JP2014214321A - 熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼 Download PDF

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Abstract

【課題】熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.020%以下、Si:3.0%以下、Mn:0.2%以下、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Al:0.01〜3.0%、Cr:10.0〜30.0%、Ni:0.01〜0.9%、N:0.020%以下、Nb:0.2%超え1.0%以下、Co:0.3〜10%、B:0.0001〜0.0050%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。【選択図】図2

Description

本発明は、熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼に関するものである。
自動車の排気系部材の中で、特にエンジンに直結しているエキゾーストマニホールドは最高使用温度が800℃〜900℃にも達する厳しい環境で使用されている。そのため、その材料には優れた熱疲労特性が求められ、Nbを添加したフェライト系ステンレス鋼が主に用いられている。特に近年は、環境問題対策として燃費向上および排ガスのクリーン化が志向されて、エキゾーストマニホールドはより高温で使用されるようになっている。そのため、素材のステンレス鋼に対してさらなる熱疲労特性の向上が望まれている。
フェライト系ステンレス鋼に添加されたNbは鋼中に固溶することにより、高温強度を高めて熱疲労特性を向上させる。さらに、MoやWも同様に鋼中に固溶し、高温強度を高めることで熱疲労特性を向上させる。しかし、これらの元素は添加量を増加させても、あるところで高温強度の向上効果は飽和する。さらに、室温における強度も上昇するため、加工性が低下するという問題がある。
熱疲労特性を向上させる手段としては、高温強度の増加のほかに熱膨張係数の低減が挙げられる。熱膨張係数が小さくなれば、昇温時の熱膨張および降温時の熱収縮が抑制されることで、周囲の部材からの拘束により生じる歪量が小さくなるためである。
フェライト系ステンレス鋼の熱膨張係数を低減させる方法として、特許文献1ではWを添加し、かつ析出W量を制限した鋼板が開示されている。特許文献2には、Co添加により熱膨張係数を低減した鋼材が開示されている。
特許第4604714号公報 特開2009−221581号公報
しかしながら、特許文献1のように析出W量を低減するためには、製造の際に仕上げ焼鈍温度を高温にする必要がある上、その後の冷却速度によってはWが析出してしまう場合がある。また、Wは使用時に昇温した際にも、Laves相(FeW)として析出するため、時間の経過とともに析出W量が増加し、それに伴い熱膨張係数も増加してしまう。
特許文献2においては、Co添加により熱膨張係数が低減している場合でも、優れた熱疲労特性が得られない場合がある。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、製造条件を制限することなく、熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供することを目的とする。
発明者らは、Nb添加フェライト系ステンレス鋼の熱膨張係数に関する研究を行い、Coを添加することにより熱膨張係数が低減されること、さらには、MnおよびNiについてもその添加量を特定の範囲に限定することにより、優れた熱疲労特性が得られることを見出した。
これにより、製造条件を限定することなく、また使用時にも熱膨張係数が増加しない、熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼が得られることになる。
なお、本発明で言う熱疲労特性に優れるとは、最高温度930℃、拘束率0.40の熱疲労試験において寿命が600サイクル以上であることを言う。
本発明は、上記した知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1] 質量%で、C:0.020%以下、Si:3.0%以下、Mn:0.2%以下、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Al:0.01〜3.0%、Cr:10.0〜30.0%、Ni:0.01〜0.9%、N:0.020%以下、Nb:0.2%超え1.0%以下、Co:0.3〜10%、B:0.0001〜0.0050%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
