JP2014218630A - 塗料組成物、ならびにこれを用いた風力発電機のブレードまたは集風体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐候性に優れ、かつ基体の変形への追従性に優れた塗膜を形成できる、塗料組成物を提供する。【解決手段】水酸基を有し、水酸基価が5〜100mgKOH/gである含フッ素重合体(A)と、分子中に芳香族環骨格を有しておらず、水酸基を有し、水酸基価が10〜90mgKOH/gであるポリエステル重合体(B)と、イソシアネート系硬化剤(C−1)、ブロック化イソシアネート系硬化剤(C−2)およびアミノ樹脂(C−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤(C)と、溶剤(D)とを含有する塗料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、風力発電機のブレードまたは集風体の表面塗装に好適な塗料組成物、該塗料組成物を用いて風力発電機のブレードまたは集風体を製造する方法、および該製造方法で得られる風力発電機のブレードまたは集風体に関する。
風力発電機は、クリーンなエネルギーが得られることから各地に普及されてきている。このような風力発電機は、強い風が長時間吹く場所に設置されるのが一般的であり、特に周辺に高い建築物や木等がない海岸線に設置されることが多い。
風力発電機としては、例えば、図2に示すように、塔体110と、塔体110上に設けられた塔頂回動部120と、塔頂回動部120に回動支持部を介して取り付けられたブレード130とを有する風力発電機101が挙げられる。塔頂回動部120は、風向きに応じて回動し、ブレード130を風が吹いている方に向けられるようになっている。ブレード130としては、例えば、木材からなる翼状の板片の表面が繊維強化プラスチック(FRP)により補強されたブレード等が用いられる。
また、図3、4に示すように、ブレード160の周囲に略円環状の集風体170が設けられる場合もある。
ブレードまたは集風体は風雨に曝されるため経時劣化は避けられない。特にブレードは、高速回転しているために雨滴、虫、鳥等の衝突による衝撃が強く、劣化しやすい。最近の1500kW級の風力発電機は、ブレードの回転軸が70m上空にあり、ブレードの全長は30mを超えることから、クレーン作業を考慮しても補修等の作業は困難である。そこで、ブレードの劣化を抑制する方法として、従来より、ブレードの基体の表面に、ウレタン系塗料、またはフッ素系塗料等で塗膜を形成する方法が知られている。
ウレタン系塗料により形成した塗膜は、柔軟性に優れる。そのため、風力発電機のブレードは高速回転して大きく撓んでも、塗膜がその変形に追従でき、剥離し難い。しかし、ウレタン系塗料により形成した塗膜は耐候性が充分に得られず、塗膜自体の劣化によりその保護効果が低下する。
一方、フッ素系塗料により形成した塗膜は、耐候性に優れるが、柔軟性に劣り変形し難い。そのため、フッ素系塗料により形成した塗膜はブレードの撓みに対する追従性が低く、ブレードの基体から剥離しやすい。
かかる問題に対して、特許文献1には、水酸基価が110〜250mgKOH/gである含フッ素重合体(A)、水酸基価が100〜300mgKOH/gであるポリエステル重合体(B)、非ブロック化ポリイソシアネート系硬化剤(C)、および溶剤(D)を含有する、風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物が記載されている。
また特許文献2は、風力発電機のブレードの表面塗布用ではなく、建築外装または自動車上塗り塗装等に用いられる塗料組成物に関するものであるが、特定の固有粘度を有する水酸基価が110〜250mgKOH/gである水酸基含有フッ素重合体(A)、水酸基等の官能基を3個以上有し、数平均分子量が500〜5000であるポリエステル重合体(B)、非ブロック化ポリイソシアネート系硬化剤(C)、および溶剤(D)を含有する塗布用塗料組成物が記載されている。
特開2012−026338号公報 特開平10−324843号公報
特許文献1、2に記載された塗料組成物を用いて形成された塗膜は、耐候性やブレードの撓み等に対する追従性が必ずしも充分ではなく、耐候性および基体変形への追従性のさらなる向上が求められる。
本発明は、耐候性に優れ、かつ基体の変形への追従性に優れた塗膜を形成できる、塗料組成物の提供を目的とする。
また本発明は、耐候性に優れ、かつ基体の変形への追従性に優れた塗膜を表面に有する、風力発電機のブレードまたは集風体の提供を目的とする。
本発明の塗料組成物は、水酸基を有し、水酸基価が5〜100mgKOH/gである含フッ素重合体(A)と、分子中に芳香族環骨格を有しておらず、水酸基を有し、水酸基価が10〜90mgKOH/gであるポリエステル重合体(B)と、イソシアネート系硬化剤(C−1)、ブロック化イソシアネート系硬化剤(C−2)およびアミノ樹脂(C−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤(C)と、溶剤(D)とを含有することを特徴とする。
前記ポリエステル重合体(B)が、炭素原子数2〜10の飽和2官能性カルボン酸化合物と炭素原子数2〜10の2〜4官能性アルコール化合物との脱水縮合物であることが好ましい。
前記ポリエステル重合体(B)が、前記炭素原子数2〜10の飽和2官能性カルボン酸化合物由来の構成単位を、全構成単位に対して30〜60モル%含有し、かつ数平均分子量が500〜5,000であることが好ましい。
前記含フッ素重合体(A)とポリエステル重合体(B)の質量比(A)/(B)が、60/40〜15/85であることが好ましい。
前記硬化剤(C)の含有量が、前記含フッ素重合体(A)とポリエステル重合体(B)の合計100質量部に対して10〜100質量部であることが好ましい。
さらに顔料(E)を含有することが好ましい。
本発明の塗料組成物は、風力発電機の表面塗装用であることが好ましい。
本発明は、風力発電機のブレード表面に、本発明の風力発電機の表面塗装用の塗料組成物を塗布して塗布層を形成する工程と、該塗布層中の溶剤(D)を除去するとともに該塗布層を硬化させて塗膜を形成する工程を有する、風力発電機のブレードの製造方法を提供する。
本発明は、風力発電機の集風体表面に、本発明の風力発電機の表面塗装用の塗料組成物を塗布して塗布層を形成する工程と、該塗布層中の溶剤(D)を除去するとともに該塗布層を硬化させて塗膜を形成する工程を有する、風力発電機の集風体の製造方法を提供する。
本発明は、本発明の風力発電機の表面塗装用の塗料組成物から得られた塗膜を表面に有する、風力発電機のブレードを提供する。
本発明は、本発明の風力発電機の表面塗装用の塗料組成物から得られた塗膜を表面に有する、風力発電機の集風体を提供する。
本発明によれば、耐候性に優れ、かつ基体の変形への追従性に優れた塗膜を形成できる、塗料組成物が得られる。
また本発明によれば、耐候性に優れ、かつ基体の変形への追従性に優れた塗膜を表面に有する、風力発電機のブレードまたは集風体が得られる。
本発明の風力発電機のブレードの実施形態の一例を示した部分断面図である。 風力発電機の一例を模式的に示した正面図である。 集風体を備えた風力発電機の一例を模式的に示した斜視図である。 図3の風力発電機の側面図である。
本明細書においては、単量体が重合することで直接形成される繰り返し単位と、単量体の重合によって形成される繰り返し単位の一部を化学変換することで得られる繰り返し単位とを総称して「構成単位」という。
