JP2014202826A - 発光装置 - Google Patents

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孝教 山下
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Abstract

【課題】 本発明は、トランジスタの閾値ばらつきが補償される画素課題を、温度が異なることで輝度が異なってしまうことを解決する発光素子の駆動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 発光素子(EL)とトランジスタ(M1)と容量(C)を含む画素回路(12)と、走査回路(20)と、電圧生成回路(19)と、温度検出器(10)とを有する発光装置であって、
走査回路(20)が初期化とオートゼロと発光の各制御を行い、電圧生成回路(19)が、トランジスタ(M1)を導通状態にする初期化電圧を、温度検出器(10)の検出した温度によって異なる大きさで生成し、トランジスタ(M1)のゲートに印加する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、発光装置に関し、詳しくは、それに含まれるトランジスタの閾値電圧が温度によって変動する発光装置に関する。
表示装置・照明装置・プリンタの露光ヘッドなどの発光装置は、電流によって駆動される複数の発光素子と、発光素子を駆動する回路から形成されている。表示装置は、画素に分かれており、1つの画素に1つの発光素子が配置されている。個別の発光素子には1つずつ画素回路が備わっており、与えられた電圧信号に応じて発光素子に与える電流を発生させる。周辺駆動回路は、画素回路に入力する電圧信号と、画素回路を時間順に動作させる走査信号を生成する。異なる数色の発光素子を単位としてカラー画像が表示される。照明装置が多数の発光素子で構成されているときや、露光ヘッドが1列に並ぶ発光素子で構成されているときも、個々の発光素子を画素と呼ぶ。
発光素子に電流を供給する画素回路の駆動トランジスタは、閾値電圧にばらつきがある。駆動トランジスタのゲート‐ソース間に一定の信号電圧が印加されたとしても、駆動トランジスタの出力電流はトランジスタ毎にばらつく。ドレイン電流はそのまま発光素子に流れるため、発光素子の輝度にもばらつきが生じる。
特許文献1は、駆動トランジスタの閾値電圧に依存しない電流を生成する画素回路を開示する。
特許文献1に代表される、閾値電圧に依存しない電流を生成する画素回路の特徴は、オートゼロと呼ばれる動作にある。オートゼロ動作は、駆動トランジスタのゲートとドレインを短絡し、ドレイン電流をゲートに接続された容量に流すことによって、ゲート−ソース間を閾値電圧にする。この電圧を画素回路に備えられた容量に保持し、それに電圧信号を上乗せしてゲート−ソース間に印加する。これによって閾値電圧に依存しない電流が得られる。
特開2003−271095号公報
オートゼロに要する時間は、駆動トランジスタのコンダクタンスと、ゲートに接続された容量の大きさで決まってくる。オートゼロ動作の期間が十分に長ければ、駆動トランジスタのゲートーソース間電圧は閾値電圧に収束する。
しかし、実際の発光装置では、多数の画素を時分割で走査するので、1つの画素に割り当てられる時間は限られている。オートゼロ動作はその限られた時間内で行われる。オートゼロ動作の時間が閾値電圧までの収束時間より短いと、オートゼロ終了時のゲート−ソース間電圧は閾値電圧まで到達せず、閾値電圧より大きい電圧にとどまる。これに信号が上乗せされるので、発光時に発光素子に流れる電流は、オートゼロ時間を十分長くとって閾値電圧に収束させたときの電流に比べて大きくなり、与えられた信号を正確に反映していないことになる。通常、この電流差は、閾値ばらつきによる電流の変動よりは十分小さく、実際上問題にならない。そのようにオートゼロ時間が決められている。
しかし、温度が変動すると、この電流差が問題になってくる。
