JP2014192250A - 有機el素子、有機el表示装置及び有機el素子の製造方法 - Google Patents

有機el素子、有機el表示装置及び有機el素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】画素領域内での発光面積拡大や、発光効率及び輝度半減寿命を向上させることができる有機EL素子及び有機EL表示装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の有機EL素子10は、基板101と、基板101上に形成された第1電極102と、第1電極102の端部を被覆する絶縁層103と、第1電極102上であって絶縁膜103で囲まれた画素領域110に形成された発光媒体層104と、発光媒体層104を挟んで第1電極102と対向する第2電極105とを備え、発光媒体層104の少なくとも1層をウェットコーティング法で成膜したウェットコート層106とし、そのウェットコート層106の少なくとも1層をキャリア移動度勾配膜107とし、キャリア移動度勾配膜107のキャリア移動度を、画素領域110における絶縁層103から遠い領域に比べて画素領域110における絶縁層103に近い領域で高くしたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子、有機EL表示装置及び有機EL素子の製造方法に関する。
有機EL素子は、陽極としての電極と陰極としての電極との間に、少なくともEL現象を呈する有機発光層を備えた構造をしている。この有機EL素子は、上記電極間に電圧が印加されると有機発光層に正孔と電子とが注入され、この正孔と電子とが有機発光層で再結合することによって有機発光層が発光する自発光型の表示素子である。さらに、有機EL素子において、発光効率を増大させる等の目的から、陽極と有機発光層との間に正孔注入層や正孔輸送層、または有機発光層と陰極との間に電子輸送層や電子注入層等の機能層が適宜選択して設けられている。なお、有機発光層と機能層(上述の正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等)とは、合わせて有機発光媒体層と呼ばれている。
有機発光媒体層を形成する有機材料は、低分子材料と高分子材料とに大別される。低分子材料で有機発光媒体層を薄膜形成する方法として、真空蒸着法等が広く用いられている。ところが、真空蒸着法では微細パターンのマスクを用いてパターニングするため、この方法には基板が大型化するにつれてパターニング精度が出にくいという問題がある。また、真空中で成膜するためにスループットが悪いという問題もある。
そこで高分子材料や低分子材料を溶媒に溶かしてインキとし、これをウェットコーティング法で薄膜形成する方法が試みられるようになってきている。薄膜形成するためのウェットコーティング法としては、スピンコート法、バーコート法、スリットコート法、ディップコート法等がある。しかしながら、高精細にパターニングしたりRGB3色に塗り分けしたりするためには、これらのウェットコーティング法では難しく、塗り分け・パターニングを得意とする印刷法による薄膜形成が最も有効であると考えられる。
上述の有機材料を溶媒に溶解または分散させてインキ(以下、「有機発光インキ」ともいう。)とした場合、有機材料の溶解性から濃度を1〜5%前後とする必要がある。このインキを印刷する方法としては、弾性を有するゴム版や樹脂版を用いる凸版印刷法(例えば特許文献1参照)、さらにはインクジェット法(例えば特許文献2参照)等が提案されている。
これら凸版印刷法やインクジェット法にて被印刷基板上に有機発光媒体層を形成する場合、濃度が1〜5%前後のインキが大幅な濃度変化なく被印刷基板に転写される。したがって、有機発光インキをRGB三色に塗り分けする場合、有機発光インキが隣の画素まで広がってしまい、混色が生じてしまう。そのため、インキの広がりを抑えるために隔壁を設け、さらに隔壁によって仕切られた画素開口部に有機発光インキを印刷するという方法が用いられている。
一般的には隔壁は、パターニングされた絶縁層がサブピクセルを区画するように形成されている。その際、隔壁パターンは陽極として成膜されている透明電極のエッジ部を覆うように形成され、隔壁パターンがサブピクセル領域を規定している。
凸版印刷法やインクジェット法による塗膜形成方法においては、隔壁で囲まれた画素開口部内で塗膜が乾燥していくために、その開口部の周辺部(以下、単に「開口周辺部」ともいう。)においてコーヒーステインの様な現象が発生する。その結果、画素開口部の中心部は乾燥後の塗布膜厚が薄く、隔壁に接する開口周辺部の塗布膜厚が厚くなる等の課題がある。換言すると、凸版印刷法やインクジェット法による塗膜形成方法においては、塗膜の平坦性が悪くなってしまうといった課題がある。
有機発光層を含む発光媒体層の各層に所定の電流を流す場合、膜厚が厚いほど高い電圧の印加が必要となる。そのため、画素領域(画素開口部)の絶縁層周辺と画素領域の中央とで膜厚が異なる等の画素内での膜厚不均一が生じると、電圧印加時に膜厚の薄い部分で集中的に電流が流れるという状況が起こる。その結果、画素領域での発光面積が小さくなったり、発光寿命が短くなったり、発光効率が低下する等の問題が生じる。
特開2002−305077号公報 特開2008−216949号公報
