JP2014194212A - 内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料油を燃焼させることにより動力を得る内燃機関であって、NOXやTHC等の排ガスの量が低減される内燃機関を提供する。
【解決手段】燃料油と、酸素を65体積%以上含む気体とが燃焼に付されるように適合されている燃焼室を有することを特徴とする内燃機関。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒素酸化物(NOX)や炭化水素等の排ガスの量を低減することができる内燃機関、その運転方法、上記内燃機関を搭載した気動車および上記内燃機関を搭載した、全方位駆動車輪機構を有する車両に関する。
ガソリン等の燃料油を燃焼させて動力を得る内燃機関、特に自動車用エンジンでは、燃料油が空気と混合されて燃焼に付される。空気中に78.0%存在する窒素分子が、燃焼過程において1酸化1窒素、1酸化2窒素およびその二量体、2酸化3窒素などの窒素酸化物(NOX)を生成し、それらが無視できない量で排出されるという問題がある。さらに、上記空気中に含まれる窒素は、酸素による燃焼の働きを抑える作用をするため、燃焼室において未燃の炭化水素が残り、それが排ガスとして排出され得る。NOXや全炭化水素(THC)の排出量を低減するために、三元触媒やNOX吸蔵還元触媒が使用されている。
しかし、三元触媒は、その効果を発揮するために、燃料油と空気の量が理論空燃比(ストイキオメトリ)を満たすことと共に厳しい温度管理が必要であり、また、白金やロジウムなどの高価な貴金属を必要とする。
また、水素を燃料として燃焼させて動力を得るエンジンが知られている(例えば特許文献1および2)。このエンジンでは、水素が、酸素と、作動ガスとしてのアルゴンガスとともに燃焼に付され、非常に高い熱効率を有するとともに、窒素を使用しないので、NOXを排出する恐れがない。しかし、水素を使用するので、爆発の危険性が高く、取扱いには注意が必要であり、簡便に利用できるものではない。
特開平11−93681号公報 特開2009−68392号公報
本発明の目的は、燃料油を燃焼させることにより動力を得る内燃機関であって、NOXやTHC等の排ガスの量が低減される内燃機関を提供することである。
本発明者らは、燃料油の燃焼において、従来の空気に代えて、酸素を65体積%以上含む気体を使用することにより、上記目的が達成されることを見出した。
すなわち、本発明は、燃料油と、酸素を65体積%以上含む気体とが燃焼に付されるように適合されている燃焼室を有することを特徴とする内燃機関である。
また、本発明は、内燃機関の始動時に、燃料油とともに、酸素、窒素および任意的な希ガスを含む気体が燃焼室に供給され、該酸素の量が気体の10〜50体積%であり、該窒素の量が気体の50〜90体積%であり、該希ガスの量が気体の0〜20体積%であり、次いで、内燃機関の運転が定常状態になったときに、該気体が酸素を65体積%以上含むように調整される、上記内燃機関の運転方法、ならびに上記内燃機関を搭載した気動車および上記内燃機関を搭載した、全方位駆動車輪機構を有する車両も提供する。
本発明の内燃機関は、NOXやTHC等の排ガスの量を低減することができ、したがって、三元触媒やNOX吸蔵還元触媒を使用する必要がない。また、本発明の内燃機関は、車両、例えば気動車や自動車等、に好適に使用することができる。
実施例で使用した内燃機関システムを示す模式図である。
本発明の内燃機関を含むシステムの一例を図1に示す。本発明の内燃機関10は、燃焼室を有する。燃焼室では、燃料タンク1から供給された燃料油が、プリサーバ5を経由して供給される気体と一緒に燃焼に付される。上記気体は、定常状態の燃焼において、酸素を65体積%以上含む。上記気体は、NOXの生成を抑える点から、窒素を含まないのが好ましい。
