JP2014214326A - 焼入れ装置および焼入れ方法 - Google Patents
焼入れ装置および焼入れ方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014214326A JP2014214326A JP2013090351A JP2013090351A JP2014214326A JP 2014214326 A JP2014214326 A JP 2014214326A JP 2013090351 A JP2013090351 A JP 2013090351A JP 2013090351 A JP2013090351 A JP 2013090351A JP 2014214326 A JP2014214326 A JP 2014214326A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cooling
- quenching
- fluid
- heating means
- heated
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/25—Process efficiency
Abstract
【課題】簡単な構成で、加熱済みの焼入れ部位に対して噴射する冷却流体が、その隣接した位置で加熱している焼入れ部位に付着するのを防止することができる焼入れ装置および焼入れ方法を提供する。【解決手段】焼入れ装置は、各カム部Cを加熱する加熱手段1と、加熱手段1と隣接して配設され加熱手段1により所定のカム部Cを加熱するのと同時に、この加熱手段1によって加熱されているカム部Cと隣接して加熱手段1によって加熱されたカム部Cに対して冷却流体Qを噴出する冷却流体噴出部20を有する冷却手段2と、加熱手段1によって加熱されたカム部Cに対して冷却手段2により噴出される冷却流体Qが加熱手段1によって加熱されているカム部Cに付着するのを防止するための遮蔽流体Qを噴出する遮蔽流体噴出部40を有する遮蔽流体噴出手段4を備えている。【選択図】図3
Description
本発明は、焼入れ装置および焼入れ方法に関し、さらに詳しくは、焼入れ対象が複数の焼き入れ部位を有しており、加熱手段により所定の部位を加熱するのと同時に、該部位と隣接し加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段によって冷却流体を噴出して焼き入れ処理する焼入れ装置および焼入れ方法に関するものである。
複数の焼入れ部位を有する焼入れ対象として、たとえば内燃機関に使用するカムシャフトの各カム部の表面をそれぞれ焼入れ処理する場合には、一般に、加熱手段として高周波誘導加熱コイルを各カム部と対応させて設けて、各カム部を同時に加熱し、冷却水などの冷却液に浸漬して焼入れ処理している。
このような焼入れ処理には、焼入れ部位の表面から設定された所定の深さで焼入れ硬化層を形成するなど、焼入れ品質を満足させる必要がある。
ところで、上述したように加熱手段を各カム部と対応させて設ける場合には、カムシャフトの種類によってカム部の数や、カム部間の距離(カム部の位置)が異なると、加熱手段の位置も異なることとなる。そのため、カムシャフトの種類に応じて焼入れ装置を変更する必要がある。また、カム部の数に応じて複数の加熱手段を設けると、焼入れ装置全体が大型化し、大きな設置スペースが必要となり設備コストがかかる。
そこで、図7に示すように、加熱手段として高周波誘導加熱コイル1’を単一で設けるとともに、加熱手段1’と隣接させて冷却手段2’を設けた焼入れ装置が知られている。図7に示したカムシャフトCSは、使用する内燃機関のシリンダ室(図では第1ボア〜第4ボアB1〜B4)と対応してそれぞれ一対でカム部Cが設けられている。図7では、上方をフロント(Fr)側、下方をリア(Rr)側と呼ぶこととする。また、図7に示した例では、カム部を図の上方から下方に向かって1番カム〜8番カムC1〜C8とする。したがって、1、2番カムC1、C2は第1ボアB1と、3、4番カムC3、C4は第2ボアB2と、5、6番カムC5、C6は第3ボアB3と、7、8番カムC7、C8は第4ボアB4と対応する。
加熱手段1’は、各ボアB1〜B4と対応する一対のカム部Cを同時に加熱するよう構成されている。また、冷却手段2’は、図8および9に示すように、冷却水などの冷却液Qを噴出する冷却ジャケット6’により構成されている。冷却ジャケット6’は、冷却液Qが供給される筐体60’と、この筐体60’の開放面を覆う蓋体61’とを有しており、蓋体61’には、筐体60’内に供給された冷却液Qを噴出する冷却流体噴出部20’が穿設されている。図8に示すように、冷却流体噴出部20’は加熱手段1’によって加熱された各ボアB1〜B4と対応する一対のカム部C、Cに対してそれぞれ同時に冷却流体Qを噴出するよう複数配列されており、冷却流体噴出部群200’が構成されている。
このように構成された焼入れ装置を用いてカムシャフトCSを焼入れ処理する場合には、たとえば、カムシャフトCSをロボット3’により把持して、7、8番カムC7、C8を加熱手段1’により加熱し、次いで、カムシャフトCSを軸方向に移動させて5、6番カムC5、C6を加熱手段1’により加熱するのと同時に、先に加熱された7、8番カムC7、C8に対して冷却ジャケット6’から冷却液Qを噴出させて冷却する。続いて、図7の矢印Mに示したようにカムシャフトCSを軸方向に移動させて加熱済みの5、6番カムC5、C6を冷却ジャケット6’と対応する位置に配置させると共に、次に加熱する3、4番カムC3、C4を加熱手段1’と対応するよう位置させて、冷却ジャケット6’から冷却液Qを噴出させて5、6番カムC5、C6を冷却すると同時に加熱手段1’によって3、4番カムC3、C4を加熱する。このように繰り返すことにより、カムシャフトCsの各カム部Cを対で順に焼入れ処理する。
ここで、高周波焼入れなどによる軸部材の局部焼入れの冷却の際に、冷却液が焼入れ部周辺に飛散するのを遮蔽する冷却ジャケットの冷却液飛散防止治具に関する従来の技術として、特許文献1が知られている。特許文献1の段落0002には、「この際に冷却液が飛散して冷却液を多く消耗し、かつ作業場を汚染する。この冷却液の飛散を防止するために、従来は図3に示すような被焼入れ材を通す孔が開いた板などの単純な遮蔽板が用いられてきた。」と記載されている。この記載から、特許文献1では、冷却液が飛散する結果として、冷却液が多く消耗することと、作業場を汚染することとを認識している。