本明細書において、(メタ)アクリル酸の記載は、アクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも一方を表す。
本明細書において、水酸基価の値はJIS K 1557−1(2007)に準拠した方法で測定した値である。
本明細書において、数平均分子量の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によりポリスチレン換算で求めた値である。
<塗料組成物>
本発明の塗料組成物は、水酸基を有し、水酸基価が5〜100mgKOH/gである含フッ素重合体(A)(以下、単に「含フッ素重合体(A)」という。)、分子中に芳香族環骨格を有しておらず、水酸基を有し、水酸基価が10〜90mgKOH/gであるポリエステル重合体(B)(以下、単に「ポリエステル重合体(B)」という。)、特定の硬化剤(C)(以下、単に「硬化剤(C)」という。)、および溶剤(D)を必須成分として含む。
基体上に本発明の塗料組成物を塗布して塗布層を形成し、該塗布層中の溶剤(D)を除去するともに硬化させて塗膜を形成すると、塗膜が形成される過程で、含フッ素重合体(A)とポリエステル樹脂(B)とが分離し、基体側にポリエステル樹脂(B)を多く含む層を有し、塗膜の表面側に含フッ素重合体(A)を多く含む層を有する塗膜が形成される。
[含フッ素重合体(A)]
含フッ素重合体(A)は、水酸基を有し、水酸基価が5〜100mgKOH/gの含フッ素重合体である。含フッ素重合体(A)は、特に、塗膜の耐候性に寄与する。
含フッ素重合体(A)の水酸基価が100mgKOH/g以下であると、ポリエステル重合体(B)と組み合わせたときに、層分離が生じやすく、塗膜の表面側に含フッ素重合体(A)を多く含む層が形成されやすい。含フッ素重合体(A)の水酸基価が小さいため、ポリエステル重合体(B)との相溶性が低くなりやすいと考えられる。該含フッ素重合体(A)の水酸基価は90mgKOH/g以下が好ましい。
一方、含フッ素重合体(A)の水酸基価が5mgKOH/g以上であると、硬化剤との架橋により、強靭な塗膜が形成される。該含フッ素重合体(A)の水酸基価は10mgKOH/g以上が好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましい。
含フッ素重合体(A)の数平均分子量は、2,000〜30,000が好ましく、3,000〜20,000がより好ましい。含フッ素重合体(A)の数平均分子量が2,000以上であると塗膜の充分な耐候性が得られやすく、30,000以下であると、塗料を適度な粘度にするために必要な溶剤(D)の量が多くなりすぎず好ましい。
含フッ素重合体(A)は、溶剤(D)に対する溶解性、塗膜の耐候性、塗装作業性等が良好に得られやすい点から、フルオロオレフィンに基づく構成単位(a1)、水酸基を有する構成単位(a2)、および構成単位(a1)および(a2)のいずれにも含まれない構成単位(a3)を有する含フッ素重合体(以下、「含フッ素重合体(A1)」という。)が好ましい。
構成単位(a1)を形成するフルオロオレフィンとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン等の炭素原子数2または3のフルオロオレフィンが挙げられる。なかでも、他の単量体との交互共重合性が良好であることから、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンが好ましく、クロロトリフルオロエチレンがより好ましい。
含フッ素重合体(A1)に含有される構成単位(a1)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
構成単位(a2)は、水酸基を有する構成単位である。構成単位(a2)は、水酸基を有する単量体に基づく構成単位であることが好ましい。
水酸基を有する単量体としては、例えば、水酸基と重合性の二重結合とを有する単量体が挙げられる。具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル等のエチレングリコールモノビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル類;2−ヒドロキシエチルビニルエステル、4−ヒドロキシブチルビニルエステル等のヒドロキシアルキルビニルエステル類;ヒドロキシエチルアリルエステル、ヒドロキシブチルアリルエステル等のヒドロキシアルキルアリルエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類等が挙げられる。
なかでも、入手が容易なことから、水酸基を有する単量体としては、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類が好ましく、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルがより好ましく、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルがさらに好ましい。
また、構成単位(a2)は、水酸基を有しない単量体を用いて重合を行った後、得られた重合体の構成単位の一部を化学変換して水酸基を導入する方法により形成してもよい。
例えば、水酸基以外の官能基を有する単量体を用いて重合を行った後、得られた重合体に、前記官能基と反応する官能基と水酸基とを有する化合物を反応させ、構成単位の一部(官能基)を化学変換して形成してもよい。具体例としては、カルボキシ基を有する単量体を用いて重合を行った後、得られた重合体に、ジオール化合物を反応させる方法等が挙げられる。
含フッ素重合体(A1)に含有される構成単位(a2)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
構成単位(a3)は、構成単位(a1)および(a2)のいずれにも含まれない構成単位(a3)である。
構成単位(a3)は、構成単位(a1)を形成するフルオロオレフィン、および構成単位(a2)を形成する単量体と共重合可能な「他の単量体」に基づく構成単位であることが好ましい。含フッ素重合体(A1)に構成単位(a3)を含有させて溶剤(D)に対する溶解性を向上させることが好ましい。
構成単位(a3)を形成する他の単量体としては、含フッ素重合体(A1)の溶剤(D)に対する溶解性を向上させることができるものが好ましい。例えば、ビニルエーテル類、アリルエーテル類、イソプロペニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類、カルボン酸アリルエステル類、カルボン酸イソプロペニルエステル類、メタリルエーテル類、カルボン酸メタリルエステル類、α−オレフィン類、(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、例えば、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロアルキルビニルエーテル、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等のアルキルビニルエーテル類が挙げられる。
アリルエーテル類としては、例えば、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類が挙げられる。
