JP2014216249A - ナトリウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで高いエネルギー密度を実現可能なナトリウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】本発明は、正極、負極、及び、ナトリウムイオンを含有する電解質を備えるナトリウムイオン二次電池に関し、特に前記正極はNa2MO3(Mは少なくとも1種以上の遷移金属元素)で表わされるナトリウム含有複合金属酸化物を含む活物質を有する電極である。これにより、高価なリチウム等のレアメタルを用いることなく、ナトリウムイオン2当量が脱挿入する2電子正極反応を実現することで、低コストで高いエネルギー密度を確保できる。
【選択図】図3
【解決手段】本発明は、正極、負極、及び、ナトリウムイオンを含有する電解質を備えるナトリウムイオン二次電池に関し、特に前記正極はNa2MO3(Mは少なくとも1種以上の遷移金属元素)で表わされるナトリウム含有複合金属酸化物を含む活物質を有する電極である。これにより、高価なリチウム等のレアメタルを用いることなく、ナトリウムイオン2当量が脱挿入する2電子正極反応を実現することで、低コストで高いエネルギー密度を確保できる。
【選択図】図3
Description
本発明は、正極、負極及びナトリウムを含有する電解質を備えるナトリウムイオン二次電池の技術分野に関する。
高エネルギー蓄電デバイスとして、金属の酸化還元電位を利用し充放電を行う二次電池が知られている。一般的に、二次電池は正極、負極、及び、電解質を備えて構成され、近年は特に、リチウムイオンを含有する電解質を利用したリチウムイオン二次電池が高いエネルギー密度を有することから、様々な用途への普及が進んでいる。
リチウムイオン二次電池では資源に乏しいリチウムを使用するため、コストが高くなる傾向がある。そこで、リチウムに代えて、豊富な資源量を有するナトリウムを電解質に使用することで、低コスト化が期待されるナトリウムイオン二次電池の開発が進められている。一方で、リチウム元素が原子量1.01g/molであるのに対して、ナトリウム元素の原子量は6.94g/molと重く、また金属の酸化還元電位の関係から発生電位も0.3V低くなるため、一般的にナトリウムイオン二次電池のエネルギー密度は、リチウムイオン二次電池に比べて低くなる傾向がある。
このようにナトリウムイオン二次電池ではコスト面でのメリットがある一方で、その普及にはエネルギー密度の向上が必要とされている。ナトリウムイオン二次電池におけるエネルギー密度を向上させるためには、正極に用いられる活物質材料の開発が必要とされており、例えば特許文献1及び2には、次式
LiaAbMcOd (3)
(AはNa及びKからなる群より選ばれる1種以上の元素、Mは1種以上の遷移金属元素を表わし、0<a≦1.5、0≦b<1.5、0<c≦3、0<d≦6、且つ、0<a+b≦1.5である。)
で表わされるリチウム含有複合金属酸化物を正極活物質として使用した例が開示されている。
LiaAbMcOd (3)
(AはNa及びKからなる群より選ばれる1種以上の元素、Mは1種以上の遷移金属元素を表わし、0<a≦1.5、0≦b<1.5、0<c≦3、0<d≦6、且つ、0<a+b≦1.5である。)
で表わされるリチウム含有複合金属酸化物を正極活物質として使用した例が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1及び2では、コストの高いリチウムを含有する酸化物を正極活物質に含んでいるため、コスト的に有利であるという、ナトリウムイオン二次電池のメリットを十分に得ることができない。
またナトリウムイオン二次電池において、リチウムを含有しない正極活物質としてNaMO2(Mは遷移金属)が知られている。この正極活物質を用いた正極では、次式
Na+ + e− ←→ NaMO2 (4)
で表わされる理論反応式に基づいて電荷が得られる。この式(4)に示されるように、従来の正極活物質では、ナトリウムイオンが1当量だけ脱挿入する1電子正極反応であり、これもまたナトリウムイオン二次電池において高エネルギー密度化が難しい一因となっている。
Na+ + e− ←→ NaMO2 (4)
で表わされる理論反応式に基づいて電荷が得られる。この式(4)に示されるように、従来の正極活物質では、ナトリウムイオンが1当量だけ脱挿入する1電子正極反応であり、これもまたナトリウムイオン二次電池において高エネルギー密度化が難しい一因となっている。
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、低コストで高いエネルギー密度を実現可能なナトリウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明に係るナトリウムイオン二次電池は上記課題を解決するために、正極、負極、及び、ナトリウムイオンを含有する電解質を備えるナトリウムイオン二次電池であって、前記正極は、次式
