電流が流れ、第2段階でインバータ21及び22をそれぞれ含む2つの電流経路に貫通電流が流れる。
このため、実施の形態1によれば、貫通電流の電流量を低減することができ、この結果、消費電力を低減したコンパレータ100を提供することができる。
ここで、実施の形態1のコンパレータ100に含まれるコンパレータ部10及び20をそれぞれNMOS差動型ダイナミックコンパレータとして捉えれば、実施の形態1のコンパレータの動作電流は、2つのNMOS差動型ダイナミックコンパレータの動作電流で足りることになる。
これは、コンパレータ部20が、入力電圧Vinと基準電圧VR1との比較、又は、入力電圧Vinと基準電圧VR3との比較を排他的に行うように構築したことで達成できたことである。
比較用のコンパレータ部70は、入力電圧Vinと、3つの基準電圧VR1、VR2、及びVR3(VR1<VR2<VR3)とを比較する際に、Vin<VR2である場合でも、入力電圧Vinと基準電圧VR3との比較を行う。また、VR2<Vinである場合でも、入力電圧Vinと基準電圧VR1との比較を行う。
このため、比較用のコンパレータ部70は、常に3つのコンパレータ71、72、及び73を動作させることになり、このことが消費電力の増大に繋がっていた。3つのコンパレータ71、72、及び73のうちの1つの動作は、比較結果には関係しないものであり、比較用のコンパレータ部70は、冗長な素子と動作を含んでいる。
これに対して、実施の形態1のコンパレータ100による入力電圧Vinと、3つの基準電圧VR1、VR2、及びVR3との比較動作は、2つのコンパレータ部10及び20を動作させるだけで済むため、比較用のコンパレータ部70に比べて、消費電力を低減することができる。
また、比較用のコンパレータ回路部70は、3つのNAND型ラッチ回路74、75、76を有する。
これに対して、実施の形態1のコンパレータ回路部500(図6参照)は、2つのNAND型ラッチ回路30及び40で足りる。これは、コンパレータ100が、入力電圧Vinと3つの基準電圧VR1、VR2、及びVR3との比較を、2つのコンパレータ部10及び20で行い、比較結果を出力端子XD0、XD1、XD2、及びXD3で出力できるからである。
出力端子XD0、XD1、XD2、及びXD3は、出力端子XD1とXD2とで、第1段階の比較結果(VinとVR2の比較結果)を表す出力を差動形式で出力する。また、出力端子XD0とXD3とで、第2段階の比較結果(Vinと、VR1又はVR3のいずれか一方との比較結果)を表す出力を差動形式で出力する。
従って、実施の形態1のコンパレータ回路部500は、比較用のコンパレータ回路部70に比べて、NAND型ラッチ回路の数を低減することにより、消費電力を低減することができる。
ここで、NAND型ラッチ回路30、40、74、75、及び76に、それぞれ、8つのトランジスタが含まれることとして、実施の形態1のコンパレータ回路部500と、比較用のコンパレータ回路部70とに含まれるトランジスタの数を比較する。
実施の形態1のコンパレータ回路部500に含まれるトランジスタの数は、43個である。これは、インバータINV1、INV2にそれぞれ2つのトランジスタが含まれ、コンパレータ100(図1参照)が27個のトランジスタを含むものとして求めた数である。
これに対して、比較用のコンパレータ回路部70は、コンパレータ71、72、及び73がそれぞれ9個のトランジスタを含むため(図9参照)、51個のトランジスタを含むことになる。
従って、実施の形態1のコンパレータ回路部500は、比較用のコンパレータ回路部70に対して、トランジスタの数を約15%削減することができる。
このため、実施の形態1のコンパレータ回路部500は、比較用のコンパレータ回路部70に対して、消費電力を削減することができるとともに、集積回路の面積を削減することができるため、コストダウンを図ることができる。
