JP2014198433A - 保護層転写シート、及び中間転写媒体 - Google Patents

保護層転写シート、及び中間転写媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】転写時の保護層の箔切れ性が良好で、かつ熱転写画像に十分な耐久性を付与することができる保護層転写シート、及び中間転写媒体を提供すること。
【解決手段】基材1の一方の面に、当該基材1から剥離可能な保護層2が設けられた保護層転写シート10であって、保護層2は、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂及び/又はガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、保護層転写シート、及び中間転写媒体に関する。
透明性に優れ、中間色の再現性や階調性が高く、従来のフルカラー写真画像と同等の高品質画像が簡易に形成できるという理由から、昇華転写方式により被転写体上に熱転写画像を形成することが広く行われている。被転写体上に熱転写画像が形成された印画物としては、デジタル写真や、身分証明書、運転免許証、会員証等多く分野で使用されているIDカードが知られている。
昇華転写方式による熱転写画像の形成には、基材の一方の面に染料層が設けられた熱転写シートと、被転写体、例えば、他の基材の一方の面に受容層が設けられた熱転写受像シートが使用される。そして、被転写体と、熱転写シートの染料層とを重ね合わせ、サーマルヘッドにより、熱転写シートの背面側から熱を印加して3色または4色の多数の色ドットを、被転写体上に移行させることにより、被転写体上に熱転写画像が形成された印画物を得ることができる。このような昇華転写方式によれば、熱転写シートに印加するエネルギー量によって染料の移行量を制御出来るため濃度階調が可能であることから、画像が非常に鮮明であり、且つ透明性、中間調の色再現性、階調性に優れフルカラー写真画像に匹敵する高品質の印画物を形成することができる。
近時、熱転写受像シート以外の任意の被転写体上に、熱転写画像が形成された印画物を得たいとの要求に対応すべく、基材上に受容層が剥離可能に設けられた中間転写媒体が提案されている(例えば、特許文献1)。この中間転写媒体によれば、熱転写シートの染料層の染料を、中間転写媒体の受容層上に転写して熱転写画像を形成し、その後に中間転写媒体の背面側を加熱して、受容層を任意の被転写体上に転写することができ、任意の被転写体上に熱転写画像が形成された印画物を得ることができる。
昇華転写方式により熱転写受像シートの受容層上に熱転写画像を形成することで得られる印画物、或いは、昇華転写方式により中間転写媒体の受容層に熱転写画像を形成し、この受容層を任意の被転写体上に再転写することで得られる印画物は、当該印画物の最表面に、熱転写画像が形成された受容層が位置することとなる。しかしながら、昇華転写方式で受容層上に形成される熱転写画像は、上記の如く階調性画像の形成に優れるものの、形成された印画物は通常の印刷インキによるものとは異なり、染料が顔料でなく比較的低分子量の染料であり且つビヒクルが存在しないため、耐可塑剤性、耐摩耗性、耐溶剤性等の耐久性に劣るといった欠点を有する。
そこで、近時、熱転写画像が形成された熱転写受像シートの受容層と、保護層を有する保護層転写シートを重ね合わせ、サーマルヘッドや加熱ロール等を用いて保護層を転写させ、熱転写画像が形成された受容層上にさらに保護層を形成する方法が用いられている。このように熱転写画像が形成された受容層上にさらに保護層を形成することで、熱転写画像の耐久性を向上させることができる。例えば、特許文献2には、基材上に、剥離層、保護層、受容層兼接着層が設けられた中間転写媒体が提案されている。この中間転写媒体によれば、任意の基材上に、熱転写画像が形成された受容層、保護層を転写した時に、熱転写画像が形成された受容層の表面に保護層が位置することから、熱転写画像に耐久性を付与することができる。
特開昭62−238791号公報 特開2004−351656号公報
しかしながら、耐久性の向上を主目的とする保護層を用いた場合には、保護層の箔切れ性が悪く、保護層転写シートの保護層、或いは熱転写画像が形成された中間転写媒体の受容層、及び保護層を、被転写体上に転写する際、転写される保護層に尾引きの発生や、転写部分の端部で転写不良が生じることとなる。箔切れ性を向上させるために、保護層の膜厚を下げることも考えられるが、保護層の膜厚を下げた場合には、耐久性が低下してしまう問題が生ずることとなる。
保護層に要求される重要な機能としては耐久性とともに箔切れ性が挙げられるものの、上記のように耐久性と箔切れ性はトレードオフの関係にあり、保護層の耐久性を向上させようとした場合には保護層の箔切れ性が低下する。このことから、1つの保護層で耐久性と箔切れ性の双方を満足させることができていないのが現状である。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、転写時の保護層の箔切れ性が良好で、かつ熱転写画像に十分な耐久性を付与することができる保護層転写シート、及び中間転写媒体を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面に、当該基材から剥離可能な保護層が設けられた保護層転写シートであって、前記保護層は、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂を含有していることを特徴とする。
また、前記アクリル系ポリオール樹脂の重量平均分子量(Mw)が、8000以上70000以下の範囲内であってもよい。また、前記アクリル系ポリオール樹脂が、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂であってもよい。
また、前記アクリル系ポリオール樹脂の水酸基価が、10mgKOH/g以上100mgKOH/g以下の範囲内であってもよい。また、前記硬化剤が、XDI系、HMDI系、IPDI系の群から選択されるイソシアネート系硬化剤であってもよい。
また、上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面に、当該基材から剥離可能な保護層、受容層が積層された中間転写媒体であって、前記保護層は、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂を含有していることを特徴とする。
本発明の保護層転写シート、及び中間転写媒体によれば、当該保護層転写シート、及び中間転写媒体に含まれる保護層に、トレードオフの関係にある箔切れ性と、耐久性の双方を付与することができ、保護層転写シートにおいては、熱転写画像が形成された受容層上に保護層を転写する際の保護層の箔切れ性が良好であり、熱転写画像が形成された印画物に高い耐久性を付与することができる。また、中間転写媒体においては、熱転写画像が形成された受容層、及び保護層を、任意の基材上に転写する際の保護層の箔切れ性が良好で、かつ受容層上に形成された熱転写画像に高い耐久性を付与することができる。
本発明の保護層転写シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の保護層転写シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の中間転写媒体の一例を示す概略断面図である。 本発明の中間転写媒体の一例を示す概略断面図である。
<<保護層転写シート>>
以下に、本発明の保護層転写シート10について詳細に説明する。図1は、本発明の保護層転写シートの一例を示す概略断面図である。図1、図2に示すように、本発明の保護層転写シート10は、基材1の一方の面上に、当該基材1から剥離可能な保護層2が設けられた構成をとる。基材1、及び保護層2は、本発明の保護層転写シート10における必須の構成である。なお、本発明の保護層転写シート10は、これら必須の構成に加え、図2に示すように、任意の層が設けられていてもよい。なお、図2は、基材1と保護層2との間に任意の層である剥離層3が設けられており、保護層2上に任意の層である接着層4が設けられており、基材1の他方の面上に任意の層である背面層5が設けられている。以下、本発明の保護層転写シート10の各構成について具体的に説明する。
(基材)
基材1は本発明の保護層転写シート10における必須の構成であり、保護層2、或いは基材1と保護層2との間に任意に設けられる剥離層3、及び基材1の他方の面上に任意に設けられる背面層5を保持するために設けられる。基材1の材料については特に限定されないが、保護層2を被転写体上に転写する際に加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような基材1として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。また、基材1の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、2.5〜100μm程度が一般的である。
(保護層)
基材1の一方の面上には、当該基材1から剥離可能な保護層2が設けられている。保護層2は、本発明の保護層転写シート10における必須の構成であり、熱転写時に基材1から剥離され被転写体に転写される層である。
本発明では、保護層2に、アクリル系ポリオール樹脂が含有されている。本願明細書におけるアクリル系ポリオール樹脂とは、水酸基を有するアクリル系樹脂を意味し、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを1種又は2種以上と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを1種又は2種以上と、更に必要に応じ、スチレン等のその他の重合性モノマー1種又は2種以上とを共重合させて得られるアクリル系ポリオール樹脂を挙げることができる。具体例としては、メチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、オクチル(メタ)アクリレート−エチルヘキシル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等を挙げることができる。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味である。
