JP2014191117A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物から選択される少なくとも1種と、e値が1.5以上である電子吸引性ビニルモノマー及びその重合物から選択される少なくとも1種と、を含む組成物の硬化膜で構成され最表面層(例えば保護層)を有する電子写真感光体である。但し、一般式(I)及び(II)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。L及びL’は、特定の連結基を示す。mは1以上8以下の整数を示す。m’は、1以上6以下の整数を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。
【選択図】なし
Description
特許文献1には、有機−無機ハイブリッド材料によるものが提案されている。
特許文献2には、連鎖重合性材料によるものが提案されている。
特許文献3には、アクリル系材料によるものが提案されている。
特許文献4、5には、放射線架橋剤と電荷輸送物質からなり、放射線架橋されたものが提案されている。
特許文献6には、三官能以上のモノマー及び電化輸送性骨格を有する単官能のモノマーを共重合させた共重合体によるものが提案されている。
導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、を有し、
最表面層が、下記一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物から選択される少なくとも1種と、e値が1.5以上である電子吸引性ビニルモノマー及びその重合物から選択される少なくとも1種と、を含む組成物の硬化膜で構成される電子写真感光体。
前記一般式(I)で示される反応性化合物が、下記一般式(I−a)、下記一般式(I−b)、下記一般式(I−c)、及び下記一般式(I−d)で示される反応性化合物から選択される少なくとも1種の反応性化合物である請求項1に記載の電子写真感光体。
前記一般式(IA−c)で示される基が、下記一般式(IA−c1)で示される基である請求項2に記載の電子写真感光体。
前記一般式(II)で示される反応性化合物が、下記一般式(II−a)で示される反応性化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記一般式(II)で示される反応性化合物のFで示される電荷輸送性骨格に連結する基が、下記一般式(IIA−a1)又は(IIA−a2)で示される基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記一般式(II)で示される反応性化合物のFで示される電荷輸送性骨格に連結する基が、下記一般式(IIA−a3)又は(IIA−a4)で示される基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、を有する。
そして、最表面層は、一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物(以下、「特定の反応性基含有電荷輸送材料」と称することがある)から選択される少なくとも1種と、e値が1.5以上である電子吸引性ビニルモノマー及びその重合物から選択される少なくとも1種と、を含む組成物の硬化膜で構成される。
この理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
これは、特定の反応性基含有電荷輸送材料自身が電荷輸送性能に優れる上、−OH、−NH−などの電荷輸送を妨げる極性基が少なく、また、電荷輸送に有効なπ電子を有するスチリル基で、重合により当該材料が連結されることから、残留歪が抑制され、電荷を捕獲する構造的なトラップの形成が抑制されると考えられるためである。
また、特定の反応性基含有電荷輸送材料は、アクリル系材料よりも疎水的で水分がつきにくい性質があることから、長期にわたって電気特性が維持されると考えられる。
ゴーストが発生するのは、電子写真感光体の同じ位置に露光及び現像が繰り返され画像が形成されることにより、電荷が蓄積したまま、解放されなくなることが原因と考えられている。このため、最表面層中に電荷輸送性成分の疎密の海島構造が形成されると、この電荷輸送性成分の疎な部分が電荷輸送の障壁となり、電荷が蓄積し易く、解放され難くなり、コーストが発生し易くなると考えられる。
そして、この交互重合が生じると、特定の反応性基含有電荷輸送材料が密に集まった状態での重合反応が進行し難くなり、最表面層中で、電荷輸送性成分の疎密が生じ難く、海島構造の形成が抑制されると考えらえる。これに加え、交互重合により、電荷輸送に寄与する性質を持つ電子吸引性ビニルモノマーに由来する構造が最表面層中に分散された状態となる。その結果、最表面層中で、電荷輸送の障壁が抑制されると共に、電荷輸送性が高まって、電荷が蓄積し難く、解放され易くなると考えられる。
図2に示す電子写真感光体7Bにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に、電荷輸送層3、電荷発生層2、及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Bにおいては、電荷輸送層3及び電荷発生層2により感光層が構成される。
なお、図1、図2及び図3に示す電子写真感光体において、下引層1は設けてもよいし、設けなくてもよい。
導電性基体としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、薄膜(例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、及びアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)等の膜)を設けた樹脂フィルム等、導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、導電性付与剤を塗布又は含浸させた樹脂フィルム等が挙げられる。基体の形状は円筒状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
なお、導電性基体は、例えば体積抵抗率が107Ω・cm未満の導電性を有するものがよい。
下引層は、導電性基体表面における光反射の防止、導電性基体から有機感光層への不要なキャリアの流入の防止などの目的で、必要に応じて設けられる。
下引層に含まれる結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、不飽和ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、結着樹脂としては、上層(電荷発生層)の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
また、導電性粒子は、疎水化処理剤(例えばカップリング剤)等により表面処理を施して、抵抗調整して用いてもよい。
導電性粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが望ましく、より望ましくは40質量%以上80質量%以下である。
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含んで構成される。なお、電荷発生層は、例えば、電荷発生材料の蒸着膜で構成されていてもよい。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、例えば10:1乃至1:10の範囲が望ましい。
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送性材料と、必要に応じて結着樹脂と、を含んで構成される。
これらの結着樹脂の中でも、ポリカーボネートがよく、特に、Feders法で算出した溶解度パラメーターが11.40以上11.75以下であるポリカーボネート共重合体であることがよい。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で、例えば10:1乃至1:5が望ましい。
保護層は、電子写真感光体における最表面層であり、特定の反応性基含有電荷輸送材料と電子吸引性モノマー又はその重合体とを含む組成物の硬化膜で構成されている。
つまり、保護層は、特定の反応性基含有電荷輸送材料と電子吸引性モノマー又はその重合体との重合体又は架橋体を含んで構成されている。
特定の反応性基含有電荷輸送材料としては、一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物から選択される少なくとも1種の反応性化合物である。
Lは、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む2価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。
mは1以上8以下の整数を示す。
