JP2014198661A - 金属スズ−炭素複合体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の金属スズ−炭素複合体は、粒径が0.2nm〜5nmの範囲にある金属スズナノ粒子がシート状炭素マトリックスに内包され、1μm以上の金属スズ粗大粒子が存在しないことを特徴としている。また、本発明の金属スズ−炭素複合体は、粒径が5を超えて〜500nmの金属スズナノ粒子をシート状の炭素マトリックスに同時に内包するものであってもよい。
本発明の炭素で構成されるシート状マトリックス中(A)に金属スズナノ粒子(B)を内包する金属スズ−炭素複合体は、カチオンポリマー(X)と金属スズ化合物(Y)と硫酸(Z)を含む前駆体を、焼成することにより製造することができる。この焼成により、前駆体が炭化・還元され、金属スズ−炭素複合体となる。この際の焼成は、一定温度で行っても良いし、一定温度の下に焼成の後、更に温度を上げて、一定温度の下に焼成する様にしても良い。しかしながら、後者の様に多段階にて焼成を行う場合は、それらの最後の焼成が非酸化性雰囲気中で行われることで、当該金属スズ−炭素複合体を好適に製造することができる。
本発明で用いるカチオンポリマー(X)としては、金属スズ化合物(Y)と硫酸(Z)との反応によりスズイオンを含有する前駆体の形成ができれば特に制限はない。この時、前駆体の合成は、水系、溶剤系のいずれの媒体中で行っても良いが、環境面やコスト面からは、水系で行う事が好ましく、従って、水性のカチオンポリマーであることが好ましく、水性ポリアミンの使用が最も好ましい。
本発明で用いるスズ化合物(Y)は、水溶性である事が好ましく、スズカチオンとアニオンとで構成された水溶性のものが特に好ましい。そのようなスズ化合物として、硫酸スズ、硝酸スズ、塩化スズ、酢酸スズ等が挙げられるが、特に硫酸スズが好適である。水溶性でないスズ化合物は、例えばリン酸スズ、炭酸スズ、酸類あるいはアルカリ性溶液を加え、水に溶解する事で、本発明に適用できる。
前記スズ化合物(Y)は一般に水に溶解できるが、スズイオンは水和反応による水酸化スズになりやすいため、硫酸(Z)を添加して、水溶液を安定化させることが必要である。この時、硫酸(Z)は希硫酸として添加することが好ましい。混合後の溶液中における硫酸イオンの濃度は特に制限がないが、溶液の安定性の観点より、0.2〜5mol/Lの範囲に調整することが好ましく、0.4〜2mol/Lの範囲に調整することがより好ましい。
前述のカチオンポリマー(X)の水溶液と、硫酸(Z)で安定化したスズ化合物(Y)の水性溶液とを、室温(20℃)〜80℃の温度範囲内で、攪拌しながら混合することにより、溶液中からガム状の不溶性ゲルである前駆体を析出させることができる。前駆体を効率よく析出させるため、水性溶媒(例えば、エタノール、メタノールなど)を加えてもよい。この前駆体は水中で加熱しても溶解せず、その他の有機溶剤中でも溶解しない。
前記前駆体は、カチオンポリマー(X)、スズイオン、硫酸アニオンで構成されるものであるが、それだけで、非酸化性雰囲気中での高温焼成後の炭化率が低い場合には、高温焼成時に熱分解によるスズ中間化合物の気化が避けられない。したがってその様な場合には、新たな炭素源としてポリマー(U)の添加が重要となる。ポリマー(U)は、水性ポリマー、なかでも水溶性ポリマーであることが、上記した前駆体各成分との親和性が高い点で好ましい。
前記前駆体はカチオンポリマーとスズ化合物と硫酸との反応による不溶性ゲル状ものである。反応溶液を遠心分離後、上澄みをデカンテーション法で除去し、蒸留水またはエタノール、アセトンなどの溶剤を加えて洗浄することができる。
上記で得られた前駆体を高温焼成することで、前駆体中のスズイオンは金属スズの粒子になるとともに、カチオンポリマー(X)が炭化されてなる炭素に複合化される。本発明ではこの高温焼成を本焼成工程と称する。
前述のように、前記前駆体の焼成段階で硫化スズなど中間物が発生することがある。これら中間物の生成がスズの損失及び不純物の生成に大きな原因となる。スズ硫化物など中間物の発生を抑制するために酸化性雰囲気中での低温焼成が有効手段の一つである。本発明ではこの低温焼成を仮焼成工程と称する。
