JP2014205888A - 量産打抜き性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、特許文献1に記載された技術では、Pの粒界偏析を防止して、穴拡げ加工性を向上するとしているだけである。特許文献1には、打抜き加工性についての言及はなく、また、Pの粒界への偏析防止が、直ちに打抜き端面の性状を改善し、打抜き加工性の向上に寄与するとは必ずしも言えない。
また、特許文献2、3に記載された技術では、JFS T1001に規定された打抜き時のクリアランスとは異なる、板厚の17〜23%、あるいは板厚の10〜20%のクリアランスで、10mmφの穴を打抜き、鋼板の打抜き加工性を評価している。しかし、特許文献2、3に記載された技術で打抜き加工性に優れた鋼板として製造された高強度鋼板でも、量産時の打抜き加工による穴あけ不良が発生することも多く、量産時の打抜き加工性に優れる鋼板であるとは言い難いという問題があった。
その結果、従来の規格に準拠した方法で評価した打抜き加工性と、実際の部品量産製造時の打抜き加工性には大きな乖離があることを初めて知見した。実際に部品を量産製造する際にも、金型交換のタイミングで打抜きクリアランスを調整している。しかし、打抜きクリアランスを適正条件範囲内に完全に調整管理することは非常に難しく、打抜き穴の円周方向位置によりクリアランス変動が生じることが普通となっている。さらに、量産製造中には、ポンチの欠け、損耗などが起こり、それを完全に保守管理することはほぼ不可能に近く、打抜き条件の変動に繋がる。さらに、実際の部品量産製造時には、上記した打抜き加工時のクリアランスの変動に加えて、部品形状や製造プロセスによっては、量産製造工程の途中で、打抜き加工による穴あけを必要とする場合がある。このような場合には、打抜き方向が、垂直方向でなく斜め方向となったり、穴のセンターリングが難しくなることに加え、板押さえ条件が不良になりやすい場合があることに思い至った。すなわち、量産製造時の打抜き加工では、実験室での打抜き加工と異なり、極めて厳しい条件下での打抜きとなるのに加え、上述した様々なプロセス変動を受けることになり、したがって、上記したような規格に準拠した実験室で行う打抜き加工性評価で、優れた打抜き加工性を有すると評価された鋼板でも、部品量産製造時の打抜き加工による穴あけが不良である場合が多々発生することになることを知見した。
そして更なる検討の結果、打抜きポンチを50mmφの平底型として、打抜きクリアランスが30%となるように、ダイ側の穴径を決定し、さらに打抜きダイの上にスペーサーを置き、その上にブランク板を置いて上から板押さえで固定して打抜く方法が、量産打抜き性を評価できる最もよい方法であることを見出した。
(1)質量%で、C:0.05〜0.15%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.005%以下、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Ti:0.05〜0.2%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、ベイナイト相が体積率で92%超、ベイナイトラスの平均間隔が0.6μm以下、かつ全Fe系炭化物のうち粒内に析出したFe系炭化物の個数比率が10%以上である組織を有することを特徴とする、量産打抜き性に優れた高強度熱延鋼板。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.005〜0.3%、Ni:0.005〜0.3%、Sn:0.005〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする高強度熱延鋼板。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0002〜0.004%、REM:0.0002〜0.004%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする高強度熱延鋼板。
(7)鋼スラブを、加熱し粗圧延と仕上圧延とからなる熱間圧延を施し、熱延鋼板とするに当たり、前記鋼スラブが、質量%で、C:0.05〜0.15%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.005%以下、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Ti:0.05〜0.2%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼スラブとし、前記熱間圧延が、前記鋼スラブを1100℃以上に加熱し、前記仕上圧延の最終2パスの合計圧下率を30%以上とし、該仕上圧延の圧延終了温度を(Ar3変態点)〜(Ar3変態点+120℃)の温度範囲とし、前記仕上圧延終了後、2s以内に冷却を開始し、平均冷却速度50℃/s以上で巻取り温度まで冷却した後、巻取り温度:300〜500℃で巻き取る圧延であることを特徴とする量産打抜き性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
