JP2014214410A - ポケット構造およびウェア - Google Patents

Abstract

【課題】ファスナーを閉じていない状態でも収納した小物が落下しにくく、ファスナーの開閉動作も迅速に行えるポケットおよびそのポケットを備えたウェアの提供。【解決手段】着用者Ｚの身体側に位置する布地である身体側布地、およびその身体側布地における着用者の身体とは反対側に位置する外側地によって身体側布地および外側地に挟まれた収納空間および直線状の開口を形成するポケット本体２０と、開口を開閉するファスナー本体３０と、を備えたポケット構造である。ファスナー本体は、開口の縁に沿って固定される基布と、その基布に固定された務歯部と、その務歯部を開閉させる開閉部材と、を備える。外側地は、外力による伸縮が無く可撓性のある硬質板材が前記の基布の全長を渡す輪郭を含んだ形状とする。このポケット構造を前身頃１１に採用したウェアも提供可能である。【選択図】図１

Description

本発明は、釣りやカヌーのアウトドアにて主に使用されるウェアに備えられるポケットの構造に関する。

海や川でのレジャー（釣り、カヌーなど）や仕事（漁業など）には、その目的に応じたアウターウェアを着用することが多い。 また、そのアウターウェアには、その目的において使用する道具類、小物類を収納するポケットを備えている。
ポケットには、収納した小物類が不用意に落下することを防ぐために、上蓋やボタン、ファスナーなどが採用されることが多い。ファスナーは、ポケットの開閉という機能面の他、直線や曲線をなすので、ウェアの外観上のアクセントにもなるという特徴があり、所定の分野におけるウェアにおいては好んで採用される。

特許文献１には、『所望の小物を迅速に取り出すことができ、収納された小物がポケット内で不測に移動することのない釣り用上着のポケット構造』が開示されている。ファスナーに沿って樹脂製パイプを縫製しているこの技術を採用すれば、ファスナーが曲線をなしていても、ファスナーのスライダーが動きやすい。
一方、ファスナーの開閉動作を優先させた場合、ファスナーは直線上であることが好ましい。

特許文献２には、『異物が絡みにくく開閉が容易なファスナーを有するレジャー用ベスト』が開示されている。 アウトドアにて使用されるウェアの場合、埃やゴミなどの異物がファスナーに絡んでしまうことがある。釣りに用いられるウェアの場合には、釣り糸や小道具などをファスナーに噛み込んでしまうことがある。こうしした事態を軽減するため、ファスターのスライダーを覆う樹脂製のカバー体を備えている。

特開２００８−１３８３０２号公報 特開２００１−２００４１２号公報

スピードを競う要素を含んだアウトドア競技（例えば釣り競技）では、所望する小物を迅速にポケットから取り出すのみではなく、取り出した小物の収納も迅速に行いたい。 さて、ポケットへ小物を収納した後、ファスナーを閉じれば小物が落下するおそれはない。
しかし、収納直後に再びその小物を使用することが分かっているような状況が少なくない。 そのため、競技者であるユーザからは、小物を取り出した後にファスナーを閉じることなく次の動作に移りたい、という要望は少なくない。

特許文献１に開示された技術では、ポケットへ収納した小物を取り出す動作は迅速に行えるが、ファスナーを閉じなければ収納した小物は落下しやすい。 特許文献２に開示されたファスターのスライダーを覆う樹脂製のカバー体を合わせて採用したとしても、ファスナーを閉じていない状態で小物が落下しやすい状態を改善することはできない。

本発明が解決すべき課題は、ファスナーを閉じていない状態であっても収納した小物が落下しにくく、ファスナーの開閉動作も迅速に行えるポケット、およびそのポケットを備えたウェアを提供することにある。

（第一の発明）
本願における第一の発明は、着用者(Z)の身体側に位置する布地である身体側布地(21)、およびその身体側布地(21)における着用者(Z)の身体とは反対側に位置する外側地(22)によって身体側布地(21)および外側地(22)に挟まれた収納空間(25)および直線状の開口(24)を形成するポケット本体(20)と、 前記の開口(24)を開閉するファスナー本体(30)と、を備えたポケット構造に係る。
前記のファスナー本体(30)は、前記の開口(24)の縁に沿って固定される基布(31)と、その基布(31)に固定された務歯部(32)と、その務歯部(32)を開閉させる開閉部材(33)と、を備え、 前記の外側地(22)は、外力による伸縮が無く可撓性のある硬質板材が前記の基布(31)の全長を渡す輪郭を含んだ形状にて形成する。

