JP2014201641A - 構造体およびこれを含む医療デバイス - Google Patents

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裕一 多田
Yuichi Tada
裕一 多田
力也 小俣
Rikiya Omata
力也 小俣
白鳥 世明
Tokiaki Shiratori
世明 白鳥
幸司 藤本
Koji Fujimoto
幸司 藤本
奎弘 慶
Takahiro Kei
奎弘 慶
芳生 堀田
Yoshio Hotta
芳生 堀田
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Abstract

【課題】撥水性の表面を有し、耐久性に優れる構造体が提供を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの面に表面凹凸構造を有する樹脂基材を含み、前記表面凹凸構造を有する面の表面粗さ分布のピークトップの深さ(Dpeak)が、100〜2000nmであり、前記ピークトップの深さ(Dpeak)と、前記表面凹凸構造を有する面の表面粗さ分布の累積体積比率が10%となる深さ(D10)と、の差(Dpeak−D10)が、30〜1000nmであり、前記ピークトップの深さ(Dpeak)と、前記表面凹凸構造を有する面の表面粗さ分布の累積体積比率が90%となる深さ(D90)と、の差(D90−Dpeak)が、30〜1000nmである、構造体。
【選択図】図1

Description

本発明は、構造体およびこれを含む医療デバイスに関する。
従来、水、水蒸気等に接する環境下で使用される部材、例えば、医療デバイスや、精密機器、パッケージ部材等の表面に、汚染や埃、水滴の付着を防止するため撥水性を付与する技術が用いられている。
表面に撥水性を付与する代表的な方法としては、表面に凹凸を付与する方法が挙げられる。表面が凹凸を有することにより撥水性が得られる理由は、凹凸により大きい接触角を与えることができるためである。当該凹凸と接触角との関係については、Wenzelの理論およびCassieの理論によって説明できることが知られている。
Wenzelの理論は、表面粗さとぬれ性との関係に関するものである。具体的には、凹凸を有する表面は、平滑な表面と対比して、実質的な表面積が大きいことから、ぬれに伴う表面エネルギーの変化が強調されるというものである。したがって、Wenzelの理論によれば、凹凸を有する表面は大きい接触角を与える。
Cassieの理論は、凹凸を有する表面とぬれ性との関係に関するものである。具体的には、凹凸を有する表面に液滴が接触する場合、凸部の領域と凹部の領域とではぬれ性が異なる。この際、凹部の領域には気体(空気)が存在し、気体の真の接触角は180度である(ぬれ性が低い)から、実質的には液滴は凸部の領域でのみ接触している。すなわち、みかけ上の表面−液滴の接触面積に対し、実際の表面−液滴の接触面積が小さいこととなるため、結果として、凹凸を有する表面は大きい接触角を与えるというものである。
したがって、Wenzelの理論およびCassieの理論によれば、凹凸の表面積が大きい構成および/または凹部の面積比率が大きい構成とすることにより、大きい接触角、すなわち、高い撥水性を得ることができる。
このような理論に基づき、これまで表面に凹凸を有する構造体が数多く報告されている。例えば、特許文献1には、基材ポリマーに撥水性樹脂の微粒子を混合・分散させてなる複合材料を所定形状に成形する成形工程と、前記成形工程で得られた成形体表面の前記基材ポリマーを、該ポリマーのみを選択的に溶解する溶剤により溶解し、前記成形体表面の前記撥水性樹脂の微粒子を突起状に露出させる工程を備えることを特徴とする超撥水構造の形成方法に係る発明が記載されている。特許文献1には、上記方法によって製造された超撥水構造は、表面に微細な凹凸構造が形成されていることから、超撥水性を発現できることが記載されている。
特開2007−77201号公報
しかしながら、特許文献1に記載の構造体において、その表面に形成されうる凹凸は撥水性樹脂の微粒子を突起状に露出させたものであるため、摩擦や長期間の使用によっては、露出した微粒子が摩耗または脱落する場合があり、必ずしも十分な耐久性を有するとはいえないことが判明した。
そこで、本発明は、耐久性に優れる構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、樹脂基材自体にランダムな凹凸構造を形成することで、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記目的は、少なくとも1つの面に表面凹凸構造を有する樹脂基材を含み、前記表面凹凸構造を有する面の表面粗さ分布のピークトップの深さ(Dpeak)が、100〜2000nmであり、前記ピークトップの深さ(Dpeak)と、前記表面凹凸構造を有する面の表面粗さ分布の累積体積比率が10%となる深さ(D10)と、の差(Dpeak−D10)が、30〜1000nmであり、前記ピークトップの深さ(Dpeak)と、前記表面凹凸構造を有する面の表面粗さ分布の累積体積比率が90%となる深さ(D90)と、の差(D90−Dpeak)が、30〜1000nmである、構造体により達成される。
本発明により、撥水性の表面を有し、耐久性に優れる構造体が提供される。