(9)(7)または(8)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.005〜0.3%、Ni:0.005〜0.3%、 Sn:0.005〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
(11)(7)ないし(10)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0002〜0.004%、REM:0.0002〜0.004%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
C:0.05〜0.15%
Cは、鋼板の高強度化に有効に寄与する元素であり、また、ベイナイト変態を促進し、ベイナイト相形成に寄与する有用な元素である。また、適正量のC含有は、粒内の炭化物を増加させ、量産打抜き性を向上させる作用を有する。このような効果を発現させるためには0.05%以上の含有を必要とする。一方、0.15%を超える過剰な含有は、加工性、溶接性を損なう。このようなことから、Cは0.05〜0.15%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.07%超0.13%以下である。
Siは、固溶強化により鋼板強度を増加させるとともに、鋼板の延性向上にも寄与する元素である。このような効果を発現させるためには、0.05%以上含有することが望ましい。一方、1.5%を超える過剰なSi含有は変態点を上昇させ、ベイナイト相形成を阻害する。このため、Siは1.5%以下に限定した。なお、好ましくは1.0%以下である。
Mnは、固溶強化および変態強化により、鋼板の高強度化に寄与する有効な元素である。さらに、Mnは、変態点を低下させて、ベイナイトラスを微細化する効果を有する。このような効果を得るためには1.0%以上の含有を必要とする。一方、2.0%を超えて含有すると、中心偏析が顕著になり、加工性が著しく低下する。このため、Mnは1.0〜2.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは1.2〜1.9%である。
Pは、固溶して鋼板の強度を増加させる作用を有する元素であるが、多量に含有すると粒界等に偏析しやすく、加工性の低下を招く悪影響が懸念され、できるだけ低減することが望ましいが、0.05%までの含有は許容できる。なお、好ましくは、0.03%以下である。
S:0.005%以下
Sは、硫化物を形成し、とくに粗大な硫化物を形成すると、鋼板の延性、加工性が低下するため、できるだけ低減することが望ましいが、0.005%までは許容できる。このため、Sは0.005%以下に限定した。なお、好ましくは0.003%以下、より好ましくは0.0015%以下である。
Alは、鋼の脱酸剤として作用する重要な元素である。このような効果を発現させるためには、0.01%以上含有することが望ましい。一方、0.1%を超えて含有すると、鋳造性が低下したり、鋼中に多量の介在物(酸化物)が残存して、表面性状や加工性の低下を招く。このため、Alは0.1%以下に限定した。なお、好ましくは0.06%以下である。
Nは、窒化物形成元素と結合し窒化物として析出して、結晶粒の微細化に寄与する。しかし、0.01%を超えてN含有量が多くなると、多量の窒化物を生成し、熱間延性の低下や、バーリング加工性の著しい低下の原因となるため、Nはできるだけ低減することが望ましいが0.01%までは許容できる。このため、Nは0.01%以下に限定した。なお、好ましくは0.006%以下、より好ましくは0.004%以下である。
Tiは、炭窒化物を形成しやすく、変態前のオーステナイト(γ)粒を微細化することを介し、変態後のベイナイトラス間隔の微細化に寄与する、本発明で最も重要な元素の一つである。さらに、Tiは、微細な粒内炭化物(炭窒化物)を増加させ、析出強化を介して強度増加に寄与するとともに、打抜き加工に際しボイド生成サイトとなりボイドを増加させて、量産打抜き性向上に寄与する。このような効果を得るためには、0.05%以上の含有を必要とする。一方、0.2%を超えて過剰に含有すると、圧延荷重が非常に大きくなり圧延操業を難しくしたり、また析出物サイズを粗大にしすぎて加工性を低下させる。このため、Tiは0.05〜0.2%の範囲に限定した。なお。好ましくは0.065〜0.125%、より好ましくは0.065〜0.10%である。
Nb、Bはいずれも、量産打抜き性の向上に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種または2種を含有できる。