イソプロペニルエーテル類としては、例えば、メチルイソプロペニルエーテル等のアルキルイソプペニルエーテル類が挙げられる。
カルボン酸ビニルエステル類としては、例えば、分岐状のアルキル基を有する脂肪酸ビニルエステルであるベオバー10(商品名、シェル化学(株)製)、酪酸ビニル、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類が挙げられる。
カルボン酸アリルエステル類としては、例えば、プロピオン酸アリル、酢酸アリル等の脂肪酸アリルエステル類が挙げられる。
α−オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル等が挙げられる。
他の単量体としては、フルオロオレフィンとの共重合性に優れる点から、ビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類、アリルエーテル類、カルボン酸アリルエステル類が好ましく、炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状または脂環状のアルキル基を有するアルキルビニルエーテル類、脂肪酸ビニルエステル類がより好ましい。
含フッ素重合体(A1)に含有される構成単位(a3)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
含フッ素重合体(A1)中の全構成単位における構成単位(a1)の割合は、30〜70モル%が好ましく、40〜60モル%がより好ましい。構成単位(a1)の割合がこの範囲内であれば、塗膜の良好な耐候性が得られやすい。また、含フッ素重合体(A1)の溶剤(D)への溶解性、光沢、顔料分散性等が良好となりやすい。
含フッ素重合体(A1)中の全構成単位における構成単位(a2)の割合は、1〜50モル%が好ましく、3〜40モル%がより好ましい。構成単位(a2)の割合がこの範囲内であれば、塗膜の耐衝撃性等の機械特性が良好となりやすい。
含フッ素重合体(A1)中の全構成単位(100モル%)における構成単位(a3)の割合は、1〜50モル%が好ましく、3〜40モル%がより好ましい。構成単位(a3)の割合がこの範囲内であれば、含フッ素重合体(A1)の溶剤(D)に対する良好な溶解性が得られやすい。また、塗膜の良好な耐候性が得られやすい。
塗料組成物に用いる含フッ素重合体(A)は、1種を単独でも、2種以上を併用してもよい。
含フッ素重合体(A)として、前記含フッ素重合体(A1)以外の、水酸基を有する、水酸基価が5〜100mgKOH/gである含フッ素重合体を使用してもよい。例えば、構成単位(a1)と構成単位(a2)を有し、構成単位(a3)を有しない含フッ素重合体を使用してもよい。
塗料組成物に使用する含フッ素重合体(A)の100質量%のうち、含フッ素重合体(A1)が40質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、100質量%が最も好ましい。
[ポリエステル重合体(B)]
ポリエステル重合体(B)は、分子中に芳香族環骨格を有しておらず、水酸基を有し、水酸基価が10〜90mgKOH/gであるポリエステル重合体である。ポリエステル重合体(B)は塗膜に柔軟性を付与し、塗膜の基体変形への追従性に寄与する。
ポリエステル重合体(B)が分子中に芳香族環骨格を有していないと、含フッ素重合体(A)と組み合わせたときに、層分離が生じやすく、塗膜の基体側にポリエステル重合体(B)を多く含む層が形成されやすい。ポリエステル重合体(B)が分子中に芳香族環骨格を有していない方が、芳香族環骨格を有している場合に比べて、硬化反応の速度が小さくなりやすく、また塗料組成物の粘度が低くなりやすいために層分離が生じやすいと考えられる。
ポリエステル重合体(B)の水酸基価が90mgKOH/g以下であると、含フッ素重合体(A)と組み合わせたときに、層分離が生じやすく、塗膜の基体側にポリエステル重合体(B)を多く含む層が形成されやすい。ポリエステル重合体(B)の水酸基価が小さいため、含フッ素重合体(A)との相溶性が低くなりやすいと考えられる。該ポリエステル重合体(B)の水酸基価は90mgKOH/g以下が好ましく、80mgKOH/g以下がより好ましい。
一方、ポリエステル重合体(B)の水酸基価が10mgKOH/g以上であると硬化剤との架橋により強靭な塗膜が形成される。該含フッ素重合体(A)の水酸基価は10mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。
ポリエステル重合体(B)の数平均分子量は、500〜5,000が好ましく、700〜4,000がより好ましい。ポリエステル重合体(B)の数平均分子量が上記範囲の下限値以上であると塗膜の良好な機械的強度が得られやすく、上限値以下であるとポリエステル重合体(B)の粘度が高くなりすぎず、塗料のゲル化が抑制されやすい。ポリエステル重合体(B)は、常温で、液体であることが好ましい。
ポリエステル重合体(B)の酸価は、1〜50mgKOH/gが好ましく、3〜30mgKOH/gがより好ましい。ポリエステル重合体(B)の酸価が上記範囲の下限値以上であると顔料の良好な分散性が得られやすく、上限値以下であると塗膜の良好な耐水性が得られやすい。
ポリエステル重合体(B)は、水酸基以外の他の官能基を有していてもよい。他の官能基としては、塗膜の耐候性、機械特性、耐油性、硬化反応性等の点から、カルボキシ基、アミノ基、アセトアセチル基、エポキシ基が好ましく、カルボキシ基がより好ましい。
これらの官能基を導入する方法としては、これらの官能基と重合性の二重結合を有する単量体を共重合させる方法や、ポリエステル(B)中の水酸基に、これらの官能基とともに水酸基と反応する官能基を有する化合物を反応させる方法が挙げられる。
カルボキシ基は、後述する多価カルボン酸を用いた重合によりポリエステル重合体(B)に導入できる。
また、アミノ基、アセトアセチル基、エポキシ基の導入は、例えば、ポリエステル重合体(B)の製造中もしくは製造後に、水酸基またはカルボキシ基と反応する官能基と、アミノ基、アセトアセチル基、エポキシ基のうちの少なくとも一つとを有する化合物を反応させることにより行える。
ポリエステル重合体(B)は、炭素原子数2〜10の飽和2官能性カルボン酸化合物(b1)と炭素原子数2〜10の2〜4官能性アルコール化合物(b2)との縮合物からなるポリエステル重合体(以下、「ポリエステル重合体(B1)」という。)であることが、塗膜の柔軟性に優れ、基体への追従性に優れる点で好ましい。飽和2官能性カルボン酸化合物は、芳香族環骨格を有しておらず、カルボキシ基を2個有する化合物である。2〜4官能性アルコール化合物は、鎖式または脂環式の炭化水素の水素原子を水酸基(OH)で置換したアルコール化合物であって、ヒドロキシ基を2〜4個有する化合物である。
炭素原子数2〜10の飽和2官能性カルボン酸化合物(b1)としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、無水コハク酸等が挙げられる。
ポリエステル重合体(B1)の製造に用いる飽和2官能性カルボン酸化合物(b1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
炭素原子数2〜10の2〜4官能性アルコール化合物(b2)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
塗膜の密着性および層分離の生じやすさの点で、炭素原子数3〜8の2〜4官能性アルコールが好ましく、炭素原子数4〜6の2〜4官能性アルコールがより好ましい。