なお、以上では、実施の形態1のコンパレータ100が所謂NMOS差動型ダイナミックコンパレータとしてのコンパレータ部10及び20を含む形態について説明した。しかしながら、コンパレータ部10及び20は、図12に示すように、PMOS(P-channel Metal Oxide Semiconductor)差動型ダイナミックコンパレータを用いてもよい。
図12は、実施の形態1の変形例のコンパレータ100Aの回路構成を示す図である。
コンパレータ100Aは、入力端子Vin、基準端子VR1、VR2、及びVR3、出力端子XD0、XD1、XD2、及びXD3、クロック入力端子CK、及び電力端子AVDを含む。
コンパレータ100Aは、さらに、リセットスイッチMNR0、MNR1、MNR2、及びMNR3、及びスイッチMP0を含む。
コンパレータ100Aは、さらに、正帰還接続される一対のインバータ11A及び12A、差動対回路13A、及びインバータINV1及びINV2を含む。インバータ11Aは、トランジスタMPI1及びMNI1を有し、インバータ12Aは、トランジスタMPI2及びMNI2を有する。また、差動対回路13Aは、トランジスタMPC2及びMPR2を含む。
ここで、インバータ11A及び12A、差動対回路13A、インバータINV1及びINV2、スイッチMP0、及びリセットスイッチMNR1及びMNR2は、コンパレータ部10Aを構築する。コンパレータ部10Aは、第1比較器の一例である。
コンパレータ100Aは、さらに、正帰還接続される一対のインバータ21A及び22A、スイッチMP01、MP11、MP03、及びMP13、及び差動対回路23A及び24Aを含む。
インバータ21Aは、トランジスタMPI0及びMNI0を有する。インバータ22Aは、トランジスタMPI3及びMNI3を有する。差動対回路23Aは、トランジスタMPR1及びMPC1を有する。差動対回路24Aは、トランジスタMPR3及びMPC3を有する。
ここで、インバータ21A及び22A、スイッチMP01、MP11、MP03、及びMP13、差動対回路23A及び24A、及びリセットスイッチMNR0及びMNR3は、コンパレータ部20Aを構築する。コンパレータ部20Aは、第2比較器の一例である。
図12に示すコンパレータ100Aは、図1に示すコンパレータ100に対して、リセットスイッチMNR0、MNR1、MNR2、及びMNR3、スイッチMP0、差動対回路13A、スイッチMP01、MP11、MP03、及びMP13、差動対回路23A及び24Aのトランジスタのチャネル型を変更したものである。
すなわち、リセットスイッチMNR0、MNR1、MNR2、及びMNR3は、図1に示すコンパレータ100においてPチャンネル型であるものをNチャンネル型に変更してある。
また、スイッチMP0、差動対回路13A、スイッチMP01、MP11、MP03、及びMP13、差動対回路23A及び24Aは、図1に示すコンパレータ100においてNチャンネル型であるものをPチャンネル型に変更してある。
このようにトランジスタのチャネル型を反転させたことにより、図12に示すコンパレータ100Aにおける各構成要素の接続関係は、図1に示すコンパレータ100における各対応する構成要素の接続関係を、電力端子AVDとGNDとの間で反転させたような関係になっている。
また、トランジスタのチャネル型を反転させたことにより、クロックCKがHレベルのときにリセットスイッチMNR0、MNR1、MNR2、及びMNR3によるリセット動作が行われ、クロックCKがLレベルに立ち下がるときに、比較動作が開始される。
ここで、コンパレータ100Aの動作の詳細は、図1に示すコンパレータ100の動作と同様であるため省略するが、図7に対応する内部ノード論理は、図13に示す通りである。
図13は、実施の形態1の変形例のコンパレータ100Aの内部ノード論理XD0、XD1、XD2、XD3を示す図である。
図13に示すように、クロックCKがHレベルになってリセット動作が行われると、出力端子XD0、XD1、XD2、XD3の出力レベルはすべてLレベルになる。
