JP2014193590A - 電子部品を作製するために用いられる積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層体は、基材フィルムの一方の側に設けられ、透光性および導電性を有する第1透明導電層と、第1透明導電層の一方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第1遮光導電層と、を備えている。第1遮光導電層は、銀を主成分とするとともに銅およびパラジウムを含む銀合金を有している。第1遮光導電層の銀合金における銅の含有比率は、3.0〜7.0重量%の範囲内となっている。
【選択図】図3
Description
以下、図1乃至図6を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。はじめに図3を参照して、本実施の形態において製造される積層体10について説明する。
図3は、積層体10を示す断面図である。図3に示すように、積層体10は、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の側の面12a上に順に設けられた第1ハードコート層13a、第1高屈折率層14aおよび第1低屈折率層15aと、第1低屈折率層15aの一方の側の面上に設けられた第1透明導電層16aと、第1透明導電層16aの一方の側の面上に設けられた第1遮光導電層17aと、を含んでいる。以下、基材フィルム12、第1ハードコート層13a、第1高屈折率層14a、第1低屈折率層15a、第1透明導電層16aおよび第1遮光導電層17aについてそれぞれ説明する。
基材フィルム12としては、十分な透光性を有するフィルムが用いられる。基材フィルム12を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)、環状オレフィン・コポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、(ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが挙げられる。基材フィルム12の厚みは、例えば25〜200μmの範囲内となっている。
第1ハードコート層13aは、擦り傷を防止するという目的や、層間の界面に低分子重合体(オリゴマー)が析出して白く濁ってみえることを防ぐという目的のために設けられる層である。第1ハードコート層13aとしては、例えばアクリル樹脂などが用いられる。なお図3に示すように、第1ハードコート層13aと同一の材料から構成された第2ハードコート層13bが、基材フィルム12の他方の面12b上にさらに設けられていてもよい。ハードコート層13a,13bの厚みは、例えば0.1〜10μmの範囲内となっている。
第1低屈折率層15aは、第1透明導電層16aを構成する材料よりも低い屈折率を有する材料から構成される層であり、一方、第1高屈折率層14aは、第1低屈折率層15aよりも高い屈折率を有する材料から構成される層である。このような第1高屈折率層14aおよび第1低屈折率層15aを基材フィルム12と第1透明導電層16aとの間に設けることにより、積層体10における光の透過率や反射率を調整することができる。例えば、第1高屈折率層14aおよび第1低屈折率層15aは、後述するように積層体10の第1透明導電層16aがパターニングされてタッチパネルセンサの透明導電パターンとなる場合に、透明導電パターンが設けられている領域と設けられていない領域との間の光の透過率および反射率の差を小さくするためのインデックスマッチング層として機能することができる。
第1透明導電層16aを構成する材料としては、導電性を有しながら透光性を示す材料が用いられ、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)などの金属酸化物が用いられる。第1透明導電層16aの厚みは、積層体10から作製される透明電極または透明導電パターンにおける電気抵抗の仕様などに応じて適宜設定されるが、例えば18〜50nmの範囲内となっている。
