JP2014213646A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ウエット路面での旋回性能を維持しつつ、ラグ溝に連なるリブ縁の偏摩耗を抑制しうる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部2に、少なくとも1つのリブ5を含む空気入りタイヤ1であって、リブ5には、リブ5のタイヤ軸方向一方側のリブ縁5aからのびる複数の第1ラグ溝8と、リブ5のタイヤ軸方向他方側のリブ縁5bからのびる複数の第2ラグ溝9と、これらの第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9に連通しない複数のサイプ10とが設けられ、第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9は、タイヤ周方向に対して同じ向きに傾斜し、かつ、タイヤ軸方向で向き合う位置に配され、サイプ10は、第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9とは逆向きの他方側に傾斜し、かつ、タイヤ軸方向で向き合う第1ラグ溝8と第2ラグ溝9との間に設けられた第1サイプ11を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる少なくとも1つのリブを含む空気入りタイヤに関する。
従来、トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝と、各主溝に区分され、タイヤ周方向に連続してのびる複数のリブとを含むトレッドパターンが採用された空気入りタイヤが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この種のタイヤは、排水性に優れ、かつ、トレッド部の剛性が極めて高く、特に、ウエット路面での旋回性能に優れる。
下記特許文献1のタイヤのリブには、例えば、タイヤ周方向に対して傾斜し、かつ、前記リブの一方側のリブ縁からのび、しかも、前記リブ内に終端を有するラグ溝が複数形成されている。このようなラグ溝は、ウエット路面でのトラクション性能を向上させる。また、前記リブには、タイヤ周方向に隣り合う前記ラグ溝の間に、複数のサイプが設けられている。このようなサイプは、前記リブの剛性を低下させ、リブ縁での偏摩耗を抑制する。
特開平8−91023号公報
しかしながら、従来の空気入りタイヤでは、ラグ溝間の複数のサイプが、リブの剛性を全体的に低下させていた。このため、ウエット路面での旋回性能が低下するおそれがあった。
本発明は、以上のような実状に鑑みなされたもので、ウエット路面での旋回性能を維持しつつ、ラグ溝に連なるリブ縁の偏摩耗を抑制しうる空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる少なくとも1つのリブを含む空気入りタイヤであって、前記少なくとも1つのリブには、前記リブのタイヤ軸方向一方側のリブ縁からのびかつ前記リブ内に終端を有する複数の第1ラグ溝と、前記リブのタイヤ軸方向他方側のリブ縁からのびかつ前記リブ内に終端を有する複数の第2ラグ溝と、これらの第1ラグ溝及び第2ラグ溝と連通しない複数のサイプとが設けられ、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、タイヤ周方向に対して同じ向きに傾斜し、かつ、前記第1ラグ溝と前記第2ラグ溝とは、タイヤ軸方向で向き合う位置に配され、前記サイプは、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝とは逆向きの他方側に傾斜し、かつ、タイヤ軸方向で向き合う前記第1ラグ溝と前記第2ラグ溝との間に設けられた第1サイプを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記第1サイプは、タイヤ軸方向で向き合う前記第1ラグ溝と前記第2ラグ溝とを結ぶ直線上に配されているのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記第1サイプは、タイヤ軸方向で向き合う前記第1ラグ溝の前記終端と、前記第2ラグ溝の前記終端とを結ぶ直線上に配されているのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記サイプは、タイヤ周方向に隣り合う前記第1サイプ間に配され、かつ、前記第1サイプと同じ向きに傾斜する第1成分を有する第2サイプを含むのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記第2サイプは、前記第1成分のタイヤ軸方向内側でタイヤ周方向にのびる周方向成分と、前記第1成分のタイヤ軸方向外側でタイヤ軸方向外側にのびる軸方向成分とを有するのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記トレッド部は、タイヤ周方向に連続してのびる少なくとも3本の主溝を含み、前記リブは、前記主溝の間で区分されかつタイヤ赤道の一方側又は他方側に配されたミドルリブであるのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、タイヤ周方向に対して、45〜70°の角度で傾斜しているのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