本発明の一実施形態に係る構造体を模式的に表した概略図である。 図1に係る構造体の表面粗さ分布を模式的に示す図である。 実施例1および実施例2の表面粗さ分布図および累積分布図である。 実施例4および実施例6の表面粗さ分布図および累積分布図である。 比較例1の表面粗さ分布図および累積分布図である。 実施例1、実施例2、および実施例4に係る構造体の原子間力顕微鏡(AFM)により取得した画像データである。 実施例6および比較例1に係る構造体の原子間力顕微鏡(AFM)により取得した画像データである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<構造体>
本発明の一形態によれば、少なくとも1つの面に表面凹凸構造を有する樹脂基材を含む構造体が提供される。この際、表面凹凸構造を有する面の表面粗さ分布のピークトップの深さ(Dpeak)が、100〜2000nmであり、前記ピークトップの深さ(Dpeak)と、前記表面凹凸構造を有する面の表面粗さ分布の累積体積比率が10%となる深さ(D10)と、の差(Dpeak−D10)が、30〜1000nmであり、かつ、前記ピークトップの深さ(Dpeak)と、前記表面凹凸構造を有する面の表面粗さ分布の累積体積比率が90%となる深さ(D90)と、の差(D90−Dpeak)が、30〜1000nmであることを特徴とする。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る構造体を模式的に表した概略図である。図1によると、本実施形態に係る構造体10は、樹脂基材11から構成される。この際、樹脂基材11の表面(上面)には表面凹凸構造が形成される。当該表面凹凸構造は、凹凸がランダムに形成されており、それぞれの凹部の深さが異なるものがある。ここで、最上部の凸部の水平面に対する凹部の距離を深さとすると、例えば、左端の凹部の深さは、最上部の凸部の水平面に対する凹部の距離dとなり、右端の凹部の深さは、最上部の凸部の水平面に対する凹部の距離dとなる。
ここで、構造体10の表面粗さ分布を測定すると図2に示される分布図が得られる。すなわち、図2は、図1に係る構造体の表面粗さ分布を模式的に示す図である。図2において、Dpeakは表面粗さ分布のピークトップの深さであり、その値は460nmである。また、D10は表面粗さ分布の累積体積比率が10%となる深さであり、その値は342nmである。さらに、D90は表面粗さ分布の累積体積比率が90%となる深さであり、その値は664nmである。したがって、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)が118nmであり、また、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)が204nmである。
図1の構造体は、凹凸構造が樹脂基材表面に施されていることから、特許文献1に記載の構造体と異なり、表面に露出した粒子の摩耗や脱落等の問題がなく、または少なく、高い耐久性を有しうる。また、Dpeakが比較的大きく、かつ(Dpeak−D10)および(D90−Dpeak)が比較的大きいことから、凹凸構造は広いサイズ分布を有し、凹凸の表面積が大きく、好適な撥水性を示しうる。
以下、本発明に係る構造体の構成について、詳細に説明する。
[樹脂基材]
樹脂基材は、少なくとも1つの面に表面凹凸構造を有する。
用いられうる樹脂基材としては、特に制限されないが、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂(アリル樹脂)、フッ素樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、ポリアセタール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂(ケイ素樹脂)などが挙げられる。これらのうち、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂であることが好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)であることがより好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、使用用途である基材として適した材料を適宜選択すればよい。
(表面凹凸構造)
上記樹脂基材は、少なくとも1つの面に表面凹凸構造を有する。
本形態において、表面凹凸構造はランダムに形成されている。この際、「表面凹凸構造がランダム」とは、凹部の深さがランダムに形成されていることを意味する。ここで、「凹部の深さ」とは、樹脂基材の表面凹凸構造を有する面のうち、最上部の凸部の水平面に対する凹部までの距離を意味する。
上記表面凹凸構造がランダムであることは、樹脂基材の表面凹凸構造を有する面の表面粗さ分布を測定して得られる分布図によって示される。具体的には、表面粗さ分布のピークトップの深さを「Dpeak」、表面粗さ分布の累積体積比率が10%となる深さを「D10」、表面粗さ分布の累積体積比率が90%となる深さを「D90」とした場合、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)が30〜1000nm、好ましくは40〜800nm、より好ましくは50〜500nmであり、かつ、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)が30〜1000nm、好ましくは40〜800nm、より好ましくは50〜500nmである場合、表面凹凸構造がランダムに形成されているといえる。なお、ランダムな表面凹凸構造を有する場合には、表面粗さ分布図は裾野が広い図となりうる。また、表面粗さ分布は、釣鐘型であっても、その他の形状であってもよい。さらに、表面粗さ分布図は正規分布であっても、非正規分布であってもよい。なお、「表面粗さ分布」は、原子間力顕微鏡を用いた凹凸プロファイルにより得ることができる。また、「ピークトップ」や「累積体積比率」については、確率密度関数、累積分布関数を適用することにより求めることができる。