第1遮光導電層17aは、後述するように、タッチパネルなどの電子部品において、信号を外部に取り出すための取出パターンや電極を形成するために用いられる層である。すなわち、第1遮光導電層17aはいわゆる配線材料や電極材料として用いられる層である。従って、第1遮光導電層17aを構成する材料としては、高い導電性および遮光性を有する金属材料が用いられる。具体的には、銀を主成分とするとともに銅およびパラジウムを含む、Ag−Pd−Cu系の銀合金、いわゆるAPC合金が用いられる。第1遮光導電層17aの厚みは、電子部品における電気抵抗の仕様などに応じて適宜設定されるが、例えば100〜250nmの範囲内となっている。第1遮光導電層17aの厚みを100nm以上とすることにより、第1遮光導電層17aおよび第1遮光導電層17aから得られる取出パターンや電極の導電性を十分に確保することができる。また、第1遮光導電層17aの厚みを250nm以下とすることにより、第1遮光導電層17aの成膜工程や第1遮光導電層17aのパターニング工程に要する負荷が過大になることを防ぐことができる。
図1に示すように、積層体製造装置1は、第1遮光導電層17aを支持する支持材11を巻き出すシャフト21を含む巻出装置20と、支持材11上に第1遮光導電層17aを形成する成膜装置30と、第1遮光導電層17aが設けられた支持材11からなる積層体10を巻き取るシャフト51を含む巻取装置50と、を備えている。なお支持材11とは、基材フィルム12と、第1遮光導電層17aが設けられる前に予め基材フィルム12上に設けられている層と、を含むものを表している。例えば支持材11は、図3に示すように、基材フィルム12と、第1遮光導電層17aが設けられる前に予め基材フィルム12上に設けられている第ハードコート層13a,13b、第1高屈折率層14a、第1低屈折率層15aおよび第1透明導電層16aと、を含む中間積層体を意味している。
次に、積層体製造装置1の成膜装置30について説明する。成膜装置30における成膜方法としては、真空蒸着、スパッタリング、CVDやイオンプレーティングなど様々な方法が採用され得るが、ここでは、成膜方法としてスパッタリングが用いられる例について図2を参照して説明する。
はじめに、巻出装置20において、支持材11が巻回されたシャフト21を準備し、次に、成膜装置30に向けて支持材11を巻き出す。なお図示はしないが、巻出装置20のシャフト21には基材フィルム12が巻回されており、また巻出装置20と成膜装置30との間に、基材フィルム12上に第1低屈折率層15aや第1透明導電層16aを成膜するためのその他の成膜装置が配置されていてもよい。すなわち、第1遮光導電層17aの成膜だけでなく、第1高屈折率層14a,第1低屈折率層15aや第1透明導電層16aなどのその他の層の成膜も、1つの積層体製造装置1の一連の真空雰囲気の中で実施されてもよい。
次に、成膜装置30を用いて、支持材11の一方の側に第1遮光導電層17aを設ける成膜工程を実施する。成膜工程においては、はじめに排気手段31aによって第1領域31の内部の気体を外部に排出し、これによって、第1領域31内を真空状態とする。この際、第2領域33および第3領域35も、排気手段33aおよび排気手段35aを用いることによって真空状態とされる。次に、不活性ガス供給装置(図示せず)によって第1領域31内にアルゴンなどの不活性ガスを導入し、その後、放電装置によってターゲット32aに放電電力を印加する。これによって生じるスパッタリング現象によって、ターゲット32aを構成するAPC合金からなる第1遮光導電層17aを支持材11上に設けることができる。なお、スパッタリングの際の放電電力や放電時間、不活性ガスの分圧などの条件は、所望の膜厚や搬送ドラム38の回転速度などに応じて適宜設定される。
次に、積層体10の用途の一例として、積層体10をパターニングすることにより得られるタッチパネルセンサについて説明する。タッチパネルセンサ60は、液晶表示パネルや有機EL表示パネルなどの表示パネルの観察者側に設けられ、人体などの被検出体の接触位置を検出するための透明導電パターンなどを含むセンサである。タッチパネルセンサ60としては、被検出体からの圧力に基づいてタッチ箇所を検出する抵抗膜方式のタッチパネルセンサや、人体などの被検出体からの静電気に基づいてタッチ箇所を検出する静電容量方式のタッチパネルセンサなど様々なタイプのものが知られているが、ここでは、積層体10をパターニングすることによって静電容量方式のタッチパネルセンサ60を形成する例について、図5および図6を参照して説明する。図5は、タッチパネルセンサ60を示す平面図であり、図6は、図5に示すタッチパネルセンサ60の線VI−VIに沿った断面図である。なお図5および図6においては、図4に示す、基材フィルム12の一方の側および他方の側に配置された第1遮光導電層17aおよび第2遮光導電層17bを含む積層体10を用いることにより、タッチパネルセンサ60が作製されている。