具体的には、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン等が好ましく、入手性の点で、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、トリメチロールプロパンがより好ましい。
ポリエステル重合体(B1)の製造に用いる2〜4官能性アルコール(b2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル重合体(B1)の製造に用いる単量体として、飽和2官能性カルボン酸(b1)および2〜4官能性アルコール(b2)の他に、1分子中にカルボキシ基と水酸基を有する化合物またはその環化物、例えばε−カプロラクトン等を必要に応じて使用してもよい。
ポリエステル重合体(B1)は、飽和2官能性カルボン酸化合物(b1)と2〜4官能性アルコール化合物(b2)とを原料とし、塗料用ポリエステル樹脂製造の常法によって製造することができる。例えば、上記の原材料を200〜280℃でエステル化又はエステル交換反応を行った後、減圧下で触媒を用い、230〜290℃で重縮合反応を行い、その後、アルコール成分で解重合反応を行ってポリエステル樹脂を得る。
ポリエステル重合体(B1)において、飽和2官能性カルボン酸化合物(b1)に基づく構成単位(b1)の含有量が、全構成単位(100モル%)に対して30〜60モル%であることが好ましく、35〜55モル%がより好ましい。該構成単位(b1)の含有量が上記範囲の下限値以上であると基体への優れた追従性が得られやすく、上限値以下であると塗膜の優れた耐水性が得られやすい。
ポリエステル重合体(B1)の数平均分子量は、500〜5,000が好ましく、600〜4,000がより好ましい。ポリエステル重合体(B1)の数平均分子量が上記範囲の下限値以上であると塗膜の良好な機械的強度が得られやすく、上限値以下であるとポリエステル重合体の粘度が高くなりすぎず、塗料のゲル化を抑制しやすい。
ポリエステル重合体(B)として、ポリエステル重合体(B1)以外の、分子中に芳香族環骨格を有しておらず、水酸基を有し、水酸基価が10〜90mgKOH/gであるポリエステル重合体を使用してもよい。
塗料組成物に使用するポリエステル重合体(B)の100質量%のうち、ポリエステル重合体(B1)が40質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、100質量%が最も好ましい。
塗料組成物に用いるポリエステル重合体(B)は、1種を単独でも、2種以上を併用してもよい。
本発明の塗料組成物に含まれる、含フッ素重合体(A)とポリエステル重合体(B)との質量比(A/B)は、60/40〜15/85が好ましく、50/50〜20/80がより好ましい。前記質量比(A/B)がこの範囲内であれば、ポリエステル樹脂(B)を多く含む層と、含フッ素重合体(A)を多く含む層がバランス良く形成された塗膜が得られ、塗膜の耐候性が向上するとともに、塗膜の柔軟性が向上し、ブレードの基体への追従性が向上する。
[硬化剤(C)]
硬化剤(C)は、イソシアネート系硬化剤(C−1)、ブロック化イソシアネート系硬化剤(C−2)およびアミノ樹脂(C−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤である。硬化剤(C)はいずれも、含フッ素重合体(A)の水酸基およびポリエステル重合体(B)の水酸基と反応して架橋構造を形成し塗膜の硬化に寄与する。
(1)イソシアネート系硬化剤(C−1)
イソシアネート系硬化剤(C−1)としては、無黄変ポリイソシアネート、無黄変ポリイソシアネート変性体が挙げられる。イソシアネート基はブロック化されていない。
無黄変ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)等の脂環族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
無黄変ポリイソシアネート変性体としては、例えば、下記変性体(I1)〜(I4)が挙げられる。
(I1)脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートのイソシアヌレート体。
(I2)脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートをポリオールまたはポリアミンで変性した、−C(=O)−NH−で表される構造を有する変性体。
(I3)脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートのイソシアヌレート体の一部のイソシアネート基をポリオールで変性した、−C(=O)−NH−で表される構造を有する変性体。
(I4)変性体(I1)と変性体(I2)の混合物からなる変性体。
硬化剤(C)として、イソシアネート基がブロック化されていないイソシアネート系硬化剤(C−1)を用いる場合、塗料組成物への硬化剤(C)の配合は、基体に塗料組成物を塗布する直前に行う。
(2)ブロック化イソシアネート系硬化剤(C−2)
ブロック化イソシアネート系硬化剤(C−2)は、イソシアネート系硬化剤のイソシアネート基がブロック化されたものである。
イソシアネート基のブロック化は、イプシロンカプロラクタム(E−CAP)、メチルエチルケトンオキシム(MEK−OX)、メチルイソブチルケトンオキシム(MIBK−OX)、ピラリジン、トリアジン(TA)等によって行える。
(3)アミノ樹脂(C−3)
アミノ樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、スルホアミド樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂等が挙げられる。なかでも、硬化速度が速いという点で、メラミン樹脂が好ましい。
メラミン樹脂としては、具体的には、アルキルエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂などをあげることができる。なかでも、メトキシ基および/またはブトキシ基で置換されたメラミン樹脂がより好ましく用いることができる。
硬化剤(C)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の塗料組成物における硬化剤(C)の含有量は、含フッ素重合体(A)とポリエステル重合体(B)の合計100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、15〜70質量部がより好ましい。硬化剤(C)の含有量が上記範囲の下限値以上であると充分な架橋により強靭な塗膜が得られやすく、上限値以下であるとイソシアネート基と水分との反応による塗膜の発泡が良好に抑えられやすい。
また、硬化剤(C)がイソシアネート系硬化剤(C−1)およびブロック化イソシアネート系硬化剤(C−2)の一方または両方である場合、含フッ素重合体(A)中の水酸基とポリエステル重合体(B)中の水酸基の合計1モルに対して、イソシアネート基が0.5倍モル〜1.5倍モルになるように硬化剤(C)を配合することが好ましい。硬化剤(C)の含有量が上記範囲の下限値以上であると、含フッ素重合体(A)とポリエステル重合体(B)のそれぞれを充分に架橋しやすい。硬化剤(C)の含有量が上記範囲の上限値以下であると、未反応の硬化剤(C)が塗膜に残留し、塗膜の性能に影響することを抑制しやすい。