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、画素領域内での発光面積拡大や、発光効率及び輝度半減寿命を向上させることができる有機EL素子及び有機EL表示装置とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、ウェットコーティング法で形成される発光媒体層において生じる膜厚の不均一な状況においても、画素領域内で膜厚に合わせて電子移動度または正孔移動度といったキャリア移動度の分布を変化させた構造とすることで、広い発光面積と高効率、長寿命を達成し得る有機EL素子、有機EL表示装置及びその製造方法について見出した。
本発明の一態様は、基板と、前記基板上に形成された第1電極と、前記第1電極の端部を被覆する絶縁層と、前記第1電極上であって前記絶縁膜で囲まれた画素領域に形成された、有機発光層を含む発光媒体層と、前記発光媒体層を挟んで前記第1電極と対向する第2電極と、を備えた有機EL素子において、前記発光媒体層の少なくとも1層をウェットコーティング法で成膜したウェットコート層とし、そのウェットコート層の少なくとも1層をキャリア移動度勾配膜とし、前記キャリア移動度勾配膜の正孔移動度と電子移動度の少なくともいずれか一方を、前記画素領域における前記絶縁層から遠い領域に比べて前記画素領域における前記絶縁層に近い領域で高くしたことを特徴とする有機EL素子である。
また、上記の有機EL素子において、前記キャリア移動度勾配膜の膜厚を、前記画素領域における前記絶縁膜から遠い領域に比べて前記画素領域における前記絶縁層に近い領域で厚くしたこととしてもよい。
また、上記の有機EL素子において、前記ウェットコート層の少なくとも1層を前記有機発光層としたこととしてもよい。
また、上記の有機EL素子において、前記キャリア移動度勾配膜を構成する層の少なくとも1層を前記有機発光層としたこととしてもよい。
また、本発明の別の態様は、上記記載の有機EL素子を備えることを特徴とする有機EL表示装置である。
また、本発明の別の態様は、基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極の端部を絶縁層で被覆する工程と、前記第1電極上であって前記絶縁膜で囲まれた画素領域に発光媒体層を形成する工程と、前記発光媒体層を挟んで前記第1電極と対向する第2電極を形成する工程と、を有する上記記載の有機EL素子の製造方法であって、前記発光媒体層を形成する工程では、前記発光媒体層を構成するキャリア移動度勾配膜を、前記絶縁層上及び前記画素領域の前記絶縁層の周囲に、正孔移動度または電子移動度の高い第1有機膜をウェットコーティング法で塗布して成膜する第1の塗布工程と、前記第1の塗布工程で成膜した前記第1有機膜を架橋させずに、前記画素領域の全域に前記第1有機膜よりも前記正孔移動度または前記電子移動度の低い第2有機膜をウェットコーティング法で塗布して成膜する第2の塗布工程と、を実施して形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法である。
また、上記の有機EL素子の製造において、前記ウェットコーティング法を印刷法としたこととしてもよい。
また、上記の有機EL素子の製造において、前記ウェットコーティング法を凸版印刷法としたこととしてもよい。
本発明により、ウェットコーティング法にて成膜された発光媒体層を含んだ素子構成においても、画素発光面積が広く、高効率、長寿命な有機EL素子及び有機EL表示装置とその製造方法を得ることが可能となる。
本発明の有機EL素子の一例を示す説明図である。 本発明の印刷法の一例を示す説明図である。 本発明の有機EL素子の作成工程の一例を示す断面図である。 本発明の有機EL素子の作成工程の一例を示す上面図である。 本発明の有機EL素子の作成工程の一例を示す断面図である。 本発明の有機EL素子の作成工程の一例を示す上面図である。 本発明のキャリア移動度勾配膜を形成する混合膜の割合を示す一例である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、ここでは、図1に示すアクティブマトリクス駆動型の有機EL素子10をボトムエミッション型として本発明に適用した場合について説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、パッシブマトリクス駆動型の有機EL素子に適用することも可能であり、また、第1電極側から光を取り出すボトムエミッション型及び第2電極側から光を取り出すトップエミッション型の双方の型で実施することが可能である。
図1(A)は、本発明のアクティブマトリクス駆動型有機EL素子10の概略断面図の一例である。以下、本実施形態に係る有機EL素子10について、図1(A)を参照して説明する。
図1(A)に示すアクティブマトリクス駆動型の有機EL素子10は、画素ごとに設けられる薄膜トランジスタTFTを備えた基板101と、基板101上に形成された第1電極102(陽極)と、第1電極102の周端を覆うように設けられ発光画素領域(以下、「開口部」ともいう。)110を形成する絶縁層103と、開口部110内で第1電極102上に形成された発光媒体層104と、発光媒体層104上に形成された第2電極105(陰極)とを備える。