前記前駆体においてカチオンポリマーは唯一な炭素源である。すなわち、ポリアミンを用いる場合には炭化段階において炭素を提供するものがポリアミンである。取扱いやすいため、多分岐状ポリエチレンイミンがよく使われる。高温下でポリエチレンイミンは熱分解による炭素の不飽和結合を有する中間体が大量に生成する。硫黄あるいは硫黄化合物の触媒作用下でその不飽和状態である炭素結合が自発的に環状に転換し、炭素の生成に至る炭化反応が起こる。前述の仮焼成処理後、前駆体中に存在した硫酸成分が急激に減少し、さらにカチオンポリマーが部分的に熱分解されることもあるため、このままの状態で高温炭素処理すると炭素量が不足することがあり、スズイオンが金属スズに還元されるものの炭素相がスズの粒成長を抑制する効果が弱まるため大粒子の金属スズがたくさん生じることがある。従って、この様な場合には、前記前駆体を仮焼成後に炭素源の補充が必要になることがある。
単離乾燥した試料を測定試料用ホルダーにのせ、それを株式会社リガク製広角X線回折装置「Rint−Ultma」にセットし、Cu/Kα線、40kV/30mA、スキャンスピード1.0°/分、走査範囲10〜80°の条件で測定し、また、X線回折装置「Rint−TTRII」を用いてX線小角度散乱分析を行った
単離乾燥した試料を測定パッチにより秤量し、それをSIIナノテクノロジー株式会社製示差走査熱量分析測定装置(TG−TDA6300)にセットし、昇温速度を10℃/分として、20℃から1000℃の温度範囲にて窒素雰囲気中または大気中測定を行った。また、試料をSIIナノテクノロジー株式会社製示差走査熱量分析測定装置(EXSTER DSC7200)にセットし、昇温速度を10℃/分として室温(25℃)から300℃の範囲内に測定を行った。
エタノールで分散した試料をサンプル支持膜に載せ、日本電子株式会社製透過型電子顕微鏡装置(JEM−2000FS)にて観察した。高角度散乱暗視野(走査透過電子顕微鏡)法(ハーディフステム;HAADF−STEM:high−angle annular dark−field scanning transmission electron microscopy)は格子振動による熱散漫散乱によって高角度に非弾性散乱された電子を円環状の検出器で受け、この電子の積分強度をプローブ位置の関数として測定し、その強度を像として表示する手法である。像の強度は原子番号のほぼ二乗に比例し、軽い原子は見えにくいが、重い原子が選択的に観察できる。この手法を用いて炭素で構成されるシート状マトリックス(A)中に内包される金属スズナノ粒子(B)の存在状態の確認を行った。
粉末状のサンプルをガラス板に載せ、反射型ラマン測定装置(レニショー(RENISHAW)製、RAMASCOPE)にてスペクトルを測った。
重量比5%〜15%の多分岐状ポリエチレンイミン(エポミン、sp−200、重量分子量10000、株式会社日本触媒製)の水溶液を調製し、その水溶液10mL中に、表1に示した異なるモル濃度の硫酸スズ水溶液10mLを滴下し、その混合液を室温(25℃)下で1時間激しく攪拌した。硫酸スズを水によく溶解させるため、反応溶液中には希硫酸を添加した(表1)。反応溶液からの沈殿物を遠心分離器にて単離し(10000rpm、10分)、上澄みを除いた後、蒸留水で三回洗浄した。得られた固形物を90℃で10時間減圧乾燥して、固体粉末を得た。各サンプルに関する詳細は表1にまとめる。
実施例1
上記のSn−0.35aゲル前駆体を100℃乾燥機中に一晩乾燥し、さらに120℃で減圧乾燥を5時間行った後、黄色い前駆体の粉末を得た。この粉末を窒素中、300℃以上で加熱すると、前駆体が徐々に溶融体となるに伴い、有機成分が熱分解されることによってガスが大量に発生した。350℃での加熱発泡後、さらに5℃/分の昇温速度で900℃まで焼成した。目標温度での保温時間をそれぞれ1時間以上に設定した。焼成後、サンプルは発泡のゆえ体積が大きく膨大した黒色多孔質体になり、軽く粉砕後に高比表面積を有する黒色粉末を得た。
上記のSn−0.47aゲル前駆体を実施例1と同じ操作で900℃・窒素中で焼成した。得られたシート状生成物は、HADDF観察結果によると、シート状複合体中に粒径の0.2〜5nm範囲にある超微小のスズナノ粒子が密に分布し、100nm以上、特に1μm以上の金属スズ粗大粒子が存在しないことが確認できた。XRD測定結果によると金属スズナノ粒子の平均粒径が25.5nmであり、熱分析結果は金属スズの含有率が39質量%であることを示した(表2、図1)。