アクリル系ポリオール樹脂のガラス転移温度(Tg)は、アクリル系ポリオール樹脂を含有する保護層2に付与される耐久性、及び箔切れ性と密接的な関係を有しており、アクリル系ポリオール樹脂として、保護層2に、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のアクリル系ポリオール樹脂のみを含有せしめた場合には、保護層に耐熱性や、耐摩耗性、耐可塑剤性、耐溶剤性等の耐久性(以下、単に耐久性という。)を十分に付与することができない。特に、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のアクリル系ポリオール樹脂が、未硬化のアクリル系ポリオール樹脂、或いは、硬化剤による硬化の度合が低い硬化型アクリル系ポリオール樹脂である場合には、保護層2に付与される耐久性が極めて低く、当該保護層が転写された熱転写画像に、十分な耐久性を付与することができない。
一方、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のアクリル系ポリオール樹脂が、硬化剤による硬化の度合が高い硬化型アクリル系ポリオール樹脂である場合には、未硬化、或いは硬化の度合が低いアクリル系ポリオール樹脂よりも、当該硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有する保護層の耐久性を向上させることができる。しかしながら、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のアクリル系ポリオール樹脂を用いて、保護層に十分な耐熱性や、耐久性を付与するためには、当該ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のアクリル系ポリオール樹脂の硬化の度合いを十分に高める必要があるものの、硬化の度合の進行にともない、保護層の転写性は低下していく。また、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のアクリル系ポリオール樹脂の硬化の度合が高くなるにつれ、当該アクリル系ポリオール樹脂を含有している保護層が脆くなり、保護層転写時における保護層の箔切れ性が著しく低下することとなる。また、耐久性の点でも十分とはいえない。
さらには、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のアクリル系ポリオール樹脂を十分に硬化させた場合であっても、耐摩耗性、耐可塑剤性、耐溶剤性等の耐久性は、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂よりも低い。
つまり、保護層2に、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のアクリル系ポリオール樹脂を含有せしめる場合において、当該アクリル系ポリオール樹脂が硬化剤によって硬化されたものである場合には、箔切れ性、転写性等の要求を満たすことができず、一方、未硬化のものである場合には、耐久性の要求を満たすことができない。換言すれば、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂を用いることなく、保護層に、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のアクリル系ポリオール樹脂を含有せしめた場合には、耐久性と、箔切れ性の双方の要求を十分に満足させることができない。
そこで、本発明では、保護層2が、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂を含有している。以下、特に断りがない限り、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂のことを、単に、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂という場合がある。また、本願明細書において、ガラス転移温度(Tg)とは、Foxの理論計算式に基づき求められる温度(ケルビン(K))を、摂氏(℃)に換算したものである。
本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂を含有する保護層2によれば、当該アクリル系ポリオール樹脂が硬化剤によって硬化されているか否かに関わらず、また、硬化剤による硬化の度合に関わらず、保護層2に十分な耐久性と箔切れ性を付与することができる。つまり、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂を含有する保護層2によれば、トレードオフの関係にある、耐久性と、箔切れ性の双方の要求を同時に満足させることができる。なお、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂が未硬化のものであっても、その耐久性は、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって完全に硬化せしめたものよりも高いことから、箔切れ性を低下させることなく、保護層2に十分な耐久性を付与することができる。
保護層2には、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂にかえて、またはこれとともに、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂が含有されていることが好ましい。硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有する保護層2によれば、保護層2のさらなる耐久性の向上を見込むことができる。以下、ガラス転移温度が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂のことを、単に、本発明における硬化型アクリル系ポリオール樹脂という場合がある。
保護層2に、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂、本発明における硬化型アクリル系ポリオール樹脂が含有されているか否かは、例えば、赤外線吸収(FT−IR)分析により特定することができる。具体的には、保護層を測定したときに、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの吸収の有無によって、保護層2に含有されている樹脂が、アクリル系の樹脂であるかを特定することができ、また、硬化剤として、イソシアネート系硬化剤を用いる場合には、イソシアネート基と水酸基とが反応したウレタン結合や、未反応残存イソシアネートの吸収の有無によって、硬化型アクリル系ポリオール樹脂であるか否かを特定することができる。これ以外にも、赤外分光(IR)測定によって、水酸基と結合した別のピークが検出されるか否かによっても硬化型アクリル系ポリオール樹脂であるか否かを特定することができる。さらに、これらの測定によって、保護層2にアクリル系ポリオール樹脂、硬化型アクリル系ポリオール樹脂が含有されていると特定された場合には、当該吸収、或いはピークとなるアクリル系ポリオール樹脂、硬化型アクリル系ポリオール樹脂を別途準備し、この別途準備したアクリル系ポリオール樹脂、硬化型アクリル系ポリオール樹脂のガラス転移温度(Tg)を測定することによって、保護層2に含有されているアクリル系ポリオール樹脂、硬化型アクリル系ポリオール樹脂のガラス転移温度(Tg)を特定することができる。
本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂の分子量について特に限定はないが、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂の重量平均分子量(Mw)が8000未満である場合には、保護層2の耐久性が低下する傾向にある。一方、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂の重量平均分子量(Mw)が70000を超える場合には、保護層2を転写した際の箔切れ性が低下する傾向にある。この点を考慮すると、保護層2には、重量平均分子量(Mw)が8000以上70000以下のアクリル系ポリオール樹脂含有されていることが好ましい。なお、このことは、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂の分子量を限定するものではなく、上記好ましい範囲外の分子量であっても、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下のアクリル系ポリオール樹脂や、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂以外のポリオール樹脂を保護層に含有せしめた場合と比較して、保護層2に付与される耐久性や、転写性、箔切れ性などの印画適性は良好となる。また、重量平均分子量(Mw)が上記好ましい範囲を下回る場合であっても、当該重量平均分子量のアクリル系ポリオール樹脂を、後述する硬化剤によって硬化せしめることで、重量平均分子量が上記好ましい範囲内のアクリル系ポリオール樹脂と同等の耐久性を付与することができる。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値を意味する。
また、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂の水酸基価は、10mgKOH/g以上100mgKOH/g以下の範囲内であることが好ましい。水酸基価がこの範囲内である本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂を用いることで、硬化の度合にかかわらず、箔切れ性を満足させることができ、かつ、耐久性の更なる向上を図ることができる。なお、水酸基価が100mgKOH/gを超えるアクリル系ポリオール樹脂を、硬化剤によって十分に硬化させた場合には、当該硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有する保護層2の膜が脆くなり、箔切れ性が低下する傾向となる。一方、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂の水酸基価が10mgKOH/g未満である場合には、当該アクリル系ポリオール樹脂を完全に硬化させた場合であっても、未硬化のものと耐久性は殆ど変わらず、耐久性のさらなる向上を図ることができない。
なお、本願明細書において、アクリル系ポリオール樹脂の「水酸基価」とは、アクリル系ポリオール樹脂1g中に含まれる水酸基をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数を意味する。水酸基価は、アクリル系ポリオール樹脂を、無水酢酸を含むピリジン溶液とし、水酸基をアセチル化させ、過剰のアセチル化試薬を水によって加水分解し、生成した酢酸を水酸化カリウムで滴定を行うことで求めることができる。