L’は、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基、並びに、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−の基からなる群より選択される2種以上を含む(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。なお、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基とは、アルカン又はアルケンから水素原子を3つ又は4つ取り除いた基を意味する。以下、同様である。
m’は、1以上6以下の整数を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。
アルキレン基中に−C(=O)−O−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−C(=O)−N(R)−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−C(=O)−S−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−O−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−N(R)−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−S−が介在した2価の連結基、
が挙げられる。
なお、Lで示される連結基は、アルキレン基中に、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−、−C(=O)−S−、−O−、又は−S−の基が2つ介在してもよい。
*−(CH2)p−C(=O)−O−(CH2)q−、
*−(CH2)p−O−C(=O)−(CH2)r−C(=O)−O−(CH2)q−、
*−(CH2)p−C(=O)−N(R)−(CH2)q−、
*−(CH2)p−C(=O)−S−(CH2)q−、
*−(CH2)p−O−(CH2)q−、
*−(CH2)p−N(R)−(CH2)q−、
*−(CH2)p−S−(CH2)q−、
*−(CH2)p−O−(CH2)r−O−(CH2)q−
等が挙げられる。
ここで、Lで示される連結基中、pは、0、又は1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。qは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。rは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Lで示される連結基中、「*」は、Fと連結する部位を示している。
分枝状に連結したアルキレン基中に−C(=O)−O−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−C(=O)−N(R)−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−C(=O)−S−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−O−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−N(R)−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−S−が介在した(n+1)価の連結基、
が挙げられる。
なお、L’で示される連結は、分枝状に連結したアルキレン基中に、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−、−C(=O)−S−、−O−、又は−S−の基が2つ介在してもよい。
*−(CH2)p−CH[C(=O)−O−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH=C[C(=O)−O−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH[C(=O)−N(R)−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH[C(=O)−S−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH[(CH2)r−O−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH=C[(CH2)r−O−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH[(CH2)r−N(R)−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH[(CH2)r−S−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−O−C[(CH2)r−O−(CH2)q−]3
*−(CH2)p−C(=O)−O−C[(CH2)r−O−(CH2)q−]3
等が挙げられる。
ここで、L’で示される連結基中、pは、0、又は1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。qは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。rは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。sは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、L’で示される連結基中、「*」は、Fと連結する部位を示している。
*−(CH2)p−CH[C(=O)−O−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH=C[C(=O)−O−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH[(CH2)r−O−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH=C[(CH2)r−O−(CH2)q−]2、
がよい。
具体的には、一般式(II)で示される反応性化合物のFで示される電荷輸送性骨格に連結する基(一般式(IIA−a)で示される基が該当)は、下記一般式(IIA−a1)、下記一般式(IIA−a2)、下記一般式(IIA−a3)、又は下記一般式(IIA−a4)で示される基であることがよい。
ここで、Xk1及びXk2で示される2価の連結基は、例えば、−(CH2)p−(但しpは1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す))が挙げられる。当該2価の連結基としては、アルキルオキシキ基も挙げられる。
ここで、Xk3及びXk4で示される2価の連結基は、例えば、−(CH2)p−(但しpは1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す))が挙げられる。当該2価の連結基としては、アルキルオキシキ基も挙げられる。
「−N(R)−」のRで示されるアリール基としては、炭素数6以上15以下(望ましくは6以上12以下)のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリジル基、ナフチル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7以上15以下(望ましくは7以上14以下)のアラルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ビフェニルメチレン基等が挙げられる。
m’は、1以上6以下の整数を示すことが望ましい。
nは、2以上3以下の整数を示すことが望ましい。
一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物としては、Fとしてトリアリールアミン系化合物に由来する電荷輸送性骨格(電荷輸送性を有する構造)を有する反応性化合物がよい。
具体的には、一般式(I)で示される反応性化合物としては、一般式(I−a)、一般式(I−b)、一般式(I−c)、及び一般式(I−d)で示される反応性化合物から選択される少なくとも1種の化合物が好適である。
一方、一般式(II)で示される反応性化合物としては、一般式(II−a)で示される反応性化合物が好適である。
一般式(I−a)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性基含有電荷輸送材料として一般式(I−a)で示される反応性化合物を適用すると、環境変化に起因する電気特性の劣化が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。
