JP2014192653A - 圧電デバイス及び圧電デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】電極上を被覆することで電極の破損等を防止して信頼性を向上でき、さらに、リッドの接合にイオンビーム活性化接合を適用した場合でも電極が不用意にエッチングされることを防止する。
【解決手段】励振電極131、132が形成された圧電振動片130を含む圧電デバイス100であって、圧電振動片130は、その露出部分を覆うように、励振電極131等よりもスパッタ率が小さい絶縁体または誘電体の被覆層141、142が形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧電デバイス及び圧電デバイスの製造方法に関する。
水晶振動子などの圧電振動子(圧電デバイス)は、セラミックスなどのパッケージに水晶振動片(圧電振動片)を搭載し、気密封止あるいは真空封止されている。しかし、電子部品の小型化、低背化、そして低価格化の市場要求の高まりにより、セラミックパッケージの採用が困難になってきている。これらの要求に対応するために、ガラスパッケージを用いた圧電振動子が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
ガラスパッケージの構造としては、互いに接合されるリッド及びベースのいずれか一方に形成された凹部に水晶振動片が搭載されたものや、枠部を有する水晶振動片の表面及び裏面にリッド及びベースが接合された構成などがある(例えば、特許文献3参照)。いずれの構造もウェハレベルで製造できるために、従来のセラミックパッケージに比べ、小型・低背化、さらには低価格化が実現される。
上記のような構造のガラスパッケージを製造するにあたり、ガラスウェハ同士、ないしはガラスと水晶ウェハの接合法として、直接接合法、陽極接合法、金属圧接接合法、低融点ガラス接合法、プラズマ活性化接合法、イオンビーム活性化接合法、などが提案されている。直接接合法は、十分な接合強度を得るために高温での熱処理が必要であり、水晶振動子の接合法として課題が残る。陽極接合法は、アルカリイオンを含むガラスウェハを使用する場合の接合方法であって、接合時にガス発生を伴うため、内部の真空度等の劣化が生じるという課題がある。
金属圧接接合法は、AuSn共晶金属等の金属を介して接合するため、密着層やバリア層の成膜、パターニングが必要となって製造コストが高いといった課題がある。低融点ガラス接合法は、接合時に低融点ガラスペーストからガス発生を伴うため、内部の真空度等の劣化が生じるという課題がある。プラズマ活性化接合法は、真空中での接合は難しいと考えられる。イオンビーム活性化接合法は、ウェハにアルゴンビーム等を照射することによってウェハ表面を清浄化し、その面同士を当接することで、常温において、様々な材料の接合が可能である。
このイオンビーム活性化接合法では、一般に、イオンビームの照射による活性化処理と、ウェハ同士の接合処理とが同一のチャンバー内で行われる。従って、活性化処理後、直ちにアルゴンの供給を止め、真空排気することによって、水晶振動子に求められる真空度を保った状態で接合が行うことができる。ただし、イオンビームの照射の際に、イオンソース本体の部材やチャンバー内壁が同時にスパッタされるために、ウェハ表面には、これらの構成材料(ステンレスやアルミニウム合金)である鉄(Fe)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)が付着する(例えば、特許文献4参照)。このように、イオンビーム活性化接合では、イオンビームの照射に伴い、ウェハ表面のスパッタリング作用によるエッチングと、鉄、クロム、アルミニウムの付着(堆積)が同時に起こることによって、ガラスや水晶ウェハ間で強固な接合が実現されている。
特開2004−6525号公報 特開2012−74649号公報 特開2000−68780号公報 特開2007−324195号公報
ところで、ガラスパッケージがリッド及びベースからなるタイプにおいては、貫通電極や接続電極などの各種配線がベースの表面等に形成されている。このベースに搭載される水晶振動片においても、励振電極や引出電極が形成されており、この引出電極がベースの接続電極と電気的に接続されている。また、枠部を有する水晶振動片の表面及び裏面にリッド及びベースが接合されるタイプにおいても、ベースには各種電極が形成されており、水晶振動片にも同様に励振電極や引出電極が形成されている。
いずれのタイプであっても、リッドの接合にイオンビーム活性化接合法を適用する場合は、水晶振動片やベースに形成された電極は、イオンビームの照射により、アルゴンのスパッタリング作用によるエッチングと、チャンバー内壁を構成する金属元素の堆積が起こる。水晶振動片の電極のエッチング量ならびに金属付着量は、ウェハ内における水晶振動片の搭載位置、あるいは水晶振動片の形成位置により異なる。この分布は、水晶振動片の共振周波数変動量のウェハ面内分布と等価になる。電極のエッチング量が金属付着量より大きい領域では周波数変動量はプラス側にシフトし、逆に電極のエッチング量が、金属付着量より小さい領域では周波数変動量はマイナスにシフトしてしまう。水晶振動子の製造に当たってはウェハ接合後に、このような周波数変動が生じてしまうことは、製造歩留まりを低下させることになり問題である。
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、圧電振動片に形成された電極を被覆することにより信頼性を向上させるとともに、リッドの接合にイオンビーム活性化接合法等を適用した場合でも電極の不用意なエッチングを防止して、圧電振動片の共振周波数の変動を抑制し、不良品の発生を防止して製造歩留まりの高い圧電デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、電極が形成された圧電振動片を含む圧電デバイスであって、圧電振動片は、その露出部分を覆うように、電極よりもスパッタ率が小さい絶縁体または誘電体の被覆層が形成される。