温度が高くなるにつれて閾値電圧は小さくなるため、オートゼロ終了時のゲート−ソース間電圧は温度によって異なり、高温では閾値電圧より大きく離れてくる。この結果、発光素子に流れる電流が、与えた信号に対応した値とはかけ離れた値になり、正確な輝度制御ができないという問題が生じる。
本発明は、発光素子、前記発光素子に電流を供給するトランジスタ、一端が前記トランジスタのゲートに接続された容量、前記トランジスタのゲートとドレインの間に配置された第1スイッチ、前記容量の他端をデータ線と初期化電圧線のいずれか一方に接続する第2スイッチ、ならびに前記トランジスタのゲートと前記初期化電圧線の間に配置された第3スイッチを含む画素回路と、走査線を介して前記第1ないし第3のスイッチを制御する走査回路と、前記データ線と前記初期化電圧線に出力する電圧を生成する電圧生成回路と、前記トランジスタの温度を検出する温度検出器とを有する発光装置であって、
前記走査回路は、
前記第1スイッチをオフ、前記第3のスイッチをオンにし、かつ前記第2のスイッチを前記初期化電圧線側に接続する初期化と、前記初期化の終了後、前記第1スイッチをオン、前記第3のスイッチをオフにし、かつ前記第2スイッチを前記データ線側に接続するオートゼロと、前記オートゼロの終了後、前記第1スイッチをオフ、前記第3のスイッチをオフにし、前記第2スイッチを前記初期化電圧線側に接続する発光との各制御を行い、
前記電圧生成回路は、前記初期化によって前記トランジスタを導通状態にする初期化電圧を、前記温度検出器の検出結果により異なる大きさで生成し、前記初期化電圧線に出力することを特徴とする。
温度検出器の検出結果に基づいて初期化電圧を決定することにより、オートゼロ終了時のゲート−ソース間電圧と閾値電圧の差を一定に保つことができ、輝度が温度により変動することが防止される。
本発明の第1の実施例である表示装置の構成を示すブロック図である。 第1の実施例の画素回路の構成を示す回路図である。 第1の実施例の初期化電圧の温度変化を示す図である。 初期化電圧を一定とした場合の、25℃と60℃におけるゲート電圧の時間変化を示す図である。 初期化電圧を温度によって変えた場合の、25℃と60℃におけるゲート電圧の時間変化を示す図である。 画素回路の動作を示すタイミングチャート 本発明の第2の実施例である表示装置の構成を示すブロック図である。 第2の実施例の変形例である表示装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施例である表示装置の構成を示すブロック図である。 第3の実施例の温度検出用画素回路とフィードバック回路の詳細を示す図である。
オートゼロ動作は、それに先だって駆動トランジスタを導通状態にしておく必要がある。本発明は、駆動トランジスタのゲートに初期化電圧を設定することにより駆動トランジスタを導通状態にし、初期化電圧を温度によって変化させる。初期化電圧の温度変化により、閾値電圧の温度変化が打ち消されて、発光素子に流す電流が温度によらず一定になり、輝度変動が防止される。
以下、実施例によって本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の第1の実施例である表示装置の構成を示すブロック図である。
ガラスなどの基板から作られた表示部11には、画素回路12がマトリクス状に並んでおり、走査線13−15が行方向に、電圧線16とデータ線17が列方向に設けられている。画素回路12の周囲には、初期化電圧線16とデータ線17の電圧を生成する電圧生成回路19と、走査線13−15に走査信号を与える走査回路20が設けられている。
表示部11には温度検出器10が取り付けられている。温度検出器10は、サーミスタなどの温度センサからなり、表示部11の温度を検出する。温度検出器10は、図1のように表示部11を構成する基板の縁に接して設けることが好ましいが、表示部11の温度、より詳しくは、画素回路に含まれる駆動トランジスタの温度が推定できるなら、他の位置にあってもよい。
