JP2014198748A - インクジェット記録用インク組成物、画像形成方法、印画物、成型体の製造方法、及び成型体 - Google Patents

インクジェット記録用インク組成物、画像形成方法、印画物、成型体の製造方法、及び成型体 Download PDF

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Abstract

【課題】インク組成物の保存安定性が良好であり、形成された画像の熱延伸性に優れ、加熱加工成型体の製造に適するインクジェット記録用インク組成物、該インク組成物を用いた画像形成方法、印画物の製造方法及び印画物を提供する。【解決手段】(A)下記一般式(1)で表され、分子内に非共役ビニリデン基を含む化合物、(B)単官能ラジカル重合性モノマー、(C)光重合開始剤、を含み、30℃における粘度が10mPa・s〜50mPa・sの範囲である、インクジェット記録用インク組成物である。下記一般式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、又は1価の置換基を表し、Aは隣接する炭素原子と共に環構造を形成する原子団を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用インク組成物、それを用いた画像形成方法、該インク組成物により得られた印画物、印画物を用いた成型体の製造方法、及び成型体に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型、及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。例えば、インクジェット方式は、安価な装置で実施可能であり、且つ、必要とされる画像部のみにインクを射出して記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
インクジェット方式によれば、普通紙のみならずプラスチックシート、金属板など非吸水性の記録媒体にも印字可能であるが、印字する際の高速化及び高画質化が重要な課題となっており、印字後の液滴の乾燥、硬化に要する時間が、印画物の生産性や印字画像の鮮鋭度に大きく影響する性質を有している。
インクジェット方式の一つとして、放射線の照射により、硬化可能なインクジェット記録用インクを用いた記録方式がある。この方法によれば、インク射出後直ちに又は一定の時間後に放射線照射し、インク液滴を硬化させることで、印字の生産性が向上し、鮮鋭な画像を形成することができる。
紫外線硬化型のインク組成物においては、優れた硬化性のみならず、例えば、熱可塑性の記録媒体にインク画像を形成した後、加熱成型により成型体を得る場合には、形成された画像(硬化膜)の記録媒体との密着性や画像の熱延伸性が求められる。このため、架橋密度や分子量を適切に調整する目的でインク組成物にチオール化合物などの連鎖移動剤を添加することが行われている。しかしながら、連鎖移動剤の添加量を増加させると、インク組成物の保存安定性が低下する傾向があり、適正な物性の確保と保存安定性の両立は困難であるのが現状である。
放射線の照射により硬化可能な硬化性組成物の一例として、単官能のアクリレートモノマーと多官能のアクリレートモノマーとの混合物と、テルペン化合物と、光重合開始剤とを含み、硬化性に優れた硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この硬化性組成物によれば、形成された硬化膜は樹脂基板との密着性に優れるとされる。
特開2002−12684号公報
しかしながら、上記の技術では、硬化性組成物において記録媒体への密着性を高めることは考慮されているが、硬化性組成物自体の経時安定性については検討されていない。
また、硬化性を高めると得られた硬化膜が硬質となり、形成された硬化膜をさらに成形加工する場合には、硬化膜が変形に追従できず、クラックが生じたり、破断したりする懸念があり、得られる硬化膜の熱延伸性を維持しつつ、硬化性組成物自体の保存安定性を改良する技術が求められていた。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、保存安定性に優れ、熱延伸性を含む加熱成型性に優れた画像を形成しうるインクジェット記録用インク組成物を提供することを課題とする。
また、本発明のさらなる課題は、形成された画像の熱延伸性に優れ、加熱加工による成型体の製造に適するインク組成物を提供することにある。
さらに、本発明のインク組成物を用いた画像形成方法、印画物、該印画物を用いた成型体の製造方法及び成型体を提供することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (A)下記一般式(1)で表され、分子内に非共役ビニリデン基を含む化合物、(B)単官能ラジカル重合性モノマー、(C)光重合開始剤、を含み、30℃における粘度が10mPa・s〜50mPa・sの範囲である、インクジェット記録用インク組成物。
前記一般式(1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表し、Aは隣接する炭素原子と共に環構造を形成する原子団を表す。
<2> 前記(A)一般式(1)で表され、分子内に非共役ビニリデン基を含む化合物の分子量が、150〜500の範囲である、<1>に記載のインクジェット記録用インク組成物。
<3> 前記(B)単官能ラジカル重合性モノマーが、N−ビニル化合物を含む、<1>又は<2>に記載のインクジェット記録用インク組成物。
<4> さらに、(D)熱ラジカル発生剤を含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
<5> <1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク組成物を記録媒体上にインクジェット記録装置により付与する工程と、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性放射線を照射して硬化させ、インク画像を形成する工程と、を含む画像形成方法。
<6> <1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク組成物を用いて形成されたか、あるいは、<5>に記載の画像形成方法により得られた印画物。
<7> <6>に記載の印画物を加熱延伸成型する工程を含む、成型体の製造方法。
<8> <7>に記載の成形体の製造方法により得られた成型体。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定している。