また、互いに接合されるリッド及びベースを含み、圧電振動片は、リッド及びベースの少なくとも一方に形成された凹部に配置され、リッドとベースとは直接接合されるものでもよい。また、圧電振動片は、振動部と、振動部を囲む枠部と、振動部と枠部とを連結するアンカー部とを有し、枠部の表面及び裏面にそれぞれ接合されるリッド及びベースを含み、枠部とリッドとは直接接合されるものでもよい。また、ベースの露出部分に、絶縁体または誘電体の被覆層が形成されてもよい。また、被覆層は、酸化アルミニウム(Al)、酸化シリコン(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、のうちのいずれかの酸化物系の絶縁体または誘電体が適用可能である。また、被覆層は、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、のうちのいずれかの窒化物系の絶縁体または誘電体が適用可能である。
本発明では、圧電振動片を含む圧電デバイスの製造方法であって、圧電振動片の露出部分を覆うように、電極よりもスパッタ率が小さい絶縁体または誘電体の被覆層が形成される被覆工程を含む。
また、圧電振動片をベースに載置させる載置工程と、イオンビーム活性化接合を用いて、ベースにリッドを接合させるリッド接合工程と、を含むものでもよい。また、被覆工程は、載置工程の後に行われてもよい。また、圧電振動片として、振動部と、振動部を囲む枠部と、振動部と枠部とを連結するアンカー部とを有するものが用いられ、枠部の裏面にベースを接合させるベース接合工程と、イオンビーム活性化接合を用いて、枠部の表面にリッドを接合させるリッド接合工程と、を含むものでもよい。また、被覆工程は、ベース接合工程の後に行われてもよい。また、被覆工程は、ベースの露出部分に被覆層を形成させるものでもよい。また、リッド接合工程は、真空雰囲気下で行われるものでもよい。
本発明によれば、圧電振動片に形成された電極が被覆層で被覆されることにより電極の破損等を防止して信頼性を向上させることができる。さらに、リッドの接合にイオンビーム活性化接合法等を適用した場合でも電極が不用意にエッチングされることを防止し、圧電振動片の共振周波数の変動を抑制して不良品の発生を防止でき、製造歩留まりを向上させることができる。
第1実施形態に係る圧電デバイスを示し、(a)は展開した斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図である。 図1に示す圧電振動片を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿った断面図である。 図1に示す圧電振動片の製造工程を示し、(a)は圧電ウェハ、(b)はリッドウェハ及びベースウェハを示す図である。 イオンビーム活性化接合装置の概略図である。 第2実施形態に係る圧電デバイスを示す断面図である。 第3実施形態に係る圧電デバイスを示し、(a)は展開した斜視図、(b)は(a)のC−C線に沿った断面図である。 図6に示す圧電振動片を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線に沿った断面図である。 図6に示す圧電デバイスの製造工程を示す図である。 圧電ウェハ内の水晶振動子の位置と周波数変動量との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の実施形態では、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、圧電振動片の表面に平行な平面をXZ平面とする。このXZ平面において圧電振動片の長手方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をZ方向と表記する。XZ平面に垂直な方向(圧電振動片の厚さ方向)はY方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
<第1実施形態>
(圧電デバイス100の構成)
第1実施形態に係る圧電デバイス100について図1及び図2を用いて説明する。図1(a)に示すように、圧電デバイス100は、リッド110と、ベース120と、圧電振動片130とで構成される圧電振動子である。リッド110及びベース120は、ホウケイ酸ガラスが用いられるが、これに限定されず、例えば、ソーダ石灰ガラスや、無アルカリガラス、石英などのガラスの他に、シリコンや、セラミックス等のアルミ化合物、もしくは、これらを主成分として各種材料が添加された材料などが用いられる。また、リッド110及びベース120は同一の材料が用いられることに代えて、異なる材料が用いられてもよい。ただし、同一の材料を用いる場合は、熱膨張係数が等しくなり、温度変化によって応力の発生を抑制できる。
リッド110は、平面視では矩形状の板状部材であり、図1(a)に示すように、裏面側(−Y側の面)の中央部分には凹部111が設けられている。この凹部111を囲むように、後述するベース120との接合面110aが形成されている。接合面110aは、イオンビーム活性化接合による接合に適した十分な平坦性(典型的には、平均ラフネスRaが1nm程度)を有している。
ベース120は、リッド110と同様に平面視で矩形状の板状部材である。図1(b)に示すように、ベース120の表面(+Y側の面)120aにリッド110の接合面110aを接合させることにより、後述する圧電振動片130を収容するキャビティ(収容空間)140が形成される。なお、表面120aのうちリッド110の接合面110aと接合する部分は、接合面110aと同様に、イオンビーム活性化接合による接合に適した十分な平坦性(典型的には、平均ラフネスRaが1nm程度)を有している。
ベース120の表面120aの−X側には、Z方向に並んだ矩形状の接続電極122、123が形成されている。ベース120の裏面(−Y側の面)には、四隅のそれぞれに矩形状の外部電極124、及びダミー電極124a、124bが形成されている。なお、図1(a)では、−X側かつ−Z側の外部電極は、圧電振動片130の影に隠れた状態となっている。外部電極124は、基板に実装される際の一対の実装端子として用いられる。なお、ダミー電極124a、124bは、他の電極と電気的な接続はない。
接続電極122、123に対応する箇所には、それぞれベース120をY方向に貫通する貫通孔125が形成される。この貫通孔125のそれぞれには、貫通電極126が形成される。貫通電極126によって、接続電極122と外部電極124とが電気的に接続される。なお、接続電極123も同様に、不図示の貫通電極を介して外部電極と電気的に接続されている。