上記のSn−0.70aゲル前駆体を実施例1と同じ操作で900℃・窒素中で焼成し、シート状生成物を得た。HADDF観察結果によるとシート状複合体中に粒径の0.2〜5nm範囲にある超微小のスズナノ粒子が密に分布し、100nm以上特に1μm以上の金属スズ粗大粒子が存在しないことが確認できた。その焼成体に含まれる金属スズナノ粒子の平均粒径は9.5nmであり、金属スズの含有率は38質量%であった(表2)。得られたサンプルのXRDパターンは図1に示す。
実施例1〜3より高い濃度の硫酸溶液を添加することでSn−0.233bゲル前駆体を合成した。洗浄・乾燥後、900℃・窒素中で焼成して黒色粉末を得た。XRDと熱分析測定結果から、金属スズナノ粒子の平均粒径は14.3nmであり、金属スズの含有率が17.3質量%であることを示した(表2)。反射型電子顕微鏡で粒径が1μm以上の金属スズ粗大粒子が観察されなかった。透過型電子顕微鏡の観察結果は、得られたサンプルの形態がシート状であり、また、そのシート中に粒径が10nm前後のスズナノ粒子が数多く存在することが分かった。さらに、HAADF−STEMの分析結果は、上記粒径10nm前後の粒子間に、1〜3nmの極小粒子が大量に内包されていることを示した。
実施例1〜3よりさらに高濃度の硫酸溶液を添加することで得た上記のSn−0.35bゲル前駆体を、実施例1と同じ操作で900℃・窒素中で焼成し、シート状生成物を得た。得られた複合体中に含まれる金属スズナノ粒子の平均粒径は10.6nmであり、金属スズの含有率は19.5質量%であった(表2)。また、反射型電子顕微鏡で粒径が1μm以上の金属スズ粗大粒子が存在しないことを確認した。
実施例1〜3よりさらに高濃度の硫酸溶液を添加することで得た上記のSn−0.47bゲル前駆体を、実施例1と同じ操作で900℃・窒素中で焼成し、シート状生成物を得た。得られた複合体に含まれる金属スズナノ粒子の平均粒径は11.4nmであり、金属スズの含有率は21質量%であった(表2)。また、反射型電子顕微鏡で粒径が1μm以上の金属スズ粗大粒子が存在しないことを確認した。
実施例1〜3よりさらに高濃度の硫酸溶液を添加することで得た上記のSn−0.70bゲル複合体を、実施例1と同じ操作で900℃・窒素中で焼成し、シート状生成物を得た。得られた複合体に含まれる金属スズナノ粒子の平均粒径は9.2nmであり、金属スズの含有率は26質量%であった(表2)。また、反射型電子顕微鏡で粒径が1μm以上の金属スズ粗大粒子が存在しないことを確認した。(図4)。
上記の実施例に使われたポリエチレンイミン(エポミン、sp−200、重量分子量10000)の代わりに低分子量のポリエチレンイミン(エポミン、sp−012、重量分子量1200、日本触媒)を用いる以外は実施例1と同様な操作を行い、前駆体を得たのち、これを窒素中で900℃の温度下で焼成した。得られた生成物をSEMおよびTEMで観察した結果、生成物はシート状であり、炭素から構成されるシート状マトリックス中に複数個の金属スズナノ粒子が内包された構造であることを確認した。またHADDF観察結果によると、シート状複合体中に粒径の0.2〜5nmと5〜20nmの範囲にある超微小の金属スズナノ粒子が密に分布していることが確認できた。そのほか少量の30〜100nm範囲にある金属スズ粒子が観察されたが、反射型電子顕微鏡で粒径が1μm以上の金属スズ粗大粒子が存在しないことを確認した。X線回折パターンの結果によると金属スズナノ粒子の平均粒径が42.0nmであることが分かり、熱分析の結果、金属スズの含有率が45質量%であることを示した(表2)。