記第1ラグ溝の長手方向の長さL1と、前記リブのタイヤ軸方向の幅W1との比(L1/W1)、及び、前記第2ラグ溝の長手方向の長さL2と前記リブの幅W1との比(L2/W1)は、0.3〜0.5の範囲であるのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、前記終端側に向かって溝深さが漸減するのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝の前記リブ縁側の深さD1と前記終端側の深さD2との比(D2/D1)は、0.4〜0.6の範囲であるのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記第1ラグ溝の前記終端又は前記第2ラグ溝の前記終端から前記第1サイプまでの最短距離L3は、1.0〜5.0mmの範囲であるのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記リブは、前記第1ラグ溝又は前記第2ラグ溝と前記各リブ縁とのなす鋭角部分が面取りされた面取部を含んでいるのが望ましい。
本発明の空気入りタイヤは、少なくとも1つのリブに、前記リブのタイヤ軸方向一方側のリブ縁からのびかつ前記リブ内に終端を有する複数の第1ラグ溝と、前記リブのタイヤ軸方向他方側のリブ縁からのびかつ前記リブ内に終端を有する複数の第2ラグ溝と、これらの第1ラグ溝及び第2ラグ溝と連通しない複数のサイプとが設けられている。前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、タイヤ周方向に対して同じ向きに傾斜し、かつ、前記第1ラグ溝と前記第2ラグ溝とは、タイヤ軸方向で向き合う位置に配されている。前記サイプは、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝とは逆向きの他方側に傾斜し、かつ、タイヤ軸方向で向き合う前記第1ラグ溝と前記第2ラグ溝との間に設けられた第1サイプを含んでいる。
本発明の空気入りタイヤでは、第1ラグ溝及び第2ラグ溝により、ウエット路面において、リブの一方側及び他方側から排水され、排水性が向上される。従って、ウエット路面において、トレッド部と路面とが接する接地面を大きくでき、ウエット路面でのトラクション性能が向上される。
本発明の空気入りタイヤでは、第1サイプにより、タイヤ軸方向で向き合う第1ラグ溝と第2ラグ溝の付近でリブの剛性が低下される。このため、第1ラグ溝及び第2ラグ溝に連なるリブ縁の変形がより一層容易となり、前記リブ縁の偏摩耗を抑制しうる。さらに、前記第1サイプは、第1ラグ溝及び第2ラグ溝に連通しない。このような第1サイプは、前記リブの全体的な剛性の低下を抑制するため、ウエット路面での高い旋回性能が維持される。
本発明の一実施形態の空気入りタイヤのトレッド部の展開図である。 図1のタイヤ赤道付近の部分拡大図である。 図2のA−A断面図である。
以下、本発明の実施の一形態が、図面に基づき説明される。
図1には、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」と記載される場合がある)1のトレッド部2の展開図が示されている。タイヤ1として、本実施形態では、乗用車用のタイヤが示されているが、例えば、重荷重用や自動二輪車用など、種々のカテゴリーのものが含まれるのは言うまでもない。
図1に示されるように、タイヤ1は、トレッド部2に、例えば、タイヤ周方向に連続してのびる少なくとも3本、本実施形態では、3本の主溝3を含んでいる。主溝3は、例えば、タイヤ赤道C上をのびる中央のセンター主溝3Cと、その両側のショルダー主溝3Sとを含んでいる。
タイヤ1は、トレッド部2に、タイヤ周方向に連続してのびる少なくとも1つ、本実施形態では4つのリブ4を含んでいる。本実施形態のリブ4は、センター主溝3Cとショルダー主溝3Sとの間で区分されたミドルリブ5と、ショルダー主溝3Sとトレッド端Teとの間で区分されたショルダーリブ6とを含んでいる。本実施形態のミドルリブ5は、タイヤ赤道Cの両側にそれぞれ設けられている。
前記「トレッド端」とは、正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷してキャンバー角0°にて平面に接地させたときのトレッド接地面のタイヤ軸方向最外端である。
前記「正規状態」とは、タイヤ1が、正規リム(図示省略)にリム組みされかつ正規内圧が充填されしかも無負荷の状態である。
前記「正規リム」とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば"標準リム"、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
前記「正規内圧」とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、例えば、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
前記「正規荷重」とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、例えば、JATMAであれば"最大負荷能力"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