また、比較動作が行われた結果は、図7に示すコンパレータ100と同様の結果になる。
従って、図12に示すコンパレータ100Aにおいても、図1に示すコンパレータ100と同様に、貫通電流を低減することができ、これにより、消費電力の低減を実現することができる。
<実施の形態2>
図14は、実施の形態2のコンパレータ回路2000を示す図である。
実施の形態2のコンパレータ回路2000は、実施の形態1のコンパレータ回路1000(図6参照)に、EOC(End Of Conversion)生成部210を追加したものである。その他の構成は、実施の形態1のコンパレータ回路1000と同様であるため、同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
EOC生成部210は、コンパレータ100における比較動作の終了を示すEOC信号を生成する。
EOC生成部210は、NAND回路211と出力端子212を含む。NAND回路211の一対の入力端子は、コンパレータ100の出力端子XD0とXD3に接続されている。
コンパレータ100は、出力端子XD0及びXD3の出力が確定する段階では、既に出力端子XD1とXD2の出力が確定している。
これは、出力端子XD1とXD2は、コンパレータ部10における第1段階の比較動作(入力電圧Vinと比較電圧VR2との比較動作)の結果を出力し、出力端子XD0及びXD3は、コンパレータ部20における第2段階の比較動作(入力電圧Vinと比較電圧VR1又はVR3との比較動作)の結果を出力するからである。
このため、EOC生成部210で比較動作の終了を表すEOC信号を生成するには、出力端子XD0及びXD3の出力だけを用いればよいことになる。
EOC生成部210の出力端子212から出力されるEOC信号は、Hレベルになる。これは、コンパレータ100がリセットされて出力端子XD0及びXD3の出力レベルがともにHレベルの状態から、比較動作が終了すると出力端子XD0及びXD3の出力レベルのいずれか一方がLレベルに変わるからである(図7参照)。
従って、実施の形態2によれば、1つのNAND回路211を含むEOC生成部210を追加するだけで、EOC信号を得ることができる。EOC生成部210は1つのNAND回路211で構築されるので、4つのトランジスタを用いるだけでEOC信号を生成することができ、消費電力の低減を実現することができる。
ここで、図15を用いて、比較用のコンパレータ回路90Aについて説明する。
図15は、比較用のコンパレータ回路90Aを示す図である。比較用のコンパレータ回路90Aは、図8に示す比較用のコンパレータ回路90に、EOC生成部91を追加したものである。
EOC生成部91は、3つのNAND回路92、93、及び94、AND回路95、及び出力端子96を含む。
NAND回路92の一対の入力端子は、それぞれ、コンパレータ71の一対の出力端子に接続されている。NAND回路92の出力端子は、AND回路95の3つの入力端子のうちの1つに接続されている。
NAND回路93の一対の入力端子は、それぞれ、コンパレータ72の一対の出力端子に接続されている。NAND回路93の出力端子は、AND回路95の3つの入力端子のうちの1つに接続されている。
NAND回路94の一対の入力端子は、それぞれ、コンパレータ73の一対の出力端子に接続されている。NAND回路94の出力端子は、AND回路95の3つの入力端子のうちの1つに接続されている。
AND回路95の3つの入力端子は、NAND回路92、93、94の出力端子に接続されており、出力端子は出力端子96に接続されている。
出力端子96は、EOC信号を生成する。
比較用のコンパレータ回路90Aでは、コンパレータ回路部70のコンパレータ71、72、及び73における比較動作が並列的に行われるため、コンパレータ71、72、及び73の各々の一対の出力は、すべての比較動作が確定するまで決まらない。
