JP6558068B2 - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 Download PDF

Info

Publication number
JP6558068B2
JP6558068B2 JP2015100364A JP2015100364A JP6558068B2 JP 6558068 B2 JP6558068 B2 JP 6558068B2 JP 2015100364 A JP2015100364 A JP 2015100364A JP 2015100364 A JP2015100364 A JP 2015100364A JP 6558068 B2 JP6558068 B2 JP 6558068B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
liquid crystal
formula
crystal aligning
aligning agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015100364A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016218149A (ja
Inventor
裕介 植阪
裕介 植阪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2015100364A priority Critical patent/JP6558068B2/ja
Publication of JP2016218149A publication Critical patent/JP2016218149A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6558068B2 publication Critical patent/JP6558068B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子に関する。
従来、液晶表示素子としては、電極構造や、使用する液晶分子の物性等が異なる種々の駆動方式のものが開発されており、例えばTN(Twisted Nematic)型やSTN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型、IPS(In-Plane Switching)型、FFS(fringe field switching)型、光学補償ベント型(OCB型)等の各種液晶表示素子が知られている。これら液晶表示素子は、液晶分子を配向させるための液晶配向膜を有する。液晶配向膜の材料としては、耐熱性、機械的強度、液晶との親和性等の各種特性が良好である点から、ポリアミック酸やポリイミドなどが一般に使用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ジアミノフェニル基に、窒素原子にメチレン基を介して末端に水酸基が結合されているアミド基が結合した構造を有するジアミンを用いて得られるポリアミック酸を液晶配向剤の重合体成分とすることが開示されている。
特開2012−042694号公報
近年、液晶表示素子は、従来のようにパーソナルコンピュータ等の表示装置に使用されるだけでなく、例えば液晶テレビやカーナビゲーションシステム、携帯電話、スマートフォン、インフォメーションディスプレイ等といった多種の用途に使用されるようになってきている。こうした液晶表示素子の多用途化に伴い、液晶表示素子は従来よりも過酷なストレス環境下で使用されることが想定される。また、過酷なストレス環境下では液晶配向膜が基板から剥がれやすく、液晶配向膜が基板から剥がれた場合には、液晶表示素子の表示品位が低下することが考えられる。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板に対する密着性に優れた液晶配向膜を得ることができる液晶配向剤を提供することを一つの目的とする。
本発明者らは、上記のような従来技術の課題を達成するべく鋭意検討した結果、特定の部分構造を有する重合体を液晶配向剤中に含有させることにより、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明により以下の液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、重合体及び化合物が提供される。
本発明は一つの側面において、下記式(0)で表される部分構造を有するポリイミド及びその前駆体よりなる群から選ばれる少なくとも一種である重合体[P]を含有する液晶配向剤を提供する。
Figure 0006558068
(式(0)中、Bは4価の有機基であり、Bは2価の有機基である。ただし、B及びBの少なくとも一方は、アミド結合中の窒素原子に対するβ位の炭素原子に下記式(2)で表される基が結合した特定構造を有する。当該特定構造をBが有さずBが有する場合、Bは少なくとも2個の芳香環を有する。「*」は結合手であることを示す。)
Figure 0006558068
(式(2)中、Tは、水素原子、炭素数1〜4の1価の炭化水素基又は水酸基の保護基である。「*」は結合手であることを示す。)
本発明は一つの側面において、上記の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を提供する。さらに、本発明は別の一つの側面において、上記液晶配向膜を具備する液晶表示素子を提供する。
本発明は別の一つの側面において、上記式(0)で表される部分構造を有するポリイミド及びその前駆体よりなる群から選ばれる少なくとも一種である重合体を提供する。また、別の一つの側面において、下記式(d−1)で表されるジアミンを提供する。また更に、下記式(t−1)で表される酸無水物を提供する。
Figure 0006558068
(式(d−1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に芳香環基であり、Aは、単結合、−O−又は2価の有機基である。A12及びA13は、それぞれ独立に1価の有機基である。n1及びn2は、それぞれ独立に0〜2の整数である。ただし、式(d−1)は、A、A12及びA13の少なくともいずれかに、アミド結合中の窒素原子に対するβ位の炭素原子に上記式(2)で表される基が結合した構造を有する。n1が2の場合、複数のA12は同じでも異なっていてもよく、n2が2の場合、複数のA13は同じでも異なっていてもよい。)
Figure 0006558068
(式(t−1)中、R及びRは、それぞれ独立に環状基であり、A11は、アミド結合中の窒素原子に対するβ位の炭素原子に上記式(2)で表される基が結合した構造を有する2価の有機基である。)
上記重合体[P]を含有する液晶配向剤によれば、液晶配向膜が基板から剥がれにくく、基板に対する密着性に優れた液晶配向膜を得ることができる。
以下に、本開示の液晶配向剤に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。
<重合体[P]>
本開示の液晶配向剤は、下記式(0)で表される部分構造を有するポリイミド及びその前駆体よりなる群から選ばれる少なくとも一種である重合体[P]を含有する。
Figure 0006558068
(式(0)中、Bは4価の有機基であり、Bは2価の有機基である。ただし、B及びBの少なくとも一方は、アミド結合中の窒素原子に対するβ位の炭素原子に下記式(2)で表される基が結合した特定構造を有する。当該特定構造をBが有さずBが有する場合、Bは少なくとも2個の芳香環を有する。「*」は結合手であることを示す。)
Figure 0006558068
(式(2)中、Tは、水素原子、炭素数1〜4の1価の炭化水素基又は水酸基の保護基である。「*」は結合手であることを示す。)
式(0)において、上記特定構造(以下、「特定構造(N)」ともいう。)は、アミド結合中の窒素原子に対するβ位の炭素原子に上記式(2)で表される基が結合した構造であれば特に限定されない。特定構造(N)の具体例としては、例えば下記式(1−1)〜式(1−4)のそれぞれで表される構造等が挙げられる。
Figure 0006558068
(式(1−1)〜式(1−4)中、R及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は「*−CR34−O−T(「*」は炭素原子との結合手であることを示す。)」である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。R5は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は「*−CR12−CR34−O−T(「*」は窒素原子との結合手であることを示す。)」である。「*」及び「*」は結合手であることを示す。Tは上記式(2)と同義である。)
上記式(2)において、Tの「保護基」は、水酸基を不活性な基に変換しておく官能基である。Tにおける水酸基の保護基としては、熱により脱離する基であることが好ましい。好ましい具体例としては、下記式(2−1)〜式(2−10)のそれぞれで表される基が挙げられる。
Figure 0006558068
(式(2−1)〜式(2−10)中、「*」は酸素原子に結合する結合手であることを示す。)
重合体[P]は、ポリイミド及びその前駆体よりなる群から選ばれる少なくとも一種であり、例えば、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステル及びテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物よりなる群から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸誘導体と、ジアミンとを原料組成に用いた重合により得ることができる。なお、上記式(0)中のBはテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の基であり、Bはジアミンに由来する2価の基である。ただし、特定構造をBが有さずBが有する場合、Bは、少なくとも2個の芳香環を有する2価の有機基であり、2個のアミノ基が異なる芳香環にそれぞれ結合したジアミンに由来する2価の有機基であることが好ましい。
重合体[P]を得る方法は特に制限されないが、下記式(1)で表される構造を有する単量体[A]を用いる方法によることが好ましい。なお、当該単量体[A]を原料に含む方法によれば、下記式(1)で表される化合物に由来する部分構造を有する重合体が得られる。
Figure 0006558068
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に環状基であり、Aは、単結合、−O−又は2価の有機基である。A及びAは、それぞれ独立に1価の有機基であり、Aが他の基と結合して環を形成していてもよく、Aが他の基と結合して環を形成していてもよい。n1及びn2は、それぞれ独立に0〜2の整数である。ただし、式(1)は、A、A及びAの少なくともいずれかに特定構造(N)を有する。n1が2の場合、複数のAは同じでも異なっていてもよく、n2が2の場合、複数のAは同じでも異なっていてもよい。「*」は結合手であることを示す。)