接続電極122、123及び外部電極124は、導電性の金属膜が用いられる。金属膜としては、例えば、下地層としてクロム(Cr)や、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、あるいはニッケルクロム(NiCr)や、ニッケルチタン(NiTi)、ニッケルタングステン(NiW)合金を成膜し、その上に金(Au)や銀(Ag)を成膜した積層構造が採用される。貫通電極126は、ベース120の貫通孔125を銅メッキ等により充填して形成される。
圧電振動片130は、図2(a)に示すように、X方向に長辺、Z方向に短辺を有する矩形の板状の部材から形成されている。圧電振動片130には、例えばATカットの水晶振動片が用いられている。ATカットは、水晶振動子や水晶発振器等の圧電デバイスが常温付近で使用されるにあたって良好な周波数特性が得られる等の利点があり、人工水晶の3つの結晶軸である電気軸、機械軸及び光学軸のうち、光学軸に対して結晶軸周りに35°15′だけ傾いた角度で切り出す加工手法である。
圧電振動片130の表面(+Y側の面)には、矩形状の励振電極131が形成され、裏面(−Y側の面)には、同じく矩形状の励振電極132が形成される。励振電極131、132は、圧電振動片130をY方向に挟んで対向した状態で配置され、ほぼ同一の大きさに形成されている。これら励振電極131、132に所定の交流電圧が印加されることにより、圧電振動片130は所定の振動数で振動する。なお、圧電振動片130の表面及び裏面の少なくとも一方に、周辺部より中層部分を厚肉としたメサが形成されてもよく、このメサが形成された場合は、励振電極131、132はメサに対応して形成される。
圧電振動片130の表面及び裏面には、励振電極131、132とそれぞれ電気的に接続する引出電極133、134が形成される。引出電極133は、圧電振動片130の表面において励振電極131から−X方向に引き出されて形成される。引出電極134は、圧電振動片130の裏面において励振電極132から−X方向に引き出されて形成される。なお、引出電極133と引出電極134とは、電気的に接続されない。また、引出電極133は、圧電振動片130の−X側の端部等から裏面側に回り込むように引き出されてもよい。
励振電極131、132及び引出電極133、134は、導電性の金属膜により形成される。この金属膜としては、図2(b)に示すように、水晶材との密着性を高めるためにクロム(Cr)や、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、あるいはニッケルクロム(NiCr)や、ニッケルチタン(NiTi)、ニッケルタングステン(NiW)合金などからなる下地層131a、132aと、金(Au)や銀(Ag)などからなる主電極層131b、132bとの2層構造が採用される。
また、図2(b)に示すように、励振電極131、132及び引出電極133、134を含めて圧電振動片130の露出部分を被覆するように、被覆層141が形成される。ただし、引出電極133、134のうち後述する導電性接着剤150、151と接続する部分には被覆層は形成されない。さらに、図1(b)に示すように、導電性接着剤150、151の表面に被覆層141aが形成されるとともに、ベース120の表面120aに被覆層142が形成される。ただし、これら導電性接着剤150、151の表面や、ベース120の表面120aに被覆層141a、142を形成させるか否かは任意である。なお、被覆層141、141a、142の膜厚は2nmとしたが、特に制限はなく、数nm〜数10nmに設定される。また、被覆層142は、ベース120の側面や裏面に形成されてもよい。
被覆層141、141a、142は、励振電極131、132の主電極層131b、132bで用いられた金属よりもスパッタ率が小さい酸化アルミニウム(Al)、酸化シリコン(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、のうちのいずれかの酸化物系の絶縁体または誘電体が用いられる。また、被覆層141、141a、142は、同じく励振電極131、132の主電極層131b、132bで用いられた金属よりもスパッタ率が小さい窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、のうちのいずれかの窒化物系の絶縁体または誘電体が用いられる。
アルゴンイオンビーム(アルゴンビーム)の照射によるスパッタエッチング作用は次のとおりである。イオンビームを鉛直方向から照射させた場合、銀のスパッタ率を1とすると、金のそれは0.71であり、例えば、酸化アルミニウムは0.07で、酸化シリコンは0.22と非常に小さい。
なお、励振電極131、132のスパッタによる周波数変動量は、スパッタによりエッチングされた質量に比例するので、例えば、密度が小さい、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの酸化物系の絶縁体や、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化シリコンなどの窒化物系の絶縁体のように、スパッタ率と密度の積が小さいものを被覆層141等として用いることにより、周波数変動量をより小さくできるといった利点がある。
この圧電振動片130は、図1に示すように、導電性接着剤150、151によりベース120の表面120aに支持される。この導電性接着剤150を介して引出電極134と接続電極122とが電気的に接続され、導電性接着剤151を介して引出電極133と接続電極123とが電気的に接続される。そして、リッド110とベース120とが接合されることにより、圧電振動片130は、キャビティ140に収容された状態となる。キャビティ140内は、真空雰囲気または窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で密封される。なお、リッド110の接合面110aとベース120の表面120aとは、接合材等を介さずに直接接合されている。
このように、圧電デバイス100によれば、圧電振動片130の露出部分を被覆するように被覆層141が形成されるため、励振電極131、132はスパッタ率が小さな被覆層141に被覆されることにより破損等が防止され、信頼性を向上させることができる。また、ベース120の表面120や導電性接着剤150等の上にも被覆層141a、142が形成されるため、接続電極122や導電性接着剤150等の破損が防止され、信頼性を向上させることができる。
(圧電デバイス100の製造方法)