このため、図8に示す比較用のコンパレータ回路90においてEOC信号を得るためには、図15に示すように、3つのNAND回路92、93、及び94と、AND回路95を含むEOC生成部91を追加することになる。
EOC生成部91は、3つのNAND回路92、93、及び94と、3入力のAND回路95とを含む。
3つのNAND回路92、93、及び94は、コンパレータ71、72、及び73の各々における比較動作の完了を検知するための回路である。また、ダイナミックコンパレータは差動対の電位差が小さいほど、比較動作が完了するまでの時間が長くかかるため、入力電圧によってどのコンパレータ(71、72、73)が最後に変換を終えるか分からないため、3入力のAND回路95は、NAND回路92、93、及び94の出力が全てHレベルになったことを検出して、HレベルのEOC信号を出力する。
ここで、NAND回路211、92、93、及び94がそれぞれ4つのトランジスタを含み、3入力のAND回路95が6つのトランジスタを含むものとして計算する。
この結果、図14に示すコンパレータ回路2000のEOC生成部210は、図15に示すコンパレータ回路90AのEOC生成部91に比べて、トランジスタの数が14個少ないことになる。
従って、実施の形態2によれば、EOC信号を生成する場合には、さらに消費電力の低減を実現することができる。
<実施の形態3>
実施の形態3のコンパレータ300は、実施の形態1のコンパレータ100(図1参照)に、DTCK(Delay Time ClocK)端子を追加したものである。その他の構成は、実施の形態1のコンパレータ100と同様であるため、同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
図16は、実施の形態3のコンパレータ300を示す図である。
実施の形態3のコンパレータ300は、実施の形態1のコンパレータ100(図1参照)のインバータINV1及びINV2の代わりに、それぞれ、否定論理和回路NOR1及びNOR2を用いるとともに、DTCK端子を追加したものである。
否定論理和回路NOR1の一方(図中上側)の入力端子には、DTCK端子が接続され、他方(図中下側)の入力端子には、インバータ11の入力端子、インバータ12の出力端子、及び出力端子XD2が接続される。否定論理和回路NOR1の出力端子は、スイッチMN01及びMN11のゲート(ノードBTD1)に接続される。否定論理和回路NOR1は、第1NOR回路の一例である。
否定論理和回路NOR2の一方(図中上側)の入力端子には、インバータ11の出力端子、インバータ12の入力端子、及び出力端子XD1が接続され、他方(図中下側)の入力端子には、DTCK端子が接続される。否定論理和回路NOR2の出力端子は、スイッチMN03及びMN13のゲート(ノードBTD2)に接続される。否定論理和回路NOR2は、第2NOR回路の一例である。
DTCK端子には、コンパレータ部10による第1段階の比較動作が終了した後に、コンパレータ部20による第2段階の比較動作を開始する際に、クロックの立ち下がりを入力する。
この結果、対応する否定論理和回路NOR1又はNOR2の出力がHレベルになり、対応するノードBTD1又はBTD2がHレベルになることにより、コンパレータ部20における第2段階の比較動作(入力電圧Vinと比較電圧VR1またはVR3との比較動作)が開始される。
すなわち、実施の形態3では、DTCK端子にクロックの立ち下がりを入力することにより、コンパレータ部20による第2段階の比較動作を開始させることができる。
例えば、コンパレータ300を含むコンパレータ回路が実装されるパッケージ部品の配線等の抵抗成分R、キャパシタ成分C、又はインダクタンス成分L等により、電力端子AVDから入力される電源電位、又は、GND電位にノイズによる電圧変動が生じる(リンギングが起こる)場合がありうる。また、コンパレータ100の内部での比較動作に伴って、キックバック電圧が生じることにより、入力電圧Vinが変動する場合がありうる。