次に図7および図8を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図7および図8に示す第2の実施の形態において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、第1の実施の形態において得られる作用効果が本実施の形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
図8は、本実施の形態による積層体10を示す断面図である。図8に示すように、積層体10は、第1透明導電層16aと第1遮光導電層17aとの間で第1遮光導電層17aに接するよう設けられた第1中間層18aをさらに備えている。この第1中間層18aを構成する材料は、具体的な組成が異なる点を除いて、第1遮光導電層17aを構成する材料と同一である。すなわち第1中間層18aも、第1遮光導電層17aと同様に、銀を主成分とするとともに銅およびパラジウムを含む銀合金、いわゆるAPC合金から構成されている。
次に、本実施の形態による積層体10を製造するための積層体製造装置1について説明する。なお本実施の形態において用いられる積層体製造装置1は、第1遮光導電層17aに加えて第1中間層18aをさらに形成するよう成膜装置30が構成されている点を除いて、第1の実施の形態において用いられる積層体製造装置1と同一である。従ってここでは、本実施の形態で用いられる成膜装置30についてのみ説明する。
上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
APC合金から構成され、最外面に配置された遮光導電層を含む積層体を作製した。遮光導電層は、スパッタリング法を用いることにより作製された。スパッタリングの際に用いられるターゲットとしては、銀、パラジウムおよび銅の含有比率がそれぞれ98.6重量%、0.9重量%および0.5重量%であるターゲットを用いた。作製された積層体の遮光導電層における各元素の含有比率を測定した結果、銀、パラジウムおよび銅の含有比率がそれぞれ98.7重量%、0.9重量%および0.5重量%であった。遮光導電層における各元素の含有比率を測定する方法が特に限られることはないが、例えばXPS法を用いることができる。
遮光導電層を形成するためのターゲットとして、銀、パラジウムおよび銅の含有比率がそれぞれ97.6重量%、0.9重量%および1.5重量%であるターゲットを用いた点を除いて、サンプル1の場合と同様にして積層体を作製した。作製された積層体の遮光導電層における各元素の含有比率を測定した結果、銀、パラジウムおよび銅の含有比率がそれぞれ97.8重量%、0.9重量%および1.4重量%であった。
遮光導電層を形成するためのターゲットとして、銀、パラジウムおよび銅の含有比率がそれぞれ96.6重量%、0.9重量%および2.5重量%であるターゲットを用いた点を除いて、サンプル1の場合と同様にして積層体を作製した。作製された積層体の遮光導電層における各元素の含有比率を測定した結果、銀、パラジウムおよび銅の含有比率がそれぞれ96.8重量%、0.9重量%および2.3重量%であった。
遮光導電層を形成するためのターゲットとして、銀、パラジウムおよび銅の含有比率がそれぞれ95.6重量%、0.9重量%および3.5重量%であるターゲットを用いた点を除いて、サンプル1の場合と同様にして積層体を作製した。作製された積層体の遮光導電層における各元素の含有比率を測定した結果、銀、パラジウムおよび銅の含有比率がそれぞれ95.9重量%、0.9重量%および3.2重量%であった。
遮光導電層を形成するためのターゲットとして、銀、パラジウムおよび銅の含有比率がそれぞれ94.6重量%、0.9重量%および4.5重量%であるターゲットを用いた点を除いて、サンプル1の場合と同様にして積層体を作製した。作製された積層体の遮光導電層における各元素の含有比率を測定した結果、銀、パラジウムおよび銅の含有比率がそれぞれ95.0重量%、0.9重量%および4.2重量%であった。
(評価方法1 比抵抗)
サンプル1乃至5に係る積層体の遮光導電層の比抵抗を測定した。測定法は特には限定されないが、ここでは4端子法を用いた。結果、サンプル1乃至5に係る積層体の遮光導電層の比抵抗は、それぞれ3.2μΩ・cm、3.3μΩ・cm、3.7μΩ・cm、4.0μΩ・cmおよび4.3μΩ・cmであった。
サンプル1、4および5に係る積層体の遮光導電層の硬度を測定した。測定器としては、Hysitron社製のTI 950 TriboIndenterを用いた。圧子としてはキューブコーナーを用いた。圧子を押し込む際の荷重は15μNとした。結果、サンプル1、4および5に係る積層体の遮光導電層の硬度は、それぞれ2.1GPa、2.7GPaおよび3.2GPaであった。