また、本形態において、表面凹凸構造は表面粗さ分布のDpeakは、100〜2000nm、好ましくは150〜1800nm、より好ましくは200〜1500nmであることから、好適な撥水性を示す。すなわち、本形態に係る表面凹凸構造のDpeakの深さが上記範囲にあり、かつ、当該Dpeakを基準としてD10およびD90との関係が上記となることにより、凹凸の表面積をより大きくすることができ、好適な撥水性を示す。
(表面処理)
本形態に係る構造体は、樹脂基材の表面凹凸構造を有する面に表面処理を施してもよい。当該表面処理としては、特に制限されないが、炭素数1〜30のアルキル鎖を有するアルキル金属化合物やフッ素化化合物による表面処理などが挙げられる。より撥水性を向上させる観点から、フッ素化化合物による表面処理であることが好ましい。当該表面処理により樹脂基材上に表面処理層が形成される。なお、表面処理は樹脂基材の表面凹凸構造を有さない面に施すことも可能である。
フッ素化化合物としては、フッ素原子を含むものであれば特に制限されないが、フルオロアルキル金属化合物、フルオロポリマーを用いることが好ましい。
前記フルオロアルキル金属化合物としては、特に制限されない。例えば、下記式で表される化合物を好ましく使用することができる。
上記式中、Xは、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)または亜鉛(Zn)である。これらのうち、Xは、ケイ素、チタンであることが好ましく、ケイ素であることがより好ましい。
は、下記式で表される基である。
上記式中、pは6以上の整数、好ましくは8〜18の整数であり、より好ましくは8〜12であり、qは3〜2p+1の整数であり、好ましくは9〜2p+1の整数であり、より好ましくは13〜2p+1の整数である。そして、rは、pおよびqによって規定され、2p+1−qの整数(qとrの合計(q+r)は2p+1)である。
は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜30のアルコキシ基またはハロゲン原子である。前記炭素原子数1〜30のアルコキシ基としては、特に制限されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、n−ヘンエイコシルオキシ基、n−ドコシルオキシ基、n−トリコシルオキシ基、n−テトラコシルオキシ基などが挙げられる。これらのうち、炭素鎖長1〜18のアルコキシ基が好ましく、炭素鎖長1〜8のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基が特に好ましい。また、ハロゲン原子としては、特に制限されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、好ましくは塩素原子が挙げられる。
また、mは、1〜4の整数であり、mとnの合計(m+n)は、Xによって規定される整数である。このため、nは、mおよびXの種類によって一義的に規定される。ここで、mは、1〜4の整数であり、1または2であることが好ましい。
より具体的なフルオロアルキル金属化合物としては、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CF10Si(OCH;[CF(CFSi(OCH、[CF(CFSi(OCH、[CF(CFSi(OCH、[CF(CFSi(OCH、[CF(CFSi(OCH、[CF(CF10Si(OCH;CF(CFSi(OCHCH、CF(CFSi(OCHCH、CF(CFSi(OCHCH、CF(CFSi(OCHCH、CF(CFSi(OCHCH、CF(CF10Si(OCHCH;[CF(CFSi(OCHCH、[CF(CFSi(OCHCH、[CF(CFSi(OCHCH、[CF(CFSi(OCHCH、[CF(CFSi(OCHCH、[CF(CF10Si(OCHCH;CF(CFSi(OCH(OCHCH)、CF(CFSi(OCH(OCHCH)、CF(CFSi(OCH(OCHCH)、CF(CFSi(OCH(OCHCH)、CF(CFSi(OCH(OCHCH)、CF(CF10Si(OCH(OCHCH);CF(CFSi(OCH)(OCHCH、CF(CFSi(OCH)(OCHCH、CF(CFSi(OCH)(OCHCH、CF(CFSi(OCH)(OCHCH、CF(CFSi(OCH)(OCHCH、CF(CF10Si(OCH)(OCHCH;CF(CF(CH)Si(OCH、CF(CF(CH)Si(OCH、CF(CF(CH)Si(OCH、CF(CF(CH)Si(OCH、CF(CF(CH)Si(OCH、CF(CF(CH)Si(OCH;[CF(CF(CH)]Si(OCH、[CF(CF(CH)]Si(OCH、[CF(CF(CH)]Si(OCH、[CF(CF(CH)]Si(OCH、[CF(CF(CH)]Si(OCH、[CF(CF(CH)]Si(OCH;CF(CF(CH)Si(OCHCH、CF(CF(CH)Si(OCHCH、CF(CF(CH)Si(OCHCH、CF(CF(CH)Si(OCHCH、CF(CF(CH)Si(OCHCH、CF(CF(CH)Si(OCHCH;[CF(CF(CH)]Si(OCHCH、[CF(CF(CH)]Si(OCHCH、[CF(CF(CH)]Si(OCHCH、[CF(CF(CH)]Si(OCHCH、[CF(CF(CH)]Si(OCHCH、[CF(CF(CH)]Si(OCHCH;CF(CF(CH)Si(OCH(OCHCH)、CF(CF(CH)Si(OCH(OCHCH)、CF(CF(CH)Si(OCH(OCHCH)、CF(CF(CH)Si(OCH(OCHCH)、CF(CF(CH)Si(OCH(OCHCH)、CF(CF(CH)Si(OCH(OCHCH);CF(CF(CH)Si(OCH)(OCHCH、CF(CF(CH)Si(OCH)(OCHCH、CF(CF(CH)Si(OCH)(OCHCH、CF(CF(CH)Si(OCH)(OCHCH、CF(CF(CH)Si(OCH)(OCHCH、CF(CF(CH)Si(OCH)(OCHCH;CF(CF(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(OCH;[CF(CF(CHSi(OCH、[CF(CF
(CHSi(OCH、[CF(CF(CHSi(OCH、[CF(CF(CHSi(OCH、[CF(CF(CHSi(OCH、[CF(CF(CHSi(OCH;CF(CF(CHSi(OCHCH、CF(CF(CHSi(OCHCH、CF(CF(CHSi(OCHCH、CF(CF(CHSi(OCHCH、CF(CF(CHSi(OCHCH、CF(CF(CHSi(OCHCH;[CF(CF(CHSi(OCHCH、[CF(CF(CHSi(OCHCH、[CF(CF(CHSi(OCHCH、[CF(CF(CHSi(OCHCH、[CF(CF(CHSi(OCHCH、[CF(CF(CHSi(OCHCH;CF(CF(CHSiCl、CF(CF(CHSiFなどが挙げられる。
上述のフルオロアルキル金属化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記フルオロポリマーについても特に制限されず、従来公知のフルオロポリマーの中から選択できる。フルオロポリマーの構造は、鎖状の重合体であってもグラフト重合体であってもよい。これらのフルオロポリマーの例としては、例えば、特開昭57−34107号公報、特開昭62−7767号公報、特開昭62−174213号公報、特開平2−265979号公報、特開平2−298645号公報、特開平4−279612号公報、特表2003−517067号公報、特表2004−532943号公報、特表2005−522539号公報、特表2005−522541号公報、特表2005−527716号公報、特表2007−505169号公報、特表2007−520583号公報、特表2011−511848号公報等に記載のフルオロポリマーが挙げられる。
本発明に係るフルオロポリマーは、合成品であっても、市販品であってもよい。市販品としては、Unidyne(登録商標)TG−580、TG−581、TG−992、TG−993(いずれも、ダイキン工業(株)製)、ゼッフル(ダイキン工業(株)製)、エフトーンシリーズ(GM−105など、ダイキン工業(株)製)、Repearl(登録商標)SR1100(三菱化学(株)製)、Rainoff F−8(Eastern Color and Chemical)およびZonyl(登録商標)、テフロン(登録商標)AF1600、AF2400、TE−9494−J、5100−J、100−J、130−J、140−J、340−J、345−J、350−J、420HP−J、440HP−J、450HP−J、451HP−J、9738−JN、807−N(いずれも、三井・デュポン フロロケミカル(株)製)、ルミフロン(旭硝子(株)製)、フルオネート(大日本インキ(株)製)、セフラルコート(セントラル硝子(株)製)、アサヒガード(AG−5850など、旭硝子(株)製)、ノックスガード(ST−320など、NOK(株)製)などが挙げられる。
樹脂基材を表面処理することにより、高い撥水性が得られうる。この際、得られる構造体の撥水性は、樹脂基材が有する表面凹凸構造の影響を受けうる。例えば、樹脂基材自体が高い撥水性を有する場合には、これに表面処理層が形成された構造体もまた高い撥水性を有しうる。この理由として、樹脂基材に表面処理層が形成される場合、表面処理層の形状等は樹脂基材の表面凹凸構造に影響を受けるためであると考えられる。なお、構造体の耐久性についても同様に、樹脂基材自体が有する耐久性に比例する傾向がある。
なお、上記表面処理層を形成する前に、樹脂基材に活性エネルギー線(電子線、紫外線、X線等)、アーク放電、コロナ放電、グロー放電、プラズマ放電、オゾンガス等を作用させ、樹脂基材表面に官能基を導入することも好ましい。これら前処理をすることで、表面処理層と樹脂基材の結合がより強固となり、構造体の耐久性が向上する。
[構造体の性能]
本形態に係る構造体は、撥水性の表面を有しうる。ここで、本明細書において「撥水性」とは、水に対する接触角が90度以上、好ましくは105度以上、より好ましくは120度以上であることを意味する。なお、「接触角」の値は、接触角計を用いて測定された値を採用するものとする。