図2には、図1のタイヤ赤道C付近が拡大された部分拡大図が示されている。図3には、図2のA−A断面図が示されている。本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ1の各部の寸法は、正規状態での値である。
図2又は図3に示されるように、主溝3の溝幅W4や溝深さD4は、本実施形態では、特に限定されることなく、例えば、慣例に挙げられる範囲のものが好適に使用される。主溝3の溝幅W4は、トレッド部2の剛性又は排水性の観点から、例えば、トレッド端Te、Te間のトレッド幅TW(図1に示す)の3.0〜8.0%の範囲であるのが望ましい。
主溝3の溝深さD4は、溝幅W4と同様の観点から、例えば、6.0〜9.0mmの範囲であるのが望ましい。主溝3は、排水性及び直進安定性の観点から、本実施形態では、直線状に設けられるが、例えば、ジグザグ状でも良い。
図2に示されるように、各ミドルリブ5には、複数の第1ラグ溝8と、複数の第2ラグ溝9と、第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9と連通しない複数のサイプ10とが設けられている。
第1ラグ溝8は、ミドルリブ5のタイヤ軸方向一方側、本実施形態ではタイヤ赤道C側のリブ縁5aからのびている。第2ラグ溝9は、ミドルリブ5のタイヤ軸方向他方側、本実施形態ではタイヤ軸方向外側のリブ縁5bからのびている。第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9は、各々ミドルリブ5内に終端8e、9eを有している。
第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9は、タイヤ周方向に対して同じ向きに傾斜している。このため、エッジ効果により、直進時のトラクション性能を向上させる。しかも、ウエット路面において、路面とトレッド部2との間の水膜を、ミドルリブ5のリブ縁5a側又はリブ縁5b側から主溝4へと効率よく排水でき、ウエット路面でのトラクション性能をより一層向上させる。
第1ラグ溝8と第2ラグ溝9とは、ミドルリブ5のタイヤ軸方向で向き合う位置に配されている。より具体的には、第1ラグ溝8と第2ラグ溝9とは、例えば、タイヤ軸方向に沿った任意の直線上に交差するように配されていればよい。このような第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9は、ミドルリブ5の第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9の付近で剛性を低下させる。ミドルリブ5の剛性をより部分的に低下させるために、第1ラグ溝8のタイヤ周方向成分のうち80%以上が第2ラグ溝9と向き合っているのが望ましい。
サイプ10は、タイヤ赤道Cに対して、第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9とは逆向きに傾斜している第1サイプ11を含んでいる。第1サイプ11は、タイヤ軸方向で向き合う第1ラグ溝8と第2ラグ溝9との間に設けられている。
第1サイプ11により、タイヤ軸方向で向き合う第1ラグ溝8と第2ラグ溝9の付近でミドルリブ5の剛性がより一層低下される。このため、第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9に連なるミドルリブ5のリブ縁5cの変形が容易となり、リブ縁5cでの偏摩耗が抑制される。さらに、第1サイプ11は、第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9に連通していない。このような第1サイプ11は、ミドルリブ5の全体的な剛性の低下を抑制でき、タイヤ1のウエット路面での高い旋回性能が維持される。
第1サイプ11は、好ましい態様では、直線状にのびている。第1サイプ11は、例えば、タイヤ軸方向で向き合う第1ラグ溝8と第2ラグ溝9とを結ぶ直線上に配されている。このような第1サイプ11は、第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9の付近において、ミドルリブ5の剛性を効果的に低下させる。とりわけ、第1サイプ11は、タイヤ軸方向で向き合う第1ラグ溝8の終端8eと、第2ラグ溝9の終端9eとを結ぶ直線上に配されるのが望ましい。
サイプ10の溝幅や溝深さは、本実施形態では、特に限定されることなく、例えば、慣例に挙げられる範囲のものが好適に使用される。
サイプ10は、例えば、タイヤ周方向に隣り合う第1サイプ11の間に配された第2サイプ12を含んでいる。第2サイプ12は、ミドルリブ5の剛性を調整するのに役立つ。
第2サイプ12は、例えば、第1サイプ11と同じ向きに傾斜する第1成分12aと、第1成分12aのタイヤ軸方向内側でタイヤ周方向にのびる周方向成分12bと、第1成分12aのタイヤ軸方向外側でタイヤ軸方向外側にのびる軸方向成分12cとを有している。周方向成分12bは、ミドルリブ5の軸方向剛性を調整でき、しかも、エッジ効果により旋回性能を向上しうる。軸方向成分12cは、ミドルリブ5の周方向剛性を調整でき、しかも、エッジ効果によりトラクション性能を向上しうる。
