JP2014205156A - 接合体の製造方法、抵抗スポット溶接装置及びそれに用いられる複合電極 - Google Patents

接合体の製造方法、抵抗スポット溶接装置及びそれに用いられる複合電極 Download PDF

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Abstract

【課題】3枚以上の金属板を含む板組をスポット溶接する場合であっても、ナゲットを安定して形成できる接合体の製造方法を提供する。【解決手段】本実施形態による接合体の製造方法では、薄板(2)と複数の厚板(3)とを含む板組(1)のうち、薄板(2)の表面に、凸形状の先端面を有する集中電極(30)を接触し、厚板(3B)の表面に、中心軸(CL40)の周りに通電領域(410)が配置された先端面(400)を有する分散電極(40)を接触して抵抗スポット溶接を実施する。続いて、分散電極(40)に替えて、新たな集中電極を厚板(3B)の表面に接触して、抵抗スポット溶接を実施する。【選択図】図9

Description

本発明は、接合体の製造方法に関し、さらに詳しくは、積層された複数の金属板を含む板組に対して抵抗スポット溶接を実施して製造される接合体の製造方法、抵抗スポット溶接装置、及び、抵抗スポット溶接装置に利用される複合電極に関する。
自動車等の輸送用機械及び産業用機械等の製造では、抵抗スポット溶接が利用される。輸送用機械及び産業用機械等は、複数の構造部品を備え、構造部品は、複数の接合体で構成される。接合体は、抵抗スポット溶接により製造される。
抵抗スポット溶接は、たとえば、次のとおり行われる。接合体の素材である板組を準備する。板組は、複数の金属板が積層されている。一対の電極で、板組を挟んで加圧する。電極の加圧力が基準値を超えると、一方の電極から他方の電極へ大電流(溶接電流)が流れる。板組内において、加圧により隣り合う金属板が接触した部分(以下、接触部という)で抵抗熱が発生し、接触部が溶融してナゲットが形成される。ナゲットの形成により、金属板同士が接合され、接合体が製造される。
輸送用機械の分野では、車体の衝突安全性の向上を目的として、たとえば、車体にリインフォースメントを含む構造が採用される場合がある。車体の外装であるパネルと、車体の骨組みであるメンバーとの間に、リインフォースメントが配置される。この場合、3枚以上の金属板(パネル、リインフォースメント及びメンバー)を重ね合わせた板組が抵抗スポット溶接される。通常、パネルは、メンバー及びリインフォースメントよりも薄い。したがって、板組を構成する複数の金属板のうち、板組の一方の表面側に最も薄い金属板(パネル)が配置され、反対側の表面側にパネルよりも厚い金属板が配置される。以降、板組を構成する複数の金属板のうち、最も薄い金属板を「薄板」といい、「薄板」よりも厚い金属板を「厚板」という。
車体等の組み立てに使用される抵抗スポット溶接では、板厚に応じたナゲット径を有するナゲットの形成が要求される。上述のような3枚以上の金属板を含む板組では、板厚比が大きくなる。板厚比は、次の式で定義される。
板厚比=板組の総板厚/板組のうち外側に配置された最も薄い金属板(薄板)の板厚
板厚比が大きい場合、厚板同士の接触部(以下、厚板接触部という)では、熱抵抗が高いため発熱しやすく、溶融しやすい。そのため、厚板接触部に形成されるナゲットのナゲット径は大きくなりやすい。しかしながら、薄板と厚板との接触部(以下、薄板接触部という)では、熱抵抗が小さいため、薄板接触部では、ナゲット径を大きくしにくい。
溶接電流を増加すれば、ナゲット径も大きくなる。しかしながら、溶接電流が過剰に大きくなれば、厚板接触部や薄板接触部から、溶融した金属が飛散する。このような飛散する溶融金属は「チリ」と呼ばれる。
チリが発生すれば、ナゲットの体積が減少して接合部の品質が低下する。さらに、飛散したチリが板組の表面に付着すれば、外観品質が低下する。したがって、抵抗スポット溶接においては、チリの発生を抑制しつつ、板厚に応じたナゲット径を満たすナゲットを安定して形成することが要求される。
3枚以上の金属板を含む板組において、チリの発生を抑制しつつ十分な大きさのナゲットを形成する技術が、特開2008−161878号公報(特許文献1)、特開2003−251468号公報(特許文献2)、及び、特開2008−93707号公報(特許文献3)に提案されている。
特許文献1に開示された抵抗スポット溶接方法では、初めに、薄板のうち接合すべき部分を他の部分よりも一段高く形成する。先端面が球面の電極で、一段高く形成された部分を押しつぶして、薄板接触部を溶接する。その後、2つの電極で板組を加圧して厚板接触部を溶接する。
特許文献2に開示された抵抗スポット溶接方法では、板組の一方の表面の薄板に当接する電極チップの先端径を、板組の他方の表面の厚板と当接する電極チップの先端径よりも小さくする。この場合、薄板と電極チップとの接触面積は、厚板と電極チップとの接触面積よりも小さい。そのため、電流密度は薄板側から厚板側に向かうにしたがって小さくなる。そのため、薄板接触部も溶接され、薄板の溶接強度を高めることができる、と特許文献2では記載されている。
特許文献3に開示された抵抗スポット溶接方法では、薄板表面に、凸曲面状の先端面を有する電極を接触し、厚板表面に、窪みを設けた先端を有する電極を接触する。この場合、電極と薄板との接触面積は、電極と厚板との接触面積よりも小さい。そのため、薄板接触部においてもナゲットが形成され易くなり、ナゲットが広範囲にわたって成長する、と特許文献3には記載されている。