[溶剤(D)]
溶剤(D)は、含フッ素重合体(A)、ポリエステル(B)および硬化剤(C)を溶解または分散できるものであれば特に限定されない。
例えば、キシレン、トルエン等の芳香族化合物;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のカルボニル化合物;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類等が挙げられる。
溶剤(D)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の塗料組成物における溶剤(D)の含有量は、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
溶剤(D)の含有量がこの範囲内であれば、塗料組成物の粘度がより低くなり、塗布作業が容易になるとともに、溶剤(D)を除去して塗膜を形成するのが容易になる。
本発明の塗料組成物における、フッ素重合体(A)とポリエステル(B)の合計の含有量は、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
[顔料成分(E)]
本発明の塗料組成物は、防錆、着色、補強等を目的として、顔料成分(E)を含有することが好ましい。
顔料成分(E)としては、防錆顔料、着色顔料および体質顔料からなる群から選ばれる1種以上の顔料が好ましい。
防錆顔料は、ブレードまたは集風体等の基体の腐食や変質を防止するための顔料である。環境への負荷が少ない点から無鉛防錆顔料が好ましい。無鉛防錆顔料としては、シアナミド亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸カルシウムマグネシウム、モリブデン酸亜鉛、ホウ酸バリウム、シアナミド亜鉛カルシウム等が挙げられる。
着色顔料は、塗膜を着色するための顔料である。着色顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等が挙げられる。酸化チタン顔料を使用する場合には、塗膜の耐候性をさらに向上させる目的で、顔料表面に光触媒作用を抑制するための処理が施されたものが好ましい。D918(商品名、堺化学社製)、PFC105(商品名、石原産業社製)が特に推奨できる。
体質顔料は、塗膜の硬度を向上させ、かつ、厚みを増すための顔料である。体質顔料としては、タルク、硫酸バリウム、マイカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。
顔料成分(E)としては、耐候性に優れる点から、酸化チタンが特に好ましい。
本発明の塗料組成物に顔料を含有させる場合には、塗料組成物中の顔料成分(E)の含有量は、塗料組成物における顔料以外の固形分100質量部に対して、50〜500質量部が好ましく、100〜400質量部がより好ましい。顔料成分(E)の含有量がこの範囲内であれば、顔料成分(E)の機能を損なうことなく、塗膜が雨滴の衝突等によって傷付き難くなり、また塗膜の耐候性が向上する。
[他の成分]
本発明の塗料組成物は、前述した各成分以外の他の成分を含んでいてもよい。例えば、硬化触媒を含有してもよい。硬化触媒を含有することで、架橋反応を促進できる。特に、低温において短時間で硬化させる場合には、硬化触媒を含有することが好ましい。
硬化触媒としては、公知の硬化触媒が使用でき、例えば、硬化剤(C)としてイソシアネート系硬化剤(C−1)およびブロック化イソシアネート系硬化剤(C−2)の一方または両方を用いる場合の硬化触媒として、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
硬化触媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化触媒の添加量は、特に制限はなく、硬化剤(C)の100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。硬化触媒の含有量がこの範囲内であれば、触媒効果が充分に得られるとともに、硬化触媒が残存して塗膜に影響し、耐水性が低下することを抑制しやすい。
また、本発明の塗料用組成物には、目的に応じて、添加剤を適宜配合してもよい。添加剤としては、塗膜の密着性向上のためのシランカップリング剤;ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤;ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物等の有機系の紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化セリウム等の無機系の紫外線吸収剤;超微粉合成シリカ等のつや消し剤;ノニオン系、カチオン系、またはアニオン系の界面活性剤;レベリング剤;充填剤;熱安定剤;増粘剤;分散剤;帯電防止剤等が挙げられる。
本発明の塗料組成物に帯電防止剤を配合すれば、基体の表面に導電性の塗膜を形成でき、雷撃による基体の破損を抑制できる。
帯電防止剤としては、Li、Na、K等のカチオン成分と、Cl、Br、I、BF 、PF 、SCN、ClO 、CFSO 、(CFSO、(CFSO等のアニオン成分から構成されるアルカリ金属塩;アンチモンドープ二酸化錫、アルミドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化チタン等の非酸化金属がドープされた金属酸化物等が挙げられる。
また、本発明の塗料組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、アクリル重合体、エポキシ化合物、含フッ素重合体(A)以外の含フッ素重合体、ポリエステル重合体(B)以外のポリエステル重合体等を含有してもよい。
本発明の塗料組成物において、含フッ素重合体(A)、ポリエステル重合体(B)、硬化剤(C)、溶剤(D)、顔料成分(E)、または硬化触媒のいずれにも含まれない他の成分の含有量は合計で10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
本発明の塗料組成物は、含フッ素重合体(A)として、含フッ素重合体(A1)を使用し、ポリエステル重合体(B)として、2官能性カルボン酸(b1)と2〜4官能性アルコール(b2)を重合して得られる、水酸基を有するポリエステル重合体(B1)を使用し、さらに顔料成分(E)を含有する塗料組成物が好ましい。
本発明の塗料組成物を用いて、基体の表面上に形成される塗膜は、該塗膜の表面部分が含フッ素重合体(A)を多く含む層からなり、基体と密着する下層部分がポリエステル重合体(B)を多く含む層からなる。ポリエステル重合体(B)は優れた柔軟性を有しているため、ブレードの基体への追従性に優れた剥離し難い塗膜を形成できる。また、含フッ素重合体(A)は耐候性に優れるため、耐候性に優れると共に、表面硬度が高く、耐汚染性にも優れる塗膜を形成できる。したがって、これらの両方の特性を兼ね備えた、耐候性および基体への追従性に優れ、剥離し難い塗膜が得られる。
本発明の塗料組成物により形成される塗膜は、優れた柔軟性を有しているため雨滴等が衝突しても傷つき難く、耐汚染性も優れている。したがって、風力発電機の表面塗装用として好適であり、風力発電機のブレードまたは風力発電機の集風体の表面塗装に好適に用いられる。また、太陽電池のバックシートの表面塗装、太陽熱集熱用反射鏡の裏面塗装等にも好適である。
