JP2014205442A - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Takashi Miyoshi
尚 三好
清水 康夫
Yasuo Shimizu
康夫 清水
米田 篤彦
Atsuhiko Yoneda
篤彦 米田
大庭 吉裕
Yoshihiro Oba
吉裕 大庭
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Abstract

【課題】過大な操舵トルクが突発的に生じた際であっても、運転者の操舵フィーリングを快適に維持する。
【解決手段】第1〜第3の制御装置353,363,393が有する制御部は、操舵機能モードがステアバイワイヤ制御モードに設定されている際において、操舵トルク情報取得部により取得された操舵トルクOTが、予め定められる操舵トルク閾値OT_thを超えており、かつ、操舵トルクOTが継続して操舵トルク閾値OT_thを超えている時間が、操舵トルクOTの大きさに応じて適宜定められる継続猶予時間MTを超えている場合に、連結装置4を結合状態に切り替えさせる動作制御を行う。継続猶予時間MTは、操舵トルクOTが大きいほど短くなるように、操舵トルクOTの変化に関連付けて可変設定される。
【選択図】図16

Description

本発明は、車両の進行方向を所望の方向に変えようとする際に用いられる車両用操舵装置に関する。
最近の車両では、運転者の操舵意図を、電線を媒介し電気信号に変換して操舵車輪に伝える、ステアバイワイヤ(Steer By Wire)式の操舵システム(以下、SBWシステムという場合がある。)を採用したものがある。かかるSBWシステムでは、運転者による操向ハンドルの操作方向及び操作量を操舵部の側において電気信号に変換し、転舵用モータを含む転舵部に与える。これを受けて転舵部は、電気信号に従って転舵用モータを駆動することで運転者の操舵意図に応じて操舵車輪を転舵するように動作する。
こうしたSBWシステムでは、正常時にステアバイワイヤ制御モードでの動作制御を行わせる一方、異常発生時にマニュアルステアリングに復帰させる目的で、操舵部の側の回転軸と転舵部の側の回転軸との間を結合し又は切り離す動作を行うバックアップクラッチ(以下、“連結部”という。)が設けられている。
例えば特許文献1には、車輪を転舵する転舵機構と、その転舵機構を動力により作動させる転舵用駆動源と、運転者により操作される操舵部材と、転舵用駆動源への供給電力を、車両の状態に基づいて制御する駆動源制御装置と、操舵部材と転舵機構との間で力を伝達する伝達状態又は伝達しない非伝達状態のいずれかをとり得る力伝達装置(前記の“連結部”に相当する。)と、を含む操舵装置が開示されている。
特許文献1に係る操舵装置は、転舵用駆動源の負荷状態と転舵用駆動源に電力を供給する電力供給装置の電力供給状態との少なくとも一方に基づいて、力伝達装置を伝達状態又は非伝達状態のいずれかに切り換える伝達状態制御装置と、力伝達装置の伝達状態と非伝達状態とで転舵用駆動源への供給電力を異なる態様により制御する伝達状態対応制御部と、をさらに含んで構成されている。
特許文献1に係る駆動源制御装置によれば、力伝達装置(連結部)の伝達状態又は非伝達状態を、例えば、操舵装置におけるエネルギの消費状態に基づいて切り替えるようにしたり、操舵装置の作動状態に基づいて切り替えるようにするといったように、予め定められた条件に基づいて切り替えることにより、力伝達装置に係る状態切替時期を適切に制御することができるという。
特許第3952925号公報
しかしながら、特許文献1に係る操舵装置には、操舵トルクの大きさに応じて連結部を切離状態から結合状態へと切り替える旨は開示も示唆もされていない。
したがって、特許文献1に係る操舵装置では、操舵トルクの大きさに応じて連結部を切離状態から結合状態へと切り替えることは出来ない。そのため、仮に、過大な操舵トルクが突発的に生じた際に、連結部を切離状態から結合状態へと速やかに切り替えることは困難である。その結果、運転者の操舵フィーリングを損なうおそれがあるという技術的課題を内在していた。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、過大な操舵トルクが突発的に生じた際であっても、運転者の操舵フィーリングを快適に維持することができるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、(1)に係る発明は、車両の運転者による操向部材の操作入力が生じる操舵部と、操舵車輪を転舵するための転舵部と、前記操舵部及び前記転舵部の間を機械的な結合状態にし又は切離状態にする動作を行う連結部と、前記操舵部に操舵反力を付与する操舵反力アクチュエータと、前記転舵部に転舵トルクを付与する転舵アクチュエータと、運転者による前記操向部材の操舵トルクに係る情報を取得する操舵トルク情報取得部と、前記操舵部、前記転舵部、前記連結部、前記操舵反力アクチュエータ、及び、前記転舵アクチュエータの動作制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記連結部が切離状態にある場合に、前記操向部材の操作状態に応じた転舵角となるように前記転舵アクチュエータを駆動すると共に、前記転舵部の転舵状態に応じた操舵反力を付与するように前記操舵反力アクチュエータを駆動するステアバイワイヤ制御モードを、操舵機能モードとして少なくとも有し、前記操舵機能モードが前記ステアバイワイヤ制御モードに設定されている際において、前記操舵トルク情報取得部により取得された操舵トルクが、予め定められる操舵トルク閾値を超えており、かつ、前記操舵トルクが前記操舵トルク閾値を継続して超えている時間が、適宜定められる継続猶予時間閾値を超えている場合に、前記連結部を結合状態に切り替えさせる動作制御を行い、前記継続猶予時間閾値は、前記操舵トルクが大きいほど短くなるように、該操舵トルクの変化に関連付けて可変設定される、ことを最も主要な特徴とする。
(1)に係る発明において、操舵トルクが操舵トルク閾値を超えており、かつ、操舵トルクが継続して操舵トルク閾値を超えている時間が継続猶予時間閾値を超えている場合とは、例えば、転舵アクチュエータの推力が不足し、操向部材の操作状態に応じた追従ができないケースや、操向部材を一方向に絶えず突き当てているケースや、操舵部、転舵部、連結部を含む操舵力伝達系統のいずれかに何らかの異常が生じており、かかる異常状態をそのまま放置すると、その異常に関する負荷の大きさに起因して運転者の操舵フィーリングを損なうおそれがあるケースなどを想定している。
そこで、こうしたケースでは、連結部を結合状態に切り替えさせることにより、運転者の操舵フィーリングを損なう事態の発生を未然に防止することとした。
(1)に係る発明によれば、過大な操舵トルクが突発的に生じた際であっても、運転者の操舵フィーリングを快適に維持することができる。
また、(1)に係る発明によれば、連結部が切離又は結合する機会を減らすことができるため、連結部を切離又は結合する動作に伴う騒音や振動を抑制すると共に、連結部の長寿命化を図ることができる。
さらに、(1)に係る発明によれば、継続猶予時間閾値が、操舵トルクが大きいほど短くなるように、操舵トルクの変化に関連付けて可変設定されるため、前記操舵力伝達系統のいずれかに何らかの異常が生じた場合において、異常状態に陥ったとみなす負荷の大きさを平準化することができる。
その結果、(1)に係る発明によれば、連結部を切離状態から結合状態へと切り替えるタイミングを適切に制御することができる。
また、(2)に係る発明は、(1)に係る発明に記載の車両用操舵装置であって、前記制御部は、前記操舵トルク情報取得部により取得された操舵トルクが、前記操舵反力アクチュエータに固有の反力トルクに係る限界値に基づく反力トルク閾値まで到達した場合に、前記連結部を結合状態に切り替えさせる動作制御を速やかに行う、ことを特徴とする。
操舵トルクが、操舵反力アクチュエータに固有の反力トルクに係る限界値に基づく反力トルク閾値まで到達した場合とは、連結部を速やかに結合状態に切り替えることが必要なケースを意味する。反力トルク閾値を超える操舵トルクが生じると、操舵反力が急減する、いわゆる操舵反力の“抜け”現象(詳しくは後記する。)を招来するおそれがあるからである。
(2)に係る発明によれば、(1)に係る発明が奏する効果に加えて、操舵反力の“抜け”現象を適確に回避して運転者の操舵フィーリングをより快適に維持することができる。
また、(3)に係る発明は、(1)又は(2)に係る発明に記載の車両用操舵装置であって、前記操舵トルク情報取得部は、磁歪式トルクセンサを介して前記操向部材の操舵トルクに係る情報を取得する、ことを特徴とする。
(3)に係る発明では、操舵トルク情報取得部は、磁歪式トルクセンサを介して操向部材の操舵トルクに係る情報を取得するため、操向部材の捩り剛性を大きく設定することができる。その結果、仮に、磁歪式トルクセンサを操舵軸に2つ設けたとしても、運転者による操向部材の操作力によって操舵軸が過度に捩れることを抑制して、運転者の操舵に係る操作フィーリングを向上させることができる。
本発明に係る車両用操舵装置によれば、過大な操舵トルクが突発的に生じた際であっても、運転者の操舵フィーリングを快適に維持することができる。
本発明の実施形態に係る車両用操舵装置の概要を表す構成図である。 連結装置の切離状態を表すA−A線に沿う矢視横断面図である。 連結装置の切離状態を表すA−A線に沿う矢視横断面図である。 連結装置の結合状態を表す縦断面図である。 連結装置の結合状態を表す縦断面図である。 本発明の実施形態に係る車両用操舵装置の基本動作の説明に供するフローチャート図である。 アクティブVGS(Active Variable Gear ratio Steering)に係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。 アクティブVGS1(Active Variable Gear ratio Steering 1)に係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。 アクティブVGS2(Active Variable Gear ratio Steering 2)に係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。 アクティブVGS3(Active Variable Gear ratio Steering 3)に係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。 VGS(Variable Gear ratio Steering)に係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。 EPS(Electric PowerSteering)に係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。 マニュアルステアリング(Manual Steering)に係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。 本発明の実施形態に係る車両用操舵装置の初期化動作の説明に供するフローチャート図である。 本発明の実施形態に係る車両用操舵装置の初期化動作の説明に供するフローチャート図である。 本発明の実施形態に係る車両用操舵装置が行う連結装置異常診断処理の説明に供するフローチャート図である。 本発明の実施形態に係る車両用操舵装置が行う連結装置異常診断処理の説明に供するフローチャート図である。 本発明の実施形態に係る車両用操舵装置が行うSBW制御モード時の操舵トルクの大きさに応じた連結装置に係る状態切替処理の説明に供するフローチャート図である。 本発明の実施形態に係る車両用操舵装置が連結装置に係る状態切替処理を行う際に参照される、操舵トルクに対応する継続猶予時間に係る第1の特性線図を表す説明図である。 本発明の実施形態に係る車両用操舵装置が連結装置に係る状態切替処理を行う際に参照される、操舵トルクに対応する継続猶予時間に係る第2の特性線図を表す説明図である。
以下、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101の概要を表す構成図である。図2は、連結装置4の切離状態を表すA−A線に沿う矢視横断面図である。図3は、連結装置4の切離状態を表す縦断面図である。図4は、連結装置4の結合状態を表すA−A線に沿う矢視横断面図である。図5は、連結装置4の結合状態を表す縦断面図である。
本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101は、図1に示すように、操向ハンドル(ステアリングホイール)1、反力付与装置2、転舵装置3、連結装置4、例えばCAN(Controller Area Network)のような通信媒体5、車両の速度(車速)を検出する車速センサ6、ヨーレイトセンサ7、横加速度センサ8、及び、ラック位置センサ39を備える。
本発明の“操向部材”に相当する操向ハンドル1は、不図示の車両の進行方向を所望の方向に変えようとする際に用いられる。操向ハンドル1の中央部には、操舵軸10が連結されている。
反力付与装置2は、操舵軸10の回転方向に対する反力を付与する機能を有する。操舵軸10は、第1の自在継手11を介して、後記する連結装置4の第2の回転軸40に連結されている。操舵軸10は、ケース12の内部に間隔を置いて設けられた第1〜第3の軸受13,14,15により回転自在に支持されている。ケース12の内部は液密に保持される。操舵軸10には、操舵トルクセンサ16、操舵角センサ17、反力発生装置18が設けられる。
なお、操向ハンドル1及び反力付与装置2は、本発明の“操舵部”に相当する。
操舵トルクセンサ16は、操向ハンドル1から入力される操舵トルクの大きさ及び方向を、例えばソレノイド型のコイル12a,12bを用いて検出する機能を有する。このコイル12a,12bにより透磁率の変化として検出される操舵トルク信号SA,SBは、相互に相反する特性となる(操舵トルク信号SA,SBの加算値は一定)。操舵トルク信号SA,SBは、インターフェイス回路164に入力される。インターフェイス回路164では、増幅・フィルタ処理により、操舵トルク信号SA,SBの波形が整形される。波形整形後の操舵トルク信号SA,SBは、通信媒体5を介して、後記する第1の制御装置353、第2の制御装置363、第3の制御装置393のそれぞれが有する操舵トルク取得部に入力される。
第1〜第3の制御装置353,363,393の操舵トルク取得部は、運転者による操向ハンドル1の操舵トルクに係る情報を取得する機能を有する。ここで、運転者による操向ハンドル1の操舵トルクに係る情報とは、操舵トルクの大きさ及び方向を含む情報を意味する。
第1〜第3の制御装置353,363,393では、操舵トルク取得部により取得した操舵トルク信号SA,SB(操舵トルクに係る情報)の加算値が演算される。ここで、操舵トルク信号SA,SBの加算値は、操舵トルクセンサ16が正常の場合、常に一定の値を採る。操舵トルクセンサ16により検出される操舵トルク信号SA,SBは、相互に相反する特性を有するからである。これは、操舵トルク信号SA,SBの加算値が一定の値を採るか否かに基づいて、操舵トルクセンサ16の異常診断を行うことができることを意味する。また、操舵トルク信号SA,SBのうちいずれかが急激に変動した場合、コイルの断線や回路の部品異常を生じた蓋然性が高い。
したがって、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵トルク信号SA,SBの加算値、又は、それぞれの単独値の時間変化を監視することにより、操舵トルクセンサ16の異常診断(コイルの断線や回路の部品異常が生じているか否かに係る異常診断を含む)を行うことができる。
操舵角センサ17は、操向ハンドル1から入力される操舵角と方向を、例えば、二つのポテンショメータのような一対の回転角度センサ(不図示)を用いて検出する機能を有する。操舵角センサ17の構成について詳しく述べると、操舵軸10には、図1に示すように、操舵軸10周りに回転自在に小ギア174が設けられる。小ギア174には、この小ギア174に噛み合う大ギア175が並んで設けられる。ケース173に収容された一対の回転角度センサは、大ギア175の回転角度をそれぞれ検出することにより、減速された操向ハンドル1の操舵に係る回転角度信号SC,SD(共に同等な信号)を出力する。回転角度信号SC,SDは、通信媒体5を介して、後記する第1の制御装置353、第2の制御装置363、第3の制御装置393のそれぞれに入力される。
第1〜第3の制御装置353,363,393は、回転角度信号SC,SD同士の比較結果を監視することにより、操舵角センサ17が異常か否かに係る異常診断を行う機能を有する。回転角度信号SC,SDは、操舵角センサ17が正常の場合、相互に共通の特性となる。これは、回転角度信号SC,SD同士の比較結果が一致するか否かに基づいて、操舵角センサ17が異常か否かに係る異常診断を行うことができることを意味する。
したがって、第1〜第3の制御装置353,363,393は、回転角度信号SC,SD同士の比較結果を監視することにより、操舵角センサ17が異常か否かに係る異常診断を行うことができる。
反力発生装置18は、操向ハンドル1の操舵軸10の回転方向に対する反力を発生させる機能を有する。反力発生装置18は、操舵軸10に対して共廻りするように設けられた第3のウォームホィール180と、第3のモータ181の回転軸に設けられ、第3のウォームホィール180に噛み合う第3のウォーム182と、第3の制御装置393と、を有する。第3のモータ181は、本発明の“操舵反力アクチュエータ”に相当する。
第3の制御装置393には、第3のモータ181に流れる第3の電流値を検出する第3の電流センサ(第3の電流検出部)184Aが設けられている。第3の電流センサ184Aで検出された第3の電流値は、第3の制御装置393により通信媒体5を介して第1の制御装置353及び第2の制御装置363のそれぞれへ送られる。
