JP2014218722A - 熱処理炉及び熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
ひとつの加熱室と複数の冷却室とを備える熱処理炉を用いて複数の熱処理ラインを構成し、複数の冷却室を用いて複数の冷却処理を並行する場合であっても、コスト性に優れ、熱処理ラインの稼動効率を低下させることのない熱処理炉及び熱処理方法を提供する。
【解決手段】
被処理材を加熱する加熱室10と、加熱された被処理材を冷媒によって冷却する冷却室20、30とを備える熱処理炉であって、複数の冷却室20、30を加熱室10に並列に設けたことを特徴とする熱処理炉。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属に加熱処理と冷却処理を施す熱処理炉及びその熱処理炉を用いて行う熱処理の方法に関する。
従来、産業機械分野で用いられる各種の金属性の部材には、その用途に応じた硬度や粘性や靭性といった特有の性質(以下、特に明示しない限り単に「性質」という。)が求められる。そこで所定の部材になる前の段階である被処理材(以下「ワーク」という。)に所定の熱処理を施し、ワークに所望の性質を具備させることが行われる。この熱処理を施す設備が熱処理炉であり、熱処理炉は、一般に、ワークを加熱する加熱処理を施す加熱室と、加熱されたワークを冷却する冷却処理を施す冷却室とを備えている。
この冷却処理には、熱処理後のワークの性質を大きく左右する要素が複数存在する。この要素の具体例としては、ワークとの間で熱交換してワークを冷却する冷媒の種類や、ワークを冷媒に浸漬する時間である冷却時間や、冷却処理中にワークの温度を降下させる速度である冷却速度がある。よってある性質をワークに具備させるという目的に沿った熱処理ラインを、ある熱処理炉を用いて構成する場合、その熱処理ラインの中で行われる冷却処理は、上記の要素を適宜選択して構成される。また、別の性質をワークに具備させるという目的に沿った熱処理ラインを、同じ熱処理炉を用いて構成する場合、今度の冷却処理は、上記複数の要素を適宜交換又は変更して再構成される。
これらの要素の内、冷却時間や冷却速度は、熱処理炉の操作内容を変更することで比較的容易に変更できるが、冷の変更は、一定の容量を入れ替える作業が生じるため、比較的時間と労力がかかる。ここで冷媒の種類としては、冷媒自体の種類(油、水、ガス、シリコン等)と、冷媒の温度の違いによる種類がある。温度による種類分けの例として、例えば、鋼の焼入用に用いられる油(以下「焼入油」という。)の場合、コールド(60℃前後)、セミホット(100℃前後)、ホット(120〜150℃程度)と、大きく3つの温度域に分けられる。
よってこれら3つの温度域の間で冷媒を交換する場合、加熱室に連続する冷却室が1つのときにはまず冷却槽の中の既存の冷媒(例えばホットの焼入油)を抜く必要がある。そして冷却槽の掃除等を行った上で冷却槽に温度の異なる冷媒(例えばコールドの焼入油)を入れ、さらに新しく入れられた焼入油の中のガスを抜く。このように冷媒の交換作業には、一定の費用や作業時間といった負担が伴う。しかし従来は、産業機械分野において部材が大量生産されていたため、同一条件で熱処理を施すワークの量が多かったから、こうした冷媒の交換作業の頻度は小さかった。
ところが近年の産業構造の変化に伴い、産業機械分野全体において一般的に、部材全体の需要が横ばい或いは低下するとともに多品種かつ少量の部材が要望される傾向がある。そのため熱処理の現場においても、熱処理を施すワークの総量は増加しない一方で、ワークにより多様な性質の具備が要望されており、その結果、熱処理ラインの構成を変更する頻度が増加している。それに伴い従来よりも冷媒の交換頻度が増加し、交換作業に係る負担の大きさが増大しているという問題がある。
こうした問題を解決するため、加熱室と冷却室とを備える熱処理炉を複数用意することで複数の熱処理ラインを構成して、熱処理ラインの頻繁な構成変更に対応するという手段も考えられる。しかしこの手段では、設備投資が大きく嵩むことからコスト性が低い。また加熱室が増加して熱処理炉全体の加熱能力が増加するのに対して、熱処理を施すワークの総量が増加していないため、熱処理ラインの稼動効率が低下する。
一方、加熱室の数は一つとし、この加熱室に対して複数の冷却室を設けて熱処理炉を構成し、ここで複数の熱処理ラインを構成する手段も考えられる。こうした手段に関連した技術を見てみると特許文献1に開示の技術がある。ここには加熱装置の出側テーブルに隣接して、ワークの搬送ラインに沿って第一の冷却槽が設けられ、さらに搬送ラインに沿って第一の冷却槽に隣接した第二の冷却槽が設けられた焼入装置が開示され、冷却槽がそのまま冷却室に相当する。この焼入装置によれば、最初に、ワークを加熱装置で1050℃に加熱し、このワークを、上下動可能なマニュピレータによって加熱装置から引き上げた後、水平移動して第一の冷却槽へ投入し、ここで焼入油に浸漬して一旦所定の温度(例えば900℃)とする。次に、ワークをマニュピレータによって第一の冷却槽から引き上げた後、水平移動して第二の冷却槽へ投入し、ここで別の焼入油に浸漬して前記所定の温度より低い温度(例えば300℃)とし、後続の工程に送るものである。
特開平5−117742号公報
しかし特許文献1の開示技術は、上記のように一つの冷却処理を2段階に分けて行う技術であり、第一の冷却室と第二の冷却室とを並列に使用することを前提としていないため、複数の冷却処理を並行する熱処理においては必ずしも好適ではない。
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、ひとつの加熱室と複数の冷却室とを備える熱処理炉を用いて複数の熱処理ラインを構成し、複数の冷却室を用いて複数の冷却処理を並行する場合であっても、コスト性に優れ、熱処理ラインの稼動効率を低下させることのない熱処理炉及び熱処理方法を提供することを目的とする。