次に、圧電デバイス100の製造方法について、図3を用いて説明する。この圧電デバイス100は、いわゆるウェハレベルパッケージングの手法で製造される。圧電振動片130の製造に際しては、圧電ウェハAW1から個々を切り出す多面取りが行われる。先ず、図3(a)に示すように、圧電ウェハAW1が用意される。圧電ウェハAW1は、水晶結晶体からATカットにより切り出される。
次に、圧電ウェハAW1は、エッチングや切削等により厚さ(Y軸方向の幅)が薄くなるように形成され、所望の周波数特性を備えるように調整される。なお、フォトリソグラフィ法及びエッチング等により、周辺部に対して中央部分を厚肉としたメサが形成されてもよい。次に、圧電ウェハAW1(圧電振動片130)の表面及び裏面に励振電極131、132が形成される。
励振電極131、132は、メタルマスクを用いたスパッタリングや真空蒸着等によりニッケルクロム等の下地層131a、132aが成膜され、次いで金等の主電極層131b、132bが成膜されて形成される。なお、メタルマスク等を用いることに代えて、フォトリソグラフィ法及びエッチング等により励振電極131、132がパターニングされてもよい。引出電極133、134は、励振電極131、132と同時に形成されるが、励振電極131、132とは別に形成されてもよい。この励振電極131、132の形成後、圧電ウェハAW1をスクライブラインに沿ってダイシングすることにより、個々の圧電振動片130が完成する。
リッド110及びベース120は、圧電振動片130と同様に、リッドウェハLW1及びベースウェハBW1から個々を切り出す多面取りが行われる。これらリッドウェハLW1及びベースウェハBW1としては、例えば、ホウケイ酸ガラスが用いられる。リッドウェハLW1は、キャビティ140を形成するための凹部111が、サンドブラストまたはウェットエッチングによって形成される。一方、ベースウェハBW1には、貫通孔125等がサンドブラストまたはウェットエッチングによって形成される。
ベースウェハBW1は、例えば銅めっき等により貫通孔125等を充填して貫通電極126等が形成される。この貫通電極126等と電気的に接続するように、ベースウェハBW1の表面に接続電極122、123が形成され、裏面に外部電極124が形成される。同時にダミー電極124a、124bも形成される。接続電極122、123及び外部電極124は、例えばメタルマスク等を用いたスパッタリングや真空蒸着により、ニッケルタングステン等の下地層の上に金や銀が成膜されて形成される。
次に、ベースウェハBW1上には、個々の圧電振動片130が導電性接着剤150、151により搭載される(載置工程)。この導電性接着剤150、151によって、圧電振動片130の励振電極131、132と外部電極124とが電気的に接続される。
次に、圧電振動片130の露出部分や、ベース120の露出部分、導電性接着剤150等に、絶縁体または誘電体の被覆層141、141a、142が形成される(被覆工程)。この被覆工程には、例えば、原子層成膜(Atomic Layer Deposition)法が用いられる。原子層成膜法は、真空容器内に設置した基板上に、原料化合物(プリカーサー)の分子を一分子層毎に、表面への吸着、反応による成膜、パージによる余剰分子の取り除き、のサイクルを繰り返し行うことによって、原子層を一層ずつ積み上げてゆく成膜手法である。従って、表面化学反応の自己停止機構を有しているために、0.1nmの精度での膜厚制御が可能である。さらに、段差被覆性に優れ、高アスペクト比のホール内壁や狭い空隙部への成膜が行える。このために、圧電振動片130上にこの手法で成膜した場合、成膜による周波数のずれ量を、予め精確に予測することが可能となる。なお、原子層成膜法では、多種多様な絶縁体あるいは誘電体材料が成膜可能である。また、原子層成膜法で形成される被覆層141、141a、142の膜厚は、特に制限されるものではないが、後のイオンビーム照射で消失しない程度には厚く、一方で、絶縁体あるいは誘電体層の形成に由来する周波数変動量を大きくしすぎないために、1nm〜数10nm程度に設定される。
次に、リッドウェハLW1は、イオンビーム活性化接合によりベースウェハBW1に接合される(リッド接合工程)。イオンビーム活性化接合は、図4に示すように、イオンビーム活性化接合装置10が用いられる。イオンビーム活性化接合装置10は、図4に示すように、真空チャンバー20と、ウェハホルダを持つアライメントステージ30と、ウェハホルダを持つ加圧機構40と、接合面に向かってイオンビームを照射するように配置されたイオン源50と、中性化電子源60と、を備えている。真空チャンバー20は、図示しない真空排気ポンプ(例えばターボ分子ポンプ)により排気されて、真空雰囲気に設定される。イオン源50と中性化電子源60には、それぞれマスフローメータを介してアルゴンガスが供給される。
リッドウェハLW1は、静電チャック等により加圧機構40のウェハホルダに保持され、ベースウェハBW1は、アライメントステージ30のウェハホルダに保持される。これにより、リッドウェハLW1とベースウェハBW1とは、互いの接合面が相対するように配置される。次に、チャンバー20内が所定の真空度になるまで真空排気された後、両ウェハに向かって、イオン源50からアルゴンビーム(イオンビーム)IBが照射される。なお、アルゴンビームIBは、中性化電子源60により中性化されている。
このアルゴンビームIBによって、リッドウェハLW1及びベースウェハBW1の表面はスパッタエッチングされて表面が清浄化される。このとき、イオン源50を構成するアノード等の部材は、アルゴンプラズマに曝されるためにスパッタされ、イオン源50から照射されるアルゴンビームIB中には、イオン源50の構成部材であるステンレスの成分である鉄やクロムが含まれる。また、イオン源50から照射されたアルゴンビームIBは大きな広がり角を有するため、リッドウェハLW1等のみならず、真空チャンバー20内壁のステンレスやアルミニウム合金製の部品をスパッタする。これにより、リッドウェハLW1等上には、鉄、クロム、アルミニウムなどが堆積する。すなわち、リッドウェハLW1及びベースウェハBW1の表面では、エッチング作用とデポジション作用が同時に進行することになる。従って、被覆層141、141a、142は、絶縁体または誘電体の膜に、鉄、クロム、アルミニウム等が混合した状態や、絶縁体等の膜と、鉄、クロム、アルミニウム等との積層膜といった状態となる。
上記したように、圧電振動片130の露出部分に形成された被覆層141は、励振電極131等に用いられた金や銀に比べスパッタ率が小さい。従って、励振電極131、132は、被覆層141によって被覆されるため、アルゴンビームIBの照射によって不用意にエッチングされることはない。同様に、ベース120の接続電極122等や導電性接着剤150等も被覆層141a、142で被覆されているため、アルゴンビームIBの照射によって不用意にエッチングされることはない。