第3の制御装置393は、後で詳しく説明するが、操舵トルクセンサ16の操舵トルク信号SA,SBや、操舵角センサ17の回転角度信号SC,SDなどに基づいて、後記する転舵用の第1のモータ332及び第2のモータ342、並びに、操舵反力付与用の第3のモータ181を駆動制御するための制御信号を生成する機能を有する。ただし、第3の制御装置393は、第1のモータ332又は第2のモータ342を駆動制御するための制御信号を生成する機能を省略して構成してもよい。
なお、第1及び第2のモータ332,342は、本発明の“転舵アクチュエータ”に相当する。
本発明の“転舵部”に相当する転舵装置3は、車幅方向の一対の操舵車輪30a,30bに対してタイロッド31a,31bを介して連結されるラック軸32、このラック軸32に設けられた第1のラック歯320に噛み合う第1のピニオンギア33、第1のピニオンギア33が一端に設けられた第1のギア軸330、前記ラック軸32に設けられた第2のラック歯321に噛み合う第2のピニオンギア34、第2のピニオンギア34が一端に設けられた第2のギア軸340、第1のギア軸330を駆動する第1の駆動装置35、及び、第2のギア軸340を駆動する第2の駆動装置36を有して構成されている。
第1のギア軸330は、第2の自在継手37を介して、連結装置4から延びる一方の第1の回転軸38に連結される。連結装置4から延びる他方の第2の回転軸40は、第1の自在継手11を介して、操舵軸10に連結されている。連結装置4の構成について、詳しくは後記する。
ラック軸32の一側(紙面に向かって左側)と、ラック軸32などの構成部材を覆うハウジング378との間には、ラック軸32の軸方向における位置を検出する一対のラック位置センサ39が設けられている。このラック位置センサ39は、ケース390内に例えば二つのポテンショメータ等による一対のセンサ(不図示)を設けて構成される。一対のラック位置センサ39の位置検出信号は、直接、通信媒体5を介して、第1〜第3の制御装置353,363,393のそれぞれへ送られる。また、一対のラック位置センサ39のうち一方の位置検出信号を、第1の制御装置353が、通信媒体5を介して、第2の制御装置353及び第3の制御装置363のそれぞれへ送ってもよい。さらに、一対のラック位置センサ39のうち他方の位置検出信号を、第2の制御装置363が、通信媒体5を介して、第1の制御装置353及び第3の制御装置393のそれぞれへ送ってもよい。ハウジング378の開口部は、ダストシール381a,381b及びオイルシール382の組み合わせにより液密に保持されている。
第1の駆動装置35は、第1のウォームホィール331と、第1のウォームホィール331に噛み合う第1のウォーム(不図示)と、を含んで構成されている。第1のウォームホィール331及び第1のピニオンギア33が設けられた第1のギア軸330は、軸受350、351、352を介してハウジング378に対して回転自在に3点支持されている。第1のウォームは、第1のモータ332の回転軸に設けられている。これにより、第1のモータ332の回転軸が駆動されると、第1のウォーム及び第1のウォームホィール331を介して第1のギア軸330が回転駆動される。すると、第1のピニオンギア33が回転駆動される結果、ラック軸32が軸方向に駆動されるように動作する。
第2の駆動装置36は、第2のウォームホィール341と、第2のウォームホィール341に噛み合う第2のウォーム(不図示)と、を含んで構成されている。第2のウォームホィール341及び第2のピニオンギア34が設けられた第2のギア軸340は、軸受360,361,362を介してハウジング378に対して回転自在に3点支持されている。第2のウォームは、第2のモータ342の回転軸に設けられている。これにより、第2のモータ342の回転軸が駆動されると、第2のウォーム及び第2のウォームホィール341を介して第2のギア軸340が回転駆動される。すると、第2のピニオンギア34が回転駆動される結果、第1の駆動装置35の例と同様に、ラック軸32が軸方向に駆動されるように動作する。
ラック軸32、第1のピニオンギア33、第2のピニオンギア34、第1の駆動装置35、及び、第2の駆動装置36は、“舵力伝達機構”を構成する。
第1の制御装置353には、第1のモータ332に流れる第1の電流値を検出する第1の電流センサ(第1の電流検出部)332Aが設けられている。第1の電流センサ332Aで検出された第1の電流値は、第1の制御装置353により通信媒体5を介して第2の制御装置363及び第3の制御装置393のそれぞれへ送られる。
第1の制御装置353は、データ入出力用のインターフェイス回路、制御演算用のコンピュータ、異常診断用のタイマ回路、及び、第1のモータ332を駆動するためのFETブリッジ回路(いずれも不図示)などを含んで構成されている。
また、第1の制御装置353は、フューズ(不図示)及び第1の親リレー354の直列回路を介して電源184に接続されている。さらに、第1の制御装置353は、第1の子リレー355を介して第1のモータ332に接続されている。したがって、第1の制御装置353の制御部(不図示)は、例えば、第1の電流センサ332Aの異常診断時において、第1の親リレー354及び第1の子リレー355のそれぞれの接点を開放する制御を行うことにより、第1のモータ332、第1の制御装置353、及び、連結装置4への電源供給を確実に遮断するように構成されている。
また、第1の制御装置353(と第2の制御装置363と第3の制御装置393)の制御部は、ラック軸32の目標位置を演算すると共に、ラック位置センサ39により検出されるラック軸32の現在位置が、演算により求められたラック軸32の目標位置と一致するようにフィードバック制御を行う。
このフィードバック制御の際に、“異常診断部”を有する第1の制御装置353(と第2の制御装置362と第3の制御装置393)は、第1の電流センサ332Aにより検出される第1の電流値と、後記する第2の電流センサ342Aにより検出される第2の電流値とを比較し、これら第1及び第2の電流値の偏差が予め定められる閾値を超えるか否かを判定する。ここで、操舵車輪の所要の転舵動作が正常に行われた場合、第1のモータ332、及び、第2のモータ342のそれぞれには、均衡した大きさの電流が流れる。
その理由は次の通りである。すなわち、第1のモータ332、及び、第2のモータ342は、その電気的特性が相互に共通に設定されている。実際には、第1のモータ332、及び、第2のモータ342は、正常な動作範囲で電気特性が同じになるように、減速比や制御装置での処理が適宜設定されている。これに加えて、第1のモータ332、及び、第2のモータ342のそれぞれの回転軸は、前記の“舵力伝達機構”を介して、相互に機械的に連結されているからである。
したがって、第1の制御装置353の異常診断部は、第1の電流値及び第2の電流値の偏差を監視するだけで、煩雑な診断処理や待機時間を要することなく、第1のモータ332や第2のモータ342やそれらの駆動回路(第1の制御装置353と第2の制御装置363)などの異常診断を速やかに行うことができる。また、ラック位置センサ39の異常時(一対のセンサ39のうちいずれか一方に異常が生じた場合)には、ラック軸32を移動させなくとも、第1の電流値及び第2の電流値の偏差が大きくなるので、第1の制御装置353の異常診断部は、この値を監視することにより、ラック位置センサ39の異常診断を行うことができる。要するに、操舵車輪30a,30bを動かすことなしに、ラック位置センサ39の異常診断を速やかに行うことができる。
なお、前記の第1の制御装置353が有する第1の電流センサ332A又は第2の電流センサ342Aの異常診断機能は、第2の制御装置363及び第3の制御装置393も同様に有して構成されている。したがって、第2の制御装置363及び第3の制御装置393も、第1の制御装置353と同様の“異常診断部”を有して構成されている。
第1の電流センサ332A又は第2の電流センサ342Aの少なくともいずれか一方が異常である旨の診断が下された場合、第1の制御装置353の制御部は、連結装置4への通電を遮断する制御を行う。これにより、連結装置4から延びる一対の第1の回転軸38及び第2の回転軸40を機械的に結合させ、これをもって、操舵軸10と第1の回転軸38とを機械的に結合させる。
また、第1の制御装置353の制御部は、第1の電流センサ332A又は第2の電流センサ342Aの少なくともいずれか一方が異常である旨の診断が下された場合において、連結装置4への通電を不図示のリレーにより遮断し第1の回転軸38及び第2の回転軸40を連結すると同時に、第1の親リレー354及び第1の子リレー355のそれぞれの接点を開放する制御を行うことにより、第1のモータ332、及び、第1の制御装置353への電源供給を確実に遮断するように動作する。
前記と同時に、第2の制御装置363の制御部は、第1の電流センサ332A又は第2の電流センサ342Aの少なくともいずれか一方が異常である旨の診断が下された場合において、第2の親リレー364及び第2の子リレー365のそれぞれの接点を開放する制御を行うことにより、第2のモータ342、及び、第2の制御装置363への電源供給を確実に遮断して、連結装置4への通電を不図示のリレーにより遮断し第1の回転軸38及び第2の回転軸40を連結するように動作する。
そして、前記と同時に、正常時において反力発生装置18の一部として機能する第3の制御装置393の制御部は、操舵機能の設定状態を表す操舵機能モードを、電動パワーステアリング(Electric PowerSteering:以下、“EPS”と省略する。)機能に再構築して、操向ハンドル1の操舵トルクを軽減するEPSアシスト制御を実行(継続)するように制御する(表1参照)。
第1の制御装置353と同様に、第2の制御装置363には、第2のモータ342に流れる第2の電流値を検出する第2の電流センサ(第2の電流検出部)342Aが設けられている。第2の電流センサ342Aで検出された第2の電流値は、第2の制御装置363により、通信媒体5を介して第1の制御装置353及び第3の制御装置393のそれぞれへ送られる。
第2の制御装置363は、第1の制御装置353と同様に、データ入出力用のインターフェイス回路、制御演算用のコンピュータ、異常診断用のタイマ回路、及び、第2のモータ342を駆動するためのFETブリッジ回路(いずれも不図示)などを含んで構成されている。
また、第2の制御装置363は、フューズ(不図示)及び第2の親リレー364の直列回路を介して電源184に接続されている。さらに、第2の制御装置363は、第2の子リレー365を介して第2のモータ342に接続されている。したがって、第2の制御装置363の制御部は、例えば、第2のモータ342が異常状態に陥ることで第1の電流センサ332A及び第2の電流センサ342Aの信号の偏差が予め定められる閾値を超える異常診断時において、第2の親リレー364及び第2の子リレー365のそれぞれの接点を開放する制御を行うことにより、第2のモータ342、第2の制御装置363、及び、連結装置4への電源供給を不図示のリレーにより遮断し第1の回転軸38及び第2の回転軸40を連結するように動作する。
また、第2の制御装置363(と第1の制御装置353と第3の制御装置393)の制御部は、ラック軸32の目標位置を演算すると共に、ラック位置センサ39により検出されるラック軸32の現在位置が、演算により求められたラック軸32の目標位置と一致するようにフィードバック制御を行う。
このフィードバック制御の際に、第2の制御装置363の異常診断部は、第1の電流センサ332Aにより検出される第1の電流値と、第2の電流センサ342Aにより検出される第2の電流値との偏差を演算により求め、求められた第1及び第2の電流値の差が、予め定められる閾値を超えるか否かを判定する。ここで、第1のモータ332、及び、第2のモータ342の特性が共通に設定されている前提で、所要の転舵処理を正常に行った場合、第1のモータ332、及び、第2のモータ342のそれぞれには、略均衡した大きさの電流が流れる。その理由は、前記と同様である。
そうすると、第1及び第2の電流値の差が閾値を超えるか否かに係る判定結果に基づいて、第2の制御装置363の異常診断部は、第1の電流センサ332Aの信号、又は第2の電流センサ342Aの信号のうち、少なくともいずれか一方が異常か否かに係る異常診断を行うことができることが分かる。
したがって、第2の制御装置363の異常診断部は、第1及び第2の電流値の差が閾値を超えるか否かに係る判定結果を監視することにより、第1の電流センサ332Aの信号、又は第2の電流センサ342Aの信号のうち、少なくともいずれか一方が異常か否かに係る異常診断を行うことができる。
第1の電流センサ332Aの信号、又は第2の電流センサ342Aの信号のうち、少なくともいずれか一方が異常である旨の診断が下された場合、第2の制御装置363の制御部は、不図示のリレーにより連結装置4への通電を遮断する制御を行う。これにより、連結装置4から延びる一対の第1の回転軸38及び第2の回転軸40を結合させ、これをもって、操舵軸10と第1の回転軸38とを連結させる。
また、第2の制御装置363の制御部は、第1の電流センサ332Aの信号、又は第2の電流センサ342Aの信号のうち、少なくともいずれか一方が異常である旨の診断が下された場合において、第2の親リレー364及び第2の子リレー365のそれぞれの接点を開放する制御を行うことにより、第2のモータ342、及び、第2の制御装置363への電源供給を確実に遮断するように動作する。
前記と同時に、第1の制御装置353の制御部は、第1の電流センサ332Aの信号、又は第2の電流センサ342Aの信号のうち、少なくともいずれか一方が異常である旨の診断が下された場合において、第1の親リレー354及び第1の子リレー355のそれぞれの接点を開放する制御を行うことにより、第1のモータ332、及び、第1の制御装置353への電源供給を確実に遮断するように動作する。
そして、前記と同時に、正常時において反力発生装置18の一部として機能する第3の制御装置393の制御部は、操舵機能の設定状態を表す操舵機能モードを、EPS機能に再構築して、操向ハンドル1の操舵トルクを軽減するEPSアシスト制御を実行(継続)するように制御する(表1参照)。
なお、表1の“◎”は、単一の異常時、例えば操舵トルクセンサ16だけに異常が生じた場合に、操舵システムの再構築により設定される操舵機能モード(本例ではVGS1)を示す。また、表1の“○”は、多重異常時、すなわち、例えば、操舵トルクセンサ16に異常が生じた後に第3の電流センサ184A又はヨーレイトセンサ7に異常が生じた場合に、操舵システムの再構築により設定される操舵機能モード(本例ではVGS)を示す。そして、表1の“×”は、各種センサ類6,7,8,16,17,39,332A,342A,184A、又は、第1〜第3のモータ332,342,181、第1〜第3の制御装置353,363,393を含む各種機能部のいずれかに異常が生じた場合に、操舵システムの再構築により設定不能な操舵機能モードを示す。
第3の制御装置393の制御部は、車両速度センサ6の車速信号、ヨーレイトセンサ7の信号、横加速度センサ8の信号、操舵トルクセンサ16の信号、操舵角センサ17の信号、ラック位置センサ39の信号などに基づいて、主として第3のモータ181を駆動制御する機能を有する。また、第3の制御装置393の異常診断部は、第1〜第3の制御装置353,363,393において生成されたそれぞれの制御信号を比較することで異常診断を行い、異常診断箇所を特定する。そして、第3の制御装置393の制御部は、特定された異常診断箇所を除外し残った正常箇所の組み合わせを考慮して操舵システムを再構築し、後で詳しく説明するように、適切な操舵機能モードを選定して必要な制御を実行するように動作する。
詳しく述べると、第3の制御装置393は、データ入出力用のインターフェイス回路、制御演算用のコンピュータ、異常診断用のタイマ回路、及び、第3のモータ181を駆動するためのFETブリッジ回路(いずれも不図示)などを含んで構成されている。
また、第3の制御装置393は、フューズ(不図示)及び第3の親リレー185の直列回路を介して電源184に接続されている。さらに、第3の制御装置393は、第3の子リレー186を介して第3のモータ181に接続されている。したがって、第3の制御装置393の制御部は、例えば、操舵トルクセンサ16及び操舵角センサ17が共に異常である旨の診断が下された場合において、第3の親リレー185及び第3の子リレー186のそれぞれの接点を開放する制御を行うことにより、第3のモータ181、第3の制御装置393、及び、連結装置4への電源供給を確実に遮断するように構成されている。この場合、第3の制御装置393の制御部は、連結装置4により第1の回転軸38及び第2の回転軸40を結合させ、操舵軸10と第1の回転軸38とを連結させることにより、操舵機能モードを、モータによる操舵に係るアシストなしのマニュアルステアリングにする。
ただし、第3の制御装置393を、操舵システム全体の統括制御装置として機能させる場合には、第3の親リレー185及び第3の子リレー186の構成を省略することができる。
ところで、例えば、操舵トルクセンサ16の異常診断が下された場合(表1参照)、第3の制御装置393の制御部は、操舵角センサ17の回転角度信号SC,SDに基づく操舵角と方向に応じた操舵反力を第3のモータ181に発生させる制御を実行する。この制御の際に、操舵トルクセンサ16に異常が生じている旨を運転者に報知するために、第3の制御装置393の制御部は、警告表示を行うと共に、正常時と比べて操舵トルクを大きく(重く)する制御を行う。
また、第3の制御装置393の制御部は、第3のモータ181に与える第3の目標電流値を演算すると共に、第3の電流センサ184Aにより検出される第3の現在電流値が、演算により求められた第3の目標電流値と一致するようにフィードバック制御を行う。
第3の電流センサ184Aの信号に異常が生じた場合(表1参照)、第3の制御装置393の制御部は、演算により求められた第3の目標電流値を、第3のモータ181の端子電圧信号に変えて、同変換後の電圧信号を用いて制御を行う。この制御の際にも、第3の制御装置393の制御部は、第3の電流センサ184Aの信号に異常が生じている旨を運転者に報知するために、警告表示を行うと共に、正常時と比べて操舵トルクを大きく(重く)する制御を行う。