本発明は上記の目的を達成するために、本発明に係る熱処理炉の態様を次のように構成したことを特徴とする。
本発明のある態様は、被処理材を加熱する加熱室と、加熱された被処理材を冷媒によって冷却する冷却室とを備えた熱処理炉であって、複数の冷却室を、加熱室に並列に設けたことを特徴とする。これにより、加熱室と各々の冷却室との間に被処理材を搬送する搬送路を形成する場合に、他の搬送路と干渉することのない搬送路を各々形成できるので、複数の熱処理ラインを容易に構成できる。
また前記熱処理炉において、前記複数の冷却室は、加熱室を挟んで同一直線上に設けられた2つの冷却室としてもよい。これにより、加熱室と2つの冷却室が一直線上に配置され、その間の搬送経路が一本の直線状に構成されるので、加熱室と2つの冷却室との間でワークを容易に搬入及び搬出することができる。
また前記熱処理炉において、前記複数の冷却室の冷媒の温度を各々相互に相違させてもよい。これにより、冷媒の交換作業に係る負担を抑制することができる。
さらに前記熱処理炉において、前記各々の冷却室に対向配置され、被処理材を冷却室側へ移載する各移載装置と、前記各移載装置間を連結するとともに、いずれか一つの移載装置へ選択的に被処理材を搬送する搬送装置とを有してもよい。これにより、加熱室及び冷却室に対して、ワークを効率的に搬入及び搬出することができる。
さらに熱処理方法の態様として、被処理材を加熱する加熱室と、その加熱室に並列に設けるとともに、互いに温度を相違させた冷媒によって被処理材を冷却する2つの冷却室とを備えた熱処理炉を用いて、前記加熱室で加熱された第一の被処理材を、一方の冷却室で冷却する第一の冷却工程と、当該第一の冷却工程を行う間に、第二の被処理材を前記加熱室で加熱する加熱工程と、当該加熱工程で加熱された第二の被処理材を、他方の冷却室で冷却する第二の冷却工程とを有するものにしてもよい。
従って本発明によれば、ひとつの加熱室と複数の冷却室とを備える熱処理炉を用いて複数の熱処理ラインを構成し、複数の冷却室を用いて複数の冷却処理を並行する場合であっても、コスト性に優れ、熱処理ラインの稼動効率を低下させることのない、簡易な構成の熱処理炉及び熱処理方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る浸炭窒化炉の概略平面図である。 図1中のII−II線で示す加熱室の断面図である。 加熱室を一部破断した平面図である。 図2中のIV−IV線で示す一部拡大断面図である。 図1中のV−V線で示す第一の冷却室の断面図である。 上側のチェーンガイドのスライド機構を説明する図である。 第一の回転テーブルの断面図である。 第一の回転テーブル及び第一の移載コンベヤの平面図である。
(炉の全体)
本発明の実施形態に係る熱処理炉は、鋼製のワークの表面に浸炭焼入するとともに窒化処理を施すバッチ型の浸炭窒化炉である。以下、その構成を、図面を参照して説明する。尚、図中に示された浸炭窒化炉を構成する各設備やその設備に配設される装置等の形状や大きさ又は比率は、適宜簡略化及び誇張して示されている。
本実施形態に係る浸炭窒化炉は、図1に示すように、ワークをトレイTに載置したまま中に入れて加熱する加熱室10と、加熱されたワークを冷却する2つの冷却室20、30とを、加熱室10の左右に並列させて備える。また浸炭窒化炉は、2つの冷却室20、30に各々隣接させて2つの回転テーブル40、50を備える。さらに浸炭窒化炉は、2つの回転テーブル40、50に各々連続させて2つの移載コンベヤ60、70を備える。さらに浸炭窒化炉は、各移載コンベヤ60、70の端部どうしを連結するように敷設された軌道88と、当該軌道88上を平行移動(図中矢印参照)するプッシュプルカー80とを備える。
尚、上記した一対の冷却室20、30、一対の回転テーブル40、50並びに一対の移載コンベヤ60、70は、図1に示すように加熱室10の左右に対照的に配置される。よってこれらの各設備に関しては、以下の構成及び動作の説明の中で、左右2つの共通点については一方の構成及び動作のみを説明するとともに相違点についてのみ左右2つを分けて説明する。
(加熱室)
加熱室10は、図2と図3に示すように、その長手方向の両端にトレイTに載せたままのワークWを搬送する搬送口14a、14bが設けられた加熱室本体12を、床面などからなるグランドレベルの上に設けられた支持台B1の上面に載置してなる。図中において単一又は複数のワークWが配置される空間を二点鎖線囲みで示し、以下の説明において単にワークWとして表現する。
加熱室本体12は天井部12aと側壁部12bと底部12cとを有し、全体が耐熱煉瓦等の断熱性素材で形成される。2つの搬送口14a、14bには、その外側でこれらを閉じるための扉15a、15bが各々備えられ、さらにこれらの扉15a、15bを上下動可能に駆動するシリンダL10a、L10bが、加熱室本体12に支持されて各々備えられる。シリンダL10a、L10bによって扉15a、15bが上昇しているときは搬送口14a、14bが開き、加熱室10内部と外部との間でトレイTに載せたままワークWを搬送できる。またシリンダL10a、L10bによって2つの扉15a、15bが下降しているときは、搬送口14a、14bが閉じ、加熱室10内部が密閉される。
加熱室本体12の天井部12aの上面には、複数のラジアントチューブ13cを有する一対の加熱装置13a、13bが、幅方向の左右両側に配設される(図1参照)。これらのラジアントチューブ13cは天井部12aから加熱室10内部に垂下し(図3参照)、密閉された室内のガスを加熱する。さらに加熱された室内のガスを攪拌する攪拌ファン17が、上記一対の加熱装置13a、13bの間に設けられる。