次に、所定の時間、アルゴンビームIBの照射を行った後、リッドウェハLW1とベースウェハBW1とのアライメントを行ってから、加圧機構40により、所定の荷重と圧接時間条件で、両ウェハを接合する。その後、接合されたウェハをイオンビーム活性化接合装置10から取り出し、スクライブラインに沿ってダイシングされることにより個々の圧電デバイス100が完成する。なお、リッドウェハLW1とベースウェハBW1との接合後にベースウェハBW1裏面の外部電極124等が形成されてもよい。
ところで、主電極材料である金や銀は、密度が大きく、かつスパッタ率が大きな金属であるため、イオンビーム活性化接合の際に、イオンビームが照射されてスパッタされると、圧電振動片130の周波数はプラス側に非常に大きくシフトする(共振周波数が高くなる)。しかも、エッチング量は、ウェハ面内のビーム強度に敏感であるため、ウェハ面内の周波数シフト量には大きな分布が生じることになる。一方、イオン源50の部材や真空チャンバー20の内壁がスパッタされることによって、これらの構成材料である鉄、クロム、アルミニウム等が励振電極131等上に堆積するが、これらの金属の密度は、金や銀に比べ小さく、かつ、膜厚は数ナノメートルであるため、圧電振動片130の周波数はマイナス側にわずかにシフトする(共振周波数が低くなる)。
一方、被覆層141、141a、142は、スパッタ率が小さいことに加えて、図4に示すように、アルゴンビームIBの照射方向がリッドウェハLW等の鉛直方向からほぼ90°傾いた方向であるため、実質的なスパッタ率は著しく小さくなる。この結果、被覆層141等は殆どエッチングされることなく、被覆層141等上には、鉄、クロム、アルミニウムなどの金属堆積のみが生じることになる。
この金属付着量は、膜厚として数nmと小さく、かつ照射条件を適正化することによって、ウェハ面内で分布を持たず一定にすることができるため、接合後の圧電デバイス100の共振周波数は、ウェハ面内で均一にマイナス側への変動となる。この変動分を見込んで、接合前に行われる周波数調整工程において共振周波数を調整しておけば、接合後に、所望の共振周波数を有する圧電デバイス100を、ガラスによるウェハレベルパッケージングの手法によって高歩留まりで製造可能となる。
このように、圧電デバイス100の製造方法によれば、圧電振動片130の励振電極131等が不用意にエッチングされることを防止し、圧電振動片130の共振周波数の変動を抑制して不良品の発生を防止できる。
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。図5は、第2実施形態に係る圧電デバイス200を示している。また、図5は、図1のA−A線に相当する線に沿った断面図を示している。この圧電デバイス200は、第1実施形態と同様の圧電振動片130が用いられている。
圧電デバイス200は、リッド210及びベース220を有している。リッド210は、平面視では矩形状の板状部材であり、図5に示すように、裏面(−Y側の面)210aのうち、ベース220との接合部分は、イオンビーム活性化接合による接合に適した十分な平坦性(典型的には、平均ラフネスRaが1nm程度)を有している。
ベース220は、平面視で矩形状の板状部材であり、図5に示すように、表面側(+Y側の面)の中央部分には凹部221が設けられている。この凹部221を囲むように、リッド210との接合面220aが形成されている。これらリッド210及びベース220を接合させることにより、圧電振動片130を収容するキャビティ(収容空間)240が形成される。なお、接合面220aは、イオンビーム活性化接合による接合に適した十分な平坦性(典型的には、平均ラフネスRaが1nm程度)を有している。
ベース220の凹部221内には、接続電極222が形成され、ベース220の裏面には、外部電極224が形成される。ベース220をY方向に貫通する貫通孔225が設けられるとともに、この貫通孔225には、接続電極222と外部電極224とを電気的に接続する貫通電極226が形成される。また、ベース220の裏面には、ダミー電極224aが形成される。なお、接続電極222や外部電極224、貫通電極226は、第1実施形態の圧電デバイス100とほぼ同様である。
圧電振動片130の露出部分や導電性接着剤150が被覆層141、141aで被覆されている点は第1実施形態と同様である。さらに、ベース220の表面(露出部分)においても被覆層242で被覆された状態となっている。この被覆層242の材質等については第1実施形態の被覆層142と同様である。
このように、圧電デバイス200によれば、第1実施形態と同様に圧電振動片130が用いられるため、励振電極131、132は被覆層141に被覆されることにより破損等が防止され、信頼性を向上させることができる。また、ベース220においても被覆層242によって接続電極222の破損等が防止される。また、圧電デバイス200の製造方法は、リッド210に凹部が形成されない点や、ベース220に凹部221が形成される点を除いて圧電デバイス100の製造方法とほぼ同様であり、励振電極131等が不用意にエッチングされることを防止して、圧電振動片130の共振周波数の変動を抑制して不良品の発生を防止できる。
<第3実施形態>
(圧電デバイス300の構成)
第3実施形態に係る圧電デバイス300について図6及び図7を用いて説明する。この圧電デバイス300は、図6(a)に示すように、圧電振動片330を挟むように、圧電振動片330の+Y側にリッド310が接合され、また、−Y側にベース320が接合される。リッド310及びベース320は、第1及び第2実施形態と同様に、例えばホウケイ酸ガラス等が用いられる。
リッド310は、図6(a)及び(b)に示すように、矩形の板状に形成されており、裏面(−Y側の面)に形成された凹部311と、凹部311を囲む接合面310aとを有している。接合面310aは、後述する圧電振動片330の枠部332の表面(+Y側の面)332aに接合される。接合面310aと表面332aとは直接接合されている。なお、接合面310aと表面332aとは、イオンビーム活性化接合による接合に適した十分な平坦性(典型的には、平均ラフネスRaが1nm程度)を有している。