温度検出器10は、検出した結果を電圧などの電気信号に変えて制御部21に送る。制御部21に伝えられた電気信号は、ディジタル信号に変換されてメモリ22に送られる。メモリ22は、温度と初期化電圧Viniを関係づけるテーブルを保持しており、検出温度に対応した初期化電圧Viniをディジタル信号として制御部21に送る。温度検出器10で検出した温度が60℃であったとすると、60℃の初期化電圧Vini(60℃)がメモリ22から読み出される。
制御部21は、メモリ22から読み出した初期化電圧Viniを、表示部11の電圧生成回路19に伝える。電圧生成回路19は、このディジタル信号をアナログの初期化電圧Viniに変換して表示部11の初期化電圧線16に伝える。
制御部21はまた、電圧生成回路19に画像データに応じた信号を送り、電圧生成回路がこれをデータ電圧Vdataに変換してデータ線17に与える。制御部21はまた、表示部11の走査回路20に、走査線13−15の走査開始のタイミング信号を送る。
図2は、画素回路12の詳細を示す回路図である。
画素回路12は、発光素子ELと、駆動トランジスタM1と、駆動トランジスタM1のゲートに一端が接続された容量Cを備えている。発光素子ELは、有機エレクトロルミネセンス(EL)素子や、無機EL素子、発光ダイオードなどの自発光素子である。
駆動トランジスタM1は、ゲート−ソース間電圧に応じてドレインから発光素子に電流を供給する。駆動トランジスタM1のゲートとドレインの間には、第1スイッチとして動作するトランジスタM2が配置されている。
容量Cのゲートとは反対側の端子には、データ線17との間にトランジスタM3が配置され、初期化電圧線16との間にトランジスタM4が配置されている。トランジスタM3とトランジスタM4は、一方がオンのとき他方がオフになり、双投型の第2スイッチとして働く。第2スイッチによって、容量Cのゲートとは反対側の端子は、つねにデータ線17と初期化電圧線16のどちらかに接続される。
容量Cの両端子の間には、トランジスタM5が配置されている。トランジスタM5は、トランジスタM4と同時にオンになったときに、駆動トランジスタM1のゲートを初期化電圧線16に接続する。トランジスタM4とM5の一方がオフ、または両方ともオフのとき、駆動トランジスタM1のゲートを初期化電圧線16の間は遮断される。トランジスタM4とM5は、合わせて、駆動トランジスタM1のゲートと初期化電圧線16の間の接続および遮断する役割を持っており、これを第3スイッチとよぶ。
駆動トランジスタM1のドレインは、第4スイッチとなるトランジスタM6によって発光素子ELのアノードに接続されている。
トランジスタM2−M6はスイッチとして動作し、それぞれのゲートに接続された走査線13−15によってオンまたはオフ状態に制御される。
駆動トランジスタのゲートとドレインを短絡する第1スイッチと、容量Cのゲートと反対側の端子をデータ線と初期化電圧線のどちらかに接続する第2スイッチと、駆動トランジスタのゲートに初期化電圧線の電圧を伝える第3スイッチがあり、独立に制御可能になっていることが本発明の画素回路の特徴である。
同等の制御が可能なトランジスタの配置は、図2の回路以外にも考えられる。トランジスタM5を駆動トランジスタM1のゲートと初期化電圧線16の間においてもよい。その場合は、トランジスタM5が単独で第3スイッチとなる。
図2の画素回路12は、第1スイッチ(トランジスタM2)がオン、第3スイッチ(トランジスタM4とM5の直列接続)がオフ、第4スイッチ(トランジスタM6)がオフのとき、駆動トランジスタM1のドレインから容量Cに電流が流れる。この結果、駆動トランジスタM1のゲート電圧が上昇し、やがてゲート−ソース間電圧が閾値電圧に近づくとこの電流が停止する。これがオートゼロ動作である。
このとき、容量Cのゲートとは反対側の端子は、電圧が固定されていれば良く、第2スイッチは、トランジスタM3、トランジスタM4のいずれがオンであってもよい。また、トランジスタM6をなくして、その代わり、発光素子ELに電流が流れないようにあらかじめ発光素子ELのアノード電圧を低くしておいてもよい。
オートゼロ動作が可能であるためには、その開始に先立って、駆動トランジスタM1を導通状態にしておく必要がある。第1スイッチ(トランジスタM2)をオフ、第2スイッチはトランジスタM4をオン、第3スイッチ(M5)をオンにすると、駆動トランジスタM1のゲートに初期化電圧線16の電圧が与えられる。駆動トランジスタM1を導通状態にするためにゲートに印加されるこの電圧は、初期化電圧と呼ばれる。