そして、特許文献1には、熱処理の際に局部冷却する冷却ジャケットにおいて、被熱処理材を挿入する孔部と該孔部から放射状に切り込まれて構成される複数の切り込み片とが設けられた薄板材からなり、該切り込み片が弾性を有してその孔部が被熱処理材表面に接する遮蔽板を備えたことなどを特徴とする冷却ジャケットの冷却液飛散防止治具が開示されている。
しかしながら、このように焼入れ処理するに際して、特に焼入れ対象がカムシャフトCSの場合には、互いに隣接するボアB間のカム部Cの間隔が狭い。一方、図7〜9に示した焼入れ装置にあっては、加熱されたカム部Cを焼入れすべく急冷するために、加熱手段1’と冷却ジャケット6’は互いに隣接して配置されている。そして、カム部Cを均一に冷却するとともに、サイクルタイムを短縮するなどの要請から、冷却ジャケット6’から比較的高圧で冷却液Qを噴出させるよう設定されている。そのため、加熱手段1’によって加熱されたカム部Cを焼入れ処理するに際して、冷却ジャケット6’から冷却液Qを噴出させると、図7に矢印Vで示したように、加熱済みの冷却されるカム(図7では特に3番カムC3)に冷却液Qが当たって跳ね返り、加熱手段1’によって加熱しているカム部C(図7では、特に2番カムC2のリアRr側)に冷却液Qがかかり、加熱手段1’によって加熱されているカム部C4の特にリア部Rr側を設定された所定の温度に昇温させることができなくなる。このように、設定された所定の温度にカム部Cを昇温させることができないと、図6の(a)に示したように、カム部の表面からの焼入れ深さが浅くなり、設定された所定の深さで焼入れ硬化層を形成することができず、品質を保証することができなくなる事態が想定される。
このような焼入れ深さが浅くなるなどの事態を防止するために、作業場を汚染する冷却液の飛散を防止することを目的とした、特許文献1に開示された冷却ジャケットの冷却液飛散防止治具を適用することが考えられる。しかしながら、特許文献1に開示された冷却ジャケットの冷却液飛散防止治具にあっては、遮蔽板を設けるためのスペースが必要となることから、装置が大型化するという問題があった。
また、特許文献1にあっては、遮蔽板の孔部を焼入れ対象の断面形状や径の大きさに合わせて遮蔽板の孔部を形成する必要があることから、焼き入れ対象に応じた遮蔽板を用意する必要があり、焼き入れ処理のための設備にコストがかかるという問題もあった。さらに特許文献1にあっては、遮蔽板の切り込み片が焼入れ対象(ワーク)と接することとなり、遮蔽板に撓み癖が付いて冷却液を完全に遮蔽できないという問題や、焼入れ対象が傷ついたり遮蔽板が摩耗するなどの問題があった。
そして、特許文献1にあっては、ただ単に冷却ジャケットから噴出される冷却液が周囲に飛散して作業場が汚染されるのを防止するための技術であって、加熱手段により加熱される焼入れ対象の部分に冷却液が付着して充分に加熱されず、焼き入れ深さなど均一な品質で焼き入れ処理することができないという問題には着目していないものであった。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、特に焼入れ部位が互いに近接しているカムシャフトのような焼入れ対象であっても、加熱済みの焼入れ部位に対して噴射する冷却流体が、その隣接した位置の新たに加熱している焼入れ部位にかかることなく、したがって、冷却手段が隣接する所定の部位を加熱手段によって確実に昇温させて、確実に設定された所定の焼入れ深さで焼入れ硬化層を均一に形成して焼入れ品質を保証することができる焼入れ装置および焼入れ方法を提供することを目的とする。
また本発明は、コンパクトで設備コストがかからず、サイクルタイムを延長させることなく、また、焼入れ処理する焼入れ対象の種類に対する汎用性を持たせることができる焼入れ装置および焼入れ方法を提供することを目的とする。
また本発明は、コンパクトで設備コストがかからず、サイクルタイムを延長させることなく、また、焼入れ処理する焼入れ対象の種類に対する汎用性を持たせることができる焼入れ装置および焼入れ方法を提供することを目的とする。
本願の焼入れ装置に係る発明は、上記目的を達成するため、焼入れ対象が複数の焼き入れ部位を有しており、各焼入れ部位を加熱する加熱手段と、該加熱手段と隣接して配設され加熱手段によって加熱されている部位と隣接した部位に対して冷却流体を噴出する冷却手段とを備えており、加熱手段により所定の部位を加熱するのと同時に、該部位と隣接し加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段によって冷却流体を噴出して焼き入れ処理する焼入れ装置であって、加熱手段と冷却手段との間に、加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段により噴出される冷却流体が加熱手段によって加熱されている部位に付着するのを防止するための遮蔽流体を噴出する遮蔽流体噴出部を有する遮蔽流体噴出手段を設けたことを特徴とする。
また、本願の焼入れ方法に係る発明は、上記目的を達成するため、焼入れ対象が複数の焼き入れ部位を有しており、所定の部位を加熱手段によって加熱するのと同時に、該部位と隣接し加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段によって冷却流体を噴出して焼き入れ処理する焼入れ方法であって、加熱手段と冷却手段との間に、加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段により噴出される冷却流体が加熱手段によって加熱されている部位に付着するのを防止するための遮蔽流体を噴出させることを特徴とする。
また、本願の焼入れ方法に係る発明は、上記目的を達成するため、焼入れ対象が複数の焼き入れ部位を有しており、所定の部位を加熱手段によって加熱するのと同時に、該部位と隣接し加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段によって冷却流体を噴出して焼き入れ処理する焼入れ方法であって、加熱手段と冷却手段との間に、加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段により噴出される冷却流体が加熱手段によって加熱されている部位に付着するのを防止するための遮蔽流体を噴出させることを特徴とする。