実施の形態3のコンパレータ300は、例えば、SAR(Successive AppRoximation)ADC(Analog to Digital Converter)、パイプラインADC、又はFlash型ADC等に用いることができるため、前述のパッケージ部品としては、例えば、これらのADCに含まれるコンパレータ等のパッケージ回路が挙げられる。
実施の形態3のコンパレータ300は、このような電圧変動が生じる可能性があり、第1段階の比較動作の終了後に電圧変動の収束に比較的長い時間がかかる場合に、第2段階の動作を開始させるまでの時間を遅らせたい場合に有効的である。
このため、DTCK端子に入力するクロックDTCKは、クロック入力端子CKに対して所定の遅延時間だけ遅延したクロックであればよい。
この遅延時間は、クロックDTCKの立ち下がりを、クロックCKの立ち上がりに対して、コンパレータ100の内部での比較動作に伴うキックバック電圧による入力電圧Vinの変動が収束するのに必要な時間だけ遅延させる時間であればよい。なお、この遅延時間は、クロックCKの1周期未満の時間であり、クロックDTCKの生成は、例えば、デジタルディレイライン等を用いて、クロックCKを遅延させることによって行えばよい。
ここで、図17を用いて、実施の形態3のコンパレータ300の動作について説明する。図17に示す動作は、実施の形態1のコンパレータ100の図2に示す動作(Vin<VR1<VR2<VR3が成立する場合の動作)に対応する動作である。
図17は、実施の形態3のコンパレータ300の動作を示すタイミングチャートである。図17には、クロック入力端子CK、出力端子XD1、XD2、DTCK端子、ノードBTD1、BTD2、出力端子XD3、XD0の電圧レベル(H(High)又はL(Low))を示す。
また、以下では、クロック入力端子CKに入力されるクロックをクロックCKと称し、出力端子XD1、XD2、XD3、XD0の電圧を出力電圧XD1、XD2、XD3、XD0と称し、電力端子AVDに入力される電圧を電源電圧AVDと称す。また、DTCK端子に入力されるクロックをクロックDTCKと称す。
なお、以下で説明する時刻t1、t2、t3、t4は、図2乃至5に示す時刻t1、t2、t3、t4とは異なる。
まず、クロックCKがLレベルになることにより、リセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、MPR3がオンにされるとともに、スイッチMN0がオフにされる。
リセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、MPR3がオンにされると、出力電圧XD0、XD1、XD2、XD3は、電源電圧AVDによってプルアップされてHレベルになる(図2の時刻t0参照)。これにより、出力電圧XD0、XD1、XD2、XD3はリセットされ、すべてHレベルになる。
次に、時刻t1でクロックCKが立ち上がると、リセットスイッチMPR0、MPR1、MPR2、MPR3はオフにされ、スイッチMN0がオンにされる。
これにより、電力端子AVDからインバータ11、トランジスタMNC2、及びスイッチMN0を経る電流経路と、電力端子AVDからインバータ12、トランジスタMNR2、及びスイッチMN0を経る電流経路とに貫通電流が流れる。
2つの電流経路に貫通電流が流れることにより、出力電圧XD1とXD2がプルダウンされ、入力電圧Vinと基準電圧VR2の比較が行われる。
ここでは、入力電圧Vinが基準電圧VR2よりも低い(Vin<VR2)ので、トランジスタMNR2のゲート・ソース間電圧(VGS)の方が、トランジスタMNC2のゲート・ソース間電圧(VGS)よりも大きくなる。
このため、トランジスタMNR2のオン抵抗がトランジスタMNC2のオン抵抗よりも低くなり、出力電圧XD2の方が、出力電圧XD1よりも早く低下する。
そして、インバータ11及び12の正帰還がかかることにより、時刻t2で出力電圧XD2はLレベルに変化し、出力電圧XD1はHレベルに保持される。なお、時刻t2の直前で出力電圧HD1が少し低下するのは、両方の電流経路に貫通電流が流れる影響によって生じる現象である。