Na2MO3(Mは少なくとも1種以上の遷移金属元素) (1)
で表わされるナトリウム含有複合金属酸化物を含む活物質を有する電極であることを特徴とする。
Na2MO3(Mは少なくとも1種以上の遷移金属元素) (1)
で表わされるナトリウム含有複合金属酸化物を含む活物質を有する電極であることを特徴とする。
本発明によれば、正極活物質としてNa2MO3を用いることにより、高コストとなるリチウム等のレアメタルを使用することなく、ナトリウムイオン二次電池を構成することができる。また正極活物質Na2MO3を用いた正極では、次式
2Na+ + 2e− ←→ Na2MO3 (2)
で示される理論反応式に基づいて電荷が得られる。この反応式は、ナトリウムイオン2当量が脱挿入する2電子正極反応であり、(1)式で示した従来例に比べて多くの電荷を得ることができ、高いエネルギー密度を実現することができる。
2Na+ + 2e− ←→ Na2MO3 (2)
で示される理論反応式に基づいて電荷が得られる。この反応式は、ナトリウムイオン2当量が脱挿入する2電子正極反応であり、(1)式で示した従来例に比べて多くの電荷を得ることができ、高いエネルギー密度を実現することができる。
本発明の一態様では、前記(1)式で表わされるナトリウム含有複合金属酸化物は、次式
Na1+x[Na1/3−xM2/3]O2(但し、0<x<1/3) (2)
で表わされる固溶体を含んでもよい。
Na1+x[Na1/3−xM2/3]O2(但し、0<x<1/3) (2)
で表わされる固溶体を含んでもよい。
本発明の他の態様では、前記遷移金属元素は元素周期表の第4周期に属する元素である。
この態様によれば、元素周期表の第4周期から第7周期に亘って分布する遷移金属のうち、原子量の小さな第4周期に属する遷移金属を使用することで、よりエネルギー密度の高いナトリウムイオン二次電池を実現することができる。
尚、これは原子量の小さな遷移金属を使用するに従ってエネルギー密度を向上できることを主旨とするものであり、第7周期に属する遷移金属に比べて第6周期に属する遷移金属が好ましく、第6周期に属する遷移金属に比べて第5周期に属する遷移金属が好ましく、第5周期に属する遷移金属に比べて第4周期に属する遷移金属が好ましい。
この態様によれば、元素周期表の第4周期から第7周期に亘って分布する遷移金属のうち、原子量の小さな第4周期に属する遷移金属を使用することで、よりエネルギー密度の高いナトリウムイオン二次電池を実現することができる。
尚、これは原子量の小さな遷移金属を使用するに従ってエネルギー密度を向上できることを主旨とするものであり、第7周期に属する遷移金属に比べて第6周期に属する遷移金属が好ましく、第6周期に属する遷移金属に比べて第5周期に属する遷移金属が好ましく、第5周期に属する遷移金属に比べて第4周期に属する遷移金属が好ましい。
本発明によれば、ナトリウムイオン二次電池においてNa2MO3で表わされる正極活物質を使用することによって、ナトリウムイオン2当量が脱挿入する2電子正極反応を実現できる。その結果、高価なリチウム等のレアメタルを用いることなく、低コストで高いエネルギー密度を有するナトリウムイオン二次電池を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
本実施例ではナトリウム含有複合金属酸化物Na2MO3を正極用活物質として使用したナトリウムイオン二次電池について具体的に説明する。まず、ナトリウムイオン二次電池を構成する、電解質、正極、負極等の各構成要素について説明する。
(電解質)
ナトリウムイオン二次電池では、アルカリイオンとして主にナトリウムイオンを含有する固体又は液体の非水電解質が使用される。非水電解質には、ナトリウムイオン以外のアルカリイオンが含有されていてもよいが、二次電池の製造コストを抑制するために、リチウムのような、いわゆるレアメタル材料は使用しないことが望ましい。
ナトリウムイオン二次電池では、アルカリイオンとして主にナトリウムイオンを含有する固体又は液体の非水電解質が使用される。非水電解質には、ナトリウムイオン以外のアルカリイオンが含有されていてもよいが、二次電池の製造コストを抑制するために、リチウムのような、いわゆるレアメタル材料は使用しないことが望ましい。
非水電解質として電解液を用いる場合には、有機溶媒として、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、イソプロピルメチルカーボネート、ビニレンカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタン等のカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドン等のカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンスルトン等の含硫黄化合物;または上記の有機溶媒にさらにフッ素置換基を導入したものを用いることができる。