ベース320は、同じく矩形の板状に形成されており、表面(+Y側の面)に形成された凹部321と、凹部321を囲む接合面320aとを有している。接合面320aは、圧電振動片330の枠部332の裏面(−Y側の面)332bと対向する。ベース320は、図8に示すように、接合面122と枠部132の裏面132bとの間に配置された接合材150により、圧電振動片130の裏面側(−Y側の面側)に接合される。接合面320aと表面332bとは直接接合される他に、低融点ガラスやポリイミド等の接合材が用いられてもよい。
図6に示すように、ベース320の表面の−X側の領域には、接続電極322、323が形成され、ベース320の裏面の−X側の領域には、外部電極324、325が形成される。また、ベース320には、Y方向に貫通する貫通電極326、327が形成される。貫通電極326によって接続電極322と外部電極324とが電気的に接続され、貫通電極327によって接続電極323と外部電極325とが電気的に接続される。なお、図6(b)に示すように、ベース320の裏面の+X側の領域には、ダミー電極324aが形成される。
これら接続電極322等や、外部電極324等、貫通電極326等は、第1及び第2実施形態と同様の金属が用いられる。また、接続電極322、323と外部電極324、325との接続として貫通電極326、327を用いることに限定されない。例えば、ベース320の角部や辺部に切り欠き(キャスタレーション)を形成させ、この切り欠きに電極を形成して接続電極322、323と外部電極324、325とを接続させてもよい。
圧電振動片330は、第1及び第2実施形態と同様に、例えばATカットの水晶材が用いられている。圧電振動片330は、図7(a)に示すように、所定の振動数で振動する振動部331と、振動部331を囲んだ枠部332と、振動部331と枠部332とを連結するアンカー部333とにより構成されている。振動部331と枠部332との間には、アンカー部333を除いて、Y軸方向に貫通する貫通穴334が形成されている。
振動部331は、矩形状に形成され、Y軸方向の厚さが枠部332と同一であるが、枠部332より薄く形成されてもよい。また、振動部331の周辺部に対して中央部分を厚肉としたメサが形成されてもよい。枠部332は、振動部331を囲んだ矩形状に形成され、表面332a及び裏面332bは、それぞれ、リッド310の接合面310a及びベース320の接合面320aと接合される。
振動部331の表面には励振電極335が形成され、この励振電極335から−X方向に向けてアンカー部333及び枠部332の表面まで引出電極337が形成される。さらに、引出電極337は、枠部332をY方向に貫通する貫通電極339を介して枠部332の裏面の引出電極337aに接続される。振動部331の裏面には励振電極336が形成され、この励振電極336から−X方向に向けてアンカー部333及び枠部332の裏面まで引出電極338が形成される。
励振電極335、336及び引出電極337、338等は、図7(b)に示すように、水晶材との密着性を高めるためにニッケルタングステン等の下地層335a、336aと、金等の主電極層335b、336bとの2層構造が採用される。下地層335a等や主電極層335b等に用いられる金属としては、第1及び第2実施形態と同様である。
圧電振動片330には、図7(b)に示すように、励振電極335、336や引出電極337等を含めて露出部分を被覆するように被覆層341が形成される。また、ベース320の凹部321にも被覆層342が形成されるが、凹部321に被覆層342を形成させるか否かは任意である。さらに、圧電振動片330の枠部332の側面や、ベース320の側面及び底面に被覆層342が設けられてもよい。被覆層341、342の膜厚に特に制限はないが、数nm〜数10nmに設定される。
被覆層341、342は、励振電極335、336の主電極層335b、336bで用いられた金属よりもスパッタ率が小さい絶縁体または誘電体が用いられる。被覆層341、342に用いられる絶縁体または誘電体としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど、第1及び第2実施形態と同様のものが用いられる。
この圧電振動片330は、図6に示すように、圧電振動片330の枠部332の表面332aにリッド310の接続面310aが直接接合されている。また、圧電振動片330の枠部332の裏面332bには、ベース320の接続面320aが接合されている。裏面332bと接続面320aとの接合は、直接接合の他に、接合材が用いられてもよい。圧電振動片330とベース320とが接合されることにより、引出電極337a、338と接続電極322、323とが電気的に接続される。なお、引出電極337a、338と接続電極322、323との間に導電性接着剤を介在させてもよい。そして、リッド310及びベース320が圧電振動片330に接合されることにより、圧電振動片330の振動部331は、キャビティ340に収容された状態となる。キャビティ340内は、真空雰囲気または窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で密封される。
このように、圧電デバイス300によれば、励振電極335、336を含めた露出部分に被覆層341が形成されるため、励振電極335、336はスパッタ率が小さな被覆層341に被覆されることにより破損等が防止され、信頼性を向上させることができる。
(圧電デバイス300の製造方法)
次に、圧電デバイス300の製造方法について、図8を用いて説明する。この圧電デバイス300は、上記した圧電デバイス100と同様に、ウェハレベルパッケージングの手法で製造される。リッド310、ベース320、及び圧電振動片330のいずれも各ウェハから個々を切り出す多面取りが行われる。リッドウェハLW2及びベースウェハBW2としては、例えば、ホウケイ酸ガラスが用いられる。圧電ウェハAW2は、水晶結晶体からATカットにより切り出された水晶片が用いられる。
リッドウェハLW2は、サンドブラストまたはウェットエッチングによって凹部311が形成される。一方、ベースウェハBW2は、サンドブラストまたはウェットエッチングによって凹部321が形成されるとともに貫通孔が形成される。ベースウェハBW2は、例えば銅めっき等により貫通電極326、327が形成される。この貫通電極326、327と電気的に接続するように、ベースウェハBW2の表面に接続電極322、323が形成され、裏面に外部電極324、325が形成される。同時にダミー電極324aも形成される。接続電極322、323及び外部電極324、325は、例えばメタルマスク等を用いたスパッタリングや真空蒸着により、ニッケルタングステン等の下地層の上に金や銀が成膜されて形成される。