（用語説明）
「外側地(22)」は、外力による伸縮が無く可撓性のある硬質板材として、たとえば熱可塑性樹脂（ＡＢＳ，ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネートなど）を素材とした薄い板材とする。厚さは、０．３〜１．０ミリメートル程度である。
「基布(31)の全長を渡す輪郭を含む」とは、基布(31)に沿った部位がファスナー本体(30)における開閉部材(33)の動きを円滑にするため、開閉部材(33)が動いた際に基布(31)が長手方向にぶれる動きを抑制する趣旨であり、前記の素材やその厚さ寸法も、その趣旨を達するように選択され、設計される。 また、前記の趣旨を全うするため、外側地(22)の幅寸法は、開口(24)からポケット本体(20)における幅寸法（ファスナー本体(30)の長手方向に直角な寸法）に対して、最低でも四分の一から三分の一程度が必要である。

「外側地(22)」は、身体側布地(21)と袋体を形成する場合の他、身体側布地(21)と連続する外側下地(23)とで袋体を形成してその外側下地(23)に固定される場合がある。 外側下地(23)を備えた場合には、外側地(22)の形状の自由度が広がる。

（作用）
着用者(Z)が開閉部材(33)を基布(31)の長手方向に沿って務歯部(32)を開閉させる動作をした場合、外側地(22)が可撓性のある硬質板材なので、外側地(22)を備えた側の基布(31)が安定しており、開口(24)が直線状であることと相まって開閉動作が円滑となる。
また、収納空間(25)へ収納物(Y)を収納した場合には、外側地(22)が外力による伸縮が無く可撓性のある硬質板材なので撓むという変形はするものの、一般的な布地とは異なり、膨らんだりしない。 収納物(Y)は、着用者(Z)の身体と外側地(22)とに挟まれ、収納空間(25)において移動しにくい状態にあれば、開口(24)がファスナー本体(30)によって閉じられていなくても収納空間(25)から外へ出にくい。

（第一の発明のバリエーション１）
第一の発明は、前記の外側地(22)を覆って最外郭に位置する最外郭生地を備えることとしても良い。
たとえば、この「最外郭生地」と前記の身体側布地(21)とによって、外側地(22)を内包する構造でもよいし、外側地(22)を出し入れ可能な外側地用ポケットとして形成しても良い。

（作用）
外側地(22)は、可撓性のある硬質板材であるため、ウェアを構成した場合にその部分の外見が異質となる。その異質さをアクセントとしてデザインする場合には不要であるが、周囲と同質素材とするためなどにおいて、ナイロン生地やポリエステル生地などによる「最外郭生地」を備える。

（第一の発明のバリエーション２）
第一の発明は、前記の身体側布地(21)を伸縮性に優れた生地にて形成することとしても良い。
「伸縮性に優れた生地」とは、収納物(Y)の形状に適合して変形やすい生地であり、たとえば、メッシュ状の生地や、生地を構成する糸を一部にゴム糸とする、などである。

（作用）
外側地(22)は伸縮が無いが、身体側布地(21)が伸縮性に優れていれば、収納空間(25)に収納された収納物(Y)は挟まれた状態になり、開口(24)がファスナー本体(30)によって閉じられていなくても、あるいは着用者(Z)の身体と身体側布地(21)とが接していなくても、収納物(Y)が収納空間(25)から外へ出にくくなる。

（第二の発明）
第二の発明は、着用者(Z)の身体側に位置する布地である身体側布地(21)、およびその身体側布地(21)における着用者(Z)の身体とは反対側に位置する外側地(22)によって身体側布地(21)および外側地(22)に挟まれた収納空間(25)および直線状の開口(24)を形成するポケット本体(20)と、 前記の開口(24)を開閉するファスナー本体(30)と、を備えたポケット構造を、前身頃(11)に備えたウェア(10)に係る。
前記のファスナー本体(30)は、前記の開口(24)の縁に沿って固定される基布(31)と、その基布(31)に固定された務歯部(32)と、その務歯部(32)を開閉させる開閉部材(33)と、を備え、 前記の外側地(22)は、外力による伸縮が無く可撓性のある硬質板材が前記の基布(31)の全長を渡す輪郭を含んだ形状にて形成する。