なお、本明細書において「テトラカルボン酸ジエステル」とは、テトラカルボン酸が有する4個のカルボキシル基のうち2個がエステル化され、残りの2個がカルボキシル基である化合物を意味する。「テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物」とは、テトラカルボン酸が有する4個のカルボキシル基のうち2個がエステル化され、残りの2個がハロゲン化された化合物を意味する。「ポリイミド前駆体」としては、ポリアミック酸及びポリアミック酸エステルなどが挙げられる。「有機基」とは、炭素原子を含む基を意味し、構造中にヘテロ原子を含んでいてもよい。
式(1)において、R及びRの環状基は、芳香環又は脂肪族環からn1及びn2に応じた数の水素原子を取り除いた基である。R及びRの環状基を構成する芳香環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、ベンゼン環が好ましい。脂肪族環としては、シクロヘキサン環又はシクロペンタン環が好ましい。
の2価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の2価の炭化水素基、当該炭化水素基の炭素−炭素結合間にヘテロ原子含有基を含む基、当該炭化水素基とヘテロ原子含有基とが結合した基、これらの基の少なくとも1個の水素原子を置換基で置き換えた基、−CO−、−COO−などが挙げられる。
ここで、本明細書において「炭化水素基」とは、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
ヘテロ原子含有基とは、2価以上のヘテロ原子を有する基を意味し、例えば−O−、−CO−、−COO−、−CONR−(Rは、水素原子、炭素数1〜10の1価の炭化水素基、又はβ位の炭素原子に上記式(2)で表される基が結合した構造を有する1価の基である。)、−NR−(Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。以下同じ。)、−NRCONR−、−OCONR−、−S−、−COS−、−OCOO−、−SO−等が挙げられる。置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基、上記式(2)で表される基等が挙げられる。
及びAの1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の1価の炭化水素基、当該炭化水素基の炭素−炭素結合間にヘテロ原子含有基を含む基、当該炭化水素基とヘテロ原子含有基とが結合した基、これらの基の少なくとも1個の水素原子を置換基で置き換えた基、シアノ基などが挙げられる。
n1及びn2は、0又は1が好ましい。
上記式(1)で表される部分構造は、A、A及びAの少なくともいずれかに特定構造(N)を有する。Aは、上記式(1−1)〜式(1−4)のいずれかで表される構造であることが好ましく、上記式(1−1)〜式(1−3)のいずれかで表される構造であることがより好ましい。また、A及びAは、上記式(1−4)で表される構造を有する基であることが好ましい。
単量体[A]は、重合体[P]の合成に際して用いる単量体、すなわちテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステル、テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物、及びジアミンのうちのいずれであってもよい。単量体[A]がテトラカルボン酸二無水物(以下、「特定テトラカルボン酸二無水物」ともいう。)である場合の好ましい具体例としては、下記式(t−1)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006558068
(式(t−1)中、A11は、特定構造(N)を有する2価の有機基である。R及びRは上記式(1)と同義である。)
上記式(t−1)において、A11の2価の有機基については、上記式(1)のAの説明を適用することができる。
特定テトラカルボン酸二無水物としては、例えば下記式(CA−1)〜式(CA−15)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。なお、特定テトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 0006558068
Figure 0006558068
単量体[A]がジアミン(以下、「特定ジアミン」ともいう。)である場合の好ましい具体例としては、下記式(d−1)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006558068
(式(d−1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に芳香環基であり、A12及びA13は、それぞれ独立に1価の有機基である。A、n1及びn2は上記式(1)と同義である。ただし、式(d−1)は、A、A12及びA13の少なくともいずれかに特定構造(N)を有する。n1が2の場合、複数のA12は同じでも異なっていてもよく、n2が2の場合、複数のA13は同じでも異なっていてもよい。)
上記式(d−1)において、A12及びA13の1価の有機基については、上記式(1)のA及びAの説明を適用することができる。R11及びR12の芳香環基は、芳香環から(2+n1)個又は(2+n2)個の水素原子を取り除いた基である。液晶配向性及び電気特性の観点からすると、当該芳香環はベンゼン環であることが好ましい。
上記式(d−1)で表されるジアミンは、A、A12及びA13の少なくともいずれかに特定構造(N)を有する。すなわち、n1及びn2が0の場合、Aは、特定構造(N)を有する2価の基である。また、n1=1及びn2=0の場合、上記式(d−1)で表されるジアミンは、A及びA12の少なくともいずれかに特定構造(N)を有し、n1及びn2が1の場合、A、A12及びA13の少なくともいずれかに特定構造(N)を有する。
特定ジアミンとしては、n1及びn2が0であって、かつAが特定構造(N)を有する2価の基であるか、又は、n1=1及びn2=0であって、かつA12が特定構造(N)を有する1価の基であることが好ましい。すなわち、特定ジアミンは、下記式(d−1−1)で表されるジアミン又は下記式(d−1−2)で表されるジアミンであることが好ましい。
Figure 0006558068
(式(d−1−1)及び式(d−1−2)中、A11は、特定構造(N)を有する2価の有機基であり、A14は、特定構造(N)を有する1価の有機基である。X1は、単結合、−O−、−CO−又は−COO−である。R11及びR12は上記式(d−1)と同義である。)
特定ジアミンの具体例としては、例えば下記式(DA−1)〜式(DA−14)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。なお、特定ジアミンは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 0006558068
Figure 0006558068
特定ジアミンとしては、上記式(d−1−1)で表されるジアミンを好ましく使用でき、具体的には、上記式(DA−1)〜式(DA−4)、式(DA−6)〜式(DA−8)、及び式(DA−10)〜式(DA−14)のそれぞれで表されるジアミンが好ましい。これらのうち、上記式(DA−1)〜式(DA−4)、式(DA−6)、式(DA−7)、及び式(DA−11)〜式(DA−14)のそれぞれで表されるジアミンがより好ましい。
また、単量体[A]がテトラカルボン酸ジエステルである場合の好ましい具体例としては、例えば上記式(CA−1)〜式(CA−15)のそれぞれで表されるテトラカルボン酸二無水物を、メタノールやエタノール等のアルコール類を用いて開環して得られる化合物等が挙げられる。また、単量体[A]がテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物である場合の好ましい具体例としては、例えば上記式(CA−1)〜式(CA−15)のそれぞれで表されるテトラカルボン酸二無水物を、塩化チオニル等の塩素化剤と反応させて得られる化合物等が挙げられる。なお、単量体[A]としてのテトラカルボン酸ジエステル及びテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、それぞれ1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(単量体[A]の合成)
単量体[A]は、有機化学の定法を適宜組み合わせることによって合成することができる。一例を挙げると、特定テトラカルボン酸二無水物は、対応する基「A11」を有する化合物と、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物4−クロリドや無水トリメリット酸クロリド等の酸無水物基含有化合物とを反応させる方法によって得ることができる。
特定ジアミンは、例えば上記式(d−1)中の1級アミノ基に代えてニトロ基を有するジニトロ中間体を合成し、その後、得られたジニトロ中間体のニトロ基を適当な還元系を用いてアミノ化する方法が挙げられる。ジニトロ中間体を合成する方法は、目的とする化合物に応じて適宜選択することができる。その一例としては、対応する基「A11」を有する化合物と、4−ニトロベンゾイルクロリド等のニトロ基含有化合物とを反応させる方法などが挙げられる。ジニトロ中間体の還元反応は、好ましくは有機溶媒中、例えばパラジウム炭素、酸化白金、亜鉛、鉄、スズ、ニッケル等の触媒を用いて実施することができる。ここで使用する有機溶媒としては、例えば酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、アルコール系等が挙げられる。但し、単量体[A]の合成手順は上記方法に限定されるものではない。
[ポリアミック酸]
重合体[P]としてのポリアミック酸(以下、「ポリアミック酸[P]」ともいう。)は、例えばテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。具体的には、[i]特定テトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、上記式(1)で表される部分構造を有さないジアミン(以下、「その他のジアミン」ともいう。)とを反応させる方法;[ii]上記式(1)で表される部分構造を有さないテトラカルボン酸二無水物(以下、「その他のテトラカルボン酸二無水物」ともいう。)と、特定ジアミンを含むジアミンとを反応させる方法;[iii]特定テトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、特定ジアミンを含むジアミンとを反応させる方法、などが挙げられる。
上記方法[i]の場合の特定テトラカルボン酸二無水物の使用割合は、基板に対する密着性の改善効果を十分に得る観点から、ポリアミック酸[P]の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の全体量に対して、3モル%以上とすることが好ましく、5モル%以上とすることがより好ましく、10モル%以上とすることがさらに好ましい。当該使用割合の上限値は特に制限されず、100モル%以下の範囲で任意に設定することができる。
上記方法[ii]の場合の特定ジアミンの使用割合は、ポリアミック酸[P]の合成に使用するジアミンの全体量に対して、3モル%以上とすることが好ましく、5モル%以上とすることがより好ましく、10モル%以上とすることがさらに好ましい。当該使用割合の上限値は特に制限されず、100モル%以下の範囲で任意に設定することができる。