まず、従来用いられていた、(メタ)アクリル基を有する反応性化合物は、重合の際に電荷輸送性能を発現する骨格の部位に対して、(メタ)アクリル基の親水性が強いことから、ある種の層分離状態を形成してしまい、ホッピング伝導の妨げとなっていることが考えられる。このため、(メタ)アクリル基を有する反応性化合物の重合体又は架橋体を含む電荷輸送性膜は、電荷輸送の効率が落ち、更に、部分的な水分の吸着などにより環境安定性が低下するものと考えられる。
これ対して、一般式(I−a)で示される反応性化合物は、親水性の強くないビニル系の連鎖重合性基を有しており、更に、電荷輸送性能を発現する骨格を一分子内に複数有し、その骨格同士を芳香環や共役二重結合などの共役結合を有しない、柔軟性のある連結基で連結している。このような構造を有することから、効率的な電荷輸送性能と高強度化が図れると共に、重合の際の層分離状態の形成が抑制されるものと考えられる。その結果として、一般式(I−a)で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層(最表面層)は、電荷輸送性能と機械的強度との両方に優れ、更に、電荷輸送性能の環境依存(温湿度依存)を低減しうるものと考えられる。
以上から、一般式(I−a)で示される反応性化合物を適用すると、環境変化に起因する電気特性の劣化が抑制され易くなると考えられる。
一般式(I−a)中、Ara1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、それぞれ、同一でもあってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、置換アリール基における置換基としては、「Da」以外のものとして、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子等が挙げられる。
なお、下記構造式(1)〜(7)は、Ara1〜Ara4の各々に連結され得る「−(Da)ac1」〜「−(Da)ac1」を総括的に示した「−(D)C」と共に示す。
また、置換アリーレン基における置換基としては、Ara1〜Ara4の説明で、置換アリール基における「Da」以外の置換基として挙げられているものと同様である。
具体的には、Xaで示す2価の連結基として、炭素数1以上10以下のアルキレン基が挙げられ、その他、炭素数1以上10以下のアルキレン基と−O−、−S−、−O−C(=O)−、及び−C(=O)−O−から選ばれる基とを組み合わせてなる2価の基も挙げられる。
なお、Xaで示される2価の連結基がアルキレン基である場合、このアルキレン基はアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を有していてもよく、この置換基の2つが互いに結合して、構造式(16)〜(17)中のWの具体例として記載した構造式(26)で示される2価の連結基のような構造となってもよい。
一般式(I−b)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性基含有電荷輸送材料として一般式(I−b)で示される反応性化合物を適用すると、保護層(最表面層)の摩耗が抑制される共に、画像の濃度ムラの発生が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。
まず、かさ高い電荷輸送骨格と重合部位(スチリル基)が構造的に近く、剛直(リジッド)であると重合部位同士が動きずらくなり、硬化反応による残留歪が残りやすく、電荷輸送骨格が歪むことによりキャリア輸送をになうHOMO(最高被占軌道)のレベルの変化が起こり、結果としてエネルギー分布が広がった状態(エネルギー的ディスオーダー:σが大きい)となりやすいと考えられる。
これに対し、メチレン基、エーテル基を介すると、分子構造に柔軟性が得られ、σが小さいものが得られやすく、さらに、メチレン基、エーテル基は、エステル基、アミド基などに比較し、双極子モーメント(ダイポールモーメント)が小さく、この効果もσを小さくすることに寄与し、電気特性が向上すると考えられる。また、分子構造に柔軟性が加わることで、反応部位(反応サイト)の動きの自由度が増し、反応率も向上することで強度の高い膜となると考えられる
これらのことから、電荷輸送骨格と重合部位との間に柔軟性に富む連結鎖を介在させる構造がよい。
このため、一般式(I−b)で示される反応性化合物は、硬化反応により分子自身の分子量が増大し、重心は移動し難くなると共に、スチリル基の自由度が高いと考えられる。の結果、一般式(I−b)で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層(最表面層)は、電気特性に優れ、且つ、高い強度を有すると考えられる。
以上から、一般式(I−b)で示される反応性化合物を適用すると、保護層(最表面層)の摩耗が抑制される共に、画像の濃度ムラの発生が抑制され易くなると考えられる。
一般式(I−b)中、Arb1〜Arb4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Arb5は、bkが0のとき、置換若しくは未置換のアリール基を示し、この置換若しくは未置換のアリール基としては、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Arb5は、bkが1のとき、置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、この置換若しくは未置換のアリーレン基としては、一般式(I−a)中のAra5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基と同様である。
一般式(IA−b)中、Lbで示される2価の連結基としては、例えば、
*−(CH2)bp−O−、
*−(CH2)bp−O−(CH2)bq−O−
等が挙げられる。
ここで、Lbで示される連結基中、bpは、3以上6以下(望ましくは3以上5以下)の整数を示す。bqは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Lbで示される連結基中、「*」は、Arb1〜Arb5で示される基と連結する部位を示している。
一般式(I−c)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性基含有電荷輸送材料として一般式(I−c)で示される反応性化合物を適用すると、繰り返し使用しても表面にキズが発生しにくく、かつ画質劣化が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。
まず、特定の反応性基含有電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む最表面層を形成する際には、その重合反応又は架橋反応に伴う膜収縮や、電荷輸送構造と連鎖重合性基周辺の構造の凝集が起きると考えられる。よって、繰り返し使用で電子写真感光体表面が機械的負荷を受けると、膜自体が摩耗したり、分子中の化学構造が切断されたりして、膜収縮や凝集状態が変化し、電子写真感光体としての電気特性が変化し、画質劣化を引き起こしてしまうと考えられる。
一方、一般式(I−c)で示される反応性化合物は、連鎖重合性基としてスチレン骨格を有していることから、電荷輸送材料の主骨格であるアリール基と相溶性が良く、膜収縮や重合反応又は架橋反応による電荷輸送構造、連鎖重合性基周辺構造の凝集が抑制されると考えられる。その結果、その結果、一般式(I−c)で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層(最表面層)を持つ電子写真感光体は、繰り返し使用による画質劣化が抑制されると考えられる。
加えて、一般式(I−c)で示される反応性化合物は、電荷輸送性骨格とスチレン骨格を、−C(=O)−、−N(R)−、−S−など特定の基を含む連結基を介して連結することにより、特定の基と電荷輸送性骨格中の窒素原子との間や、特定の基同士の相互作用等が生じると考えられる、その結果、一般式(I−c)で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層(最表面層)は、強度がさらに向上すると考えられる。
以上から、一般式(I−c)で示される反応性化合物を適用すると、繰り返し使用しても表面にキズが発生しにくく、かつ画質劣化が抑制され易くなると考えられる。
なお、−C(=O)−、−N(R)−、−S−など特定の基は、その極性や親水性に起因し、電荷輸送性や高湿条件下における画質劣化を引き起こす要因となるが、一般式(I−c)で示される反応性化合物は、連鎖重合性基として(メタ)アクリルなどよりも疎水性の高いスチレン骨格を有してるため、電荷輸送性悪化や前サイクルの履歴による残像現象(ゴースト)等の画質劣化が生じ難いと考えられる。
一般式(I−c)中、Arc1〜Arc4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Arc5は、ckが0のとき、置換若しくは未置換のアリール基を示し、この置換若しくは未置換のアリール基としては、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Arc5は、ckが1のとき、置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、この置換若しくは未置換のアリーレン基としては、一般式(I−a)中のAra5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基と同様である。