発光媒体層104は、有機発光層と機能層とで構成されている。この有機発光層は1層以上の層を備えたものであり、機能層は正孔輸送層、正孔注入層、インターレイヤ層、電子ブロック層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層等を少なくとも1層以上備えたものである。また、発光媒体層104の少なくとも1層以上は、ウェットコーティング法により形成されたウェットコート層106となっている。また、ウェットコート層106の少なくとも1層以上は、開口部110内の絶縁層103周辺で、開口部110の中央に比べて正孔移動度と電子移動度の少なくともいずれか一方が高いキャリア移動度勾配膜107となっている。換言すると、発光媒体層104の少なくとも1層をウェットコーティング法で成膜したウェットコート層106とし、そのウェットコート層106の少なくとも1層をキャリア移動度勾配膜107とし、キャリア移動度勾配膜107の正孔移動度と電子移動度の少なくともいずれか一方を、開口部110における絶縁層103から遠い領域(開口部110における中心部)に比べて開口部110における絶縁層103に近い領域(開口部110における外周部)で高くしたものとなっている。図1(B)に本発明におけるキャリア移動度勾配膜107のキャリア移動度分布の一例を示す。
<基板>
本実施形態で用いることのできる基板101としては、基板に積層される第1電極102や発光媒体層104を支持することができればよい。また、発光媒体層104や第1電極102の劣化を防ぐために、基板101に水分や酸素の透過率の低い材料を用いたり、基板101の表面に水分や酸素の透過を防ぐ処理が施してあることが好ましい。また、有機EL素子10をアクティブマトリクス駆動とする場合には基板101として薄膜トランジスタを形成したTFT基板を用いることができる。
基板101の材料としては、ステンレスや鉄等の金属、ガラス、プラスチックのフィルムまたはシートを用いることができる。例えば、0.2〜1.0mmの薄いガラス基板を用いれば、水分や酸素に対するバリア性が非常に高い薄型の有機EL表示素子10を作製することができる。なお、第1電極102側から光を取り出す、いわゆるボトムエミッションタイプの有機EL素子10とする場合には、ガラスやプラスチック等の透光性を備えている基板101を用いる。
可撓性のあるプラスチック製のフィルムを用いれば、巻き取りにより連続的に有機EL素子10の製造が可能であり、安価に素子を提供することができる。基板101として用いることのできるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等を用いることができる。また、第1電極102を製膜しない側にセラミック蒸着フィルムやポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物等の他のガスバリア性フィルムを積層すれば、よりバリア性が向上し、寿命の長い有機EL素子10とすることができる。
<第1電極>
第1電極102には、透明または半透明の電極を形成することのできる導電性物質を好適に使用することができる。
第1電極102が陽極である場合、例えば、インジウムと錫の複合酸化物(以下、ITOと略す)、インジウムと亜鉛の複合酸化物(以下、IZOと略す)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、亜鉛アルミニウム複合酸化物等が挙げられる。特に、低抵抗であること、耐溶剤性があること、透明性が高い等からITOを好ましく用いることができ、基板101上に蒸着またはスパッタリング法等により成膜することができる。
また、オクチル酸インジウムやアセトンインジウム等の前駆体を基板101上に塗布後、熱分解により酸化物を形成する塗布熱分解法等により形成することもできる。あるいは、金属としてアルミニウム、金、銀等の金属を半透明状に蒸着することもできる。あるいはポリアニリン等の有機半導体も用いることができる。
第1電極102は、必要に応じてエッチング等によりパターニングを行うことができる。また、UV処理、プラズマ処理等により表面の活性化を行うこともできる。
<絶縁層>
次に、絶縁層103を形成する方法について説明する。本実施形態では、第1電極102の周端を覆い、単位画素に対応した発光領域(開口部)110を区画するように絶縁層103を形成する。本実施形態において絶縁層103は、1つの層で形成された構成で記載しているが、複数層による積層膜であってもよい。
絶縁層103の形成方法としては、従来と同様、第1電極102が形成された基板101上に無機膜を一様に形成し、レジストでマスキングした後、ドライエッチングを行う方法や、第1電極102が形成された基板101上に感光性樹脂を積層し、フォトリソグラフィ法により所定のパターンとする方法が挙げられる。絶縁層103に使用する材料は任意であるが、無機材料、感光性樹脂といった材料がより望ましい。
絶縁層103の好ましい高さは、0.2μm以上2.5μm以下の範囲内である。絶縁層103の高さが2.5μmより高いと第2電極105の形成及び封止を妨げてしまう。また、0.2μmより低いと有機発光層等の形成時に隣接する画素とショートしたり混色したりしてしまう。
<発光媒体層>