初期化電圧Viniは、駆動トランジスタのソース電圧Voledより閾値電圧Vthだけ低い電圧、またはそれ以下の電圧になっていればよい。すなわち
Vini≦Voled−Vth (式1)
である。
図3は、メモリ22がテーブルとして保持している温度と初期化電圧の関係を示している。温度と初期化電圧Viniの関係は、閾値電圧Vthの温度変化を相殺するように設定されている。60℃の閾値電圧は25℃の閾値電圧より小さいので、60℃の初期化電圧(Vini)は、25℃の初期化電圧(Vini)より高い電圧に設定される。
オートゼロ開始時の電流(Iini)は、ゲート−ソース間電圧のうち閾値電圧を超えた分、すなわちVoled−Vini−Vthで決まる。ViniをVthと相殺するように温度変化をさせることにより、オートゼロ開示時のドレイン電流Iiniが温度に依らず一定になる。
温度と初期化電圧の関係を、図4と図5を用いて説明する。
図4と図5は、初期化期間INIとオートゼロ期間AZの、駆動トランジスタM1のゲート電圧v1の時間変化を表している。一番上の横線は、ソース電圧すなわち電源電圧Voledのレベルを表し、その下に閾値電圧だけ下がったレベルを25℃と60℃について示している。このレベルが、オートゼロ動作におけるゲート電圧の収束目標である。
オートゼロ期間AZが決まっているので、ゲート電圧は収束目標レベルには達せず、それより低いレベルにとどまる。ソース電圧からの差を片側矢印VAZで表わし、収束目標レベルからの差を両側矢印で表してある。
図4は、初期化電圧(Vini)を温度に依らず一定にした場合である。すなわちVini(25℃)=Vini(60℃)である。
プリチャージ期間中は、ゲート電圧は、25℃と60℃で同じ初期化電圧Viniになっている。閾値電圧は、温度上昇とともに小さくなる、すなわち
Vth(25℃)>Vth(60℃)
である。したがって、ゲート電圧の収束目標レベルは、図4に示すように、60℃で高く、25℃で低い。このため、オートゼロ終了時のゲート−ソース間電圧と閾値電圧の差ΔV(AZ)(図4の両矢印で示す電圧)は、25℃より60℃の方が大きくなる。発光素子に流れる電流はΔV(AZ)に依存するから、温度によって電流が異なり、そのために輝度が変動してしまう。
図5は初期化電圧(Vini)を25℃と60℃で変えた場合である。ViniはVthの温度変化を相殺するように、60℃で25℃より高くする。すなわち、Vini(25℃)<Vini(60℃)とする。このとき、オートゼロ終了時のゲート電圧は25℃と60℃で異なるが、以下に詳しく説明するように、ゲート−ソース間電圧と閾値電圧の差ΔV(AZ)は両温度で同じになり、その結果、輝度は温度に依らず一定になる。
オートゼロ動作をしている間、ドレイン電流Idは、ゲート−ソース間電圧Vgsと
Id=β(Vgs−Vth) (式2)
の関係にある。
このドレイン電流Idは、容量Cに流れてゲート−ソース間電圧Vgsを減少させるから、
Id=−C・dVgs/dt (式3)
の関係がある。
式2と式3を連立させてVgsの時間変化を求めることができ、初期条件
Vgs=Voled−Vini (式4)
のもとで、オートゼロ終了時のゲート−ソース間電圧Vgsは
Vgs−Vth=(Voled−Vini−Vth)/[1+β・T・(Voled−Vini−Vth)/C] (式5)
となる。Tはオートゼロ期間の長さである。
時間Tは有限であるから、ゲートーソース間電圧は閾値電圧に達せず、式5の通りVgs−Vthはゼロではない。図4と図5の片側矢印VAZ(25℃)、VAZ(60℃)はゲート−ソース間電圧であるから、両矢印で示したVAZ(25℃)−Vth(25℃)、VAZ(60℃)−Vth(60℃)は式5のVgs−Vthに他ならない。
式5の右辺は、初期化電圧と閾値電圧を和Vini+Vthのかたちで含んでいるから、Vthが温度変化したときに、ViniをVthと同じだけ逆向きに変化させることにより、右辺は一定になる。これによってΔV(AZ)の温度変動を抑えることができる。