Nbは、析出物(炭窒化物)の形成を介して、組織の微細化、炭化物の微細分散化により、打抜き加工時のマイクロボイド発生間隔を小さくし量産打抜き性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、0.005%以上含有することが好ましい。一方、0.2%を超えて過剰に含有すると、析出物の粗大化を招き加工性を低下させるとともに、製造コストの高騰を招く。このため、含有する場合には、Nbは0.005〜0.2%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.005〜0.15%である。
Cu:0.005〜0.3%、Ni:0.005〜0.3%、Sn:0.005〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上
Cu、Ni、Snはいずれも、固溶強化を介して強度増加に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種または2種以上を含有できる。このような効果を得るためには、Cu:0.005%以上、Ni:0.005%以上、Sn:0.005%以上、含有することが望ましい。一方、Cu:0.3%、Ni:0.3%、Sn:0.3%をそれぞれ超えて含有すると、熱間加工性が低下し、熱間圧延中に表層割れを起こす恐れがある。このため、含有する場合には、それぞれ、Cu:0.005〜0.3%、Ni:0.005〜0.3%、Sn:0.005〜0.3%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくはCu:0.005〜0.2%、Ni:0.005〜0.2%、Sn:0.005〜0.2%である。
Mo、Crはいずれも、炭化物(析出物)を形成しやすく、析出物形成を介して量産打抜き性の向上に寄与する元素であり、また、Mo、Crはいずれも、焼入れ性向上に寄与する元素であり、ベイナイト変態点の低下を介してベイナイトラスの微細化に寄与する元素でもあり、必要に応じて選択して1種または2種を含有できる。このような効果を得るためには、Mo:0.002%以上、Cr:0.002%以上、含有することが望ましい。一方、Mo:0.3%、Cr:0.3%を超える過剰の含有は、製造コストの高騰を招き、経済的に不利となる。このため、含有する場合には、Mo:0.002〜0.3%、Cr:0.002〜0.3%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくはMo:0.002〜0.2%、Cr:0.002〜0.2%である。
Ca、REMは、いずれも、介在物の形態制御を介して加工性向上に有効に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種または2種を含有できる。このような効果を得るためには、Ca:0.0002%以上、REM:0.0002%以上含有することが望ましい。一方、Ca:0.004%、REM:0.004%を超えて含有すると、鋼中介在物の増加を招き、加工性が低下する。このため、含有する場合には、Ca:0.0002〜0.004%、REM:0.0002〜0.004%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくはCa:0.0002〜0.003%、REM:0.0002〜0.003%である。
つぎに、本発明高強度熱延鋼板の組織限定理由について説明する。
本発明高強度熱延鋼板は、ベイナイト相が体積率で92%超、ベイナイトラスの平均間隔が0.60μm以下、かつ全Fe系炭化物のうち粒内に析出したFe系炭化物の個数比率が10%以上である組織を有する。
本発明では、上記した組成を有する鋼スラブを、加熱し粗圧延と仕上圧延とからなる熱間圧延を施し、熱延鋼板とする。
鋼スラブの製造方法は、とくに限定する必要はなく、上記した組成を有する溶鋼を、転炉や電気炉や誘導炉等の常用の溶製方法で溶製し、あるいはさらに真空脱ガス装置等で二次精錬を行い、連続鋳造等の常用の鋳造方法で所定寸法の鋼スラブとする。なお、造塊−分塊圧延法を用いてもなんら問題はない。鋼スラブは厚さ30mm程度の薄スラブとしてもよい。薄スラブであれば、粗圧延を省略することができる。
鋼スラブの加熱温度:1100℃以上
本発明では、スラブ段階で析出している析出物を再固溶される必要がある。そのために、鋼スラブを1100℃以上の加熱温度に加熱する。加熱温度が1100℃未満では、析出物の再固溶が十分でなく、その後の工程で所望の析出物分布を確保できなくなる。なお好ましくは1150℃以上である。また、加熱温度が1300℃を超えて過剰に高くなると、結晶粒が粗大化し、最終的にベイナイトラスが粗大化する。このため鋼スラブの加熱温度は1300℃以下に限定することが望ましい。
粗圧延に引続き、仕上圧延を施す。仕上圧延の条件は、所望のベイナイトラス組織を得るためには極めて重要である。
所望のベイナイトラス組織を得るには、十分に歪が蓄積されたオーステナイト(γ)をベイナイト変態させることが必要である。そのために、本発明では、まず、仕上圧延の最終2パスの合計圧下率を30%以上に限定する。仕上圧延の最終2パスの合計圧下率が30%未満では、γへの歪蓄積が不十分で、変態後に所望のベイナイトラス組織を確保できなくなる。このため、仕上圧延の最終2パスの合計圧下率を30%以上に限定した。なお、好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上である。