上記の実施例に使われたポリエチレンイミンの代わりに、15質量%の濃度に調整したポリアリルアミン(平均分子量15000、PAA−15、株式会社日東紡)水溶液を用いて実施例1と同様に、0.5mol/l希硫酸を添加した上、Sn/Nのモル比を0.35/1に調整して前駆体の合成を行った。反応生成物を100℃で減圧乾燥した後、窒素中で900℃の温度下で焼成した。得られた生成物をSEMおよびTEMで観察した結果、シート状の生成物が得られ、炭素で構成されるシート状マトリックス中に複数個の金属スズナノ粒子が内包された構造であることを確認した。HADDF観察結果によると粒径の0.2〜5nmおよび5〜30nmの範囲にある超微小の金属スズナノ粒子がシート状複合体中に密に分布していること、X線回折パターンの結果、当該金属スズナノ粒子の平均粒径が36.0nmであることが確認できた。熱分析の結果、金属スズの含有率が34質量%であることを示した(表2)。また、反射型電子顕微鏡での観測の結果、複合体中には粒径が1μm以上の金属スズ粗大粒子が存在しないことが確認できた。
上記の実施例において、硫酸スズの代わりに硝酸スズを用いる以外は実施例1と同様な操作を行った。ゲル状前駆体を100℃で十分に減圧乾燥した後、窒素中で900℃の温度下で焼成した。得られた複合体をSEMおよびTEMで観察した結果、シート状の生成物であり、炭素から構成されているシート状マトリックス中に複数個の金属スズナノ粒子が内包されていることを確認した。また、HADDF観察結果によるとシート状複合体中に粒径が0.2〜5nmおよび5〜30nmの範囲にある超微小の金属スズナノ粒子が密に分布していること、1μm以上の金属スズ粗大粒子が存在しないことが確認できた。熱分析の結果、金属スズの含有率は29質量%であることを示し(表2)、X線回折パターンの結果によると金属スズナノ粒子の平均粒径が38.0nmであることが確認できた。
△(少量: 0〜5個)
○(普通: 5〜15個)
◎(多い: 15個以上)
X(なし)
実施例4と同じく比較的高濃度硫酸溶液を添加することでSn−0.233bゲル前駆体を合成した。室温下、1.745g硫酸スズ粉末を10mlの0.8mol/L稀硫酸溶液中に完全溶かして10mlの15%ポリエチレンイミン(エポミンsp200、分子量10000、日本触媒製)と反応させた。一時間静置後、上澄みをデカンテーションで除去した(乾かしたら4.32gの乾燥前駆体を得る)。蒸留水で軽く洗浄後、0.5gの水性フェノール樹脂(フェライト1196、DIC株式会社製)原液(乾燥前駆体に対する樹脂の相対添加量が約0.1:1であった)を加えて60℃の水浴中にて2時間撹拌した。減圧乾燥後、この混合体を350℃大気中にて30分仮焼成してから900℃、窒素雰囲気中にて高温焼成・炭化を行った。XRDと熱分析測定結果、金属スズナノ粒子の平均粒径は29nmであり、金属スズの含有率が33質量%であることを示した(表3)。また、X線小角度散乱の分析結果は、本実施例で得られたスズ‐炭素複合体中に存在するスズの粒径分布範囲が0.2〜20nmにあり、中心粒径が約7nmであることを示した。TEMの観察でもスズ‐炭素複合体中に10nm以下のスズ粒子が密に分布していることが分かった(図4)。
実施例11と同じ操作で、ゲル状前駆体に水性フェノール樹脂の添加量を変えて、1.0gを混合させた(乾燥前駆体に対する樹脂の相対添加量が約0.25:1であった)。XRDと熱分析測定結果によると、窒素雰囲気中で高温焼成後得られたスズ‐炭素複合体中にスズ粒子の平均粒径が32nmであり、スズの含有量が38重量%であった(表3)。
実施例11と同じ操作で、ゲル状前駆体に水性フェノール樹脂の添加量を変えて、2.0gを混合させた(乾燥前駆体に対する樹脂の相対添加量が約0.5:1であった)。XRDと熱分析測定結果によると、窒素雰囲気中で高温焼成後得られたスズ‐炭素複合体中にスズ粒子の平均粒径が26.5nmであり、スズの含有量が20重量%であった(表3)。
実施例12と同じ操作で合成した前駆体を350℃・大気中にて仮焼成後、窒素雰囲気中・1000℃で高温焼成を行った。得られたスズ‐炭素複合体中にスズの平均粒径が31.9nmであり、スズの含有量が33.8重量%であった(表3)。
実施例4と同じく比較的高濃度硫酸溶液を添加することでSn−0.233bゲル前駆体を合成した。室温下、1.745g硫酸スズ粉末を10mlの0.8mol/L稀硫酸溶液中に完全溶かして10mlの15%ポリエチレンイミン(エポミンsp200、分子量10000、日本触媒製)と反応させた。一時間静置後、上澄みをデカンテーションで除去した(乾かしたら4.32gの乾燥前駆体を得る)。蒸留水で軽く洗浄後、10mlの15重量%ポリビニルアルコール(分子量1000、乾燥前駆体に対する樹脂の相対添加量が約0.3:1であった)を加えて60℃の水浴中にて2時間撹拌した。減圧乾燥後、この混合体を900℃、窒素雰囲気中にて高温焼成・炭化を行った。XRDと熱分析測定結果、金属スズナノ粒子の平均粒径は35nmであり、金属スズの含有率が33質量%であることを示した(表3)。