第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9は、タイヤ周方向に対して、例えば、45〜70°の角度αで傾斜しているのが望ましい。前記角度αが45°未満の場合、第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9のエッジ効果が発揮され難く、トラクション性能を十分に向上させ難い。逆に、前記角度αが70°より大きい場合、主溝4への排水が困難となり、十分な排水性を発揮し難い。
第1ラグ溝8の長手方向の長さL1と、ミドルリブ5のタイヤ軸方向の幅W1との比(L1/W1)は、例えば、0.3〜0.5の範囲であるのが望ましい。前記比(L1/W1)の値が0.3未満の場合、排水性の向上が困難となるだけでなく、ミドルリブ5の剛性を十分に低下できないおそれがある。逆に、前記比(L1/W1)の値が0.5より大きい場合、ミドルリブ5の剛性を極端に低下させるおそれがある。
第2ラグ溝9の長手方向の長さL2とミドルリブ5の幅W1との比(L2/W1)は、前記比(L1/W1)と同様の観点から、例えば、0.3〜0.5の範囲であるのが望ましい。
図3に示されるように、第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9は、例えば、各終端8e、9e側に向かって溝深さが漸減している。このような第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9では、路面との間の水膜を、傾斜する溝底に沿って主溝4へと排水でき、排水性をより一層向上しうる。
第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9のリブ縁5a、5b側の深さD1と終端8e、9e側の深さD2との比(D2/D1)は、0.4〜0.6の範囲であるのが望ましい。前記比(D2/D1)の値が0.4未満の場合、第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9の各溝底の傾斜が小さく、排水性を向上できないおそれがある。一方、前記比(D2/D1)の値が0.6より大きい場合、第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9の各溝底の傾斜が大きく、前記終端8e、9e側の深さD2が小さくなる。このため、路面との間の水膜を前記終端8e、9e側から第1ラグ溝8又は第2ラグ溝9内へ導入し難くなり、排水性を向上できないおそれがある。
図2に示されるように、第1ラグ溝8の終端8e又は第2ラグ溝9の終端9eから、第1サイプ11までの最短距離L3は、例えば、1.0〜5.0mmの範囲であるのが望ましい。前記最短距離L3が1.0mm未満の場合、ミドルリブ5の第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9付近の剛性が大きく低下し、その部分に偏摩耗が生じ易い。逆に、前記最短距離L3が5.0mmより大きい場合、ミドルリブ5の第1ラグ溝8及び第2ラグ溝9付近の剛性を十分に低下できないおそれがあり、リブ縁5cに偏摩耗が生じ易い。
本実施形態のミドルリブ5は、例えば、第1ラグ溝8又は第2ラグ溝9と各リブ縁5a、5bとのなす鋭角部分が斜面で面取りされた面取部5dを含んでいるのが望ましい。面取部5dは、前記鋭角部分でのクラックを抑制するのに役立つ。
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、トレッド端Teからタイヤ軸方向外側に連なるバットレス領域20を含んでいる。バットレス領域20には、例えば、タイヤ周方向にのびるバットレス縦溝21と、バットレス縦溝21からタイヤ軸方向内側にのびるバットレスラグ溝22とが設けられている。
バットレスラグ溝22は、例えば、バットレス縦溝21からタイヤ軸方向内側にのびる直線状又は円弧状に設けられる。バットレスラグ溝22は、タイヤ周方向に交互に配された第1バットレスラグ溝22Aと第2バットレスラグ溝22Bとを含んでいる。第1バットレスラグ溝22Aは、トレッド端Teよりもタイヤ軸方向内側に終端を有している。第1バットレスラグ溝22Aは、エッジ効果によりトラクション性能の向上に役立つ。
第2バットレスラグ溝22Bは、トレッド端Teよりもタイヤ軸方向外側に終端を有している。第2バットレスラグ溝22Bは、バットレス領域20内で終端し、接地時において、溝幅が広がる向きに変形される。このため、ショルダーリブ6の接地端側の接地圧が軽減され、ショルダーリブ6の発熱が抑制される。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこの実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示される基本パターンを有し、かつ、表1の仕様に基いたタイヤが試作され、それらがテストされた。タイヤの主な共通仕様は下記の通りである。
タイヤサイズ:195/65R15
リム:6.00JJ
トレッド幅TW:140 mm
各テスト方法は次の通りである。
<ウエット制動性能>
各試供タイヤを、車両の全輪に装着し、前輪内圧(230kPa)、後輪内圧(220kPa)の条件にて、路面に水膜を形成したウエット路面を走行させた。そして、走行速度が100km/hに達した時、ABSブレーキを作動させ、ABSブレーキを作動させた位置から車両の停止位置までの距離を測定し、比較例1を100とする指数で評価した。数値が大きいほどウエット制動性能に優れ、ウエット路面でのトラクション性能に優れる。
<ウエット旋回性能>