また、上記方法[iii]の場合、特定テトラカルボン酸二無水物及び特定ジアミンの使用割合(合計量)は、ポリアミック酸[P]の合成に使用するモノマーの全体量に対して、5モル%以上とすることが好ましく、10モル%以上とすることがより好ましく、15モル%以上とすることがさらに好ましい。
(その他のテトラカルボン酸二無水物)
その他のテトラカルボン酸二無水物としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、1,3−プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)などを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。なお、その他のテトラカルボン酸二無水物は、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸[P]の合成に使用するその他のテトラカルボン酸二無水物としては、液晶配向性や電気特性、溶剤に対する溶解性の観点から、脂環式テトラカルボン酸二無水物を好ましく使用でき、シクロブタン環構造、シクロペンタン環構造及びシクロヘキサン環構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する化合物(以下、「特定の脂環式テトラカルボン酸二無水物」ともいう。)を含むことがより好ましい。特定の脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、及び1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。
特定の脂環式テトラカルボン酸二無水物の使用量(2種以上使用する場合にはその合計量)は、得られるポリアミック酸[P]の溶解性を向上させる観点から、ポリアミック酸[P]の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の全体量に対して、10モル%以上とすることが好ましく、20モル%以上とすることがより好ましく、40モル%以上とすることがさらに好ましく、50モル%以上とすることが特に好ましい。
なお、合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の少なくとも一部を、特定の脂環式テトラカルボン酸二無水物及び上記式(0)中のR,Rが脂環式基である特定テトラカルボン酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種とすることにより、重合体[P]として、上記式(0)中のBが、シクロブタン環構造、シクロペンタン環構造及びシクロヘキサン環構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種の環構造を有する重合体を得ることができる。
(その他のジアミン)
ポリアミック酸[P]の合成に使用するその他のジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどが挙げられる。これらの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばメタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などを;
芳香族ジアミンとして、例えばドデカノキシジアミノベンゼン、テトラデカノキシジアミノベンゼン、ペンタデカノキシジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシジアミノベンゼン、オクタデカノキシジアミノベンゼン、コレスタニルオキシジアミノベンゼン、コレステリルオキシジアミノベンゼン、ジアミノ安息香酸コレスタニル、ジアミノ安息香酸コレステリル、ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェノキシ)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)シクロヘキサン、N−(2,4−ジアミノフェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)ベンズアミド、下記式(E−1)
Figure 0006558068
(式(E−1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立に、単結合、−O−、*−COO−又は*−OCO−(ただし、「*」はXとの結合手を示す。)であり、Rは炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、RIIは単結合又は炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜20の整数であり、dは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)
で表される化合物などの配向性基含有ジアミン:
p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、ビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルなどを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。
上記式(E−1)における「−X−(R−XII−」で表される2価の基としては、炭素数1〜3のアルカンジイル基、*−O−、*−COO−又は*−O−C−O−(ただし、「*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であることが好ましい。基「−C2c+1」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などを挙げることができ、これらは直鎖状であることが好ましい。ジアミノフェニル基における2つのアミノ基は、他の基に対して2,4−位又は3,5−位にあることが好ましい。
上記式(E−1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(E−1−1)〜式(E−1−4)のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
Figure 0006558068
TN型、STN型又は垂直配向型の液晶表示素子用の液晶配向剤に適用する場合、ポリアミック酸の側鎖に、光照射によらずに塗膜に液晶配向能を付与可能な基(液晶配向性基)を導入してもよい。液晶配向性基としては、例えば炭素数4〜20のアルキル基、炭素数4〜20のフルオロアルキル基、炭素数4〜20のアルコキシ基、炭素数17〜51のステロイド骨格を有する基、複数個の環が直接又は連結基を介して結合した基などが挙げられる。液晶配向性基を有するポリアミック酸は、例えば配向性基含有ジアミンをモノマー組成に含む重合によって得ることができる。配向性基含有ジアミンを使用する場合、その配合量は、液晶配向性の観点から、合成に使用する全ジアミンに対して、3モル%以上とすることが好ましく、5〜70モル%とすることがより好ましい。
ポリアミック酸[P]の合成に使用するその他のジアミンとしては、上記のほか、窒素含有複素環、2級アミノ基及び3級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の構造(以下「窒素含有構造」とも称する。)を有するジアミン;カルボキシル基を有するジアミン、等が挙げられる。窒素含有構造を有するジアミンを原料の少なくとも一部に用いた重合体によれば、液晶表示素子の信頼性の改善効果を高くできる点で好適である。また、カルボキシル基含有ジアミンを原料の少なくとも一部に用いた重合体によれば、液晶配向剤の塗布性(印刷性)の改善効果を高くできる点で好適である。
窒素含有構造を有するジアミンについて、窒素含有複素環としては、例えばピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、インドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、キノキサリン、フタラジン、トリアジン、カルバゾール、アクリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン等が挙げられる。中でも、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、キノリン、カルバゾール及びアクリジンよりなる群から選ばれる少なくとも一種を有することが好ましい。
窒素含有構造を有するジアミンが有していてもよい2級アミノ基及び3級アミノ基は、例えば下記式(N−1)で表される。
Figure 0006558068
(式(N−1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。「*」は炭化水素基に結合する結合手である。)
上記式(N−1)において、Rの1価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基等のアリール基等が挙げられる。Rは、好ましくは水素原子又はメチル基である。
窒素含有構造を有するジアミンの具体例としては、例えば2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、下記式(D−2−1)〜式(D−2−8)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006558068
ポリアミック酸[P]の合成に際し、窒素含有構造を有するジアミンの使用割合は、液晶表示素子の信頼性の改善効果を十分に得る観点から、合成に使用するジアミンの全体量に対して0.1モル%以上とすることが好ましく、1モル%以上とすることがより好ましく、2モル%以上とすることがさらに好ましい。また、当該使用割合の上限は、100モル%以下の範囲で任意に設定することができる。好ましくは90モル%以下であり、より好ましくは85モル%以下である。なお、窒素含有構造を有するジアミンは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボキシル基含有ジアミンは、少なくとも1個以上のカルボキシル基と、2個の1級アミノ基を有していれば特に限定されない。こうした化合物の具体例としては、例えば3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、4,4’−ジアミノビフェニル−3−カルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルメタン−3−カルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエタン−3−カルボン酸などのモノカルボン酸;
4,4’−ジアミノビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、3,3’−ジアミノビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジアミノビフェニル−2,4’−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルメタン−3,3’−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエタン−3,3’−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸などの多価カルボン酸;などを挙げることができる。