既存の連鎖移動剤であるチオール系化合物をインク組成物に添加することで、形成されたインク画像の成形性は向上するが、連鎖移動剤の存在によりインク組成物の保存安定性が低下し、実用上の使用が制限される。一方、本発明によれば、特定の環構造を含み、連鎖移動剤としての機能を有する一般式(1)で表される化合物と単官能ラジカル重合性モノマーとを用いているが、前記一般式(1)で表される化合物は分子内に求核性の高い官能基を有しないため、化合物自体の保存安定性に優れる。また、非共役ビニリデン基を含むことから、ラジカル連鎖移動反応を生起しうるため、前記化合物を含むインク組成物の保存安定性を低下させることなく、単官能ラジカル重合性モノマーを高感度で硬化させると共に、重合により得られた硬化膜は、適切な分子量と架橋密度を有するものとなる。また、一般式(1)で表される化合物は、分子内に環構造を含む嵩たかい化合物であるが、これらが相俟って、形成された画像の割れ難さが向上し、加熱成型加工する際において高い加熱成型性が得られたものと考えている。加熱成型性向上効果は、既存のチオール系連鎖移動剤を用いた場合と同等以上であることが確認されている。
本発明の好ましい態様では、必要に応じて、さらに熱ラジカル発生剤を添加することで、非共役ビニリデン基の連鎖移動能が向上するため、熱延伸性を含む加熱成型性の向上効果がさらに向上するものと考えている。
保存安定性に優れ、加熱成型性に優れた画像が形成され、熱加工による成型体の製造にも適するインクジェット記録用インク組成物を提供することができる。
また、本発明のインク組成物を用いた画像形成方法、印画物、該印画物を用いた成型体の製造方法及び成型体を提供することができる。
〔インク組成物〕
まず、本発明のインク組成物について説明する。
本発明のインク組成物は、(A)一般式(1)で表され、分子内に非共役ビニリデン基を含む化合物、(B)単官能ラジカル重合性モノマー、及び(C)光重合開始剤を含み、30℃における粘度が10mPa・s〜50mPa・sの範囲である、インクジェット記録用のインク組成物である。
なお、本明細書では、インクジェット記録用インク組成物を単に「インク組成物」と称することがある。
以下、本発明のインク組成物を構成する必須の成分について説明する。なお、本明細書において「アクリレート」、「メタクリレート」の双方、或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
本明細書において「〜」を用いる場合、その前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を表す。
まず、本発明の重要な要件である(A)一般式(1)で表され、分子内に非共役ビニリデン基を含む化合物(以下、適宜、(A)特定ビニリデン化合物と称する)について説明する。
<(A)特定ビニリデン化合物>
本発明における(A)特定ビニリデン化合物は、下記一般式(1)の構造から明らかなように、環構造に連結した非共役ビニリデン基を含む化合物である。このような構造をとることで、安定性が良好であり、比較的穏やかな連鎖移動作用を発現するものと考えている。
前記一般式(1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は1価の置換基を表し、Aは隣接する炭素原子と共に環構造を形成する原子団を表す。
、R、R、及びRが、それぞれ1価の置換基を表す場合の、1価の置換基としては、分岐、または直鎖の炭素数1〜18のアルキル基、水酸基、ハロゲン原子などが挙げられる。1価の置換基としての分岐、または直鎖の炭素数1〜18のアルキル基は、さらに、置換基として酸素原子、窒素原子、硫黄原子、水酸基、ハロゲン原子、不飽和結合を有してもよい。1価の置換基として、さらに好ましくは、分子量100以下の、炭素原子、または酸素原子を含んで構成される置換基であり、インク溶解性の観点から好ましい。
Aは隣接する炭素原子と共に形成する環構造としては、単環であってもよく、縮環した多環構造であってもよい。形成される環構造が多環の場合には、単環構造内に一つ以上の橋架け構造を有するものであってもよい。
Aを構成する炭素原子数は、隣接する2つの炭素を含まない炭素数として2〜40が好ましく、3〜20がより好ましく、3〜12が特に好ましい。
Aが隣接する炭素原子と共に形成する環構造としては、環構造中に共役二重結合を有しない脂肪環を含むことが好ましい。環構造が多環構造である場合には、縮環構造であってもよく、2以上の単環が一つの炭素原子を共有して結合している構造であっても、橋架け構造を有する環構造であってもよい。また、環構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。
そのような環構造としては、具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、またそれらになどが挙げられる。
Aが隣接する炭素原子と共に形成する環構造が単環の場合、(A)特定ビニリデン化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が好ましく挙げられる。
前記一般式(2)中、R、R、R、及びRは、一般式(1)におけるR、R、R、及びRとそれぞれ同義である。
Xは隣接する炭素原子と共に単環構造を形成する炭化水素基を表し、形成された単環は、置換基をさらに有していてもよく、また、環内に共役二重結合でない、一つ以上の多重結合を有するものであってもよい。
Xが置換基を有する場合、導入可能な置換基としては、置換基を有してよい直鎖、または分岐の炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基又はこれらを2以上組み合わせた基などが挙げられる。これらの置換基は、構造中の炭化水素鎖に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Xは隣接する炭素原子と共に形成する単環が橋掛け構造を有する場合、橋掛け構造は、炭素数1〜6の炭化水素基により構成されることが好ましい。
以下、一般式(2)で表される単環構造を有する、本発明に係る(A)特定ビニリデン化合物の例を挙げるが、本発明は以下に限定されない。
前記一般式(1)で表される化合物が、2以上の多環構造を有する場合には、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。多環構造は、縮環構造であってもよく、2以上の単環が一つの炭素原子を共有して結合している構造であってもよく、橋架け構造を有するものであってもよい。
下記一般式(3)中、R、R、R、及びRは、一般式(1)におけるR、R、R、及びRとそれぞれ同義である。
Xは隣接する炭素原子と共に環を形成する炭化水素基を表し、Y、Y、及びYはそれぞれ独立に単結合、又は、Xが形成する環状炭化水素基に橋架け構造を形成する炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表す。