また、入力電圧Vinと基準電圧VR2の比較が終了すると、トランジスタMNI1とMPI2がオフするため、貫通電流は流れなくなる。これにより第1段階の比較動作が終了する。
ここで、時刻t2で出力電圧XD2がLレベルになることで、否定論理和回路NOR1の他方(図中下側)の入力端子にLレベルの信号が入力されるが、時刻t2ではクロックDTCKはHレベルであるので、否定論理和回路NOR1の出力はLレベルである。
次に時刻t3でクロックDTCKが立ち下がり始めると、時刻t4でノードBTD1のレベルが立ち上がり始め、時刻t5でノードBTD1がHレベルになり、スイッチMN01及びMN11がオンになる。これにより、差動対回路23のトランジスタMNC1とMNR1により、入力電圧Vinと基準電圧VR1との比較が行われる。
また、このとき、出力電圧XD1がHレベルに保持されることで、ノードBDT2はLレベルになり、スイッチMN03とMN13はオフになるため、差動対回路24は動作せず、入力電圧Vinと基準電圧VR3との比較は行われない。
ここでは、入力電圧Vinよりも基準電圧VR1が大きい(Vin<VR1)ため、トランジスタMNR1のゲート・ソース間電圧(VGS)の方が、トランジスタMNC1のゲート・ソース間電圧(VGS)よりも大きくなる。
このため、トランジスタMNR1のオン抵抗がトランジスタMNC1のオン抵抗よりも低くなり、出力電圧XD0の方が、出力電圧XD3よりも早く低下する。
そして、インバータ21及び22の正帰還がかかることにより、時刻t6で出力電圧XD0はLレベルに変化し、出力電圧XD3はHレベルに保持される。
なお、入力電圧Vinと基準電圧VR1の比較が終了すると、トランジスタMNI3とMPI0がオフするため、貫通電流は流れなくなる。
以上より、入力電圧Vinと基準電圧VR1、VR2、VR3との比較が終了し、出力電圧XD0、XD1、XD2、XD3のレベルは、それぞれ、L、H、L、Hになる。
なお、図17には、一例として、実施の形態1のコンパレータ100の図2に示す動作(Vin<VR1<VR2<VR3が成立する場合の動作)に対応する動作を示した。
しかしながら、VR1<Vin<VR2<VR3が成立する場合の動作(図3参照)、VR1<VR2<Vin<VR3が成立する場合の動作(図4参照)、VR1<VR2<VR3<Vinが成立する場合の動作(図5参照)についても同様に、第1段階の比較動作の終了後に、クロックDTCKの立ち下がることによって第2段階の比較動作が開始される。
従って、実施の形態3のコンパレータ300によれば、貫通電流を低減することができ、これにより、消費電力の低減を実現することができる。
実施の形態3のコンパレータ300は、上述のような電圧変動が生じる可能性があり、第1段階の比較動作の終了後に電圧変動の収束に比較的長い時間がかかる場合に、第2段階の動作を開始させるまでの時間を遅らせたい場合に有効的である。
なお、以上の実施の形態1乃至3では、コンパレータ(100、300)、コンパレータ回路部(500)、及びコンパレータ回路(1000、2000)という文言を用いたが、これらの名称は説明の便宜上、区別を行うために用いている。従って、コンパレータ(100、300)、コンパレータ回路部(500)、及びコンパレータ回路(1000、2000)は、すべてコンパレータとして取り扱うことができるものである。
以上、本発明の例示的な実施の形態のコンパレータについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
入力信号と第1信号を比較する第1比較器と、
前記入力信号の電圧値が前記第1信号の電圧値よりも小さい場合に、前記入力信号を前記第1信号の電圧値よりも小さい電圧値を有する第2信号と比較し、前記入力信号の電圧値が前記第1信号の電圧値よりも大きい場合に、前記入力信号を前記第1信号の電圧値よりも大きい電圧値を有する第3信号と比較する第2比較器と