特開2008−161878号公報 特開2003−251468号公報 特開2008−93707号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、抵抗スポット溶接を実施する前に、薄板の一部を加工する必要がある。また、加工部分を電極で押しつぶすため、溶接後の加工部分には痕が残る。
特許文献2及び特許文献3の方法では、厚板接触部においてナゲットが優先的に成長する。そのため、薄板接触部におけるナゲットが十分に成長する前に、厚板接触部のナゲットが過剰に成長し、この部分からチリが発生する場合がある。
本発明の目的は、3枚以上の金属板を含む板組をスポット溶接する場合であっても、ナゲットを安定して形成できる接合体の製造方法を提供することである。
本実施の形態による接合体の製造方法は、積層された複数の金属板を含み、最も薄い金属板が第1最外層に配置される板組を準備する工程と、凸形状の先端面を有する第1集中電極を第1最外層の表面に接触し、自身の中心軸周りに配置される1又は複数の通電領域を先端面に有する分散電極を板組の第1最外層と反対側の第2最外層の表面に接触して、抵抗スポット溶接を実施する第1溶接工程と、第1溶接工程の後、第1集中電極を第1最外層の表面に接触し、分散電極に替えて、凸形状の先端面を有する第2集中電極を第2最外層の表面に接触して、抵抗スポット溶接を実施する第2溶接工程とを備える。
本実施の形態による接合体の製造方法では、3枚以上の金属板を含む板組をスポット溶接する場合であっても、ナゲットを安定して形成できる。
図1は、接合体の素材である板組の断面図である。 図2は、第1の実施の形態で使用する抵抗スポット溶接装置の模式図である。 図3は、集中電極の一例を示す側面図である。 図4は、分散電極の先端部の側面の断面図及び平面図である。 図5は、図4に示す分散電極と異なる他の分散電極の先端部の側面図及び平面図である。 図6は、図4及び図5に示す分散電極と異なる他の分散電極の先端部の側面の断面図及び平面図である。 図7は、第1の実施の形態による接合体の製造方法の第1溶接工程を示す模式図である。 図8は、図7を集中電極の中心軸方向から見た場合における、集中電極と板組との接触領域と、分散電極の通電領域との位置関係を示す図である。 図9は、第1溶接工程における溶接電流の流れを示す模式図である。 図10は、第1溶接工程においてナゲット形成過程を説明するための模式図である。 図11は、図10に続く、ナゲット形成過程を説明するための模式図である。 図12は、第2溶接工程を説明するための模式図である。 図13は、第2溶接工程においてナゲット形成過程を説明するための模式図である。 図14は、比較例1の抵抗スポット溶接を説明するための模式図である。 図15は、比較例2の抵抗スポット溶接を説明するための模式図である。 図16は、比較例3の抵抗スポット溶接を説明するための模式図である。 図17は、ねじり試験におけるナゲット径の算出方法を説明するための模式図である。 図18は、実施例のナゲット径と溶接電流との関係を示す図である。 図19は、比較例1のナゲット径と溶接電流との関係を示す図である。 図20は、比較例2のナゲット径と溶接電流との関係を示す図である。 図21は、比較例3のナゲット径と溶接電流との関係を示す図である。 図22は、比較例4のナゲット径と溶接電流との関係を示す図である。 図23は、第2の実施の形態による抵抗スポット溶接装置の模式図である。 図24は、図23中の複合電極の側面図及び平面図である。 図25は、図24に示す複合電極の動作を説明するための模式図である。 図26は、第3の実施の形態による抵抗スポット溶接装置の模式図である。 図27は、図26を用いて接合体の製造方法のうち、第1溶接工程初期の組板と電極との関係を説明するための模式図である。 図28は、図26を用いて接合体の製造方法のうち、第2溶接工程初期の組板と電極との関係を説明するための模式図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
本実施の形態による接合体の製造方法は、積層された複数の金属板を含み、最も薄い金属板が第1最外層に配置される板組を準備する工程と、凸形状の先端面を有する第1集中電極を第1最外層の表面に接触し、自身の中心軸周りに配置される1又は複数の通電領域を先端面に有する分散電極を板組の第1最外層と反対側の第2最外層の表面に接触して、抵抗スポット溶接を実施する第1溶接工程と、第1溶接工程の後、第1集中電極を第1最外層の表面に接触し、分散電極に替えて、凸形状の先端面を有する第2集中電極を第2最外層の表面に接触して、抵抗スポット溶接を実施する第2溶接工程とを備える。
本実施の形態による接合体の製造方法では、第1溶接工程において、第1集中電極と分散電極とで板組を挟んで抵抗スポット溶接を実施する。このとき、第1集中電極の先端面のうち、第1最外層の表面と接触する部分(以下、接触領域という)は、1又は複数の通電領域と同軸に配置されない。つまり、1又は複数の通電領域は、接触領域とずれて配置される。この場合、板組のうち、薄板接触部(最も薄い金属板と、その金属板に隣接する金属板との接触部分)では、1つの束状の溶接電流が流れる。しかしながら、厚板接触部(最も薄い金属板以外の金属板同士の接触部分)では、電流は放射状又は分岐して流れる。そのため、第1溶接工程では、第1集中電極の中心軸上の薄板接触部ではナゲットが形成されるものの、第1集中電極の中心軸上の厚板接触部ではナゲットが形成されない。
一方、第2溶接工程では、第1及び第2集中電極を用いて抵抗スポット溶接を実施する。この場合、第1集中電極の中心軸上の厚板接触部に溶接電流が流れ、過剰な溶接電流を流さなくても、厚板接触部に適切なサイズのナゲットが形成される。