請求項1の焼入れ装置に係る発明によれば、加熱手段と冷却手段との間に遮蔽流体噴出手段を設けたという簡単な構成で、加熱手段によって所定の焼入れ部位を加熱するのと同時に、この部位と隣接した位置であって加熱手段により加熱された部位に対して冷却手段により冷却流体を噴出させて冷却するときに、遮蔽流体噴出部から遮蔽流体を噴出させると、冷却流体が跳ね返るなどして加熱手段により加熱中の部位に付着するのを確実に防止することができる。したがって、従来の技術のように遮蔽板を設ける必要がないことから、装置が大型化することなくコンパクトに構成することが可能であり、また、加熱手段によって加熱中の部位を確実に所定の温度に昇温させることができると共に、冷却手段によって冷却流体を充分に噴出させることができるので、サイクルタイムを延長させることなく加熱された部位を確実に冷却することが可能であることから、焼入れ対象の各焼入れ部位を所定の品質で確実に焼入れ処理することが可能な焼入れ装置を提供することができる。
請求項5の焼入れ方法に係る発明によれば、所定の部位を加熱手段によって加熱するのと同時に、該部位と隣接し加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段によって冷却流体を噴出しているときに、加熱手段と冷却手段との間に遮蔽流体を噴出させるという簡単な構成で、所定の部位を加熱手段によって加熱するのと同時に、この部位と隣接した位置であって加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段によって冷却流体を噴出させて冷却するときに、加熱手段と冷却手段との間に遮蔽流体を噴出させることにより、従来の技術のように遮蔽板を設けることなく、冷却流体が跳ね返るなどして加熱手段により加熱中の部位に付着するのを確実に防止することができ、したがって、加熱手段によって加熱中の部位を確実に所定の温度に昇温させることができると共に、冷却手段によって冷却流体を充分に噴出させることができるので、サイクルタイムを延長させることなく加熱された部位を確実に冷却することが可能であることから、焼入れ対象の各焼入れ部位を所定の品質で確実に焼入れ処理することが可能な焼入れ方法を提供することができる。
請求項5の焼入れ方法に係る発明によれば、所定の部位を加熱手段によって加熱するのと同時に、該部位と隣接し加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段によって冷却流体を噴出しているときに、加熱手段と冷却手段との間に遮蔽流体を噴出させるという簡単な構成で、所定の部位を加熱手段によって加熱するのと同時に、この部位と隣接した位置であって加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段によって冷却流体を噴出させて冷却するときに、加熱手段と冷却手段との間に遮蔽流体を噴出させることにより、従来の技術のように遮蔽板を設けることなく、冷却流体が跳ね返るなどして加熱手段により加熱中の部位に付着するのを確実に防止することができ、したがって、加熱手段によって加熱中の部位を確実に所定の温度に昇温させることができると共に、冷却手段によって冷却流体を充分に噴出させることができるので、サイクルタイムを延長させることなく加熱された部位を確実に冷却することが可能であることから、焼入れ対象の各焼入れ部位を所定の品質で確実に焼入れ処理することが可能な焼入れ方法を提供することができる。
(発明の態様)
請求項2の焼入れ装置に係る発明は、請求項1に記載の発明において、冷却手段は、冷却流体噴出部を有しており、遮蔽流体噴出部は、スリット状で、その両端部の間の長さが冷却流体噴出部の幅以上で形成されていることを特徴とする。
請求項2の発明では、遮蔽流体噴出部を、スリット状で、その両端部の間の長さが冷却流体噴出部の幅以上で形成することにより、遮蔽流体を冷却流体よりも広い幅で膜状に噴射することができる。これにより、加熱手段により加熱中の部位に冷却流体が付着することを確実に防止することが具現化できる。
請求項2の焼入れ装置に係る発明は、請求項1に記載の発明において、冷却手段は、冷却流体噴出部を有しており、遮蔽流体噴出部は、スリット状で、その両端部の間の長さが冷却流体噴出部の幅以上で形成されていることを特徴とする。
請求項2の発明では、遮蔽流体噴出部を、スリット状で、その両端部の間の長さが冷却流体噴出部の幅以上で形成することにより、遮蔽流体を冷却流体よりも広い幅で膜状に噴射することができる。これにより、加熱手段により加熱中の部位に冷却流体が付着することを確実に防止することが具現化できる。
請求項3の焼入れ装置に係る発明は、請求項2に記載の発明において、遮蔽流体噴出部は、焼入れ対象に対して加熱手段側から冷却手段側に向かって傾斜させて遮蔽流体を噴出させるよう構成されていることを特徴とする。
請求項3の発明では、遮蔽流体噴出部を、焼入れ対象に対して加熱手段側から冷却手段側に向かって傾斜させて遮蔽流体を噴出させるよう構成することにより、遮蔽流体自体が加熱中の焼入れ部位に付着するのを防止することができるため、より確実に加熱手段により加熱中の部位に冷却流体が付着することを防止することが具現化できる。
請求項3の発明では、遮蔽流体噴出部を、焼入れ対象に対して加熱手段側から冷却手段側に向かって傾斜させて遮蔽流体を噴出させるよう構成することにより、遮蔽流体自体が加熱中の焼入れ部位に付着するのを防止することができるため、より確実に加熱手段により加熱中の部位に冷却流体が付着することを防止することが具現化できる。
請求項4の焼入れ装置に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、冷却手段と遮蔽流体噴出手段が一体に設けられており、前記冷却流体と遮蔽流体とが同じ流体からなることを特徴とする。
請求項4の発明では、冷却手段と遮蔽流体噴出手段とを一体に設けて、冷却流体と遮蔽流体として同じ流体を噴出させることにより、簡単な構成とすることができることから、設備コストを低減させることができる。