本発明の内燃機関は、その始動をより安定的に行うために、始動時(すなわち、燃焼の開始時)には、酸素とともに窒素および任意的な希ガスを含む気体が燃焼室に供給されるのが好ましい。上記酸素の量は気体の10〜50体積%、好ましくは10〜40体積%であり、窒素の量は気体の50〜90体積%、好ましくは60〜90体積%であり、希ガスの量は0〜20体積%、好ましくは0〜15体積%であるのが好ましい。なお、希ガスは、元素周期律表の18族元素を意味し、典型的にはアルゴンである。
内燃機関の始動後は、上記気体中の酸素の割合を徐々にまたは段階的に増加させることができ、運転が定常状態に達すると(典型的には、始動時から10〜30秒後)、酸素を65体積%以上含む気体を、好ましくは酸素を75〜100体積%含む気体を、さらに好ましくは酸素を85〜100体積%含む気体を、さらに好ましくは酸素を90〜100体積%含む気体を、最も好ましくは酸素のみからなる気体を燃焼に付すことにより、安定的に運転を続けることができるとともに、NOXの排出を抑えることができる。空気を使用する従来の内燃機関では、空気中に多量に含まれる窒素が酸素による燃焼の働きを抑える作用をするため、燃焼室において未燃の炭化水素が残り、排ガスとして排出されるが、本発明の内燃機関では、上記気体が65体積%以上の酸素を含むので、未燃の炭化水素量を少なくすることができ、したがって、全炭化水素(THC)の排出量を抑えることができる。また、未燃の炭化水素量が少ないので、燃焼効率が高い。
運転が定常状態に達したときの気体は、本発明の効果を損なわない範囲で、窒素および/または希ガスを含んでいてもよい。含み得る窒素の量は、気体の0〜35体積%、好ましくは0〜15体積%であり、希ガスの量は、気体の0〜10体積%、好ましくは0〜5体積%である。これらの量範囲であれば、燃焼温度低下効果があり、気体が窒素を含んでいても、NOXの排出量は少なめである。
始動時およびその後の気体の成分の割合が適宜調整できるように、かつ圧力変動を低減して気体を燃焼室に安定的に供給することができるように、上記酸素、窒素および希ガスは、好ましくは、図1に示されるように、各気体のボンベから燃焼室へ供給される。窒素の供給は、窒素ボンベの他に空気ボンベを使用して行ってもよく、あるいは、自然吸気によって行ってもよい。図1では、窒素、酸素および希ガス(アルゴン)がそれぞれ、空気ボンベ2、酸素ボンベ3およびアルゴンボンベ4からプリサーバ5を経由して燃焼室に供給される。
本発明の内燃機関では、燃焼に付される気体が酸素を65体積%以上の量で含むので、NOXの排出が有意に低減され、したがって、高価な三元触媒や窒素酸化物吸蔵還元触媒を使用する必要がない。これは、内燃機関の簡素化および低コスト化をもたらす。しかし、本発明の内燃機関は、上記触媒を使用することを排除するものでない。本発明の内燃機関では、少量の三元触媒や慣用的に使用される他の触媒(例えば吸着剤)を必要に応じて使用してもよい。
本発明の内燃機関において使用され得る燃料油は、特に制限されない。例えば、軽質ナフサ、重質ナフサ、フルレンジナフサ、分解ガソリン、軽質分解ガソリン、重質分解ガソリン、改質ガソリン、軽質改質ガソリン、重質改質ガソリン、アルキレート、異性化ガソリン、直留ガソリン、熱分解ガソリンなどの周知のガソリン基材、およびこれを脱ベンゼン処理または脱硫処理したものを使用することができる。また、フィッシャー・トロプシュ合成により得られるGTLナフサ、およびそれを水素化分解・異性化処理した異性化ナフサを使用することもできる。また、分解灯油、水素化分解灯油、直留灯油、減圧灯油、直脱灯油、間脱灯油などの灯油基材、およびこれを脱硫処理したものを使用することができ、また、フィッシャー・トロプシュ合成により得られるGTL灯油を使用することもできる。さらに、分解軽油、水素化分解軽油、直留軽油、減圧軽油、直脱軽油、間脱軽油などの軽油基材、およびこれを脱硫処理したものを使用することができ、また、フィッシャー・トロプシュ合成により得られるGTL軽油を使用することもできる。これらの燃料油は、任意の2種類以上を組合せて使用してもよい。