Xが形成する環構造は、置換基をさらに有していてもよく、また、環内に多重結合を有していてもよい。
Xが置換基を有する場合、導入可能な置換基としては、置換基を有してよい直鎖、または分岐の炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基などの炭化水素基が挙げられる。これらの置換基は、構造中の炭化水素基に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
以下、一般式(3)で表される多環構造を有する、本発明に係る(A)特定ビニリデン化合物の例を挙げるが、本発明は以下に限定されない。
本発明に係る(A)特定ビニリデン化合物の分子量は150〜500の範囲であることが好ましく、200〜500がより好ましい。(A)特定ビニリデン化合物の分子量が上記範囲であると、本発明のインク組成物を用いて形成されたインク画像の加熱成形性がより向上する。
(A)特定ビニリデン化合物はJ. Am. Chem. Soc., 1963, 85 (3), pp 362−363、Tetrahedron Lette.,24,1885(1983)に記載の方法で合成することができる。また、市販品としても入手可能であり、例えば、東京化成社製のβ―カリオフィレンなどが挙げられる。
(A)特定ビニリデン化合物のなかでも、単環構造を有する化合物としては、β−テルピネン、サビネン等が好ましく、多環構造を有する化合物としては、β−カリオフィレン、α−フェンケン等が好ましい。これらのなかでも、安定性と加工適性の観点から、より好ましいものとして、β−カリオフィレンなどが挙げられる。
本発明のインク組成物は、(A)特定ビニリデン化合物を1種のみ含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
インク組成物における(A)特定ビニリデン化合物の好ましい含有量は、インク組成物全量に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましく、1質量%〜3質量%であることがさらに好ましい。
<(B)単官能ラジカル重合性モノマー>
本発明のインク組成物は、単官能ラジカル重合性モノマーを含有する。
(B)単官能ラジカル重合性モノマーは、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を分子内に1つ有する化合物であればどのようなものでもよい。単官能ラジカル重合性モノマーはインク組成物中に1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性モノマーが挙げられる。
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマーを用いることができる。
また、ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化型の重合性化合物材料が知られており、これらに記載の化合物のうち、単官能のラジカル重合性モノマーであれば、本発明のインク組成物に適用することができる。
更に、ラジカル重合性化合物として、ビニルエーテル化合物を用いることも好ましい。好適に用いられるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
前記単官能ラジカル重合性モノマーの好ましい例としては、2−フェノキシエチルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、テトラヒドロフルフリルアクリレート、サイクリックトリメチロールプロパンフォルマールアクリレート、イソボルニルアクリレート等をあげることができ、より好ましくは2−フェノキシエチルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、イソボルニルアクリレートを挙げることができる。
本発明のインク組成物全固形分中、(B)単官能のラジカル重合性モノマーの含有量は、45質量%〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは50質量%〜90質量%であり、更に好ましくは、55質量%〜90質量%である。
本発明のインク組成物は、ラジカル重合性モノマーとして単官能モノマーを含むことで、形成された画像の柔軟性がより向上し、本発明のインク組成物を用いて形成された画像は、加熱延伸加工に、より適した物性を有するに至ったものである。
なお、本発明のインク組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、多官能の重合性化合物を併用してもよい。
この場合、多官能重合性化合物は、全重合性化合物に対する含有量は40質量%以下とすることが好ましく、30質量%以下とすることがより好ましく、20質量以下とすることがさらに好ましく、全重合性化合物が単官能のラジカル重合性モノマーであることも好ましい態様である。
本発明に使用しうる多官能重合性化合物としては、例えば、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリル酸誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物などが挙げられる。
<(C)光重合開始剤>
本発明のインク組成物は、(C)光重合開始剤を含有する。(C)光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により重合開始種を生成する化合物であり、公知の光重合開始剤を適宜選択して使用することができる。
ここで活性エネルギー線とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、α線、γ線、X線、紫外線、赤外線、可視光線、電子線などを包含する。これらのうち、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線又は電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。したがって、本発明のインク組成物としては、活性エネルギー線として、紫外線を照射することにより硬化可能なものが好ましい。紫外線を発生させる光源としては、300nm〜400nmに発光波長を有するものが好ましく、公知の紫外線ランプである低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ショートアーク放電ランプ、紫外線発光ダイオード、半導体レーザー、蛍光灯などを使用することができ、開始剤に適した光量や波長により、高圧放電ランプに属する高圧水銀ランプやメタルハライドランプ、ショートアーク放電ランプに属するキセノンランプが好ましく用いられる。また、省エネルギーの観点から紫外線発光ダイオードも好ましく用いられる。