請求項4の発明では、冷却手段と遮蔽流体噴出手段とを一体に設けて、冷却流体と遮蔽流体として同じ流体を噴出させることにより、簡単な構成とすることができることから、設備コストを低減させることができる。
また、請求項6の焼入れ方法に係る発明は、請求項5に記載の発明において、冷却手段は、冷却流体噴出部を有しており、遮蔽流体を噴出させる遮蔽流体噴出手段を加熱手段と冷却手段との間に配置し、該遮蔽流体噴出手段には、スリット状の遮蔽流体噴出部を形成しておき、該遮蔽流体噴出部は、その両端部の間の長さを冷却流体噴出部の幅以上で形成しておくことを特徴とする。
請求項6の発明では、遮蔽流体噴出部を、スリット状とし、その両端部の間の長さを冷却流体噴出部の幅以上で形成しておくことにより、冷却流体噴出部から噴出される冷却流体よりも広い幅で遮蔽流体噴出部から遮蔽流体を膜状に噴射することができるため、冷却流体噴出部から噴出される冷却流体が加熱手段により加熱中の部位に付着することを確実に防止することが具現化できる。
請求項6の発明では、遮蔽流体噴出部を、スリット状とし、その両端部の間の長さを冷却流体噴出部の幅以上で形成しておくことにより、冷却流体噴出部から噴出される冷却流体よりも広い幅で遮蔽流体噴出部から遮蔽流体を膜状に噴射することができるため、冷却流体噴出部から噴出される冷却流体が加熱手段により加熱中の部位に付着することを確実に防止することが具現化できる。
請求項7の焼入れ方法に係る発明は、請求項6に記載の発明において、前記遮蔽流体を、焼入れ対象に対して加熱手段側から冷却流体噴出部群側に向かって傾斜させて噴出させることを特徴とする。
請求項7の発明では、遮蔽流体を、焼入れ対象に対して加熱手段側から冷却流体噴出部群側に向かって傾斜させて噴出させることにより、遮蔽流体自体が加熱中の焼入れ部位に付着するのを防止することができるため、より確実に加熱手段により加熱中の部位に冷却流体が付着することを防止することが具現化できる。
請求項7の発明では、遮蔽流体を、焼入れ対象に対して加熱手段側から冷却流体噴出部群側に向かって傾斜させて噴出させることにより、遮蔽流体自体が加熱中の焼入れ部位に付着するのを防止することができるため、より確実に加熱手段により加熱中の部位に冷却流体が付着することを防止することが具現化できる。
請求項8の焼入れ方法に係る発明は、請求項5〜7に記載の発明において、前記冷却流体噴出部群から噴出させる冷却流体と、遮蔽流体噴出部から噴出させる遮蔽流体とが同じ流体であることを特徴とする。
請求項8の発明では、同じ流体を冷却流体および遮蔽流体として、冷却手段の冷却流体噴出部群と遮蔽流体噴出部とからそれぞれ噴出させることにより、構成を簡単にすることができ、したがって、設備コストを低減させることができる。
請求項8の発明では、同じ流体を冷却流体および遮蔽流体として、冷却手段の冷却流体噴出部群と遮蔽流体噴出部とからそれぞれ噴出させることにより、構成を簡単にすることができ、したがって、設備コストを低減させることができる。
最初に、本発明の焼入れ装置の実施の一形態を、図1〜図3に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態においては、焼入れ対象が内燃機関に使用されるカムシャフトCSであり、焼入れ部位Cが1〜8番のカム部C1〜C8である場合により説明する。
焼入れ装置は、概略、各焼入れ部位Cを加熱する加熱手段1と、加熱手段1と隣接して配設され加熱手段1により所定の部位Cを加熱するのと同時に、この加熱手段1によって加熱されている部位Cと隣接して加熱手段1によって加熱された部位に対して冷却流体(後述する)を噴出する冷却流体噴出部20を有する冷却手段2と、焼入れ対象CSを把持して各焼入れ部位Cをそれぞれ焼入れ処理させるべく加熱手段1と冷却手段2と対応する位置に繰り返し送る送り手段3と、加熱手段1と冷却手段2との間に設けられ、加熱手段1によって加熱された部位Cに対して冷却手段2により噴出される冷却流体が加熱手段1によって加熱されている部位Cに付着するのを防止するための遮蔽流体(後述する)を噴出する遮蔽流体噴出部40を有する遮蔽流体噴出手段4とを備えている。
そして、この実施の形態では、冷却ジャケット5に冷却流体噴出部20と遮蔽流体噴出部40とが設けられており、冷却ジャケット5に供給される冷却水が冷却流体Qと遮蔽流体Qを構成している。以下の説明では、冷却水にも符合Qを用いる。
焼入れ装置は、概略、各焼入れ部位Cを加熱する加熱手段1と、加熱手段1と隣接して配設され加熱手段1により所定の部位Cを加熱するのと同時に、この加熱手段1によって加熱されている部位Cと隣接して加熱手段1によって加熱された部位に対して冷却流体(後述する)を噴出する冷却流体噴出部20を有する冷却手段2と、焼入れ対象CSを把持して各焼入れ部位Cをそれぞれ焼入れ処理させるべく加熱手段1と冷却手段2と対応する位置に繰り返し送る送り手段3と、加熱手段1と冷却手段2との間に設けられ、加熱手段1によって加熱された部位Cに対して冷却手段2により噴出される冷却流体が加熱手段1によって加熱されている部位Cに付着するのを防止するための遮蔽流体(後述する)を噴出する遮蔽流体噴出部40を有する遮蔽流体噴出手段4とを備えている。
そして、この実施の形態では、冷却ジャケット5に冷却流体噴出部20と遮蔽流体噴出部40とが設けられており、冷却ジャケット5に供給される冷却水が冷却流体Qと遮蔽流体Qを構成している。以下の説明では、冷却水にも符合Qを用いる。
この実施の形態の場合、送り手段3は、カムシャフトCSを把持するロボットにより構成されている。カムシャフトCSは、その軸方向が垂直となるように端部をロボット3により把持され、所定のカム部Cが加熱手段1および冷却ジャケット5と対応するよう任意の高さに軸方向に順に送り移動可能に保持される。
加熱手段1は、一対のカム部C、Cと対応する一対の高周波誘導加熱コイルにより構成されている。カム部Cは、カムシャフトCSが使用される内燃機関の各ボアB1〜B4と対応して一対で一組として設けられている。したがって、高周波誘導加熱コイル1も一対で一組であり、実質的に加熱手段1が単一で設けられているということができる。
