JP2014206720A - 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、重合体及び化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(以下、重合体(A)ともいう。)を含む。本発明の液晶配向剤に含まれる各成分、および必要に応じて任意に配合されるその他の成分について以下説明する。
本発明の重合体(A)としてのポリアミック酸(以下、ポリアミック酸(A)ともいう。)は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。
[テトラカルボン酸二無水物]
本発明におけるポリアミック酸を合成するのに用いるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。なお、ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、上記テトラカルボン酸二無水物は、上記式(d)で表される化合物を含むジアミンとの縮重合によって本発明の効果を奏することが可能なポリアミック酸を得ることができる点でいずれも同様の作用を有するものである。したがって、以下の実施例に記載されていないものであっても本発明において使用することが可能である。
本発明のポリアミック酸(A)の合成に使用するジアミンには、上記式(d)で表される化合物が含まれる。
上記式(d)について、R2は炭素数2〜5のアルキレン基又はアルケニレン基である。R2の炭素数2〜5のアルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができ、炭素数2〜5のアルケニレン基としては、例えばエチニル基、プロペニル基、ブテニル基、プロペニル基等を挙げることができ、これらは直鎖状であっても分岐状であってもよい。R2のアルキレン基及びアルケニレン基は、好ましくは直鎖状である。
nは0又は1であり、好ましくは0である。
Xは2価の芳香族環基又はシクロヘキシレン基である。2価の芳香族環基は、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香族環の環部分から2つの水素原子を除いた基であり、当該芳香環は例えばアルキル基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。2価の芳香族環基としてはフェニレン基が特に好ましい。2価の芳香族環基及びシクロヘキシレン基における一方の結合手は他方の結合手に対して2−位、3−位、4−位のいずれにあってもよいが、好ましくは4−位である。
Yは、単結合、−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−、*−CO−S−、*−S−CO−、*−CONH−又は*−NHCO−(但し、「*」はXとの結合手を示す。)であり、好ましくは単結合又は−CO−であり、より好ましくは単結合である。
R1は、炭素数1〜30のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等を挙げることができる。これらは直鎖状であっても分岐状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
上記重合体(A)として光配向性構造を有する重合体(以下、光配向性重合体(A)ともいう。)を含む場合、当該重合体(A)は分解型光配向部を含む重合体であることが好ましく、具体的にはビシクロ[2.2.2]オクテン骨格又はシクロブタン骨格を有する重合体であることが好ましい。このような特定の骨格を有することにより、塗膜の液晶配向性を更に良好にすることができる。当該特定の骨格を有する重合体は、例えばシクロブタンテトラカルボン酸二無水物及びビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物のうちの少なくともいずれかを含むテトラカルボン酸二無水物と、上記式(d)で表される化合物を含むジアミンとを反応させることにより得ることができる。
光配向法により塗膜に液晶配向能を付与する場合において、光配向性重合体(A)の使用割合は、本発明のポリアミック酸の合成に使用する重合体(A)の全量に対して、10重量%以上とすることが好ましく、30〜100重量%とすることがより好ましく、50〜100重量%とすることが更に好ましい。
ポリアミック酸(A)の合成に際しては、上記の如きテトラカルボン酸二無水物及びジアミンとともに、適当な分子量調節剤を用いて末端修飾型の重合体を合成することとしてもよい。かかる末端修飾型の重合体とすることにより、本発明の効果を損なうことなく液晶配向剤の塗布性(印刷性)をさらに改善することができる。
分子量調節剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計100重量部に対して、20重量部以下とすることが好ましく、10重量部以下とすることがより好ましい。
上記式(d)で表される化合物は、有機化学の定法を適宜組み合わせることにより合成することができる。その一例としては、例えば、アルキルフェノール誘導体やヘキサヒドロフェノール誘導体などの水酸基含有化合物とジニトロフルオロベンゼンとを、炭酸カリウムなどの適当な塩基触媒及び溶媒としてテトラヒドロフランなどの極性溶媒の存在下で混合し、室温〜180℃の条件下にて数時間反応させ、中間体としてジニトロ体を得た後、このジニトロ中間体を還元することで、目的物である上記式(d)で表される化合物を得ることができる。但し、上記式(d)で表される化合物の合成手順は上記方法に限定されるものではない。
本発明のポリアミック酸(A)の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジア
ミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の
酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、更に好ましくは0.3〜1.2当量
となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反
応温度は−20℃〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。また、反応時間
は0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましい。
これら有機溶媒の具体例としては、非プロトン性極性溶媒として、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどを;フェノール系溶媒として、例えばフェノール、m−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノールなどを;