次に、本実施形態に係る有機発光層等の発光媒体層104の形成方法について説明する。発光媒体層104は、有機発光層と機能層とで構成されている。この有機発光層は1層以上の層を備えたものであり、機能層は正孔輸送層、正孔注入層、インターレイヤ層、電子ブロック層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層等を少なくとも1層以上備えたものである。また、発光媒体層104の少なくとも1層以上は、ウェットコーティング法により形成されたウェットコート層106となっている。また、ウェットコート層106の少なくとも1層以上は、開口部110内の絶縁層103周辺で、開口部110の中央に比べて正孔移動度と電子移動度の少なくともいずれか一方が高いキャリア移動度勾配膜107となっている。換言すると、発光媒体層104の少なくとも1層をウェットコーティング法で成膜したウェットコート層106とし、そのウェットコート層106の少なくとも1層をキャリア移動度勾配膜107とし、キャリア移動度勾配膜107の正孔移動度と電子移動度の少なくともいずれか一方を、開口部110における絶縁層103から遠い領域(開口部110における中心部)に比べて開口部110における絶縁層103に近い領域(開口部110における外周部)で高くしたものとなっている。
発光媒体層104の一例として、正孔注入層、インターレイヤ、有機発光層、電子輸送層が順次設けられ、インターレイヤ層、有機発光層がウェットコート層106となり、ウェットコート層106の中で有機発光層がキャリア移動度勾配膜107となるといった構成が挙げられる。
正孔注入層は、第1電極102から正孔を注入する機能を有する。正孔注入層の物性値としては、第1電極102(画素電極)の仕事関数と同等以上の仕事関数を有することが好ましい。これは第1電極102からインターレイヤへ効率的に正孔注入を行うためである。第1電極102の材料により異なるが4.5eV以上6.5eV以下の範囲内の材料を用いることができ、第1電極102がITOやIZOの場合、5.0eV以上6.0eV以下の範囲内にある材料を好適に用いることが可能である。正孔注入層の比抵抗に関しては、膜厚30nm以上の状態で、1×10〜2×10Ω・mであることが好ましく、より好ましくは5×10〜1×10Ω・mである。また、ボトムエッション構造では第1電極102側から放出光を取り出すため、光透過性が低いと取り出し効率が低下してしまうため、可視光波長領域の全平均で75%以上が好ましく、85%以上ならば好適に用いることが可能である。
正孔注入層を構成する材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物等の高分子材料を用いることができる。この他にも、導電率が10−2S/cm以上10−6S/cm以下である導電性高分子を用いることができる。高分子材料は、湿式法による成膜工程に使用可能である。このため、正孔注入層を形成する際に高分子材料を用いることが好ましい。このような高分子材料は、水または溶剤によって分散あるいは溶解され、分散液または溶液として使用される。
正孔注入材料として無機材料を用いる場合、無機材料としては、CuO、Cr、Mn、FeO(x≧0.1)、NiO、CoO、Pr、AgO、MoO、Bi、ZnO、TiO、SnO、ThO、V、Nb、Ta、MoO3、WO、MnO等を用いて真空蒸着法やスパッタ法により形成する。ただし、正孔注入層の材料はこれらに限定されるものではない。
正孔注入層を形成した後、インターレイヤを形成する。このインターレイヤを形成する際に用いる材料として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等の芳香族アミンを含むポリマー等が挙げられる。これらの材料は溶媒に溶解または分散させ、スピンコーター等を用いた各種ウェットコーティング法や凸版印刷法やインクジェット法等の各種印刷法を用いて形成される。また、無機材料では、CuO、Cr、Mn、NiO、CoO、Pr、AgO、MoO、ZnO、TiO、V、Nb、Ta、MoO、WO、MnO等の遷移金属酸化物及びこれらの窒化物、硫化物を一種以上含んだ無機化合物が挙げられる。ただし、インターレイヤの材料はこれらに限定されるものではない。
インターレイヤを形成した後、有機発光層を形成する。この有機発光層は、電流を流すことにより発光する層である。有機発光層を形成する有機発光材料は、例えばクマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N‘−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体系等の発光性色素をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に分散させたものや、ポリアリーレン系、ポリアリーレンビニレン系やポリフルオレン系の高分子材料が挙げられるが、これらの材料に限定されるものではない。
これらの有機発光材料は、溶媒に溶解または安定に分散させ有機発光インキとなる。有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の単独またはこれらの混合溶媒が挙げられる。中でもトルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶媒が有機発光材料の溶解性の面から好適である。また、有機発光インキには必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