Dcの総数は、より強度の高い保護層(最表面層)を得る観点から、望ましくは2以上であり、更に望ましくは4以上である。一般に、一分子中の連鎖重合性基の数が多すぎると、重合(架橋)反応が進むにつれ、分子が動きにくくなり連鎖重合反応性が低下し、未反応の連鎖重合性基の割合が増えてしまうことから、Dcの総数は、望ましくは7以下、さらに望ましくは6以下である。
一般式(IA−c)中、Lcで示される2価の連結基としては、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び、−C(=O)−と−O−、−N(R)−又は−S−とを組み合わせた基(以下、「特定連結基」と称する)を含む2価の連結基である。
ここで、特定連結基としては、保護層(最表面層)の強度と極性(親疎水性)のバランスの観点から、例えば、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−、−C(=O)−S−、−O−C(=O)−O−、−O−C(=O)−N(R)−がよく、望ましくは−N(R)−、−S−、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(H)−、−C(=O)−O−、より望ましくは−C(=O)−O−である。
そして、Lcで示される2価の連結基としては、例えば、特定連結基と、飽和炭化水素(直鎖状、分岐状、環状いずれも含む)または芳香族炭化水素の残基と、酸素原子と、を組み合わせて形成される2価の連結基が挙げられ、これらの中でも、特定連結基と、直鎖状の飽和炭化水素の残基と、酸素原子と、を組み合わせて形成される2価の連結基がよい。
Lcで示される2価の連結基に含まれる炭素原子の総数としては、分子中のスチレン骨格の密度と連鎖重合反応性の観点から、例えば、1以上20以下がよく、望ましくは2以上10以下である。
*−(CH2)cp−C(=O)−O−(CH2)cq−、
*−(CH2)cp−O−C(=O)−(CH2)cr−C(=O)−O−(CH2)cq−、
*−(CH2)cp−C(=O)−N(R)−(CH2)cq−、
*−(CH2)cp−C(=O)−S−(CH2)cq−、
*−(CH2)cp−N(R)−(CH2)cq−、
*−(CH2)cp−S−(CH2)cq−、
等が挙げられる。
ここで、Lcで示される連結基中、cpは、0、又は1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。cqは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。crは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Lcで示される連結基中、「*」は、Arc1〜Arc5で示される基と連結する部位を示している。
一般式(I−d)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性基含有電荷輸送材料として一般式(I−d)で示される反応性化合物を適用すると、保護層(最表面層)の摩耗が抑制される共に、画像の濃度ムラの発生が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、一般式(I−b)で示される反応性化合物と同様の理由によるものと考えられる。
特に、一般式(I−d)で示される反応性化合物は、一般式(I−b)に比べ、Ddの総数が3以上8以下と多いため、形成される架橋体がより高い架橋構造(架橋ネットワーク)が形成され易く、より保護層(最表面層)の摩耗が抑制され易くなると考えられる。
一般式(I−d)中、Ard1〜Ard4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Ard5は、dkが0のとき、置換若しくは未置換のアリール基を示し、この置換若しくは未置換のアリール基としては、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Ard5は、dkが1のとき、置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、この置換若しくは未置換のアリーレン基としては、一般式(I−a)中のAra5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基と同様である。
Ddの総数は、より強度の高い保護層(最表面層)を得る観点から、望ましくは4以上である。
一般式(IA−d)中、Ldで示される2価の連結基としては、例えば、
*−(CH2)dp−O−、
*−(CH2)dp−O−(CH2)dq−O−
等が挙げられる。
ここで、Ldで示される連結基中、dpは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。dqは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Ldで示される連結基中、「*」は、Ard1〜Ard5で示される基と連結する部位を示している。
一般式(II−a)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性基含有電荷輸送材料として、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物を適用すると、長期に亘り繰り返し使用しても電気特性の劣化が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。
まず、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物は、電荷輸送性骨格から、1つの連結基を介して2つ又は3つの連鎖重合性の反応性基(スチレン基)を有する化合物である。
このため、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物は、高い硬化度、架橋部位数を保ちつつも、この連結基の存在により、重合又は架橋させた際に電荷輸送性骨格に歪みを発生させ難く、高い硬化度と優れた電荷輸送性能との両立が実現され易くなると考えられる。
また、従来用いられていた、(メタ)アクリル基を有する電荷輸送性化合物は、上記のようにひずみを生じやすい上に、反応性部位は親水性が高く、電荷輸送性部位は疎水性が高いため、微視的な相分離(ミクロ相分離)しやすいのに対し、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物は、スチレン基を反応性基として有しており、更に、硬化(架橋)させた際に電荷輸送性骨格に歪みを生じさせ難い連結基を有している構造であること、反応性部位、電荷輸送性部位ともに疎水性のため相分離が起きに難くなるため、効率的な電荷輸送性能と高強度化が図れると考えられる。その結果として、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層(最表面層)は、機械的強度に優れると共に、電荷輸送性能(電気特性)がより優れるものと考えられる。
以上から、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物を適用すると、長期に亘り繰り返し使用しても電気特性の劣化が抑制され易くなると考えられる。
一般式(II−a)中、Ark1〜Ark4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Ark5は、kkが0のとき、置換若しくは未置換のアリール基を示し、この置換若しくは未置換のアリール基としては、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Ark5は、kkが1のとき、置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、この置換若しくは未置換のアリーレン基としては、一般式(I−a)中のAra5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基と同様である。
Dkの総数は、より強度の高い保護層(最表面層)を得る観点から、望ましくは2以上であり、更に望ましくは4以上である。一般に、一分子中の連鎖重合性基の数が多すぎると、重合(架橋)反応が進むにつれ、分子が動きにくくなり連鎖重合反応性が低下し、未反応の連鎖重合性基の割合が増えてしまうことから、Dcの総数は、望ましくは7以下、さらに望ましくは6以下である。
一般式(IIA−a)中、Lkで示される(kn+1)価の連結基としては、例えば、一般式(II)中、L’で示される(n+1)価の連結基と同様である。