また、第3のモータ181又は第3の制御装置393の少なくともいずれか一方に異常が生じた場合には(表1参照)、操舵角センサ17の回転角度信号SC,SDに基づく操舵角と方向、及び、ラック位置センサ39により検出されるラック軸32の現在位置を参照しながら、異常が生じている旨を運転者に報知するための警告表示を行うと共に、正常操舵時と比べて大きい(応答性の緩慢な)ギア比になるように、第1の制御装置353及び第2の制御装置363の制御部を用いて、第1のモータ332及び第2のモータ342の駆動制御を実行する。この駆動制御の際に、第3の制御装置393の制御部は、第3の親リレー185及び第3の子リレー186のそれぞれの接点を開放する制御を行うことにより、第3のモータ181、及び、第3の制御装置393への電源供給を確実に遮断する。
本発明の“連結部”に相当する連結装置4は、転舵装置3の側に連結される第1の回転軸38(図3,図5参照)と、反力付与装置2の側に連結される第2の回転軸40(図2〜図5参照)との間を、結合状態又は切離状態のいずれか一方に切り替える機能を有する。第1の回転軸38は、図3,図5に示すように、4点接触軸受(複列アンギュラ軸受でもよい)381を介して、ケース45に対し回転自在に支持されている。第2の回転軸40は、軸受400を介してケース45に回転自在に支持されると共に、軸受405を介して第1の回転軸38に回転自在に支持されている。
第1の回転軸38のうち反力付与装置2の側には、略円筒形状の凹部383が設けられている。一方、第2の回転軸40のうち転舵装置3に向かう先端側には、略円筒形状の軸部403が設けられている。第2の回転軸40の軸部403は、第1の回転軸38の凹部383に設けられた軸受405を介して、第1の回転軸38に対し回転自在に支持されている。
連結装置4は、第1の回転軸38のうち反力付与装置2に向かう先端側に設けられる円筒部材380と、第2の回転軸40周りに間隔を置いて設けられる複数のローラ41と、複数のローラ41間に設けられる複数のばね部材42と、第2の回転軸40の外周側に設けられるカム部材401と、を有して構成される。
円筒部材380は、反力付与装置2の側に向かって開口する、略ハット形状の横断面を有して構成されている。円筒部材380のハット形状部は、第2の回転軸40の外径寸法と比べて大きい内径寸法を有する。
複数のローラ41は、円筒部材380の内周側であって、カム部材401の外周側に接した状態で設けられている。図2,図4に示す例では、複数のローラ41は、一対のローラ(以下、“対ローラ”と呼ぶ場合がある。)41を組として、都合3組(6個)設けられている。複数のばね部材42は、一対のローラ41の間を離間させる方向に付勢するように、一対のローラ41間のそれぞれに設けられている。
カム部材401は、第2の回転軸40の放射方向に直交する3つのカム面407を有するように、頂点部分が面取りされた略三角柱形状に形成されている。カム部材401の3つのカム面407のそれぞれには、対ローラ41が三方から密着するように設けられている。
第1の回転軸38と、第2の回転軸40との間を、結合状態又は切離状態のいずれか一方に切り替える機能を発揮するために、連結装置4は、切替装置44(図3,図5参照)を備えている。
切替装置44は、円筒部材380に対して切替え爪部43を、第2の回転軸40の軸方向に沿って往復移動させることにより、カム部材401及び3組の対ローラ41の組み合わせと、円筒部材380とのくさび状の係合関係を機械的に制御する機能を有する。
詳しく述べると、切替装置44は、第2の回転軸40の外周部分に軸方向に沿って往復移動自在なスリーブ状のスライダ部440と、スライダ部440をカム部材401から離間させる方向に付勢するばね部材441と、スライダ部440の外周部分に回転自在に支持される円環状のスライダリング442と、を有する。ただし、スライダリング442は、第2の回転軸40の軸方向に沿う方向の移動が拘束されている。
例えば金属製(特に限定されない)のスライダ部440には、周方向に等間隔を置いて3つの切替え爪部43が、転舵装置3の側を指向して一体に延びるように設けられている。3つの切替え爪部43は、円筒部材380の内方にさし込まれた状態(図2参照)で、カム部材401における面取りされた頂点部分が対面すると共に、3組の対ローラ41の隙間を埋めるように配設されている。
スライダリング442には、第2の回転軸40を挟んで相互に対向する位置に、第2の回転軸40の放射方向に沿って、一対のピン部材443がそれぞれ一体に設けられている。スライダリング442の外周側には、円環状の部分を有するてこ部材444が設けられている。金属製のケース45には、てこ部材444の支点446が設けられている。一方、てこ部材444の力点447には、ロッド部材447Aがリンク結合されている。磁性体からなるロッド部材447Aは、電磁ソレノイド448のコイルに対して挿抜自在に設けられている。
てこ部材444における円環状の部分には、第2の回転軸40を挟んで相互に対向する位置に、第2の回転軸40の軸方向と直交する方向に延びる一対の長孔部445がそれぞれ開設されている。てこ部材444の一対の長孔部445には、一対のピン部材443がそれぞれ係合するように設けられている。これにより、支点446を中心とするてこ部材444の回転動作が、一対の長孔部445に係合する一対のピン部材443を介して、スライダリング442における第2の回転軸40の軸方向の動きとして作用するように構成されている。
スライダ部440の内周部分には、第2の回転軸40の軸方向に沿って延びるスプライン449が複数形成されている。スライダ部440の内周部分が対面する第2の回転軸40にも、前記と同様に、軸方向に沿って延びるスプライン450が複数形成されている。これにより、第2の回転軸40に対してスライダ部440が、それぞれのスプライン449,450間の係合状態を維持して、軸方向に沿って摺動自在に支持される。
前記のように構成された切替装置44は、以下のように動作する。すなわち、電磁ソレノイド448のコイルが通電により帯磁している状態では、図3に示すように、ロッド部材447Aは、電磁ソレノイド448のコイルに対して挿入方向に位置する。このとき、てこ部材444は、ロッド部材447Aに連なる力点447の移動に伴って反時計方向に回転動作する。すると、支点446を中心とするてこ部材444の反時計方向への回転動作が、一対の長孔部445に係合する一対のピン部材443を介して、転舵装置3の側へ向かうスライダ部440の軸方向の動きに変換される。その結果、スライダ部440がばね部材441の弾発力に抗して転舵装置3の側へ移動する。このスライダ部440の移動に伴って、複数の切替え爪部43が円筒部材380の内方にさし込まれて、3組の対ローラ41の隙間を埋めるようになる(図2参照)。
複数の切替え爪部43が円筒部材380の内方にさし込まれると、3組の対ローラ41のそれぞれは、3つの切替え爪部43が有するくさび状の側部によって、周方向に押し込まれるように動作する。これにより、複数の対ローラ41の間にそれぞれ設けられる複数のばね部材42は、それぞれが圧縮された状態となる。その結果、複数の対ローラ41の外周縁部と、円筒部材380の内周縁部とが離隔することで、第1の回転軸38と、第2の回転軸40との間が、切離状態に維持される。この切離状態において、第1の回転軸38及び第2の回転軸40は、相対回転が自在になっている。
これに対し、電磁ソレノイド448のコイルが通電停止により消磁している状態では、図5に示すように、ばね部材441によりロッド部材447Aは、電磁ソレノイド448のコイルに対して抜け方向に位置する。このとき、てこ部材444は、ロッド部材447Aに連なる力点447の移動に伴って時計方向に回転動作する。すると、支点446を中心とするてこ部材444の時計方向への回転動作が、一対の長孔部445に係合する一対のピン部材443を介して、転舵装置3の側へ向かうスライダ部440の軸方向の動きに変換される。その結果、スライダ部440がばね部材441の弾発力を受けて反力付与装置2の側へ移動する。このスライダ部440の移動に伴って、複数の切替え爪部43が円筒部材380の内方から抜け出て、3組の対ローラ41が3つの切替え爪部43による押圧力から解放されるようになる(図4参照)。
なお、電磁ソレノイド448は、第1〜第3の制御装置353,363,393のそれぞれから出力される電磁ソレノイド448の駆動信号が全てオン(通電)である場合に限って帯磁される一方、それ以外では消磁されるように動作する。
複数の切替え爪部43が円筒部材380の内方から抜け出ると、3組の対ローラ41のそれぞれは、複数の対ローラ41の間にそれぞれ設けられる複数のばね部材42が有する弾発力の作用によって、一対のローラ41間の間隔が、ばね部材42のセット長まで大きく拡がる。また、3組の対ローラ41のそれぞれは、カム部材401が有する3つのカム面407に密着している。その結果、複数の対ローラ41の外周縁部と、円筒部材380の内周縁部とがくさび状に係合することで、第1の回転軸38と、第2の回転軸40との間が、切離状態(図2,図3参照)から結合状態(図4,図5参照)へと速やかに切り替えられる。
実際には、例えば、第3の制御装置393(と第1の制御装置353と第2の制御装置363)の制御部は、表1に示すように、例えば、操舵トルクセンサ16等の箇所が複数において異常診断(多重異常)されて、操舵機能モードとしてEPSが選択された場合に、連結装置4への電源供給を遮断する制御を行う。これにより、電磁ソレノイド448のコイルが通電停止状態となる。その後、前記の手順を経て、第1の回転軸38と、第2の回転軸40との間が、切離状態から結合状態へと切り替えられることになる。
この切り替えに伴い、実際にてこ部材444が時計方向へ回転動作した旨は、本発明の“検出部”に相当するリミットスイッチ(図3,図5参照)451を介して検知され、通信媒体5を介して、第1〜第3の制御装置353,363,393へと伝えられる。詳しく述べると、リミットスイッチ451は、連結装置4における第1の回転軸38及び第2の回転軸40間の結合状態(結合状態又は切離状態)を検知し、その検知結果(結合状態信号)を第1〜第3の制御装置353,363,393に送るように動作する。したがって、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、結合状態信号を監視することにより、連結装置4における機械的な結合状態をリアルタイムで把握することができる。
車両の始動時に、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、例えば、リミットスイッチ451の結合状態信号により、切替え爪部43が円筒部材380の内方に入らないなどといった事象に係る異常診断を行う。そして、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、前記の異常診断結果に応じて、表1に示すように、操舵システムの再構築を行う。詳しくは後記するが、例えば切替え爪部43が円筒部材380の内方に入らない旨の異常診断結果が下された場合、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、操舵機能モードをEPSモードに設定して操舵制御を行う。
ところで、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101の起動開始時には、連結装置4の切替え爪部43は結合状態にある。具体的には、例えば、連結装置4の切替え爪部43が結合状態にある車両の駐車時において、操向ハンドル1を据え切りすることで過大な負荷トルクを連結装置4の結合部分(円筒部材380の内周縁部、複数の対ローラ41の外周縁部、及び、カム部材401のカム面407の三者が相互に当接する部分)に与えた場合には、この結合部分同士が食いついた固着状態を生じる。その結果、連結装置4に電源を投入しても、切替装置44が円筒部材380の内方に複数の切替え爪部43をさし込むことができずに、連結装置4を結合状態から切離状態へと切り替えることができないおそれがある。
こうした不具合をなくすために、第1〜第3の制御装置353,363,393は、連結装置4の状態にかかわらず、切替装置44が円筒部材380の内方に複数の切替え爪部43を円滑にさし込むことができるように対応している。すなわち、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、第1のモータ332又は第2のモータ342の少なくともいずれか一方、及び、第3のモータ181を駆動させることで、前記の結合部分をローラ41及びカム面407の固着状態から解放するように制御する。この駆動制御の際に、第1〜第3のモータ332,342,181の回転方向を、適当な周期をもって振動的に切り替える駆動制御を行うことで、前記の結合部分を緩ませるようにしてもよい。
ところで、前記した特許文献1(特許第3952925号公報)に係る操舵装置では、操舵トルクの大きさに応じて連結部を切離状態から結合状態へ切り替える動作制御を行うことは出来ないため、仮に、突発的に過大な操舵トルクが生じた際に、連結部を切離状態から結合状態へと速やかに切り替えることは困難である。その結果、運転者の操舵フィーリングを損なうおそれがあった。
そうした観点から、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101では、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、連結装置4が切離状態にある場合に、操向ハンドル1の操作状態に応じた転舵角となるように第1及び第2のモータ332,342を駆動すると共に、転舵装置3の転舵状態に応じた操舵反力を付与するように第3のモータ181を駆動するステアバイワイヤ制御モード(以下、“ステアバイワイヤ”を“SBW”と省略する場合がある。)を、操舵機能モードとして少なくとも有する。
第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、操舵機能モードがSBW制御モードに設定されている際において、操舵トルク情報取得部により取得された操舵トルクOTが、予め定められる操舵トルク閾値OT_thを超えており、かつ、操舵トルクOTが継続して操舵トルク閾値OT_thを超えている時間が、例えば操舵トルクOTの大きさに応じて適宜定められる継続猶予時間(継続猶予時間閾値)MT(後記する図17,図18を参照)を超えている場合に、連結装置4を切離状態から結合状態に切り替えさせる動作制御を行うように動作する。
なお、操舵トルク閾値OT_thは、反力トルクを擬似的に創りだす第3のモータ(操舵反力アクチュエータ)181が有する電気的特性のうち、最大トルクの値を考慮して、最大トルクの値を超えない範囲で適宜の値を設定すればよい。操舵トルク閾値OT_thの設定値は、第1〜第3の制御装置353,363,393のそれぞれが有する記憶部(不図示)に予め記憶されている。
また、継続猶予時間(継続猶予時間閾値)MTは、後記する図17の操舵トルクOTに対応する継続猶予時間MTに係る第1の特性線図、及び、後記する図18の操舵トルクOTに対応する継続猶予時間MTに係る第2の特性線図にそれぞれ示すように、操舵トルクが大きいほど短くなるように、操舵トルクの変化に関連付けて可変設定される。第1及び第2の特性線図を数式化した計算式(ルックアップテーブルでもよい。)は、第1〜第3の制御装置353,363,393のそれぞれが有する前記記憶部に予め記憶されている。
〔本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101の基本動作〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101の基本動作について、図6、及び、表1を適宜参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101の基本動作の説明に供するフローチャート図である。
表1は、本発明に係る車両用操舵装置101の構成要素である、各種センサ類6,7,8,16,17,39,332A,342A,184A、第1〜第3のモータ332,342,181、第1〜第3の制御装置353,363,393を含む各種機能部のうち単独又は複合の異常箇所のそれぞれに対応付けて適切な操舵機能モードの種別が記述されたマップである。このマップ(以下で言及するマップも同様)は、第1〜第3の制御装置353,363,393のそれぞれが有する前記記憶部に記憶されている。
Figure 2014205442
まず、車両のイグニッションスイッチをオンすると、第1〜第3の制御装置353,363,393のそれぞれには、ヒューズを介して車載バッテリ(不図示)から電源が供給される。これにより、第1〜第3の制御装置353,363,393は、はじめに、後記する初期化動作を行い、その後、図6に示す処理の流れを順次実行する。
ステップS1において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、通信媒体5を介して、車速センサ6、ヨーレイトセンサ7、横加速度センサ8、操舵トルクセンサ16、操舵角センサ17、ラック位置センサ39、第1〜第3の電流センサ332A,342A,184Aを含む各種センサ類からの信号を入力する。
ステップS2において、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、異常診断処理を実行する。異常診断処理では、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、各種センサ類6,7,8,16,17,39,332A,342A,184A、第1〜第3のモータ332,342,181、及び、第1〜第3の制御装置353,363,393を含む各種機能部が、異常か否かの診断を行う。
ここで、各種センサ類6,7,8,16,17,39,332A,342A,184A、及び、第1〜第3のモータ332,342,181に係る異常診断と、第1〜第3の制御装置353,363,393に係る異常診断とに分けて、それぞれの診断手順について具体的に説明する。