上述した高分子材料に加え、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス[8−(パラ−トシル)アミノキノリン]亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレン等の低分子系発光材料が使用できる。
キャリア移動度勾配膜107を形成する方法の一例として、キャリア移動度の異なる2種類以上の有機発光材料を使用するといったことが考えられる。低分子系の有機発光材料の場合、例えば、ドーパントとホストの割合を変えた材料を用いることでキャリア移動度の異なる材料として使用するといった事が考えられる。高分子系の有機発光材料の場合、高分子発光材料の共重合時にアミンやポリフルオレンといったキャリア移動度を変化させる材料の割合を変化させた材料を使用するといった事が考えられる。
有機発光層の形成法としては、ウェットコーティング法が好ましく、インクジェット法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の既存の成膜法を用いることができるが、これらの方法に限定されるものではない。
<印刷法によるウェットコート層106の形成方法>
発光媒体層104を形成する方法としては、蒸着法やスパッタ法等の真空成膜と、ウェットコーティング法とがある。ウェットコーティング法にて塗り分けを行う場合の印刷法としては、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等の有版印刷法や、インクジェット法、ノズル印刷法等を用いることができる。
特に凸版印刷法は、塗布液の粘性特性が良好な粘度範囲で、基材を傷つけることなく印刷することができ、塗布液材料の利用効率がよいため好ましい。
発光媒体層104をウェットコーティング法にて形成する方法の一例として凸版印刷法により形成する場合には、図2に示すような、ウェットコート層106の材料を有する塗布液を電極等が形成された被印刷基板201上に直接塗布する凸版印刷装置200を用いることができる。なお、本実施形態に係るウェットコート層106の形成方法はこれに限るものではない。
凸版印刷装置200は、インキタンク202、インキチャンバ203、アニロックスロール204、凸版が設けられた印刷版205がマウントされた版胴206を有している。インキタンク202には、ウェットコート層106の材料を有する塗布液が収容されており、インキチャンバ203にはインキタンク202より塗布液が送り込むことができる。アニロックスロール204は、インキチャンバ203の塗布液供給部に接して回転可能に支持されている。塗布液供給部は、インキ溜まりにアニロックスロール204が浸かるインキ壷、またはアニロックスロール204上にインキを吐出するダイコーターを用いることができる。
アニロックスロール204の回転に伴い、アニロックスロール204の表面に供給された塗布液の塗布層204aは均一な膜厚に形成される。この塗布層204aは、アニロックスロール204に近接して回転駆動される版胴206にマウントされた印刷版205の凸部に転移する。
移動定盤207には、被印刷基板201が印刷版205の凸部による印刷版接触位置にまで図示していない搬送手段によって搬送されるようになっている。そして、印刷版205の凸部にあるインキは、被印刷基板201に対して印刷される。
印刷完了後必要に応じてベーク等の乾燥工程を経ることで、被印刷基板201上に好適にウェットコート層106を成膜することができる。
凸版が設けられた印刷版205は、感光性樹脂凸版が好ましい。感光性樹脂凸版は、露光した樹脂版を現像する際に用いる現像液が有機溶剤である溶剤現像タイプのものと、現像液が水である水現像タイプのものとがある。溶剤現像タイプのものは水系のインキに対し耐性を示し、水現像タイプのものは有機溶剤系のインキに耐性を示す。ウェットコート層106の材料を有する塗布液の特性に従い、溶剤現像タイプ、水現像タイプを好適に選ぶことができる。
ウェットコート層106の中でキャリア移動度勾配膜107となる層の形成方法の一例について、図3〜6を参照しつつ説明する。図3及び図5は、開口部110の断面図を示しており、図4及び図6開口部の上部から俯瞰した図となっている。まず、図3及び図4に示すように、絶縁層103上及び開口部110内の絶縁層103の周囲にパターンに沿って第1混合膜108を凸版印刷法によりストライプに塗布して成膜する第1の塗布工程を実施する。
続いて、図5及び図6に示すように、塗布した第1混合膜108を架橋させずに、開口部110の中央部に合わせて第2混合膜109を凸版印刷法によりストライプに塗布して成膜する第2の塗布工程を実施する。第2混合膜109を成膜し乾燥するまでの間に、事前に塗られていた第1混合膜108が第2の塗布工程で使用した溶媒中に溶け出し混合された後、第1混合膜と第2混合膜の混合割合に分布を持った状態で乾燥し、図1に示すキャリア移動度勾配膜107が形成される。第1混合膜108と第2混合膜109との混合割合の一例を図7に示す。第1混合膜108と第2混合膜109とで比較すると、第1混合膜108の方がキャリア移動度の高い材料を使用することで、混合割合の分布がキャリア移動度分布と同様の傾向となる。混合割合及びその分布については、第1混合膜108の膜厚及び乾燥時間を制御することで調整可能である。