圧電ウェハAW2は、エッチングや切削等により厚さ(Y軸方向の幅)が薄くなるように調整される。なお、フォトリソグラフィ法及びエッチング等により、振動部331の周辺部に対して中央部分を厚肉としたメサが形成されてもよい。次に、振動部331の表面及び裏面に励振電極335、336が形成される。励振電極335、336は、メタルマスクを用いたスパッタリングや真空蒸着等によりニッケルクロム等の下地層335a、336aが成膜され、次いで金等の主電極層335b、336bが成膜されて形成される。なお、メタルマスク等を用いることに代えて、フォトリソグラフィ法及びエッチング等により励振電極335、336がパターニングされてもよい。
引出電極337、337a、338は、励振電極335、336と同時に形成される。貫通電極339は引出電極337、337a、338の形成に先だって、銅メッキ等により充填されて形成される。ただし、貫通電極339として充填されることに限定されず、貫通孔の壁面に導電性の金属膜が形成されたものでもよい。
次に、圧電ウェハAW2の裏面にベースウェハBW2が接合される。このとき、後に圧電振動片330の枠部332となる部分の裏面側に、ベース320の接合面320aが接合された状態となっている(ベース接合工程)。なお、両者の接合は、図4に示すイオンビーム活性化接合装置10を用いたイオンビーム活性化接合によって接合する他に、低融点ガラスやポリイミド等の接合材を用いた接合など、各種の接合方法が用いられる。圧電ウェハAW2にベースウェハBW2が接合された際に、引出電極337a、338と接続電極322、323とが電気的に接続される。
次に、ウェットエッチング等により、圧電ウェハAW2の一部をY方向に貫通させて貫通穴334を形成させる。これにより、圧電ウェハAW2には、振動部331と、振動部331を囲んだ枠部332と、振動部331と枠部332とを連結するアンカー部333とを備えた圧電振動片330が形成される。なお、貫通穴334の形成をベースウェハBW2の接合後に行っているが、接合前に行ってもよい。
次に、圧電振動片330の露出部分や、ベース320の露出部分に、絶縁体または誘電体の被覆層341、342が形成される(被覆工程)。この被覆工程は、第1実施形態と同様に、原子層成膜(Atomic Layer Deposition)法が用いられる。この原子層成膜法が用いられることにより、圧電振動片330上への成膜による周波数のずれ量を、予め精確に予測することが可能となる。なお、被覆層341、342の膜厚は、特に制限されるものではないが、後のイオンビーム照射で消失しない程度には厚く、一方で、絶縁体あるいは誘電体層の形成に由来する周波数変動量を大きくしすぎないために、1nm〜数10nm程度に設定される。
次に、リッドウェハLW2は、イオンビーム活性化接合により圧電ウェハAW2の表面に接合される(リッド接合工程)。イオンビーム活性化接合は、第1実施形態と同様に図4に示すイオンビーム活性化接合装置10が用いられる。リッドウェハLW2は、加圧機構40のウェハホルダに保持され、圧電ウェハAW2(裏面にはベースウェハBW2が接合済み)は、アライメントステージ30のウェハホルダに保持される。リッドウェハLW2と圧電ウェハAW2とは、互いに相対した状態となっている。次に、チャンバー20内が真空排気された後、両ウェハに向かってイオン源50からアルゴンビームIBが照射される。
アルゴンビームIBによって、リッドウェハLW2及び圧電ウェハAW2の表面はスパッタエッチングされて表面が清浄化される。なお、圧電ウェハAW2等上には、鉄、クロム、アルミニウムなどが堆積する点は第1実施形態と同様である。従って、被覆層341、342は、絶縁体または誘電体に、鉄、クロム、アルミニウム等が混合した状態や、絶縁体または誘電体の膜と、鉄、クロム、アルミニウム等との積層膜といった状態となる。また、第1実施形態と同様に、被覆層341は、励振電極335等と比較してスパッタ率が小さいので、励振電極335、336は、アルゴンビームIBの照射によって不用意にエッチングされることはない。
次に、所定の時間、アルゴンビームIBの照射を行った後、リッドウェハLW2と圧電ウェハAW2とのアライメントを行ってから、加圧機構40により、所定の荷重と圧接時間条件で、両ウェハを接合する。その後、接合されたウェハをイオンビーム活性化接合装置10から取り出し、スクライブラインに沿ってダイシングされることにより個々の圧電デバイス300が完成する。
このように、圧電デバイス300の製造方法によれば、第1実施形態と同様に、励振電極335等が不用意にエッチングされることを防止し、圧電振動片330の共振周波数の変動を抑制して不良品の発生を防止できる。また、第1実施形態と同様に、イオンビーム活性化接合に際して金属付着量を見込んで共振周波数を調整しておけば、接合後に、所望の共振周波数を有する圧電デバイス300を、ガラスによるウェハレベルパッケージングの手法によって高歩留まりで製造可能となる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、圧電振動片130等に代えて音叉型の圧電振動片(水晶振動片)が用いられてもよい。また、圧電振動片130等として水晶振動片に限定されるものではなく、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムなど、他の圧電材料が用いられてもよい。また、圧電振動片130等に代えて、シリコンウェハを用いたMEMS(Micro
Electro Mechanical Systems)デバイスなどが用いられてもよい。
また、圧電デバイスとして圧電振動子(水晶振動子)であることに限定されず、発振器であってもよい。発振器の場合は、IC等が搭載され、圧電振動片130等と電気的に接続される。さらに、リッドウェハLW1、LW2やベースウェハBW1、BW2としてATカット等の水晶片が用いられてもよい。また、被覆層141、341等の形成に原子層成膜法が用いられることに限定されず、蒸着等の他の手法が用いられてもよい。