(C−1)ラジカル重合開始剤
前記(C)光重合開始剤として、(C−1)ラジカル重合開始剤であることが好ましく、例えば、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び(m)アルキルアミン化合物等を挙げることができる。
これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、及び、(e)チオ化合物が好ましい。これらの好ましい例としては、"RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY", J. P. FOUASSIER, J.F.RABEK(1993)、pp.77〜117記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。
さらに、本発明において、光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド化合物を使用することが特に好ましく、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(Irgacure 819:BASFジャパン社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(Darocur TPO:BASFジャパン社製、Lucirin TPO:BASF社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure 907:BASFジャパン社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニ)−ブタノン−1(Irgacure 369:BASFジャパン社製)などが好ましい。
本発明における(C)光重合開始剤の含有量は、本発明のインク組成物の全固形分に対して、1質量%〜50質量%の範囲が好ましく、2質量%〜40質量%の範囲がより好ましく、3質量%〜20質量%の範囲が更に好ましい。
〜その他の成分〜
本発明のインク組成物には、前記(A)〜(C)の成分に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、物性向上などの目的で、他の成分を併用することができる。
以下、これら任意の成分について以下に説明する。
<(D)熱ラジカル発生剤>
本発明のインク組成物には、形成されるインク画像の加熱成型性をより向上させる目的で、熱ラジカル発生剤、即ち、加熱によりラジカル種を発生する化合物を併用することも好ましい態様である。
本発明における熱ラジカル発生剤とは、分子内に熱により開裂する構造を含み、加熱によりラジカルを発生する化合物を指す。
本発明に使用しうる熱ラジカル発生剤としては、パーオキサイド化合物、ヒドロキシパーオキサイド化合物、ニトロキサイド化合物、ジアゾ化合物などが挙げられ、なかでも加工適性をより向上させるという観点から、ヒドロキシパーオキサイド化合物、ニトロキサイド化合物等が好ましく、より具体的には、例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロぺルオキシド化合物などが好ましい。
インク組成物に(D)熱ラジカル発生剤を含有させる場合、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
インク組成物に(D)熱ラジカル発生剤を含有させる場合の好ましい含有量は、インク組成物全量に対して、0.01質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがより好ましい。含有量が上記範囲において、添加によるインク画像の加熱成型性向上効果が十分に得られる。
<(E)着色剤>
本発明のインク組成物は、(E)着色剤を添加することで、可視画像を形成することができる。ここで用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の色材、(顔料、染料)を適宜選択して用いることができる。例えば、耐候性に優れた画像を形成する場合には、顔料が好ましい。染料としては、水溶性染料及び油溶性染料のいずれも使用できるが、油溶性染料が好ましい。
(顔料)
本発明に好ましく使用される顔料について述べる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、又は顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、或いは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
赤或いはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
青或いはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCOPb(OH)、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、Zeneca社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
インク組成物において、顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である前記(B)他の重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、無溶剤であることが好ましい。
顔料の平均粒径は、0.02μm〜0.4μmの範囲であることが好ましく、0.02μm〜0.1μmであることが更に好ましく、より好ましくは、0.02μm〜0.07μmの範囲である。顔料の平均粒径は、FPAR1000(大塚電子社製)にて、メチルエチルケトン(MEK)希釈して測定を行った値を用いている。
顔料粒子の平均粒径を上記好ましい範囲となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。
(染料)
本発明に用いる染料は、油溶性のものが好ましい。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解する色素の質量)が1g以下であるものを意味し、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下である。従って、所謂、水に不溶性の油溶性染料が好ましく用いられる。
着色剤を用いる場合には、インク組成物中、固形分換算で1質量%〜20質量%添加されることが好ましく、2質量%〜10質量%がより好ましい。