まず、各種センサ類6,7,8,16,17,39,332A,342A,184Aに係る異常診断では、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、それぞれが多重化(二重化)されている各種センサ類からの一対の検出信号を相互に比較し、これらが一致(所定の許容範囲以内に収束するケースを含む。以下、同じ。)しているか否かに基づいて、各種センサ類が異常か否かの診断を行う。
これについて、車速センサ6を例示して説明すると、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、多重化(二重化)された一対の車速センサ6からの一対の車速検出信号を相互に比較し、これらが一致しているか否かに基づいて、車速センサ6が異常か否かの診断を行う。
なお、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、例えば、車両用操舵装置101以外の他のシステム(例えば、PGM-FI:ProGraMmed Fuel Injection)からエンジン回転速度の信号を通信媒体5を介して取り込み比較することにより、車速センサ6の異常診断を行ってもよい。
また、第1の電流センサ332Aを例示して説明すると、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、多重化(二重化)された一対の第1の電流センサ332Aからの一対の第1の電流検出信号を相互に比較し、これらが一致しているか否かに基づいて、第1の電流センサ332Aが異常か否かの診断を行う。また、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、第2の電流センサ342Aからの一対の第2の電流検出信号、及び、第3の電流センサ184Aからの一対の第3の電流検出信号についても、前記と同様の異常診断を行う。
さらに、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、第1の電流センサ332A、又は第2の電流センサ342Aのいずれか一方が異常である旨の診断を下してもよい。これについて説明すると、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、第1の電流センサ332Aからの検出信号と、第2の電流センサ342Aからの検出信号を相互に比較し、これらが一致しているか否かに基づいて、第1の電流センサ332A、又は第2の電流センサ342Aのいずれか一方が異常である旨の診断を下す構成を採用してもよい。このように構成すれば、それぞれの電流センサ332A,342Aを多重化しなくても、異常診断を行うことができるため、システム構成を簡素化することができる。
また、第1〜第3のモータ332,342,181の異常診断部は、例えば、第1及び第2の電流センサ332A,342Aの二値比較に基づく異常診断結果に基づいて、第1のモータ332又は第2のモータ342が異常である旨の診断を下す一方、第3のモータ181の駆動命令電流値及び第3の電流センサ184Aの信号を比較した結果に基づいて、第3のモータ181が異常である旨の診断を下す、構成を採用すればよい。
また、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部に係る異常診断では、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、それぞれにおいて入力及び出力が共通の処理内容に対する結果を相互に3値比較することで、第1〜第3の制御装置353,363,393のうち、異常が生じている蓋然性の高い制御装置を特定する。例えば、前記共通の処理内容に対する結果が三者で同じ(所定の許容範囲以内に収束するケースを含む。以下、同じ。)場合には、多数決の原理に従い、第1〜第3の全ての制御装置353,363,393が正しいと診断する。
また、前記共通の処理内容に対する結果が二者で同じであり、残りの一者が異なる(所定の許容範囲から逸脱するケースを含む。以下、同じ。)場合には、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、前記と同様に多数決の原理に従い、前記二者が正しいと診断する一方、前記残りの一者が誤っていると診断する。
そして、前記共通の処理内容に対する結果が三者間で異なる場合には、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、三者全てが誤っていると診断する。
なお、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、切離指令が出力されている(現行の操舵機能モードがSBW制御モードである)にもかかわらず、連結装置4が結合状態にある場合、異常である旨の診断を下す。これは、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101が、目標転舵角に対して実転舵角がオーバーシュートするセルフステア状態、又は、目標転舵角に対して実転舵角を追従させることが困難なステアリングロック状態を含む異常事態に陥ることを未然に回避することに基づく。これについて、詳しくは図15A、図15B、図16を参照しつつ後記する。
第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、ステップS2における全てのセンサ類又は機能部に異常が生じているか否かの診断結果に基づいて、マップ(表1)を参照して、診断結果に応じた操舵機能モードを選択する。マップ(表1)には、異常箇所の種別に対する適切な操舵機能モードが関連付けて記述されている。例えば、全てのセンサ類又は機能部に異常が生じていない(正常)場合、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、操舵機能モードをアクティブ可変ギアレシオステアリング(Active Variable Gear ratio Steering:以下、“アクティブVGS”と省略する。)に設定する。一方、センサ類又は機能部のうちいずれかに異常が生じている場合、第1〜第3の制御装置353,363,393は、マップ(表1)を参照して、異常箇所の種別に対する適切な操舵機能モードを適宜設定する。
ステップS3において、ステップS2における全てのセンサ類又は機能部が正常であるか否かの診断結果を受けて、全てのセンサ類又は機能部が正常である場合(ステップS3のYes)、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れを次のステップS4へと進ませる。
一方、ステップS3の判定の結果、操舵機能モードをアクティブVGSモードに設定すべきでない旨の判定が下された場合(ステップS3のNo)、つまり、センサ類又は機能部のうちいずれか1以上が異常である旨の判定が下された場合、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れを処理の流れをステップS6へとジャンプさせる。
ステップS4において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、連結装置4の電磁ソレノイド448に電源を供給することにより、連結装置4を切離状態にする制御を行う。
ステップS5において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵機能モードをアクティブVGSモードに設定するアクティブVGS制御を行い、その後、処理の流れをステップS1へと戻す。なお、アクティブVGS制御について、詳しくは後記する。
ステップS6において、ステップS3の判定の結果、センサ類又は機能部のうちいずれか1以上が異常である旨の判定が下された場合、第1〜第3の制御装置353,363,393は、車両のインストルメントパネル(不図示)に設けた警報ランプを点灯させると共に、異常診断箇所を表示させる制御を行う。
ステップS7〜S22において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、次に説明するように、ステップS2の異常診断結果に応じて操舵システムの再構築を行い、適切な操舵機能モードを設定して操舵制御を行う。
まず、ステップS7において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、ステップS2における(操舵トルクセンサ16が異常である旨の)異常診断結果、及び、表1の操舵機能モードマップを参照して、操舵機能モードをアクティブVGS1モードに設定すべきか否かを判定する。ステップS7の判定の結果、操舵機能モードをアクティブVGS1モードに設定すべき旨の判定が下された場合(ステップS7のYes)、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れを次のステップS8へと進ませる。
一方、ステップS7の判定の結果、操舵機能モードをアクティブVGS1モードに設定すべきでない旨の判定が下された場合(ステップS7のNo)、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れをステップS10へとジャンプさせる。
ステップS8において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、連結装置4への電源供給を継続することにより、連結装置4を切離状態にする制御を行う。
ステップS9において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵機能モードをアクティブVGS1モードに設定するアクティブVGS1制御を行い、その後、処理の流れをステップS1へと戻す。なお、アクティブVGS1制御について、詳しくは後記する。
ステップS10において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、ステップS2の(第3の電流センサ184Aが異常である旨の)異常診断結果を参照して、操舵機能モードをアクティブVGS2モードに設定すべきか否かを判定する。ステップS10の判定の結果、操舵機能モードをアクティブVGS2モードに設定すべき旨の判定が下された場合(ステップS10のYes)、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れを次のステップS11へと進ませる。
一方、ステップS10の判定の結果、操舵機能モードをアクティブVGS2モードに設定すべきでない旨の判定が下された場合(ステップS10のNo)、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れをステップS13へとジャンプさせる。
ステップS11において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、連結装置4への電源供給を継続することにより、連結装置4を切離状態にする制御を行う。
ステップS12において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵機能モードをアクティブVGS2モードに設定するアクティブVGS2制御を行い、その後、処理の流れをステップS1へと戻す。なお、アクティブVGS2制御について、詳しくは後記する。
ステップS13において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、ステップS2の(第3のモータ181又は第3の制御装置(第3のECU)393が異常である旨の)異常診断結果を参照して、操舵機能モードをアクティブVGS3モードに設定すべきか否かを判定する。ステップS13の判定の結果、操舵機能モードをアクティブVGS3モードに設定すべき旨の判定が下された場合(ステップS13のYes)、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れを次のステップS14へと進ませる。
一方、ステップS13の判定の結果、操舵機能モードをアクティブVGS3モードに設定すべきでない旨の判定が下された場合(ステップS13のNo)、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れをステップS16へとジャンプさせる。
ステップS14において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、連結装置4への電源供給を継続することにより、連結装置4を切離状態にする制御を行う。
ステップS15において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵機能モードをアクティブVGS3モードに設定するアクティブVGS3制御を行い、その後、処理の流れをステップS1へと戻す。なお、アクティブVGS3制御について、詳しくは後記する。
ステップS16において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、ステップS2の(ヨーレイトセンサ7又は横加速度センサ8が異常である旨の)異常診断結果を参照して、操舵機能モードをVGSモードに設定すべきか否かを判定する。ステップS16の判定の結果、操舵機能モードをVGSモードに設定すべき旨の判定が下された場合(ステップS16のYes)、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れを次のステップS17へと進ませる。
一方、ステップS16の判定の結果、操舵機能モードをVGSモードに設定すべきでない旨の判定が下された場合(ステップS16のNo)、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れをステップS19へとジャンプさせる。
ステップS17において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、連結装置4への電源供給を継続することにより、連結装置4を切離状態にする制御を行う。
ステップS18において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵機能モードをVGSモードに設定するVGS制御を行い、その後、処理の流れをステップS1へと戻す。なお、VGS制御について、詳しくは後記する。
ステップS19において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、連結装置4の電磁ソレノイド448への電源供給を遮断することにより、連結装置4を切離状態から結合状態へと切り替える制御を行う。
ステップS20において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、ステップS2の(操舵角センサ17、ラック位置センサ39、第1の電流センサ332A、第2の電流センサ342A、第1のモータ332、第1の制御装置(第1のECU)353、第2のモータ342、第2の制御装置(第2のECU)363、又は連結装置4のいずれかが異常である旨の)異常診断結果を参照して、操舵機能モードをEPSモードに設定すべきか否かを判定する。ステップS20の判定の結果、操舵機能モードをEPSモードに設定すべき旨の判定が下された場合(ステップS20のYes)、第1〜第3の制御装置353,363,393のうち正常な制御装置は、処理の流れを次のステップS21へと進ませる。
一方、ステップS20の判定の結果、操舵機能モードをEPSモードに設定すべきでない旨の判定が下された場合(ステップS20のNo)、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れをステップS22へとジャンプさせる。
ステップS21において、第1〜第3の制御装置353,363,393のうち正常な制御装置は、操舵機能モードを電動パワーステアリング(EPS)モードに設定するEPS制御を行い、その後、処理の流れをステップS1へと戻す。なお、EPS制御について、詳しくは後記する。
ステップS22において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵機能モードをマニュアルステアリングモードに設定するマニュアルステアリング制御を行い、その後、処理の流れをステップS1へと戻す。なお、マニュアルステアリング制御について、詳しくは後記する。
次に、ステップS5のアクティブVGS制御について、図7を参照して説明する。図7は、アクティブVGSに係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。
ステップS50において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵角センサ17、ラック位置センサ39、及び、車速センサ6の信号を用いて、操舵角センサ17の信号に基づく操舵角と、ラック位置センサ39の信号に基づく操舵車輪転舵角との間のギア比を、車速センサ6の車速信号に応じて可変設定し、こうして設定したギア比を実現する操舵車輪転舵角に、ラック軸32の現在位置が追従するように、第1及び第2のモータ332,342の駆動制御を行う。このような第1及び第2のモータ332,342の駆動制御を、“VGS制御”と呼ぶ。
詳しく述べると、ステップS50のVGS制御では、第1〜第3の制御装置353,363,393は、車速の変化に応じて適切なギアレシオが予め設定されたマップを参照することで、現在車速に応じたギア比(VGSレシオ)を読み出して設定する。これにより、VGSレシオは、例えば、低車速域において1以下の値となるクイックレシオ、つまり、実際の操舵角に対して操舵車輪転舵角が大きくなるギア比に設定される一方、高車速域において1以上の値となるスローレシオ、つまり、実際の操舵角に対して操舵車輪転舵角が小さくなるギア比に設定される。
そして、こうして設定されたギア比(VGSレシオ)を実現する操舵車輪転舵角に対応するラック軸32の位置に対し、ラック軸32の現在位置が追従するように、第1〜第3の制御装置353,363,393は、第1及び第2のモータ332,342の駆動制御を行う。なお、ギア比(VGSレシオ)は、車両のヨーレイトが予め定められる定常値に一致すること、及び、車体の横加速度が予め定められる限界値を超えないことを考慮して適宜設定される。