冷却ジャケット5は、冷却流体として冷却水Qが所定の圧力、所定の流量で供給される筐体50と、この筐体50の開放面を覆う蓋体51とを有している。蓋体51には、筐体50内に供給された冷却水Qを噴出する冷却流体噴出部20が複数穿設され、また、遮蔽流体噴出部40が形成されている。したがって、冷却ジャケット5により、冷却手段2と遮蔽流体噴出手段4とが一体に構成されている。
冷却流体噴出部20を複数穿設することにより、冷却流体噴出部群200が形成される。冷却流体噴出部群200は、加熱手段1によって加熱された一対で一組のカムC、Cに対してそれぞれ均一に冷却水Qを噴射することができる大きさ、すなわち、図2における水平方向の大きさ(各カムCの径方向の投影した最大の大きさ)と、図2における垂直方向の大きさ(各カムCの軸方向の幅)に応じて形成される。なお、本発明の冷却手段2は、加熱手段1によって加熱された一対で一組のカムC、Cに対してそれぞれ均一に冷却水Qを噴射することがきるものであれば、複数の冷却流体噴出部20を配列して冷却流体噴出部群200を形成する場合に限定されることはなく、冷却流体噴出部20を単一で設ける場合も含まれる。
遮蔽流体噴出部40は、蓋体51の筐体50内と対向する側の表面からカムシャフトCSに対向する側の表面にわたって貫通するよう形成されており、冷却流体噴出部群200の上方に配置されており、その開口がカムシャフトCSの軸方向と直交する方向、つまり、図2における水平方向に延びるスリット状に形成されたもので、その長手方向(図2の左右方向)の両端部の間の長さLは、冷却流体噴出部群200の水平方向の大きさ(幅)、すなわち、図2における最もの左右それぞれ位置する冷却流体噴出部20の間の幅W以上に設定されている。そして、この実施の形態における遮蔽流体噴出部40は、蓋体51の厚さ方向の経路40aも水平方向に延びるよう形成されている。なお、遮蔽流体噴出部40は、単一のスリット状に形成することに限定されることはなく、複数のスリット状で形成することも含むことができる。上述したように冷却流体噴出部20を単一で設ける場合には、かかる冷却流体噴出部20の幅Wが、その直径となる。
なお、図1に示した実施の形態では、高周波誘導加熱コイル1の上方に第2冷却ジャケット6が設けられている。この第2冷却ジャケット6は、図8および図9に示した従来の技術における冷却ジャケット6’と同様に構成されたもので、その作動については、後述する本発明の焼入れ方法で説明する。
次に、本発明の焼入れ方法の実施の一形態を、上述したように構成された焼入れ装置を用いる場合によって、その装置の作動と共に詳細に説明する。なお、上述した実施の形態で説明した構成について対応する符号を付してその説明を省略する。
焼入れ方法は、概略、所定の部位Cを加熱手段1によって加熱するのと同時に、この部位Cと隣接し加熱手段1によって加熱された部位Cに対して冷却手段2によって冷却流体Qを噴出して焼き入れ処理する焼入れ方法であって、加熱手段1と冷却手段2との間に、加熱手段1によって加熱された部位に対して冷却手段2により噴出される冷却流体Qが加熱手段1によって加熱されている部位Cに付着するのを防止するための遮蔽流体Qを噴出させるものである。
そして、この実施の形態では、冷却ジャケット5に冷却流体噴出部20と遮蔽流体噴出部40とを設けておき、冷却ジャケット5に供給される冷却水Qを冷却流体Qと遮蔽流体Qとして噴出させる。
焼入れ方法は、概略、所定の部位Cを加熱手段1によって加熱するのと同時に、この部位Cと隣接し加熱手段1によって加熱された部位Cに対して冷却手段2によって冷却流体Qを噴出して焼き入れ処理する焼入れ方法であって、加熱手段1と冷却手段2との間に、加熱手段1によって加熱された部位に対して冷却手段2により噴出される冷却流体Qが加熱手段1によって加熱されている部位Cに付着するのを防止するための遮蔽流体Qを噴出させるものである。
そして、この実施の形態では、冷却ジャケット5に冷却流体噴出部20と遮蔽流体噴出部40とを設けておき、冷却ジャケット5に供給される冷却水Qを冷却流体Qと遮蔽流体Qとして噴出させる。
ここで、図1に示したカムシャフトCSについて、図7と同様に、カム部Cを図の上方から下方に向かって1番カム〜8番カムとし、1、2番カムは内燃機関の第1ボアB1と、3、4番カムは第2ボアB2と、5、6番カムは第3ボアB3と、7、8番カムは第4ボアB4と対応することとし、またカムシャフトCSの上方をフロント(Fr)側、下方をリア(Rr)側と呼ぶこととする。
カムシャフトCSの各カム部Cを焼入れ処理するに際して、この実施の形態では、カムシャフトCSのフロントFr側である上端部をロボット3により把持する。ロボット3は、カムシャフトCSの軸方向が垂直となり、所定のカム部Cが加熱手段1および冷却ジャケット5と対応するよう任意の高さに軸方向に順に送り移動可能に保持する。そして、最初に、7、8番カムC7、C8を高周波誘導加熱コイル1内に位置させるよう配置して、高周波誘導加熱コイル1に通電することにより所定の温度に加熱する。次いで、ロボット3により、カムシャフトCSを軸方向に送って、5、6番カムC5、C6を高周波誘導加熱コイル1内に位置させると共に7、8番カムC7、C8を冷却ジャケット5と対向するように位置させて、5、6番カムC5、C6を高周波誘導加熱コイル1により加熱するのと同時に、冷却ジャケット5に冷却水Qを所定の圧力所定の流量で供給して冷却流体噴出部群200から冷却水Qを噴出させて先に加熱され所定の温度となっている7、8番カムC7、C8を冷却する。このとき、冷却ジャケット5に供給された冷却水Qは、冷却流体噴出部群200から噴出されると同時に遮蔽流体噴出部40からも噴出される。上述したように、遮蔽流体噴出部40が水平方向に延びるスリット状に形成されていることにより、遮蔽流体も構成する冷却水Qが水平方向に広がる膜状となって7、8番カムC7、C8と加熱中の5、6番カムC5、C6との間に噴出されることとなる。そのため、冷却流体噴出部群200から噴出された冷却水Qが7、8番カムC7、C8に当たることにより跳ね返っても、遮蔽流体も構成する冷却水Qが膜状に拡がり流れることによって5、6番コイルC5、C6が遮蔽されるため、高周波誘導加熱コイル1により加熱中の5、6番コイルC5、C6にかかるのを防止することができる。したがって、高周波誘導加熱コイル1により確実に5、6番コイルC5、C6を所定の温度に昇温させることができる。