<構造体の製造方法>
上述の構造体は、特に制限されないが、樹脂基材を溶媒に浸漬する浸漬法により製造することが好ましい。
すなわち、本発明の一形態によれば、構造体の製造方法が提供される。当該構造体の製造方法は、良溶媒および貧溶媒を準備する工程(1)と、樹脂基材を良溶媒および貧溶媒に浸漬させる工程(2)と、を含む。
[工程(1)]
工程(1)は、良溶媒および貧溶媒を準備する工程である。樹脂基材に対する良溶媒および貧溶媒を併用することにより、樹脂基材の表面にランダムな凹凸構造を効率的に形成することができる。
(良溶媒)
本明細書中において、良溶媒とは、樹脂基材を25℃で24時間浸漬した場合に溶解する樹脂が1g/100mL以上となる溶媒を意味する。
良溶媒としては、用いる樹脂基材によっても異なる。例えば、ポリメチルメタクリレートを樹脂基材として用いる場合、良溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、メチルエチルケトン、フェノール、およびこれらの混合溶媒を用いることが好ましく、塩化メチレン、クロロホルムを用いることがより好ましく、塩化メチレンを用いることがさらに好ましい。また、ポリスチレンを樹脂基材として用いる場合、良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、メチルエチルケトン、フェノールおよびこれらの混合溶媒を用いることが好ましく、塩化メチレン、クロロホルムを用いることがより好ましく、塩化メチレンを用いることがさらに好ましい。
(貧溶媒)
本明細書中において、貧溶媒とは、樹脂基材を25℃で24時間浸漬した場合に溶解する樹脂が1g/100mL未満となる溶媒を意味する。
貧溶媒としては、用いる樹脂基材によっても異なる。例えば、ポリメチルメタクリレートを樹脂基材として用いる場合、貧溶媒としては、メタノール、エタノール、ヘキサン、、シクロヘキサン、水、およびこれらの混合溶媒を用いることが好ましく、エタノール、ヘキサンを用いることがより好ましく、エタノールを用いることがさらに好ましい。また、ポリスチレンを樹脂基材として用いる場合、貧溶媒としては、メタノール、エタノール、ヘキサン、シクロヘキサン、水およびこれらの混合溶媒を用いることが好ましく、エタノール、ヘキサンを用いることがより好ましく、エタノールを用いることがさらに好ましい。
[工程(2)]
工程(2)は、樹脂基材を良溶媒および貧溶媒に浸漬させる工程である。
この際、樹脂基材は、良溶媒および貧溶媒に順次浸漬させてもよいし、良溶媒および貧溶媒を混合した混合溶媒に浸漬してもよい。
樹脂基材を良溶媒および貧溶媒に順次浸漬させる場合には、良溶媒に浸漬させた後に貧溶媒に浸漬させることが好ましい。良溶媒に浸漬することで樹脂基材表面が溶解し、その後貧溶媒に浸漬することで、溶解していた樹脂が表面で再凝集し、ランダムな凹凸構造を形成する。この際、良溶媒に浸漬した後、樹脂基材を洗浄せずに貧溶媒に浸漬することが好ましい。
樹脂基材を良溶媒および貧溶媒を混合した混合溶媒に浸漬させる場合には、前記混合溶媒における良溶媒および貧溶媒の混合比(良溶媒:貧溶媒)は、9:1〜1:9(質量比)であることが好ましく、3:7〜7:3(質量比)であることがより好ましい。上記のような混合溶液に樹脂基材を浸漬すると、基材から溶出した樹脂が溶媒乾燥過程において表面で再凝集し、ランダムな凹凸構造を形成する。この際、乾燥温度は特に制限されないが、低温(50℃以下)で行うことが好ましく、室温(1〜30℃)で行うことがより好ましい。
構造体は、上述の順次浸漬させる方法および混合溶媒に浸漬させる方法のうち、混合溶媒に浸漬させる方法により製造することが好ましい。
[工程(3)]
本形態に係る製造方法は、樹脂基材を表面処理する表面処理工程をさらに含んでいてもよい。この際、表面処理の方法は適宜公知の方法が適用されうる。具体的には、樹脂基材に塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させる塗布法;樹脂基材を表面処理液に浸漬、乾燥する浸漬法等が挙げられる。これらのうち、浸漬法で表面処理を行うことが好ましい。また、表面処理液としては、フッ素化化合物を含むことが好ましい。以下、浸漬法の表面処理液にフッ素化化合物を含む場合を例に、より詳細な内容を記述する。
浸漬法は、より詳細には、(3−1)フッ素化化合物を含む表面処理液を調製する工程と、(3−2)樹脂基材を前記表面処理液に浸漬、乾燥して表面処理層を形成する工程と、を含む。
(工程(3−1))
工程(3−1)は、フッ素化化合物を含む表面処理液を調製する工程である。
表面処理液
表面処理液は、フッ素化化合物および溶媒を含む。前記フッ素化化合物としては、上述したフッ素化化合物、すなわち、フルオロアルキル金属化合物、フルオロポリマー等が用いられうることから、ここでは説明を省略する。
表面処理液中のフッ素化化合物の含有量は、塗布のしやすさ等を考慮すると、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。