本願に係るウェア(10)は、ポケット構造を前身頃(11)に備えることとしているが、前身頃(11)にもポケット構造を備えることを排除するものではない。

（第二の発明のバリエーション１）
第二の発明もまた第一の発明と同様に、前記の外側地(22)を覆って最外郭に位置する最外郭生地を備えることとしても良い。

（第二の発明のバリエーション２）
第二の発明は、更に、前記の身体側布地(21)を伸縮性に優れた生地にて形成することとしても良い。

第一の発明によれば、ファスナーを閉じていない状態であっても収納した小物が落下しにくく、ファスナーの開閉動作も迅速に行えるポケット構造を提供することができた。
第二の発明によれば、ファスナーを閉じていない状態であっても収納した小物が落下しにくく、ファスナーの開閉動作も迅速に行えるポケットを備えたウェアを提供することができた。

本発明に係る第一の実施形態を示す正面図（ａ）および背面図（ｂ）である。 本発明に係る第一の実施形態の主要部を示す部分拡大図である。 本発明に係る第二の実施形態の主要部を示す部分拡大図である。 本発明に係る第一の実施形態を側面から見た主要部の部分拡大図である。 本発明に係る第一の実施形態を側面から見た主要部の部分拡大図である。 本発明に係る第一の実施形態を背面から見た場合を示す背面図である。 本発明に係る第一の実施形態の主要部のバリエーションを示す斜視図である。

以下、本発明を複数の実施形態および図面に基づいて更に詳しく説明する。ここで使用する図面は、図１から図７である。
実施形態では、本願発明に係るウェアの例として鮎釣り用ベストを採用したが、本願発明のウェアおよびポケット構造が鮎釣り用ベストに限られるものではない。

図１には、ウェア本体１０である鮎釣り用ベストと、そのウェア本体１０を着用した着用者Ｚを示している。図１（ａ）は、ウェア本体１０における前身頃１１が、図１（ｂ）は、ウェア本体１０における後身頃１２が、それぞれ図示されている。
前身頃１１は、中央ファスナー１３によって前左見頃１１Ａおよび前右見頃１１Ｂとが結合し、着用者Ｚの身体にフィットする。

図１に示すように、前左見頃１１Ａおよび前右見頃１１Ｂには、それぞれ２つずつのポケット本体２０およびファスナー本体３０が備えられている。ポケット本体は、胸部分の細長いポケット本体２０と、腹部分の幅広のポケット本体２０であり、同じ構造をなす。その構造について、図２以後を用いて説明する。

図１および図２に示すように、ポケット構造は、ポケット本体２０とファスナー本体３０とからなる。 ポケット本体２０は、着用者Ｚの身体側に位置する布地である身体側布地２１、およびその身体側布地２１における着用者Ｚの身体とは反対側に位置する外側地２２によって身体側布地２１および外側地２２に挟まれた収納空間２５および開口２４を形成する。その開口２４を開閉するのがファスナー本体３０である。

ファスナー本体３０は、開口２４の縁に沿って固定される基布（「テープ」ともいう）３１と、その基布３１に固定された務歯部（「エレメント」ともいう）３２と、その務歯部３２を開閉させる開閉部材（「スライダー」、「滑り子」ともいう）３３と、を備える。 本実施形態における基布３１は直線的なものを採用しているが、曲線を描くものを採用することも可能である。
前記の外側地２２は、外力による伸縮が無く可撓性のある硬質板材が前記の基布３１の全長を渡す輪郭を含んだ形状にて形成している。

図３は、第二の実施形態に係るポケット構造である。第一の実施形態では、外側地２２の端部に対してファスナー本体３０の基布３１が縫い付けられているが、第二の実施形態では、外側下地２３が身体側布地２１（図４参照）とともに袋体を形成し、その外側下地２３に対して外側地２２を固定するという構造を採用している。この構造を採用すると、外側地２２の形状を自由に選択することができるというメリットがある。
ファスナー本体３０とは反対側に、中央をえぐるような湾曲をなす欠落部分を備えているが、この部分によって、デザイン上のアクセントとなるほか、ポケットの収納空間を広げ、収納物Ｙの形状に合わせて変形するという効果がある。

図４は、着用者Ｚが第一の実施形態に係るウェアを着用した状態を（ａ）に、ポケット構造の中へ鮎釣り用の道具である収納物Ｙを収納した状態を（ｂ）に示す。
外側地２２は、可撓性のある硬質板材であって変形しないので、収納物Ｙへの対応は身体側布地２１の伸縮による。すなわち、収納物Ｙは、身体側布地２１を介して着用者Ｚの身体と外側地２２とに挟まれた状態となる。このため、ファスナー本体３０の開閉部材３３によって開口２４が完全に閉じられていなくても、収納物Ｙが収納空間２５から外へ出てしまう事態が防止される。