また室内の底部12c中央部に、図3に示すように、トレイTに載せたワークWを搬送する装置であるコンベヤチェーン(後述)を長手方向に移動自在に格納するチェーンガイド16が設けられる。このチェーンガイド16の左右に、トレイTをその上に載置して室内を移動させるスキットレール18が設けられる。この加熱室10のスキットレール18の幅方向における外側端部には、図4に示すように、トレイTの移動中にトレイTの幅方向の外側両端部をガイドするために、やや上方に突出形成されたガイド部18aが設けられる。尚、後述する他の設備にも、チェーンガイド及びスキットレールが設けられるが、特に明示しない限りこれらは基本的に加熱室10のチェーンガイド16及びスキットレール18と同様の機能を有する。
加熱室10にはその他に、ワーク表面を窒化処理するための窒化剤(例えばアンモニア)を添加した浸炭処理用の液体(例えばメタノール)を滴下させる滴注装置(不図示)が配設される。この液体は室内に滴下されると分解されてガスとなり、室内に配置されたワークの表面に炭素及び窒素を浸透拡散させ、ワークの表面を硬化する。
(冷却室)
本発明の実施形態における2つの冷却室20、30は、図1に示すように、加熱室10を挟んで同一直線上に設けられ、そのうち第一の冷却室20は加熱室10の図中左側に設けられる。第一の冷却室20は、図5に示すように、外壁22に囲まれて形成される。その内部下側に第一の冷却槽23と、トレイTを移動させる装置であるコンベヤチェーンC20及びコンベヤチェーンC20を内部に格納する下側のチェーンガイド26bがある。また第一の冷却室20は、上記第一の冷却槽23の中にトレイTごとワークWを浸漬させるためのエレベータ27を備える。
外壁22は、天井部22aと、幅方向の左右の2つの側部22b、22bと、加熱室10側の前端部22dと、加熱室10と反対側の後端部22eとを有する。また外壁22は、下側のチェーンガイド26bを幅方向の左右から挟んで支持する支持部22fを有する。そして前端部22d及び後端部22eには、トレイTに載せたワークWの搬送口24a、24bが各々設けられる。また外壁22の2つの側部22b、22bの内面には、エレベータ27の昇降をガイドするガイドレール27dが設けられている。
2つの搬送口24a、24bには、その外側で搬送口24a、24bを閉じるための扉25a、25bが各々備えられ、さらにこれらの扉25a、25bを上下に駆動するシリンダL20a、L20bが、外壁22の一部に支持されて備えられる。シリンダL20a、L20bによって扉25a、25bが上昇しているときは搬送口24a、24bが開き、第一の冷却室20内部と外部との間でトレイTを移動できる。またシリンダL20a、L20bによって2つの扉25a、25bが下降しているときは、搬送口24a、24bが閉じ、第一の冷却室20内部が密閉される。尚、図1に示すように、互いに隣り合う加熱室10側のシリンダL10aと第一の冷却室20側のシリンダL20bとは連接して設けられ、両室の間で気密性が保たれるように形成される。これはワークに加熱処理を施すにあたって第一の冷却室20から加熱室10にトレイTを搬入する前に、予め第一の冷却室20内を真空とし、雰囲気ガスを窒素に置換するためである。
上記コンベヤチェーンC20は2列のローラを同軸で並列に一体化したダブルローラーチェーン型である。このコンベヤチェーンC20に、第一の冷却槽23の後端部22e側の上縁近傍位置に配置されたスプロケットS20が噛み合う。このスプロケットS20は電動モータ(不図示)に連結されており、コンベヤチェーンC20を進退させる。このとき、スプロケットS20の回転方向の正逆が切り替わると、それに応じてコンベヤチェーンC20の進退の方向が切り替わる。尚、以下の説明ではコンベヤチェーンC20の進退方向を表すにあたり、加熱室10側へ移動する方向を前、反対側を後、と定義する。
またコンベヤチェーンC20の先端には、加熱室10へトレイTを押し出す或いはトレイTを引き戻すために係止具C22が連結される。この係止具C22は、回動機構(不図示)によって上下方向に回動自在なフック部C22aと、鉛直面が形成されたプッシャー面C22bを有する。
ここで、本実施形態の浸炭窒化炉で用いられるトレイTは、図1に示すように、平面視で略矩形の平板状であり、長手方向の一端面に外方へ延伸するように形成された取手T1を有し、その取手T1には上記フック部C22aを係合させるための孔部T2が形成される。よって、回動機構によってフック部C22aを下方へ回動させて水平状態とし、この状態でコンベヤチェーンC20がトレイTに接近すると、フック部C22aが取手T1の先端部T3を乗り越えて孔部T2に係合する。そしてこの状態のままコンベヤチェーンC20が後退すれば、トレイTを引き戻して後退させる。一方、フック部C22aを上方へ回動させて下側のチェーンガイド26bから起立した姿勢とすると、この状態でコンベヤチェーンC20がトレイTに接近しても、フック部C22aが取手T1の孔部T3に係合せず、係止具C22のプッシャー面C22bが取手T1の先端部T3を押すことによってトレイTを押し出して前進させる。
下側のチェーンガイド26bは、第一の冷却槽23の左側方と下方と右側方とに亘る一体の凹状部26 eと、加熱室側の搬送口24bの前後に設けられる2つの平坦部26f、26gとを有する。凹状部26eは、上記スプロケットS20が配置された位置では、外壁22の2つの側部22b、22bの間に張り渡された支持部22f、22fによって左右から挟まれて支持されている(図6参照)。そして凹状部26eは、この位置からスプロケットS20の円周の一部に沿って屈曲形成され、さらに鉛直下方に延伸されグランドレベルに至る。そこから第一の冷却槽23側に水平に屈曲形成され、第一の冷却槽23の下部に形成されたトンネル部23aに挿通された後、外壁22の前端部22dの内面に至る。そこから前端部22dの内面に沿って鉛直上方に屈曲形成され、第一の冷却槽23の上縁と略等しい高さ位置まで前端部22d内面に沿って立ち上げて配置される。2つの平坦部26f、26gの幅方向の左右にはスキットレール28が各々配置される。コンベヤチェーンC20は、トレイTを移動させない間は、この下側のチェーンガイド26bの凹状部26e内部に格納されており、係止具C22を連結した先端はスプロケットS20の位置に停止している。