以下、実施例について説明する。実施例として、図1(b)に示すガラスパッケージ構造を有する26MHzの水晶振動子(圧電デバイス100)を用いた。圧電振動片としてATカットの水晶振動片が用いられ、励振電極131、132は、下地層131a、132aとしてクロム:30nm、主電極層131b、132bとして銀:150nm、で形成した。被覆層141、141a、142は、原子層成膜法の手法、すなわち、TMA(トリメチルアルミニウム)とHOを交互にパルス状に20サイクル流すことによって酸化アルミニウム:2nmを成膜した。この水晶振動片を、図3に示すように、導電性ペーストにより6インチベースウェハBW1に搭載させた後、このベースウェハBW1と6インチリッドウェハLW1とを、図4に示すイオンビーム活性化接合装置10にて接合して、26MHz水晶振動子を作製した。
比較例として、被覆層のない、クロム:30nm(下地層)/銀:150nm(主電極層)よりなる励振電極を持った26MHzのATカット水晶振動子についても、実施例と同じ工程を経て作製した。なお、電極材料は、電子ビーム蒸着法により成膜した。
ベースウェハBW1とリッドウェハLW1の接合を行う前後での周波数変動量を測定し、周波数変動量の面内分布を実施例、比較例について比較した。なお、いずれも、水晶振動片をベースウェハBW1に搭載した段階で周波数調整を行ない、面内の周波数を26MHzに揃えてある。図9は、実施例、比較例について、6インチウェハ内で、イオン源50の中心軸に平行な方向に沿って周波数変動量の変化をプロットした図である。図9において、横軸のプラス方向がイオン源50側になる。
実施例は、ウェハ面内位置で約−30ppmと一定の周波数変動であるのに対し、比較例は、横軸のプラス方向(イオン源50に近い側)で、周波数変動量は+250ppmと大きく、中心に向かって減少し、ウェハ中心からイオン源50と反対方向の端に向かって、−30ppmに漸近してゆく。イオン源50に近い側では、金属付着よりはアルゴンビームによるエッチングが強いため、銀のエッチングが進む。銀は、スパッタ率が大きく、かつ密度が大きいため、周波数変動が顕著である。イオン源50から遠ざかるに従って(図9では、横軸のマイナス側に向かって)、エッチングの寄与が徐々に減り、金属付着による周波数変動の寄与が見えるようになる。
本実施例では、酸化アルミニウムの被覆層141等のおかげで、銀の主電極層131b等のみならず、被覆層141等に対するエッチング作用が極めて小さいため、6インチウェハ全体にわたって、金属付着に由来する周波数変動しか観測されない。本実施例においては、リッドウェハLW1とベースウェハBW1の接合前の周波数調整工程で、目標周波数の+30ppmに調整しておけば、接合後に26MHzの周波数を持つ水晶振動子を製造することができることになる。なお、本実施例では、被覆層141等として参加アルミニウムを用いたが、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの酸化物系の絶縁体または誘電体や、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化シリコンなどの窒化物系の絶縁体または誘電体についても同様の結果が得られた。
10…イオンビーム活性化接合装置
100、200、300…圧電デバイス
110、210、310…リッド
120、220、320…ベース
130、330…圧電振動片
131、132、335、336…励振電極(電極)
141、141a、142、341、342…被覆層
331…振動部
332…枠部
333…アンカー部

Claims (13)

  1. 電極が形成された圧電振動片を含む圧電デバイスであって、
    前記圧電振動片は、その露出部分を覆うように、前記電極よりもスパッタ率が小さい絶縁体または誘電体の被覆層が形成される圧電デバイス。
  2. 互いに接合されるリッド及びベースを含み、
    前記圧電振動片は、前記リッド及び前記ベースの少なくとも一方に形成された凹部に配置され、
    前記リッドと前記ベースとは直接接合される請求項1記載の圧電デバイス。
  3. 前記圧電振動片は、振動部と、前記振動部を囲む枠部と、前記振動部と前記枠部とを連結するアンカー部とを有し、
    前記枠部の表面及び裏面にそれぞれ接合されるリッド及びベースを含み、
    前記枠部と前記リッドとは直接接合される請求項1記載の圧電デバイス。
  4. 前記ベースの露出部分に、絶縁体または誘電体の被覆層が形成される請求項1または請求項2記載の圧電デバイス。
  5. 前記被覆層は、酸化アルミニウム(Al)、酸化シリコン(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、のうちのいずれかの酸化物系の絶縁体または誘電体である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の圧電デバイス。
  6. 前記被覆層は、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、のうちのいずれかの窒化物系の絶縁体または誘電体である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の圧電デバイス。
  7. 圧電振動片を含む圧電デバイスの製造方法であって、
    前記圧電振動片の露出部分を覆うように、前記電極よりもスパッタ率が小さい絶縁体または誘電体の被覆層が形成される被覆工程を含む圧電デバイスの製造方法。
  8. 前記圧電振動片をベースに載置させる載置工程と、
    イオンビーム活性化接合を用いて、前記ベースにリッドを接合させるリッド接合工程と、を含む請求項7記載の圧電デバイスの製造方法。
  9. 前記被覆工程は、前記載置工程の後に行われる請求項8記載の圧電デバイスの製造方法。
  10. 前記圧電振動片として、振動部と、前記振動部を囲む枠部と、前記振動部と前記枠部とを連結するアンカー部とを有するものが用いられ、
    前記枠部の裏面にベースを接合させるベース接合工程と、
    イオンビーム活性化接合を用いて、前記枠部の表面にリッドを接合させるリッド接合工程と、を含む請求項7記載の圧電デバイスの製造方法。
  11. 前記被覆工程は、前記ベース接合工程の後に行われる請求項10記載の圧電デバイスの製造方法。
  12. 前記被覆工程は、前記ベースの露出部分に被覆層を形成させる請求項9または請求項11記載の圧電デバイスの製造方法。
  13. 前記リッド接合工程は、真空雰囲気下で行われる請求項7〜請求項12のいずれか1項に記載の圧電デバイスの製造方法。
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