オートゼロ動作の終了後、容量Cのゲートと反対側の端子電圧がVdataからViniに切り替わり、駆動トランジスタM1のゲート−ソース間電圧は、
Vgs−Vth=ΔV(AZ)−Vini+Vdata (式6)
となる。駆動トランジスタのドレイン電流Idは、
Id=β(Vgs−Vth)
=β(Vdata−Vini+ΔV(AZ)) (式7)
となる。
上で述べたとおり、ΔV(AZ)の温度変動は、初期化電圧Viniの変化でキャンセルされる。データ電圧Vdataを、つねに初期化電圧Viniを基準にして設定しておくと、温度変化に従ってデータ電圧の基準が変わるが、Vdata−Viniは温度に依らない。したがって、式7の右辺は、Vdata−ViniおよびΔV(AZ)ともに温度変化がなく、温度に依存しない電流Idが得られる。
図6は図2の駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
時刻t1から時刻t2の間は、図4,5のINIの期間に相当する。
この期間、走査回路20が、走査線14の走査信号PREをH(high)レベル、走査線13の走査信号RESをL(low)レベル、走査線15の走査信号ILMをHレベルにする。第1スイッチ(M2)はオフ、第2スイッチはM4側がオン、第3スイッチ(M4とM5)はオン、第4スイッチ(M6)はオフになる。これを初期化制御、この期間を初期化期間と呼ぶ。
初期化制御の結果、駆動トランジスタM1のゲートと容量Cの一端が接続された節点の電位(v1)及び容量Cの他端の電位(v2)は、初期化電圧線16に接続され初期化電圧Viniになる。 駆動トランジスタは導通状態になる。
時刻t2からt3の間は、図4,5のAZの期間である。
この期間、走査回路20は、走査線13の走査信号RESをHレベル、走査線14の走査信号PREをLレベル、走査線15の走査信号ILMをHレベルにする。第1スイッチ(M2)はオン、第2スイッチはM4がオン、第3スイッチ(M4とM5の直列接続)と第4スイッチ(M6)がオフになる。これをオートゼロ制御、この期間をオートゼロ期間と呼ぶ。
オートゼロの開始により、容量Cのゲートと反対側の端子はデータ線17に接続され、電圧(v2)がViniからVdataに切り替わる。駆動トランジスタM1のゲート電圧(v1)も同じ電圧変化を受け、時刻t2において、データ線の電圧はVdataになる。
時刻t2とt3の間、駆動トランジスタM1のドレイン電流は、第1スイッチ(M2)を通って容量Cに流れる。この結果、容量Cはゲート側に正電荷、データ線側に負電荷が充電され、ゲート電圧(v1)は上昇する。駆動トランジスタM1のゲート−ソース間電圧は減少し、これに伴いドレイン電流も減少する。
時刻t3以降は、走査回路20が、走査線13の走査信号RESをLレベル、走査線14の走査信号PREをLレベル、走査線15の走査信号ILMをLレベルに制御する。第1スイッチ(M2)はオフ、第2スイッチはM4がオン、第3スイッチ(M4とM5)はオフ、第4スイッチ(M6)がオンになる。これを発光制御、この期間を発光期間と呼ぶ。
図2の画素回路で、ソースにかかる電源電圧Voledを負電圧にし、電流の向きをすべて逆にすることにより、駆動トランジスタM1をNチャネル型のFETにすることができる。その場合、初期化電圧は電源電圧に対して閾値電圧以上高い電圧に設定され、式1に変わり、
Vini>Voled+Vth (式8)
となる。
駆動トランジスタM1がNチャネル型のときも、式2から式5と同様にしてオートゼロ終了時のVgsを求めることができる。ただし、初期条件は式4の右辺の符号を変えたものになる。結果は、式5に変わって
Vgs−Vth=(Vini−Voled−Vth)/[1+β(t3−t2)・(Vini−Voled−Vth)/C] (式9)
となる。したがって、駆動トランジスタM1がNチャネル型のとき、温度に依らない電流Idを得るには、ViniをVthの温度変化と同じ向きに同じだけ変化させればよい。閾値電圧が温度上昇に伴って小さくなる場合は、温度が高くなるにつれて、図3とは逆に、初期化電圧を低くしていく。