本発明の内燃機関において使用される好ましい燃料油としては、その蒸留の初留点が30〜100℃でありかつ終点が150℃〜270℃未満であるもの、および初留点が100〜250℃でありかつ終点が270℃〜410℃であるものを挙げることができる。
前者の初留点30〜100℃および終点150℃〜270℃未満の蒸留性状を有する燃料油としては、ガソリン組成物、灯油組成物および重質ガソリン組成物が挙げられる。上記ガソリン組成物としては、周知のものが使用され得るが、必ずしも、市販のガソリン組成物のような、JISによるリサーチオクタン価(RON)、硫黄含有量、ベンゼン含有量およびリード蒸気圧(RVP)等の規格を満たすものである必要はない。空気を用いる従来の内燃機関では、排ガス規制の観点から、上記JIS規格を満たす必要があるが、本発明の内燃機関では、空気に代えて、酸素を65体積%以上含む気体を用いるので、NOXやTHC等の排ガスの量が大幅に低減し、したがって、JIS規格を満たさない燃料油の使用も可能になる。たとえば、空気を使用する従来の内燃機関では、上述したように、NOXやTHC等の排ガスの量を低減するために三元触媒等の触媒が使用され、硫黄含有量が規格よりも多いと触媒が失活し、排ガス規制の基準を満たさなくなる。本発明の内燃機関では、上述したようにNOXやTHC等の排ガスの量が大幅に低減するため、三元触媒等の使用が不要であり、したがって、硫黄含有量が規格よりも多いガソリン組成物の使用が可能となる。灯油組成物についても、周知のものが使用できるが、上記ガソリン組成物の場合と同様の理由により、JISによる硫黄含有量の規格を満たすものである必要はない。
上記重質ガソリン組成物としては、重質改質ガソリンおよび、重質分解ガソリンと50体積%以上の量の重質改質ガソリンとを含む組成物が挙げられる。このような重質ガソリン組成物は、空気を用いる従来の内燃機関では、排ガス規制の観点から使用不可能であるが、本発明の内燃機関では、上述したようにNOXやTHC等の排ガスの量が大幅に低減するため、使用が可能になる。
このように、本発明の内燃機関では、JIS規格を外れる燃料油も使用することができる。
また、初留点100〜250℃および終点270℃〜410℃の蒸留性状を有する燃料油としては、前述した灯油組成物とは組成の異なる灯油組成物、軽油組成物および重質軽油組成物が挙げられる。軽油組成物については、JIS1号、2号、3号、特3号の規格があるものの、これに拘泥する必要はない。たとえば、硫黄含有量が規格より多くても、上記ガソリン組成物に関して述べたように、本発明の内燃機関ではNOXやTHC等の排ガスの量が大幅に低減するため、使用が可能となる。また、本発明の内燃機関では、上述したようにNOXやTHC等の排ガスの量が大幅に低減するため、終点が410℃と高いものまで、燃料油として使用でき、したがって、高沸点留分について有効活用ができるようになる。
本発明の内燃機関において使用され得る燃料油には、含酸素化合物を添加してもよい。上記含酸素化合物としては、たとえば、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)およびエチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)などのエーテル類、メタノール、エタノール、1−ブタノール、2−ブタノールおよびイソブタノールなどのアルコール類が挙げられる。燃料油中の上記含酸素化合物の量は、限定的ではないが、35体積%以下が好ましく、より好ましくは20体積%以下、さらに好ましくは10体積%以下、さらに好ましくは7体積%以下である。