以上のとおり、上記製造方法では、第1溶接工程で薄板接触部にナゲットを形成でき、第2溶接工程で厚板接触部にナゲットを形成できる。そのため、過剰な溶接電流を流すことなく、薄板接触部及び厚板接触部に適切なサイズのナゲットを形成でき、チリの発生も抑制できる。
上記製造方法において、第1溶接工程では、前記第1集中電極の中心軸方向から見たとき、通電領域は、通電開始時において、第1集中電極の先端面のうち前記第1最外層の表面と接触する接触領域の周りに配置される。
この場合、第1溶接工程において、溶接電流は、第1集中電極の中心軸上の薄板接触部を通過するものの、第1集中電極の中心軸上の厚板接触部を避けて流れる。そのため、薄板接触部にはナゲットが形成されるが、厚板接触部にはナゲットが形成されない。そのため、第2溶接工程において、厚板接触部で抵抗発熱を効率よく発生させることができ、厚板接触部において適切なサイズのナゲットを形成できる。
上記製造方法において、分散電極は、第2集中電極の周りに配置されてもよい。この場合、第1溶接工程では、通電領域を第2最外層の表面と接触し、第2集中電極の先端面を第2最外層の表面から離して配置した後、抵抗スポット溶接を実施する。第2溶接工程では、第2集中電極を分散電極に対して相対的に移動して、通電領域を第2最外層の表面から離し、第2集中電極の先端面を第2最外層の表面に接触した後、抵抗スポット溶接を実施する。
この場合、第2溶接工程を実施するために、分散電極を第2集中電極と取り替えなくてもよい。そのため、作業効率が高まる。
上記製造方法において、分散電極は、第2集中電極の周りに配置され、第2集中電極の先端面は、通電領域よりも第2最外層の表面から離れて配置されてもよい。この場合、第1溶接工程では、通電領域を第2最外層の表面に接触した後、前記抵抗スポット溶接を実施する。第2溶接工程では、第1溶接工程での抵抗スポット溶接により板組が変形して第2最外層の表面が第2集中電極の先端面に接触した後、抵抗スポット溶接を実施する。
この場合、第2溶接工程を実施するために、分散電極を第2集中電極と取り替えなくてもよい。
本実施の形態による抵抗スポット溶接装置は、集中電極と、複合電極とを備える。集中電極部は、凸状の先端面を有する。複合電極は、第1集中電極と対向して配置される。複合電極は、集中電極部と、分散電極部とを備える。集中電極部は、凸状の先端面を有する。分散電極部は、集中電極部の周りに配置され、1又は複数の通電領域を含む先端面を有する。集中電極部及び分散電極部の一方は、他方に対して複合電極の軸方向に相対的に移動可能である。
本実施の形態による抵抗スポット溶接装置では、上述の第2溶接工程において、分散電極部を第2集中電極部と交換して取り付ける必要がない。そのため、作業効率が高まる。
本実施の形態による抵抗スポット溶接装置は、集中電極と、複合電極とを備える。集中電極は、凸形状の先端面を有する。複合電極は、集中電極と対向して配置される。複合電極は、集中電極部と、分散電極部とを備える。集中電極部は、凸状の先端面を有する。分散電極部は、集中電極部の周りに配置され、1又は複数の通電領域を含む先端面を有する。通電領域は、集中電極部の先端面よりも集中電極の先端面の近くに配置される。
本実施の形態による抵抗スポット溶接装置では、上述の第2溶接工程において、分散電極部を第2集中電極部と交換して取り付ける必要がない。そのため、作業効率が高まる。
本実施形態による複合電極は、上述の製造方法及び抵抗スポット溶接装置に利用される。
上述の特徴を有する本実施形態による接合体の製造方法について、詳しく説明する。
[第1の実施の形態]
[接合体の製造方法]
本実施の形態による接合体の製造方法は、複数枚の金属板が積層された板組を準備する工程(準備工程)と、板組のうち薄板接触部にナゲットを形成する工程(第1溶接工程)と、板組のうち厚板接触部にナゲットを形成する工程(第2溶接工程)とを備える。本実施形態では、抵抗スポット溶接を2段階で実施することにより、薄板接触部及び厚板接触部のそれぞれに、チリの発生を抑制しつつ適切なサイズのナゲットを形成する。以下、各工程について詳述する。
[準備工程]
初めに、図1に示す板組1を準備する。板組1は、積層された複数の金属板2、3A及び3Bを含む。板組のうち最外層には、複数の金属板のうち最も薄い金属板2が配置される。各金属板3A、3Bの厚みは異なっていてもよいし、同じであってもよい。以降の説明では、最も薄い金属板2を薄板2と称し、他の金属板3A、3Bを厚板3A、3Bと称する。以降の説明において、厚板3A及び3Bを区別する必要がない場合、厚板3と称する。
たとえば、接合体が車体に利用される場合、厚板3はリインフォースメントとメンバーであり、薄板2はパネルである。図1中の板組1は3枚の金属板を備えるが、板組1は4枚以上の金属板を含んでいてもよい。この場合であっても、板組1の一方の最外層には、最も薄い金属板2が配置される。
[第1溶接工程]
続いて、準備された板組1に対して抵抗スポット溶接を実施する(第1溶接工程)。第1溶接工程では、板組1のうち、薄板2と厚板3Aとの接触部分(薄板接触部)を溶接してナゲットを形成し、厚板3Aと厚板3Bとの接触部分(厚板接触部)にはナゲットを形成しない。
図2は、抵抗スポット溶接装置10の模式図である。抵抗スポット溶接装置10は、図示しないロボットアームと、溶接ガン20とを備える。溶接ガン20は、ロボットアームの手首の先端に取り付けられる。
溶接ガン20は、ガンアーム21と、集中電極30と、分散電極40と、昇降装置22と、電流制御装置23とを備える。
集中電極30は、ガンアーム21の可動側に配置される。具体的には、集中電極30は、昇降装置22が配置されるガンアーム21の上部に配置される。集中電極30は、シャンク31と、電極チップ32とを備える。シャンク31は棒状の部材であり、先端に電極チップ32が装着される。電極チップ32はたとえば、周知のキャップチップである。