続いて、ロボット3により、カムシャフトCSを軸方向に送って、3、4番カムC3、C4を高周波誘導加熱コイル1内に位置させると共に5、6番カムC5、C6を冷却ジャケット5と対向するよう位置させて、遮蔽流体としての冷却水Qを水平方向に広がる膜状で5、6番カムC5、C6と加熱中の3、4番コイルC7、C8との間に噴出させた状態で、3、4番カムC3、C4を高周波誘導加熱コイル1により加熱するのと同時に、冷却ジャケット5の冷却流体噴出部群200から冷却流体としての冷却水Qを噴出させて先に加熱され所定の温度となっている5、6番カムC5、C6を冷却する。
続いて、ロボット3により、カムシャフトCSを軸方向に送って、1、2番カムC1、C2を高周波誘導加熱コイル1内に位置させると共に3、4番カムC3、C4を冷却ジャケット5と対向させるように位置させて、遮蔽流体としての冷却水Qを水平方向に広がる膜状で3、4番カムC3、C4と加熱中の1、2番カムC1、C2との間に噴出させた状態で、1、2番カムC1、C2を高周波誘導加熱コイル1により加熱するのと同時に、冷却ジャケット5の冷却流体噴出部群200から冷却流体としての冷却水Qを噴出させて先に加熱され所定の温度となっている3、4番カムC3、C4を冷却する。
その後、ロボット3により、カムシャフトCSを軸方向に逆方向へ送って、1、2番カムC1、C2を高周波誘導加熱コイル1内から第2冷却ジャケット6と対向させるよう位置させて、第2冷却ジャケット6の冷却流体噴出部群(図7の200’を参照)から冷却水Qを噴出させて先に加熱され所定の温度となっている1、2番カムC1、C2を冷却する。このように、第2冷却ジャケット6によって1、2番カムC1、C2を冷却する理由は、ロボット3がカムシャフトCSの上端部を把持している状態で、高周波誘導加熱コイル1内に進入して1、2番カムC1、C2を冷却ジャケット5と対向する位置に送ることができないからである。しかしながら、本発明は、この実施の形態に限定されることなく、たとえばカムシャフトCSの下端部をロボット3などにより把持して軸方向に送るよう構成するなどの場合には、第2冷却ジャケット6を設ける必要はない。
ここで、図6の(a)は、図7に矢印Vで示したように、1、2番カムC1、C2を加熱しているときに、3、4番カムC3、C4に対して噴射した冷却水Qが跳ね返って、1、2番カムC1、C2に付着した場合のカム部Cの表面に形成された焼入れ硬化層の深さを示し、図6の(b)は、図1に示したように本発明により、1、2番カムC1、C2を加熱しているときに、3、4番カムC3、C4との間に遮蔽流体も構成する冷却水Qを水平方向に広がる膜状に噴出させて、3、4番カムC3、C4に対して噴射した冷却水Qが跳ね返って1、2番カムC1、C2に付着するのを防止した場合のカム部Cの表面に形成された焼入れ硬化層の深さを示したものである。
図6の(a)では、3、4番カムC3、C4に対して噴射した冷却水Qが跳ね返って、加熱中である1、2番カムC1、C2のうちで特に2番カムC2のリアRr側に付着し、かかる部分Rrの焼入れ硬化層が浅くなっていることが判別できる。
これに対して、図6の(b)では、3、4番カムC3、C4に対して噴射した冷却水Qが跳ね返って特に2番カムC2のリアRr側の焼入れ硬化層が浅くなる傾向にあるのを(図6の(b)のポイントP’を参照)、1、2番カムC1、C2を加熱しているときに、3、4番カムC3、C4との間に遮蔽流体も構成する冷却水Qを水平方向に広がる膜状に噴出させることにより、3、4番カムC3、C4に対して噴射した冷却水Qが跳ね返っても1、2番カムC1、C2に付着するのを防止し、特に2番カムC2のリアRr側の焼入れ硬化層(図6の(b)のポイントPを参照)も他の部分と同様の深さで形成することができることが明確となっている。
なお、遮蔽流体の種類は、冷却流体噴出部群200から加熱されたカムCに向かって噴出される冷却水Qに限定されることはなく、水以外の液体や、たとえば空気などのような気体を使用することもできる。この場合にあっては、冷却ジャケット5の筐体50の内部に図3に鎖線で示すように隔壁52を設けることにより、冷却流体噴出部群200から噴出させる冷却水Qが供給される領域と、遮蔽流体噴出部40から噴出させる冷却水位以外の流体が供給される領域とに筐体50内を仕切ることができる。
また、この実施の形態では、冷却手段2を構成する冷却流体噴出部群200と、遮蔽流体噴出手段4を構成する遮蔽流体噴出部40とを、冷却ジャケット5に一体に設ける場合で説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されることはなく、冷却手段2と遮蔽流体噴出手段4とを個別に設けることもできる。
さらに、冷却ジャケット5は、図2および図3に示したように矩形の箱型に形成して、カムシャフトCSの周囲を取り囲むように複数配置してもよく、また、単体でカムシャフトCSの周囲を取り囲むことができるように円環状に形成することもできる。
次に、本発明の焼入れ装置の別の実施の形態を図4、5に基づいて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態と同様または相当する部分については同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明することとする。
上述した実施の形態における遮蔽流体噴出部40は、蓋体51の厚さ方向の経路40aが水平方向に延びるよう形成されていたのに対して、この実施の形態における遮蔽流体噴出部40は、蓋体51の厚さ方向の筐体50内と対向する側の表面からカムシャフトCSに対向する側の表面にわたる経路40aが、カムシャフトCSに対して高周波誘導加熱コイル1側から冷却流体噴出部群200側に向かって角度αで傾斜するよう形成されている。
上述した実施の形態における遮蔽流体噴出部40は、蓋体51の厚さ方向の経路40aが水平方向に延びるよう形成されていたのに対して、この実施の形態における遮蔽流体噴出部40は、蓋体51の厚さ方向の筐体50内と対向する側の表面からカムシャフトCSに対向する側の表面にわたる経路40aが、カムシャフトCSに対して高周波誘導加熱コイル1側から冷却流体噴出部群200側に向かって角度αで傾斜するよう形成されている。