[2] さらに、質量%で、Mo:0.01〜3.0%、W:0.3〜5.0%、Cu:0.4〜2.0%、V:0.1〜1.0%の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする上記[1]に記載の熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
[3] さらに、質量%で、Ti:0.01〜0.50%、Zr:0.005〜0.50%、REM:0.001〜0.1%の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
[4] さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0030%、Mg:0.0002〜0.0020%の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする上記[1]乃至[3]の何れかに記載の熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
本発明によれば、熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼を得ることができる。本発明のフェライト系ステンレス鋼は、熱膨張係数が小さく、熱疲労特性に優れるため、自動車の排気系部材等、昇温と降温が繰り返される部材に好適に用いることができる。
熱疲労試験片を説明する図である。 熱疲労試験条件を説明する図である。
1.成分組成について
以下に本発明の鋼の成分組成を規定した理由を説明する。なお、以下に示す成分%は、特に断りのない限り、全て質量%を意味する。
C:0.020%以下
Cは、鋼の強度を高めるのに有効な元素であるが、0.020%を超えて含有すると、靭性、加工性が著しく低下するので0.020%以下とする。なお、加工性を確保する観点からはCは低いほど好ましく、0.015%以下とするのが望ましい。さらに望ましくは0.010%以下である。一方、排気系部材としての強度を確保するには、0.001%以上であることが好ましく、より好ましくは0.003%以上である。
Si:3.0%以下
Siは、耐酸化性向上のために有効な元素である。その効果は0.1%以上含有することで得られる。より優れた耐酸化性を必要とする場合は0.3%以上の含有が望ましい。しかし、3.0%を超える含有は、加工性を低下させる。よって、Si量は3.0%以下とする。なお、好ましくは2.0%以下である。より好ましくは1.0%以下である。
Mn:0.2%以下
Mnは、鋼の強度を高める元素であり、また、脱酸剤としての作用も有する。その効果は0.02%以上の含有で現れる。しかし、Mnは強力なγ相形成元素であり、昇温時にγ相を形成しやすくなる。γ相を形成すると熱膨張係数が増加するため、Mn量は0.2%以下とする。好ましくは0.05〜0.15%の範囲である。より好ましくは、0.08〜0.12%の範囲である。
P:0.040%以下
Pは、靭性を低下させる元素であり、可能な限り低減するのが望ましく、P量は、0.040%以下とする。好ましくは、0.035%以下である。
S:0.030%以下
Sは、成形性と耐食性を低下させるのでできるだけ低減するのが望ましく、S量は、0.030%以下とする。好ましくは、0.010%以下である。より好ましくは0.006%以下である。
Al:0.01〜3.0%
Alは、脱酸に有効な元素である。Alは脱酸に用いられるのみならず、鋼の耐酸化性や高温疲労特性を向上させる効果を有する。その効果は0.01%以上の含有で現れる。一方、3.0%を超えて含有すると鋼を硬質化させて加工性を低下させるので、Al量は、0.01〜3.0%の範囲とする。好ましくは0.2〜2.0%の範囲である。より好ましくは0.3〜0.5%の範囲である。
Cr:10.0〜30.0%
Crは、フェライト系ステンレス鋼の耐酸化性を向上させるために必要な元素であり、良好な耐酸化性を得るためには、10.0%以上の含有が必要である。一方、30.0%を超えて含有すると鋼が硬質化して製造性や加工性が低下する。従って、Cr量は10.0〜30.0%の範囲とする。好ましくは、12.0〜21.0%の範囲である。より好ましくは15.0〜19.0%の範囲である。
Ni:0.01〜0.9%
Niは鋼の靭性を向上させる元素であり、その効果は0.01%以上の含有で現れる。Niが添加されていないと、鋼の靭性、延性不足により亀裂が生じやすくなり、優れた熱疲労特性が得られない。特許文献2において、Co添加によって熱膨張係数が低減されている場合でも、優れた熱疲労特性が得られないのはこのためと考えられる。しかしMnと同様γ相形成元素であるため、Ni量は0.01〜0.9%の範囲とする。好ましくは0.05〜0.5%の範囲である。より好ましくは0.1〜0.3%の範囲である。
N:0.020%以下
Nは、鋼の靭性および成形性を低下させるので、できるだけ低減するのが望ましく、0.020%以下とする。好ましくは、0.003〜0.015%の範囲である。より好ましくは0.003〜0.010%の範囲である。
Nb:0.2%超え1.0%以下