分散電極40は、ガンアーム21の固定側に配置され、集中電極30と対向して配置される。分散電極40は、棒状のシャンク41と、電極チップ42とを備える。電極チップ42は、分散電極40の先端部分(シャンク41の先端)に配置される。
昇降装置22は、集中電極30の後端部に結合され、集中電極30を昇降する。より具体的には、昇降装置22は、集中電極30を、集中電極30の中心軸方向にスライドする。これにより、集中電極30及び分散電極40は、板組1を挟み、かつ、加圧できる。
図2では、集中電極30をガンアーム21の可動側に配置し、分散電極40をガンアーム21の固定側に配置する。しかしながら、集中電極30をガンアーム21の固定側に配置し、分散電極40をガンアーム21の可動側に配置してもよい。
電流制御装置23は、集中電極30に電流を供給する。これにより、集中電極30から分散電極40に電流が流れる。
電極チップ32と、電極チップ42とは、形状が異なる。電極チップ32は、凸状の先端面300を有する。先端面300は単一の曲率を有していてもよいし、複数の曲率を有してもよい。たとえば、先端面の最先端部分の曲率が他の部分の曲率よりも小さくてもよい。また、先端面の最先端部分が平坦であってもよい。電極チップ32の先端面300は、図3に示すように円錐台状であってもよいし、円柱状(図示せず)であってもよい。
図2及び図4を参照して、電極チップ42の先端面400は、中心軸CL40周りに配置される通電領域410を含む。図4では、通電領域410は円環状である。先端面400のうち、通電領域410の内側の表面部分420は窪んでいる。そのため、抵抗スポット溶接時において、表面部分420は、板組1と接触せず、通電しない領域(非通電領域)となる。表面部分420は、中心軸CL40上に配置されるため、中心軸CL40上の表面部分は非通電領域となる。
先端面400は図4の形状に限られない。たとえば、図5に示すとおり、通電領域410は、中心軸CL40周りに複数形成されてもよい。図5では、通電領域410は、先端面410の他の部分420よりも、先端側に突出して配置されている。図5では、通電領域410が2つ配置されているが、通電領域410が3つ以上配置されてもよい。図5では、通電領域410よりも電極チップ42の後端側に配置された表面部分420が、非通電領域となる。本例においても、中心軸上の表面部分は非通電領域である。
図6に示すとおり、先端面410のうち、通電領域410以外の部分に、絶縁体が充填されてもよい。この場合、通電領域410以外の表面部分420は、通電領域410と同じ高さに配置される。この場合、中心軸CL40を含む表面部分420が、非通電領域となる。
要するに、先端面400では、中心軸CL40を含む領域(表面部分420)では、通電せず、中心軸CL40から離れて、中心軸CL40周りに配置される1又は複数の通電領域410で通電する。
以上の構成を有する抵抗スポット溶接装置10を用いて、第1溶接工程を実施する。初めに、図7に示すとおり、集中電極30と分散電極40とで、板組1を挟む。具体的には、昇降装置22で集中電極30を分散電極40側にスライドして、板組1を挟んで加圧する。このとき、分散電極40は、集中電極30と同軸に配置される。集中電極30の先端面300の先端部分は、組板1の最外層である薄板2の表面と接触して接触領域350を形成する。
図8は、図7を集中電極30の中心軸CL30方向から見た場合(つまり、平面視の場合)における、接触領域350と、分散電極40の通電領域410との位置関係を示す図である。図8を参照して、接触領域350は、電極30の中心軸CL30上(中心軸CL30を含む領域)に形成される。一方、通電領域410は、中心軸CL30から離れて、中心軸CL30周りに配置される。通電領域410が板組1のうち薄板2と反対側の最外層である厚板3Bと接触する。
このように、通電領域410は、接触領域350の周りに配置される。特に、通電開始時において、通電領域410は接触領域350の外側に配置される。そのため、集中電極30と分散電極40との間で通電すると、溶接電流Iの流れは、図9に示すとおりとなる。
図9を参照して、陽極である集中電極30の接触領域350から、陰極である分散電極40の通電領域410に向かって、電流Iが流れる。この場合、電流Iは、1つの束となって流れ、中心軸CL30上の薄板接触部200を通過する。そのため、薄板接触部200は溶融しやすく、ナゲットが形成されやすい。
一方、通電領域410は、中心軸CL30から離れて中心軸CL30周りに配置される。そのため、薄板接触部200を通過した溶接電流は1つの束から放射状又は分岐して流れ、通電領域410に至る。したがって、薄板接触部200と同軸上(つまり、中心軸CL30上)の厚板接触部250には、溶接電流Iは流れない。そのため、第1溶接工程では、厚板接触部250は溶融しにくく、ナゲットが形成されにくい。
厚板接触部のうち、溶接電流Iが流れる厚板接触部260では、溶接電流Iが分岐しているため、電流密度が小さい。そのため、接触部260も溶融しにくい。
上述のとおり、薄板接触部200では1つの束の溶接電流Iが流れる。そのため、図10に示すとおり、薄板接触部200では、ナゲット201を形成しやすく、通電時間が長くなるに従い、図11に示すとおり、薄板接触部200のナゲット201は増大する。一方、溶接電流Iは厚板接触部250を避けて流れるため、厚板接触部250は溶融しにくく、通電時間が長くなっても、厚板接触部250にはナゲットが形成されにくい。