前記溶媒としては、フッ素化化合物を適宜溶解または分散でき、かつ、フッ素化化合物に対して不活性である(分解などしない)ものであれば特に制限されないが、樹脂基材の良溶媒ではないことが好ましい。具体的には、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;クロロホルム等のハロゲン化物;ヘキサン等のオレフィン類;テトラヒドロフラン(THF)、ブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類などが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
(工程(3−2))
工程(3−2)は、工程(3−1)で調製した表面処理液を樹脂基材に浸漬、乾燥して表面処理層を形成する工程である。
浸漬した樹脂基材の乾燥方法としては、特に制限されず、樹脂基材の耐熱性、使用したフッ素化化合物、溶媒の種類等によって適宜選択されうる。
乾燥温度は、特に制限されないが、溶媒の揮発温度以上300℃以下であることが好ましく、40〜200℃であることがより好ましい。
乾燥時間は、特に制限されないが、0.5〜24時間であることが好ましく、1〜10時間であることがより好ましい。
なお、工程(3)を繰り返し行うことにより、積層形態の表面処理層を形成することもできる。
特許文献1に記載の構造体においては、撥水性を付与する手段が煩雑であった。しかしながら、上記方法によれば、簡便な操作により撥水性を付与することができる。
<構造体の用途>
上述の構造体は、汚れや水滴の付着を抑制しうる撥水性を発現し、種々の用途に適用することができる。例えば、医療デバイス、精密機器、パッケージ部材等が挙げられる。
具体的には、前記医療デバイスとしては、輸液ポンプ、電子体温計、血圧計、血糖計等水あるいは液体成分と接触しうる医療デバイスが挙げられる。
また、前記精密機器としては、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、電子辞書、電卓、ゲーム機器、タッチパネル等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。
<構造体の製造>
[実施例1]
樹脂基材としてポリメチルメタクリレート(PMMA)(2cm×2cm×0.2mm)を用いて、構造体を製造した。
(工程(1))
PMMAに対する良溶媒として塩化メチレンを、また貧溶媒としてエタノールを準備した。
(工程(2))
はじめに、塩化メチレンおよびエタノールを混合して混合溶媒を得た。この際、塩化メチレンおよびエタノールの混合比は7:3(質量比)とした。
PMMAを、混合溶媒に5秒間浸漬した。浸漬後、PMMAを室温で乾燥することで、構造体を製造した。
製造した構造体について、原子間力顕微鏡を用いて表面粗さ分布を測定し、Dpeak、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)、およびD90とDpeakとの差(D90−Dpeak)を求めた。その結果、Dpeakは112nm、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)は45nm、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)は90nmであった。なお、製造した構造体の表面粗さ分布図を、累積分布図とともに図3Aに示す。
[実施例2]
工程(2)において、混合溶媒の塩化メチレンおよびエタノールの混合比を6:4(質量比)に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で構造体を製造した。
なお、製造した構造体について、実施例1と同様の方法で、Dpeak、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)、およびD90とDpeakとの差(D90−Dpeak)を求めた。その結果、Dpeakは207nm、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)は80nm、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)は74nmであった。なお、製造した構造体の表面粗さ分布図を、累積分布図とともに図3Aに示す。
[実施例3]
工程(2)において、混合溶媒の塩化メチレンおよびエタノールの混合比を5.5:4.5(質量比)に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で構造体を製造した。
なお、製造した構造体について、実施例1と同様の方法で、Dpeak、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)、およびD90とDpeakとの差(D90−Dpeak)を求めた。その結果、Dpeakは322nm、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)は92nm、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)は117nmであった。
[実施例4]
工程(2)において、混合溶媒の塩化メチレンおよびエタノールの混合比を5:5(質量比)に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で構造体を製造した。