上記硬化型アクリル系ポリオール樹脂とするための硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤や、チタンキレート剤、ジルコニウムキレート剤、アルミニウムキレート剤などの金属キレート剤を好適に用いることができる。イソシアネート系硬化剤は、水酸基を有するアクリル系ポリオール樹脂を、その水酸基を利用して架橋させるものである。イソシアネート系硬化剤としてはポリイソシアネート樹脂を好ましく使用することができる。ポリイソシアネート樹脂としては、従来種々のものが知られているが、そのうち芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン、1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。
上記イソシアネート系硬化剤は、XDI系、HMDI系、IPDI系の群から選択されるイソシアネート系硬化剤であることが好ましい。これらのイソシアネート系硬化剤を用いて、アクリル系ポリオール樹脂を硬化せしめることで、硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有する保護層2が黄変してしまうことを防止することができる。なお、これらの群から選択されるイソシアネート系硬化剤以外のイソシアネート系硬化剤、例えば、TDI系、MDI系のイソシアネート系硬化剤によって、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂を硬化せしめた場合には、当該硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有する保護層2が黄変してしまい、当該保護層2が転写された印画物の外観が低下する場合がある。
上記で説明したように、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂は、未硬化の状態で、当該アクリル系ポリオール樹脂を含有する保護層2に十分な耐久性、及び十分な箔切れ性を付与することができ、また、本発明における硬化型アクリル系ポリオール樹脂を保護層2に含有させることでさらなる耐久性の向上が図られる。特に、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂においては、この硬化の度合いが低い場合であっても、極めて高い耐久性を保護層2に付与することができる。なお、アクリル系ポリオール樹脂の水酸基価によっては、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂の硬化を進行させていった場合に、保護層2が脆くなり箔切れ性が低下することも懸念されることから、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめる場合には、保護層2の箔切れ性を低下させない範囲で硬化の度合いを調整することが好ましい。
具体的には、硬化剤であるイソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基と、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂が有する水酸基とのモル当量比(―NCO/−OH)が0.2以上3.0以下の範囲内で硬化されていることが好ましい。なお、水酸基価が上記好ましい範囲内のものである場合には、硬化の度合にかかわらず、保護層2の箔切れ性を良好なものとすることができる。
保護層2の固形分総量に対する、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂及び/又は本発明における硬化型アクリル系ポリオール樹脂の含有量について特に限定はなく、他の任意の成分等の含有量に応じて適宜設定することができる。なお、保護層2の固形分総量に対する、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂及び/又は本発明における硬化型アクリル系ポリオール樹脂の含有量が30質量%未満である場合には、耐久性を十分に満足させることができない場合があり、また、他の任意の成分によっては箔切れ性が低下する場合がある。この点を考慮すると、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂及び/又は本発明における硬化型アクリル系ポリオール樹脂は、保護層2の固形分総量に対し30質量%以上の割合で含有されていることが好ましく、40質量%以上の割合で含有されていることがより好ましい。なお、上限値について特に限定はなく、100質量%である。
保護層2は、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂或いは、本発明における硬化型アクリル系ポリオール樹脂を単独で含有していてもよく、双方を含有していてもよい。また、保護層2には、水酸基価や、重量平均分子量が異なる2種以上の本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂を含有していてもよい。この場合、これらのアクリル系ポリオール樹脂の合計質量が、保護層2の固形分総量に対し、上記好ましい含有量の範囲内となっていることが好ましい。
(他の任意の成分)
保護層2には、上記ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂とともに、他の任意の成分が含有されていてもよい。例えば、図1に示す形態では、保護層2に、基材1からの剥離性、被転写体との接着性が要求される。したがって、この形態では、保護層2に、剥離性を有する成分や、接着性を有する成分が含有されていることが好ましい。また、図1に示す形態では、当該保護層転写シート10を用いて保護層2を転写した時に、当該保護層2が、保護層が転写された被転写体の最表面に位置することから、保護層2には耐擦過性(スリップ性という場合もある。)を有する成分が含有されていることが好ましい。なお、被転写体側に、保護層2との接着性を満たす対応をとる、例えば、被転写体上に接着層を設けることもでき、この場合には、保護層2に接着性を有する材料が含まれていることを必ずしも要しない。また、後述するように、図1に示す形態における保護層2に要求される役割を、図2に示すように、別途の層によって補うこともできる。例えば、基材1と保護層2との間に、剥離性や、耐擦過性に対する要求を満たすことができる剥離層3を設け、保護層2上に、被転写体との接着性に対する要求を満たすことができる接着層4を設ける場合には、基材からの剥離性を有する成分、被転写体との接着性を有する成分、耐擦過性を有する成分を保護層2に含有させることを必ずしも要しない。
また、図1、図2に示す構成にかえて、保護層2上に接着層4を設け、保護層2に、剥離性と耐擦過性を有する成分を含有せしめた構成としてもよい。この場合には、保護層2に接着性を有する成分を含有させなくとも、被転写体上に、保護層2を良好に転写することができる。また、図1、図2に示す構成にかえて、基材1と保護層2との間に剥離層3を設け、保護層2に接着性を有する成分を含有せしめた構成とすることもできる。この場合には、保護層2に剥離性や、耐擦過性を有する成分を含有させなくとも、保護層2が転写された印画物に耐久性や、耐擦過性を付与することができる。
なお、任意の成分は、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂によって付与される箔切れ性や、耐久性を損なわない範囲で含有されていることが必要であり、具体的には、任意の成分の含有量は、保護層2の固形分総量に対し、70質量%以下であることが好ましい。以下、任意の成分について説明する。
「耐擦過性を有する成分」
耐擦過性を有する成分としては、例えば、メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、紫外線吸収性樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線吸収性樹脂等が挙げられる。なかでも、紫外線吸収性樹脂は、耐擦過性に特に優れる点で好適に使用することができる。
紫外線吸収性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものが挙げられる。
「基材からの剥離性を有する成分」
また、基材1からの剥離性に優れる成分としては、例えば、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス等のワックス類、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂等が挙げられる。
「被転写体との接着性を有する成分」
被転写体との接着性を有する成分としては、例えば、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂等を主成分とする従来既知の接着剤が広く使用できる。
「その他任意の成分」
また、保護層2には、上記で例示した任意の成分以外に、他の任意の成分が含有されていてもよい。他の任意の成分としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、トリアジン系、酸化チタン、酸化亜鉛などの公知の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系、Niキレート系などの光安定剤、ヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系、ラクトン系などの酸化防止剤等を挙げることができる。これらの任意の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いることもできる。
また、保護層2の耐擦過性の更なる向上を目的として、保護層2に滑剤を含有してもよい。滑剤としては、例えば、変性シリコーンオイル、シリコーン変性樹脂などのシリコーン類、ステアリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸類、脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、カルバナワックス、パラフィンワックスなどを挙げることができる。