着色剤の含有量が上記範囲において、色濃度が十分に得られ、本発明のインク組成物が有する適切な硬化性が維持されるため好ましい。
<(F)重合禁止剤>
本発明のインク組成物には、重合禁止剤を含有することが好ましい。重合禁止剤を含むことで、インク組成物の熱重合に対する保存安定性がより向上する。
インクジェット記録用インク組成物は、インクジェット記録装置により、40℃〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して吐出することが好ましいとされ、通常は上記温度範囲で吐出されることが多いが、加熱された場合の所望されない熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも、重合禁止剤を添加することが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキキシピペリジン(TEMPOL)、アルミニウム−クペロン錯体(クペロンAl)等が挙げられる。
本発明のインク組成物に重合禁止剤を含有する場合の含有量は、インク組成物全量に対し、200ppm〜20,000ppmの範囲であることが好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、本発明の効果を損なわない範囲で紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5質量%〜15質量%程度である。
<増感剤>
本発明のインク組成物には、感光波長の長波長化の目的で、必要に応じ、増感剤を添加してもよい。増感剤としては、光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものであれば、何れでもよい。
<酸化防止剤>
インク組成物の安定性向上のため、本発明の効果を損なわない範囲で酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1質量%〜8質量%程度である。
<褪色防止剤>
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1質量%〜8質量%程度である。
<導電性塩類>
本発明のインク組成物には、射出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
<溶剤>
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性や臭気などの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し、5質量%以下が好ましく、0.01質量%〜5質量%がさらに好ましく、より好ましくは0.01質量%〜3質量%の範囲である。
<水>
また、本発明のインク組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、極微量の水を含んでいてもよいが、実質的に水を含有しない、非水性インク組成物であることが好ましい。具体的には、インク組成物全量に対して、水の含有量は3質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下、最も好ましくは1質量%以下である。
<高分子化合物>
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
<界面活性剤>
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに重合性基を有さない有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
本発明のインク組成物は、30℃における粘度が10mPa・s〜50mPa・sの範囲であり、10mPa・s〜30mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは10mPa・s〜25mPa・sの範囲である。インク組成物の粘度は、上記範囲になるように適宜組成比を調整し決定することが好ましい。
この粘度範囲とすることで、インクジェット記録装置による吐出が良好に行いうる。
本明細書において、粘度の測定方法としては、E型粘度計(RE−85、東機産業社製)を用いて粘度測定を行い、温度30℃で、測定した値を用いている。
本発明のインク組成物の表面張力は、好ましくは20mN/m〜30mN/m、更に好ましくは23mN/m〜28mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで30mN/m以下が好ましい。
本明細書において、表面張力の測定方法としては、表面張力計 DY−700(協和界面化学(株)社)の装置を用いて、温度30℃で測定した値を用いている。
このようにして本発明のインクジェット記録用インク組成物が調製される。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録装置により記録媒体上に射出し、その後、射出されたインク組成物に活性エネルギー線を照射して硬化することで、記録媒体上にインク画像が形成される。
〔画像形成方法〕
次に、本発明のインク組成物に好適な画像形成方法について、以下説明する。
本発明の画像形成方法は、上記本発明のインク組成物を記録媒体上にインクジェット記録装置により付与する工程(インク付与工程とも称する)と、記録媒体上に付与されたインク組成物に、エネルギーを付与してインク組成物を硬化させ、インク画像を形成する工程(硬化工程とも称する)と、を含む。
本発明による画像形成方法においては、上記インク組成物を30℃〜80℃に加熱して、インク組成物の粘度を7mPa・s〜30mPa・sの範囲に調整した後、射出することが好ましく、この方法を用いることにより高い射出安定性を実現することができる。また、インク組成物温度の制御幅は設定温度±5℃とすることが好ましく、より好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。
本発明による画像形成方法に好適なインクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましく、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、或いは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
次に、活性エネルギー線の照射条件について述べる。基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO99/54415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明においては、これらの照射方法を用いることが可能である。