実施例4と同じくゲル前駆体を合成し、一時間静置後、上澄みをデカンテーションで除去した。蒸留水で軽く洗浄後、20mlの15重量%ポリビニルアルコール(分子量1000、乾燥前駆体に対する樹脂の相対添加量が約0.6:1であった)を加えて60℃の水浴中にて2時間撹拌した。窒素雰囲気中・900℃での焼成によって得られた試料のXRDと熱分析測定結果、金属スズナノ粒子の平均粒径は40nmであり、金属スズの含有率が25質量%であることを示した(表3)。
実施例4と同じ操作でゲル状前駆体を合成した。乾燥後に320℃、大気中にて一時間仮焼成して黒色粉末を得た。1gの粉末を10mlの10重量%フェノ‐ル樹脂(TD-2131、DIC株式会社製)/エタノール溶液に入れ、室温下30分攪拌した。上澄みを除去してから乾燥後、窒素雰囲気中・900℃にて高温焼成を行った。分析結果によると、得られた試料中に金属スズナノ粒子の平均粒径は80nmであり、金属スズの含有率が24質量%であった(表3)
実施例4と同じ操作でゲル状前駆体を合成した。乾燥後に400℃、大気中にて一時間仮焼成して黒色粉末を得た。1gの粉末を10mlの10重量%フェノ‐ル樹脂(TD-2131、DIC株式会社製)/エタノール溶液に入れ、室温下30分攪拌した。上澄みを除去してから乾燥後、窒素雰囲気中・900℃にて高温焼成を行った。分析結果によると、得られた試料中に金属スズナノ粒子の平均粒径は200nmであり、金属スズの含有率が32質量%であった(表3)
△(少量: 0〜5個)
○(普通: 5〜15個)
◎(多い: 15個以上)
X(なし)
1gのポリビニルアルコール(PVA、数平均分子量1000、和光純薬)を20mlの蒸留水中に完全溶解し、20mlの0.58M濃度硫酸スズ溶液を攪拌しながら加えて沈殿物なく安定かつ均一な溶液を調整した。この溶液を95℃の乾燥器中にて一晩脱水させてから減圧乾燥を行った後に乾燥体を得た後、この乾燥体を窒素雰囲気中・900℃の条件下にて真空炉中で焼成した。前駆体より体積が顕著に縮んだ灰色粉末を得た。X線回折パターンは、生成物が硫化スズ及び酸化スズ(SnO2−x)であり、金属スズの結晶が検出されなかったことを示した。SEM観察の結果、焼成物の形態が無規則であることを確認した。
1gのポリエチレングリコール(PEG、数平均分子量20000、和光純薬)を20mlの蒸留水中に完全溶解し、20mlの0.58M濃度硫酸スズ溶液を攪拌しながら加えて沈殿物なく安定かつ均一な溶液を調整した。比較例1と同様な操作で減圧乾燥を行った後に乾燥体を得た後、この乾燥体を窒素雰囲気中・900℃の条件下にて真空炉中で焼成した。前駆体より体積が顕著に縮んだ灰色粉末を得た。X線回折測定で酸化スズ及び少量の金属スズ結晶相が検出されたが、SEM観察結果からは焼成物が無規則的な塊であることが確認できた。
0.5モル/Lの硫酸スズ(II)水溶液100mL中に、イオン交換樹脂A(スチレン−ジビニルベンゼン−スルホン酸基系(架橋度8%、イオン交換容量2.2当量/L、交換基Na+、平均粒径750±50μm)20gを60分間浸漬することにより、イオン交換を行った。スチレン−ジビニルベンゼン−スルホン酸基系とは、ポリスチレンの長鎖間をジビニルベンゼンで架橋し、イオン交換基としてスルホ基を有する高分子酸であることを示している。イオン交換後の樹脂をイオン交換水で洗浄した。乾燥後、窒素雰囲気中に900℃で1時間焼成を行った。X線回折、TEMなどの分析結果によると、焼成物が無規則の形態であり、その中に多数のスズ粗大粒子(粒径が1μm以上)が存在したほか、粒径が40〜200nmの範囲にある酸化スズ粒子の形成も検出され、40nm以下、特に5nm以下のスズ粒子が存在してないことが確認できた。