さらに第一の冷却室20は、図5と図6に示すように、上記スプロケットS20の上方で支持部22f上に、第一の回転テーブル40のコンベヤチェーン(後述)がその内部を移動する上側のチェーンガイド26aを備える。そして、図6に示すように、上側のチェーンガイド26aは、ロッドRを介してシリンダL27cに連結されて、水平方向にスライド可能とされている。またこのチェーンガイド26aの左右に配置されたスキットレール28の一方には、上記ロッドRが貫通できるように孔部Hが形成される。図6中の一点鎖線位置で示すように、上側のチェーンガイド26aの下面と下側のチェーンガイド26bの上面とが重なった状態のままでは、第一の冷却室20のコンベヤチェーンC20の先端に連結された係止具C22が上側のチェーンガイド26aと干渉するため、コンベヤチェーンC20が前進できない。このため、図6中の実線位置で示すように、シリンダL27cを駆動させ上側のチェーンガイド26aを側方にスライドさせて、前記干渉を回避させる。
エレベータ27は上側の天板部27aと、下側の底板部27bと、これら2つの部材を幅方向の左右で一体的に結合する2つの側板部27c、27cとを有する。また前記2つの部材の長手方向の左右の位置には、トレイTが通過できるように何も配設されていない。さらにエレベータ27は、2つの側板部27c、27cに連結され、前記結合された複数の部材を昇降自在に駆動する2つのシリンダ27e、27eを、外壁22の2つの側部22b、22cの上面に各々備える。
エレベータ27の天板部27a及び底板部27bの各上面には、コンベヤチェーンC20の搬送路となるチェーンガイド26c及びスキットレール28cが載置される。よってエレベータ27を上昇又は下降させ、天板部27a及び底板部27bいずれかの載置面の高さを、下側のチェーンガイド26bの載置面及び加熱室10のチェーンガイド16(図2参照)の載置面の高さ(図5中「下側の載置面」で示す)と揃えることができる。この場合、第一の冷却室20が備える下側のチェーンガイド26bと加熱室10のチェーンガイドとが同じ高さで一連の搬送路を形成し、この搬送路を用いて第一の冷却室20のコンベヤチェーンC20を進退させてトレイTを搬送できる。一方、上記いずれかの載置面の高さを、上側のチェーンガイド26aの載置面の高さと揃えた場合、第一の冷却室20の上側のチェーンガイド26bと第一の回転テーブル40のチェーンガイド(後述)とが同じ高さ(図5中「上側の載置面」で示す)で一連の搬送路を形成する。
尚、第一の冷却室20に備えられるコンベヤチェーンC20の長さは、その先端が加熱室10を通過して反対側の第二の冷却室30のエレベータ位置までトレイTを押し出すことが可能な長さとされる。また下側のチェーンガイド26bの長さも、このコンベヤチェーンの長さに対応して構成される。
第一の冷却室20にはその他に、熱処理において慣用されるように室内を真空とするための真空ポンプ(不図示)と、室内の雰囲気ガスを窒素に置換する窒素ガス供給装置(不図示)とが連結される。
尚、第二の冷却室30内の第二の冷却槽にも焼入油が蓄えられているが、その温度は、例えば第一の冷却槽23の焼入油をホットとすれば、第二の冷却槽の焼入油をコールドとする。このように2つの冷却室20、30の冷媒の温度を各々相互に相違させる。
(回転テーブル、移載コンベヤ)
本実施形態における2つの回転テーブル40、50は、図1に示すように、2つの冷却室20、30の両端部に個別に近接配置され、そのうち第一の回転テーブル40は第一の冷却室20の、加熱室10と反対側の端部寄り位置に設けられる。第一の回転テーブル40は、図7に示すように、その上部にトレイTを載置する回転テーブル本体42と、コンベヤチェーンC40を備える。また、そのコンベヤチェーンC40の搬送路であるチェーンガイド46aと、コンベヤチェーンC40を内部に格納するチェーンガイド46bとを有するチェーンガイド46を備える。回転テーブル本体42とコンベヤチェーンC40とコンベヤチェーンC40は、グランドレベルの上に設けられた支持台B40の上に載置される。
回転テーブル本体42は、第一の冷却室20側の端部寄りに配設され、下側の固定部42aと、その固定部42aと軸42bで連結され固定部42aの上側に載置される回転部42cと、回転部42cの上に固着されるテーブル42dとを備える。回転部42cとテーブル42dは、水平方向に360度回転することができる。テーブル42dには、トレイTをその上に載置して回転することでトレイTを移動させるためのローラコンベヤをなす複数の搬送ローラ47と、チェーンガイド46aが設けられる。このチェーンガイド46aの高さは第一の冷却室20の上側のチェーンガイド26a(図5参照)と同じ高さとされる。
またコンベヤチェーンC40とチェーンガイド46bは、第一の冷却室20と反対側の端部寄りに配設される。またそのコンベヤチェーンC40にスプロケットS40を介して駆動力を伝達する電動モータ(不図示)と、コンベヤチェーンC40の先端に連結された係止具C42と、その係止具C42を回動させる回動機構(不図示)とを備える。これらの装置の機能は、上記した第一の冷却室20のものと同等である。