遮蔽流体噴出部40の経路40aの水平方向に対して傾斜させる角度αは、遮蔽流体噴出部40からカムシャフトCSに対して噴出される冷却水Qが、冷却流体噴出部群200から噴出されてカム部Cに当る位置よりも、高周波誘導加熱コイル1により加熱されているカム部C側に当たるよう設定されていれば、特に限定されることはない。
次に、本発明の焼入れ方法の別の実施の形態を、図4、5に示したように構成された焼入れ装置を用いる場合によって、その装置の作動と共に詳細に説明する。なお、上述した実施の形態で説明した構成について対応する符号を付してその説明を省略する。
上述した実施の形態においては蓋体51を厚さ方向に貫通する経路40aが水平方向に延びる遮蔽流体噴出部40により、遮蔽流体も構成する冷却水Qを水平方向に広がる膜状で、加熱されたカム部Cに対して噴出させていたのに対して、この実施の形態においては蓋体51を厚さ方向に貫通する経路40aが水平方向に対して角度αで傾斜した遮蔽流体噴出部40により、遮蔽流体も構成する冷却水Qを水平方向に対して角度αで傾斜させて膜状に広がるようにして、カムシャフトCSの加熱手段1により加熱中のカム部Cと、冷却流体噴出部群200から噴出される冷却流体Qにより冷却されるカム部Cとの間に対して噴出させる。
上述した実施の形態においては蓋体51を厚さ方向に貫通する経路40aが水平方向に延びる遮蔽流体噴出部40により、遮蔽流体も構成する冷却水Qを水平方向に広がる膜状で、加熱されたカム部Cに対して噴出させていたのに対して、この実施の形態においては蓋体51を厚さ方向に貫通する経路40aが水平方向に対して角度αで傾斜した遮蔽流体噴出部40により、遮蔽流体も構成する冷却水Qを水平方向に対して角度αで傾斜させて膜状に広がるようにして、カムシャフトCSの加熱手段1により加熱中のカム部Cと、冷却流体噴出部群200から噴出される冷却流体Qにより冷却されるカム部Cとの間に対して噴出させる。
カムシャフトCSの各カム部Cを焼入れ処理するに際して、この実施の形態においても上述した実施の形態と同様に、図1に示したようにロボット3がカムシャフトCSの上端部を把持し、カムシャフトCSの軸方向を垂直に保持する。そして、最初に、7、8番カムC7、C8を高周波誘導加熱コイル1により加熱し、カムシャフトCSを軸方向に送って、5、6番カムC5、C6を高周波誘導加熱コイル1により加熱すると共に、加熱された7、8番カムC7、C8に対して冷却ジャケット5の冷却流体噴出部群200から冷却水Qを噴出させて冷却する。このとき、冷却水Qを冷却流体噴出部群200から噴出させると同時に遮蔽流体噴出部40からも噴出させる。そして、カムシャフトCSを軸方向に送り、各カム部Cを焼入れ処理することは上述した実施の形態と同様である。
この実施の形態では、遮蔽流体も構成する冷却水Qを遮蔽流体噴出部40から水平方向に対して角度αで傾斜させて噴出させる。そのため、遮蔽流体噴出部40から噴出されている冷却水Qが、高周波誘導加熱コイル1によって加熱されているカム部Cと、加熱された後に冷却水Wを噴出されているカム部Cとの間に当たって跳ね返ったとしても、その跳ね返る方向が高周波誘導加熱コイル1によって加熱されているカム部Cと反対方向(図1では下方向)となるため、遮蔽流体を構成する冷却水Q自体が高周波誘導加熱コイル1による加熱中のカム部Cに付着するのを確実に防止することができる。
本発明は、複数の焼き入れ部位を有するものであれば、カムシャフト以外の焼入れ対象にも適用できる。
CS:カムシャフト(焼入れ対象)、 C:カム部(焼入れ部位)、 1:高周波誘導加熱コイル(加熱手段)、 2:冷却手段、 3:ロボット(送り手段)、 4:遮蔽流体噴出手段、 5:冷却ジャケット、 20:冷却流体噴出部、 40:遮蔽流体噴出部、 200:冷却流体噴出部群、 W:冷却流体噴出部群の幅、 L:遮蔽流体噴出部の長さ
Claims (8)
- 焼入れ対象が複数の焼き入れ部位を有しており、
各焼入れ部位を加熱する加熱手段と、該加熱手段と隣接して配設され加熱手段によって加熱されている部位と隣接した部位に対して冷却流体を噴出する冷却手段とを備えており、
加熱手段により所定の部位を加熱するのと同時に、該部位と隣接し加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段によって冷却流体を噴出して焼き入れ処理する焼入れ装置であって、
加熱手段と冷却手段との間に、加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段により噴出される冷却流体が加熱手段によって加熱されている部位に付着するのを防止するための遮蔽流体を噴出する遮蔽流体噴出部を有する遮蔽流体噴出手段を設けたことを特徴とする焼入れ装置。 - 冷却手段は、冷却流体噴出部を有しており、
遮蔽流体噴出部は、スリット状で、その両端部の間の長さが冷却流体噴出部の幅以上で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の焼入れ装置。 - 遮蔽流体噴出部は、焼入れ対象に対して加熱手段側から冷却手段側に向かって傾斜させて遮蔽流体を噴出させるよう構成されていることを特徴とする請求項2に記載の焼入れ装置。
- 冷却手段と遮蔽流体噴出手段が一体に設けられており、前記冷却流体と遮蔽流体とが同じ流体からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼入れ装置。
- 焼入れ対象が複数の焼き入れ部位を有しており、
所定の部位を加熱手段によって加熱するのと同時に、該部位と隣接し加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段によって冷却流体を噴出して焼き入れ処理する焼入れ方法であって、
加熱手段と冷却手段との間に、加熱手段によって加熱された部位に対して冷却手段により噴出される冷却流体が加熱手段によって加熱されている部位に付着するのを防止するための遮蔽流体を噴出させることを特徴とする焼入れ方法。 - 冷却手段は、冷却流体噴出部を有しており、