画素回路は図2の回路に限らない。オートゼロ動作が可能な構成を有し、ゲートに直接、初期化電圧を与えることができる画素回路であれば、本発明を適用できる。
図7は、本発明の別の実施例である表示装置の構成を示すブロック図である。本実施例は、温度検出器10を表示部11の外に設けず、表示部11の周辺領域に発光素子ELと定電流源Iを設けて、それを温度検出器10aとしたものである。その他の構成は図1と同じである。
温度検出器10aは、一定電流Iを発光素子ELに流してアノードの電圧を検出し、制御部21に送る。発光素子の電圧と温度の関係は前もって測定され、メモリ22に記憶されている。発光素子に測定時と同じ電流を流して電圧を測定することにより、そこでの温度がわかる。メモリ22のテーブルに保存された温度と初期化電圧(Vini)の関係式から、初期化電圧を求める。
表示部11の周辺部に発光素子を設けて、それを温度検出器とするので、画素回路12の駆動トランジスタM1とほぼ同じ温度が検出され、温度補正を正確に行うことができる。
発光素子に一定電圧を与えて、流れる電流を計測してもよい。
図8は、図7の変形例であって、温度検出器10aの代わりに、画素回路の1つを温度検出器10bとしたものである。その他の構成は図1と同じである。温度検出器10bとなる画素回路は図2に示されたものと同じである。発光素子ELのアノード電圧vaが検出線23によって取り出され、制御部21に送られる。
図9は、本発明の第3の実施例である表示装置の構成を示すブロック図であり、図10は、その温度検出に関わる部分を示す回路図である。
表示部11の画素回路12の上辺に、電流検出用の画素回路12aからなる追加の画素行24が設けられている。電流検出用の画素回路12aは、図10の画素回路116に示されている構成を有している。図2の画素回路と異なり、発光素子ELに代わって、抵抗106が接続されている。その他の部分は図2と同じである。
本実施形態は、抵抗106に流れる電流が、検出部114の定電流源107の電流と同じになるように、演算増幅器111が初期化電圧線に初期化電圧Viniを出力する。
電流をフィードバックしながら初期化電圧(Vini)を設定するので、温度と初期化電圧の関係をテーブルとしてメモリに保存する必要がなく、メモリに要するコストを削減できる。
106は抵抗、107は定電流源、108はサンプリングスイッチ、109はホールドキャパシタ、110はインピーダンスを下げるための回路、111は入力電圧を一定にするための回路、112はサンプリングスイッチ108とホールドキャパシタ109から構成されるサンプルホールド回路、113は電流検出部、114は初期化電圧設定部、115は抵抗器、116は画素回路、117はローパスフィルタ、118は初期化電圧の初期値設定部である。
画素回路116から電流検出部113に画素電流I(pix)が出力される。画素回路を動作し始める際の初期化電圧(Vini)は初期化電圧の初期値設定部118でVini=Vini0と設定する。
基準の温度を25℃とし、25℃において階調Dで表示するように画素回路116を駆動した場合に発光期間に流れる画素電流をI(D,25℃,ILM)とする。電流を検出する場所での初期化電圧は、その画素回路を流れる電流I(pix)がI(D,25℃,ILM)になるように設定する。
定電流源107は、発光期間に流れる画素電流I(D,25℃,ILM)を用いる以外にも、オートゼロ期間終了時に流れる画素電流I(D,25℃,AZ)を用いてもよい。また、定電流源を用いずともI(pix)と抵抗値がR0の抵抗106の積が目標電圧になるように電圧Vbを設定してもよい。
具体的には、階調Dで表示したときの電流I(pix)を抵抗値がR0である抵抗106を介して電圧Va=I(pix)R0として検出する。この電圧Vaはインピーダンスを下げるための回路110を介してVaのまま出力される。出力された電圧Vaは、サンプルホールド回路112に入力され、サンプリングスイッチのタイミングに応じて電圧Vbが出力される。