アルコールとして、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどを;ケトンとして、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどを;上記エステルとして、例えば、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレートなどを;エーテルとして、例えばジエチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフランなどを;ハロゲン化炭化水素として、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼンなどを;上記炭化水素として、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを;それぞれ挙げることができる。
本発明の重合体(A)としてのポリアミック酸エステル(以下、ポリアミック酸エステル(A)ともいう。)は、例えば、[I]上記合成反応により得られたポリアミック酸(A)を、水酸基含有化合物、ハロゲン化物又はエポキシ基含有化合物を用いてエステル化することにより合成する方法、[II]テトラカルボン酸ジエステル化合物とジアミンとを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミンとを反応させる方法、によって得ることができる。ここで、方法[II]におけるテトラカルボン酸ジエステル化合物としては、上記テトラカルボン酸二無水物の前駆体であるテトラカルボン酸のジエステル化合物が挙げられる。
方法[II]で使用するテトラカルボン酸ジエステル化合物は、例えば上記ポリアミック酸の合成で例示したテトラカルボン酸二無水物を、上記のアルコール類を用いて開環することにより得ることができる。方法[II]の反応は、適当な脱水触媒の存在下で行うことが好ましい。脱水触媒としては、例えば4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムハライド、カルボニルイミダゾール、リン系縮合剤などが挙げられる。方法[III]で使用するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、例えば上記の如くして得たテトラカルボン酸ジエステル化合物を、塩化チオニル等の適当な塩素化剤と反応させることにより得ることができる。
方法[II]及び[III]において使用するジアミンとしては、上記式(d)で表される化合物が挙げられる。また、必要に応じてその他のジアミンを使用してもよい。なお、ポリアミック酸エステル(A)は、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。
本発明の重合体(A)としてのポリイミド(以下、ポリイミド(A)ともいう。)は、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸(A)を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
以上のようにして得られる重合体(A)としてのポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドは、これを濃度10重量%の溶液としたときに、10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
上記ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。このような分子量範囲にあることで、液晶表示素子の良好な配向性及び安定性を確保することができる。
本発明の液晶配向剤は、上記の如き重合体(A)を含有するが、必要に応じてその他の成分を含有させることができる。当該液晶配向剤に添加してもよいその他の成分としては、上記重合体(A)以外のその他の重合体、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ基含有化合物」という。)、官能性シラン化合物等を挙げることができる。
上記その他の重合体は、溶液特性や電気特性の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体としては、例えば、上記例示したテトラカルボン酸二無水物と上記その他のジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸(以下、「他のポリアミック酸」ともいう。)、当該他のポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミド、上記その他のジアミンを用いて合成したポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
その他の重合体を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、該組成物中の全重合体100重量部に対して50重量部以下とすることが好ましく、0.1〜40重量部とすることがより好ましく、0.1〜30重量部とすることが更に好ましい。
エポキシ基含有化合物は、液晶配向膜における基板表面との接着性や電気特性を向上させるために使用することができる。ここで、エポキシ基含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミン等を好ましいものとして挙げることができる。その他、エポキシ基含有化合物の例としては、国際公開第2009/096598号記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンも用いることができる。
これらエポキシ化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して40重量部以下が好ましく、0.1〜30重量部がより好ましい。
上記官能性シラン化合物は、液晶配向剤の印刷性の向上を目的として使用することができる。このような官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
これら官能性シラン化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、重合体の合計100重量部に対して2重量部以下が好ましく、0.02〜0.2重量部がより好ましい。
本発明の液晶配向膜は、上記のように調製された液晶配向剤により形成される。また、本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。本発明の液晶表示素子の駆動モードは特に限定せず、例えばTN型、STN型、VA型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS型、FFS型、OCB型など種々の駆動モードに適用することができる。本発明の液晶表示素子は、例えば以下の(1−1)〜(1−3)の工程により製造することができる。工程(1−1)は、所望の駆動モードによって使用基板が異なる。工程(1−2)及び(1−3)は各駆動モード共通である。