軸42bを中心にして、回転テーブル本体42の回転部42cとテーブル42dが回転して、テーブル42dのチェーンガイド46aの向きが変わる。この向きが、第一の冷却室20の上側のチェーンガイド26aと同じ向き(図7中の水平方向)のとき、第一の回転テーブル40が備えるチェーンガイド46、46aが、第一の冷却室20のチェーンガイド26aと同じ高さで一連の搬送路を構成する。この搬送路を用いて第一の回転テーブル40の前記電動モータによりコンベヤチェーンC40を前進させることができる。またテーブル42dのチェーンガイド46aの向きが、第一の冷却室20の上側のチェーンガイド26aと直交する向き(図7中の上下方向)のとき、テーブル42dのチェーンガイド46aと第一の移載コンベヤ60のチェーンガイド(後述)とが同じ高さで一連の搬送路を構成する。
本実施形態における2つの移載コンベヤ60、70は、図1に示すように、2つの回転テーブル40、50の端部に近接配置され、そのうち第一の移載コンベヤ60は、第一の回転テーブル40の軌道88側の端部寄り位置に設けられる。第一の移載コンベヤ60は、加熱室10、一対の冷却室20、30並びに一対の回転テーブル40、50と同じグランドレベルの上に設けられ、その上面が略平板状とされた台型設備である。その上面に、第一の回転テーブルのチェーンガイド46、46aと同じ高さのチェーンガイド66と、トレイTを移動させるためのローラコンベヤをなす複数の搬送ローラ67を有する。
尚、上記したように、第一の回転テーブル40は第一の冷却室20に対向配置されるとともに、第一の移載コンベヤ60はワークを第一の回転テーブル40へ移載することで第一の冷却室20側へ移載する。このように第一の回転テーブル40と第一の移載コンベヤ60とが、本発明の移載装置に相当する。
(軌道、プッシュプルカー)
本実施形態における軌道88は、図1に示すように、2つの移載コンベヤ60、70の回転テーブル40、50と反対側の端部に近接配置され、その軌道88上を平行移動するプッシュプルカー80を備える。よってプッシュプルカー80は、左右2つの移載コンベヤ60、70のうち、任意の移載コンベヤを選択して、選択した移載コンベヤに近接することができる。
プッシュプルカー80は、その上面に、図1に示すように、トレイTを移動させるためのローラコンベヤをなす複数の搬送ローラ(不図示)と、第一の移載コンベヤ60のチェーンガイド66と同じ高さのチェーンガイド86とを有する。そして、コンベヤチェーン(不図示)と、そのコンベヤチェーンにスプロケット(不図示)を介して駆動力を伝達する電動モータ(不図示)が設けられる。またコンベヤチェーンの先端に連結された係止具(不図示)と、その係止具を回動させる回動機構(不図示)を備える。これらの装置の機能は(第一の冷却室20)や(第一の回転テーブル)中で説明した同名の装置と同等である。
上記したように、プッシュプルカー80と軌道88は2つの移載コンベヤ60、70の間を連結するとともに、いずれか一つの移載コンベヤへ選択的にワークを載置したトレイTを移動させる。このようにプッシュプルカー80と軌道88とが、本発明の搬送装置に相当する。
(動作)
次に、本実施形態に係る熱処理炉を動作と、これにより行われる異なる2つの熱処理ラインを並行する熱処理方法とを、図面を参照して説明する。2つの熱処理ラインは、ともにワークに加熱処理とその後の冷却処理を施して焼入する点で共通するが、冷却処理に用いる冷媒の焼入油の温度が、第一の冷却槽は上記したホットとし、第二の冷却槽は上記したコールドとする点で相違する。上記のホットとした第一の冷却槽を用いるのが第一の熱処理ラインであり、コールドとした第二の冷却槽を用いるのが第二の熱処理ラインである。
(第一の熱処理ライン)
まず、図2を参照し、加熱室10の2つの扉15a、15bを各々のシリンダL10a、L10bによって下降させて加熱室10内を密閉し、加熱装置13及び攪拌ファン17によって加熱室10内を所定のオーステナイト化温度、例えば950℃とする。以下、第一の熱処理ラインの加熱処理を説明する。
(加熱室への搬入)
次に、複数のワークWをトレイTに載置し、そのトレイTをプッシュプルカー80に載せ、プッシュプルカー80を軌道88上で平行移動させて第一の移載コンベヤ60の端部に近接して停止させる(図1参照)。
続けて、第一の回転テーブル40のテーブル42dを回転させて、チェーンガイド46aの向きを第一の移載コンベヤ60のチェーンガイド66の向き(図8中上下方向)に揃える。このとき、プッシュプルカー80のチェーンガイド86と、第一の移載コンベヤ60のチェーンガイド66と、第一の回転テーブルにおけるテーブル42dのチェーンガイド46aとが同じ高さで同一直線上に並び、これらが一連の搬送路を構成する。
次に、プッシュプルカー80のコンベヤチェーンの先端の係止具において、回動装置によりフック部を起立させる。そして電動モータによりコンベヤチェーンを駆動させて前進させ、係止具のプッシャー面をトレイTの取手T1の先端部T3に当接させる。さらにコンベヤチェーンを前進させてトレイTを押し出す。トレイTは前記一連の搬送路を通り、プッシュプルカー80の搬送ローラ上から第一の移載コンベヤ60の搬送ローラ67上へ、さらに第一の回転テーブル40の搬送ローラ47上へと移動する。
このようにトレイTを第一の回転テーブル40上の所定位置に到達させた後、プッシュプルカー80のコンベヤチェーンを後退させて、プッシュプルカー80のチェーンガイド86内部へ収納する。その後、回転テーブル本体42を時計回りに90度回転させ、テーブル42dのチェーンガイド46aの向きを第一の冷却室20の上側のチェーンガイド26aの向きに揃える。このように時計回りに90度回転させることで、トレイTの取手が第一の回転テーブル40の係止具C42と係合可能となる(図7参照)。
さらに第一の冷却室20内のエレベータ27を、その天板部27a又は底板部27bの一方のチェーンガイドの高さが、上側のチェーンガイド26aの高さと同じ高さ位置になるまで移動させる。このとき、第一の回転テーブル40が備えるチェーンガイド46a、46bと、第一の冷却室20の上側のチェーンガイド26aと、エレベータ27の天板部27a又は底板部27bの一方のチェーンガイドとが同じ高さ(図5中「上側の高さ」で示す位置)で同一直線上に並び、これらが一連の搬送路を構成する。