Nbは、固溶強化によって高温強度を著しく上昇させて熱疲労特性を向上させる効果を有する元素である。一方でC、Nと結びついて炭窒化物として析出することで耐粒界腐食性を向上させる効果も有する。従って、高温強度を上昇させる効果は0.2%を超えて含有した場合に現れる。Nbが0.2%以下の場合、後述するようにCo添加によって熱膨張係数を低減させても、鋼の高温強度が不足するため優れた熱疲労特性は得られない。一方、1.0%を超える含有は鋼の靭性を低下させるのみならず、高温においてLaves相(FeNb)を形成して却って高温強度を低下させる。従って、Nb量は0.2%超え1.0%以下の範囲とする。好ましくは0.30〜0.60%の範囲である。より好ましくは0.35〜0.55%の範囲である。
Co:0.3〜10.0%
Coは、本発明において重要な元素である。Coを添加することで昇温時の磁気変態温度近傍の熱膨張量が大きく低下し、熱膨張係数を低減することができる。鋼の熱膨張係数を低減させるためには0.3%以上の含有が必要である。一方、10.0%を超えて含有しても熱膨張係数低減効果は飽和する。従って、Co量は0.3〜10.0%の範囲とする。好ましくは0.6〜7.0%の範囲である。より好ましくは3.0%超え7.0%以下の範囲である。
B:0.0001〜0.0050%
Bは、加工性、特に二次加工性を向上させるのに有効な元素である。0.0001%未満ではその効果がない。一方、0.0050%を超えて含有すると鋼の加工性、靭性が低下する。従って、B量は0.0001〜0.0050%の範囲とする。好ましくは0.0003〜0.0010%の範囲である。より好ましくは0.0005〜0.0010%の範囲である。
本発明は、前記必須成分を含有し残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼であるが、さらに、熱疲労特性や高温強度向上の観点からMo、W、Cu、Vの中から選ばれる1種以上を下記の範囲内で含有することができる。
Mo:0.01〜3.0%
Moは、固溶強化により鋼の強度を増加させて熱疲労特性を向上させる元素であり、その効果は0.01%以上の含有で得られる。しかし、3.0%を超えて含有しても熱疲労特性向上効果は飽和する上、表面欠陥が発生する。よって、Moを含有する場合は、Mo量は0.01〜3.0%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは0.3〜2.0%の範囲である。さらに好ましくは0.5〜1.0%の範囲である。
W:0.3〜5.0%
Wは、Moと同様に固溶強化により鋼の強度を増加させる元素であり、その効果は0.3%以上含有することで得られる。しかし、5.0%を超えて含有しても熱疲労特性向上効果は飽和する上、表面欠陥が生じる。良好な表面性状を得るために、5.0%以下とする。従って、Wを含有する場合は、W量は0.3〜5.0%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは1.0〜3.5%の範囲である。さらに好ましくは2.0〜3.0%の範囲である。
Cu:0.4〜2.0%
Cuは、ε−Cuとして析出して鋼を強化して熱疲労特性を向上させる。その効果を得るためには、0.4%以上含有することが必要である。しかし、2.0%を超えて含有しても熱疲労特性向上効果は飽和するのみならず、鋼が硬質化し加工性が低下する。従って、Cuを含有する場合は、Cu量は0.4〜2.0%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは0.75%以上1.5%未満の範囲である。さらに好ましくは1.1〜1.4%の範囲である。
V:0.01〜1.0%
Vは、高温強度の向上に有効な元素である。その効果は、0.01%以上の含有で得られる。しかし、1.0%を超えて含有すると、粗大なV(C,N)が析出して靭性が低下する。従って、Vを含有する場合は、V量は、0.01〜1.0%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは、0.05〜0.5%の範囲である。さらに好ましくは0.1〜0.3%の範囲である。
更に、耐食性や耐酸化性の観点からTi、Zr、REMの中から選ばれる1種以上を選択元素として下記の範囲で含有してもよい。
Ti:0.01〜0.50%
Tiは、C、Nを固定して、Nb炭窒化物の生成を防ぐとともに耐食性や成形性、溶接部の粒界腐食性を向上させる。そのためには0.01%以上の含有が必要である。一方で0.50%を超えて含有すると鋼の靭性が著しく低下し、熱疲労特性を低下させるので、Tiを含有する場合は、Ti量は0.01〜0.50%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは0.05〜0.20%の範囲である。さらに好ましくは0.10〜0.15%の範囲である。
Zr:0.005〜0.50%