有機溶媒に溶解される電解質としては、例えば、NaClO4、NaPF6、NaAsF6、NaSbF6、NaBF4、NaCF3SO3、NaN(SO2CF3)2、低級脂肪族カルボン酸ナトリウム塩、NaAlCl4等を用いることができる。
電解質として電解液に代えて固体電解質を用いる場合には、例えば、ポリエチレンオキサイド系の高分子、ポリオルガノシロキサン鎖およびポリオキシアルキレン鎖から選ばれる少なくとも1種以上を含む高分子等の高分子固体電解質に電解液を保持させた、いわゆるゲルタイプの電解質や、Na2S−SiS2、Na2S−GeS2、Na2S−P2S5、Na2S−B2S3、Na2S−SiS2−Na3PO4、Na2S−SiS2−Na2SO4等の硫化物含有電解質;NaZr2(PO4)3等のNASICON型電解質;等の無機固体電解質を用いることができる。
(正極)
ナトリウムイオン二次電池に使用される正極は、正極活物質、導電材およびバインダーを含む正極合剤を、正極集電体に担持して構成される。ここで正極活物質はナトリウム含有複合金属酸化物Na2MO3(固溶体であるNa1+x[Na1/3−xM2/3]O2(但し、0<x<1/3)を含む)を含有している。Mは元素周期表に属する任意の遷移金属元素である。
ナトリウムイオン二次電池に使用される正極は、正極活物質、導電材およびバインダーを含む正極合剤を、正極集電体に担持して構成される。ここで正極活物質はナトリウム含有複合金属酸化物Na2MO3(固溶体であるNa1+x[Na1/3−xM2/3]O2(但し、0<x<1/3)を含む)を含有している。Mは元素周期表に属する任意の遷移金属元素である。
遷移金属は元素周期表の第4周期から第7周期に亘って存在しているが、高いエネルギー密度を得るために、より小さな周期に属する遷移金属を用いることが好ましい。これは原子量の小さな遷移金属を使用するにつれてエネルギー密度の向上が期待できるためである。そのため、本実施例に係るナトリウム含有複合金属酸化物Na2MO3に使用される遷移元素は、第7周期に属する遷移金属に比べて第6周期に属する遷移金属が好ましく、第6周期に属する遷移金属に比べて第5周期に属する遷移金属が好ましく、第5周期に属する遷移金属に比べて第4周期に属する遷移金属が好ましい。
また、二次電池の製造コストの観点から言えば、MnやFe等の安価な遷移金属を用いることが好ましい。
また、二次電池の製造コストの観点から言えば、MnやFe等の安価な遷移金属を用いることが好ましい。
正極に使用される導電材としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック等の炭素材料がある。
バインダーは例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体等のフッ素樹脂;およびポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等を用いることができる。
正極に使用される集電体としては、Al、Ni、ステンレス等を用いることができる。
(負極)
ナトリウムイオン二次電池に使用される負極は、負極材料及びバインダーを含む負極合剤が負極集電体に担持されて構成される。負極材料としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物等)、窒化物、金属または合金であって、正極に比べて低い電位で、ナトリウムイオンを脱挿入またはナトリウムイオンと合金化できる材料を用いることができる。
ナトリウムイオン二次電池に使用される負極は、負極材料及びバインダーを含む負極合剤が負極集電体に担持されて構成される。負極材料としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物等)、窒化物、金属または合金であって、正極に比べて低い電位で、ナトリウムイオンを脱挿入またはナトリウムイオンと合金化できる材料を用いることができる。
炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、高分子焼成体等が挙げられる。酸化物の例としては、Li4Ti5O12等が挙げられる。硫化物の例としては、TiS2、NiS2、FeS2、Fe3S4等が挙げられる。窒化物の例としては、Li3N、Li2.6Co0.4N等のLi3−XMxN(但し、Mは遷移金属元素、0≦X≦3)、Na3N、Na2.6Co0.4N等のNa3−XMXN(但し、Mは遷移金属元素、0≦X≦3)等が挙げられる。