を有する、コンパレータ。
(付記2)
前記第2比較器は、前記入力信号の電圧値が前記第1信号の電圧値よりも小さい場合に、前記入力信号を前記第2信号と比較する第1比較回路と、前記入力信号の電圧値が前記第1信号の電圧値よりも大きい場合に、前記入力信号を前記第3信号と比較する第2比較回路とを有する、付記1記載のコンパレータ。
(付記3)
前記第1比較器は、
前記入力信号と前記第1信号とに基づいてそれぞれ駆動される一対のトランジスタを有する第1差動対回路と、
前記第1差動対回路のそれぞれの出力端子に接続される一対の第1インバータと
を有し、前記一対の第1インバータは、前記入力信号と前記第1信号の比較結果に基づいて相補の出力信号を出力する、付記1又は2記載のコンパレータ。
(付記4)
前記第1比較回路は、
前記入力信号の電圧値が前記第1信号の電圧値よりも小さい場合に、前記一対の第1インバータのうちの一方の出力信号に基づいてオンにされ、前記入力信号の電圧値が前記第1信号の電圧値よりも大きい場合に、前記一対の第1インバータのうちの一方の出力信号に基づいてオフにされる一対の第1スイッチと、
前記一対の第1スイッチにそれぞれ接続され、前記入力信号と前記第2信号とに基づいてそれぞれ駆動される一対のトランジスタを有する第2差動対回路と
を有し、
前記第2比較回路は、
前記入力信号の電圧値が前記第1信号の電圧値よりも大きい場合に、前記一対の第1インバータのうちの他方の出力信号に基づいてオンにされ、前記入力信号の電圧値が前記第1信号の電圧値よりも小さい場合に、前記一対の第1インバータのうちの他方の出力信号に基づいてオフにされる一対の第2スイッチと、
前記一対の第2スイッチにそれぞれ接続され、前記入力信号と前記第3信号とに基づいてそれぞれ駆動される一対のトランジスタを有する第3差動対回路と
を有する、付記3記載のコンパレータ。
(付記5)
前記第2比較器は、前記第1比較回路と前記第2比較回路のそれぞれに接続される一対の第2インバータを有し、
前記第1比較器及び前記第2比較器の動作用のクロックに応じて駆動され、前記一対の第1インバータの一対の出力をそれぞれリセットする一対の第1リセットスイッチと、
前記クロックに応じて前記一対の第1リセットスイッチと同一位相で駆動され、前記一対の第2インバータの一対の出力をそれぞれリセットする一対の第2リセットスイッチと、
前記第1差動対回路の共通端子に接続され、前記クロックに応じて前記一対の第1リセットスイッチ及び前記一対の第2リセットスイッチと逆位相で駆動される第3スイッチと
を有する、付記4記載のコンパレータ。
(付記6)
前記一対の第1インバータの一対の出力をそれぞれ出力する一対の第1端子と、
前記一対の第2インバータの一対の出力をそれぞれ出力する一対の第2端子と
を有し、
前記一対の第1端子及び前記一対の第2端子の出力は、前記入力信号と、前記第1信号、前記第2信号、及び前記第3信号との比較結果を表す、付記5記載のコンパレータ。
(付記7)
前記一対の第1端子に一対の入力端子が接続される第1NAND型ラッチ回路と、
前記一対の第2端子に一対の入力端子が接続される第2NAND型ラッチ回路と
を有する、付記6記載のコンパレータ。
(付記8)
前記一対の第2端子に一対の入力端子が接続され、比較動作の終了を表すEOC信号を出力するNAND回路を有する、付記6又は7記載のコンパレータ。
(付記9)
前記第1比較器及び前記第2比較器の動作用のクロックを遅延させた遅延クロックが入力されるDTCK端子と、
一方の入力端子が前記DTCK端子に接続され、他方の入力端子が前記一対の第1端子の一方に接続され、出力端子が前記一対の第1スイッチに接続される第1NOR回路と、
一方の入力端子が前記DTCK端子に接続され、他方の入力端子が前記一対の第1端子の他方に接続され、出力端子が前記一対の第2スイッチに接続される第2NOR回路と
を有する、付記4乃至8のいずれか一項記載のコンパレータ。