Zrは、耐酸化性を改善する元素である。その効果を得るためには、0.005%以上の含有が好ましい。しかし、0.50%を超える含有はZr金属間化合物が析出して鋼を脆化させるため、Zrを含有する場合は、Zr量は0.005〜0.50%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは0.01〜0.30%の範囲である。さらに好ましくは0.05〜0.10%の範囲である。
REM:0.001〜0.1%
REM(希土類元素)は、耐酸化性を向上させる元素である。その効果を得るためには、0.001%以上の含有が好ましい。しかし、0.1%を超える含有は鋼を脆化させるため、REMを含有する場合は、REM量は0.001〜0.1%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは0.005〜0.05%の範囲である。さらに好ましくは0.01〜0.03%の範囲である。
更に、靭性や製造性向上の観点からCa、Mgの中から選ばれる1種以上を選択元素として下記の範囲で含有してもよい。
Ca:0.0005〜0.0030%
Caは、連続鋳造の際に発生しやすいTi系介在物析出によるノズルの閉塞を防止するのに有効な成分である。0.0005%未満ではその効果がない。表面欠陥を発生させず良好な表面性状を得るためには0.0030%以下とする必要がある。従って、Caを含有する場合は、Ca量は0.0005〜0.0030%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは0.0005〜0.0020%の範囲である。さらに好ましくは0.0005〜0.0015%の範囲である。
Mg:0.0002〜0.0020%
Mgはスラブの等軸晶率を向上させ、加工性や靭性の向上に有効な元素である。本発明のようにNbやTiが添加されている鋼においては、NbやTiの炭窒化物の粗大化を抑制する効果も有する。その効果は0.0002%以上の含有で現れる。Ti炭窒化物が粗大化すると、脆性割れの起点となるため靭性が大きく低下する。Nb炭窒化物が粗大化すると、Nbの鋼中固溶量が低下するため、熱疲労特性の低下に繋がる。一方で、Mg含有量が0.0020%超えとなると、鋼の表面性状を悪化させてしまう。したがって、Mgを含有する場合は、Mg量は0.0002〜0.0020%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは0.0002〜0.0015%の範囲である。さらに好ましくは0.0004〜0.0010%の範囲である。
2.製造方法について
次に、本発明の熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法について説明する。
本発明の熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼は、通常のステンレス鋼の製造方法を用いることができる。上記成分組成からなる鋼を転炉、電気炉等の溶解炉で溶製し、さらに取鍋精錬、真空精錬等の2次精錬を経て、連続鋳造法あるいは造塊−分塊圧延法で鋼片(スラブ)とし、熱間圧延、熱延板焼鈍、酸洗を施し熱延焼鈍酸洗板とする。さらに、冷間圧延、仕上焼鈍、酸洗等の各工程を経て冷延焼鈍板とする方法が推奨される。一例は以下の通りである。
転炉あるいは電気炉等で溶製し、AOD法あるいはVOD法により二次精錬を行い上記成分組成の溶鋼を溶製し、連続鋳造法によりスラブとする。このスラブを1000〜1250℃に加熱して、熱間圧延により所望の板厚の熱延板とする。この熱延板を900℃〜1100℃の温度で連続焼鈍を施した後、ショットブラストと酸洗により脱スケールを行って熱延焼鈍酸洗板とする。
この熱延焼鈍酸洗板をそのままエキゾーストマニホールド等の本発明が対象とする用途に用いることも可能であるが、さらに、冷間圧延と焼鈍・酸洗を行って冷延焼鈍酸洗板とすることもできる。この冷間圧延工程では、必要に応じて中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を行ってもよい。1回または2回以上の冷間圧延からなる冷延工程の総圧下率は60%以上、好ましくは70%以上とする。冷延板焼鈍温度は、900〜1150℃、好ましくは950〜1100℃である。
また、用途によっては、酸洗後に軽度の圧延(スキンパス圧延等)を加えて、鋼板の形状、品質調整を行うこともできる。また、水素を含む還元雰囲気で焼鈍して酸洗を省略したBA仕上げとすることもできる。
このようにして製造して得た熱延板製品あるいは冷延焼鈍板製品を用い、それぞれの用途に応じた曲げ加工等を施し、自動車やオートバイの排気管、触媒外筒材および火力発電プラントの排気ダクトあるいは燃料電池関連部材に成形される。これらの部材を溶接するための溶接方法は、特に限定されるものではなく、TIG、MIG、MAG等の各種アーク溶接方法や、スポット溶接、シーム溶接等の抵抗溶接方法、および電縫溶接方法などの高周波抵抗溶接、高周波誘導溶接が適用可能である。