十分に歪が蓄積されたオーステナイト(γ)からベイナイト変態させるために、仕上圧延の圧延終了温度の調整も重要となる。仕上圧延の圧延終了温度がAr3変態点未満では、所望の組織である、ほぼベイナイト単相の組織を確保することが難しくなる。一方、仕上圧延の圧延終了温度が(Ar3変態点+120℃)を超えて高温となると、微細なベイナイト相を得ることが難しくなる。このため、仕上圧延の圧延終了温度は(Ar3変態点)〜(Ar3変態点+120℃)の範囲の温度に限定した。なお、好ましくは(Ar3変態点)〜(Ar3変態点+80℃)である。ここで、仕上圧延の圧延終了温度は表面温度で表すものとする。また、ここでいう「Ar3変態点」は、加工フォーマスタ試験機で、加工付与後に冷却速度1℃/sで冷却して得られた熱膨張曲線から、その変化点により求めた変態温度とする。
冷却開始:仕上圧延終了後、2s以内
十分に歪が蓄積されたγからベイナイト変態させて、所望のベイナイトラス組織を得るためには、仕上圧延終了後、2s以内に冷却を開始する必要がある。冷却開始が、仕上圧延終了後、2sを超えると、γの回復、再結晶が進行し、ベイナイト変態の核が減少し、所望のベイナイトラス間隔を得ることができなくなる。このようなことから、冷却は、仕上圧延終了後、2s以内に開始することにした。なお、好ましくは1.5s以内、より好ましくは1s以内である。
仕上圧延終了温度から冷却停止温度までの平均冷却速度が50℃/s未満では、初析フェライトが析出して、体積率で92%超のベイナイト相を有し、かつ所望のベイナイトラス間隔を有する組織を確保することが困難となる。このため、仕上圧延終了後の冷却の平均冷却速度は50℃/s以上に限定した。なお、好ましくは60℃/s以上、より好ましくは70℃/s以上である。冷却速度の上限は、冷却設備の能力に依存して限定されるが、鋼板形状の観点から150℃/s程度に限定することが好ましい。
本発明では冷却停止後、直ちに巻き取る。このため、冷却停止温度を巻取り温度として巻き取る。冷却停止温度(巻取り温度)が、300℃未満、あるいは500℃超となると、ベイナイトラス間隔とFe系炭化物の分布状態をともに所望の最適範囲に調整することができなくなる。このようなことから、冷却停止温度(巻取り温度)を300〜500℃の範囲の温度に限定した。なお、好ましくは350〜500℃、さらに好ましくは400〜500℃である。
以下、実施例に基づき、さらに本発明高強度熱延鋼板について説明する。
(1)組織観察
得られた熱延鋼板(めっき鋼板)から組織観察用試験片を採取し、圧延方向に平行な板厚断面(L断面)を研磨した後、3%ナイタール液で腐食して組織を現出した。そして、L断面の板厚1/4位置において、走査型電子顕微鏡(倍率:3000倍)で組織を観察し、10視野で組織を撮影し、画像解析処理で、ベイナイト相以外の相を分離して、ベイナイト以外の相の組織分率を決定したのち、ベイナイト相の面積率を算出した。このようにして得られた面積率をベイナイト相の体積率とした。
また、得られた熱延鋼板(めっき鋼板)から組織観察用試験片を採取し、圧延方向に平行な板厚断面(L断面)を研磨した後、3%ナイタール液で腐食して組織を現出し、板厚1/4位置についてレプリカ試料を作製した。得られたレプリカ試料を用いて、透過型電子顕微鏡(倍率:約30000倍)で組織を観察し、10視野で組織を撮影した。得られた組織写真を用いて、Fe系炭化物を、その析出箇所(粒界、粒内)ごとに個数を測定し、粒内に析出したFe系析出物の、全Fe系析出物の個数に対する比率を算出した。なお、Fe系炭化物(析出物)の判別は析出物の形態、EDX分析により行った。
また、同様の観察を板厚方向の板厚中心部についても行い、同様の組織であることを確認している。
得られた熱延鋼板(めっき鋼板)から、引張方向が圧延方向に直角方向となるように、JIS 5号引張試験片を各3本採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施した。なお、引張速度は10mm/minとした。なお、得られた引張特性(引張強さTS、伸びEl)の平均値を、その鋼板の引張特性とした。
(3)量産打抜き性試験
得られた熱延鋼板(めっき鋼板)から、ブランク板(大きさ:150×150mm)を採取した。そして、打抜きポンチを50mmφの平底型として、打抜きクリアランスが30%となるように、ダイ側の穴径を決定し、さらに打抜きダイの上にスペーサーを置き、その上にブランク板を置いて上から板押さえで固定してポンチ穴を打ち抜いた。打ち抜き後、ポンチ穴の全周に亘り、打抜き端面の破面状況を走査型電子顕微鏡(倍率:100倍)で、割れ、欠け、脆性破面、2次せん断面等の有無を観察した。割れ、欠け、脆性破面、2次せん断面等のないものを○(合格)とし、それ以外を×(不合格)として、量産打抜き性を評価した。
Claims (12)