硫酸を添加せずに上記の実施例7と同様な操作でSn−0.7ゲル前駆体を作製した。洗浄・乾燥後、窒素雰囲気中に5℃/分の昇温速度で900℃まで焼成して金属スズ−炭素複合体の黒色粉末を得た。X線回折測定結果によると金属スズの結晶体由来の強いかつシャープなピークが検出され、シェラー式で計算した平均粒径が100μm以上であることが分かった。SEMとTEMの観察の結果、すべての複合体がシート状であり、この複合体中には20nm以下の金属スズナノ粒子を内包するが、それと併有して100nm以上の大きな粒子、特に1μm以上の金属スズ粗大粒子が数多く存在することを確認した(図5)。
Claims (10)
- 炭素で構成されるマトリックス(A)中に金属スズナノ粒子(B)が内包されてなる金属スズ−炭素複合体であって、
前記金属スズナノ粒子(B)の粒径が0.2nm〜5nmの範囲のものを含み、且つ1μm以上の粗大な金属スズ粒子を含まないことを特徴とする金属スズ−炭素複合体。 - 更に、粒径が5nmを超えて〜100nmの範囲にある金属スズナノ粒子(B)を同時に内包する特徴とする請求項1記載の金属スズ−炭素複合体。
- 請求項1又は2に記載の金属スズ―炭素複合体の製造方法であって、
カチオンポリマー(X)とスズ化合物(Y)と硫酸(Z)とを含む前駆体を焼成することを特徴とする請求項1又は2記載の金属スズ−炭素複合体の製造方法。 - カチオンポリマー(X)とスズ化合物(Y)と硫酸(Z)と水溶性ポリマー(U)とからなる前駆体を焼成することを特徴とする請求項1又は2記載の金属スズ−炭素複合体の製造方法。
- 前駆体を低温焼成し、その後に高温焼成することを特徴とする請求項3又は4記載の金属スズ−炭素複合体の製造方法。
- 前駆体を低温焼成して得た中間物にポリマー(V)を吸着させた後に高温焼成することを特徴する請求項3又は4記載の金属スズ−炭素複合体の製造方法。
- 低温焼成が、酸化性雰囲気中で250〜450℃の温度範囲で行われることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の金属スズ-炭素複合体の製造方法。
- 高温焼成が、非酸化性雰囲気中、700℃以上の温度条件下で行うことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の金属スズ−炭素複合体の製造方法。
- カチオンポリマー(X)がポリエチレンイミンである請求項3〜8の何れか1項に記載の金属スズ−炭素複合体の製造方法。
- 請求項3〜9に記載の製造方法で得られる金属スズ−炭素複合体。
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---|---|---|---|---|
JPH11104486A (ja) * | 1997-09-30 | 1999-04-20 | Agency Of Ind Science & Technol | 金属−炭素複合微粒子の製造方法 |
JP2010153346A (ja) * | 2008-05-27 | 2010-07-08 | Kobe Steel Ltd | リチウムイオン二次電池用負極材、および、その製造方法、ならびに、リチウムイオン二次電池 |
JP2014019607A (ja) * | 2012-07-18 | 2014-02-03 | Kawamura Institute Of Chemical Research | 炭素と金属スズ及び/又は酸化スズ複合ナノシート及びその製造方法 |
Non-Patent Citations (2)
Title |
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JPN6015005635; LEE Youngmin, et al.: 'Sn nanocrystal/carbon composites as high-capacityanode materials for lithium rechargeable batteries' Journal of Power Sources Vol.196, No.24, 20111215, P.10686-10691 * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5768906B2 (ja) | 2015-08-26 |
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