次に、第一の回転テーブル40のコンベヤチェーンC40の先端の係止具C42において、回動装置によりフック部C42aを起立させる。そして駆動装置によりコンベヤチェーンC40を駆動させて前進させ、係止具C42のプッシャー面C42bを、第一の回転テーブル40上に載置されたトレイTの取手T1の先端部T3に当接させる。そして第一の冷却室20の後端部22e側の扉25aをシリンダL20aによって上昇させる。その後、第一の回転テーブル40の駆動装置によりコンベヤチェーンC40をさらに駆動させて前進させ、トレイTを押し出す。トレイTは前記一連の搬送路を通り、第一の回転テーブル40の搬送ローラ47上から第一の冷却室20のエレベータ27の天板部27a又は底板部27bの一方のスキットレール28上へ移動する。
このようにトレイTを第一の冷却室20のエレベータ27の所定位置に到達させ、第一の回転テーブル40のコンベヤチェーンC40を後退させて、第一の回転テーブル40のチェーンガイド46へ収納する。
次に第一の冷却室20内のエレベータ27を下降させ、トレイTを載置した天板部27a又は底板部27bの一方のチェーンガイドの高さが、加熱室10のチェーンガイド16の高さと同じ高さ位置になるまで移動させる。このとき、第一の冷却室20の下側のチェーンガイド26bと、トレイTを載置したエレベータ27上のチェーンガイドと、加熱室10のチェーンガイド16とが同じ高さ(図5中「下側の高さ」で示す位置)で同一直線上に並び、これらが一連の搬送路を構成する。
また、第一の冷却室20の後端部22e側の扉25aをシリンダL20aによって下降させ、第一の冷却室20を密閉する。その後、真空ポンプによって第一の冷却室20内の空気を真空に置換し、さらに窒素供給装置から窒素ガスを室内に供給して窒素を充填する。
その後、加熱室10の第一の冷却室20側の扉15aをシリンダL10aによって上昇させ、加熱室10を開口する。
次に、第一の冷却室20の上側のチェーンガイドをシリンダL27cによって、シリンダL27c側へ水平方向にスライドさせる。
次に、第一の冷却室20のコンベヤチェーンC20の先端の係止具C22において、回動装置によりフック部C22aを起立させる。そして駆動装置によりコンベヤチェーンC20を駆動させて前進させ、係止具C22のプッシャー面C22bをトレイTの取手T1の先端部T3に当接させる。そしてコンベヤチェーンC20を駆動させてトレイTを押し出す。トレイTは前記一連の搬送路を通り、第一の冷却室20のエレベータ27上のスキットレール上から、第一の冷却室20内側の平坦部26fの左右位置のスキットレール28へ移動する。さらに続けて加熱室10側の平坦部26gの左右位置のスキットレール28へ、そして最後に加熱室10のスキットレール18上へと移動する。
このようにトレイTを加熱室10内の所定位置に到達させた後、第一の冷却室20の電動モータによりコンベヤチェーンC20を後退させて、第一の冷却室20の下側のチェーンガイド26bの凹状部26e内部へ収納する。そして加熱室10の第一の冷却室20側の扉15aをシリンダL10aによって下降させて搬送口14aを閉じ加熱室10を密閉する。その後、トレイTを所定時間加熱室10内に留め置き、ワークを950℃に加熱する(第一の加熱処理)。
(第一の冷却処理)
次に、第一の加熱処理によって加熱されたワークの冷却処理を説明する。
まず、第一の冷却室20内のエレベータ27を上昇させて、その底板部27bのチェーンガイド26dの高さを、加熱室10のチェーンガイド16の高さと同じ高さ位置に揃える。このとき、第一の冷却室20の下側のチェーンガイド26bの2つの平坦部26f、26gと、エレベータ27の底板部27bのチェーンガイド26dと、加熱室10のチェーンガイド16とが同じ高さで同一直線上に並び、これらが一連の搬送路を構成する。
次に、第一の冷却室20の回動装置によって、コンベヤチェーンC20の先端の係止具C22を下方へ回動させて、フック部C22aを水平状態とする。そして、加熱室10の第一の冷却室20側の扉15aをシリンダL10aによって上昇させて搬送口14aを開くとともに、第一の冷却室20の駆動装置を駆動させ、先端の係止部C22を水平状態としたままコンベヤチェーンC20を前進させる。コンベヤチェーンC20が前記一連の搬送路を通って前進し、その先端のフック部C22aがトレイTの取手T1に当接する。さらにその状態のままコンベヤチェーンC20を前進させると、フック部C22aが取手T1の端部T3を乗り越えて孔部T2に係合する。その後、第一の冷却室20の駆動装置を逆回転で駆動させてコンベヤチェーンC20を後退させ、トレイTを加熱室10から第一の冷却室20へ引き戻す。
そして、加熱室10の第一の冷却室20側の扉15aをシリンダL10aによって下降させ搬送口14aを閉じ加熱室10を密閉する。
トレイTを第一の冷却室20のエレベータ27の底板部27bのスキットレール28d上の所定位置に到達させた後、エレベータ27を下降させ、トレイTごとワークを第一の冷却槽23の焼入油の中に投入する。その後、この中にワークを所定時間浸漬させ、ワークに焼きを入れる。このようにワークを焼入油へ浸漬する工程が、本発明の第一の冷却工程に相当する。
その後、第一の冷却室20のエレベータ27を上昇させ、ワークを第一の冷却槽23の焼入油の中から引き上げ油切りを行う。このとき、その底板部27bのチェーンガイド26dの高さが上側のチェーンガイド26aの高さと揃うようにエレベータ27を上昇させる。これにより、エレベータ27上の底板部27bのチェーンガイド26dと、第一の冷却室20の上側のチェーンガイド26aと、第一の回転テーブル40が備えるチェーンガイド46、46aとが同じ高さで同一直線上に並び、これらが一連の搬送路を構成する。