図1、2は風力発電機のブレードの一例を示したものであり、図1は部分断面図、図2は正面図である。本例の風力発電機101は、塔体110と、塔体110の上部に設けられた塔頂回動部120と、塔頂回動部120に回動支持部を介して取り付けられたブレード130とを有する。ブレード130はブレードの基体11の表面に本発明の塗料組成物を用いて形成された塗膜12が設けられている。
図3、4は集風体を備えた風力発電機の一例を示したものであり、図3は斜視図、図4は側面図である。本例の風力発電機は、塔体140と、塔体140の上部に設けられた塔頂回動部150と、塔頂回動部150に回動支持部を介して取り付けられたブレード160と、ブレード160の周囲に設けられた略円環状の集風体170を有する。集風体170は集風体の基体(図示略)の表面に本発明の塗料組成物を用いて形成された塗膜(図示略)が設けられている。
[風力発電機のブレードの製造方法]
本発明の風力発電機のブレードまたは集風体の製造方法は、風力発電機のブレードまたは集風体の表面に塗料組成物を塗布して塗布層を形成した後、該塗布層から溶剤(D)を除去するとともに該塗布層を硬化させて塗膜を形成させる方法である。
以下、風力発電機のブレードの製造方法の一例を図1に基づいて説明する。以下の例におけるブレードを集風体に置き換えると、同様にして集風体を製造できる。
まず、図1に示すように、風力発電機のブレードの基体11表面に、本発明の塗料組成物を塗布して塗布層12Aを形成する。
塗料組成物の塗布方法としては、刷毛、ローラ、スプレー、フローコータ、アプリケータ等を使用する方法が挙げられる。塗料組成物の塗布量は、目的とする乾燥膜厚に応じて適宜選定すればよい。
次いで、形成した塗布層12Aから、溶剤(D)を除去するとともに該塗布層12Aを硬化させて塗膜12を形成し、風力発電機のブレード130を得る。
溶剤(D)を除去する方法としては、加熱等により溶剤(D)を揮発させる方法が好ましい。塗布層12Aの加熱方法としては、例えば、塗布層12Aに熱風を当てる方法等が挙げられる。
溶剤(D)を除去する際の温度は、常温〜100℃が好ましく、常温〜80℃がより好ましい。前記温度が下限値以上であれば、溶剤(D)が除去されやすく、硬化剤(C)による硬化反応が進行しやすい。前記温度が上限値以下であれば、塗膜12に発泡跡が生じにくい。
また、含フッ素重合体(A)の水酸基およびポリエステル重合体(B)の水酸基と硬化剤(C)とを反応(硬化反応)させて塗布層12Aを硬化させる。
硬化剤(C)としてイソシアネート系硬化剤(C−1)を用いる場合、塗布層12Aを硬化させる方法は、室温で養生してもよいし、密封系乾燥炉や、連続乾燥が可能なトンネル炉で、熱風循環や赤外線加熱、高周波加熱により熱硬化させてもよい。中でも、連続生産性の点ではトンネル炉が好ましく、熱の伝わり方の均一性に優れ、均一な硬化塗膜が得られやすい点からは、熱風循環または赤外線加熱が好ましい。
硬化剤(C)としてブロック化イソシアネート系硬化剤(C−2)またはアミノ樹脂(C−3)を用いる場合、塗布層12Aを硬化させる方法は、密封系乾燥炉や、連続乾燥が可能なトンネル炉で、熱風循環や赤外線加熱、高周波加熱により熱硬化させることができる。中でも、連続生産性の点ではトンネル炉が好ましく、熱の伝わり方の均一性に優れ、均一な硬化塗膜が得られやすい点からは、熱風循環または赤外線加熱が好ましい。
本発明においては、溶剤(D)が除去される過程で、含フッ素重合体(A)とポリエステル樹脂(B)とが分離し、ブレードの基体11側にポリエステル樹脂(B)を多く含む層、および塗膜の表面側に含フッ素重合体(A)を多く含む層がそれぞれ形成される。また溶剤(D)が除去されるにしたがって、含フッ素重合体(A)およびポリエステル重合体(B)の水酸基と硬化剤(C)との接触効率が高くなり、硬化反応が進行しやすくなる。
形成する塗膜12の膜厚は、20〜100μmが好ましい。
ブレードの基体11または集風体の基体の材質は、例えば、表面が繊維強化プラスチック(FRP)により補強された木材等が挙げられる。
ブレードの基体11または集風体の基体は公知の方法で製造できる。ブレードの基体11または集風体の基体の形状は図1〜4に示した例に限らず、適宜変更可能である。
以上説明した製造方法によれば、ブレードの基体11または集風体の基体の表面上に形成される塗膜は、該塗膜の表面部分が含フッ素重合体(A)を多く含む層からなり、基体と密着する下層部分がポリエステル重合体(B)を多く含む層からなるため、ブレードの基体への追従性に優れ、剥離が生じにくく、耐候性に優れ、表面硬度が高く、耐汚染性にも優れる。
したがって、例えば、風力発電機のブレードが高速回転してブレードの基体が大きく撓んでも、塗膜の剥離が生じ難い。また、塗膜の柔軟性に優れるため、ブレードが高速回転することで雨滴等の衝突速度が速くても、衝撃が吸収され塗膜に傷が付き難い。
なお、本発明の製造方法は、前述した方法には限定されない。例えば、基体11と塗膜12の間に、別の層を形成してもよい。具体的には、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を使用して樹脂層を形成した後に、該樹脂層上に本発明の塗料組成物により塗膜を形成する方法、塗膜の密着性を向上させるためのシランカップリング剤からなる層を形成した後に、該層上に本発明の塗料組成物により塗膜を形成する方法等であってもよい。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。以下において含有量を表す「%」は特に断りのない限り「質量%」である。
<含フッ素重合体(A1)の製造>
[製造例1:含フッ素重合体(A−1)の製造]
内容積2500mLのステンレス製撹拌機付き耐圧反応器に、キシレンの590gと、エタノールの170gと、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)の129gと、エチルビニルエーテル(EVE)の206gおよびシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)の208gと、炭酸カルシウムの11gと、パーブチルパーピバレート(PBPV)の3.5gとを仕込み、窒素による脱気により液中の溶存酸素を除去した。
次に、フルオロオレフィンであるクロロトリフルオロエチレン(CTFE)の660gを導入して徐々に昇温し、温度65℃に維持しながら反応を続けた。10時間反応させた後、反応器を水冷して反応を停止した。該反応液を室温まで冷却した後、未反応モノマーをパージし、得られた反応液を珪藻土で濾過して固形物を除去した。次に、キシレンの一部とエタノールを減圧留去により除去し、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)のキシレン溶液(不揮発分60%)を得た。
得られた含フッ素重合体(A−1)の組成は、CTFEに基づく構成単位/CHVEに基づく構成単位/EVEに基づく構成単位/HBVEに基づく構成単位(モル%)=50/15/25/10であった。また、含フッ素重合体(A−1)は、水酸基価が52.5mgKOH/gであり、数平均分子量は20,000であった。
[比較製造例2:含フッ素重合体(A−2)の製造]
本例では、水酸基価が100mgKOH/gより大きい含フッ素重合体を製造した。