また本発明では、インク組成物を一定温度に加温するとともに、着弾から照射までの時間を0.01秒〜0.5秒とすることが望ましく、好ましくは0.01秒〜0.3秒、更に好ましくは0.01秒〜0.15秒後に放射線を照射することにある。このように着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾インクが硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができる為、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
上記説明した画像形成方法と本発明のインク組成物とを併せて用いることにより、大きな相乗効果をもたらすことになる。特に、25℃におけるインク粘度が35MP・s〜500MP・sのインク組成物を用いると大きな効果を得ることが出来る。このような記録方法を取ることで、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。
本発明による画像形成方法に用いることができるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、市販のインクジェット記録装置が使用できる。即ち、本発明においては、市販のインクジェット記録装置を用いて記録媒体へ記録することができる。
(記録媒体)
本発明のインク組成物を適用しうる記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料あるいは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、二軸延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、二軸延伸ポリアミド(ONy)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等が挙げられる。その他、記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール、ポリビニルアルコール(PVA)、ゴム類、またそれらの複合記録媒体などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も記録媒体として使用可能である。
[印画物]
本発明の印画物は、記録媒体と、前記本発明のインク組成物により前記記録媒体上に形成された画像とを有するものである。すなわち、例えば、本発明のインク組成物をインクジェット記録装置により記録媒体に付与し、その後、付与されたインク組成物に活性放射線を照射して硬化することで、印画物を得ることができる。また、活性放射線の照射と加熱とを行ってもよい。
なお、前記本発明のインク組成物は、インクによる画像形成以外の用途に用いてもよい。特に、本発明のインク組成物は、紫外線などのエネルギー線照射により硬化し、強度が高く加熱成形性に優れた硬化膜が得られるため、例えば、インク組成物を平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成などに使用してもよい。
また、熱可塑性材料などからなる記録媒体上に本発明に係るインク組成物を用いて形成された画像を有する印画物は、加熱成形性に優れるため、熱加工による成型体の形成に供してもよい。
(加熱延伸性)
本発明のインク組成物は加熱延伸性に優れた画像を形成し得る。加熱延伸性とは、熱により変形しうる記録媒体上に、インク組成物によりインク画像を形成した後、記録媒体を加熱加工した場合に、インク画像が記録媒体の変形に追従するために必要な特性である。
なお、本発明において加熱延伸性に優れるとは、以下の条件を満たすことを言う。
インクジェット画像記録を、積算露光量:12,000mJ/cm、照度:2140mW/cmの条件で露光し、インク組成物の硬化膜を作製し、得られた硬化膜を軸長5cm×幅2.5cmにカットし、引っ張り試験機(島津製作所社製、オートグラフAGS−J)を用いて、170℃にて、速度20cm/minで延伸させ、硬化膜が破断する伸び率を測定した。初期長から2倍の長さまで伸びた状態を伸び率100%と定義した。
延伸率の許容範囲は、ロール状基材に対応するためには100%以上が必要であり、加熱による成型加工用途で使用する場合には200%以上であり、より好ましくは250%以上である。
本発明のインク組成物により形成された画像はいずれも、少なくとも上記評価による破断延び率が100%を超えるものである。加熱延伸性に優れることで、本発明のインク組成物により得られた印画物は加熱成形性に優れたものとなる。
〔成型物及びその製造方法〕
本発明のインク組成物により形成されたインク画像は熱延伸性に優れるため、前記インク画像を有する本発明の印画物は成型体の製造に好適に使用される。
本発明の成型体の製造方法は、前記本発明の印画物を加熱延伸成型する工程を含む。このとき、記録媒体としては、熱延伸性加工に適する材料を選択すればよい。そのような記録媒体としては、既述の本発明に使用しうる記録媒体のうち、紙、ガラス、セラミック、及び金属を除けば殆どの有機材料からなる記録媒体が適用しうる。なかでも成形性の観点からは、PVC、ポリカーボネート、PET、OPS、OPP、ONy、アイオノマー、アクリル樹脂などのフィルムやボードが好ましく挙げられ、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂、またはそれらの複合材がさらに好ましい。
なお、成型体を製造しうる加熱加工特性(加熱成形性)を評価する場合には、前記インクジェット記録方法に従い、500μm厚さの透明基材(ポリカーボネート)樹脂シート上に、平均膜厚が30μmのベタ画像のインク画像を形成して、インク膜を作製し、その上にスクリーンインクにて白色層を下記の手順にて作成したものを試料とする。
白色層は、帝国インク製造(株)製のスクリーンインキ(白色)IPX−HF675を10%のF−003溶剤で希釈し、8%の硬化剤#200を添加して、T250メッシュで印刷した後、65℃で15分間加熱硬化させて作製する。
射出成形機として住友重機械工業(株)製SG−50を用いて、上記で得られた記録媒体上に、インク組成物により形成されたインク膜と白色層とを備えた試料を5.5cm×5.5cmのサイズとして、射出成型機の空洞部の内壁に固定して、射出成形を行う試験を実施する。この際に得られた成型体を目視にて観察し、クラック(割れ)発生の有無、及び、記録媒体からのインク膜のはがれの有無を確認し、割れ、はがれのないもの熱加工特性に優れると評価する。
本発明のインク組成物を用いた印画物はいずれも上記評価にて熱加工特性に優れると評価されるものである。