具体的には、一般式(I)及び(II)の電荷輸送性骨格F(例えば一般式(I−a)中のDaや一般式(II−a)のDkを除く骨格に相当する部位)の具体例、電荷輸送性骨格Fに連結する官能基(例えば一般式(I−a)中のDaや一般式(II−a)のDkに相当する部位)の具体例と共に、一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物の具体例を示すが、これらに限定されるわけではない。
なお、一般式(I)及び(II)の電荷輸送性骨格Fの具体例の「*」部分は、電荷輸送性骨格Fに連結する官能基の「*」部分が連結していることを意味する。
つまり、例えば、例示化合物(I−b)−1は、電荷輸送性骨格Fの具体例:(M1)−1、官能基の具体例:(R2)−1と示されているが、その具体的な構造は以下の構造を示す。
具体的には一般式(I−a)で示される化合物の具体例を示す。
即ち、特定の反応性基含有電荷輸送材料は、前駆体であるカルボン酸、又は、アルコールと、対応するクロロメチルスチレンなどでのエーテル化などにより合成される。
この際、溶媒としては、種々のものが挙げられるが、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール系を用いるか、これに水を混合して用いることがよい。
さらに、アリールアミン化合物の溶解性が低い場合には、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、ジメチルスルホキシド、エーテル、テトラヒドロフランなどを加えてもよい。
溶媒の量は、特に制限はないが、例えば、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して1質量部以上100質量部以下、望ましくは2質量部以上50質量部以下で用いることがよい。
反応温度は、例えば、室温(例えば25℃)以上溶媒の沸点以下の範囲で設定され、反応速度の関係上、50度以上が望ましい。
触媒の量については、特に制限はないが、例えば、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して0.001質量部以上1質量部以下、望ましくは0.01質量部以上0.5質量部以下で用いることがよい。
加水分解反応後、塩基性触媒で加水分解を行った場合には、生成した塩を酸(例えば塩酸等)で中和し、遊離させる。さらに、十分に水洗した後、乾燥して使用するか、必要によっては、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトンなど、適当な溶媒により、再結晶精製を行った後、乾燥して使用してもよい。
溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、クロロベンゼン、1ークロロナフタレンなどの芳香族系溶媒などが有効であり、アリールアミン化合物カルボン酸の1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、望ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いられることがよい。
反応温度は特に制限はない。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶媒で抽出、水洗し、さらに、必要により活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
アリールアミン化合物アルコールのアルコールに対し、ハロゲン化メチルスチレンを1当量以上、望ましくは、1.2当量以上、より望ましくは1.5当量以上加えることがよく、塩基はハロゲン化メチルスチレンに対し0.8当量以上2.0当量以下、望ましくは、1.0当量以上1.5当量以下で用いることがよい。
溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、クロロベンゼン、1ークロロナフタレンなどの芳香族系溶媒などが有効であり、アリールアミン化合物アルコールの1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、望ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いることがよい。
反応温度は特に制限はない。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶媒で抽出、水洗し、さらに、必要により活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
・ホルミル化:電子供与性基を持つ芳香族化合物・複素環化合物・アルケンにホルミル基を導入するのに適した反応。DMFとオキシ三塩化リンを用いるのが一般的であり、反応温度は室温(例えば25℃)から100℃程度で行われることが多い。
・エステル化:有機酸とアルコールまたはフェノールのようなヒドロキシル基を含む化合物との縮合反応。脱水剤を共存させたり、水を系外へ除去することで平衡をエステル側へ偏らせる手法を用いることが好ましい。
・エーテル化:アルコキシドと有機ハロゲン化合物を縮合させるウィリアムソン合成法が一般的である。
・水素添加:種々の触媒を用いて不飽和結合に水素を反応させる方法。
電子吸引性ビニルモノマーは、e値が1.5以上である電子吸引性ビニルモノマーである。電子吸引性ビニルモノマーのe値は、ゴーストの発生を抑制する観点から、1.5以上4以下が望ましく、より望ましくは2.0以上3.7以下である。
なお、e値とは、Qe概念のe値であり、モノマーのビニル基の荷電状態を表す指標であり、文献「POLYMER HANDBOOK」(J.BRANDRUPら著)等に詳細に記載されている。そして、このe値は、「POLYMER HANDBOOK」(J.BRANDRUPら著)に記載された文献値が採用される。
これらの中でも、ゴーストの発生を抑制する観点から、無水マレイン酸、ジエチルフマレート、オクチルアクリレート、N−フェニルマレイミドがよい。
保護層(最表面層)を構成する膜は、不飽和結合を有する化合物を併用してもよい。
不飽和結合を有する化合物としては、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよく、また、電荷輸送性骨格を有していてもよい。
1官能のモノマーは、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、スチレン、などが挙げられる。
3官能のモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート、トリビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
4官能のモノマーは、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
5官能以上のモノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
電荷輸送成分を有さない不飽和結合を有する化合物の含有量は、保護層(最表面層)を形成する際に用いられる組成物の全固形分に対して、例えば、望ましくは60質量%以下がよく、望ましくは55質量%以下、より望ましくは50質量%以下である。
・連鎖重合性官能基(スチリル基を除く連鎖重合性官能基)及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物
連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物における連鎖重合性官能基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性官能基としては、ビニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基であることが望ましい。
また、連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物における電荷輸送性骨格としては電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が望ましい。
保護層(最表面層)を構成する膜は、非反応性の電荷輸送材料を併用してもよい。非反応性の電荷輸送材料は電荷輸送を担っていない反応性基を有さないため、非反応性の電荷輸送材料を保護層(最表面層)に用いた場合には電荷輸送成分の濃度が高まり、電気特性を更に改善するのに有効である。また、非反応性の電荷輸送材料を添加して架橋密度を減じ、強度を調整してもよい。
中でも、電荷移動度、相溶性など点から、トリフェニルアミン骨格を有するものが望ましい。
保護層(最表面層)を構成する膜は、更に成膜性、可とう性、潤滑性、接着性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、特にフッ素含有のカップリング剤と混合して用いてもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、及び市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。また、ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物を用いてもよい。