保護層2の形成方法については特に制限はなく、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂及び/又は本発明における硬化型アクリル系ポリオール樹脂、必要に応じて添加される任意の成分を、適当な溶剤に溶解または分散させた保護層用塗工液を調製し、この保護層用塗工液を、基材1、又は基材1上に任意に設けられる層上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用い塗布、乾燥させて形成することができる。保護層2の厚みについて特に限定はなく、本発明におけるアクリル系ポリオール樹脂による耐久性を十分に発揮でき、また、箔切れ等を良好な状態とすることができる厚みの範囲内で適宜設定することができる。好ましくは、0.5μm以上10μm以下の範囲内である。
上記では、図1に示す構成の保護層転写シートにおいて、保護層2に、基材1からの剥離性や、被転写体との接着性を付与した構成を中心に説明を行ったが、図2に示すように、これらの役割を別途の層に付与する構成としてもよい。つまり、本発明の保護層転写シートにおいて、図1に示すように被転写体上に保護層のみが転写される単層構成の転写層としてもよく、図2に示すように、保護層2と任意の層が被転写体上に転写される積層構成の転写層とすることもできる。転写層とは、被転写体上に転写される層を意味し、本発明では、必須の層である保護層2が含まれている。図2では、基材1と保護層2との間に剥離層3が設けられ、保護層2上に接着層4が設けられた構成をとる保護層転写シートの一例を示す概略断面図である。
(剥離層)
図2に示すように、基材1と保護層2との間に剥離層3を設けてもよい。剥離層3の成分としては、上記「耐擦過性を有する成分」、「基材からの剥離性を有する成分」で例示した材料を適宜選択して用いることができる。なお、この剥離層3は、通常保護層2とともに、被転写体上に転写される層であるが、基材1側に残存する層としてもよい。被転写体側に転写される場合には、当該剥離層が、転写後の最表面に位置することから、この場合、剥離層に「耐擦過性を有する成分」が含有されていることが好ましい。一方、基材1側に残存する場合には、保護層2が転写後の最表面に位置することから、この場合には、上記で説明したように、保護層2に「耐擦過性を有する成分」が含有されていることが好ましい。剥離層3が、保護層2とともに被転写体上に転写される場合には、上記で例示した滑剤等を剥離層3に含有させることにより耐擦過性の更なる向上を図ることができる。
剥離層3の形成方法としては、上記「耐擦過性を有する成分」、「基材からの剥離性を有する成分」を適当な溶剤に溶解または分散させた剥離層用塗工液を調製し、この剥離層用塗工液を、基材1上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用い塗布、乾燥させて形成することができる。剥離層3の厚みは、0.5μm〜5μm程度が一般的である。
(耐可塑剤性層)
保護層2が転写された印画物の耐可塑剤性を向上させるために、基材1と保護層2との間や、剥離層3を設ける場合には剥離層3と保護層4との間に耐可塑剤性層(図示しない)を設けてもよい。
耐可塑剤性層としては、可塑剤成分を弾く材料や、可塑剤成分が画像に到達しにくい材料を好ましく使用することができる。可塑剤成分を弾く材料としては、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等を挙げることができる。可塑剤成分が画像に到達しにくい材料としては、カチオン性のウレタンエマルジョン等のカチオン性樹脂を挙げることができる。これらの材料は単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いることもできる。
また、可塑剤成分を弾く材料として例示したポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂は、ケン化度が30〜100%のものが好ましく、60〜100%のものが更に好ましい。ケン化度がこの範囲のポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂を耐可塑剤性層に含有させることで、転写層の耐可塑剤性を更に向上させることができる。なお、本発明におけるケン化度とは、ポリマー中のビニルアルコール構造のモル数を、ポリマー中の全モノマーのモル数で割った値をいう。可塑剤成分を弾く材料や、可塑剤成分が画像に到達しにくい材料は、耐可塑剤性層の固形分総量に対し20質量%〜100質量%の範囲内で含有されていることが好ましい。
また、耐可塑剤性層には、必要に応じて、例えば、滑剤、可塑剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料等の着色剤、蛍光増白剤、その他の添加剤等を添加してもよい。
必要に応じて設けられる耐可塑剤性層は、上記で例示した材料の1種又は2種以上と、必要に応じて添加される各種材料を適当な溶剤により溶解または分散させて耐可塑剤性層用塗工液を調製し、これを基材1、あるいは必要に応じて設けられる剥離層3上に塗工・乾燥して形成することができる。耐可塑剤性層の厚さについて特に限定はないが、通常は乾燥後の厚みで0.1μm〜50μmであり、好ましくは1μm〜20μm程度である。
(接着層)
図2に示すように、保護層2上に接着層4を設けてもよい。接着層4の成分としては、上記「被転写体との接着性を有する成分」で例示した成分等を適宜選択して用いることができる。なお、被転写体側で、保護層2との接着性を満足させる対応をとる場合には、接着層4を設けることを必ずしも要しない。
接着層4の形成方法としては、上記「被転写体との接着性を有する成分」を適当な溶剤に溶解または分散させた接着層用塗工液を調製し、この接着層用塗工液を、保護層2上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用い塗布、乾燥させて形成することができる。接着層4の厚みは、0.5μm〜10μm程度が一般的である。
上記では、積層構成の転写層の一例として、転写層が、剥離層、耐可塑剤性層、接着層を含む場合を例に挙げ説明を行ったが、転写層を構成する任意の層に含有されている成分、例えば、剥離層、耐可塑剤性層、接着層に含有されている成分によっては、それぞれの層単独での箔切れ性が不十分となる場合がある。本発明では、転写層に含まれ、被転写体上に転写される必須の層である保護層2が、上記で説明したように箔切れ性に優れることから、保護層2とともに転写される任意の層の箔切れ性が低い場合であっても、保護層2と任意の層と含む転写層全体としての箔切れ性を向上させることができる。
(背面層)
また、図2に示すように、基材1の保護層2が設けられている面とは異なる面上に、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるための背面層5を設けてもよい。なお、背面層5は本発明の保護層転写シート10における任意の構成である。
背面層5は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。中でも、耐熱性等の点から、ポリアミドイミド系樹脂又はそのシリコーン変性物等を好ましく用いることができる。
また、背面層5には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加剤が含有されていることが好ましく、リン酸エステル又は金属石鹸の少なくとも1種が含有されていることが特に好ましい。
背面層5は、例えば、上記熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加剤を適当な溶媒に分散又は溶解させた塗工液を、基材1上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗工し、乾燥することにより形成することができる。背面層5の厚みは、耐熱性等の向上等の点から、0.1g/m2〜5g/m2程度が好ましく、0.3g/m2〜2.0g/m2程度がより好ましい。
以上、本発明の保護層転写シート10について説明を行ったが、本発明の保護層転写シートは本発明の趣旨を妨げない範囲内での種々の態様をとることができる。例えば、基材1の保護層2が設けられた面と同一面上に、染料層を面順次に設けた染料層一体型の保護層転写シート(図示しない)とすることもできる。この染料層は単一の染料層であってもよく、例えば、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層がこの順で面順次に設けられた構成とすることもできる。
<<中間転写媒体>>
次に、図3、図4を用いて本発明の中間転写媒体100について説明する。本発明の中間転写媒体100は、基材1の一方の面上に、当該基材1から剥離可能な保護層2、受容層50が積層された構成をとる。基材1、保護層2、受容層50は、本発明の中間転写媒体100における必須の構成である。なお、本発明の中間転写媒体100は、図4に示すように、基材1と保護層2との間に剥離層3が設けられ、基材1の他方の面上に背面層5が設けられていてもよい。また、受容層50上に図示しない接着層が設けられていてもよい。以下、本発明の中間転写媒体100の各構成について具体的に説明する。
(基材)
基材1は、上記本発明の保護層転写シート10の基材1と同様のものを用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。
(保護層)
基材1上には、当該基材1から剥離可能な保護層2が設けられている。本発明の中間転写媒体100では、保護層2に、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂が含有されていることを特徴とする。この特徴を有する本発明によれば、受容層50上に熱転写画像を形成した後に、本発明の中間転写媒体100の受容層50、及び保護層2を、任意の被転写体上に転写することで、受容層50に形成された熱転写画像に高い耐久性が付与された印画物を得ることができる。また、本発明では、受容層50、保護層2を被転写体上に転写する際の保護層2の箔切れ性にも優れる。また、アクリル系ポリオール樹脂が、ガラス転移温度が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂であってもよい。
本発明の中間転写媒体100によってもたらされる上記効果は、上記本発明の保護層転写シート10の保護層2と同様の理由によるものであり、ここでの詳細な説明は省略する。したがって、本発明の中間転写媒体100においては、上記本発明の保護層転写シート10で説明した保護層2をそのまま用いることができる。なお、本発明では、保護層2上に設けられる受容層50が、被転写体と直接的、又は接着層等の任意の層を介して間接的に積層されることから保護層2が接着性を有していることを特に要しない。