以上のとおり、第1溶接工程では、溶接電流値を過剰に高くしなくても、薄板接触部200に所定のサイズを満たすナゲット201を形成しやすい。そのため、ナゲット201を形成するときにチリが発生するのを抑制できる。
さらに、厚板接触部250に溶接電流Iが流れないため、厚板接触部250が溶着しにくい。そのため、溶着により厚板接触部の通電性が高まるのを抑制できる。
[第2溶接工程]
第1溶接工程の後、第2溶接工程を実施する。第2溶接工程では、図12に示すとおり、分散電極40に替えて、集中電極50を配置する。集中電極50は、集中電極30と同様に、凸形状の先端面を有する。
集中電極30及び50で板組1を挟み、加圧する。具体的には、集中電極30を、板組1の最外層である薄板2の表面に接触し、集中電極50を、反対側の最外層である厚板3Bの表面に接触する。このとき、集中電極50は、集中電極40と同軸に配置される。
抵抗スポット溶接を開始すると、集中電極30から集中電極50に向かって、1つの束の溶接電流Iが流れる。このとき、溶接電流Iは分岐しない。そのため、厚板接触部250には溶接電流Iが流れる。
薄板接触部200にはナゲット201が既に形成されるものの、厚板接触部250にはナゲットが形成されておらず、溶着もほぼ発生していない。そのため、電流Iが流れると、厚板接触部250では抵抗発熱が発生し、厚板接触部250が溶融する。そのため、図12に示すとおり、厚板接触部250にナゲット251が形成される。図13に示すとおり、通電時間の増大とともに、ナゲット251が増大し、所定のナゲット径を満たす。
薄板接触部200には既に十分な大きさのナゲット201が形成されている。そのため、ナゲット201をさらに成長させるために溶接電流値を上げたり、通電時間を長くしたりする必要がない。そのため、過剰な溶接電流値及び通電時間により、ナゲット251又はナゲット201からチリが発生するのを抑制できる。
以上の工程により接合体が製造される。第1及び第2溶接工程は、複数回繰り返して実施してもよい。製造された接合体では、薄板接触部200及び厚板接触部250に、十分なナゲット径を有するナゲットが形成される。さらに、形成時に過剰な電流値及び通電時間を必要としないため、チリが発生しにくい。そのため、本実施形態の製造方法では、チリの発生を抑制しながら、十分な大きさのナゲットを安定して製造できる。以下、この点について実験結果を示して詳述する。
[実験方法]
種々の電極を用いて、抵抗スポット溶接を実施した。
[実施例]
実施例では、上述の本実施形態による接合体の製造方法であり、第1溶接工程として、図10に示すとおり、集中電極30と分散電極40とで板組1を挟んで加圧し、抵抗スポット溶接を実施した。続いて、第2溶接工程として、図12に示すように、集中電極30及び50で板組1を挟んで加圧し、抵抗スポット溶接を実施した。
集中電極30(電極チップ32)の直径D32(図10参照)は16mmであり、先端面のうち、接触領域350を形成する最先端部分以外の表面部分の曲率半径は8mmであった。最先端部分の直径D350(図10参照)は6mmであり、曲率半径は40mmであった。集中電極50の形状も、集中電極30と同じであった。分散電極40の電極チップ42の直径D42は30mmであり、非通電領域である表面部分420の直径D420は11mmであった。
使用した板組1は、厚さ1.8mmであって590MPaの引張強度を有する2枚の厚板3A、3Bと、厚さ0.7mmであって270MPaの引張強度を有する1枚の薄板2とを備えた。
第1及び第2溶接工程における加圧力は320kgfであった。第1溶接工程での溶接電流値は9.4kAで一定であり、通電時間は7cycleであった(1cycleは1/60秒)。第2溶接工程での溶接電流値を変化させた。第2溶接工程での通電時間は25cycleであった。
[比較例1]
比較例1では、図14に示すとおり、集中電極30及び50で板組1を挟んで加圧し、抵抗スポット溶接を1工程のみ実施した。板組1の素材及び構成は実施例と同じであった。また、抵抗スポット溶接時の加圧力も実施例と同じであった。比較例1においても抵抗スポット溶接時の溶接電流値を変化させた。通電時間は25cycleであった。
[比較例2]
比較例2では、図15に示すとおり、集中電極30と分散電極40とで板組1を挟んで加圧し、抵抗スポット溶接を1工程のみ実施した。板組1の素材及び構成、加圧力、通電時間の条件は比較例1と同じであった。比較例2においても、抵抗スポット溶接時の溶接電流値を変化させた。
[比較例3]
比較例3では、図16に示すとおり、集中電極30と、円盤電極60とで板組1を挟んで加圧し、抵抗スポット溶接を1工程のみ実施した。図16に示すとおり、円盤電極60の先端面は平坦な円形状であり、その直径は40mmであった。その他の条件は比較例1と同じであった。
[比較例4]
比較例4では、実施例での第1溶接工程と第2溶接工程との順番を逆にした。すなわち、初めに、集中電極30及び50で板組1を挟み、抵抗スポット溶接を実施した(第1溶接工程)。その後、集中電極50に替えて分散電極40を板組1に接触し、集中電極30と分散電極40とで板組1を挟み、抵抗スポット溶接を実施した(第2溶接工程)。
第1溶接工程での溶接電流値は7kAで一定あり、通電時間は18cycleであった。第2溶接工程での通電時間は7cycleであり、溶接電流値を変化させた。
実施例及び比較例1〜4の抵抗スポット溶接時において、チリの発生有無を目視により判断した。
[ねじり試験]
実施例及び比較例1〜4の抵抗スポット溶接により製造された接合体に対して、ねじり試験を実施した。具体的には、薄板2に対して厚板3をねじって、薄板接触部200に形成されたナゲット201を破断させた。図17は試験後の厚板3Aの平面図である。ナゲットの破断面240のうち、互いに直交する2方向の直径D1及びD2の平均値を、薄板接触部200でのナゲット径D200と定義した。