ポリアミック酸[P]の合成に際してカルボキシル基含有ジアミンの使用割合は、塗布性の改善効果を十分に得る観点から、合成に使用するジアミンの全体量に対して1モル%以上とすることが好ましく、5モル%以上とすることがより好ましく、10モル%以上とすることが更に好ましい。また、当該使用割合の上限値は特に制限しないが、電圧保持率の観点から、合成に使用するジアミンの全体量に対して、80モル%以下とすることが好ましく、70モル%以下とすることがより好ましい。なお、カルボキシル基含有ジアミンは、上記のうちの1種を単独で又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
液晶配向剤により形成した塗膜に対して光配向法により液晶配向能を付与する場合、重合体成分の少なくとも一部として、光配向性構造を有する重合体を使用してもよい。光配向性構造の具体例としては、光異性化や光二量化、光分解等によって光配向性を示す基を採用することができる。具体的には、例えばアゾ化合物又はその誘導体を基本骨格として含有するアゾ含有基、桂皮酸又はその誘導体を基本骨格として含有する桂皮酸含有基、カルコン又はその誘導体を基本骨格として含有するカルコン含有基、ベンゾフェノン又はその誘導体を基本骨格として含有するベンゾフェノン含有基、クマリン又はその誘導体を基本骨格として含有するクマリン含有基、シクロブタン又はその誘導体を基本骨格として含有するシクロブタン含有構造、ビシクロ[2.2.2]オクテン又はその誘導体を基本骨格として含有するビシクロ[2.2.2]オクテン含有構造、下記式(4)
Figure 0006558068
(式(4)中、Xは、硫黄原子又は酸素原子である。「*」はそれぞれ結合手を示す。但し、2つの「*」のうち少なくとも一つは芳香環に結合している。)
で表される部分構造を基本骨格として含有する構造、等が挙げられる。
光配向性構造を有するポリアミック酸は、例えば光配向性構造を有するテトラカルボン酸二無水物、及び光配向性構造を有するジアミンの少なくともいずれかを用いた重合により得ることができる。この場合、光配向性構造を有するモノマーの使用割合は、光反応性の観点から、重合体の合成に使用するモノマーの全体量に対して20モル%以上とすることが好ましく、30〜80モル%とすることがより好ましい。
(ポリアミック酸の合成)
ポリアミック酸[P]は、上記のようなテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、必要に応じて分子量調整剤とともに反応させることによって得ることができる。ポリアミック酸[P]の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.3〜1.2当量となる割合がより好ましい。
分子量調整剤としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸などの酸一無水物、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミンなどのモノアミン化合物、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物等を挙げることができる。分子量調整剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計100重量部に対して、20重量部以下とすることが好ましく、10重量部以下とすることがより好ましい。
ポリアミック酸[P]の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は、−20℃〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。また、反応時間は、0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましい。
反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。これらの有機溶媒のうち、非プロトン性極性溶媒及びフェノール系溶媒よりなる群(第一群の有機溶媒)から選択される1種以上、又は、第一群の有機溶媒から選択される1種以上と、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素及び炭化水素よりなる群(第二群の有機溶媒)から選択される1種以上との混合物を使用することが好ましい。後者の場合、第二群の有機溶媒の使用割合は、第一群の有機溶媒及び第二群の有機溶媒の合計量に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、更に好ましくは30重量%以下である。
特に好ましい有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド、m−クレゾール、キシレノール及びハロゲン化フェノールよりなる群から選択される1種以上を溶媒として使用するか、あるいはこれらの1種以上と他の有機溶媒との混合物を、上記割合の範囲で使用することが好ましい。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して、0.1〜50重量%になる量とすることが好
以上のようにして、ポリアミック酸[P]を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、又は単離したポリアミック酸を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸を脱水閉環してポリイミドとする場合には、上記反応溶液をそのまま脱水閉環反応に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで脱水閉環反応に供してもよく、又は単離したポリアミック酸を精製したうえで脱水閉環反応に供してもよい。ポリアミック酸の単離及び精製は公知の方法に従って行うことができる。
[ポリアミック酸エステル]
重合体[P]としてのポリアミック酸エステル(以下、「ポリアミック酸エステル[P]」ともいう。)は、例えば、[I]上記重合反応により得られたポリアミック酸[P]とエステル化剤とを反応させる方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルとジアミンとを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミンとを反応させる方法、などによって得ることができる。
方法[I]で使用するエステル化剤としては、例えば水酸基含有化合物、アセタール系化合物、ハロゲン化物、エポキシ基含有化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、水酸基含有化合物として、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール類などを;アセタール系化合物として、例えばN,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジエチルアセタールなどを;ハロゲン化物として、例えば臭化メチル、臭化エチル、臭化ステアリル、塩化メチル、塩化ステアリル、1,1,1−トリフルオロ−2−ヨードエタンなどを;エポキシ基含有化合物として、例えばプロピレンオキシドなどを、それぞれ挙げることができる。
方法[II]では、反応に際し、上記式(1)で表される部分構造を有するテトラカルボン酸ジエステル及び特定ジアミンの少なくとも一方を用いる。なお、反応に際しては、テトラカルボン酸誘導体としてテトラカルボン酸ジエステルのみを用いてもよいが、テトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。
方法[II]の反応は、有機溶媒中、適当な脱水触媒の存在下で行うことが好ましい。有機溶媒としては、ポリアミック酸[P]の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水触媒としては、例えば4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムハライド、カルボニルイミダゾール、リン系縮合剤などが挙げられる。このときの反応温度は、−20℃〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。反応時間は、0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましい。
方法[III]では、反応に際し、上記式(1)で表される部分構造を有するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物及び特定ジアミンの少なくとも一方を用いる。なお、反応に際しては、テトラカルボン酸誘導体としてテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物のみを用いてもよいが、テトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。
方法[III]の反応は、有機溶媒中、適当な塩基の存在下で行うことが好ましい。有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン等の3級アミン;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類などを好ましく使用することができる。このときの反応温度は、−20℃〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。反応時間は、0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましい。
液晶配向剤に含有させるポリアミック酸エステル[P]は、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。ポリアミック酸エステル[P]を溶解してなる反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸エステルを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、又は単離したポリアミック酸エステルを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸エステルの単離及び精製は公知の方法に従って行うことができる。
[ポリイミド]
重合体[P]としてのポリイミド(以下、「ポリイミド[P]」ともいう。)は、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸[P]を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