入力電圧を一定にするための回路111に入力される電圧Vbは、抵抗115の抵抗値をR1とすると、I(D,25℃,ILM)R1と一致すると入力電圧を一定にするための回路111からが出力される。117はローパスフィルタであり、出力された電圧を平滑化する。
このように設定された初期化電圧(Vini)が、初期化電圧線119に出力され、画素回路に初期化電圧(Vini)を設定する。この一連の動作を繰り返すことで、温度が変動しても電流I(pix)が一定になるように初期化電圧が調整される。
以上の実施例1−3で説明した温度検出器は、単独で用いてもよく、他の温度検知器と併用してもよい。
Vini 初期化電圧
Vth 閾値電圧
Vaz オートゼロ終了時のゲート−ソース間電圧
M1 駆動トランジスタ
M2 第1スイッチ
M3 第2スイッチ
M4,M5 第3スイッチ
C 容量
10,10a、10b 温度検知器
11 表示部
12 画素回路
13,14,15 走査線
16 初期化電圧線
17 データ線
19 電圧生成回路
20 走査回路
21 制御部
22 メモリ

Claims (7)

  1. 発光素子、
    前記発光素子に電流を供給するトランジスタ、
    一端が前記トランジスタのゲートに接続された容量、
    前記トランジスタのゲートとドレインの間に配置された第1スイッチ、
    前記容量の他端をデータ線と初期化電圧線のいずれか一方に接続する第2スイッチ、ならびに
    前記トランジスタのゲートと前記初期化電圧線の間に配置された第3スイッチ
    を含む画素回路と、
    走査線を介して前記第1ないし第3スイッチを制御する走査回路と、
    前記データ線と前記初期化電圧線に出力する電圧を生成する電圧生成回路と、
    前記トランジスタの温度を検出する温度検出器と
    を有する発光装置であって、
    前記走査回路は、
    前記第1スイッチをオフ、前記第3スイッチをオンにし、かつ前記第2スイッチを前記初期化電圧線に接続する初期化と、
    前記初期化の終了後、前記第1スイッチをオン、前記第3スイッチをオフにし、かつ前記第2スイッチを前記データ線に接続するオートゼロと、
    前記オートゼロの終了後、前記第1スイッチをオフ、前記第3スイッチをオフにし、前記第2スイッチを前記初期化電圧線に接続する発光と
    の各制御を行い、
    前記電圧生成回路は、前記初期化によって前記トランジスタを導通状態にする初期化電圧を、前記温度検出器の検出した温度によって異なる大きさで生成し、前記初期化電圧線に出力する
    ことを特徴とする発光装置。
  2. 前記初期化電圧の温度変化が、前記トランジスタの閾値電圧の温度変化による、前記トランジスタから前記発光素子に供給する電流の変動を打ち消す向きと大きさを持つことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記温度検出器が、前記画素回路が配置された基板の温度を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
  4. 前記温度検出器が、前記発光素子に一定電圧を印加して前記発光素子に流れる電流を計測することにより前記トランジスタの温度を検知することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光装置。
  5. 前記温度検出器が、前記発光素子に一定電流を流して前記発光素子の電圧を計測することにより前記トランジスタの温度を検知することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発光装置。
  6. 前記温度検出器が、前記画素回路の前記発光素子を抵抗に置き換えた回路であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発光装置。
  7. 温度と前記初期化電圧の関係を記憶するメモリを有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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