同様に、厚板3A及び厚板3Bの接合部分に対しても、ねじり試験を実施し、厚板接触部250でのナゲットの破断面のうち、互いに直交する2方向の直径の平均値を、厚板接触部250でのナゲット径D250と定義した。
本試験では、薄板接触部200及び厚板接触部250のナゲット径が、4.5√(t)以上であれば、十分なサイズのナゲットが形成されたと判断した。上述のとおり、薄板接触部200でのtは、薄板2の厚さ0.7mmであり、厚板接触部250でのtは、厚板3の厚さ1.8mmであった。したがって、本試験では、薄板接触部200でのナゲット径が3.76mm以上であり、かつ、厚板接触部250でのナゲット径が6.04mm以上であれば、十分なサイズのナゲットが形成されたと判断した。以降の説明では、基準ナゲット径Dref200=3.76mmと定義し、基準ナゲット径Dref250=6.04mmと定義する。
[試験結果]
図18は、実施例のナゲット径D200、D250と溶接電流との関係を示す図である。図19〜21は、比較例1〜比較例4のナゲット径D200、D250と溶接電流との関係を示す図である。図18(実施例)及び図22(比較例4)の横軸は、第2溶接工程
での溶接電流値を意味する。
図中の「Splash」が示された地点は、その地点からチリが発生したことを意味する。また、図中で「Dref200」と記載された破線は、薄板接触部200における基準ナゲット径(=4.5√(t)=3.76mm)を示し、「Dref250」と記載された破線は、厚板接触部250における基準ナゲット径(=4.5√(t)=6.04mm)を示す。図中の白丸印(Open circle mark)は、ナゲット径D200を意味し、白ダイヤ印(Open diamond mark)は、ナゲット径D250を意味する。
図18を参照して、本実施形態の接合体の製造方法の実施例の場合、ナゲット径D200は、いずれの溶接電流値においても、基準ナゲット径Dref200を大きく超えた。さらに、ナゲット径D250は、溶接電流7kA〜8kAの広い範囲SRで、基準ナゲット径dref250を超えた。なお、溶接電流が8kAを超えると、厚板接触部250でチリが発生した。
以上のとおり、本実施形態の場合、溶接電流の広い範囲SRで、チリが発生することなく、基準ナゲット径Dref200、Dref250を満たすナゲット径を有するナゲットを形成できる。基準ナゲット径を満たすナゲットを形成可能な溶接電流範囲SRが広いほど、安定してナゲットが形成されることを示す。したがって、本実施形態では、チリの発生を抑制しつつ、サイズの大きなナゲットを安定して形成できる。
図19を参照して、比較例1では、溶接電流を増加させると、チリが発生する前にナゲット径D250が基準ナゲット径Dref250よりも大きくなった。しかしながら、ナゲット径200が基準ナゲット径Dref200を超える前に、厚板接触部250でチリが発生した。一対の集中電極を用いた抵抗スポット溶接の場合、厚板接触部250での抵抗発熱が薄板接触部200での抵抗発熱よりも大きい。そのため、厚板接触部250で優先的にナゲットが形成、成長する。そして、薄板接触部200でナゲットが十分に形成する前に、厚板接触部250でナゲットが過剰に成長し、チリが発生すると考えられる。
図20を参照して、比較例2では、ナゲット径D200は基準ナゲット径Dref200を大きく超えるものの、厚板接触部250ではナゲットが形成されなかった。抵抗スポット溶接時の溶接電流の流れは、図9のとおりになり、中心軸CL30上の厚板接触部250に溶接電流が流れないため、厚板溶接部250でナゲットが形成されなかったと考えられる。
図21を参照して、比較例3では、ナゲット径D200及びD250共に、基準ナゲット径Dref200、Dref250を超えなかった。溶接電流は、集中電極30から円盤電極60に電流が流れるに従い、放射状に広がる。そのため、集中電極30から円盤電極60に向かうに従い、電流密度は若干小さくなる。しかしながら、集中電極30の中心軸CL30上には、円盤電極60が配置されるため、集中電極30から流れた電流の大部分は、中心軸CL30上の厚板接触部250を通過する。そのため、ナゲットは厚板接触部250を中心に形成及び成長し、薄板接触部200のナゲットが十分に形成する前に、厚板接触部250からチリが発生すると考えられる。
図22を参照して、比較例4では、第1溶接工程の溶接電流を適切な範囲(本例では7kA)に設定することにより、第2溶接工程後のナゲット径D250が基準ナゲット径Dref250を超えた。しかしながら、ナゲット径D200は、基準ナゲット径Dref250を超えなかった。比較例4では、第1溶接工程で厚板接触部250に大きなナゲットが形成される。一方、薄板接触部200は溶融には至らないものの、加圧及び加熱(抵抗発熱)により圧接部を形成する。厚板接触部250に形成されたナゲットと、薄板接触部200に形成された圧接部とは、第2溶接工程で通電パスとなり、薄板接触部200での電流密度が、厚板接触部250での電流密度よりも高くならない。そのため、第2溶接工程において薄板接触部200で抵抗発熱が発生しにくく、薄板接触部200でナゲットが十分に形成されなかったと考えられる。
以上のとおり、本実施の形態による製造方法では、第1溶接工程において集中電極30と分散電極50を用いて抵抗スポット溶接を実施し、薄板接触部200にナゲットを形成する。そして、第2溶接工程において集中電極30及び50を用いて抵抗スポット溶接を実施し、厚板接触部250にナゲットを形成する。このように段階的にナゲットを形成することにより、チリの発生を抑制しつつ、薄板接触部200及び厚板接触部250共にナゲット径の大きいナゲットを安定して形成することができる。