このようにして得られた成型体は、インク画像による印刷面に割れやはがれ(剥がれ)がなく、外観に優れた成型体が得られる。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例における形態に限定されるものではない。
なお、特に断りのない限り、「部」、及び「%」は質量基準である。
<顔料分散物の調製>
(1.顔料分散物1の調製)
まず、下記のような配合で顔料分散物1を作製した。
下記組成において、まず、アクリレートモノマーであるフェノキシエチルアクリレートに、顔料および顔料分散剤を投入し、ハイスピードミキサーで均一になるまで撹拌してミルベースを調製した。その後、得られたミルベースを横型サンドミルで約1時間分散して、顔料分散物1(シアン:表中にはCと記載)を調製した。
(組成)
・IRGALITE BLUE GLVO
(シアン顔料、BASF社製、
表面酸量:18.0、表面塩基量:34.0) 27部
・ソルスパーズ32000(ルーブリゾール社製 顔料分散剤) 9部
・2−フェノキシエチルアクリレート 64部
(2.顔料分散物2の調製)
下記組成で顔料分散物2(イエロー:表中にはYと記載)を調製した。分散物の製造方法は、前記顔料分散1と同様の方法を適用した。
(組成)
・Novoperm Yellow P−HG
(クラリアント社製 Benzimidazolone顔料) 35部
・ソルスパーズ32000(ルーブリゾール社製 顔料分散剤) 7部
・2−フェノキシエチルアクリレート 58部
(3.顔料分散物3の調製)
下記組成で顔料分散物3(マゼンタ:表中にはMと記載)を調製した。分散物の製造方法は、前記顔料分散1と同様の方法を適用した。
(組成)
・CINQUASIA Magenta BRT−343−D
(BASF社製 キナクリドン顔料) 20部
・ソルスパーズ32000(ルーブリゾール社製 顔料分散剤) 6部
・2−フェノキシエチルアクリレート 74部
(4.顔料分散物4の調製)
下記組成で顔料分散物4(ブラック:表中にはKと記載)を調製した。分散物の製造方法は、前記顔料分散1と同様の方法を適用した。
(組成)
・Special Black 350
(オリエント化学工業社製 カーボンブラック顔料) 30部
・ソルスパーズ32000(ルーブリゾール社製 顔料分散剤) 6部
・2−フェノキシエチルアクリレート 64部
(5.顔料分散物5の調製)
下記組成で顔料分散物5(ホワイト:表中にはWと記載)を調製した。分散物の製造方法は、前記顔料分散1と同様の方法を適用した。
(組成)
・タイペークPF740(石原産業社製 シリカ処理1.0%、
アルミナ処理2.0%の白顔料) 40部
・アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製 顔料分散剤) 2部
・2−フェノキシエチルアクリレート 58部
〔実施例1〜実施例22〕
(インク組成物の調製)
下記処方に記載の成分を混合したものを2時間撹拌混合し、溶解残りがないことを確認し、メンブランフィルターでろ過を行い、粗大粒子を除去することにより実施例1〜22のインク組成物を得た。なお、下記処方により調製されたインク組成物の30℃での粘度は、いずれも20mPa・s〜30mPa・sの範囲内であった。
下記、インク組成物における重合性化合物中の単官能ラジカル重合性モノマーの占める割合は100%である。
(処方)
・前記顔料分散物〔(E)着色剤:表に記載〕 10部
・N−ビニルカプロラクタム〔(B)ラジカル重合性モノマー〕 34部
・2−フェノキシエチルアクリレート〔(B)ラジカル重合性モノマー〕 18部
・イソボルニルアクリレート〔(B)ラジカル重合性モノマー〕 24部
・オクチルデシルアクリレート〔(B)ラジカル重合性モノマー〕 2部
・(A)特定ビニリデン化合物又は比較化合物(表に記載の化合物) (表に記載の量)
・Lucirin TPO〔(C)光重合開始剤〕 8.0部
・Irgacure 819〔(C)光重合開始剤〕 2.0部
・BYK307〔界面活性剤〕 0.5部
・メトキシフェノール〔(F)重合禁止剤〕 0.5部
・tert−ブチルヒドロペルオキシド〔(D)熱ラジカル発生剤〕 (表に記載の量)
〔実施例23〕
(インク組成物の調製)
下記処方に記載の成分を混合したものを2時間撹拌混合し、溶解残りがないことを確認し、メンブランフィルターでろ過を行い、粗大粒子を除去することにより実施例23のインク組成物を得た。なお、下記処方により調製されたインク組成物の30℃での粘度は20mPa・s〜30mPa・sの範囲内であった。
下記、インク組成物における重合性化合物中の単官能ラジカル重合性モノマーの占める割合は97.4%である。
・前記顔料分散物〔(E)K着色剤〕 10部
・N−ビニルカプロラクタム〔(B)ラジカル重合性モノマー〕 34部
・2−フェノキシエチルアクリレート〔(B)ラジカル重合性モノマー〕 18部
・イソボルニルアクリレート〔(B)ラジカル重合性モノマー〕 24部
・ネオペンチルグリコールジアクリレート
〔ラジカル重合性多官能モノマー〕 2部
・(A)特定ビニリデン化合物(A−4) 1.0部
・Lucirin TPO〔(C)光重合開始剤〕 8.0部
・Irgacure 819〔(C)光重合開始剤〕 2.0部
・BYK307〔界面活性剤〕 0.5部
・メトキシフェノール〔(F)重合禁止剤〕 0.5部
〔実施例24〕
(インク組成物の調製)
下記処方に記載の成分を混合したものを2時間撹拌混合し、溶解残りがないことを確認し、メンブランフィルターでろ過を行い、粗大粒子を除去することにより実施例24のインク組成物を得た。なお、下記処方により調製されたインク組成物の30℃での粘度は、20mPa・s〜30mPa・sの範囲内であった。
下記、インク組成物における重合性化合物中の単官能ラジカル重合性モノマーの占める割合は94.9%である。
・前記顔料分散物〔(E)K着色剤〕 10部
・N−ビニルカプロラクタム〔(B)ラジカル重合性モノマー〕 32部
・2−フェノキシエチルアクリレート〔(B)ラジカル重合性モノマー〕 18部
・イソボルニルアクリレート〔(B)ラジカル重合性モノマー〕 24部
・ネオペンチルグリコールジアクリレート
〔ラジカル重合性多官能モノマー〕 4部
・(A)特定ビニリデン化合物A−4 1.0部
・Lucirin TPO〔(C)光重合開始剤〕 8.0部
・Irgacure 819〔(C)光重合開始剤〕 2.0部
・BYK307〔界面活性剤〕 0.5部
・メトキシフェノール〔(F)重合禁止剤〕 0.5部
〔比較例1〕
上記処方において、(A)特定ビニリデン化合物を用いなかった以外は、表1に記載の処方に従い、実施例1〜実施例22におけるのと同様にして比較例1のインク組成物を調製した。
〔比較例2〜4〕