3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−8239(以上、信越化学工業社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物としては、特開2007−11005号公報に記載の化合物などが挙げられる。
劣化防止剤の添加量としては20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、サノールLS2626、サノールLS765、サノールLS770、サノールLS744(以上、三共ライフテック社製)、チヌビン144、チヌビン622LD(以上、チバ・ジャパン社製)、マークLA57、マークLA67、マークLA62、マークLA68、マークLA63(以上、アデカ社製)が挙げられ、チオエーテル系として、スミライザーTPS、スミライザーTP−D(以上、住友化学社製)が挙げられ、ホスファイト系として、マーク2112、マークPEP−8、マークPEP−24G、マークPEP−36、マーク329K、マークHP−10(以上、アデカ社製)等が挙げられる。
この粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、望ましくは平均粒径1nm以上100nm以下、より望ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、アルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれる。該粒子としては一般に市販されているものを使用してもよい。
これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は望ましくは1nm以上500nm以下、より望ましくは10nm以上100nm以下である。
表面層中のシリコーン粒子の含有量は、保護層の全固形分全量を基準として、望ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より望ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着での混合でもよい。導電性粒子の平均粒径は0.3μm以下、特に0.1μm以下が望ましい。
保護層を形成するために用いる組成物は、各成分を溶媒中に溶解又は分散してなる保護層形成用塗布液として調製されることが望ましい。
この保護層形成用塗布液は、無溶媒であってもよいし、必要に応じて、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;、酢酸エチル、酢酸nプロピル、酢酸nブチル、乳酸エチル等のエステル類等の単独溶媒又は混合溶媒を用いて調製される。
保護層形成用塗布液は、被塗布面(電荷輸送層)の上に、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、インクジェット塗布法等の通常の方法により塗布される。
その後、得られた塗膜に対して、光、電子線又は熱を付与してラジカル重合を生起させて、該塗膜を硬化させる。
電子線を用いる場合、加速電圧は300KV以下が望ましく、最適には150KV以下である。また、線量は望ましくは1Mrad以上100Mrad以下の範囲、より望ましくは3Mrad以上50Mrad以下の範囲である。加速電圧が300KV以下であることにより感光体特性に対する電子線照射のダメージが抑制される。また、線量が1Mrad以上であることにより架橋が十分に行なわれ、100Mrad以下であることにより感光体の劣化が抑制される。
光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプなどが用いられ、バンドパスフィルター等のフィルターを用いて好適な波長を選択してもよい。照射時間、光強度は自由に選択されるが、例えば照度(365nm)は300mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が望ましく、例えば600mW/cm2のUV光を照射する場合、5秒以上360秒以下照射すればよい。
より具体的には、ベンジルケタール系として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンが挙げられる。
アミノアルキルフェノン系としては、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モリホニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。
ホスフィノキサイド系としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンキサイドなどが挙げられる。
チタノセン系としては、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
オキシム系としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)などが挙げられる。
より具体的には、ベンゾフェノン系として、2−ベンゾイル安息香酸、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
チオキサントン系としては、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
ベンジル系としては、ベンジル、(±)−カンファーキノン、p−アニシルなどが挙げられる。
熱重合開始剤としては、熱ラジカル発生剤又はその誘導体が挙げられ、具体的には、例えば、V−30、V−40、V−59、V601、V65、V−70、VF−096、VE−073、Vam−110、Vam−111(和光純薬工業製)、OTazo−15、OTazo−30、AIBN、AMBN、ADVN、ACVA(大塚化学)等のアゾ系開始剤;パーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーヘキサMC、パーブチルH、パークミルH、パークミルP、パーメンタH、パーオクタH、パーブチルC、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイルIB、パーロイル355、パーロイルL、パーロイルSA、ナイパーBW、ナイパーBMT−K40/M、パーロイルIPP、パーロイルNPP、パーロイルTCP、パーロイルOPP、パーロイルSBP、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルND、パーブチルNHP、パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ250、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーブチルA、パーヘキシルZ、パーブチルZT、パーブチルZ(日油化学社製)、カヤケタールAM−C55、トリゴノックス36−C75、ラウロックス、パーカドックスL−W75、パーカドックスCH−50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH−70、ペルカドックスBC−FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、カヤヘキサYD−E85、パーカドックス12−XL25、パーカドックス12−EB20、トリゴノックス22−N70、トリゴノックス22−70E、トリゴノックスD−T50、トリゴノックス423−C70、カヤエステルCND−C70、カヤエステルCND−W50、トリゴノックス23−C70、トリゴノックス23−W50N、トリゴノックス257−C70、カヤエステルP−70、カヤエステルTMPO−70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP−65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF−C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH−C70、カヤカルボンEH−W60、カヤカルボンI−20、カヤカルボンBIC−75、トリゴノックス117、カヤレン6−70(化薬アクゾ社製)、ルペロックス610、ルペロックス188、ルペロックス844、ルペロックス259、ルペロックス10、ルペロックス701、ルペロックス11、ルペロックス26、ルペロックス80、ルペロックス7、ルペロックス270、ルペロックスP、ルペロックス546、ルペロックス554、ルペロックス575、ルペロックスTANPO、ルペロックス555、ルペロックス570、ルペロックスTAP、ルペロックスTBIC、ルペロックスTBEC、ルペロックスJW、ルペロックスTAIC、ルペロックスTAEC、ルペロックスDC、ルペロックス101、ルペロックスF、ルペロックスDI、ルペロックス130、ルペロックス220、ルペロックス230、ルペロックス233、ルペロックス531(アルケマ吉富社製)などが挙げられる。