上述の実施の形態では、集中電極30を陽極とし、分散電極40及び集中電極50を陰極とする。しかしながら、集中電極30を陰極とし、分散電極40及び集中電極50を陽極としてもよい。
また、上述の実施の形態では、図8に示すとおり、通電開始時において、通電領域410は接触領域350から離れて中心軸CL30周りに配置されている。製造された接合体の薄板接触部200に形成すべき基準ナゲット径をDref200とした場合、好ましくは、中心軸CL30方向から見た場合、通電領域410は、中心軸CL30を中心とした半径R0よりも外側の位置に配置される。半径R0は式(1)で定義される。
R0=1.2×(Dref200/2) (1)
なお、抵抗スポット溶接の実施中、通電時間の増加に従い、接触領域350も増大する。そして、第1溶接工程での通電終了時における接触領域350の直径は、薄板接触部200に形成されたナゲット201のナゲット径とほぼ同じになる。したがって、好ましくは、中心軸CL30方向から見た場合、通電領域410は、通電終了時の接触領域350よりも外側に配置される。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、第2溶接工程において、分散電極30を集中電極50と取り替えて、抵抗スポット溶接を実施する。しかしながら、取り換え作業を行うことなく、第2溶接工程を実施できる方が好ましい。
第2の実施の形態による接合体の製造方法では、図2に示した抵抗スポット溶接装置10に代えて、図23に示す抵抗スポット溶接装置70を使用する。抵抗スポット溶接装置70は、抵抗スポット溶接装置10と比較して、分散電極40に代えて、複合電極80と、昇降装置83とを備える。抵抗スポット溶接装置70のその他の構成は、抵抗スポット溶接装置10と同じである。
複合電極80は、集中電極部81と、分散電極部82とを備える。図24は、複合電極80の側面図及び平面図である。図23及び図24を参照して、集中電極部81は、集中電極30と同様に、凸形状の先端面を有する。分散電極部82は、集中電極部81の周りに配置される。より具体的には、分散電極部82は、複合電極80の中心軸CL80周りであって、集中電極部81の外周面よりも外側に配置される。本例では、分散電極部82は筒状である。しかしながら、分散電極部82の形状はこれに限定されない。集中電極部81と分散電極部82とは中心軸CL80と同軸に配置される。
分散電極部82の先端面820は、分散電極40と同様に、中心軸CL80周りに配置される1又は複数の通電領域821を含む。図24では、先端面820全体が、通電領域821を構成する。しかしながら、先端面820の一部が、1又は複数の通電領域821であってもよい。
昇降装置83は、集中電極部81を分散電極部82に対して、中心軸CL80方向に相対的に移動する。したがって、集中電極部81は、分散電極部82に対して相対的に移動可能である。昇降装置83はたとえば、電動式又は油圧式のシリンダである。
以上の構成を有する抵抗スポット溶接装置70を用いた接合体の製造方法は次のとおりである。
準備工程及び第1溶接工程は、第1の実施の形態と同じである。なお、第1溶接工程において、複合電極80の集中電極部81の先端面は、分散電極部82の先端面820よりも下方に配置される。換言すれば、集中電極部81の先端面は、分散電極部82の先端面820よりも、対向する集中電極30の先端面から離れて配置される。したがって、第1溶接工程では、分散電極部82の通電領域821(先端面820)が板組1の最外層の厚板3Bの表面と接触し、集中電極部81の先端面は厚板3Bの表面から離れて配置される。そのため、第1の実施の形態と同様の抵抗スポット溶接が実施される。
第2溶接工程において、抵抗スポット溶接装置70では、図25に示すとおり、昇降装置83を用いて集中電極部81を分散電極部82に対して相対的にスライドし、軸方向CL80方向に上昇させる。このとき、集中電極部81の先端面は、分散電極部82の通電領域821よりも、対向する集中電極30の先端面側に配置される。要するに、集中電極部81が分散電極部82よりも板組1側に突出する。
その後、集中電極30と集中電極部81とで板組1を挟む。このとき、集中電極部81は、板組1の厚板3Bの表面と接触し、通電領域821は厚板3Bの表面から離れて配置される。これにより、第1の実施の形態と同様に、集中電極同士で挟んだ抵抗スポット溶接を実施できる。
以上のとおり、第2の実施の形態では、第2溶接工程において分散電極40を集中電極30に取り替える手間が省ける。
上述の説明では、集中電極部81が、分散電極部82に対して中心軸CL80方向に移動する。しかしながら、分散電極部82が昇降装置83と接続され、集中電極部81に対して相対的に移動してもよい。集中電極部81及び分散電極部82が共に、中心軸CL80方向に移動可能であってもよい。
[第3の実施の形態]
図26は、第3の実施の形態による接合体の製造方法に使用される抵抗スポット溶接装置90の模式図である。図26を参照して、抵抗スポット溶接装置90は、抵抗スポット溶接装置70と比較して、複合電極80に代えて、複合電極110を備える。抵抗スポット溶接装置90のその他の構成は、抵抗スポット溶接装置70と同じである。
複合電極110は、集中電極部120と、分散電極部130とを備える。集中電極部120の構成は集中電極部81と同じであり、分散電極部130の構成は分散電極部82と同じである。