(A)特定ビニリデン化合物に代えて、表1に記載の比較化合物を用いた以外は、実施例1〜実施例22におけるのと同様にして比較例2〜4のインク組成物を調製した。
比較例2に用いたリモネンの構造を以下に示す。比較例3に用いたジペンテンは、リモネンのd/l体であり、いずれも特定ビニリデン化合物に該当しないテルペン化合物である。カレンズMT(登録商標)PE−1(昭和電工製)は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)であり、チオール系の硬化助剤である。
なお、実施例に用いた(A)特定ビニリデン化合物及び比較化合物の構造は以下に示すとおりである。
(インクの評価)
得られた実施例1〜実施例24、比較例1〜比較例4のインク組成物について、下記方法により、インク画像の加熱延伸性、インク組成物の保存安定性、及び加熱加工による成型体作成時の加工適性について評価を行った。
<保存安定性の評価>
得られた各インク組成物50mlの調製後に、E型粘度計(RE−85、東機産業社製)を用いて30℃において粘度測定を行った。その後、得られた各インク組成物50mlを遮光ボトルに入れ、60℃にて4週間の経時保管を行った後、同様に、E型粘度計(RE−85、東機産業社製)を用いて30℃において粘度測定を行い、経時前後での粘度上昇から、以下の基準にて保存安定性の評価を行い、結果を下記表2に示した。
A:保存後の粘度上昇が1%以内
B:保存後の粘度上昇が1%を超え5%以内
C:保存後の粘度上昇が5%を超えた
評価結果としてAが好ましく、Bの評価までは実質上使用可能である。
<加熱延伸性の評価>
インクジェット記録装置として、Acuity LED 1600(搭載インクジェットヘッド:ピエゾ型インクジェットヘッドQ−class Sapphire QS−256/30(FUJIFILM DIMATIX社製、ノズル数256個、最小液滴量30pL、33kHz))を使用して、得られた各インク組成物を、インク液量30pL、吐出周波数15kHzにて、記録媒体(500μm厚のPCシート)へ、ベタ画像として吐出し、付属のLED光源により385μmの紫外線を照射して記録媒体上のインク組成物を硬化させ、PC記録媒体上にインク組成物の硬化膜(インク画像)を有する印画物を作製した。
得られた印画物を、軸長5cm×幅2.5cmにカットし、引っ張り試験機(島津製作所社製、オートグラフAGS−J)を用いて、170℃にて、速度20cm/minで延伸させ、硬化膜が破断する伸び率を測定した。結果を下記表2に示す。
初期長から2倍の長さまで伸びた状態を伸び率100%と定義した。
延伸率の許容範囲はロール状基材に対応するためには100%以上が必要であり、成型加工用途で使用する場合には200%以上であり、より好ましくは250%以上である。
<成型体の作製>
得られた各インク組成物について、前記インクジェット記録装置を用い、500μm厚さの透明基材(ポリカーボネート)樹脂シート上に、平均膜厚が30μmのベタ画像のインク描画した後、上記と同様の条件にて紫外線照射を行い、インク膜を作製した。その上にスクリーンインクにて白色層を下記の手順にて作成した。白色層は、帝国インク製造(株)製のスクリーンインキ(白色)IPX−HF675を10%のF−003溶剤で希釈し、8%の硬化剤#200を添加して、T250メッシュで印刷した後、65℃で15分間加熱硬化させ、記録媒体上にインク組成物からなる硬化膜と白色層とを有する印画物を得た。
射出成形機として住友重機械工業(株)製SG−50を用いて、得られた印画物を5.5cm×5.5cmの空洞部の内壁に固定して、射出成形を行い、成型体を得た。
この際に得られた成型体を目視にて観察し、クラック(割れ)発生の有無、及び、記録媒体からのインク膜のはがれの有無を確認し、以下の基準で評価した。B以上を実用上問題のないレベルと評価する。結果を表2に示す。
A:成型体のインク画像形成領域にマイクロスコープ50倍で確認できる割れ、はがれがない
B:成型体のインク画像形成領域に目視で確認できる割れ、はがれがない
C:成型体のインク画像形成領域に目視で確認できる割れ、はがれがある
表2から明らかなように、本発明のインク組成物は、保存安定性に優れ、形成されたインク画像は、熱延伸性に優れ、加熱成型体の製造にも適することがわかる。また、実施例8と実施例21、実施例16と実施例22との対比より、熱ラジカル発生剤であるtert-ブチルヒドロペルオキシドを加えることで、加熱成形性がより向上することがわかる。
他方、(A)特定ビニリデン化合物を含有しない比較例1、本発明の範囲以外の非共役二重結合構造を有する化合物を用いた比較例2〜比較例3は、いずれも、加熱延伸性、熱成形による成型体の製造適性が実施例に比べて著しく劣ることがわかる。また、既存の連鎖移動剤であるカレンズMTPE−1を用いた比較例4では、熱延伸性は良好であるものの、保存安定性が低下し、実用上問題のあるレベルであった。

Claims (8)

  1. (A)下記一般式(1)で表され、分子内に非共役ビニリデン基を含む化合物、(B)単官能ラジカル重合性モノマー、及び(C)光重合開始剤、を含み、30℃における粘度が10mPa・s〜50mPa・sの範囲である、インクジェット記録用インク組成物。

    前記一般式(1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表し、Aは隣接する炭素原子と共に環構造を形成する原子団を表す。
  2. 前記(A)一般式(1)で表され、分子内に非共役ビニリデン基を含む化合物の分子量が、150〜500の範囲である、請求項1に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  3. 前記(B)単官能ラジカル重合性モノマーが、N−ビニル化合物を含む、請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  4. さらに、(D)熱ラジカル発生剤を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク組成物を、記録媒体上にインクジェット記録装置により付与する工程と、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性放射線を照射して硬化させ、インク画像を形成する工程と、を含む画像形成方法。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク組成物を用いて形成されたか、あるいは、請求項5に記載の画像形成方法により得られた印画物。
  7. 請求項6に記載の印画物を加熱延伸成型する工程を含む成型体の製造方法。
  8. 請求項7に記載の成形体の製造方法により得られた成型体。
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