また、本発明においても、図3に示すように保護層2に「基材からの剥離性を有する成分」を含有せしめ、剥離層の機能を兼ね備える保護層2(剥離層兼保護層)としてもよく、基材からの剥離性を別途の層を設けることで担保する、例えば、図4に示すように、基材1と保護層2との間に剥離層3を設けることとしてもよい。剥離層3についても、上記本発明の保護層転写シート10で説明したものをそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。
(受容層)
図3、図4に示すように、保護層2上には受容層50が設けられている。この受容層上には、熱転写画像が形成される。そして、画像が形成された受容層50は、保護層2とともに被転写体上に転写され、その結果、印画物が形成される。受容層50を形成するための材料としては、昇華性染料または熱溶融性インキ等の熱移行性の色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、特に、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
受容層50が接着層を介して被転写体に転写される場合には、受容層50自体の接着性は必ずしも要求されない。しかし、受容層50が接着層を介さないで被転写体に転写される場合には、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの接着性を有する樹脂材料を用いて受容層50を形成することが好ましい。
受容層50は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて受容層用塗工液を調製し、これをグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。その厚さは、乾燥状態で1〜10g/m2程度である。
受容層50が接着性を有しない場合には、当該受容層50上に接着層(図示しない)を設けることとしてもよい。接着層は、本発明の中間転写媒体100における任意の構成であり、被転写体側に接着処理等が施されている場合には、接着層を設けることを要しない。受容層50上に任意に設けられる接着層としては、上記本発明の保護層転写シート10の接着層4をそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。
(背面層)
また、図4に示すように基材1の他方の面上に背面層5が設けられていてもよい。背面層5としては、上記本発明の保護層転写シート10の背面層5をそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。
(画像形成方法)
本発明の中間転写媒体を用いて、受容層50上に画像形成を行う方法としては、特に限定されず、公知の熱転写方式にて行うことができる。
また、上記画像形成の際に使用する熱転写シートとしては、例えば、ポリエステルフィルム等の基材の一方の面に熱転写性色材層が設けられ、基材の他方の面に背面層が設けられた従来公知の熱転写シートを使用することができる。以下、熱転写シートについて説明する。
(基材)
基材としては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等の樹脂フィルム;コンデンサー紙、パラフィン紙、合成紙等の紙類;不織布;紙や不織布と樹脂との複合体等が挙げられる。
基材の厚みについて特に限定はないが、通常0.5μm〜50μmであり、好ましくは約1.5〜10μmである。
基材は、隣接する層との接着性を向上させるため、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、グラフト化処理等、公知の樹脂表面改質技術を適用することができる。上記表面処理は、1種のみ行ってもよいし、2種以上行ってもよい。また、必要に応じ、その一方の面又は両面に下引き層(プライマー層)が設けられていてもよい。
(熱転写性色材層)
熱転写性色材層は、熱転写シートが昇華型熱転写シートの場合には、昇華性染料を含有する層となり、熱溶融型熱転写シートの場合には、着色剤を含む熱溶融組成物を含有する層となる。また、昇華性染料を含有する層領域と、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する層領域とを連続した1枚の基材上に面順次に設けられた熱転写シートを用いることもできる。以下、熱転写シートが、昇華型熱転写シートである場合を中心に説明するが、本発明の中間転写媒体100は、昇華型熱転写シートと組み合されて用いられることに限定されるものではない。
昇華性染料としては、例えば、ジアリールメタン系染料;トリアリールメタン系染料;チアゾール系染料;メロシアニン染料;ピラゾロン染料;メチン系染料;インドアニリン系染料;アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料;キサンテン系染料;オキサジン系染料;ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料;チアジン系染料;アジン系染料;アクリジン系染料;ベンゼンアゾ系染料;ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料;スピロピラン系染料;インドリノスピロピラン系染料;フルオラン系染料;ローダミンラクタム系染料;ナフトキノン系染料;アントラキノン系染料;キノフタロン系染料;等が挙げられ、更に具体的には、特開平7−149062号公報に例示の化合物等が挙げられる。上記熱転写性色材層において、昇華性染料は熱転写性色材層の全固形分に対し5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%の量である。昇華性染料の使用量が、上記範囲未満であると印字濃度が低くなることがあり、上記範囲を越えると保存性等が低下することがある。
上記染料を担持するためのバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、セルロース系、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の樹脂が耐熱性、染料の移行性等の点から好ましい。
また、熱転写性色材層は、離型剤、無機微粒子、有機微粒子等を含有していてもよい。離型剤としては、シリコーンオイル、ポリエチレンワックス、リン酸エステル等が挙げられる。シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイル、および変性シリコーンオイルやその硬化物等が挙げられる。シリコーンオイルは反応性のものでもよいし、非反応性のものでも良い。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられる。変性シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルに分類できる。反応性シリコーンオイルには、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、ヒドロキシ変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性・異種官能基変性がある。非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、フッ素変性等がある。シリコーンオイルの添加量は、バインダーの質量に対し、0.1〜15質量%が好ましく、更に好ましくは0.3〜10質量%である。また、上記有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
熱転写性色材層は、例えば、昇華性染料、バインダー樹脂、及び必要に応じて任意に添加される各種の成分を、適当な溶媒に分散、或いは溶解した熱転写性色材層用塗工液を、基材上に、従来公知の塗工方法を用いて、塗工・乾燥することで形成することができる。従来公知の塗工方法としては、グラビア印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法、ロールコーター、バーコーター等が挙げられる。また、溶媒としては、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド〔DMF〕等が挙げられる。
熱転写性色材層の厚みについて特に限定はなく、通常0.2μm〜5μm程度である。
(背面層)
また、基材の他方の面上に、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるための背面層が設けられていてもよい。熱転写シートの背面層としては、上記本発明の保護層転写シート10の背面層5をそのまま用いることができる。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部または%は質量基準である。また、Tgはガラス転移温度を、Mwは重量平均分子量を、Mnは数平均分子量を意味する。また、水酸基価の単位はmgKOH/gである。
(実施例1)
基材として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラー)を用い、該基材上に下記組成の剥離層用塗工液を乾燥状態で1.0g/m2の厚さとなるように塗工し剥離層を形成した。次いで、剥離層上に下記組成の保護層用塗工液1を、乾燥状態で2.0g/m2の厚さとなるように塗工し保護層を形成した。更に該保護層の上に下記組成の受容層用塗工液を、乾燥状態で1.0g/m2の厚さとなるように塗工し受容層を形成して実施例1の中間転写媒体を得た。なお、上記の剥離層用塗工液、保護層用塗工液1、受容層用塗工液は、全てグラビアコーティングにて塗工した。
<剥離層用塗工液>
・アクリル樹脂 80部
(BR−87、三菱レイヨン(株)製)
・ポリエステル樹脂 5部
(バイロン200、東洋紡(株)製)
・ポリエチレンワックス 5部
(ポリワックス1000 東洋アドレ(株)製)
・紫外線吸収アクリル樹脂 25部
(PUVA−50M−40TM、大塚化学(株)製、固形分:40%)
・トルエン 192.5部
・MEK 192.5部
<保護層用塗工液1>
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:36.5% Tg:102℃ Mw:55000 水酸基価(solid):30.1、−OH:11) 100部
(6KW−700 大成ファインケミカル(株))
・MEK 82.5部
<受容層用塗工液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 95部
(CNL、日信化学工業(株)製)
・エポキシ変性シリコーンオイル 5部
(KP−1800U、信越化学工業(株)製)
・トルエン 200部
・MEK 200部