なお、製造した構造体について、実施例1と同様の方法で、Dpeak、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)、およびD90とDpeakとの差(D90−Dpeak)を求めた。その結果、Dpeakは460nm、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)は118nm、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)は204nmであった。なお、製造した構造体の表面粗さ分布図を、累積分布図とともに図3Bに示す。
[実施例5]
工程(2)において、混合溶媒の塩化メチレンおよびエタノールの混合比を4.5:5.5(質量比)に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で構造体を製造した。
なお、製造した構造体について、実施例1と同様の方法で、Dpeak、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)、およびD90とDpeakとの差(D90−Dpeak)を求めた。その結果、Dpeakは310nm、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)は77nm、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)は92nmであった。
[実施例6]
工程(2)において、混合溶媒の塩化メチレンおよびエタノールの混合比を4:6(質量比)に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で構造体を製造した。
なお、製造した構造体について、実施例1と同様の方法で、Dpeak、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)、およびD90とDpeakとの差(D90−Dpeak)を求めた。その結果、Dpeakは211nm、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)は56nm、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)は52nmであった。なお、製造した構造体の表面粗さ分布図を、累積分布図とともに図3Bに示す。
[比較例1]
工程(2)において、混合溶媒の塩化メチレンおよびエタノールの混合比を3:7(質量比)に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で構造体を製造した。
なお、製造した構造体について、実施例1と同様の方法で、Dpeak、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)、およびD90とDpeakとの差(D90−Dpeak)を求めた。その結果、Dpeakは115nm、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)は5nm、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)は5nmであった。なお、製造した構造体の表面粗さ分布図を、累積分布図とともに図3Cに示す。
[実施例7]
(工程(1))
実施例1と同様のPMMAに対する良溶媒として塩化メチレンを、貧溶媒としてヘキサンを準備した。
(工程(2))
はじめに、塩化メチレンおよびヘキサンを混合して混合溶媒を得た。この際、塩化メチレンおよびヘキサンの混合比は5:5(質量比)とした。
PMMAを、混合溶媒に5秒間浸漬した。浸漬後、PMMAを室温で乾燥することで、構造体を製造した。
なお、製造した構造体について、実施例1と同様の方法で、Dpeak、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)、およびD90とDpeakとの差(D90−Dpeak)を求めた。その結果、Dpeakは1247nm、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)は464nm、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)は120nmであった。
[実施例8]
工程(2)において、PMMAを、塩化メチレンに5秒間浸漬した後、ヘキサンに30秒間浸漬したことを除いては、実施例1と同様の方法で構造体を製造した。
なお、製造した構造体について、実施例1と同様の方法で、Dpeak、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)、およびD90とDpeakとの差(D90−Dpeak)を求めた。その結果、Dpeakは518nm、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)は118nm、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)は49nmであった。
[比較例2]
未処理のPMMAを構造体とした。
なお、構造体について、実施例1と同様の方法で、Dpeak、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)、およびD90とDpeakとの差(D90−Dpeak)を求めた。その結果、Dpeakは31nm、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)は5nm、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)は2nmであった。