サンプル1乃至5に係る積層体の遮光導電層の耐擦傷性を測定した。測定器としては、JIS K 5701に準拠した学振試験機である、テスター産業(株)製のAB−301型を用いた。試験条件は以下のとおりである。
・往復距離:20mm
・往復速度:300mm/sec
・往復回数:50回
・試験荷重:200gf
・ヘッド:白ネル(白ネルの柔面を遮光導電層に接触させた)
AB−301型を用いてサンプル1乃至5に係る積層体の遮光導電層に摩擦を加えた後、各サンプルの遮光導電層を、光学顕微鏡を用いて観察し、遮光導電層の表面に形成された傷の密度(キズ発生頻度)を算出した。
粒子径とは、各粒子の長径および短径の平均に基づいて算出された、各粒子の平均径のことである。各粒子の長径および短径は、東洋テクニカ製 5420型 AFM/SPMシステムを用いて各粒子の表面形状の画像を取得し、粒子間の境界を画像の濃淡から判断することにより測定した。
(1)粒子径を小さくすること。
(2)滑りやすい結晶面を減らすこと。
(3)不純物を添加すること。
10 積層体
11 支持材
12 基材フィルム
13a,13b ハードコート層
14a,14b 高屈折率層
15a,15b 低屈折率層
16a,16b 透明導電層
17a,17b 遮光導電層
18a,18b 中間層
20 巻出装置
30 成膜装置
31 第1領域
32a ターゲット
33 第2領域
34a,34b ターゲット
38 搬送ドラム
50 巻取装置
60 タッチパネルセンサ
62a,62b 透明導電パターン
64a,64b 取出パターン
65a,65b 端子部
Claims (6)
- 基材フィルムと、
前記基材フィルムの一方の側に設けられ、透光性および導電性を有する第1透明導電層と、
前記第1透明導電層の一方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第1遮光導電層と、を備え、
前記第1遮光導電層は、銀を主成分とするとともに銅およびパラジウムを含む銀合金を有し、
前記第1遮光導電層の銀合金における銅の含有比率が、3.0〜7.0重量%の範囲内である、積層体。 - 前記第1透明導電層と前記第1遮光導電層との間で前記第1遮光導電層に接するよう設けられた第1中間層をさらに備え、
前記第1中間層は、銀を主成分とするとともに銅およびパラジウムを含む銀合金を有し、
前記第1遮光導電層の銀合金における銅の含有比率が、前記第1中間層の銀合金における銅の含有比率よりも大きい、請求項1に記載の積層体。 - 前記基材フィルムの他方の側に設けられ、透光性および導電性を有する第2透明導電層と、
前記第2透明導電層の他方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第2遮光導電層と、をさらに備え、
前記第2遮光導電層は、銀を主成分とするとともに銅およびパラジウムを含む銀合金を有し、
前記第2遮光導電層の銀合金における銅の含有比率が、3.0〜7.0重量%の範囲内である、請求項1または2に記載の積層体。 - 基材フィルムと、
前記基材フィルムの一方の側に設けられ、透光性および導電性を有する第1透明導電層と、
前記第1透明導電層の一方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第1遮光導電層と、
前記第1透明導電層と前記第1遮光導電層との間で前記第1遮光導電層に接するよう設けられた第1中間層と、を備え、
前記第1遮光導電層および前記第1中間層のいずれも、銀を主成分とするとともに銅およびパラジウムを含む銀合金を有し、
前記第1遮光導電層の銀合金における銅の含有比率が、前記第1中間層の銀合金における銅の含有比率よりも大きい、積層体。 - 前記第1中間層は、MoNb合金をさらに有する、請求項4に記載の積層体。
- 前記基材フィルムの他方の側に設けられ、透光性および導電性を有する第2透明導電層と、
前記第2透明導電層の他方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第2遮光導電層と、
前記第2透明導電層と前記第2遮光導電層との間で前記第2遮光導電層と接するよう設けられた第2中間層と、をさらに備え、
前記第2遮光導電層および前記第2中間層のいずれも、銀を主成分とするとともに銅およびパラジウムを含む銀合金を有し、
前記第2遮光導電層の銀合金における銅の含有比率が、前記第2中間層の銀合金における銅の含有比率よりも大きい、請求項4または5に記載の積層体。
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