なお、着用者Ｚが開閉部材３３を基布３１の長手方向に沿って務歯部３２を開閉させる動作をした場合、外側地２２が可撓性のある硬質板材なので、外側地２２を備えた側の基布３１が安定している。そのため、鮎釣りの競技など、開口２４の開閉動作が速くて激しくても開口２４の開閉動作は円滑に行える。
前述したように、開閉部材３３によって開口２４が完全に閉じられなくても、収納物Ｙが収納空間２５から外へ出てしまう事態が少ないので、着用者Ｚが競技者である場合にも、安心して競技に臨むことができる。

図５（ｂ）に示すように、着用者Ｚの身体の表面と身体側布地２１とが接触していなくても、身体側布地２１の伸縮性によって、収納物Ｙは、ある程度押さえられている。

図６では、着用者が前傾姿勢となった場合を（ａ）、その場合のポケット構造の拡大図を（ｂ）に示す。
（ｂ）に示すように開口２４がファスナー本体３０によって完全に閉じられていなくても、収納物Ｙが飛び出しにくい。

図７には、外側時２２の形状に関するバリエーションを示している。
図７（ａ）は、四角い打ち抜きを４カ所に備えている。図７（ｂ）は、図案化された文字が打ち抜かれた状態を示す。図７（ｃ）は、（ａ）に比べて大きな打ち抜きを円形で行っている。
打ち抜き部分は、デザインの自由度を高めているだけでなく、収納物Ｙの部位が引っかかりやすくなり、開口２４がファスナー本体３０によって完全に閉じられていなくても、収納物Ｙが飛び出しにくくなるという効果も期待できる。

図３におけるファスナー本体３０の右側部分は、それを構成する外側下地２３に対して外側地２２が固定されるが、左側部分は外側下地２３、つまり伸縮性のある素材で形成しても良い。この場合、ファスナー本体３０の右側部分が変形しにくいので、ファスナー開閉動作の円滑さは保持される。

本発明は、釣り用ウェアや釣り用具の製造業、アウトドア用品の製造業、救命具やスポーツウェアの製造業、アウトドアスポーツのインストラクター事業などにおいて、利用可能性を有する。

Ｙ ；収納物 Ｚ ；着用者
１０ ；ウェア本体 １１ ；前身頃
１１Ａ；前左見頃 １１Ｂ；前右見頃
１２ ；後身頃 １３ ；中央ファスナー
２０ ；ポケット本体 ２１ ；身体側布地
２２ ；外側地 ２３ ；外側下地
２４ ；開口
２５ ；収納空間
３０ ；ファスナー本体 ３１ ；基布（テープ）
３２ ；務歯部（エレメント） ３３ ；開閉部材（スライダー）
３４ ；摘み部

Claims (6)

1. 着用者の身体側に位置する布地である身体側布地、およびその身体側布地における着用者の身体とは反対側に位置する外側地によって身体側布地および外側地に挟まれた収納空間および直線状の開口を形成するポケット本体と、
   前記の開口を開閉するファスナー本体と、を備えたポケット構造であって、
   前記のファスナー本体は、前記の開口の縁に沿って固定される基布と、その基布に固定された務歯部と、その務歯部を開閉させる開閉部材と、を備え、
   前記の外側地は、外力による伸縮が無く可撓性のある硬質板材が前記の基布の全長を渡す輪郭を含んだ形状にて形成したポケット構造。
2. 前記の外側地を覆って最外郭に位置する最外郭生地を備えることした請求項１に記載のポケット構造。
3. 身体側布地は、伸縮性に優れた生地にて形成することとした請求項１または請求項２のいずれかに記載のポケット構造。
4. 着用者の身体側に位置する布地である身体側布地、およびその身体側布地における着用者の身体とは反対側に位置する外側地によって身体側布地および外側地に挟まれた収納空間および直線状の開口を形成するポケット本体と、 前記の開口を開閉するファスナー本体と、を備えたポケット構造を、前身頃に備えたウェアであって、
   前記のファスナー本体は、前記の開口の縁に沿って固定される基布と、
   その基布に固定された務歯部と、その務歯部を開閉させる開閉部材と、を備え、
   前記の外側地は、外力による伸縮が無く可撓性のある硬質板材が前記の基布の全長を渡す輪郭を含んだ形状にて形成したウェア。
5. 前記の外側地を覆って最外郭に位置する最外郭生地を備えることした請求項４に記載のウェア。
6. 前記の身体側布地は、伸縮性に優れた生地にて形成することとした請求項４または請求項５のいずれかに記載のウェア。

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