ポリイミド[P]は、その前駆体であるポリアミック酸[P]が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。使用するポリイミドは、そのイミド化率が20%以上であることが好ましく、30〜99%であることがより好ましく、40〜99%であることが更に好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を加熱する方法により、又はポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。このうち、後者の方法によることが好ましい。
ポリアミック酸の溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸[P]の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は、好ましくは1.0〜120時間であり、より好ましくは2.0〜30時間である。
このようにしてポリイミド[P]を含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤及び脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、又は単離したポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。これらの精製操作は公知の方法に従って行うことができる。その他、ポリイミドは、ポリアミック酸エステル[P]のイミド化により得ることもできる。
以上のようにして得られる重合体[P]は、これを濃度10重量%の溶液としたときに、10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度15重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
重合体[P]のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。このような分子量範囲にあることで、液晶表示素子の良好な配向性及び安定性を確保することができる。
<その他の成分>
本開示の液晶配向剤は、本開示の目的及び効果を妨げない範囲内において、上記重合体[P]以外のその他の成分を含有していてもよい。
[その他の重合体]
その他の成分としては、例えば重合体[P]以外の重合体(以下、「その他の重合体」ともいう。)等が挙げられる。その他の重合体は、溶液特性や電気特性の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体の具体例としては、例えば上記その他のテトラカルボン酸二無水物と上記その他のジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、該ポリアミック酸のイミド化重合体、該ポリアミック酸のエステル化重合体、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
その他の重合体を液晶配向剤に配合する場合、その配合割合は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して、30重量部以下とすることが好ましく、20重量部以下とすることがより好ましく、10重量部以下とすることが更に好ましい。
その他の成分としては、上記のほか、例えば分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物、官能性シラン化合物、界面活性剤、充填剤、顔料、消泡剤、増感剤、分散剤、酸化防止剤、密着助剤、帯電防止剤、レベリング剤、抗菌剤等が挙げられる。なお、これらの配合割合は、配合する各化合物に応じて、本発明の効果を妨げない範囲で適宜設定することができる。
[溶剤]
本開示の液晶配向剤は、重合体[P]及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な有機溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
使用する有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−1−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、N,N,2−トリメチルプロパンアミド、1−ブトキシ−2−プロパノール、ダイアセトンアルコール、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、一種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
使用する溶剤としては、上記の中でも、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ダイアセトンアルコール、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−1−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、N,N,2−トリメチルプロパンアミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種である特定溶剤を含むことが好ましい。特定溶剤の使用割合(2種以上含む場合にはその合計量)は、液晶配向剤の調製に使用する溶剤の合計量100重量部に対して、3重量部以上とすることが好ましく、5重量部以上とすることがより好ましく、10重量部以上とすることがさらに好ましい。また、当該割合の上限は、95重量部以下とすることが好ましく、85重量部以下とすることがより好ましい。
本開示の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本開示の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより、液晶配向膜である塗膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、固形分濃度が1重量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜が得にくくなる。一方、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜が得にくく、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布性が低下する傾向にある。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には、固形分濃度が1.5〜4.5重量%の範囲であることが特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。本開示の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10〜50℃であり、より好ましくは20〜30℃である。
<液晶配向膜及び液晶表示素子>
本開示の液晶配向膜は、上記のように調製した液晶配向剤により形成される。また、本開示の液晶表示素子は、上記液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶表示素子の駆動モードは特に限定されず、TN型、STN型、IPS型、FFS型、VA型、MVA型、PSA型などの種々の駆動モードに適用することができる。
本開示の液晶表示素子は、例えば以下の工程1〜工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の駆動モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各駆動モードに共通である。
[工程1:塗膜の形成]
先ず、基板上に液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。
(1−1)TN型、STN型、VA型、MVA型又はPSA型の液晶表示素子を製造する場合、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、それぞれの基板における透明性導電膜の形成面上に液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布する。ここで、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができる。パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後にフォト・エッチングによりパターンを形成する方法、透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面及び透明導電膜と塗膜との接着性を更に良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
液晶配向剤の塗布後、塗布した配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。プレベーク時間は好ましくは0.25〜10分であり、より好ましくは0.5〜5分である。その後、溶剤を完全に除去する目的で、また必要に応じて重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度(ポストベーク温度)は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃である。ポストベーク時間は、好ましくは5〜200分であり、より好ましくは10〜100分である。このようにして形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
(1−2)IPS型又はFFS型液晶表示素子を製造する場合、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板の電極形成面と、電極が設けられていない対向基板の一面とに液晶配向剤をそれぞれ塗布し、次いで各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。このとき使用される基板及び透明導電膜の材質、塗布方法、塗布後の加熱条件、透明導電膜又は金属膜のパターニング方法、基板の前処理、並びに形成される塗膜の好ましい膜厚については上記(1−1)と同様である。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。
上記(1−1)及び(1−2)のいずれの場合も、基板上に液晶配向剤を塗布した後、有機溶媒を除去することによって配向膜となる塗膜が形成される。このとき、液晶配向剤に含有される重合体が、ポリアミック酸であるか、ポリアミック酸エステルであるか又はイミド環構造とアミック酸構造とを有するイミド化重合体である場合には、塗膜形成後に更に加熱することによって脱水閉環反応を進行させ、よりイミド化された塗膜としてもよい。
[工程2:配向能付与処理]
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向能付与処理としては、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで塗膜を一定方向に擦るラビング処理、塗膜に対して偏光又は非偏光の放射線を照射する光配向処理などが挙げられる。一方、VA型液晶表示素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向能付与処理を施してもよい。