特に、特定の反応性基含有電荷輸送材料と熱による硬化とを組み合わせることで、塗膜の構造緩和の促進が図られ、表面性状に優れた高い保護層(最表面層)が得られ易くなる。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して10質量%以上85質量%以下がよく、望ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、望ましくは10μm以上40μm以下である。
保護層がない層構成の場合、図1に示される電子写真感光体では、その層構成において最表面に位置する電荷輸送層が最表面層となる。そして、当該最表面層となる電荷輸送層が、上記特定の組成物の硬化膜で構成される。
また、保護層がない層構成の場合、図3に示される電子写真感光体では、その層構成において最表面に位置する単層型感光層が最表面層となる。そして、当該最表面層となる単層型感光層が、上記特定の組成物の硬化膜で構成される。但し、上記組成物には、電荷発生材料が配合される。
これら最表面層となる電荷輸送層及び単層型感光層の膜厚は、例えば、7μm以上70μm以下がよく、望ましくは10μm以上60μm以下である。
以下、本実施形態に係る画像形成装置(及びプロセスカートリッジ)について詳細に説明する。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように。電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。なお、図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を被転写体に転写する二次転写装置も有している。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤又は二成分系現像剤等を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行ってもよい。その現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、上記一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが望ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図5に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
図6に示す画像形成装置130は、主に、ベルト状中間転写体401と、各色画像形成ユニット481,482,483,484と、加熱部450(層状化手段の一例)と、転写定着部460と、から構成されている。
フィルムフォーム化する現像剤とは、室温(例えば25℃)より低いガラス転移温度を有する微小物質(微小トナーのようなもの)がキャリア液中に分散されている液体現像剤であり、通常は互いに接触凝集することはないが、キャリア液を除去するとその物質だけになり、膜状に付着されると室温(例えば25℃)で結合しフィルム化するものをいう。この物質は、エチルアルコールとメチルメタアクリレートとを配合することにより得られ、その配合比によってガラス転移温度が設定されるものである。
まず、画像形成ユニット481では、帯電装置411によりその表面を帯電された電子写真感光体410は、LEDアレイヘッド412によりイエロー画像情報に従った画像露光がなされて静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置414にてイエロー液体現像剤で現像される。
図8は、実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図10は、図6又は図8に示す画像形成装置における他の現像装置を示す概略構成図である。
(下引層の作製)
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理を施した酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、更に60℃で減圧乾燥を行い、アリザリンを付与させた酸化亜鉛を得た。
このアリザリンを付与させた酸化亜鉛:60質量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製):13.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製):15質量部と、をメチルエチルケトン85質量部に混合した液38質量部とメチルエチルケトン:25質量部とを混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、及びシリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製):40質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にてアルミニウム基材上に塗布し、175℃、40分の乾燥硬化を行い、厚さ22μmの下引層を得た。
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、及びn−酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175質量部、及びメチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層形成用塗布液を得た。この電荷発生層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、常温(25℃)で乾燥して、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(以降TPD)48質量部、及びビスフェノールZポリカーボネート樹脂(以降PCZ500、粘度平均分子量:5万)60質量部をクロルベンゼン800質量部に加えて溶解し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃、45分の乾燥を行って膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
反応性基含有電荷輸送材料として一般式(I)で表される化合物(I−a)−3: 15質量部と、電子吸引性モノマー又はその重合体として無水マレイン酸: 5質量部と、をTHF(安定剤不含)15質量部に溶解し、更に開始剤OTazo15(大塚化学社製)0.8質量部を溶解させ保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を電荷輸送層上に塗布し、酸素濃度約90ppmの雰囲気下で150℃、40分加熱し、8μmの保護層を形成した。
表1に従って、保護層形成用塗布液の反応性基含有電荷輸送材料及び電子吸引性モノマー又はその重合体の種類並びに部数(質量部)を変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を得た。得られた電子写真感光体を感光体2〜17、比較感光体1〜2とした。
各例で得られた電子写真感光体について、以下の順で評価を行った。評価結果を表2に示す。
各例で得られた電子写真感光体を富士ゼロックス社製「ApeosPort−III C4400」のK色位置(黒色画像形成ユニットの位置)に装着し、10℃、15%RHの環境下において、2on2offのライン画像(2ドットラインと2ドットスペースとの繰り返しである細線画像)をプリントし、細線再現性評価を行った。
(2) プリントテスト
各例で得られた電子写真感光体を富士ゼロックス社製ApeosPort−III C4400」のK色位置(黒色画像形成ユニットの位置)に装着し、10℃、15%RHの環境下において、プリント方向を用紙短手方向とし、図11(A)に示すライン状のチャート画像のプリントテストを5000枚行った。なお、図11(A)中の矢印はプリント方向を示している。
(3) プリントテスト後ゴースト評価
プリントテストを行った後、さらに、10℃、15%RHの環境下において、10%ハーフトーン、画像濃度30%のハーフトーン画像をプリントして、図11(B)に例示するゴーストの発生度合を調べるゴースト評価を行った。なお、図11(B)中の矢印はプリント方向を示している。
(4) プリントテスト後感光体表面評価
プリントテストを行った後に感光体表面を観察し評価を行った。
なお、これら、プリントには、富士ゼロックス製P紙(A4サイズ、短手方向送り)を用いた。
A: 線の太り、かけが全く見られず
B:線の太り、かけがわずか(10%未満)に見られる(実用上は問題無)
C:線の太り、かけが (10−25%)見られる(カラ―画像では実用上問題になる)
D: 線の太り、かけが (25%以上)見られる(白黒画像でも実用上問題になる)