3−エトキシプロピオン酸エチルの600部、エタノールの170部、シクロへキシルビニルエーテル(CHVE)の60部、エチルビニルエーテル(EVE)の90部、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)の400部、炭酸カリウムの5部、およびパーブチルPV(日油(株)製、有機過酸化物)の10部を、オートクレーブ内に入れ、密閉、脱気操作を行った後に、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)の680部をオートクレーブ内に仕込み、75℃で17時間重合を行った。反応後、ろ過により炭酸カリウムを除去し、濃度調整を行うことで、水酸基含有含フッ素重合体(A−2)の3−エトキシプロピオン酸エチル溶液(不揮発分70質量%)を得た。
得られた含フッ素重合体(A−2)の組成は、CTFEに基づく構成単位/CHVEに基づく構成単位/EVEに基づく構成単位/HBVEに基づく構成単位(モル%)=50/5/10/35であった。また、含フッ素重合体(A−2)は、水酸基価が160mgKOH/gであり、数平均分子量は5,000であった。
<ポリエステル重合体(B1)の製造>
[製造例3:ポリエステル重合体(B−1)の製造]
内容積250mLのステンレス鋼製撹拌機付きオートクレーブに、アジピン酸の45.5gと、ネオペンチルグリコールの25.0gと、ブチルエチルプロパンジオールの12.5gと、トリメチロールプロパンの4.5gと、キシレンの2.0gを仕込み、温度を100℃から徐々に昇温し、250℃で4時間、エステル化反応を行った。その後、触媒として、三酸化アンチモン0.01gを添加し、0.5mmHg以下に減圧し、280℃で3時間、重縮合反応を行った。
得られたポリエステル重合体(B−1)の組成は、アジピン酸に基づく構成単位/ネオペンチルグリコールに基づく構成単位/ブチルエチルプロパンジオールに基づく構成単位/トリメチロールプロパンに基づく構成単位(モル%)=47/36/12/5であった。
ポリエステル重合体(B−1)の数平均分子量(Mn)は2,500であった。水酸基価は、77.2mgKOH/g、酸価は、5.0mgKOH/gであった。
[比較製造例4:ポリエステル重合体(B−2)の製造]
本例では、芳香族骨格を有し水酸基価が90mgKOH/gより大きいポリエステル重合体を製造した。
内容積250mLのステンレス鋼製撹拌機付きオートクレーブに、イソフタル酸の45.5gと、ネオペンチルグリコールの25.0gと、ブチルエチルプロパンジオールの11.0gと、トリメチロールプロパンの4.5gと、キシレンの2.0gを仕込み、温度を100℃から徐々に昇温し、250℃で4時間、エステル化反応を行った。その後、触媒として、三酸化アンチモン0.01gを添加し、0.5mmHg以下に減圧し、280℃で3時間、重縮合反応を行った。
得られたポリエステル重合体(B−2)の組成は、イソフタル酸に基づく構成単位/ネオペンチルグリコールに基づく構成単位/ブチルエチルプロパンジオールに基づく構成単位/トリメチロールプロパンに基づく構成単位(モル%)=44/39/11/6であった。
得られたポリエステル重合体(B−2)の数平均分子量(Mn)は2,500であった。また、水酸基価は、111.2mgKOH/g、酸価は、5.0mgKOH/gであった。
<塗料組成物の製造>
[実施例1:塗料組成物Iの製造]
製造例1で得られた含フッ素重合体(A−1)のキシレン溶液(不揮発分60%)の50.1gと製造例3で得られたポリエステル重合体(B−1)の70.0gに、顔料(E)である酸化チタン(堺化学社製、商品名「D−918」)の50g、キシレンの43g、酢酸ブチルの43gを加え、さらに、直径1mmのガラスビーズの250gを加えて、ペイントシェーカーで2時間撹拌した。撹拌後、濾過を行ってガラスビーズを取り除き、中間組成物を得た。
次に、該中間組成物に、硬化剤(C)であるHDIヌレートタイプのポリイソシアネート樹脂(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートHX」、イソシアネート含有量21.0%)の36.4gと、硬化触媒であるジブチルチンジラウレート(キシレンで4〜10倍に希釈して3gとしたもの。)とを、さらに加えて混合し、塗料組成物Iを得た。
本例において、塗料組成物に含まれる、含フッ素重合体(A−1)とポリエステル重合体(B−1)との質量比(A/B)は約30/70である。塗料組成物(100質量%)に対して、溶剤(D)の含有量は35.9質量%であり、含フッ素重合体(A−1)とポリエステル重合体(B−1)の合計の含有量は33.9質量%である。
含フッ素重合体(A−1)とポリエステル重合体(B−1)の合計100質量部に対して、硬化剤(C)は36.3質量部である。また、含フッ素重合体(A)中の水酸基とポリエステル重合体(B)中の水酸基の合計1モルに対して、硬化剤(C)のイソシアネート基は1.0倍モルである。
[比較例1:塗料組成物IIの製造]
比較製造例2で得られた含フッ素重合体(A−2)の3−エトキシプロピオン酸エチル溶液(不揮発分70%)の42.9gと製造例3で得られたポリエステル重合体(B−1)の70.0gに、顔料(E)である酸化チタン(堺化学社製、商品名「D−918」)の50g、キシレンの43g、酢酸ブチルの43gを加え、さらに、直径1mmのガラスビーズの250gを加えて、ペイントシェーカーで2時間撹拌した。撹拌後、濾過を行ってガラスビーズを取り除き、中間組成物を得た。
次に、該中間組成物に、硬化剤(C)であるHDIヌレートタイプのポリイソシアネート樹脂(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートHX」、イソシアネート含有量21.0%)の36.4gと、硬化触媒であるジブチルチンジラウレート(キシレンで4〜10倍に希釈して3gとしたもの。)とをさらに加えて混合し、塗料組成物IIを得た。
本例において、塗料組成物に含まれる、含フッ素重合体(A−2)とポリエステル重合体(B−1)との質量比(A/B)は約30/70である。塗料組成物(100質量%)に対して、溶剤(D)の含有量は34.4質量%であり、含フッ素重合体(A−2)とポリエステル重合体(B−1)の合計の含有量は34.7質量%である。
含フッ素重合体(A−2)とポリエステル重合体(B−1)の合計100質量部に対して、硬化剤(C)は36.3質量部である。また、含フッ素重合体(A)中の水酸基とポリエステル重合体(B)中の水酸基の合計1モルに対して、硬化剤(C)のイソシアネート基は1.0倍モルである。
[比較例2:塗料組成物IIIの製造]
比較製造例2で得られた含フッ素重合体(A−2)の3−エトキシプロピオン酸エチル溶液(不揮発分70%)の42.9gと比較製造例4で得られたポリエステル重合体(B−2)の70.0gに、顔料(E)である酸化チタン(堺化学社製、商品名「D−918」)の50g、キシレンの43g、酢酸ブチルの43gを加え、さらに、直径1mmのガラスビーズの250gを加えて、ペイントシェーカーで2時間撹拌した。撹拌後、濾過を行ってガラスビーズを取り除き、中間組成物を得た。
次に、該中間組成物に、硬化剤(C)であるHDIヌレートタイプのポリイソシアネート樹脂(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートHX」、イソシアネート含有量21.0%)の44.9gと、硬化触媒であるジブチルチンジラウレート(キシレンで4〜10倍に希釈して3gとしたもの。)とをさらに加えて混合し、塗料組成物IIIを得た。