第1混合膜108は、絶縁層103の周囲に成膜し開口部110の中央には成膜しないため、第1混合膜108と第2混合膜109との分布割合は例えば、図7のようになる。その結果、開口部110内の絶縁層103周辺に開口部110の中央よりもキャリア移動度の高いキャリア移動度勾配膜107を形成することができる。換言すると、キャリア移動度勾配膜107のキャリア移動度を、開口部110における絶縁層103から遠い領域(開口部110における中心部)に比べ開口部110における絶縁層103に近い領域(開口部110における外周部)で高くすることができる。なお、上述の形成方法は一例であり、形成方法についてはこの限りではない。
<第2電極>
第2電極105を陰極とする場合には、発光媒体層104への電子注入効率の高い、仕事関数の低い物質を用いる。具体的には、Mg、Al、Yb等の金属単体を用いたり、発光媒体層104と接する界面にLiや酸化Li、LiF等の化合物を1nm程度挟んで、安定性・導電性の高いAlやCuを積層して用いてもよい。または、電子注入効率と安定性を両立させるために、仕事関数が低いLi、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb等の金属1種以上と、安定なAg、Al、Cu等の金属元素との合金系を用いてもよい。具体的には、MgAg、AlLi、CuLi等の合金が使用できる。
第2電極105の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。
<封止体>
有機EL素子10に大気のガスが到達しないようにするために、通常は外部と遮断するための封止材と樹脂層とを有する封止体を設けることができる。あるいは、キャップ状の封止材と接着剤とを用いて、密閉封止した封止体の構成としてもよい。
封止材は、水分や酸素の透過性が低い基材である必要がある。また、封止材の材料の一例として、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素等のセラミックス、無アルカリガラス、アルカリガラス等のガラス、石英、耐湿性フィルム等を挙げることができる。耐湿性フィルムの例として、プラスチック基材の両面にSiOをCVD法で形成したフィルムや、透過性の小さいフィルムと吸水性のあるフィルムまたは吸水剤を塗布した重合体フィルム等があり、耐湿性フィルムの水蒸気透過率は、10−6g/m/day以下であることが好ましい。
樹脂層の材料の一例として、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂等からなる光硬化型接着性樹脂、熱硬化型接着性樹脂、2液硬化型接着性樹脂や、エチレンエチルアクリレート(EEA)ポリマー等のアクリル系樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)等のビニル系樹脂、ポリアミド、合成ゴム等の熱可塑性樹脂や、ポリエチレンやポリプロピレンの酸変性物等の熱可塑性接着性樹脂を挙げることができる。樹脂層を封止材上に形成する方法の一例として、溶剤溶液法、押出ラミネート法、溶融・ホットメルト法カレンダー法、ノズル塗布法、スクリーン印刷法、真空ラミネート法、熱ロールラミネート法等を挙げることができる。必要に応じて吸湿性や吸酸素性を有する材料を含有させることもできる。封止材上に形成する樹脂層の厚みは、封止する有機EL素子10の大きさや形状により任意に決定されるが、5μm〜500μmが望ましい。なお、ここでは封止材上に樹脂層として形成したが直接有機EL素子10側に形成することもできる。
最後に、有機EL素子10と封止体との貼り合わせを封止室で行う。封止体を、封止材と樹脂層の2層構造とし、樹脂層に熱可塑性樹脂を使用した場合は、加熱したロールで圧着のみ行うことが好ましい。熱硬化型接着樹脂を使用した場合は、加熱したロールで圧着した後、さらに硬化温度で加熱硬化を行うことが好ましい。光硬化性接着樹脂を使用した場合は、ロールで圧着した後、さらに光を照射することで硬化を行うことができる。
こうして本実施形態に係る有機EL素子10を製造することができる。本発明の課題を解決し、効果を得ることができるかぎり、他の構成要素は任意に置き換えが可能である。
有機EL素子10としては、第1電極102と第2電極105とを対向するように配置し、全面を発光させる単純な構造の他、情報表示可能なディスプレイ用途に向く駆動方式として、第1電極102と第2電極105とを互いに直交するストライプ状に形成し、交点への電流の印加によって発光させるパッシブマトリクス型の有機EL素子10とすることもできる。また、一方の電極を複数の画素に区画し、それぞれの画素にトランジスタを形成し個別に電流のオン−オフが可能としたアクティブマトリクス型の有機EL素子10とすることもできる。
また、本実施形態では光の取り出し方向が基板101側であるボトムエミッションタイプの有機EL素子10について主に説明したが、第2電極105及び封止体を透光性のものとし、基板101とは反対側から光を取り出すトップエミッション構造とすることもできる。また、第1電極101を陰極とし、第2電極105を陽極とし、有機発光媒体層の積層順を逆とすることもできる。
以下に本発明の実施例及び比較例を示す。
(実施例1)
基板101として、支持体上に設けられたスイッチング素子として機能する薄膜トランジスタ(TFT)と、その上方に形成された第1電極102(画素電極)とを備えたアクティブマトリクス基板を用いた。基板のサイズは300mm×300mmでその中に対角10.4インチ、画素数は1024×768のディスプレイが中央に配置されている。