本発明の内燃機関は、必要に応じて、燃料油を改質するための改質器を備えることができる。これにより、重質化した燃焼効率の良い燃料油を内燃機関に供給することができる。この場合において、燃料油の改質は、燃料油の全体について行ってもよいが、必ずしもその必要はなく、一部についてのみ行ってもよい。燃料油の脱水素反応を行う改質器には、脱水素触媒が充填され得る。上記脱水素触媒としては、例えば、特開2006−257906号公報に記載されているような、白金を担持した触媒を用いることができる。改質器では、脱水素触媒の存在下、例えば250℃以上、好ましくは300℃以上の温度で燃料油の改質が行われ、燃料油中のナフテン等が脱水素して芳香族化合物に転化して、水素および改質燃料油が生成する。改質器での反応条件としては、例えば、「有機ハイドライドを利用する水素貯蔵・供給システムの特徴と将来性」、梅沢順子、PETROTECH(ペトロテック)第29巻第4号第253〜257頁、社団法人石油学会、2006年、に記載されている脱水素反応の反応条件等を用いることができ、特には、温度が300℃〜450℃、圧力が常圧〜1MPaの反応条件を用いることが好ましい。
さらに、本発明の内燃機関は、ノッキング防止のために、圧縮比を例えば8.5以下に下げる、および/または冷却水出口温度を例えば50〜80℃に下げるなどを、必要に応じて行うことができる。また、酸素吸入抵抗防止のために、膨張と収縮が可能なバッファバックを設置するのが好ましい。バックファイヤ防止のために、低回転域にしたり、吸入負圧を下げすぎないようにしたり(例えば、400mmHg以下にしない)、および/またはバルブクリアランスを調整したりするのが好ましい。
上述したように、本発明の内燃機関は、NOXやTHC等の排ガスの量を低減することができ、したがって、三元触媒やNOX吸蔵還元触媒を使用する必要がない。また、本発明の内燃機関は、車両、例えば気動車や自動車等、に好適に使用することができる。
さらに、本発明の内燃機関は、全方位駆動車輪機構を有する車両にも好適に使用できる。上記「全方位駆動車輪機構」は、大径車輪と複数の小径車輪を有し、上記複数の小径車輪を一列につなぎ合わせることにより大径車輪が構成されている機構であって、大径車輪を動かすことで前後移動を、小径車輪を動かすことで左右移動を、両方の車輪の動きを組み合わせることで斜め移動を可能にする機構を意味する。上記機構を有する車両として、本田技研工業株式会社で開発されたパーソナルモビリティU3−XおよびUNI−CUBが挙げられる。上記パーソナルモビリティは、いわゆる一輪車に似た、電動一人乗り移動体であり、屋内の段差が少ないバリアフリー空間での移動を対象としている。上記パーソナルモビリティはリチウムイオン二次電池を搭載しており、1充電当たりの航続距離は6kmと短い。本発明の内燃機関は、上述したように、NOXの排出量が少ない。また、THCの排出量が少ないので未燃の炭化水素の排出量が少なく、したがって未燃の炭化水素に起因する臭いを抑制することができる。したがって、本発明の内燃機関は、屋内での使用が意図される上記パーソナルモビリティのエンジンとして有用である。上記パーソナルモビリティにおけるリチウムイオン二次電池に代えて本発明の内燃機関を用いると、航続距離を延ばすことができ、また充電インフラの必要がないという利点を有する。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
使用した内燃機関システムを図1に示す。内燃機関10として、4サイクル2気筒で総排気量359ccのものを使用した。燃料油は燃料タンク1から供給され、気体は、空気ボンベ2、酸素ボンベ3、アルゴンボンベ4からプリサーバ5に供給された後、内燃機関10の燃焼室に供給された。排気は、酸化触媒6で処理した後、冷却管7を通って排出された。なお、排出された気体は、アルゴンガスおよび二酸化炭素が主体であり、その他に液体として水が排出された。NOX排出量およびTCH排出量の測定は以下のように行った。
NOX排出量の測定
燃焼が定常状態になったことを目視およびオシロスコープの回転数で確認し、その5〜10秒後にサンプリングバッグでの排ガスの採取を開始した。採取を10秒間行った後、採取した排ガスを直ちにNOX検知管に導入し、色の変化からNOX量を決定した。
THC排出量の測定
燃焼が定常状態になったことを目視およびオシロスコープの回転数で確認し、その5〜10秒後にサンプリングバッグでの排ガスの採取を開始した。採取を10秒間行った後、採取した排ガスを直ちにTHC検知管に導入し、色の変化からTHC量を決定した。
実施例1