本例において、塗料組成物に含まれる、含フッ素重合体(A−2)とポリエステル重合体(B−2)との質量比(A/B)は約30/70である。塗料組成物(100質量%)に対して、溶剤(D)の含有量は33.4質量%であり、含フッ素重合体(A−2)とポリエステル重合体(B−2)の合計の含有量は33.8質量%である。
含フッ素重合体(A−2)とポリエステル重合体(B−2)の合計100質量部に対して、硬化剤(C)は44.7質量部である。また、含フッ素重合体(A)中の水酸基とポリエステル重合体(B)中の水酸基の合計1モルに対して、硬化剤(C)のイソシアネート基は1.0倍モルである。
<塗料組成物により形成した塗膜(硬化塗膜)の評価>
[試験例1]
クロメート処理したアルミニウム板の表面に、実施例1、比較例1、2で得られた塗料組成物I、II、IIIを、それぞれ乾燥塗膜の膜厚が30μmとなるように塗布して塗布層を形成した。その後、25℃の恒温室中で、1週間養生させることで、塗膜付き試験片I、II、IIIをそれぞれ作成した。
(評価方法)
得られた各塗膜付き試験片を試験片として以下の試験を実施した。その結果を下記表1に示す。
1.塗膜外観
塗膜表面の状態を目視にて判定した。
○:良好。塗膜の平滑性に優れ、はじきや塗れ性の不良などが確認されなかった。
×:不良。塗膜の平滑性が悪く、はじきや塗れ性の不良などが確認された。
2.塗膜の分離性
塗装板を切断し、塗膜断面を走査電子顕微鏡により断面観察を実施した。
また、層分離状態を、EDAX(エネルギー分散型X線分析装置)で分析し、含フッ素重合体中のフッ素のピーク、ポリエステル重合体中の炭素のピーク、酸化チタン中のチタンのピークを色分けすることで確認を行った。
塗膜の分離性を以下の基準にて評価した。
○:塗膜の表層に、含フッ素重合体を多く含む層(含フッ素重合体層)が確認された。
×:塗膜の表層に、含フッ素重合体を多く含む層(含フッ素重合体層)が確認されなかった。
<測定条件>
試験機;日本電子社製「JSM−5900LV」、
加速電圧;20kV、
倍率;10000倍、
測定前処理;JEOL社製オートファインコーター「JFC−1300」による、20mA、45秒の白金コート。
3.硬度
JIS K 5600−5−4(2009)に準拠した方法で塗膜の硬度(鉛筆硬度)を測定した。硬度Hは硬度Fよりも硬い。
4.耐衝撃性
JIS K 5600−5−3(2009)に準拠した方法で、塗膜の耐衝撃性試験を行い、以下の基準に従って評価した。おもり落下としては、デュポン式を採用し、おもり質量500g、高さ50cmの条件で実施した。
○:塗膜に割れ、損傷等が確認されなかった。
×:塗膜に割れ、損傷等が確認された。
5.密着性
JIS K 5600−5−6に準拠した方法(クロスカット法)で、クロメート処理したアルミニウム板との密着性を測定した。評価は、JIS K 5600−5−6の「表1.試験結果の分類」に従って、評価した。評価の値が小さいほど密着性が良いことを示す。また該密着性が良いほど、塗膜の形状追従性が良いことを意味する。
6.耐候性
沖縄県那覇市の屋外に試験板を設置し、設置直前と、3年後における塗膜表面の光沢を、PG−1M(光沢計:日本電色工業社製)を用いて測定した。設置直前の光沢の値を100%としたときの、2年後の光沢の値の割合を光沢保持率(単位:%)として算出し、以下の基準に従って耐候性を評価した。
○:光沢保持率が80%以上であった。
△:光沢保持率が60%以上80%未満であった。
×:光沢保持率が60%未満であった。
Figure 2014218630
表1に示すように、実施例1の塗料組成物Iから得られた塗膜は、塗膜表層に含フッ素重合体(A)を多く含む層が観察され、塗膜の最下層にはポリエステル(B)のみからなる層が存在しており、硬度、耐衝撃性、密着性、および耐候性に優れていた。
一方、含フッ素重合体(A)の水酸基価が100mgKOH/gより大きい比較例1の塗料組成物II、または含フッ素重合体(A)の水酸基価が100mgKOH/gより大きく、かつポリエステル重合体(B)が芳香族環骨格を有し、水酸基価が90mgKOH/gより大きい比較例2の塗料組成物IIIは、塗膜が、含フッ素重合体(A)を多く含む部分とポリエステル重合体(B)を多く含む部分が海島構造を形成しており、硬度、耐衝撃性、密着性、および耐候性が劣っていた。
本発明により、1コート塗装で、塗膜の乾燥、硬化過程で含フッ素重合体層とポリエステル層が層分離し、耐候性に優れ、基体への追従性に優れるとともに、基体から剥離し難い塗膜を形成できる塗料組成物、および該塗料組成物を使用した風力発電機のブレードまたは集風体の製造方法を提供できる。
11 ブレード基体
12 塗膜
12A 塗布層
130、160 風力発電機のブレード
170 風力発電機の集風体

Claims (11)

  1. 水酸基を有し、水酸基価が5〜100mgKOH/gである含フッ素重合体(A)と、分子中に芳香族環骨格を有しておらず、水酸基を有し、水酸基価が10〜90mgKOH/gであるポリエステル重合体(B)と、イソシアネート系硬化剤(C−1)、ブロック化イソシアネート系硬化剤(C−2)およびアミノ樹脂(C−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤(C)と、溶剤(D)とを含有することを特徴とする塗料組成物。
  2. 前記ポリエステル重合体(B)が、炭素原子数2〜10の飽和2官能性カルボン酸化合物と炭素原子数2〜10の2〜4官能性アルコール化合物との脱水縮合物である、請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 前記ポリエステル重合体(B)が、前記炭素原子数2〜10の飽和2官能性カルボン酸化合物由来の構成単位を、全構成単位に対して30〜60モル%含有し、かつ数平均分子量が500〜5,000である、請求項2に記載の塗料組成物。
  4. 前記含フッ素重合体(A)とポリエステル重合体(B)の質量比(A)/(B)が、60/40〜15/85である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  5. 前記硬化剤(C)の含有量が、前記含フッ素重合体(A)とポリエステル重合体(B)の合計100質量部に対して10〜100質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  6. さらに顔料(E)を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  7. 風力発電機の表面塗装用である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  8. 風力発電機のブレード表面に、請求項7に記載の塗料組成物を塗布して塗布層を形成する工程と、該塗布層中の溶剤(D)を除去するとともに該塗布層を硬化させて塗膜を形成する工程を有する、風力発電機のブレードの製造方法。
  9. 風力発電機の集風体表面に、請求項7に記載の塗料組成物を塗布して塗布層を形成する工程と、該塗布層中の溶剤(D)を除去するとともに該塗布層を硬化させて塗膜を形成する工程を有する、風力発電機の集風体の製造方法。
  10. 請求項7に記載の塗料組成物から得られた塗膜を表面に有する、風力発電機のブレード。
  11. 請求項7に記載の塗料組成物から得られた塗膜を表面に有する、風力発電機の集風体。
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