第1及び第2のモータ332,342の駆動制御に際し、第1及び第2のモータ332,342にそれぞれ流れる第1及び第2の電流値は、第1及び第2のモータ332,342や、第1及び第2の制御装置353、363や、第1及び第2の駆動装置35,36等が正常の場合は、主として路面の負荷(摩擦係数)に基づいて定められる。
一方、第1及び第2のモータ332,342や、第1及び第2の制御装置353、363や、第1及び第2の駆動装置35,36等が異常の場合、具体的には、例えば、第1のモータ332の1相の巻線が短絡している場合には、第1のモータ332の電流が増大する。そこで、第1〜第3の制御装置353,363,393のそれぞれは、このような事象(第1のモータ332の電流増大)が起きていないかどうかを、通信媒体5を介して監視する。こうして監視される第1及び第2の電流値は、第1及び第2の電流センサ332A,342Aの異常診断を行う際や、第1及び第2の制御装置353,363の異常診断を行う際などに参照される。
ステップS51において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵角センサ17、ラック位置センサ39、ヨーレイトセンサ7、及び、横加速度センサ8の信号を用いて、ヨーレイトセンサ7の信号に基づく車両のヨーレイト、及び、横加速度センサ8の信号に基づく車体の横加速度に基づいて、操舵角とは独立して、前記のギア比(VGSレシオ)をアクティブに制御する、アクティブギア比制御を行う。これにより、車両の挙動を安定化させる。
詳しく述べると、ステップS51のアクティブギア比制御では、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵角センサ17の信号に基づく操舵角、及び、操舵角の変化に応じて適切なヨーレイト及び横加速度が予め設定されたマップを参照することで、現在の操舵角に応じた規範(目標)ヨーレイト及び規範(目標)横加速度をそれぞれ読み出して設定し、こうして設定した規範(目標)値に、車両のヨーレイト、及び、車体の横加速度が追従するように、第1及び第2のモータ332,342をフィードバック制御する。
これにより、ステップS50のVGS制御では考慮されなかった、走行路面の摩擦係数の差異(アスファルトや圧雪路)や、走行路面の凹凸(わだち)などの外乱要因を修正し、車両の安定走行に貢献する。特に、車両の直進走行中に、操舵車輪30a,30bがわだちにはまったり、車体が横風を受けたりしても、運転者は操向ハンドル1の向きを直進方向に維持してさえいれば、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵車輪30a,30bの転舵角を自動的に修正することで車両を直進走行させるように制御を行う。
要するに、第1〜第3の制御装置353,363,393は、VGS制御では機械的にギア比制御を行うが、アクティブギア比制御では外乱要因に対して細やかに自動修正して運転者の操向ハンドル1からの操舵意図を命令(ハンドルコマンド;Handle Command)とし、操向ハンドル1による操舵角から独立して、操舵車輪転舵角を適切に転舵する制御を行う。
ステップS52において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵トルクセンサ16、操舵角センサ17、車速センサ6、ヨーレイトセンサ7、及び、横加速度センサ8の信号、並びに、操舵トルク設定テーブル(操舵トルクセンサ16、操舵角センサ17、車速センサ6、ヨーレイトセンサ7、及び、横加速度センサ8の検出信号毎に対応する、適切な操舵トルクが予め設定されたテーブル)を参照して、操舵角センサ検出信号とヨーレイト検出信号と横加速度検出信号の増大に応じて操舵トルクが大きく(重く)なり、また、車速の増大に応じて操舵トルクが大きく(重く)なるように、目標となる操舵トルクを設定し、操舵トルクセンサ16の信号に基づく現在の操舵トルクが、前記設定された目標となる操舵トルクに追従するようにフィードバック制御する。このようなフィードバック制御を、“アクティブ反力制御”と呼ぶ。
これにより、操向ハンドル1の操作時に適切な手応えを付与することで、車両のセルフアライニングトルクを増大させ、車両を安定方向に導くことができる。あたかも運転者は、操向ハンドル1に手を添えているだけで、自然に安定方向に操舵したかのように操舵車輪30a,30bが戻される(セルフアライニングトルク)結果として、操向ハンドル1の操作性を向上させることができる。
詳しく述べると、ステップS52のアクティブ反力制御では、第1〜第3の制御装置353,363,393は、車速センサ6の車速信号、及び、車速の変化に応じて適切な操舵トルクが予め設定されたマップを参照することで、低車速域では操向ハンドル1の手ごたえを小さく設定する一方、高車速域では操向ハンドル1の手ごたえを大きく設定するように制御する。
したがって、操向ハンドル1の操舵角に応じて、又は、ヨーレイトや横加速度に応じて、さらに、車速センサ6の車速信号を参酌することで、操向ハンドル1の手応えを適切に設定し、これをもって、操向ハンドル1の操作性を向上させることができる。
また、車両がスピン傾向にあるときは、ヨーレイトセンサ7の検出信号が増大して操舵反力(手応え)が大き(重)く制御されるため、セルフアライニングトルクが増大して、スピンを止める方向に操向ハンドル1を操作し易くさせる。このように、操向ハンドル1の操作方向に係る手応えを変えることで運転者に適切な操向ハンドル1の操作を促すことができる。さらに、原則として、操向ハンドル1と操舵車輪30a,30bとの間の機械的な結合がされていないため、走行路面の振動や段差でのキックバック、操舵車輪30a,30b間の駆動力差(前輪駆動車)に基づくトルクステアをなくすことができる。
ステップS52のアクティブ反力制御が終了すると、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れを図6のステップS1へと戻し、以下の処理を順次実行させる。
次に、ステップS9のアクティブVGS1制御について、図8を参照して説明する。図8は、アクティブVGS1に係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。
図7に示すアクティブVGS制御と、図8に示すアクティブVGS1制御とでは、共通の処理ステップ(S50及びS51)が存在する。そこで、これら共通の処理ステップ(S50及びS51)についての説明を省略し、両者の相違点(ステップS53)に注目して説明する。
ステップS53において、操舵トルクセンサ16に異常が生じている旨の異常診断を下した第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵角センサ17、車速センサ6、ヨーレイトセンサ7、及び、横加速度センサ8の信号、並びに、操舵トルク設定テーブル(操舵角センサ17、車速センサ6、ヨーレイトセンサ7、及び、横加速度センサ8の検出信号毎に対応する、適切な操舵トルクが予め設定されたテーブル)を参照して、操舵角センサ検出信号とヨーレイト検出信号と横加速度検出信号の増大に応じて操向ハンドル1上の操舵トルクが大きく(重く)なり、また、車速の増大に応じて操舵トルクが大きく(重く)なるように、操舵角センサ検出信号とヨーレイト検出信号と横加速度検出信号の増大に応じて目標となる操舵トルクを設定し、現在の操舵トルクが前記設定された目標となる操舵トルクに追従するように、操舵トルクの代替情報として操舵角センサ17の微分信号を用いて、第3のモータ181の端子間電圧を制御する。このような制御を、“反力制御1”と呼ぶ。
これにより、操向ハンドル1の操作時に適切な手応えを付与することで、車両のセルフアライニングトルクを増大させ、車両を安定方向に導くことができる。あたかも運転者は、操向ハンドル1に手を添えているだけで、自然に安定方向に操舵したかのように操舵車輪30a,30bが戻される(セルフアライニングトルク)結果として、車両のセルフアライニングトルクを増大させ、車両の安定性を付与するとともに、操向ハンドル1の操作性を向上させることができる。
詳しく述べると、ステップS53の反力制御1では、第1〜第3の制御装置353,363,393は、車速センサ6の車速信号、及び、車速の変化に応じて適切な操舵トルクが予め設定されたマップを参照することで、低車速域では操向ハンドル1の手ごたえを小さく設定する一方、高車速域では操向ハンドル1の手ごたえを大きく設定するように制御する。
したがって、操向ハンドル1の操舵角に応じて、又は、ヨーレイトや横加速度に応じて、さらに、車速センサ6の車速信号を参酌することで、操向ハンドル1の手応えを適切に設定し、これをもって、操向ハンドル1の操作性を向上させることができる。
また、車両がスピン傾向にあるときは、スピンを止める方向に操向ハンドル1を操作させることを、操向ハンドル1の操作方向に係る手応えを変えることで運転者に促すことができる。さらに、原則として、操向ハンドル1と操舵車輪30a,30bとの間の機械的な結合がされていないため、走行路面の振動や段差でのキックバック、操舵車輪30a,30b間の駆動力差(前輪駆動車)に基づくトルクステアをなくすことができる。
ただし、ステップS53の反力制御1では、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵トルクセンサ16の異常を知らせる警告表示を行うと共に、正常時と比べて操舵トルクを大きく(重く)する制御を行う。これにより、操舵システムに異常が生じている旨を適時に運転者に報知する。
ステップS53の反力制御1が終了すると、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れを図6のステップS1へと戻し、以下の処理を順次実行させる。
次に、ステップS12のアクティブVGS2制御について、図9を参照して説明する。図9は、アクティブVGS2に係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。
図7に示すアクティブVGS制御と、図9に示すアクティブVGS2制御とでは、共通の処理ステップ(S50及びS51)が存在する。そこで、これら共通の処理ステップ(S50及びS51)についての説明を省略し、両者の相違点(ステップS54)に注目して説明する。
ステップS54において、第3の電流センサ184Aに異常が生じている旨の異常診断を下した第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵トルクセンサ16、操舵角センサ17、車速センサ6、ヨーレイトセンサ7、及び、横加速度センサ8の信号、並びに、操舵トルク設定テーブル(操舵トルクセンサ16、操舵角センサ17、車速センサ6、ヨーレイトセンサ7、及び、横加速度センサ8の検出信号毎に対応する、適切な操舵トルクが予め設定されたテーブル)を参照して、操舵角センサ検出信号とヨーレイト検出信号と横加速度検出信号の増大に応じて操舵トルクが大きく(重く)なり、また、車速の増大に応じて操舵トルクが大きく(重く)なるように、目標となる操舵トルクを設定し、現在の操舵トルクが前記設定された目標となる操舵トルクに追従するように、操舵角センサ17の微分信号を用いて、第3のモータ181の端子間電圧を制御する。このような制御を、“反力制御2”と呼ぶ。
これにより、操向ハンドル1の操作時に適切な手応えを付与することで、車両のセルフアライニングトルクを増大させ、車両を安定方向に導くことができる。あたかも運転者は、操向ハンドル1に手を添えているだけで、自然に安定方向に操舵したかのように操舵車輪30a,30bが戻される(セルフアライニングトルク)結果として、車両のセルフアライニングトルクを増大させ、車両の安定性を付与するとともに、操向ハンドル1の操作性を向上させることができる。
詳しく述べると、ステップS54の反力制御2では、第1〜第3の制御装置353,363,393は、車速センサ6の車速信号、及び、車速の変化に応じて適切な操舵トルクが予め設定されたマップを参照することで、低車速域では操向ハンドル1の手ごたえを小さく設定する一方、高車速域では操向ハンドル1の手ごたえを大きく設定するように制御する。
したがって、操向ハンドル1の操舵角に応じて、又は、ヨーレイトや横加速度に応じて、さらに、車速センサ6の車速信号を参酌することで、操向ハンドル1の手応えを適切に設定し、これをもって、操向ハンドル1の操作性を向上させることができる。
また、車両がスピン傾向にあるときは、スピンを止める方向に操向ハンドル1を操作させることを、操向ハンドル1の操作方向に係る手応えを変えることで運転者に促すことができる。さらに、原則として、操向ハンドル1と操舵車輪30a,30bとの間の機械的な結合がされていないため、走行路面の振動や段差でのキックバック、操舵車輪30a,30b間の駆動力差(前輪駆動車)に基づくトルクステアをなくすことができる。
ただし、ステップS54の反力制御2では、第1〜第3の制御装置353,363,393は、第3の電流センサ184Aの異常を知らせる警告表示を行うと共に、正常時と比べて操舵トルクを大きく(重く)する制御を行う。これにより、操舵システムに異常が生じている旨を適時に運転者に報知する。
ステップS54の反力制御2が終了すると、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れを図6のステップS1へと戻し、以下の処理を順次実行させる。
次に、ステップS15のアクティブVGS3制御について、図10を参照して説明する。図10は、アクティブVGS3に係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。
ここで、アクティブVGS3(図6のステップS15)は、第3のモータ181又は第3の制御装置(第3のECU)393が異常であって、図6のステップS13において、操舵機能モードをアクティブVGS3モードに設定すべき旨の判定が下された場合に実行される処理である。
第3のモータ181又は第3の制御装置(第3のECU)393が異常であると、第1又は第2の制御装置353,363は、操向ハンドル1の手応えを適切に制御することが困難である。第3のモータ181や第3の制御装置(第3のECU)393が、操舵トルクに対する反力を付与する役割を主として担うからである。
前記の事情を踏まえて、ステップS55において、第3のモータ181又は第3の制御装置393に異常が生じている旨の異常診断を下した第1又は第2の制御装置353,363は、図7に示すステップS50のVGS制御に準じたVGS制御1を行う。すなわち、ステップS55のVGS制御1では、第1又は第2の制御装置353,363は、操舵角センサ17、ラック位置センサ39、及び、車速センサ6の信号を用いて、前記のギア比(VGSレシオ)を、車速センサ6の車速信号に応じて、ステップS50のVGS制御の例と比べてスローレシオとなるように可変設定し、こうして設定したギア比を実現する操舵車輪転舵角に、ラック軸32の現在位置が追従するように、第1及び第2のモータ332,342の駆動制御を行う。
ステップS55のVGS制御1では、ステップS50のVGS制御の例と比べて、操向ハンドル1の操作量に対する操舵車輪転舵角の応答性を低下させる。その結果、ステップS55のVGS1制御によれば、第3のモータ181又は第3の制御装置(第3のECU)393が異常であるにもかかわらず、運転者に特段の違和感を生じさせることなく、全体としての車両の挙動を緩慢に制御することができる。
ステップS56において、第3のモータ181又は第3の制御装置(第3のECU)393が異常である旨の異常診断を下した第1又は第2の制御装置353,363は、図7に示すステップS51のアクティブギア比制御に準じたアクティブギア比制御1を行う。すなわち、ステップS56のアクティブギア比制御1では、第1又は第2の制御装置353,363は、操舵角センサ17、ラック位置センサ39、ヨーレイトセンサ7、及び、横加速度センサ8の信号を用いて、ヨーレイトセンサ7の信号に基づく車両のヨーレイト、及び、横加速度センサ8の信号に基づく車体の横加速度に基づいて、操舵角とは独立して、ステップS51のアクティブギア比制御の例と比べてスローレシオとなるように前記のギア比(VGSレシオ)をアクティブに制御する。これにより、車両の挙動を安定化させる。
詳しく述べると、ステップS56のアクティブギア比制御1では、第1又は第2の制御装置353,363は、操舵角センサ17の信号に基づく操舵角、及び、操舵角の変化に応じて適切なヨーレイト及び横加速度が予め設定されたマップを参照することで、現在の操舵角に応じた規範(目標)ヨーレイト及び規範(目標)横加速度をそれぞれ読み出して設定する。この設定に際に、ステップS56のアクティブギア比制御1では、ステップS51のアクティブギア比制御の例と比べて、それぞれの規範(目標)値を小さく(穏やかに)設定する。そして、こうして小さく(穏やかに)設定した規範(目標)値に、車両のヨーレイト、及び、車体の横加速度が追従するように、第1及び第2のモータ332,342をフィードバック制御する。
これにより、ステップS56のアクティブギア比制御1では、ステップS51のアクティブギア比制御の例と比べて、操向ハンドル1の操作量に対する操舵車輪転舵角の応答性を低下させる。その結果、ステップS56のアクティブギア比制御1によれば、第3のモータ181又は第3の制御装置(第3のECU)393が異常であるにもかかわらず、運転者に特段の違和感を生じさせることなく、全体としての車両の挙動を安定化させることができる。
ステップS57において、第3のモータ181又は第3の制御装置(第3のECU)393が異常である旨の異常診断を下した第1又は第2の制御装置353,363は、図7に示すステップS52のアクティブ反力制御に準じた反力制御3を行う。すなわち、ステップS57の反力制御3では、第1又は第2の制御装置353,363は、第3の親リレー185及び第3の子リレー186のそれぞれの接点を開放する制御を行うことにより、第3のモータ181、及び、第3の制御装置393への電源供給を遮断する。