光配向処理により塗膜に液晶配向能を付与する場合、塗膜に照射する放射線としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。また、用いる放射線が直線偏光又は部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよく、斜め方向から行ってもよく、又はこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合、照射の方向は斜め方向とする。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを使用することができる。好ましい波長領域の紫外線は、光源を、例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。放射線の照射量は、好ましくは100〜50,000J/mであり、より好ましくは300〜20,000J/mである。また、塗膜に対する光照射は、反応性を高めるために塗膜を加温しながら行ってもよい。加温の際の温度は、通常30〜250℃であり、好ましくは40〜200℃であり、より好ましくは50〜150℃である。
なお、ラビング処理後の液晶配向膜に対して更に、液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成した上で先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにしてもよい。この場合、得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。VA型の液晶表示素子に好適な液晶配向膜は、PSA(Polymer sustained alignment)型の液晶表示素子にも好適に用いることができる。
[工程3:液晶セルの構築]
(3−1)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより液晶セルを製造する。第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより液晶セルを製造する。いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、添加して使用してもよい。
(3−2)PSA型液晶表示素子を製造する場合には、液晶と共に光重合性化合物を注入又は滴下する点以外は上記(3−1)と同様にして液晶セルを構築する。その後、一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で液晶セルに光照射する。ここで印加する電圧は、例えば5〜50Vの直流又は交流とすることができる。また、照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができるが、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光の光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを使用することができる。なお、上記の好ましい波長領域の紫外線は、光源を、例えばフィルター回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。光の照射量としては、好ましくは1,000〜200,000J/mであり、より好ましくは1,000〜100,000J/mである。
(3−3)光重合性基を有する化合物を含む液晶配向剤を用いて基板上に塗膜を形成した場合、上記(3−1)と同様にして液晶セルを構築し、その後、一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で液晶セルに光照射する工程を経ることにより液晶表示素子を製造する方法を採用してもよい。この方法によれば、PSAモードのメリットを少なく光照射量で実現可能である。印加する電圧は、例えば0.1〜30Vの直流又は交流とすることができる。照射する光の条件については、上記(3−2)の説明を適用することができる。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本開示の液晶表示素子を得ることができる。液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
本開示の液晶表示素子は、種々の装置に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、重合体溶液中のポリイミドのイミド化率、及び重合体溶液の溶液粘度は以下の方法により測定した。以下の例では、「式(X)で表される化合物」を単に「化合物(X)」と示すことがある。
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドの溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温でH−NMRを測定した。得られたH−NMRスペクトルから、下記数式(1)によりイミド化率[%]を求めた。
イミド化率[%]=(1−A/A×α)×100 …(1)
(数式(1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度[mPa・s]は、所定の溶媒を用い、重合体濃度10重量%に調製した溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
<化合物の合成>
[実施例1−1]
下記スキーム1に従って化合物(CA−4)を合成した。
Figure 0006558068
窒素導入管、滴下漏斗及び撹拌羽根を備えた容量0.5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下で、N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ヘキサンジアミド3.20g(0.010mol)、水素化ナトリウム0.72g(0.030mol)、ジエチルエーテル100mlを加えて溶解させた。その後、滴下漏斗を用いてクロロメチルメチルエーテル1.61g(0.020mol)を加えた。室温にて10時間撹拌した後、反応溶液を分液漏斗に移し、酢酸エチル300mlと純水500mlを加えて混合した後、水層を分離した。これを合計3回行った後、下層の有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後の溶液から有機溶媒をエバポレーターで留去し、中間体(1)を得た(収率85%)。
窒素導入管及び撹拌羽根を備えた容量0.5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下で、中間体(1)4.08g(0.010mol)、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物4−クロリド4.33g(0.020mol)、トリエチルアミン3.03g(0.030mol)、塩化メチレン100mlを加えて溶解させた。室温にて6時間撹拌した後、反応溶液をヘキサン300mlに投入し、沈殿物を濾別した。これをヘキサンにて洗浄後、真空乾燥させて化合物(CA−4)を得た(収率87%)。
[実施例1−2]
下記スキーム2に従って化合物(CA−5)を合成した。
Figure 0006558068
窒素導入管、滴下漏斗及び撹拌羽根を備えた容量0.5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下で、2−アミノ−1,3−プロパンジオール1.82g(0.020mol)、トリエチルアミン6.07g(0.060mol)、塩化メチレン100mlを加えて溶解させた。次いで、滴下漏斗を用いてアジピルクロリド1.83g(0.010mol)を加え、室温にて5時間撹拌した。その後、クロロトリメチルシラン2.17g(0.020mol)を加えて室温にて5時間撹拌した。反応溶液を分液漏斗に移し、酢酸エチル300mlと純水500mlを加えて混合した後、水層を分離した。これを合計3回行った後、下層の有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後の溶液から有機溶媒をエバポレーターで留去し、中間体(3)を得た(収率79%)。
窒素導入管及び撹拌羽根を備えた容量0.5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下で、中間体(3)4.37g(0.010mol)、無水トリメリット酸クロリド4.21g(0.020mol)、トリエチルアミン3.03g(0.030mol)、塩化メチレン100mlを加えて溶解させた。室温にて5時間撹拌した後、反応溶液をヘキサン300mlに投入し、沈殿物を濾別した。これをヘキサンにて洗浄後、真空乾燥させて化合物(CA−5)を得た(収率88%)。
[実施例1−3]
下記スキーム3に従って化合物(CA−13)を合成した。
Figure 0006558068
窒素導入管及び撹拌羽根を備えた容量0.5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下で、N,N'−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン1.48g(0.010mol)、トリエチルアミン3.03g(0.030mol)、塩化メチレン100mlを加えて溶解させた。その後、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物4−クロリド4.33g(0.020mol)の塩化メチレン溶液50mlを加えた。室温にて5時間撹拌した後、反応溶液をヘキサン300mlに投入し、沈殿物を濾別した。これをヘキサンにて洗浄後、真空乾燥させて化合物(CA−13)を得た(収率91%)。
[実施例1−4]
下記スキーム4に従って化合物(DA−1)を合成した。
Figure 0006558068
窒素導入管、滴下漏斗及び撹拌羽根を備えた容量0.5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下で、ジエタノールアミン2.10g(0.020mol)、トリエチルアミン6.06g(0.060mol)、塩化メチレン100mlを加えて溶解させた。その後、滴下漏斗を用いて4,4'−ビフェニルジカルボニルクロリド2.79g(0.010mol)の塩化メチレン溶液50mlを加えて、室温にて5時間撹拌した。その後、4−ニトロベンゾイルクロリド3.71g(0.020mol)の塩化メチレン溶液50mlを加えて、室温にて5時間撹拌した。反応溶液を分液漏斗に移し、酢酸エチル300mlと純水500mlを加えて混合した後、水層を分離した。これを合計3回行った後、下層の有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後の溶液から有機溶媒をエバポレーターで留去し、中間体(5)を得た(収率75%)。
次いで、窒素導入管、滴下漏斗、温度計及び撹拌羽根を備えた容量0.5リットルの4つ口フラスコに、上記中間体(5)を14.3g(0.020mol)、亜鉛25.4g(0.400mol)、塩化アンモニウム4.28g(0.080mol)、THF180ml、EtOH20mlを加えて溶解させた。このフラスコを氷水で冷やしながら、純水10mlを滴下して撹拌した。滴下後に室温で48時間撹拌した後、セライトろ過した。ろ液に酢酸エチルを100ml加えて、全量を分液漏斗に移した後、300mlの純水で混合する操作と、水層の取り出し操作とを3回行った後、下層の有機層を取り出し、これを無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後の溶液から有機溶媒をエバポレーターで留去し、化合物(DA−1)を得た(収率85%)。