[実施例9]
樹脂基材をポリスチレン(PS)に変更したことを除いては、実施例4と同様の方法で構造体を製造した。
製造した構造体について、実施例1と同様の方法で、Dpeak、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)、およびD90とDpeakとの差(D90−Dpeak)を求めた。その結果、Dpeakは1428m、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)は491m、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)は153nmであった。
[比較例3]
未処理のポリスチレンを構造体とした。
なお、構造体について、実施例1と同様の方法で、Dpeak、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)、およびD90とDpeakとの差(D90−Dpeak)を求めた。その結果、Dpeakは42nm、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)は7nm、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)は8nmであった。
[実施例10]
実施例1で製造した構造体を、フッ素化化合物で表面処理して構造体を製造した。
(工程(3−1))
フルオロアルキル金属化合物であるトリクロロ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン[CF(CF(CHSiCl]1gをエタノール30mLに添加し、撹拌することで、表面処理液を調製した。
(工程(3−2))
実施例1で製造した構造体の表面(凹凸構造を有する表面)を、上記工程(3−1)で調製した表面処理液に1分浸漬した。
次いで、浸漬して得られた樹脂基材を80℃で3時間乾燥させることで、樹脂基材の表面凹凸構造を有する面に表面処理層を形成した。
[実施例11〜18]
実施例2〜9で製造した構造体を、それぞれ実施例10と同様の方法でフッ素化化合物による表面処理を行い、構造体を製造した。
[比較例4〜6]
比較例1〜3で製造した構造体を、それぞれ実施例10と同様の方法でフッ素化化合物による表面処理を行い、構造体を製造した。
<接触角測定>
実施例および比較例で製造した構造体について、水に対する接触角を、接触角計DSA−30(KRUSS社製)を用いて測定した。実施例1〜18および比較例1〜6で製造した構造体について、Dpeak、DpeakとD10との差(Dpeak−D10)、D90とDpeakとの差(D90−Dpeak)、および接触角測定結果を下記表1に示す。
表1の結果からも明らかなように、実施例1〜8のPMMA基材からなる構造体は比較例1〜2のPMMA基材からなる構造体に比べ高い撥水性を示した。また、実施例9のPS基材からなる構造体は、比較例3のPS基材からなる構造体に比べ高い撥水性を示した。
また、実施例1〜9の構造体にフッ素化化合物からなる表面処理層を形成したところ、顕著な撥水性向上が認められた(実施例10〜18)。一方、比較例1〜3の構造体にフッ素化化合物からなる表面処理層を形成しても、撥水性の向上はわずかであった。
なお、実施例1、実施例2、実施例4、実施例6、および比較例1の構造体について、原子間力顕微鏡により画像データを取得した。その結果を図4Aおよび4Bに示す。図4Aおよび4Bからも明らかなように、実施例1、実施例2、実施例4、および実施例6に係る構造体は、表面凹凸構造がランダムに形成されており、また、凹凸の表面積が大きいことが分かる。
以上の結果より、本発明に係るランダムな微細凹凸構造を有する構造体は、高い撥水性を発現する。また、当該構造体は、特許文献1のように摩耗または脱落しうる露出した微粒子を有しないことから優れた耐久性を有する。その結果、種々の用途に好適に適応することができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも1つの面に表面凹凸構造を有する樹脂基材を含み、
    前記表面凹凸構造を有する面の表面粗さ分布のピークトップの深さ(Dpeak)が、100〜2000nmであり、
    前記ピークトップの深さ(Dpeak)と、前記表面凹凸構造を有する面の表面粗さ分布の累積体積比率が10%となる深さ(D10)と、の差(Dpeak−D10)が、30〜1000nmであり、
    前記ピークトップの深さ(Dpeak)と、前記表面凹凸構造を有する面の表面粗さ分布の累積体積比率が90%となる深さ(D90)と、の差(D90−Dpeak)が、30〜1000nmである、構造体。
  2. 前記表面凹凸構造を有する面の水に対する接触角が、90度以上である、請求項1に記載の構造体。
  3. 前記表面凹凸構造を有する面が、フッ素化化合物で表面処理されてなる、請求項1または2に記載の構造体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造体を含む、医療デバイス。
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