金属としては、具体的には、ナトリウム金属、シリコン金属、スズ金属、ビスマス金属、ゲルマニウム金属等が挙げられる。合金の例としては、前記負極材料として例示された金属からなる合金や、Na−Al、Na−Ni、Na−Si等のナトリウム合金;Si−Zn等のシリコン合金;Sn−Mn、Sn−Co、Sn−Ni、Sn−Cu、Sn−La等のスズ合金;Cu2Sb、La3Ni2Sn7等の合金が挙げられる。
バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、熱可塑性ポリイミド、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム等を用いることができる。
負極に使用される集電体の例としては、Cu、Ni、ステンレス、Al等が挙げられる。
(セパレータ)
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体等の材質からなる、多孔質フィルム、不織布、織布等の形態を有する材料を用いることができる。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体等の材質からなる、多孔質フィルム、不織布、織布等の形態を有する材料を用いることができる。
(ナトリウムイオン二次電池の構成)
本実施例に係るナトリウムイオン二次電池は、上述した正極、負極およびセパレータを順に積層又は巻回したものをケーシング内に収納し、そこに電解液を注入して製造される。尚、電解質として固体電解質を用いる場合には、例えば、正極、固体電解質、負極および固体電解質を順に積層又は巻回したものをケーシング内に収納することで、製造される。
本実施例に係るナトリウムイオン二次電池は、上述した正極、負極およびセパレータを順に積層又は巻回したものをケーシング内に収納し、そこに電解液を注入して製造される。尚、電解質として固体電解質を用いる場合には、例えば、正極、固体電解質、負極および固体電解質を順に積層又は巻回したものをケーシング内に収納することで、製造される。
(実施例)
ここでは正極活物質としてナトリウム含有複合金属酸化物Na2MO3の一例であるNa2RuO3を用いて製造したナトリウムイオン二次電池について、電気化学的特性を検証した結果を説明する。
Na2RuO3は公知の固相反応によって合成しており、NaHCO3とRuO2とを遊星ボールミルで、3時間かけてアセトンと混合した。前駆体混合物は乾燥後、管状炉でアルゴンガス雰囲気下で850℃で12時間かけて焼成した。生成されたNa2RuO3は強い吸湿性を有するため不活性ガスであるアルゴンガスで充填されたグローブボックス(露点−110℃未満)内にて管理した。
ここでは正極活物質としてナトリウム含有複合金属酸化物Na2MO3の一例であるNa2RuO3を用いて製造したナトリウムイオン二次電池について、電気化学的特性を検証した結果を説明する。
Na2RuO3は公知の固相反応によって合成しており、NaHCO3とRuO2とを遊星ボールミルで、3時間かけてアセトンと混合した。前駆体混合物は乾燥後、管状炉でアルゴンガス雰囲気下で850℃で12時間かけて焼成した。生成されたNa2RuO3は強い吸湿性を有するため不活性ガスであるアルゴンガスで充填されたグローブボックス(露点−110℃未満)内にて管理した。
図1は上記製法によって得られたNa2RuO3のX線粉末回折分析結果を示す図である。この分析は、15−90°の2θの範囲に亘って0.02°間隔でCo
Kα線を用いて実施した。XRDパターンは六方晶R-3mとして示され、算出された単位胞パラメータはa=3.1130(9)Å、c=15.966(7)Å、及び、V=134.00(8)Å3であった。これらの値は、先行文献(K.
M. Mogare, K. Friese, W. Klein, M. Jansen, Z. Anorg. Allg. Chem. 2004, 630)における値(a=3.12360(5)Å、c=16.0370(4)Å、及び、V=135.003(3)Å3)とも一致しており、Na2RuO3が適切に合成されていることが示された。
この先行文献によれば、Na2RuO3のXRDパターンは、六方晶相として示すことができないd〜4.6Å(Co Kαにおいて2θ=22°)において、拡散した弱いピークを示しており、これは[Na1/3Ru2/3O2]スラブにおけるNaとRuの部分的秩序に起因するものである。しかしながら、図1に示すように、本実施例で得られたXRDパターンは、カチオン秩序による拡散ピークを示しておらず、これは[Na1/3Ru2/3O2]スラブで混合される均質なカチオン混合を暗示している。
Kα線を用いて実施した。XRDパターンは六方晶R-3mとして示され、算出された単位胞パラメータはa=3.1130(9)Å、c=15.966(7)Å、及び、V=134.00(8)Å3であった。これらの値は、先行文献(K.