[実施例1−5]
下記スキーム5に従って化合物(DA−3)を合成した。
Figure 0006558068
4−ニトロベンゾイルクロリドと反応させる化合物としてN,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)ヘキサンジアミドを用いた以外は化合物(DA−1)の合成方法と同様の方法で化合物(DA−3)を得た。
[実施例1−6]
下記スキーム6に従って化合物(DA−4)を合成した。
Figure 0006558068
4−ニトロベンゾイルクロリドと反応させる化合物としてイソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)を用いた以外は化合物(DA−1)の合成方法と同様の方法で化合物(DA−4)を得た。
[実施例1−7]
下記スキーム7に従って化合物(DA−6)を合成した。
Figure 0006558068
4−ニトロベンゾイルクロリドと反応させる化合物としてN,N'−ビス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを用いた以外は化合物(DA−1)の合成方法と同様の方法で化合物(DA−6)を得た。
[実施例1−8]
下記スキーム8に従って化合物(DA−7)を合成した。
Figure 0006558068
4−ニトロベンゾイルクロリドと反応させる化合物として1,3−ジアミノ−2−プロパノールを用いた以外は化合物(DA−1)の合成方法と同様の方法で化合物(DA−7)を得た。
<重合体の合成>
[実施例2−1]
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物100モル部、ジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸60モル部、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン10モル部、上記式(E−1−4)で表される化合物20モル部、及び上記式(DA−1)で表される化合物10モル部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20重量%含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は305mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液に、NMPを追加してポリアミック酸濃度7重量%の溶液とし、ピリジン及び無水酢酸を、使用したテトラカルボン酸二無水物の全体量に対してそれぞれ1.3倍モルずつ添加して、110℃で4時間、脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなNMPで溶媒置換(本操作によって脱水閉環反応に使用したピリジン及び無水酢酸を系外に除去した。以下同じ。)することにより、イミド化率約72%のポリイミド(これを「重合体(PI−1)」とする。)を16重量%含有する溶液を得た。
[実施例2−2〜実施例2−5]
使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類及び量を下記表1のとおり変更した以外は実施例2−1と同様にしてポリイミド(重合体(PI−2)〜重合体(PI−5)を合成した。得られた重合体のイミド化率の測定結果を下記表1に合わせて示した。
Figure 0006558068
表1中、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの括弧内の数値は、重合体の合成に使用したテトラカルボン酸二無水物の合計100モル部に対する各化合物の使用割合[モル部]を表す。表1中の化合物の略称はそれぞれ以下の意味である。
<テトラカルボン酸二無水物>
T−1:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
T−2:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
T−3:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
T−4:ピロメリット酸二無水物
<ジアミン>
D−1: 3,5−ジアミノ安息香酸
D−2:コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン
D−3:上記式(E−1−4)で表される化合物
D−4:上記式(E−1−2)で表される化合物
D−5:ビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸
D−6:4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート
D−7:下記式(D−7)で表される化合物
D−8:上記式(D−2−7)で表される化合物
D−9:上記式(D−2−8)で表される化合物
Figure 0006558068
[実施例2−6]
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物80モル部及び上記式(CA−5)で表される化合物20モル部、並びにジアミンとしてビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸100モル部を、NMP及びγ−ブチロラクトン(γBL)(NMP:γBL=10:90(重量比))の混合溶媒に溶解し、40℃で3時間反応を行い、ポリアミック酸(これを重合体(PAA−1)とする。)を10重量%含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取して測定した溶液粘度は360mPa・sであった。
[実施例2−7及び合成例1,2]
使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類及び量を上記表1のとおり変更した以外は実施例2−6と同様にしてポリアミック酸(重合体(PAA−2)〜重合体(PAA−4))を合成した。
[実施例3−1]
(1)液晶配向剤の調製
重合体(PI−1)を含有する溶液に、溶剤としてNMP、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)及びブチルセロソルブ(BC)を加え、溶液組成がNMP:NEP:BC=40:10:50(重量比)、固形分濃度6.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより液晶配向剤(S−1)を調製した。
(2)塗膜の密着性評価
上記(1)で調製した液晶配向剤(S−1)を、ガラス基板上にスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換した200℃のオーブンで1時間加熱(ポストベーク)することにより、平均膜厚0.1μmの塗膜を形成した。これと同様の操作を繰り返すことにより、塗膜が形成されたガラス基板を2枚作製した。塗膜を形成した2枚のガラス基板のうちの1枚に対して、塗膜を有する面にODFシール剤(積水化学製S−WB42)を直径が5mmになるように塗布し、もう一枚のガラス基板の塗膜と、基板上に塗布したODFシール剤とが接触するように貼り合わせた。その後、メタルハライドランプを用いて30,000J/m(365nm換算)の光を照射した後、120℃のオーブンで1時間加熱した。その後、今田製作所の引張圧縮試験機(型番:SDWS−0201−100SL)を用いて密着力を測定することにより、基板に対する塗膜の密着性を評価した。評価は、密着力が300gf/mm以上であった場合を密着性「優良(◎)」、200gf/mm以上300gf/mm未満であった場合を密着性「良好(○)」、100gf/mm以上200gf/mm未満であった場合を密着性「可(△)」、100gf/mm未満であった場合を密着性「不良(×)」とした。その結果、この実施例では、密着力260gf/mmであり、塗膜の密着性「良好」の評価であった。
<実施例3−2〜実施例3−6及び比較例1,2>
使用する重合体成分及び添加剤の種類及び量を下記表2の通り変更した以外は実施例3−1と同様にして液晶配向剤(S−2)〜(S−6)、(R−1)及び(R−2)をそれぞれ調製した。また、調製した液晶配向剤を用い、実施例3−1の(2)と同様にして塗膜の密着性評価を行った。それらの結果を下記表2に示した。
Figure 0006558068
表2中、重合体欄の括弧内の数値は、液晶配向剤の調製に使用した重合体成分の合計100重量部に対する各化合物の配合割合(重量部)を示す。溶剤の略称はそれぞれ以下の意味である。
(溶剤)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
NEP:N−エチル−2−ピロリドン
BC:ブチルセロソルブ
PB:1−ブトキシ−2−プロパノール
DEDG:ジエチレングリコールジエチルエーテル
PGDAc:プロピレングリコールジアセテート
表2に示すように、実施例ではいずれも、塗膜の基板に対する密着性は「優良」又は「良好」の評価であった。これに対し、比較例のものは、塗膜の密着性評価において実施例のものよりも劣っていた。

Claims (7)

  1. 下記式(0)で表される部分構造を有するポリイミド及びその前駆体よりなる群から選ばれる少なくとも一種である重合体[P]を含有する、液晶配向剤。
    Figure 0006558068
    (式(0)中、Bは4価の有機基であり、Bは2価の有機基である。ただし、B及びBの少なくとも一方は、下記式(1−1〜式(1−4)の少なくともいずれかで表される特定構造を有する。当該特定構造をBが有さずBが有する場合、Bは少なくとも2個の芳香環を有する。「*」は結合手であることを示す。)
    Figure 0006558068
    (式(1−1)〜式(1−4)中、Tは、水素原子、炭素数1〜4の1価の炭化水素基又は水酸基の保護基である。 及びR 2 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は「* −CR 3 4 −O−T (「* 」は炭素原子との結合手であることを示す。)」である。R 3 及びR 4 は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。R 5 は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は「* −CR 1 2 −CR 3 4 −O−T (「* 」は窒素原子との結合手であることを示す。)」である。「* 」及び「* 」は結合手であることを示す。)
  2. 前記重合体[P]は、上記式(0)で表される部分構造の一部として、下記式(1)で表される構造を有する単量体[A]に由来する部分構造を有する重合体である、請求項1に記載の液晶配向剤。
    Figure 0006558068