各試供タイヤを、車両の全輪に装着し、前輪内圧(230kPa)、後輪内圧(220kPa)の条件にて、路面に水膜を形成したウエット路面を走行させた。そして、走行時の旋回性能をドライバーの官能評価に基づいて、比較例1を100とする指数で評価した。数値が大きいほどウエット路面での旋回性能に優れる。
<耐偏摩耗性能>
各試供タイヤを、内圧(180kPa)の条件にて、車両の全輪に装着し、市街地を2万km走行した。そして走行後のタイヤの肩落ち摩耗、H&T摩耗を目視によって判定し、判定結果に基づいて、比較例1を100とする指数で評価した。数値が大きいほど偏摩耗が少なく、耐偏摩耗性能に優れる。
Figure 2014213646
Figure 2014213646
表1に示されるように、実施例のタイヤは、ウエット路面での旋回性能を維持しつつ、耐摩耗性能が向上され、さらに、ウエット路面でのトラクション性能が向上されることが確認できた。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 主溝
4 リブ
5 ミドルリブ
8 第1ラグ溝
9 第2ラグ溝
10 サイプ
11 第1サイプ
C タイヤ赤道

Claims (12)

  1. トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる少なくとも1つのリブを含む空気入りタイヤであって、
    前記少なくとも1つのリブには、前記リブのタイヤ軸方向一方側のリブ縁からのびかつ前記リブ内に終端を有する複数の第1ラグ溝と、前記リブのタイヤ軸方向他方側のリブ縁からのびかつ前記リブ内に終端を有する複数の第2ラグ溝と、これらの第1ラグ溝及び第2ラグ溝と連通しない複数のサイプとが設けられ、
    前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、タイヤ周方向に対して同じ向きに傾斜し、かつ、
    前記第1ラグ溝と前記第2ラグ溝とは、タイヤ軸方向で向き合う位置に配され、
    前記サイプは、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝とは逆向きの他方側に傾斜し、かつ、タイヤ軸方向で向き合う前記第1ラグ溝と前記第2ラグ溝との間に設けられた第1サイプを含むことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記第1サイプは、タイヤ軸方向で向き合う前記第1ラグ溝と前記第2ラグ溝とを結ぶ直線上に配されている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第1サイプは、タイヤ軸方向で向き合う前記第1ラグ溝の前記終端と、前記第2ラグ溝の前記終端とを結ぶ直線上に配されている請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記サイプは、タイヤ周方向に隣り合う前記第1サイプ間に配され、かつ、前記第1サイプと同じ向きに傾斜する第1成分を有する第2サイプを含む請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記第2サイプは、前記第1成分のタイヤ軸方向内側でタイヤ周方向にのびる周方向成分と、前記第1成分のタイヤ軸方向外側でタイヤ軸方向外側にのびる軸方向成分とを有する請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記トレッド部は、タイヤ周方向に連続してのびる少なくとも3本の主溝を含み、
    前記リブは、前記主溝の間で区分されかつタイヤ赤道の一方側又は他方側に配されたミドルリブである請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、タイヤ周方向に対して、45〜70°の角度で傾斜している請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記第1ラグ溝の長手方向の長さL1と、前記リブのタイヤ軸方向の幅W1との比(L1/W1)、及び、前記第2ラグ溝の長手方向の長さL2と前記リブの幅W1との比(L2/W1)は、0.3〜0.5の範囲である請求項1乃至7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、前記終端側に向かって溝深さが漸減する請求項1乃至8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝の前記リブ縁側の深さD1と前記終端側の深さD2との比(D2/D1)は、0.4〜0.6の範囲である請求項9に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記第1ラグ溝の前記終端又は前記第2ラグ溝の前記終端から前記第1サイプまでの最短距離L3は、1.0〜5.0mmの範囲である請求項1乃至10のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記リブは、前記第1ラグ溝又は前記第2ラグ溝と前記各リブ縁とのなす鋭角部分が面取りされた面取部を含んでいる請求項1乃至11のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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