画素用の第1電極102としてITOを用いた。ITOはスパッタリングにより形成し、膜厚は40nmとし、そのITO膜を、フォトリソグラフィ法と酸溶液によるエッチングによってパターニングを行った。
次に、基板101上に設けられた第1電極102の周端を被覆し画素発光領域となるように開口部110を絶縁層103により形成した。この絶縁層103は、ポジレジストを用いて、スピンコーター法にて基板101の全面に厚み2μmで形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングして形成した。開口部110の開口は、42μm×142μmの長方形パターンとした。
次に、第1電極102と絶縁層103の表面上に、正孔注入材料として、厚さ10nmの酸化モリブデン(MoO)を、真空蒸着法により積層させ、正孔注入層を形成した。蒸発源と基板101との距離は300mm、基板101表面の中心から蒸着源方向と基板101表面の法線方向とのなす角度が0度となる位置に設置した。
次に、正孔輸送材料であるポリビニルカルバゾール誘導体を濃度1.5%になるようにアニソールに溶解させたインキを用いて、上述した正孔注入層まで形成した基板101を被印刷基板として、凸版印刷装置200にセッティングし、絶縁層103に挟まれた開口部110の真上にそのラインパターンに合わせて正孔輸送層を凸版印刷法にて成膜し、ベークにより架橋させ膜を形成した。
印刷、ベーク乾燥後における正孔輸送材料の画素中央部の膜厚は、25nmとなった。
次に、有機発光材料であるポリフェニレンビニレン誘導体を共重合時にアミンとフルオレンの重合割合を調整して電子移動度の異なる、有機発光材料Aと有機発光材料Bの2種類の材料を準備した。このとき準備した2種類の有機発光材料の電子移動度は、有機発光材料Aで電子移動度5.8×10−4cm/Vs、有機発光材料Bで電子移動度2.2×10−4cm/Vsであった。準備した材料を各々濃度1.5%になるようにアニソールに溶解させ有機発光インキを印刷インキとして使用した。まず、上述した正孔輸送層までを形成した基板101を被印刷基板として、凸版印刷装置200にセッティングし、電子移動度の高い有機発光材料Aを用いた有機発光インキを、開口部110長辺側の辺と平行方向に対し絶縁層103上及び絶縁層103の周囲の正孔輸送層上に凸版印刷法によりストライプに印刷した。続いて、有機発光材料Bを用いた有機発光インキを、開口部110の中央にパターンを合わせてストライプに有機発光層を凸版印刷法で印刷した。
開口部110の中央へ印刷した際に、事前に印刷されていた有機発光材料Aの膜が印刷インキ溶媒で再溶解し、有機発光材料Aと有機発光材料Bが混合したインキとなる過程を得た後に、乾燥することでキャリア移動度の異なる2種類の有機発光材料が混合され、開口部110内の絶縁層103の周囲でキャリア移動度の高い有機発光材料Aの割合が多く、開口部110の中央で少なくなるような分布となった。本実施例では、膜の溶解及び乾燥に際しては、最適な混合割合と分布となるように基板乾燥雰囲気をコントロールして実施した。
印刷、ベーク乾燥後における有機発光層の画素中央部の膜厚は、55nmとなった。
次に、第2電極105(対向電極)として真空蒸着法でBa膜を、メタルマスクを用いて膜厚4nmに成膜した後、Al膜を真空蒸着法によりメタルマスクを用いて膜厚250nmに成膜した。そして、キャップ型封止ガラスと接着剤を、発光領域をカバーするように載せ、約90℃、1時間接着剤を熱硬化して密閉封止し、有機EL表示装置を作成した。
このようにして作成したアクティブマトリックス駆動型有機EL表示装置の有機EL素子発光について評価を行った。その結果、開口部面積に対する開口部内発光面積の割合である開口内発光面積比率は83.7%であった。なお、開口部内発光面積は画素中央部の輝度±30%以内の輝度を示す範囲とした。また、電流効率は7.4cd/A、1000cd/mスタート時の輝度半減時間415時間となった。
(比較例1)
基板101として、支持体上に設けられたスイッチング素子として機能する薄膜トランジスタ(TFT)と、その上方に形成された第1電極102とを備えたアクティブマトリクス基板を用いた。基板101のサイズは300mm×300mmでその中に対角10.4インチ、画素数は1024×768のディスプレイが中央に配置されている。
画素用の第1電極102としてITOを用いた。ITOはスパッタリングにより形成し、膜厚は40nmとし、そのITO膜を、フォトリソグラフィ法と酸溶液によるエッチングによってパターニングを行った。
次に、基板101上に設けられた第1電極102の周端を被覆し画素発光領域となるように開口部110を絶縁層103により形成した。この絶縁層103は、ポジレジストを用いて、スピンコーター法にて基板101全面に厚み2μmで形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングして形成した。開口部110の開口は42μm×142μmの長方形パターンとした。
次に、第1電極102と絶縁層103の表面上に、正孔注入材料として、厚さ10nmの酸化モリブデン(MoO)を、真空蒸着法により積層させ、正孔注入層を形成した。蒸発源と基板101との距離は300mm、基板101表面中心から蒸着源方向と基板101表面の法線方向とのなす角度が0度となる位置に設置した。