(実施例2)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液2に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例2の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液2>
モル当量比(―NCO/−OH):0.5
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:36.5% Tg:102℃ Mw:55000 水酸基価(solid):30.1、−OH:11) 100部
(6KW−700 大成ファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 3.6部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・MEK 92部
(実施例3)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液3に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例3の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液3>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:36.5% Tg:102℃ Mw:55000 水酸基価(solid):30.1、−OH:11) 100部
(6KW−700 大成ファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 7.2部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・MEK 100部
(実施例4)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液4に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例4の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液4>
モル当量比(―NCO/−OH):2.0
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:36.5% Tg:102℃ Mw:55000 水酸基価(solid):30.1、−OH:11) 100部
(6KW−700 大成ファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 14.4部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・MEK 120部
(実施例5)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液5に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例5の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液5>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:36.5% Tg:102℃ Mw:55000 水酸基価(solid):30.1、−OH:11) 100部 (6KW−700 大成ファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:15.5%) 5.3部
(デュラネート21S−75E(HDI系) 旭化成(株))
・MEK 95部
(実施例6)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液6に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例6の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液6>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:36.5% Tg:102℃ Mw:55000 水酸基価(solid):30.1、−OH:11) 100部
(6KW−700 大成ファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:10.5%) 7.8部
(タケネートD140N(IPDI系) 三井化学(株))
・MEK 100部
(実施例7)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液7に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例7の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液7>
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:36.5% Tg:102℃ Mw:55000 水酸基価(solid):30.1、−OH:11) 100部
(6KW−700 大成ファインケミカル(株))
・チタンキレート剤(固形分:65%) 1.1部
(オルガチックス TC−401 マツモトファインケミカル(株))
・MEK 85部
(実施例8)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液8に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例8の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液8>
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:36.5% Tg:102℃ Mw:55000 水酸基価(solid):30.1、−OH:11) 100部
(6KW−700 大成ファインケミカル(株))
・アルミキレート剤(固形分:76%) 3部
(アルミキレートD 川研ファインケミカル(株))
・MEK 90部
(実施例9)
基材と保護層との間に剥離層を形成せず、保護層用塗工液1を下記組成の剥離層兼保護層用塗工液1に変更するとともに、基材上に下記組成の剥離層兼保護層用塗工液1を、乾燥状態で3.0g/m2の厚さとなるように塗工し剥離層兼保護層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、実施例9の中間転写媒体を得た。
<剥離層兼保護層用塗工液1>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:36.5% Tg:102℃ Mw:55000 水酸基価(solid):30.1、−OH:11) 189部
(6KW−700 大成ファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 14.7部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・ポリエステル樹脂 5部
(バイロン200、東洋紡(株))
・ポリエチレンワックス 5部
(ポリワックス1000 東洋アドレ(株))
・紫外線吸収アクリル樹脂 25部
(PUVA−50M−40TM、大塚化学(株))
・トルエン 130部
・MEK 130部
(実施例10)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液9に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例10の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液9>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:45% Tg:97℃ Mw:23000 水酸基価(solid):60、−OH:27) 100部
(Q−164 三井化学(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 17.6部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・MEK 170部
(実施例11)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液10に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例11の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液10>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:50% Tg:87℃ Mn:15000 Mw:>15000 水酸基価(solid):35、−OH:17.5) 100部
(A−814 DIC(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 11.4部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・MEK 180部
(実施例12)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液11に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例12の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液11>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:60% Tg:85℃ Mw:5000 水酸基価(solid):115、−OH:69) 100部
(LH−635 東レファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 22部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・MEK 260部
(実施例13)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液12に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例13の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液12>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