先ず基板上に本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。
(1−1A)例えばTN型、STN型又はVA型の液晶表示素子を製造する場合、まず、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後、フォト・エッチングによりパターンを形成する方法;透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法;などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面及び透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、上記工程(1−1)で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理として、該塗膜を例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。一方、VA型液晶表示素子を製造する場合には、上記工程(1−1)で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対しラビング処理を施してもよい。なお、ラビング処理後の液晶配向膜に対して、更に、液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成した上で先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにしてもよい。この場合、得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。VA型の液晶表示素子に好適な液晶配向膜は、PSA(Polymer sustained alignment)型の液晶表示素子にも好適に用いることができる。なお、塗膜に液晶配向能を付与する処理としては光配向法による処理を採用してもよい。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。また、第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
以下の合成例においては、必要に応じて下記に記載のスケールで合成を繰り返すことにより、以降の重合体の合成例及び実施例で使用する必要量の化合物を確保した。
さらに、重合体の合成例における各重合体溶液の溶液粘度及びポリイミドのイミド化率は以下の方法により測定した。
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度(mPa・s)は、各合成例に記載の溶媒及び濃度において、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドの溶液を少量分取して純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で1H−NMRを測定した。得られた1H−NMRスペクトルから、下記数式(1)で示される式によりイミド化率を求めた。
イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100 (1)
(数式(1)中、A1は化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、A2はその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
次いで、窒素気流下、2L三口フラスコに、上記のニトロ中間体340.9g(0.585mol)、5%Pd/Cを34g、エタノール500mL及びテトラヒドロフラン500mLを加えた後に水素で置換し直し、水素存在下、室温にて反応させた。HPLCにて反応追跡し、反応の進行を確認した後にろ過した。ろ液に酢酸エチル3000mLを加え、蒸留水200mLを加え分液精製した。上記抽出精製を5回繰り返した後、有機層を取り出し、これを減圧蒸留することで、溶媒を除去し固体を析出させた。析出した固体をエタノールから再結晶させることで化合物(DA−8)を281.7g得た。
次いで、窒素気流下、2L三口フラスコに、上記のニトロ中間体290.3g(0.81mol)、5%Pd/Cを29g、エタノール500mL及びテトラヒドロフラン500mLを加えた後に水素で置換し直し、水素存在下、室温にて反応させた。HPLCにて反応追跡し、反応の進行を確認した後にろ過した。ろ液に酢酸エチル3000mLを加え、蒸留水200mLを加え分液精製した。上記抽出精製を5回繰り返した後、有機層を取り出し、これを減圧蒸留することで、溶媒を除去し固体を析出させた。析出した固体をエタノールから再結晶させることで化合物(DA−9)を186.1g得た。
下記スキーム3に従い、合成例D−2において、4−ヘプチルフェノールの代わりに4−ウンデシルフェノールを用いた以外は合成例D−2と同様の操作を行い、化合物(DA−10)を合成した。
下記スキーム4に従い、合成例D−1において、4−ヘンイコシルフェネチルアルコールの代わりに4−ヒドロキシペンタデシルシクロヘキサンを用いた点及び溶媒としてTHFの代わりにDMFを用いた点以外は合成例D−1と同様の操作を行い、化合物(DA−11)を合成した。
下記スキーム5に従い、化合物(DA−12−A)を得た後に、合成例D−2において、4−ヘプチルフェノールの代わりに化合物(DA−12−A)を用いた以外は合成例D−2と同様の操作を行い、化合物(DA−12)を合成した。
滴下ロートを備えた2L三口フラスコ中に、フェノール94.11g(1.00mol)、塩化アルミニウム146.7g(1.10mol)、1,2−ジクロロエタン500mlを混合し、氷浴にて冷却した。ついで、ノナデシル酸クロリド317.0g(1.00mol)gを1,2−ジクロロエタン500mLに溶解させた溶液を滴下ロートからゆっくり滴下した。滴下中は系内が5℃を超えないように冷却した。滴下終了後、6時間撹拌して反応を行った。反応中は、10℃以下になるように保った。
反応後、蒸留水200mLを加えて分液精製した。上記抽出精製を5回繰り返した後、有機層を取り出し、これを減圧蒸留することで、溶媒を除去し固体を析出させ、エタノールから再結晶することで、化合物(DA−12−A)を198.5g得た。
[合成例PA1:ポリアミック酸の合成]