燃料油として、市販のプレミアムガソリン50体積%、MTBE35体積%およびトルエン15体積%を混合したものを使用した。この燃料油の蒸留性状は、IBP(初留点)が34.0℃、T10(10%留出温度)が53.0℃、T50(50%留出温度)が72.5℃、T90(90%留出温度)が136.0℃、T95(95%留出温度)が167℃、EP(終点)が172.5℃であった。燃料油とともに内燃機関に供給された気体は、始動時には、酸素、アルゴンおよび窒素をそれぞれ、20.9体積%、0.9体積%および78.1体積%の量で含んでいた。始動から30秒経過後に目視によって定常状態になったことが確認され、さらに30秒間運転を続け、その後、上記気体の組成を酸素89.3体積%および窒素10.7体積%に調整して運転を続けた。その結果、100時間継続して支障なく運転された。なお、内燃機関の回転数を3000rpm、圧縮比を7.6、冷却水温度を60℃とした。NOX排出量は2ppmであった。
実施例2
燃料油として、市販のプレミアムガソリン65体積%およびMTBE35体積%を混合したものを使用した。この燃料油の蒸留性状は、IBP(初留点)が34.0℃、T10(10%留出温度)が55.0℃、T50(50%留出温度)が75.0℃、T90(90%留出温度)が130℃、T95(95%留出温度)が160℃、EP(終点)が174.5℃であった。燃料油とともに内燃機関に供給された気体は、始動時には、酸素、アルゴンおよび窒素をそれぞれ、20.9体積%、0.9体積%および78.1体積%の量で含んでいた。始動から30秒経過後に目視によって定常状態になったことが確認され、さらに30秒間運転を続け、その後、上記気体の組成を酸素91.3体積%および窒素8.7体積%に調整して運転を続けた。その結果、100時間継続して支障なく運転された。なお、内燃機関の回転数を2000rpm、圧縮比を7.6、冷却水温度を80℃とした。NOX排出量は2ppmであった。
実施例3
燃料油として、市販のプレミアムガソリン65体積%およびイソオクテン35体積%を混合したものを使用した。この燃料油の蒸留性状は、IBP(初留点)が34.0℃、T10(10%留出温度)が54.0℃、T50(50%留出温度)が76.0℃、T90(90%留出温度)が134.5℃、T95(95%留出温度)が163℃、EP(終点)が170.5℃であった。燃料油とともに内燃機関に供給された気体は、始動時には、酸素、アルゴンおよび窒素をそれぞれ、20.9体積%、0.9体積%および78.1体積%の量で含んでいた。始動から30秒経過後に目視によって定常状態になったことが確認され、さらに30秒間運転を続け、その後、上記気体の組成を酸素90.4体積%および窒素9.6体積%に調整して運転を続けた。その結果、100時間継続して支障なく運転された。なお、内燃機関の回転数を2000rpm、圧縮比を7.6、冷却水温度を80℃とした。NOX排出量は2ppmであった。
実施例4
燃料油として、40体積%の重質分解ガソリン、43体積%の軽質分解ガソリンおよび17体積%のイソオクテンを混合したものを使用した。この燃料油の蒸留性状は、IBP(初留点)が32.0℃、T10(10%留出温度)が51.5℃、T50(50%留出温度)が70.5℃、T90(90%留出温度)が140.0℃、T95(95%留出温度)が170℃、EP(終点)が180.5℃であった。燃料油とともに内燃機関に供給された気体は、始動時には、酸素、アルゴンおよび窒素をそれぞれ、20.9体積%、0.9体積%および78.1体積%の量で含んでいた。始動から30秒経過後に目視によって定常状態になったことが確認され、さらに30秒間運転を続け、その後、上記気体の組成を酸素89.3体積%および窒素10.7体積%に調整して運転を続けた。その結果、100時間継続して支障なく運転された。なお、内燃機関の回転数を2000rpm、吸入負圧を430mmHg、圧縮比を7.6、冷却水温度を80℃とした。THC排出量は210ppmであった。
比較例1