硬化型アクリルポリオール/紫外線吸収アクリル樹脂≒7/3
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:36.5% Tg:102℃ Mw:55000 水酸基価(solid):30.1、−OH:11) 70部
(6KW−700 大成ファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 5.46部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・紫外線吸収アクリル樹脂 31.8部
(PUVA−50M−40TM、大塚化学(株)製、固形分40%)
・トルエン 50部
・MEK 50部
(実施例14)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液13に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例14の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液13>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
硬化型アクリルポリオール/紫外線吸収アクリル樹脂≒4/6
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:36.5% Tg:102℃ Mw:55000 水酸基価(solid):30.1、−OH:11) 40部
(6KW−700 大成ファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 3.12部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・紫外線吸収アクリル樹脂 63.5部
(PUVA−50M−40TM、大塚化学(株)製、固形分40%)
・トルエン 50部
・MEK 50部
(実施例15)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液14に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例15の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液14>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
硬化型アクリルポリオール/紫外線吸収アクリル樹脂≒85/15
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:36.5% Tg:102℃ Mw:55000 水酸基価(solid):30.1、−OH:11) 85部
(6KW−700 大成ファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 6.63部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・紫外線吸収アクリル樹脂 16.4部
(PUVA−50M−40TM、大塚化学(株)製、固形分40%)
・トルエン 50部
・MEK 50部
(比較例1)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液Aに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例1の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液A>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:50% Tg:48℃ Mw:40000 水酸基価(Solid):100、−OH:50) 100部
(A−801−P DIC(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 32.5部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・MEK 240部
(比較例2)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液Bに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例2の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液B>
モル当量比(―NCO/−OH):0.5
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:50% Tg:48℃ Mw:40000 水酸基価(Solid):100、−OH:50) 100部
(A−801−P DIC(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 16.3部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・MEK 190部
(比較例3)
基材と保護層との間に、剥離層を形成しなかった以外は全て比較例1と同様にして、比較例3の中間転写媒体を得た。
(比較例4)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液Cに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例4の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液C>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
・UV吸収基及びハルス基含有アクリルポリオール樹脂(固形分:40% Tg:70℃ 水酸基価(Solid):52.5、−OH:21) 100部
(UV−G137 日本触媒(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 13.7部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・MEK 140部
(比較例5)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液Dに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例5の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液D>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:46% Tg:75℃ Mw:29000 水酸基価(solid):61、−OH:28.06) 100部
(LH−613 東レファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 18.3部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・MEK 180部
(比較例6)
基材と保護層との間に、剥離層を形成しなかった以外は全て比較例5と同様にして、比較例6の中間転写媒体を得た。
(比較例7)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液Eに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例7の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液E>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:50% Tg:63℃ Mw:31000 水酸基価(solid):103.6、−OH:51.8) 100部
(LK−723 東レファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 18.3部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・MEK 200部
(比較例8)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液Fに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例8の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液F>
モル当量比(―NCO/−OH):1.0
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:40% Tg:75℃ Mw:53000 水酸基価(solid):80.6、−OH:32.24) 100部
(LK−730 東レファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 21部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・MEK 160部
(比較例9)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液Gに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例9の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液G>
・ポリエステル樹脂(固形分:100%) 20部
(バイロン200 東洋紡績(株))
・MEK 80部
(比較例10)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液Hに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例10の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液H>
・アクリル樹脂(固形分:100% Mw:95000) 20部
(バイロナールBR−80 三菱レイヨン(株))
・MEK 80部
(比較例11)