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物18.08g(80モル部)及びピロメリット酸二無水物5.03g(20モル部)、並びにジアミンとしてパラフェニレンジアミン1.26g(10モル部)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン11.31g(49モル部)、4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリン6.86g(15モル部)、3,5−ジアミノ安息香酸2.65g(15モル部)、及び化合物(DA−10)を4.54g(11モル部)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)283.3gに溶解し、60℃で6時間反応を行った。次いで、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。回収した沈殿物をメタノールで洗浄した後、減圧下40℃において15時間乾燥することにより、ポリアミック酸(PA−1)を得た。得られたポリアミック酸(PA−1)をNMPにて10重量%となるように調製し、この溶液の粘度を測定したところ615mPa・sであった。またこの重合体溶液を20℃において3日間静置したところ、ゲル化することはなく、保存安定性は良好であった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物7.60g(35モル部)及び5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン19.79g(65モル部)、並びにジアミンとしてパラフェニレンジアミン1.05g(10モル部)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン9.49g(49モル部)、4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリン5.75g(15モル部)、3,5−ジアミノ安息香酸2.23g(15モル部)、及び化合物(DA−10)を3.81g(11モル部)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)283.3gに溶解し、60℃で6時間反応を行った。次いで、NMP166.7gを追加し、ピリジン15.47g及び無水酢酸19.96gを添加し100℃で8時間脱水閉環反応を行った。次いで、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。回収した沈殿物をメタノールで洗浄した後、減圧下40℃において15時間乾燥することにより、イミド化率約88%のポリイミド(PI−1)を得た。得られたポリイミド(PI−1)をNMPにて10重量%となるように調製した。この溶液の粘度を測定したところ531mPa・sであった。また、この重合体溶液を20℃において3日間静置したところ、ゲル化することはなく、保存安定性は良好であった。
上記合成例PA1において、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンとして、下記表1に示す種類及び量をそれぞれ使用したほかは、合成例PA1と同様にしてポリアミック酸を合成した。尚、表1中の括弧内の数字はモル分率を表す。
AN−2;ピロメリット酸二無水物
AN−3;2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
AN−4;ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物
AN−5;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン
AN−6;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン
DA−1;パラフェニレンジアミン
DA−2;4,4’−ジアミノジフェニルメタン
DA−3;4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート
DA−4;2,4−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリン
DA−5;4,4’−ジアミノジフェニルアミン
DA−6;4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリン
DA−7;3,5−ジアミノ安息香酸
DA−13;3,5−(4−ペンタデシルフェノキシ)ジアミノベンゼン
DA−14;N−(2,4−ジアミノフェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)ベンズアミド
DA−15;3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル
DA−16;オクチルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン
DA−17;テトラデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン
DA−18;下記式で表される化合物
(1)液晶配向剤の調製
上記合成例PA1で得た重合体(PA−1)に、有機溶媒としてNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がNMP:BC=50:50(重量比)、固形分濃度6.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより、液晶配向剤を調製した。
上記で調製した液晶配向剤の印刷性を評価した。まず、上記の液晶配向剤につき、オフセット型の液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、蝕針式膜厚計(KLAテンコール社製)で測定した平均膜厚が600Åである塗膜を形成した。この塗膜を倍率100倍及び50倍の顕微鏡で観察して印刷ムラ及びピンホールの有無を調べた。評価は、100倍の顕微鏡にて印刷ムラ及びピンホールが観察されなかった場合を印刷性「優良」、100倍の顕微鏡では印刷ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが観察されたが、50倍の顕微鏡にて印刷ムラ及びピンホールが観察されなかった場合を印刷性「良好」、50倍の顕微鏡にて印刷ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが観察された場合を印刷性「不良」として行った。その結果、上記で調製した液晶配向剤を用いて形成した塗膜には100倍の顕微鏡でも印刷ムラ及びピンホールが共に観察されず、印刷性が「優良」であった。
上記で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で30分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。