遮蔽流体を噴出させる遮蔽流体噴出手段を加熱手段と冷却手段との間に配置し、該遮蔽流体噴出手段には、スリット状の遮蔽流体噴出部を形成しておき、該遮蔽流体噴出部は、その両端部の間の長さを冷却流体噴出部の幅以上で形成しておくことを特徴とする請求項5に記載の焼入れ方法。 - 前記遮蔽流体を、焼入れ対象に対して加熱手段側から冷却流体噴出部群側に向かって傾斜させて噴出させることを特徴とする請求項6に記載の焼入れ方法。
- 前記冷却流体噴出部群から噴出させる冷却流体と、遮蔽流体噴出部から噴出させる遮蔽流体とが同じ流体であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の焼入れ方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013090351A JP2014214326A (ja) | 2013-04-23 | 2013-04-23 | 焼入れ装置および焼入れ方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013090351A JP2014214326A (ja) | 2013-04-23 | 2013-04-23 | 焼入れ装置および焼入れ方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014214326A true JP2014214326A (ja) | 2014-11-17 |
Family
ID=51940393
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013090351A Pending JP2014214326A (ja) | 2013-04-23 | 2013-04-23 | 焼入れ装置および焼入れ方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014214326A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109055680A (zh) * | 2018-06-30 | 2018-12-21 | 河南德佰特机电设备制造有限公司 | 具有冷却水套的钢管局部加热装置 |
WO2019202896A1 (ja) | 2018-04-16 | 2019-10-24 | 日本製鉄株式会社 | 高周波焼入れ装置 |
WO2019202898A1 (ja) | 2018-04-16 | 2019-10-24 | 日本製鉄株式会社 | 高周波焼入れ装置 |
EP3778932A4 (en) * | 2018-03-26 | 2021-12-01 | Nippon Steel Corporation | CROSS-CURING DEVICE |
-
2013
- 2013-04-23 JP JP2013090351A patent/JP2014214326A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3778932A4 (en) * | 2018-03-26 | 2021-12-01 | Nippon Steel Corporation | CROSS-CURING DEVICE |
WO2019202896A1 (ja) | 2018-04-16 | 2019-10-24 | 日本製鉄株式会社 | 高周波焼入れ装置 |
WO2019202898A1 (ja) | 2018-04-16 | 2019-10-24 | 日本製鉄株式会社 | 高周波焼入れ装置 |
CN109055680A (zh) * | 2018-06-30 | 2018-12-21 | 河南德佰特机电设备制造有限公司 | 具有冷却水套的钢管局部加热装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2014214326A (ja) | 焼入れ装置および焼入れ方法 | |
JP5588661B2 (ja) | ミスト冷却装置及び熱処理装置 | |
CN105586475B (zh) | 淬火装置和淬火方法 | |
US10246756B2 (en) | Heat treatment system and heat treatment method | |
JP4643614B2 (ja) | 歯車の高周波輪郭焼入方法 | |
JP6707364B2 (ja) | 熱処理装置 | |
JP2010209393A (ja) | 高周波焼入れ用コイル装置 | |
US10017833B2 (en) | Method and tool for hardening a hollow profile of a steel workpiece | |
JP2004292921A (ja) | 冷却ジャケットの冷却液飛散防止治具 | |
JP5117057B2 (ja) | 焼入装置及び焼入方法 | |
JP6583714B2 (ja) | 高周波焼入れ方法 | |
WO2016052761A2 (ja) | 拡管システム内の熱交換器の油等付着成分除去方法 | |
WO2019202896A1 (ja) | 高周波焼入れ装置 | |
JP4353339B2 (ja) | 歯車の高周波輪郭焼入方法 | |
JP2006181606A (ja) | コンロッドの製造方法及び製造装置 | |
WO2019202898A1 (ja) | 高周波焼入れ装置 | |
JP2010215943A (ja) | 熱処理方法、熱処理装置および熱処理部品 | |
US20220316018A1 (en) | Cooling jacket and quenching apparatus | |
JP3698883B2 (ja) | 高周波焼入方法及び冷却ジャケット | |
JP2008150671A (ja) | シリンダブロックの焼入装置、シリンダブロックの製造方法 | |
JP4976242B2 (ja) | 長尺鋼材の焼入れ方法 | |
JP5367865B2 (ja) | 長尺鋼材の焼入れ方法 | |
JP3230823B2 (ja) | 歯車の焼入方法 | |
GB2366572A (en) | A method and tool for hardening a workpiece with a hole | |
JPS61174319A (ja) | 歯形部材の焼入れ冷却方法 |