保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液Iに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例11の中間転写媒体を得た。
<保護層用塗工液I>
・アクリル樹脂(固形分:100% Mw:25000) 20部
(バイロナールBR−87 三菱レイヨン(株))
・MEK 80部
(印画物の形成)
HDP−600(HID社)プリンタと、下記の方法で作成した熱転写シートを用いて、デフォルト条件下で各実施例、及び比較例の中間転写媒体の受容層へ黒ベタ画像を形成し、次いで、同プリンタを用いて塩ビカード(DNP社製)上に、175℃、2sec/inchの再転写条件で、黒ベタ画像形成後の受容層、保護層、及び剥離層(剥離層を有しない実施例9、比較例3、6は除く)を転写させ、実施例1〜15、比較例1〜11の印画物を得た。
(熱転写シートの作成)
基材として厚さ4.5μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の耐熱活性層用塗工液を乾燥時0.8g/m2になるように塗工し、耐熱活性層を形成した。次いで、基材の他方の面に、イエロー染料層用塗工液、マゼンタ染料層用塗工液、シアン染料層用塗工液をそれぞれ、乾燥時塗工量が0.6g/m2となるように面順次に塗工して、染料層を形成し、熱転写シートを得た。
<耐熱活性層用塗工液>
・ポリビニルブチラール樹脂 2.0部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート 9.2部
(バーノック D750 大日本インキ化学工業(株))
・リン酸エステル系界面活性剤 1.3部
(プライサーフA208N 第一工業製薬(株))
・タルク 0.3部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株))
・トルエン 43.6部
・メチルエチルケトン 43.6部
<イエロー染料層用塗工液>
・下式に示される染料 4.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 3.5部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株))
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
Figure 2014198433
<マゼンタ染料層用塗工液>
・分散染料(ディスパースレッド60) 1.5部
・分散染料(ディスパースバイオレッ26) 2.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.5部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株))
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
<シアン染料層用塗工液>
・分散染料(ソルベントブルー63) 4.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 3.5部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株))
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
(転写性評価)
各実施例及び比較例の印画物の形成において、塩ビカード(DNP社製)上に受容層、及び保護層を転写することが出来るかどうかを目視で確認を行い、以下の評価基準に基づいて転写性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
○:受容層、及び保護層が問題なく転写できている。
△:受容層、及び保護層に使用上問題となる可能性のある、小さな未転写部が生じている。
×:受容層、及び保護層に使用上問題となる大きな未転写部が生じている。
(箔切れ性評価)
各実施例及び比較例の箔切れ性の評価として、印画物の尾引きの確認を目視にて行い、以下の評価基準で評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、尾引きとは、転写層の転写領域と非転写領域の境界を起点とし、該境界から非転写領域側にはみ出した転写層の長さを意味する。
<評価基準>
○:尾引きが0.3mm以下である。
△:僅かな尾引きが生じているが使用上問題なし(0.3mm〜1.0mm)。
×:尾引きがかなり生じている(1.0mm以上)。
(耐摩耗性評価)
各実施例及び比較例の印画物を、磨耗輪CS−10Fを用いて荷重500gで250回磨耗し、摩耗後の表面状態を目視で観察し、以下の評価基準で評価試験を行った。評価試験結果を表1に示す。
<評価基準>
◎:印画物に全くキズが生じていない。
○:印画物に少しキズが生じているが使用上問題ないレベルである。
△:印画物にキズが生じており、使用上も問題になるレベルである。
×:印画物に大きくキズが生じている。
Figure 2014198433
表1からも明らかなように、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂や、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有する保護層を備える実施例の中間転写媒体によれば、転写時における箔切れ性と、耐久性の双方を十分に満たすことができる。一方、本発明の発明特定事項を充足していない比較例の中間転写媒体では、保護層の箔切れ性と、耐久性の何れか一方、または双方の要求を満たすことができておらず、上記結果からも本発明の優位性は明らかである。
次いで、本発明の硬化型アクリル系ポリオール樹脂、及び、本発明のアクリル系ポリオール樹脂の重量平均分子量(Mw)の最適化による優位性を評価すべく、以下の耐可塑剤性評価、及び耐溶剤性評価を行った。
(耐可塑剤性評価)
各実施例及び比較例の印画物上に、可塑剤(DOP)を添加した後に、PETフィルムでカバーをし、40℃ 8h後の印画物の表面状態を目視で観察し、以下の評価基準で評価試験を行った。評価試験結果を表2に示す。
<評価基準>
◎:画像にダメージが見られない。
○:画像に僅かなダメージが見られるが使用上問題ないレベルである。
△:画像にダメージが見られ、使用上も問題になるレベルである。
×:使用上問題となる画像のダメージが見られる。
(耐溶剤性評価)
各実施例及び比較例の印画物を、メチルエチルケトン(MEK)に浸した綿棒で30回往復した後の画像の状態を目視で確認を行い、以下の評価基準に基づいて耐溶剤性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
<評価基準>
◎:画像にダメージが見られない。
○:画像に僅かなダメージが見られるが使用上問題ないレベルである。
△:画像にダメージが見られ、使用上も問題になるレベルである。
×:使用上問題となる画像のダメージが見られる。
Figure 2014198433
表2からも明らかなように、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるとともに、重量平均分子量が8000以上70000以下のアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有する保護層を備える実施例2〜11の中間転写媒体によれば、保護層の箔切れ性や、耐久性に加え、耐可塑剤性や耐溶剤性にも優れる結果となった。また、保護層の固形分総量に対する、重量平均分子量が8000以上70000以下のアクリル系ポリオール樹脂や、当該アクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂の含有量が、80質量%を下回るにつれて、耐可塑剤性や、耐溶剤性が低下していく傾向となることが明らかとなった。
1…基材
2…保護層
3…剥離層
4…接着層
5…背面層
10…保護層転写シート
50…受容層
100…中間転写媒体
上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面に、当該基材から剥離可能な保護層が設けられた保護層転写シートであって、前記保護層は、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超え、且つ水酸基価が、10mgKOH/g以上100mgKOH/g以下のアクリル系ポリオール樹脂を含有していることを特徴とする。
また、前記硬化剤が、XDI系、HMDI系、IPDI系の群から選択されるイソシアネート系硬化剤であってもよい。
また、上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面に、当該基材から剥離可能な保護層、受容層が積層された中間転写媒体であって、前記保護層は、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超え、且つ水酸基価が、10mgKOH/g以上100mgKOH/g以下のアクリル系ポリオール樹脂を含有していることを特徴とする。

Claims (6)

  1. 基材の一方の面に、当該基材から剥離可能な保護層が設けられた保護層転写シートであって、
    前記保護層は、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂を含有していることを特徴とする保護層転写シート。
  2. 前記アクリル系ポリオール樹脂の重量平均分子量(Mw)が、8000以上70000以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の保護層転写シート。
  3. 前記アクリル系ポリオール樹脂が、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護層転写シート。
  4. 前記アクリル系ポリオール樹脂の水酸基価が、10mgKOH/g以上100mgKOH/g以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の保護層転写シート。
  5. 前記硬化剤が、XDI系、HMDI系、IPDI系の群から選択されるイソシアネート系硬化剤であることを特徴とする請求項3又は4に記載の保護層転写シート。
  6. 基材の一方の面に、当該基材から剥離可能な保護層、受容層が積層された中間転写媒体であって、
    前記保護層は、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂を含有していることを特徴とする中間転写媒体。
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