M. Mogare, K. Friese, W. Klein, M. Jansen, Z. Anorg. Allg. Chem. 2004, 630)における値(a=3.12360(5)Å、c=16.0370(4)Å、及び、V=135.003(3)Å3)とも一致しており、Na2RuO3が適切に合成されていることが示された。
この先行文献によれば、Na2RuO3のXRDパターンは、六方晶相として示すことができないd〜4.6Å(Co Kαにおいて2θ=22°)において、拡散した弱いピークを示しており、これは[Na1/3Ru2/3O2]スラブにおけるNaとRuの部分的秩序に起因するものである。しかしながら、図1に示すように、本実施例で得られたXRDパターンは、カチオン秩序による拡散ピークを示しておらず、これは[Na1/3Ru2/3O2]スラブで混合される均質なカチオン混合を暗示している。
図2は本実施例で得られたNa2RuO3のSEM像であり、約500nmの主粒子を構成する約1−5μmの二次粒子を示している。尚、このSEM像はHitachi S−4800 SEM unit(2kV)を用いて得た。
本実施例で電気化学的測定に用いた正極ペレットは、85質量%のNa2RuO3、10質量%のアセチレンブラック、及び、5質量%のポリテトラフルオロエチレンを混合して形成した。ペレットは約10mgをTiメッシュの集電体に載せ、プレスした。
電気化学的測定は、3電極ビーカー型セルを使用して実施した。ナトリウム金属は対極及び参照極として使用され、1MのNaClO4のプロピレンカーボネート(PC)溶液を電解液として使用した。
電気化学的測定は、3電極ビーカー型セルを使用して実施した。ナトリウム金属は対極及び参照極として使用され、1MのNaClO4のプロピレンカーボネート(PC)溶液を電解液として使用した。
図3は本実施例に係るナトリウムイオン二次電池の定電流充放電特性を示すグラフである。尚、図3に示す充放電曲線は、一定電流(=27[mA/g]=C/5)で充放電した際に二次電池の端子電圧を測定することによって得られたものであり、それぞれ20サイクル繰り返し測定した結果を示している。
充電曲線(a)は充電が進行するに従って、初期状態において下限値(=約1.5V)にある端子電圧が次第に上昇し、上限値(=約4.0V)に到達する様子を示している。一方、放電曲線(b)は初期状態において上限値(=約4.0V)にある端子電圧が次第に低下し、下限値(=約1.5V)に到達する様子を示している。これら充放電曲線は充放電容量の中間値付近において、互いに略対称的に交差しており、非常に優れた充放電特性を示す結果が得られている。
特に注目すべきは、充放電容量の最大値が従来のナトリウム含有複合金属酸化物における一電子反応で得られる理論容量を超えている点である。ここで、従来のナトリウム含有複合金属酸化物と同様な、次式
Na2RuO3 ←→ NaRuO3 + Na+ + e− (5)
で示す一電子反応が行われると仮定すると、その理論容量はNa2RuO3の分子量がM(=195)、次式
26801/M [mAh/g]=137 [mAh/g] (6)
より求められる。
Na2RuO3 ←→ NaRuO3 + Na+ + e− (5)
で示す一電子反応が行われると仮定すると、その理論容量はNa2RuO3の分子量がM(=195)、次式
26801/M [mAh/g]=137 [mAh/g] (6)
より求められる。
図3に示すように、本実施例では、充放電容量の最大値は約150[mAh/g]近傍に達しており、明らかに理論容量である137[mAh/g]より大きい値が確認された。更に、20サイクルの充放電を繰り返した後においても、依然として理論容量より大きな充放電容量を示しており、本実施例に係るナトリウムイオン二次電池の良好な特性を証明している。
図3では、電圧(V)に対する容量(Q)の導関数dQ/dVを共にプロットしているが、Na/Na+に対して約2.0〜3.7Vの間で酸化還元反応が生じており、また、特徴的なdQ/dVのピークが2.6V近傍に現れている。この結果によれば、Na2−xRuO3の固体相の酸化還元がネルンスト型の固溶体プロセスを通じて進行するのではなく、構造変化を伴うことを示している。