    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に環状基であり、Aは、単結合、−O−又は2価の有機基である。A及びAは、それぞれ独立に1価の有機基であり、Aが他の基と結合して環を形成していてもよく、Aが他の基と結合して環を形成していてもよい。n1及びn2は、それぞれ独立に0〜2の整数である。ただし、式(1)は、A、A及びAの少なくともいずれかに前記特定構造を有する。n1が2の場合、複数のAは同じでも異なっていてもよく、n2が2の場合、複数のAは同じでも異なっていてもよい。「*」は結合手であることを示す。)
  3. 前記単量体[A]は、下記式(d−1)で表されるジアミン及び下記式(t−1)で表される酸無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項2に記載の液晶配向剤。
    Figure 0006558068
    (式(d−1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に芳香環基であり、A12及びA13は、それぞれ独立に1価の有機基である。A、n1及びn2は上記式(1)と同義である。ただし、式(d−1)は、A、A12及びA13の少なくともいずれかに前記特定構造を有する。n1が2の場合、複数のA12は同じでも異なっていてもよく、n2が2の場合、複数のA13は同じでも異なっていてもよい。)
    Figure 0006558068
    (式(t−1)中、A11は、前記特定構造を有する2価の有機基である。R及びRは上記式(1)と同義である。)
  4. 前記Bは、シクロブタン環構造、シクロペンタン環構造及びシクロヘキサン環構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種の環構造を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  5. 前記重合体[P]は、窒素含有複素環(ただし、ポリイミドが有するイミド環を除く。)、2級アミノ基及び3級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の構造をさらに有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
  7. 請求項6に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
JP2015100364A 2015-05-15 2015-05-15 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 Active JP6558068B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015100364A JP6558068B2 (ja) 2015-05-15 2015-05-15 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015100364A JP6558068B2 (ja) 2015-05-15 2015-05-15 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016218149A JP2016218149A (ja) 2016-12-22
JP6558068B2 true JP6558068B2 (ja) 2019-08-14

Family

ID=57578877

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015100364A Active JP6558068B2 (ja) 2015-05-15 2015-05-15 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6558068B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018115246A (ja) * 2017-01-17 2018-07-26 三菱ケミカル株式会社 ポリイミド
CN111171842A (zh) * 2017-02-28 2020-05-19 Jsr株式会社 液晶取向剂、液晶取向膜、液晶元件及聚合体
JP7347410B2 (ja) * 2018-03-30 2023-09-20 日産化学株式会社 新規な液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子
KR102267590B1 (ko) 2018-11-20 2021-06-18 주식회사 엘지화학 액정 배향제 조성물, 이를 이용한 액정 배향막의 제조 방법, 이를 이용한 액정 배향막 및 액정표시소자
KR102267591B1 (ko) 2018-11-20 2021-06-18 주식회사 엘지화학 액정 배향제 조성물, 이를 이용한 액정 배향막의 제조 방법, 이를 이용한 액정 배향막 및 액정표시소자
KR102238704B1 (ko) 2018-12-21 2021-04-08 주식회사 엘지화학 가교제 화합물, 이를 포함하는 감광성 조성물, 및 이를 이용한 감광 재료
KR102410008B1 (ko) 2019-01-21 2022-06-16 주식회사 엘지화학 액정 배향제 조성물, 이를 이용한 액정 배향막 및 액정표시소자
JP7428978B2 (ja) * 2019-02-21 2024-02-07 日産化学株式会社 液晶配向剤及びそれを用いた液晶表示素子
JP7322694B2 (ja) * 2019-12-24 2023-08-08 Jsr株式会社 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5643985B2 (ja) * 2010-08-19 2014-12-24 Jnc株式会社 ジアミン、液晶配向剤、液晶配向膜および液晶表示素子
JP5817972B2 (ja) * 2011-06-30 2015-11-18 Jnc株式会社 ポリアミック酸、およびこれを用いた液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子
JP5783023B2 (ja) * 2011-12-07 2015-09-24 Jsr株式会社 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子
JP6073626B2 (ja) * 2012-09-28 2017-02-01 旭化成株式会社 感光性樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016218149A (ja) 2016-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6558068B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子
JP6686298B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子
JP6911885B2 (ja) 液晶配向膜の製造方法及び液晶素子の製造方法
JP2015215591A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及びその製造方法、並びに液晶表示素子
JP6682771B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子
KR102225386B1 (ko) 액정 배향제, 액정 배향막 및 그의 제조 방법, 액정 소자, 그리고 중합체
JP6579114B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶配向膜の製造方法及び液晶表示素子
JP6447304B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及びその製造方法、液晶表示素子、位相差フィルム及びその製造方法、重合体並びに化合物
JP6421412B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子
JP2016200798A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶配向膜の製造方法、液晶素子、液晶素子の製造方法及び化合物
JP6596931B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子
JP2017102350A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶素子、重合体及び化合物
JP6477039B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子
JP2016118574A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、重合体及び化合物
JP2016057605A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子
JP2017032608A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、重合体及び化合物
JP2017040721A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶配向膜の製造方法、液晶表示素子、重合体及び化合物
JP6870289B2 (ja) 液晶配向剤、液晶素子の製造方法、液晶配向膜、液晶素子
JP6682965B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶素子及び液晶配向膜の製造方法
JP6547565B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子
JP6485033B2 (ja) 重合体組成物、樹脂膜、液晶配向膜及び液晶表示素子
JP6551040B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子
WO2018186055A1 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及びその製造方法、液晶素子、重合体、並びに化合物
JP6682795B2 (ja) 液晶配向膜の製造方法、液晶素子の製造方法及び光配向用重合体組成物
JP6337594B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜の製造方法及び液晶表示素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190308

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190618

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190701

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6558068

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250