ステップS57の反力制御3が終了すると、第1又は第2の制御装置353,363は、処理の流れを図6のステップS1へと戻し、以下の処理を順次実行させる。
次に、ステップS18のVGS制御について、図11を参照して説明する。図11は、VGSに係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。
図7に示すアクティブVGS制御と、図11に示すVGS制御とでは、共通の処理ステップ(S50)が存在する。そこで、この共通の処理ステップ(S50)についての説明を省略し、図11に示すVGS制御のみが有するステップS58の処理に注目して説明する。
ここで、VGS(図6のステップS18)は、ヨーレイトセンサ7又は横加速度センサ8が異常であって、図6のステップS18において、操舵機能モードをVGSモードに設定すべき旨の判定が下された場合に実行される処理である。
ステップS58において、ヨーレイトセンサ7又は横加速度センサ8が異常である旨の異常診断を下した第1〜第3の制御装置353,363,393は、電動パワーステアリング(EPS)において一般に行われる反力制御に類似した反力制御4を行う。すなわち、ステップS58の反力制御4では、第1〜第3の制御装置353,363,393は、操舵トルクセンサ16の信号に基づく操舵トルク、及び、操舵トルクの変化に応じた適切な目標電流が予め設定されたマップを参照することで、第1〜第3の制御装置353,363,393のそれぞれに与える目標電流値を、現在の操舵トルクに応じて設定し、こうして設定した目標電流値に対し、第1〜第3の電流センサ332A,342A,184Aの検出値が追従するように、第1〜第3のモータ332,342,181の駆動制御を行う。
これにより、運転者による操向ハンドル1の操舵トルクに係る負担を軽減する。ただし、ステップS58の反力制御4では、第1〜第3の制御装置353,363,393は、ヨーレイトセンサ7又は横加速度センサ8が異常である旨を知らせる警告表示を行うと共に、正常時と比べて操舵トルクを大きく(重く)する制御を行う。これにより、操舵システムに異常が生じている旨を適時に運転者に報知する。
ステップS58の反力制御4が終了すると、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れを図6のステップS1へと戻し、以下の処理を順次実行させる。
次に、ステップS21のEPS制御について、図12を参照して説明する。図12は、EPSに係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。
ここで、EPS(図6のステップS21)は、操舵角センサ17、ラック位置センサ39、第1の電流センサ332A、第2の電流センサ342A、第1のモータ332、第1の制御装置(第1のECU)353、第2のモータ342、第2の制御装置(第2のECU)363、又はクラッチ(不図示)のいずれかが異常であって、図6のステップS21において、操舵機能モードをEPSモードに設定すべき旨の判定が下された場合に実行される処理である。
ステップS59において、操舵角センサ17、ラック位置センサ39、第1の電流センサ332A、第2の電流センサ342A、第1のモータ332、第1の制御装置(第1のECU)353、第2のモータ342、第2の制御装置(第2のECU)363、又はクラッチのいずれかが異常である旨の異常診断を下した第1〜第3の制御装置353,363,393は、電動パワーステアリング(EPS)において一般に行われる反力制御に類似した反力制御5を行う。
すなわち、ステップS59の反力制御5では、第1〜第3の制御装置353,363,393は、例えば、リミットスイッチ451の信号、及び、連結装置4を結合状態にするための指令信号の発行状況に基づいて、連結装置4の異常診断(例えば、連結装置4を結合状態にするための指令信号が発行されているにもかかわらず、リミットスイッチ451の信号はオフ(図3参照)であるとき)を下した場合には、ステップS58の反力制御4を行う。
また、第1のモータ332、第1の制御装置(第1のECU)353、第2のモータ342、又は、第2の制御装置(第2のECU)363のいずれかに異常が生じた旨の異常診断を下した場合、第3の制御装置393は、操舵トルクセンサ16の信号に基づく操舵トルク、及び、操舵トルクの変化に応じた適切な目標電流が予め設定されたマップを参照することで、現在の操舵トルクの大きさに応じた第3のモータ181の目標電流値を設定し、こうして設定した目標電流値に対し、第3の電流センサ184Aの検出値が追従するように、第3のモータ181の駆動制御を行う。
これにより、運転者による操向ハンドル1の操舵トルクに係る負担を軽減する。ただし、ステップS59の反力制御5では、第3の制御装置393は、異常箇所を知らせる警告表示を行うと共に、正常時と比べて操舵トルクを大きく(重く)する制御を行う。これにより、操舵システムに異常が生じている旨を適時に運転者に報知する。
ステップS59の反力制御5が終了すると、第3の制御装置393は、処理の流れを図6のステップS1へと戻し、以下の処理を順次実行させる。
次に、ステップS22のマニュアルステアリング制御について、図13を参照して説明する。図13は、マニュアルステアリングに係るサブルーチンプログラムの処理の流れを表すフローチャート図である。
ここで、マニュアルステアリング(図6のステップS22)は、操舵機能モードが図12に示すEPSモードである際に、第3のモータ181又は第3の制御装置(第3のECU)393のいずれかに異常が生じた場合に、図6のステップS22において、操舵機能モードをマニュアルステアリングモードに設定すべき旨の判定が下された場合に実行される処理である。
ステップS59において、操舵機能モードがEPSモードである際に、第3のモータ181又は第3の制御装置(第3のECU)393のいずれかに異常が生じた旨の異常診断を下した第1又は第2の制御装置353,363は、第1の親リレー354及び第1の子リレー355、第2の親リレー364及び第2の子リレー365、並びに、第3の親リレー185及び第3の子リレー186のそれぞれの接点を開放する制御を行うことにより、第3のモータ181及び第3の制御装置393、第3のモータ181及び第3の制御装置393、第3のモータ181及び第3の制御装置393、並びに、連結装置4への電源供給を遮断すると共に、第1〜第3の制御装置353,363,393が有する全ての制御機能をOFFにする(ステップS60)。これにより、操舵機能モードをマニュアルステアリングモードに復帰させる。
〔本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101の初期化動作〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101の初期化動作について、図14A、図14Bを適宜参照して説明する。
図14A、図14Bは、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101の初期化動作の説明に供するフローチャート図である。
車両のイグニッションスイッチをオンすると、第1〜第3の制御装置353,363,393のそれぞれには、ヒューズを介して車載バッテリから電源が供給される。これにより、第1〜第3の制御装置353,363,393は、図14A、図14Bに示す初期化処理を順次実行する。この初期化処理では、第1〜第3の制御装置353,363,393は、車両用操舵装置101が適用可能な操舵機能モードを調べる。
ステップS71において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、通信媒体5を介して、車速センサ6、ヨーレイトセンサ7、横加速度センサ8、操舵トルクセンサ16、操舵角センサ17、ラック位置センサ39、第1〜第3の電流センサ332A,342A,184Aを含む各種センサ類からの信号を入力する。
ステップS72において、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、初期異常診断処理を実行する。初期異常診断処理では、第1〜第3の制御装置353,363,393の異常診断部は、各種センサ類6,7,8,16,17,39,332A,342A,184A、第1〜第3のモータ332,342,181、及び、第1〜第3の制御装置353,363,393を含む各種機能部が、異常か否かの診断を行う。
なお、初期異常診断に係る処理内容は、ステップS2の異常診断処理において説明した処理内容と同じであるため、その説明を省略する。
ステップS73において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、ステップS72における初期異常診断結果を参照して、全てのセンサ類又は機能部のうちどの箇所に初期異常が生じているかを調べる。
ステップS73において、全てのセンサ類又は機能部のうちいずれかに初期異常が生じている旨の診断が下された場合(ステップS73のYes)、ステップS74において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、車両のインストルメントパネルに設けた警報ランプを点灯させると共に、異常診断箇所を表示させる制御を行う。
ステップS75において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、表1に示すマップを参照して、診断結果に応じた操舵機能モードを選択する。
なお、マップ(表1)には、初期異常箇所の種別に対する適切な操舵機能モードが関連付けて記述されている。例えば、全てのセンサ類又は機能部に初期異常が生じていない(正常)場合、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、マップ(表1)を参照して、操舵機能モードとしてアクティブVGSを選択する一方、センサ類又は機能部のうちいずれかに初期異常が生じている場合、異常箇所の種別に対する適切な操舵機能モードを適宜選択する。
ステップS76において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、操舵機能モードとしてSBW制御モードを適用可能か否かを調べる。
なお、SBW制御モードとしては、例えば、前述のアクティブVGS制御、アクティブVGS1制御、アクティブVGS2制御、アクティブVGS3制御、及び、VGS制御を例示することができる。また、SBW制御モード(機能制限あり)とは、アクティブVGS1制御、アクティブVGS2制御、アクティブVGS3制御、及び、VGS制御を意味する。
ステップS76において、操舵機能モードとしてSBW制御モードを適用不能である旨の診断が下された場合(ステップS76のNo)、ステップS77において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、操舵機能モードとして、アシスト制御モードとしてのEPSモードを選択して待機(スタンバイ)する。全てのセンサ類又は機能部のうちいずれかに比較的重篤な初期異常が生じている状況下、つまり、例えば、表1の操舵機能モード“EPS”又は“マニュアルステアリング”の欄に“◎”が付された箇所に異常が生じている状況下では、操舵機能モードとして、アシスト制御モードとしてのEPSモード(マニュアルステアリングモードを含む)を選択するのが適切だからである。
一方、ステップS76において、操舵機能モードとしてSBW制御モードを適用可能である旨の診断が下された場合(ステップS76のYes)、ステップS78において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、連結装置4を切離状態にする切離指令を出力する。全てのセンサ類又は機能部のうちいずれかに比較的軽微な初期異常が生じている状況下、つまり、例えば、表1の操舵機能モード“SBW”のうち“アクティブVGS”又は“VGS”の各欄に“◎”が付された箇所に異常が生じている状況下では、操舵機能モードとして、SBW制御モード(機能制限あり)を選択するのが適切だからである。
ステップS79において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、連結装置4を切離状態にする制御を行う。これにより、連結装置4は、原則として(特段の異常が生じていない限り)、切離状態となる。
ステップS80において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、リミットスイッチ451から入力される結合状態信号に基づいて、連結装置4が実際に切離状態にあるか否かを調べる。
ステップS80において、第1〜第3の制御装置353,363,393の情報取得部により、連結装置4が切離状態にある旨の情報が取得された場合(ステップS80のYes)、ステップS81において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、操舵機能モードとしてSBW制御モード(機能制限あり)を選択して待機(スタンバイ)する。
また一方、ステップS80において、第1〜第3の制御装置353,363,393の情報取得部により、連結装置4が切離状態にない(結合状態にある)旨の情報が取得された場合(ステップS73のNo)、ステップS83において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、操舵機能モードとして、アシスト制御モードとしてのEPSモードを選択して待機(スタンバイ)する。連結装置4が切離状態にない(結合状態にある)状況下では、操舵機能モードとしてSBW制御モードを選択することはできないからである。
ステップS77、S81、S83の待機(スタンバイ)状態で、第1〜第3の制御装置353,363,393は、一連の初期化処理を終了させる。
さて、ステップS73において、全てのセンサ類又は機能部のうちいずれにも初期異常が生じていない旨の診断が下された場合(ステップS73のNo)、図14Bに示すステップS84において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、連結装置4を切離状態にする切離指令を出力する。全てのセンサ類又は機能部のうちいずれにも初期異常が生じていない状況下では、操舵機能モードとして、SBW制御モード(機能制限なし)を選択するのが適切だからである。
ステップS85において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、連結装置4を切離状態にする制御を行う。これにより、連結装置4は、原則として(特段の異常が生じていない限り)、切離状態となる。
ステップS86において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、リミットスイッチ451から入力される結合状態信号に基づいて、連結装置4が実際に切離状態にあるか否かを調べる。
ステップS86において、第1〜第3の制御装置353,363,393の情報取得部により、連結装置4が切離状態にある旨の情報が取得された場合(ステップS86のYes)、ステップS87において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、操舵機能モードとしてSBW制御モード(機能制限なし)を選択して待機(スタンバイ)する。
また一方、ステップS86において、第1〜第3の制御装置353,363,393の情報取得部により、連結装置4が切離状態にない(結合状態にある)旨の情報が取得された場合(ステップS86のNo)、ステップS88において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、車両のインストルメントパネルに設けた警報ランプを点灯させると共に、異常診断箇所(連結装置4が切離状態にない)を表示させる制御を行う。
次いで、ステップS89において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、操舵機能モードとして、アシスト制御モードとしてのEPSモードを選択して待機(スタンバイ)する。
ステップS87、S89の待機(スタンバイ)状態で、第1〜第3の制御装置353,363,393は、一連の初期化処理を終了させる。
〔本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101が行う連結装置異常診断処理〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101が行う異常診断処理について、図15A、図15Bを適宜参照して説明する。この連結装置異常診断処理は、図6のステップS2に係る異常診断処理に対応する。
図15A、図15Bは、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置が行う連結装置異常診断処理の説明に供するフローチャート図である。
図15Aに示すステップS101において、第1〜第3の制御装置353,363,393は、第1〜第3の制御装置353,363,393のうちいずれか(複数を含む。以下、同じ。)が、連結装置4を切離状態にする切離指令を出力しているかを調べる。ここで、第1〜第3の制御装置353,363,393のうちいずれかが切離指令を出力しているケースとは、現行の操舵機能モードがSBW制御モードであることを意味する。
ステップS101において、切離指令が出力されている旨の判定が下された場合(ステップS101のYes)、ステップS102〜S103において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、リミットスイッチ451から入力される結合状態信号を確認し、連結装置4が結合状態にある旨の情報が取得されたか否かを調べる。