次に、正孔輸送材料であるポリビニルカルバゾール誘導体を濃度1.5%になるようにアニソールに溶解させたインキを用いて、上述した正孔注入層まで形成した基板101を被印刷基板として、凸版印刷装置にセッティングし、絶縁層103に挟まれた開口部110の真上にそのラインパターンに合わせて正孔輸送層を凸版印刷法にて成膜し、ベークにより架橋させ膜を形成した。
印刷、ベーク乾燥後における正孔輸送層の画素中央部の膜厚は25nmとなった。
次に、有機発光材料であるポリフェニレンビニレン誘導体を濃度1.5%になるようにアニソールに溶解させた有機発光インキを用い、上述した正孔輸送層までを形成した基板101を被印刷基板として、凸版印刷装置にセッティングし、開口部110の真上にそのラインパターンに合わせて有機発光層を凸版印刷法で印刷した。
印刷、ベーク乾燥後における有機発光層の画素中央部の膜厚は55nmとなった。
次に、第2電極105(対向電極)として真空蒸着法でBa膜を、メタルマスクを用いて膜厚4nmに成膜した後、Al膜を真空蒸着法によりメタルマスクを用いて膜厚250nmに成膜した。そして、キャップ型封止ガラスと接着剤とを発光領域をカバーするように載せ、約90℃、1時間接着剤を熱硬化して密閉封止して、有機EL表示装置を作成した。
このようにして作成したアクティブマトリックス駆動型有機EL表示装置の有機EL素子発光について評価を行った。その結果、開口部面積に対する開口内発光面積は64.4%であった。なお、開口内発光面積は画素中央部の輝度±30%以内の輝度を示す範囲とした。また、電流効率は6.9cd/A、1000cd/mスタート時の輝度半減時間245時間となった。
上述の実施例1と比較例1の評価結果を表1に示す。
Figure 2014192250
10:有機EL素子
101:基板
102:第1電極(例として陽極)
103:絶縁層
104:発光媒体層
105:第2電極(例として陰極)
106:ウェットコート層
107:キャリア移動度勾配膜
108:第1混合膜
109:第2混合膜
110:開口部(画素領域)
200:凸版印刷装置
201:被印刷基板
202:インキタンク
203:インキチャンバ
204:アニロックスロール
204a:塗布層
205:印刷版
206:版胴
207:移動定盤

Claims (8)

  1. 基板と、前記基板上に形成された第1電極と、前記第1電極の端部を被覆する絶縁層と、前記第1電極上であって前記絶縁膜で囲まれた画素領域に形成された、有機発光層を含む発光媒体層と、前記発光媒体層を挟んで前記第1電極と対向する第2電極と、を備えた有機EL素子において、
    前記発光媒体層の少なくとも1層をウェットコーティング法で成膜したウェットコート層とし、そのウェットコート層の少なくとも1層をキャリア移動度勾配膜とし、
    前記キャリア移動度勾配膜の正孔移動度と電子移動度の少なくともいずれか一方を、前記画素領域における前記絶縁層から遠い領域に比べて前記画素領域における前記絶縁層に近い領域で高くしたことを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記キャリア移動度勾配膜の膜厚を、前記画素領域における前記絶縁膜から遠い領域に比べて前記画素領域における前記絶縁層に近い領域で厚くしたことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記ウェットコート層の少なくとも1層を前記有機発光層としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機EL素子。
  4. 前記キャリア移動度勾配膜を構成する層の少なくとも1層を前記有機発光層としたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の有機EL素子。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機EL素子を備えることを特徴とする有機EL表示装置。
  6. 基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極の端部を絶縁層で被覆する工程と、前記第1電極上であって前記絶縁膜で囲まれた画素領域に発光媒体層を形成する工程と、前記発光媒体層を挟んで前記第1電極と対向する第2電極を形成する工程と、を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法であって、
    前記発光媒体層を形成する工程では、前記発光媒体層を構成するキャリア移動度勾配膜を、前記絶縁層上及び前記画素領域の前記絶縁層の周囲に、正孔移動度または電子移動度の高い第1有機膜をウェットコーティング法で塗布して成膜する第1の塗布工程と、前記第1の塗布工程で成膜した前記第1有機膜を架橋させずに、前記画素領域の全域に前記第1有機膜よりも前記正孔移動度または前記電子移動度の低い第2有機膜をウェットコーティング法で塗布して成膜する第2の塗布工程と、を実施して形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  7. 前記ウェットコーティング法を印刷法としたことを特徴とする請求項6に記載の有機EL素子の製造方法。
  8. 前記ウェットコーティング法を凸版印刷法としたことを特徴とする請求項6に記載の有機EL素子の製造方法。
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