充放電における平均電圧はNa/Na+に対して2.8V(NHEに対して0.1V)であり、Li2−xRuO3(0<x<1,Ru5+/Ru4+)におけるLi/Li+に対する3.5V(NHEに対して0.5V)に比べて低い。これは、大きなナトリウムイオン(1.02Å)が小さなリチウムイオン(0.76Å)に比べて[Na1/3Ru2/3O2]層間の8面体サイトの占有安定性が、より不安定的であることに由来する。不安定な占有は高い化学ポテンシャルとなるべきであり、これにより、ナトリウムイオン系における酸化還元電圧が低下する。それに代えて又は並行して、六方晶のNa2RuO3における、8面体のRuO6の部分的に充填されたt2g(π)バンドの位置は、単斜晶のLi2RuO3における、三方ひずみのRuO6の部分的に充填されたalg(π)バンドとeg(π)バンドに比べて高くなり得、ナトリウムイオン系における酸化還元電圧が低くなる。
図4は正極活物質としてNa2RuO3を用いたナトリウムイオン二次電池のサイクル特性を示すグラフであり、横軸は充放電サイクル数を示しており、縦軸は充放電容量を示している。図4において三角シンボルは、図3に示す各サイクルの放電特性曲線において電圧が所定の下限値(=1.5V)に到達した際の放電容量をプロットしたものであり、四角シンボルは図3に示す各サイクルの充電特性曲線において電圧が所定の上限値(=4.0V)に到達した際の放電容量をプロットしたものである。
図4に示すように、本実施例に係るナトリウムイオン二次電池では、20サイクルに亘って充放電を繰り返したとしても、充放電容量は大きな低下を示さない、良好な結果が得られた。特に、20サイクル後の放電容量は142[mAh/g]であり、初期放電容量の約97%を維持していることが確認できた。
図5は複数の放電速度における放電容量の変化を示すグラフであり、横軸は放電容量を示し、縦軸は電圧を示している。放電速度は6段階に設定されている。尚、xCはナトリウムイオン二次電池を(1/x)時間かけて全放電させる際の放電速度に対応しており、10C、5C、2C、1C、C/2、C/5の順で放電速度は遅くなる。
尚、二次電池において、これらの放電速度で放電容量を測定する際には、一定の充電速度(C/5)で充電して繰り返し測定した。
尚、二次電池において、これらの放電速度で放電容量を測定する際には、一定の充電速度(C/5)で充電して繰り返し測定した。
図5によれば、本実施例に係る二次電池では、放電速度1Cにおいて放電容量が134[mAh/g]となっており、非常に大きな放電容量を確保できていることが確認できた。また、放電速度を増大させた場合であっても、放電速度5Cで76[mAh/g]であり、放電速度10Cで42[mAh/g]という結果が得られた。これは、放電速度を増大させた場合であっても、大きな放電容量を確保できることを示しており、優れた充放電特性が得られている。尚、Na2RuO3の速い反応速度は、積層構造におけるナトリウムイオンの迅速な拡散、部分的に充填されたt2g(π)バンドを介した金属導電、及び、電極―電解液界面における低い脱溶媒和エネルギーに起因するものであると考えられる。
以上説明したように、ナトリウムイオン二次電池においてNa2MO3で表わされる正極活物質を使用することによって、ナトリウムイオン2当量が脱挿入する2電子正極反応を実現できる。その結果、高価なリチウム等のレアメタルを用いることなく、低コストで高いエネルギー密度を有するナトリウムイオン二次電池を得ることができる。
本発明は、正極、負極及びナトリウムを含有する電解質を備えるナトリウムイオン二次電池に利用可能である。
Claims (3)
- 正極、負極、及び、ナトリウムイオンを含有する電解質を備えるナトリウムイオン二次電池であって、
前記正極は、次式
Na2MO3(Mは少なくとも1種以上の遷移金属元素) (1)
で表わされるナトリウム含有複合金属酸化物を含む活物質を有する電極であることを特徴とするナトリウムイオン二次電池。 - 前記(1)式で表わされるナトリウム含有複合金属酸化物は、次式
Na1+x[Na1/3−xM2/3]O2(但し、0<x<1/3) (2)
で表わされる固溶体を含むことを特徴とする請求項1に記載のナトリウムイオン二次電池。 - 前記遷移金属元素は元素周期表の第4周期に属する元素であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウムイオン二次電池。
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