ステップS101〜S103において、切離指令が出力されている(現行の操舵機能モードがSBW制御モードである)にもかかわらず、連結装置4が結合状態にある旨の情報が取得された場合(ステップS103のYes)、ステップS104において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、操舵機能モードを、SBW制御モードからEPSモードに切り替える制御を行う。これにより、SBW制御モードからEPSモードへと、操舵機能モードが速やかに切り替えられる。
ここで、ステップS101〜S103のように、切離指令が出力されている(現行の操舵機能モードがSBW制御モードである)にもかかわらず、連結装置4が結合状態から切離状態に切り替え不能である場合とは、SBW制御モード下で連結装置4が結合状態にあるケースである。こうしたケースでは、比較例に係る車両用操舵装置が、運転者の操舵意図を超えて操舵車輪30a,30bの転舵がなされるセルフステア状態、又は、運転者の操舵意図が転舵装置3の側に割り引いて伝えられるステアリングロック状態を含む異常事態に陥ることが懸念される。
比較例に係る車両用操舵装置が、前記の異常事態に陥る機序について、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101が有する機能部材の符号を用いて説明する。既存技術に係る電動パワーステアリング(EPS)では、操舵車輪30a,30bに連結されるラック軸32に設けられた第1及び第2のラック歯320,321と、第1及び第2のラック歯320,321のそれぞれに噛み合う第1及び第2のピニオンギア33,34とを含むラックアンドピニオン機構を介して、操向ハンドル1の回転量が、ラック軸32に沿う方向の移動量(ストローク量)に変換される。このラック軸32に係るストローク量によって、操舵車輪30a,30bの切れ角(転舵角)が決定される。
このとき、ラック軸32に係るストローク量と、操向ハンドル1の回転量との関係は、ラックアンドピニオン機構に適用されるギア諸元(仕様)によって一意に決定される。ラック軸32に係るストローク量/操向ハンドル1の回転量の関係を、以下では比ストロークと呼び、その設定値をRgと呼ぶことにする。
ところで、SBW制御モード下では、比ストロークを、例えば、車速が低速の場合は取り回し性の向上を狙って大きく設定する一方、車速が高速の場合は車両の応答性が過敏にならないように小さく設定するといったように、車速に応じて比ストロークの設定値Rgを適宜変更することができる。
ここで、操舵機能モードとしてSBW制御モードが適用不能となり、連結装置4が結合状態にされた場合の比ストロークである失陥時比ストロークは、ラックアンドピニオン機構に適用されるギア諸元(連結装置4が差動機構を含む場合、この差動機構のギア諸元も含む)に応じて一意に決まる固定値となる。以下では、この失陥時比ストロークの固定値を、便宜上Rg_failと呼ぶ。
いま、SBW制御モード下において、比ストロークの設定値Rgが失陥時比ストロークの固定値Rg_failの値を超えるケース(例えば車速が低速のとき)において、連結装置4が切離状態から結合状態に切り替わる異常が生じたにもかかわらず、その切り替わりを異常として検出できなかった事例を想定する。
かかる事例において、運転者が操向ハンドル1を所要の回転量だけ操舵すると、ラック軸32は、転舵アクチュエータ(第1及び第2のモータ332,342)の駆動により、比ストロークの設定値Rgに従うストローク量だけ動かされる。ところが、連結装置4が誤って結合状態にされているため、ラック軸32のストローク量(操舵車輪30a,30bの転舵角)が、ラックアンドピニオン機構を介して、失陥時比ストロークの固定値Rg_failに従う量だけ操向ハンドル1に作用する結果、操向ハンドル1が、運転者の操舵意図を超えて回転動作する。
これを受けて比較例に係る車両用操舵装置は、操舵指令がさらに増大したと判断する。すると、前記の手順に準じて、ラック軸32が、増大分に応じたストローク量だけ動かされる。したがって、比較例に係る車両用操舵装置は、運転者の操舵意図を超えて操舵車輪30a,30bの転舵がなされる、いわゆるセルフステア状態に陥ってしまう。
また、SBW制御モード下において、比ストロークの設定値Rgが失陥時比ストロークの固定値Rg_failの値未満であるケース(例えば車速が高速のとき)において、連結装置4が切離状態から結合状態に切り替わる異常が生じたにもかかわらず、その切り替わりを異常として検出できなかった事例を想定する。
かかる事例において、運転者が操向ハンドル1を所要の回転量だけ操舵すると、ラック軸32は、転舵アクチュエータ(第1及び第2のモータ332,342)の駆動により、比ストロークの設定値Rgに従うストローク量だけ動かされる。ところが、連結装置4が誤って結合状態にされているため、ラック軸32のストローク量(操舵車輪30a,30bの転舵角)が、ラックアンドピニオン機構を介して、失陥時比ストロークの固定値Rg_failに従う量だけ操向ハンドル1に作用する結果、操向ハンドル1が、運転者の操舵意図を下回って回転動作する(操向ハンドル1の過剰な回転量分は戻される)。
したがって、比較例に係る車両用操舵装置は、運転者の操舵意図が転舵装置3の側に割り引いて伝えられる、いわゆるステアリングロック状態に陥ってしまう。
しかも、EPS制御モード下、又は、マニュアルステアリングモード下のいずれか、つまり、何らかの異常が生じてSBW制御モードを維持できなくなり、連結装置4が切離状態から結合状態に切り替わった際において、さらに別の箇所の異常発生に起因して連結装置4が切離状態になると、いわゆるステアフリー状態に陥ってしまう。
以上をまとめると、SBW制御モードを有する車両用操舵装置では、セルフステア状態、ステアリングロック状態、又は、ステアフリー状態に陥る事態を未然に回避しながら、運転負担の軽減、及び、車両挙動の安定性確保を図る観点から、迅速なる異常診断及び異常診断結果に基づく適切な対応が強く求められる。
そこで、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101では、切離指令が出力されている(現行の操舵機能モードがSBW制御モードである)にもかかわらず、連結装置4が結合状態にある場合に、操舵機能モードを、SBW制御モードからEPSモードへと切り替える制御を行う構成を採用することとした。
上記構成を採用した本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101では、切離指令が出力されている(現行の操舵機能モードがSBW制御モードである)にもかかわらず、連結装置4が結合状態にある場合に、かかる状況をそのまま放置すると、セルフステア状態、ステアリングロック状態、又は、ステアフリー状態に陥るおそれがあることに鑑みて、操舵機能モードを、SBW制御モードからEPSモードへと切り替える制御を行う。
本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101によれば、セルフステア状態、ステアリングロック状態、又は、ステアフリー状態に陥る事態を未然に回避しながら、運転負担の軽減、及び、車両挙動の安定性確保を図ることができる。
ステップS105において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、第1〜第3の制御装置353,363,393のうちいずれかが出している、切離指令出力を停止させる。
なお、ステップS105における切離指令出力の停止処理は、直前のステップS104において、切離指令に従う連結装置4の切離動作が不能である事態に鑑みて、操舵機能モードが、SBW制御モードからEPSモードへと切り替えられた後に行われる。これは、切離指令が出ているにもかかわらず、連結装置4が結合状態に置かれている期間を可及的に短縮することで、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101がセルフステア状態、ステアリングロック状態、又は、ステアフリー状態に陥る事態を回避する趣旨である。
その後、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れを図6のステップS1へとジャンプさせる。これにより、仮に、図6の制御ループを繰り返す事態が生じたとしても、操舵機能モードをEPSモードに維持することができる。
なお、本発明に係る実施形態では、SBW制御モード下で連結装置4が結合状態にあるケースが検出された場合に、迅速かつ優先的に操舵機能モードをEPSモードに切り替える構成を採用しているため、自車両の挙動を安定化させることができる。
一方、ステップS101〜S103において、切離指令が出力されており(現行の操舵機能モードがSBW制御モードである)、かつ、連結装置4が切離状態にある旨の情報が取得された場合(ステップS103のNo)、つまり、正常なSBW制御下である場合に、ステップS106において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、SBW機能を維持するために必要なセンサ類などの異常診断処理を継続して行う。
なお、ステップS106に係る異常診断処理は、現行の操舵機能モードが、SBW制御モード(前述のアクティブVGS制御、アクティブVGS1制御、アクティブVGS2制御、アクティブVGS3制御、又は、VGS制御を含む)のうちどのレベルかを判断する際の手がかりを得るために行われる。
例えば、現行の操舵機能モードが、SBW制御モードのうちアクティブVGS1制御、アクティブVGS2制御、アクティブVGS3制御、又は、VGS制御のいずれか(アクティブVGS制御以外)であるとは、全てのセンサ類又は機能部のうちいずれかに、現行の操舵機能モードに見合う比較的軽微な異常が生じていることを意味する。そこで、ステップS106に係る異常診断処理において異常箇所を特定することにより、現行の操舵機能モードが属するレベルを判断する際の手がかりを得ることができる。
ステップS107において、全てのセンサ類又は機能部のうちいずれかに異常が生じている旨の診断が下された場合(ステップS107のYes)、ステップS108において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、異常箇所を記憶させる制御を行う。ここで記憶された異常箇所に係る情報は、図6に示す制御フローにおいて、異常箇所の表示や、操舵機能モードを同定する際などに参照される。
一方、ステップS107において、全てのセンサ類又は機能部のうちいずれにも異常が生じていない旨の診断が下された場合(ステップS107のNo)、ステップS109において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、異常箇所がない旨を記憶させる制御を行う。
ステップS108又はS109に係る記憶処理が終了すると、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れを図6に示す制御フローのうちステップS2へと戻し、以下の処理を順次実行させる。
ところで一方、ステップS101において、切離指令が出力されていない旨の判定が下された場合(ステップS101のNo)、ステップS110〜S111において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、リミットスイッチ451から入力される結合状態信号を確認し、連結装置4が切離状態にある旨の情報が取得されたか否かを調べる。
ステップS101、S110〜S111において、結合指令が出力されている(現行の操舵機能モードがEPSモード又はマニュアルステアリングモードのいずれかである)にもかかわらず、連結装置4が切離状態にある旨の情報が取得された場合(ステップS111のYes)、つまり、指令内容(結合指令)と連結装置4の状態(切離状態)との間に齟齬が生じている場合に、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、異常処理の実行を制御する。
ここで、異常処理では、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、例えば、指令内容と連結装置4の状態との間に齟齬が生じている旨の異常表示を行うと共に、必要に応じて、自車両の車速を減速(停止を含む)させる制動制御を行う。これは、指令内容(結合指令)と連結装置4の状態(切離状態)との間に齟齬が生じている状態で自車両の走行を継続させると、自車両の挙動が不安定になるおそれがあるからである。
また、指令内容と連結装置4の状態との間に齟齬が生じていない場合であっても、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、リミットスイッチ451の故障状態によっては、前記の齟齬が生じている旨の判断を下す場合がある。こうした判断の錯綜を避けるため、リミットスイッチ451の故障検出は、別途行うことが好ましい。
さて一方、ステップS101、S110〜S111において、結合指令が出力されており(現行の操舵機能モードがEPSモード又はマニュアルステアリングモードのいずれかである)、かつ、連結装置4が結合状態にある旨の情報が取得された場合(ステップS111のNo)、つまり、指令内容(結合指令)と連結装置4の状態(結合状態)とが正常に一致している場合に、ステップS112において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、EPS機能やマニュアルステアリング機能を維持するために必要なセンサ類などの異常診断処理を継続して行う。
なお、ステップS112に係る異常診断処理は、現行の操舵機能モードが、EPSモード又はマニュアルステアリングモードのうちいずれであるかを判断する際の手がかりを得るために行われる。
例えば、現行の操舵機能モードが、EPSモード又はマニュアルステアリングモードのうちいずれであるとは、全てのセンサ類又は機能部のうちいずれかに、現行の操舵機能モードに見合う比較的重篤な異常が生じていることを意味する。そこで、ステップS112に係る異常診断処理において異常箇所を特定することにより、現行の操舵機能モードが属するレベルを判断する際の手がかりを得ることができる。
ステップS113において、予め把握されている比較的重篤な異常箇所を除くその他の異常が生じている旨の診断が下された場合(ステップS113のYes)、ステップS114において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、前記その他の異常箇所を記憶させる制御を行う。ここで記憶されたその他の異常箇所に係る情報は、図6に示す制御フローにおいて、異常箇所の表示や、操舵機能モードを同定する際などに参照される。
一方、ステップS113において、予め把握されている比較的重篤な異常箇所を除くその他の異常が生じていない旨の診断が下された場合(ステップS113のNo)、ステップS115において、第1〜第3の制御装置353,363,393の制御部は、予め把握されている異常箇所を除くその他の異常箇所がない旨を記憶させる制御を行う。
ステップS114又はS115に係る記憶処理が終了すると、第1〜第3の制御装置353,363,393は、処理の流れを図6に示す制御フローのうちステップS2へと戻し、以下の処理を順次実行させる。
〔本発明の実4施形態に係る車両用操舵装置101が行うSBW制御モード時の操舵トルクの大きさに応じた連結装置4に係る状態切替処理〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101が行うSBW制御モード時の操舵トルクの大きさに応じた連結装置に係る状態切替処理について、図16〜図18を適宜参照して説明する。
図16は、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101が行うSBW制御モード時の操舵トルクの大きさに応じた連結装置4に係る状態切替処理の説明に供するフローチャート図である。図17は、車両用操舵装置101が連結装置4に係る状態切替処理を行う際に参照される、操舵トルクに対応する継続猶予時間に係る第1の特性線図を表す説明図である。図18は、車両用操舵装置101が連結装置4に係る状態切替処理を行う際に参照される、操舵トルクに対応する継続猶予時間に係る第2の特性線図を表す説明図である。
なお、連結装置4に係る状態切替処理を行う前提として、車両用操舵装置101の操舵機能モードは、ステアバイワイヤ(SBW)制御モードに設定されているものとする。ここでいうSBW制御モードとは、例えば、前述のアクティブVGS制御、アクティブVGS1制御、アクティブVGS2制御、アクティブVGS3制御、及び、VGS制御を含む概念である。
また、連結装置4に係る状態切替処理は、第1〜第3の制御装置353,363,393のうち、少なくとも1以上(全部を含む)の制御装置で行われていればよい。次のフローチャート図に基づく説明では、第3の制御装置393のみが連結装置4に係る状態切替処理を行う例をあげて説明する。
図16に示すステップS201において、第3の制御装置393の操舵トルク取得部は、運転者による操向ハンドル1の操舵トルクに係る情報を取得する。
ステップS202において、第3の制御装置393の制御部は、ステップS201で取得された操舵トルクOTが、予め定められる操舵トルク閾値OT_th(図17,図18を参照)を超えているか否かを判定する。
ステップS202の判定の結果、取得された操舵トルクOTが操舵トルク閾値OT_thを超えていない旨の判定が下された場合(ステップS202のNo)、第3の制御装置393の制御部は、処理の流れをステップS203へと分岐させる。
一方、ステップS202の判定の結果、取得された操舵トルクOTが操舵トルク閾値OT_thを超えている旨の判定が下された場合(ステップS202のYes)、第3の制御装置393の制御部は、処理の流れをステップS204へと進ませる。
ステップS203において、第3の制御装置393の制御部は、取得された操舵トルクOTが操舵トルク閾値OT_thを超えている旨の判定が下された際に計時を開始する継続猶予時間タイマTの計時値を初期値“0”にリセットする。その後、第3の制御装置393の制御部は、処理の流れをステップS201に戻し、ステップS201以下の処理を順次行わせる。