この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数500rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押しこみ長さ0.4mmでラビング処理を行い、液晶配向能を付与した。その後、超純水中で1分間超音波洗浄を行い、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次に、上記一対の基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布し、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように対向させて圧着した後、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、液晶表示素子を製造した。上記の方法を繰り返し、合計5個の液晶表示素子を製造し、下記の評価に用いた。すなわち、液晶配向性の評価をした後に初期プレチルト角の評価を行うために1個の液晶表示素子を、また、電圧保持率の評価を測定した後に耐熱性の評価を行うために1個の液晶表示素子を、さらに、ラビング押し込み安定性の評価、プレチルト角面内バラツキの評価、残像特性の評価にそれぞれ1個ずつの液晶表示素子を供した。尚、ラビング押し込み安定性の評価に用いた液晶表示素子は、毛足押しこみ長さを1.2mmでラビング処理を行った以外は上記同様に液晶表示素子を作製した。
上記で製造した液晶表示素子につき、5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を倍率50倍の顕微鏡により観察した。異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」、異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「不良」として評価したところ、この液晶表示素子の液晶配向性は「良好」であった。
上記で製造した液晶表示素子につき、23℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率(VHR)を測定したところ、電圧保持率は99.3%であった。なお、測定装置としては、(株)東陽テクニカ製、VHR−1を使用した。
上記で製造した液晶表示素子につき、「T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol48,p1783(1977)」、及び「F.Nakano,et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980)」に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる回転結晶法で液晶表示素子の中央部のプレチルト角を測定した。この値を(θ0.4mm)とした。この値が小さすぎるとリバースチルトが発生しやすくなり、大きすぎるとコントラストが悪くなり、いずれも液晶表示素子としては不適切であることが経験的に分かっている。θ0.4mmが2.0°以上5.0°未満の時を「優良」とし、5.0°以上10.0°未満の時を「良好」とし、2.0°未満か又は10°以上の時を「不良」として評価したところ、この液晶表示素子では3.2°であり、リバースチルト耐性「優良」と判断された。
上記(3)の液晶表示素子の製造において、毛足押しこみ長さを1.2mmでラビング処理を行って作製した液晶表示素子を用い、上記(6)と同様に初期プレチルト角を測定した。この値を(θ1.2mm)とし、下記式(EX−1)によりプレチルト角差Δ[°]を算出した。
プレチルト角差Δ=θ0.4mm−θ1.2mm …(EX−1)
評価は、プレチルト角差Δが1.0°未満であった場合を「良好」、1.0°以上であった場合を「不良」と評価したところ、この液晶表示素子のプレチルト角差Δは0.3°であり、ラビング押し込み安定性「良好」と判断された
上記液晶表示素子のプレチルト角測定において、中央部から2cm離れた位置を測定した値を(θout)とし、下記式(EX−2)によりプレチルト角差Δ[°]を算出した。
プレチルト角差Δ=θ0.4mm−θout …(EX−2)
評価は、プレチルト角差Δが0.5°未満であった場合を「良好」、0.5°以上であった場合を「不良」と評価したところ、この液晶表示素子のプレチルト角差Δは0.2°であり、プレチルト角の面内バラツキが少なく「良好」と判断された。
上記で製造した液晶表示素子につき、上記(5)と同様に電圧保持率を測定し、その値を初期VHR(VHRBF)とした。次いで、初期VHR測定後の液晶表示素子につき、100℃のオーブン中に500時間静置した。その後、この液晶表示素子を室温下に静置して室温まで放冷した後、上記同様電圧保持率を測定し(VHRAF)とした。また、下記数式(EX−3)により、熱ストレスの付与前後の電圧保持率の変化率(△VHR(%))を求めた。
△VHR(%)=((VHRBF−VHRAF)÷VHRBF)×100 …(EX−3)
耐熱性の評価は、変化率ΔVHRが4%未満であった場合を耐熱性「優良」、4%以上5%未満であった場合を「良好」、5%以上であった場合を「不良」として行った。その結果、ΔVHRは1.9%であり、液晶表示素子の耐熱性は「優良」であった。
上記(6)と同様の手法を用いてプレチルト角を測定し、初期プレチルト角(θini)とした。次いで、初期プレチルト角測定後の液晶表示素子につき、AC9V、室温で13時間駆動し、その後プレチルト角(θac)を測定した。また、下記式(EX−4)によりプレチルト角変化率β[%]を算出した。プレチルト角変化率βが3%未満であった場合を「優良」、3%以上4%未満であった場合を「良好」、4%以上であった場合を「不良」と評価したところ、この液晶表示素子のプレチルト角変化率は2.3%であり、残像特性「優良」と判断された。
プレチルト角変化率β[%]=(θac−θini)/θini×100 …(EX−4)
液晶配向剤の調製に使用する重合体の種類及び量を下記表2に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様にして液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、これら液晶配向剤をそれぞれ用いて、実施例1と同様にして液晶表示素子を製造するとともに、その製造した液晶表示素子の評価を行った。それらの評価結果を下記表2に示す。
Claims (6)
- テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステル化合物及びテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物よりなる群から選択される少なくとも一種の化合物と、下記式(d)で表される化合物を含むジアミンと、を反応させて得られるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも一種の重合体を含むことを特徴とする液晶配向剤。
- 前記Yが、単結合又は−CO−である請求項1に記載の液晶配向剤。
- 請求項1又は2に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
- 請求項3に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
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