- 質量%で、
C :0.05〜0.15%、 Si:1.5%以下、
Mn:1.0〜2.0%、 P :0.05%以下、
S :0.005%以下、 Al:0.1%以下、
N :0.01%以下、 Ti:0.05〜0.2%
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、ベイナイト相が体積率で92%超、ベイナイトラスの平均間隔が0.60μm以下、かつ全Fe系炭化物のうち粒内に析出したFe系炭化物の個数比率が10%以上である組織を有することを特徴とする、量産打抜き性に優れた高強度熱延鋼板。 - 前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.005〜0.2%、B:0.0002〜0.0030%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度熱延鋼板。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.005〜0.3%、Ni:0.005〜0.3%、Sn:0.005〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高強度熱延鋼板。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Mo:0.002〜0.3%、Cr:0.002〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高強度熱延鋼板。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0002〜0.004%、REM:0.0002〜0.004%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高強度熱延鋼板。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の高強度熱延鋼板の表面に、溶融亜鉛めっき層または合金化溶融亜鉛めっき層を形成してなる溶融亜鉛めっき鋼板。
- 鋼スラブを、加熱し粗圧延と仕上圧延とからなる熱間圧延を施し、熱延鋼板とするに当たり、
前記鋼スラブが、質量%で、
C :0.05〜0.15%、 Si:1.5%以下、
Mn:1.0〜2.0%、 P :0.05%以下、
S :0.005%以下、 Al:0.1%以下、
N :0.01%以下、 Ti:0.05〜0.2%
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼スラブとし、
前記熱間圧延が、前記鋼スラブを1100℃以上に加熱し、前記仕上圧延の最終2パスの合計圧下率を30%以上とし、該仕上圧延の圧延終了温度を(Ar3変態点)〜( Ar3変態点+120℃)の温度範囲とし、前記仕上圧延終了後、2s以内に冷却を開始し、平均冷却速度50℃/s以上で巻取り温度まで冷却した後、巻取り温度:300〜500℃で巻き取る圧延であることを特徴とする量産打抜き性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。 - 前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.005〜0.2%、B:0.0002〜0.0030%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項7に記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.005〜0.3%、Ni:0.005〜0.3%、Sn:0.005〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項7または8に記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Mo:0.002〜0.3%、Cr:0.002〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0002〜0.004%、REM:0.0002〜0.004%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
- 請求項7ないし11のいずれかに記載の高強度熱延鋼板の製造方法で製造された高強度熱延鋼板を酸洗したのち、焼鈍とめっき処理を施して、表面にめっき層を有するめっき鋼板とするに当たり、
前記焼鈍を、均熱温度:730℃以下とする焼鈍とし、該焼鈍終了後、前記めっき処理として溶融亜鉛めっき浴を通過させて、前記熱延鋼板表面に溶融亜鉛めっき層を形成し、あるいはさらに該溶融亜鉛めっき層を合金化する合金化処理を施すことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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