抵抗スポット溶接装置90は、昇降装置83を有さない。したがって、集中電極部120は分散電極部130に対して固定されている。具体的には、分散電極部130の通電領域(先端面)は、集中電極部120の先端面よりも複合電極110の先端側に配置される。したがって、分散電極部130の通電領域は、集中電極部の先端面よりも、対向して配置される集中電極30の先端面の近くに配置される。
第3の実施の形態による接合体の製造方法は次のとおりである。
準備工程及び第1溶接工程は、第1及び第2の実施の形態と同じである。第1溶接工程において、抵抗スポット溶接開始時では、図27に示すとおり、集中電極30は、板組1の薄板2の表面と接触する。一方、分散電極部130の通電領域(先端面)が板組1の厚板3Bの表面と接触し、集中電極部120の先端面は、板組1の厚板3Bの表面から離れて配置される。したがって、集中電極30と分散電極部130とで板組1を挟み、加圧する。この場合、溶接電流は、図9に示すとおりに板組1内を流れる。
通電時間が長くなるに従い、板組1のうち、集中電極30と分散電極部130とで挟まれた部分が発熱により軟化し、変形する。そして、図28に示すとおり、板組1の変形により、集中電極部120の先端面に、板組1のうちの厚板3Bの表面が接触する。このとき、集中電極30と集中電極部120との間で溶接電流が流れる。したがって、第2溶接工程が開始され、第1及び第2の実施の形態と同様に、厚板接触部においてナゲットが形成される。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
1 板組
2 薄板
3A、3B 厚板
10,70、90 抵抗スポット溶接装置
30,50 集中電極
40 分散電極
80,110 複合電極

Claims (8)

  1. 積層された複数の金属板を含み、最も薄い金属板が第1最外層に配置される板組を準備する工程と、
    凸形状の先端面を有する第1集中電極を前記第1最外層の表面に接触し、自身の中心軸周りに配置される1又は複数の通電領域を先端面に有する分散電極を前記板組の前記第1最外層と反対側の第2最外層の表面に接触して、抵抗スポット溶接を実施する第1溶接工程と、
    前記第1溶接工程の後、前記第1集中電極を前記第1最外層の表面に接触し、前記分散電極に替えて、凸形状の先端面を有する第2集中電極を前記第2最外層の表面に接触して、抵抗スポット溶接を実施する第2溶接工程とを備える、接合体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の接合体の製造方法であって、
    前記第1溶接工程では、前記第1集中電極の中心軸方向から見たとき、前記通電領域は、前記第1集中電極の先端面のうち前記第1最外層の表面と接触する接触領域の周りに配置される、接合体の製造方法。
  3. 請求項1に記載の接合体の製造方法であって、
    前記分散電極は、前記第2集中電極の周りに配置され、
    前記第1溶接工程では、前記通電領域を前記第2最外層の表面と接触し、前記第2集中電極の先端面を前記第2最外層の表面から離して配置した後、前記抵抗スポット溶接を実施し、
    前記第2溶接工程では、前記第2集中電極を前記分散電極に対して相対的に移動して、前記通電領域を前記第2最外層の表面から離し、前記第2集中電極の先端面を前記第2最外層の表面に接触した後、前記抵抗スポット溶接を実施する、接合体の製造方法。
  4. 請求項1に記載の接合体の製造方法であって、
    前記分散電極は、前記第2集中電極の周りに配置され、
    前記第2集中電極の先端面は、前記通電領域よりも前記第2最外層の表面から離れて配置され、
    前記第1溶接工程では、前記通電領域を前記第2最外層の表面に接触した後、前記抵抗スポット溶接を実施し、
    前記第2溶接工程では、前記第1溶接工程での前記抵抗スポット溶接により前記板組が変形して前記第2最外層の表面が前記第2集中電極の先端面に接触した後、前記抵抗スポット溶接を実施する、接合体の製造方法。
  5. 凸形状の先端面を有する集中電極と、
    前記集中電極と対向して配置される複合電極とを備え、
    前記複合電極は、
    凸形状の先端面を有する集中電極部と、
    前記集中電極部の周りに配置され、1又は複数の通電領域を含む先端面を有する分散電極部とを備え、
    前記集中電極部及び前記分散電極部の一方は、他方に対して前記複合電極の軸方向に相対的に移動可能である、抵抗スポット溶接装置。
  6. 凸形状の先端面を有する集中電極と、
    前記集中電極と対向して配置される複合電極とを備え、
    前記複合電極は、
    凸形状の先端面を有する集中電極部と、
    前記集中電極部の周りに配置され、1又は複数の通電領域を含む先端面を有する分散電極部とを備え、
    前記通電領域は、前記集中電極部の先端面よりも前記集中電極の先端面の近くに配置される、抵抗スポット溶接装置。
  7. 抵抗スポット溶接に利用される複合電極であって、
    凸形状の先端面を有する集中電極部と、
    前記集中電極部の周りに配置され、1又は複数の通電領域を含む先端面を有する分散電極部とを備え、
    前記集中電極部及び前記分散電極部の一方は、他方に対して前記複合電極の軸方向に相対的に移動可能である、複合電極。
  8. 抵抗スポット溶接に利用される複合電極であって、
    凸形状の先端面を有する集中電極部と、
    前記集中電極部の周りに配置され、1又は複数の通電領域を含む先端面を有する分散電極部とを備え、
    前記通電領域は、前記集中電極部の先端面よりも前記複合電極の先端側に配置される、複合電極。
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