実施例2において、内燃機関10の燃焼室に供給された気体を、始動時も定常状態時も共に空気のみにしたことを除いて、実施例2と同様にして運転を行った。NOX排出量は600ppmであった。
比較例2
実施例2において、始動時における気体として、酸素70体積%、窒素29体積%およびアルゴン0.9体積%を含むものを使用した。バックファイヤを生じ、燃焼が不安定になったため、運転を中止した。
比較例3
実施例4において、内燃機関10の燃焼室に供給された気体を、始動時も定常状態時も共に空気のみにしたことを除いて、実施例4と同様にして運転を行った。THC排出量は700ppmであった。
以上のように、本発明の内燃機関は、運転を安定的に継続することができるとともに、NOX排出量およびTHC排出量を低減することができた。なお、上記実施例では、プレミアムガソリンをベースにした燃料油および分解ガソリンをベースにした燃料油について記載したが、軽油や灯油をベースにした燃料油についても同様の結果を得ることができる。
1 燃料タンク
2 空気ボンベ
3 酸素ボンベ
4 アルゴンボンベ
5 プリサーバ
6 酸化触媒
7 冷却管
10 内燃機関

Claims (15)

  1. 燃料油と、酸素を65体積%以上含む気体とが燃焼に付されるように適合されている燃焼室を有することを特徴とする内燃機関。
  2. 内燃機関の始動時に、酸素、窒素および任意的な希ガスを含む気体が燃焼室に供給されるように適合されており、該酸素の量が気体の10〜50体積%であり、該窒素の量が気体の50〜90体積%であり、該希ガスの量が気体の0〜20体積%である、請求項1記載の内燃機関。
  3. 該酸素の量が気体の10〜40体積%であり、該窒素の量が気体の60〜90体積%であり、該希ガスの量が気体の0〜15体積%である、請求項2記載の内燃機関。
  4. 前記燃料油の蒸留の初留点が30〜100℃でありかつ終点が150℃〜270℃未満である、請求項1〜3のいずれか1項記載の内燃機関。
  5. 前記燃料油の蒸留の初留点が100〜250℃でありかつ終点が270℃〜410℃である、請求項1〜3のいずれか1項記載の内燃機関。
  6. 前記酸素が酸素ボンベから供給される、請求項1〜5のいずれか1項記載の内燃機関。
  7. 内燃機関の始動時に、燃料油とともに、酸素、窒素および任意的な希ガスを含む気体が燃焼室に供給され、該酸素の量が気体の10〜50体積%であり、該窒素の量が気体の50〜90体積%であり、該希ガスの量が気体の0〜20体積%であり、次いで、内燃機関の運転が定常状態になったときに、該気体が酸素を65体積%以上含むように調整される、請求項1〜6のいずれか1項記載の内燃機関の運転方法。
  8. 内燃機関の始動時に供給される気体中の酸素の量が10〜40体積%であり、窒素の量が60〜90体積%であり、希ガスの量が0〜15体積%である、請求項7記載の方法。
  9. 内燃機関の運転が定常状態になったときの気体が希ガスを0〜10体積%含む、請求項7または8記載の方法。
  10. 内燃機関の運転が定常状態になったときの気体が窒素を0〜35体積%含む、請求項7〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. 前記燃料油の蒸留の初留点が30〜100℃でありかつ終点が150℃〜270℃未満である、請求項7〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 前記燃料油の蒸留の初留点が100〜250℃でありかつ終点が270℃〜410℃である、請求項7〜10のいずれか1項記載の方法。
  13. 前記酸素が酸素ボンベから供給される、請求項7〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 請求項1〜6のいずれか1項記載の内燃機関を搭載した気動車。
  15. 請求項1〜6のいずれか1項記載の内燃機関を搭載した、全方位駆動車輪機構を有する車両。
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