次に、第一の回転テーブル40の回動装置によって、コンベヤチェーンC40の先端の係止具C42を下方へ回動させて、フック部C42aを水平状態とする。第一の冷却室20の後端部22 e側の扉25aをシリンダにL20aによって上昇させ、搬送口24aを開くとともに、第一の回転テーブル40の駆動装置を駆動させ、コンベヤチェーンC40を前進させる。コンベヤチェーンC40は前記一連の搬送路を通って前進し、その先端のフック部C42aがトレイTの取手T1に当接する。さらにその状態のままコンベヤチェーンC40が前進すると、フック部C42aが取手T1の先端部T3を乗り越えて孔部T2に係合する。その後、第一の回転テーブル40の駆動装置を逆回転で駆動させてコンベヤチェーンc40を後退させる。そしてトレイTを、第一の冷却室20のエレベータ上の底板部27b上のスキットレール28dから上側のチェーンガイド26aの左右のスキットレール28へ、さらに第一の回転テーブル40の搬送ローラ47上へ引き戻す。
このようにトレイTを第一の回転テーブル40の所定位置に到達させた後、第一の回転テーブル40の回動装置によって、係止具C42のフック部C42aを上方へ回動させて起立状態とし、係止具C42とトレイTの取手T1との係合を開放する。そして第一の回転テーブル40の駆動装置を逆回転で駆動させてコンベヤチェーンC40を後退させ、このコンベヤチェーンC40を第一の回転テーブル40のチェーンガイド46内部へ収納する。
次に、第一の回転テーブル40を反時計回りに90度回転させ、第一の回転テーブル40のテーブル42d上のチェーンガイド46aの向きを第一の移載コンベヤ60のチェーンガイド66の向きに揃える。このように反時計回りに90度回転させることで、トレイTの取手T1がプッシュプルカー80の係止具と係合可能となる。
さらに軌道88上でプッシュプルカー80を平行移動させて、第一の移載コンベヤ60の端部に近接させて停止させる。このとき、第一の回転テーブル40のテーブル42d上のチェーンガイド46aと、第一の移載コンベヤ60のチェーンガイド66と、プッシュプルカー80のチェーンガイド86とが同じ高さで同一直線上に並び、これらが一連の搬送路を構成する。
次に、プッシュプルカー80の回動装置によって、プッシュプルカー80が備えるコンベヤチェーンの先端の係止具を下方へ回動させてフック部を水平状態とする。そしてプッシュプルカー80が備えるコンベヤチェーンを、前記一連の搬送路を通って前進させ、トレイTの取手T1の孔部T2に係合させる。その後、プッシュプルカー80の駆動装置を逆回転で駆動させてコンベヤチェーンを後退させ、トレイTを第一の回転テーブル40の搬送ローラ47上から第一の移載コンベヤ60の搬送ローラ67上へ、さらに続けてプッシュプルカー80の搬送ローラ上へ引き戻す。このようにして第一の熱処理ラインが行われる。
その後、プッシュプルカー80によってトレイTを、次工程のワークの熱処理(例えば焼き戻し)を施す別の設備へ搬送する。
(第二の熱処理ライン)
次に、第二の熱処理ラインを説明する。第二の熱処理ラインは、上記した第一の熱処理ラインの説明において、第二の冷却室と、第二の回転テーブルと、第二の移載コンベヤとを用いる点で相違する。
まず、第二の熱処理ラインは、上記(冷却処理)の中で、トレイTを加熱室10から第一の冷却室20へ引き戻し、加熱室10の第一の冷却室20側の扉15aをシリンダL10aによって下降させ搬送口14aを閉じ加熱室10を密閉した後から始まる(図2参照)。加熱室10内を、加熱装置13及び攪拌ファン17によって再び950℃とする。そして、第一の熱処理ラインとは別のワークWをトレイTに載置し、そのトレイTをプッシュプルカー80に載置する。
(第二の加熱処理)
第二の加熱処理の説明においては、上記(第一の加熱処理)を、第一の移載コンベヤを第二の移載コンベヤと読み替え、第一の回転テーブルを第二の回転テーブルと読み替え、第一の冷却室を第二の冷却室と読み替えて、説明を省略する。この第二の加熱処理が、本発明の加熱工程に相当する。こうして第二の加熱処理が、上記第一の冷却処理と並行して行われるところに、本実施形態の特徴がある。
(第二の冷却処理)
第二の冷却処理の説明においては、上記(第一の冷却処理)を、(第二の加熱処理)と同様に読み替えた上で、トレイを加熱室から第二の冷却室へ引き戻したところまでの説明を省略する。
次に、加熱室10の第二の冷却室側の扉15bをシリンダL10bによって下降させ搬送口14bを閉じ加熱室10を密閉する(図2参照)。そして再びここから第一の熱処理ラインに、次に熱処理を施すワークを載置したトレイを搬入し、上記第一の熱処理ライン中の(加熱室への搬入)動作を行い、第一の熱処理ラインを行う。
以上のように、本発明の実施形態に係る熱処理炉においては、異なる2つの熱処理ラインを並行する。
(変形例)
本発明の実施形態では、ワークの搬送手段として、ワークを載置したトレイを押し出したり引き戻したりするコンベヤチェーンとその駆動装置を用いたが、搬送手段はこれに限定されるものではない。例えば、各々がその回転方向の正逆を制御される複数の搬送ローラを用いてもよいし、或いは下部に車輪を備えた台車にワークを載置して、この台車を送り込んだり押し出したりしてもよい。
また、本実施形態中の冷却室は、室内のチェーンガイドを上側と下側の二段構成とするとともに、下側のチェーンガイド内を移動するコンベヤチェーン及びその駆動装置等を備える。しかし、この下側のチェーンガイド及びこのチェーンガイドに関する装置を備えずに、回転テーブルと冷却室と加熱室の各々のチェーンガイドの高さを全て揃えた一段のチェーンガイドとした搬送路としてもよい。このようにすることで、エレベータによる上側のチェーンガイドと下側のチェーンガイドとの間のトレイの移載動作や、上側のチェーンガイドのスライド動作が不要となるので、熱処理をより簡易に行うことができる。