−ゴースト評価の基準−
A:10%ハーフトーンにおいて、ゴーストが全く見られず
B:10%ハーフトーンにおいて、ゴーストがわずかに見られる(実用上は問題無)
C:30%ハーフトーンにおいて、ゴーストがわずかに見られる(カラ―画像では実用上問題になる)
D: 30%ハーフトーンにおいて、ゴーストが明らかにに見られる(白黒画像でも実用上問題になる)
−感光体表面評価の基準−
A:拡大鏡(100倍)を用いても傷、付着が全く見られず
B:拡大鏡(100倍)を用いると傷、付着がわずかに見られる(実用上は問題無)
C:肉眼で傷、付着がわずかに見られる(カラ―画像では実用上問題になる)
D: 肉眼で傷、付着が明らかにに見られる(白黒画像でも実用上問題になる)
上記各評価を総合し、電子写真感光体、画像形成システムの総合評価を行った。なお、評価基準は、以下の通りである。
A :上記各評価において全てA
A’:上記各評価においていずれか2つがA、1つがB
B :上記各評価において2つ以上がB、かつC,Dがない
C :上記各評価において1つ以上がC、かつDがない(実用上の大きな問題なし)
D :上記各評価において1つ以上がD(実用上の課題あり)
また、本実施例では、初期画質及び感光体傷の評価も良好であることがわかる。
Claims (8)
- 導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、を有し、
最表面層が、下記一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物から選択される少なくとも1種と、e値が1.5以上である電子吸引性ビニルモノマー及びその重合物から選択される少なくとも1種と、を含む組成物の硬化膜で構成される電子写真感光体。
〔一般式(I)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。Lは、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む2価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。mは1以上8以下の整数を示す。〕
〔一般式(II)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。L’は、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基、並びに、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。 m’は、1以上6以下の整数を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。〕 - 前記一般式(I)で示される反応性化合物が、下記一般式(I−a)、下記一般式(I−b)、下記一般式(I−c)、及び下記一般式(I−d)で示される反応性化合物から選択される少なくとも1種の反応性化合物である請求項1に記載の電子写真感光体。
〔一般式(I−a)中、Ara1〜Ara4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ara5及びAra6は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Xaは、アルキレン基、−O−、−S−、及びエステルから選ばれる基を組み合わせてなる2価の連結基を示す。Daは、下記一般式(IA−a)で示される基を示す。ac1〜ac4は、それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。但し、Daの総数は1又は2である。〕
〔一般式(IA−a)中、Laは、*−(CH2)an−O−CH2−で示され、*にてAra1〜Ara4で示される基に連結する2価の連結基を示す。anは、1又は2の整数を示す。〕
〔一般式(I−b)中、Arb1〜Arb4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Arb5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Dbは、下記一般式(IA−b)で示される基を示す。bc1〜bc5は、それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。bkは、0又は1を示す。但し、Dbの総数は、1又は2である。〕
〔一般式(IA−b)中、Lbは、*−(CH2)bn−O−で示される基を含み、*にてArb1〜Arb5で示される基に連結する2価の連結基を示す。bnは、3以上6以下の整数を示す。〕
〔一般式(I−c)中、Arc1〜Arc4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Arc5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Dcは、下記一般式(IA−c)で示される基を示す。cc1〜cc5は、それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。ckは、0又は1を示す。但し、Dcの総数は、1以上8以下である。〕
〔一般式(IA−c)中、LCは、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び、−C(=O)−と−O−、−N(R)−又は−S−とを組み合わせた基からなる群より選択される1つ以上の基を含む2価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。〕
〔一般式(I−d)中、Ard1〜Ard4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ard5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Ddは、下記一般式(IA−d)で示される基を示す。dc1〜dc5は,それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。dkは、0又は1を示す。但し、Ddの総数は、3以上8以下である。〕
〔一般式(IA−d)中、Ldは、*−(CH2)dn−O−で示される基を含み、*にてArd1〜Ard5で示される基に連結する2価の連結基を示す。dnは、1以上6以下の整数を示す。〕 - 前記一般式(IA−c)で示される基が、下記一般式(IA−c1)で示される基である請求項2に記載の電子写真感光体。
〔一般式(IA−c1)中、cp1は0以上4以下の整数を示す。〕 - 前記一般式(II)で示される反応性化合物が、下記一般式(II−a)で示される反応性化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
〔一般式(II−a)中、Ark1〜Ark4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ark5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Dkは、下記一般式(IIA−a)で示される基を示す。kc1〜kc5は,それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。kkは、0又は1を示す。但し、Dkの総数は、1以上8以下である。〕
〔一般式(IIA−a)中、Lkは、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基、並びに、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む(kn+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。knは、2以上3以下の整数を示す。〕 - 前記一般式(II)で示される反応性化合物のFで示される電荷輸送性骨格に連結する基が、下記一般式(IIA−a1)又は(IIA−a2)で示される基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
〔一般式(IIA−a1)又は(IIA−a2)中、Xk1は2価の連結基を示す。kq1は0又は1の整数を示す。Xk2は2価の連結基を示す。kq2は0又は1の整数を示す。〕 - 前記一般式(II)で示される反応性化合物のFで示される電荷輸送性骨格に連結する基が、下記一般式(IIA−a3)又は(IIA−a4)で示される基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
〔一般式(IIA−a3)又は(IIA−a4)中、Xk3は2価の連結基を示す。kq3は0又は1の整数を示す。Xk4は2価の連結基を示す。kq4は0又は1の整数を示す。〕 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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