表1に示す成分組成を有するNo.1〜30の鋼を真空溶解炉で溶製・鋳造して30kg鋼塊にした。1170℃に加熱後、熱間圧延を行って厚さ35mm×幅150mmのシートバーとした。このシートバーを二分割した。その一つを用い、鍛造加工により断面が30mm×30mmの角棒とし、950〜1050℃の範囲内で焼鈍後、機械加工し、図1に示した熱疲労試験片を作製した。この試験片を用いて後述のように熱膨張係数の測定および熱疲労試験を行った。焼鈍温度については950〜1050℃の温度範囲内で組織を確認しながら成分ごとに設定した。
<熱膨張係数の測定と熱疲労試験>
上記熱疲労試験用試験片を用いて、最高温度を930℃、最低温度を200℃とし、拘束率を0.35として熱疲労試験を行った。図2に熱疲労試験方法を示す。まずはじめに、熱疲労試験片を200℃〜930℃間で加熱速度10℃/s、冷却速度10℃/sとして加熱・冷却を応力無負荷で3サイクル繰り返した。熱膨張の挙動が安定する3サイクル目の変位計の読みから熱膨張量を測定し、熱膨張係数を求めた。引き続き、得られた熱膨張量を元に拘束率が0.40となるような歪量を求め、熱疲労試験を行った。熱疲労試験は、200℃〜930℃間で加熱速度10℃/s、冷却速度10℃/sとして加熱・冷却を繰り返すと同時に、拘束率0.40となるように歪を繰り返し付与し、熱疲労寿命を測定した。200℃および930℃での保持時間はいずれも2minとした。なお、上記熱疲労寿命については、日本材料学会標準 高温低サイクル試験法標準に準拠し、200℃において検出された荷重を、図1に示した試験片均熱平行部の断面積で割って応力を算出し、5サイクル目の応力値に対して75%まで低下したときのサイクル数を熱疲労寿命と定義した。なお、比較として、Nb−Si複合添加鋼(15%Cr−0.9%Si−0.4%Nb)についても、同様の試験を行った。
Figure 2014214321
なお、表1において、判定基準は以下の通りである。
熱膨張係数:13.2×10−6/℃以下のものを○(合格)、13.2×10−6/℃超えのものを×(不合格)とした。
熱疲労寿命:600サイクル以上を○(合格)、600サイクル未満を×(不合格)とした。
表1より、本発明例であるNo.1〜23は、全て熱疲労寿命が600サイクル以上であった。また、本発明例の全ての熱延焼鈍酸洗板の表面性状は、表面欠陥がなく良好であった。
一方、Coが0.2%と本発明範囲外で低い比較例No.24では熱膨張係数が大きいため熱疲労特性が不合格となった。Mnが0.28%と本発明範囲外で高い比較例No.25およびNiが1.02%と本発明範囲外で高い比較例No.26では、熱膨張係数が大きく、熱疲労特性が不合格であった。Nbが0.17%、0.18%と本発明範囲外で低い比較例No.27およびNo.28では、高温における強度不足により熱疲労特性は不合格であった。比較例No.29は、特許文献2を満足する成分であり、Co添加によって熱膨張係数が低減されているが、Niが添加されていないため、優れた熱疲労寿命は得られず、不合格となった。従来例No.30は従来例のSUS444鋼である。
したがって、本発明範囲の鋼は熱疲労特性に優れることは明らかである。
本発明のフェライト系ステンレス鋼は熱膨張係数が小さく、熱疲労特性に優れるため、エキゾーストマニホールド、各種排気パイプ、コンバーターケースやマフラー等の自動車等の排気系部材用に好適である。さらに、火力発電システムの排気系部材や燃料電池用部材としても好適である。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.020%以下、Si:3.0%以下、Mn:0.2%以下、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Al:0.01〜3.0%、Cr:10.0〜30.0%、Ni:0.01〜0.9%、N:0.020%以下、Nb:0.2%超え1.0%以下、Co:0.3〜10%、B:0.0001〜0.0050%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  2. さらに、質量%で、Mo:0.01〜3.0%、W:0.3〜5.0%、Cu:0.4〜2.0%、V:0.1〜1.0%の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  3. さらに、質量%で、Ti:0.01〜0.50%、Zr:0.005〜0.50%、REM:0.001〜0.1%の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  4. さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0030%、Mg:0.0002〜0.0020%の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の熱疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
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