さて一方、ステップS204において、第3の制御装置393の制御部は、継続猶予時間タイマTの計時が継続しているか否かを判定する。この判定は、継続猶予時間タイマTの計時値を調べることで行うことができる。
ステップS204の判定の結果、継続猶予時間タイマTの計時が継続している旨の判定が下された場合(ステップS204のYes)、第3の制御装置393の制御部は、処理の流れをステップS207へとジャンプさせる。
一方、ステップS204の判定の結果、継続猶予時間タイマTの計時が継続していない旨の判定が下された場合(ステップS204のNo)、つまり、操舵トルク閾値OT_thを超えている操舵トルクOTが新たに取得された場合、第3の制御装置393の制御部は、処理の流れを次のステップS205へと進ませる。
ステップS205において、第3の制御装置393の制御部は、継続猶予時間タイマTの計時を開始させる。
ステップS206において、第3の制御装置393の制御部は、ステップS201で取得した操舵トルクOTを、予め定められる計算式(例えば、図17に示す第1の特性線図で表される反比例関数を数式化したものや、図18に示す第2の特性線図で表される階段状の関数をテーブル化したものなど)にあてはめて演算することにより、操舵トルクOTに対応する継続猶予時間MTを取得する。
なお、計算式による演算に代えて、第3の制御装置393の制御部は、前記の計算式を用いて操舵トルクOTに対応する継続猶予時間MTの関係をテーブル化したルックアップテーブルを参照し、このルックアップテーブルのなかから、ステップS201で取得した操舵トルクOTに対応する継続猶予時間MTを抽出することにより、操舵トルクOTに対応する継続猶予時間MTを取得する構成を採用してもよい。
次いで、ステップS207において、第3の制御装置393の制御部は、継続猶予時間タイマTの計時値が、継続猶予時間MTを超えたか否かを判定する。
ステップS207の判定の結果、継続猶予時間タイマTの計時値が、継続猶予時間MTを超えない旨の判定が下された場合、第3の制御装置393の制御部は、処理の流れをステップS201に戻し、ステップS201以下の処理を順次行わせる。
一方、ステップS207の判定の結果、継続猶予時間タイマTの計時値が、継続猶予時間MTを超える旨の判定が下された場合、第3の制御装置393の制御部は、処理の流れを次のステップS208へと進ませる。
ステップS208において、第3の制御装置393の制御部は、操舵機能モードを、SBW制御モードからEPSモードに切り替えさせる(連結装置4を切離状態から結合状態に切り替えさせる)制御を行う。これにより、SBW制御モードからEPSモードへと、操舵機能モードが速やかに切り替えられる。
ステップS208の実行後、第3の制御装置393の制御部は、SBW制御モード時の操舵トルクの大きさに応じた連結装置4に係る状態切替処理に係る一連の流れを終了させる。
〔本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101の作用効果〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101の作用効果について説明する。
第1の観点に基づく車両用操舵装置101は、自車両の運転者による操向ハンドル(操向部材)1の操作入力が生じる反力付与装置(操舵部)2と、操舵車輪30a,30bを転舵するための転舵装置(転舵部)3と、反力付与装置(操舵部)2及び転舵装置(転舵部)3の間を機械的な結合状態にし又は切離状態にする動作を行う連結装置(連結部)4と、反力付与装置(操舵部)2に操舵反力を付与する第3のモータ(操舵反力アクチュエータ)と、転舵装置(転舵部)3に転舵トルクを付与する第1及び第2のモータ(転舵アクチュエータ)332,342と、運転者による操向ハンドル(操向部材)1の操舵トルクに係る情報を取得する操舵トルク情報取得部と、反力付与装置(操舵部)2、転舵装置(転舵部)3、連結装置(連結部)4、第3のモータ(操舵反力アクチュエータ)181、並びに、第1及び第2のモータ(転舵アクチュエータ)332,342の動作制御を行う(第1〜第3の制御装置353,363,393の)制御部と、を備える。
(第1〜第3の制御装置353,363,393の)制御部は、連結装置(連結部)4が切離状態にある場合に、操向ハンドル(操向部材)1の操作状態に応じた転舵角となるように第1及び第2のモータ(転舵アクチュエータ)332,342を駆動すると共に、転舵装置(転舵部)3の転舵状態に応じた操舵反力を付与するように第3のモータ(操舵反力アクチュエータ)181を駆動するステアバイワイヤ制御モードを、操舵機能モードとして少なくとも有する。
(第1〜第3の制御装置353,363,393の)制御部は、操舵機能モードがステアバイワイヤ制御モードに設定されている際において、操舵トルク情報取得部により取得された操舵トルクOTが、予め定められる操舵トルク閾値OT_thを超えており、かつ、操舵トルクOTが継続して操舵トルク閾値OT_thを超えている時間が、例えば操舵トルクOTの大きさに応じて適宜定められる継続猶予時間閾値(継続猶予時間MT)を超えている場合に、連結装置(連結部)4を結合状態に切り替えさせる動作制御を行う。そして、継続猶予時間閾値(継続猶予時間MT)は、操舵トルクOTが大きいほど短くなるように、操舵トルクOTの変化に関連付けて可変設定される。
第1の観点に基づく車両用操舵装置101において、操舵トルクOTが操舵トルク閾値OT_thを超えており、かつ、操舵トルクOTが継続して操舵トルク閾値OT_thを超えている時間が継続猶予時間閾値(継続猶予時間MT)を超えている場合とは、例えば、転舵アクチュエータの推力が不足し、操向部材の操作状態に応じた追従ができないケースや、操向部材を一方向に絶えず突き当てているケースや、反力付与装置(操舵部)2、転舵装置(転舵部)3、連結装置(連結部)4を含む操舵力伝達系統のいずれかに何らかの異常が生じており、かかる異常状態をそのまま放置すると、その異常に関する負荷の大きさに起因して運転者の操舵フィーリングを損なうおそれがあるケースなどを想定している。そこで、こうしたケースでは、連結装置(連結部)4を結合状態に切り替えさせることにより、運転者の操舵フィーリングを損なう事態の発生を未然に防止することとした。
第1の観点に基づく車両用操舵装置101によれば、過大な操舵トルクが突発的に生じた際であっても、運転者の操舵フィーリングを快適に維持することができる。
また、第1の観点に基づく車両用操舵装置101によれば、連結装置(連結部)4が切離又は結合する機会を減らすことができるため、連結装置(連結部)4を切離又は結合する動作に伴う騒音や振動を抑制すると共に、連結装置(連結部)4の長寿命化を図ることができる。
さらに、第1の観点に基づく車両用操舵装置101によれば、継続猶予時間閾値(継続猶予時間MT)が、操舵トルクが大きいほど短くなるように、操舵トルクの変化に関連付けて可変設定されるため、操舵力伝達系統のいずれかに何らかの異常が生じた場合において、異常状態に陥ったとみなす負荷の大きさを平準化することができる。
具体的には、例えば、(操舵トルク閾値OT_thをわずかに超える)比較的小さい操舵トルクが生じた場合には、継続猶予時間閾値(継続猶予時間MT)を大に設定することにより、連結装置(連結部)4の結合状態への切り替え頻度を低く抑える一方、(操舵トルク閾値OT_thを大きく超える)過大な操舵トルクが生じた場合には、継続猶予時間閾値(継続猶予時間MT)を小に設定することにより、連結装置(連結部)4の結合状態への切り替えを速やかに行わせることができる。
その結果、第1の観点に基づく車両用操舵装置101によれば、連結装置(連結部)4を切離状態から結合状態へと切り替えるタイミングを適切に制御することができる。
ところで、例えば特許文献2(特許第3374350号)には、操向ハンドル1による操舵角(目標値)と、操舵車輪転舵角(実際値)との間に、許容偏差を超える偏差が現われた場合に、連結装置4を結合状態にする技術が開示されている。以下に、特許文献2に係る技術を適用した場合に生じる課題について、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置101が有する各種機能部に付されている符号を援用して説明する。
前記特許文献2に係る技術では、轍路での走行時などにおいて操向ハンドル1の取られ現象を解消する目的で、アクティブステア機能を発揮することによって、操向ハンドル1による操舵角(目標値)と、操舵車輪転舵角(実際値)との間に、許容偏差を超える偏差が現われた場合に、連結装置4が結合状態にされてしまう。その結果、折角のアクティブステア機能を十分に発揮することができない。
ところで、SBWシステムでは、運転者が操向ハンドル1を左右に回したときの終端位置での突き当たり感は、第3のモータ(操舵反力アクチュエータ)181において、操舵角に対する操舵反力の特性を、前記の終端位置付近で急峻に立ち上げることで擬似的に設定されている。かかる前提下で、仮に、運転者が早く大きい力で操向ハンドル1を前記の終端位置に突き当たるまで操作することにより、強い操舵意図をもった操向ハンドル1の操作を継続したとする。
この場合、第3のモータ(操舵反力アクチュエータ)181には継続的に大きな電流が流れる。すると、第3のモータ(操舵反力アクチュエータ)181が過熱状態に陥って、SBWシステムに設けられている過熱防止機能が作用するようになる。その結果、第3のモータ(操舵反力アクチュエータ)181が発揮していた反力トルクが急減すると、操舵反力の“抜け”現象が生じる。すると、運転者による操向ハンドル1の操作力は急に反力を失う結果として、操向ハンドル1による操舵角(目標値)と、操舵車輪転舵角(実際値)との間に許容偏差を超える偏差が現われて、連結装置4が結合状態にされてしまう。
このとき、操舵反力の“抜け”現象に由来して運転者の操舵フィーリングを著しく悪化させてしまう。また、第3のモータ(操舵反力アクチュエータ)181による発生トルクの減少に起因して、連結装置4を結合状態にした直後にEPS制御を実行しようと試みても、EPS制御機能を発揮させることができないという問題も生じる。
この点、第1の観点に基づく車両用操舵装置101では、操舵トルクOTが操舵トルク閾値OT_thを超えており、かつ、操舵トルクOTが継続して操舵トルク閾値OT_thを超えている時間が継続猶予時間閾値(継続猶予時間MT)を超えている場合、かかる異常状態をそのまま放置すると、その異常に関する負荷の大きさに起因して運転者の操舵フィーリングを損なうおそれがあるとみなして、連結装置(連結部)4を結合状態に切り替えさせるように動作する。
したがって、第1の観点に基づく車両用操舵装置101によれば、前記特許文献2に係る技術に由来する課題を一掃して、アクティブステア機能を十分に発揮することができ、運転者の操舵フィーリングを快適に維持することができ、かつ、連結装置4を結合状態にした直後であっても、EPS制御を適確に実行することができる。
また、第2の観点に基づく車両用操舵装置101は、第1の観点に基づく車両用操舵装置であって、(第1〜第3の制御装置353,363,393の)制御部は、操舵トルク情報取得部により取得された操舵トルクOTが、第3のモータ(操舵反力アクチュエータ)181に固有の反力トルクに係る限界値に基づく反力トルク閾値(図17,図18を参照)CT_thまで到達した場合に、連結装置(連結部)4を結合状態に切り替えさせる動作制御を速やかに行う、構成を採用してもよい。
操舵トルクOTが、第3のモータ(操舵反力アクチュエータ)181に固有の反力トルクに係る限界値に基づく反力トルク閾値(図17,図18を参照)CT_thまで到達した場合とは、連結装置(連結部)4を速やかに結合状態に切り替えることが必要なケースを意味する。反力トルク閾値CT_thを超える操舵トルクOTが生じると、前記操舵反力の“抜け”現象を招来するおそれがあるからである。
第2の観点に基づく車両用操舵装置101によれば、第1の観点に基づく車両用操舵装置101が奏する効果に加えて、操舵反力の“抜け”現象を適確に回避して運転者の操舵フィーリングをより快適に維持することができる。
また、第3の観点に基づく車両用操舵装置101は、第1又は第2の観点に基づく車両用操舵装置であって、前記操舵トルク情報取得部は、操舵トルクセンサ(磁歪式トルクセンサ)16を介して操向ハンドル(操向部材)1の操舵トルクに係る情報を取得する、構成を採用してもよい。
第3の観点に基づく車両用操舵装置101では、操舵トルク情報取得部は、操舵トルクセンサ(磁歪式トルクセンサ)16を介して操向ハンドル(操向部材)1の操舵トルクに係る情報を取得するため、操向ハンドル(操向部材)13の捩り剛性を大きく設定することができる。その結果、仮に、操舵トルクセンサ(磁歪式トルクセンサ)16を操舵軸10に2つ設けたとしても、運転者による操向ハンドル(操向部材)1の操作力によって操舵軸が過度に捩れることを抑制して、運転者の操舵に係る操作フィーリングを向上させることができる。
〔その他の実施形態〕
以上説明した実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
例えば、本発明の実施形態において、第1の制御装置353が第1のモータ332の駆動制御を主として行い、第2の制御装置363が第2のモータ342の駆動制御を主として行い、第3の制御装置393が第3のモータ181の駆動制御を主として行う、構成を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。
前記の構成に代えて、例えば、第1の制御装置353に異常が生じた場合に、第2の制御装置363が、第2のモータ342に加えて、第1のモータ332の駆動制御をも主として行う、構成を採用してもよい。また、第1の制御装置353に異常が生じた場合に、第3の制御装置393が、第3のモータ181に加えて、第1のモータ332の駆動制御をも主として行う、構成を採用してもよい。さらに、第1の制御装置353及び第2の制御装置363に異常が生じた場合に、第3の制御装置393が、第3のモータ181に加えて、第1のモータ332及び第2のモータ342の駆動制御をも主として行う、構成を採用してもよい。
要するに、第1〜第3の制御装置353,363,393のそれぞれは、相互補完的に連係して、第1〜第3のモータ332,342,181の駆動制御を行う構成を採用してもよい。
このように構成すれば、仮に、第1〜第3の制御装置353,363,393のうち1又は2の制御装置に異常が生じた場合であっても、残りの制御装置を用いて第1〜第3のモータ332,342,181の駆動制御を行うことができるため、健全な操舵機能を可及的に維持することができる。
また、本発明の実施形態において、操舵トルクOTが大きいほど短くなるように、操舵トルクOTの変化に関連付けて可変設定される継続猶予時間MTの特性として、反比例関係となる第1の特性線図や、階段状となる第2の特性線図を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。
操舵トルクOTの変化に対応する継続猶予時間MTの特性としては、例えば、模擬実験を含む実験結果を通じて得られた特性を適宜採用することができる。
1 操向ハンドル(操向部材)
2 反力付与装置(操舵部)
3 転舵装置(転舵部)
4 連結装置(連結部)
30a,30b 操舵車輪
101 車両用操舵装置
181 第3のモータ(操舵反力アクチュエータ)
332 第1のモータ(転舵アクチュエータ)
342 第2のモータ(転舵アクチュエータ)
353 第1の制御装置(制御部、操舵トルク取得部)
363 第2の制御装置(制御部、操舵トルク取得部)
393 第3の制御装置(制御部、操舵トルク取得部)

Claims (3)

  1. 車両の運転者による操向部材の操作入力が生じる操舵部と、
    操舵車輪を転舵するための転舵部と、
    前記操舵部及び前記転舵部の間を機械的な結合状態にし又は切離状態にする動作を行う連結部と、
    前記操舵部に操舵反力を付与する操舵反力アクチュエータと、
    前記転舵部に転舵トルクを付与する転舵アクチュエータと、
    運転者による前記操向部材の操舵トルクに係る情報を取得する操舵トルク情報取得部と、
    前記操舵部、前記転舵部、前記連結部、前記操舵反力アクチュエータ、及び、前記転舵アクチュエータの動作制御を行う制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記連結部が切離状態にある場合に、前記操向部材の操作状態に応じた転舵角となるように前記転舵アクチュエータを駆動すると共に、前記転舵部の転舵状態に応じた操舵反力を付与するように前記操舵反力アクチュエータを駆動するステアバイワイヤ制御モードを、操舵機能モードとして少なくとも有し、
    前記操舵機能モードが前記ステアバイワイヤ制御モードに設定されている際において、
    前記操舵トルク情報取得部により取得された操舵トルクが、予め定められる操舵トルク閾値を超えており、かつ、前記操舵トルクが前記操舵トルク閾値を継続して超えている時間が、適宜定められる継続猶予時間閾値を超えている場合に、前記連結部を結合状態に切り替えさせる動作制御を行い、
    前記継続猶予時間閾値は、前記操舵トルクが大きいほど短くなるように、該操舵トルクの変化に関連付けて可変設定される、
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    前記制御部は、前記操舵トルク情報取得部により取得された操舵トルクが、前記操舵反力アクチュエータに固有の反力トルクに係る限界値に基づく反力トルク閾値まで到達した場合に、前記連結部を結合状態に切り替えさせる動作制御を速やかに行う、
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用操舵装置であって、
    前記操舵トルク情報取得部は、磁歪式トルクセンサを介して前記操向部材の操舵トルクに係る情報を取得する、
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
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