(その他の使用方法)
本実施形態に係る熱処理炉を用いて、2つの冷却槽に同じ種類の冷媒を蓄えて、同じ熱処理ラインを並行して行ってもよい。例えば、第一の冷却槽と第二の冷却槽に、同じホットの焼入油を蓄える。このように本実施形態に係る熱処理炉は、上記したような複数の異なる熱処理ラインの実行だけでなく、複数の同じ熱処理ラインを並行することもできるので、同じ熱処理ラインを効率的に実行できる。
また、本実施形態に係る熱処理炉の一つの冷却室のみを用いて、一つの熱処理ラインのみを連続的に行ってもよい。例えば、トレイをプッシュプルカーから第一の移載コンベヤと第二の回転テーブルへ移載した後、トレイを第一の回転テーブルのコンベヤチェーンを用いて第一の冷却室へ搬入する。そして、第一の冷却室で真空置換と窒素充填を行った後、トレイを加熱室に搬入してワークに加熱処理を施す。そして加熱されたワークを第二の回転テーブルのコンベヤチェーンを用いて第二の冷却室に搬入し、ワークを第二の冷却槽を用いて冷却する。そして、トレイTを第二の回転テーブルと第二の移載コンベヤを用いて再びプッシュプルカーへと戻してもよい。
本実施形態に係る熱処理炉を、一方の冷却室のみを用いた冷却処理を行い、トレイを一方向から連続的に搬送して各トレイのワークに熱処理を施す連続炉として用いてもよい。ワークを搬送する経路は例えば、プッシュプルカー、第一の移載コンベヤ、第一の回転テーブル、第一の冷却室、加熱室、第二の冷却室、第二の回転テーブル、第二の移載コンベヤ、再びプッシュプルカーの順に構成する。冷却処理は第二の冷却室のみで行われる。このように本実施形態に係る熱処理炉は、上記した複数の熱処理ラインだけでなく、一つの熱処理ラインを連続的に行うこともできる。よって汎用性が高く、広範な熱処理を行うことができるため、熱処理炉を効率的に稼動できる。
またこのとき、トレイTを第二の冷却室のエレベータ位置に押し出すまでは、上記各係止具のプッシャー面でトレイの取手を有さない側の端部の端面を押すとともに、その後は上記と同様に、各係止具のフック部とトレイTの取手とを係合させてトレイTを軌道側へ引き戻してもよい。このような動作を行うことにより、一方の端部にのみ取手が設けられている従来型のトレイTのみで熱処理が可能な連続炉を得ることができる。よって、両端部に各々取手を設けたトレイを新規に製造する必要がないとともに、トレイの交換に係る費用を抑えることができる。
(効果)
本実施形態に係る熱処理炉は、加熱室を挟んで同一直線上に設けられた2つの冷却室を有し、各々の冷却室が、加熱室への搬送装置を有するので、いずれの冷却室からでも加熱室との間でワークを搬送することができる。よって各々の熱処理ラインをより効率的に稼動させることができる。
また本実施形態に係る熱処理炉は、2つの冷却室の冷媒の温度を各々相互に相違させたので、目的が異なる2つの熱処理ラインを容易に並行構成できる。
また本実施形態に係る熱処理炉は、2つの冷却室に各々対向配置され、ワークを冷却室側へ移載する各移載装置と、各移載装置間を連結するとともに、いずれか一つの移載装置へ選択的に被処理材を搬送する搬送装置とを有する。よってワークの搬送路を、状況に応じて適宜選択して切り替えることができるので、並行する2つの熱処理ラインを効率的に稼動させることができる。
また本実施形態に係る熱処理炉の2つの冷却室に各々対向配置される各移載装置は、360℃回転可能な回転テーブルを有する。よって加熱室及び一対の冷却室を、軌道に対して平行に配置することができる。これにより、軌道に熱処理設備(例えば焼戻炉)が近接配置されている状態の既設の熱処理工場においても、容易に付加が可能な熱処理炉とすることができる。
10 加熱室
16 チェーンガイド
20 第一の冷却室
23 第一の冷却槽
26a 上側のチェーンガイド
26b、26c、26d 下側のチェーンガイド
30 第二の冷却室
40 第一の回転テーブル
46、46a、46b チェーンガイド
50 第二の回転テーブル
60 第一の移載コンベヤ
66 チェーンガイド
70 第二の移載コンベヤ
80 プッシュプルカー
86 チェーンガイド
88 軌道
C20、C40 コンベヤチェーン
T トレイ
W ワーク

Claims (5)

  1. 被処理材を加熱する加熱室と、加熱された被処理材を冷媒によって冷却する冷却室とを備えた熱処理炉であって、
    複数の冷却室を、加熱室に並列に設けたことを特徴とする熱処理炉。
  2. 前記複数の冷却室は、加熱室を挟んで同一直線上に設けられた2つの冷却室であることを特徴とする請求項1に記載の熱処理炉。
  3. 前記複数の冷却室の冷媒の温度を各々相互に相違させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理炉。
  4. 前記各々の冷却室に対向配置され、被処理材を冷却室側へ移載する各移載装置と、
    前記各移載装置間を連結するとともに、いずれか一つの移載装置へ選択的に被処理材を搬送する搬送装置と、をさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱処理炉。
  5. 被処理材を加熱する加熱室と、その加熱室に並列に設けるとともに、互いに温度を相違させた冷媒によって被処理材を冷却する2つの冷却室とを備えた熱処理炉を用いて、
    前記加熱室で加熱された第一の被処理材を、一方の冷却室で冷却する第一の冷却工程と、
    当該第一の冷却工程を行う間に、第二の被処理材を前記加熱室で加熱する加熱工程と、
    当該加熱工程で加熱された第二の被処理材を、他方の冷却室で冷却する第二の冷却工程と、
    を有することを特徴とする熱処理方法。
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