JP2014191102A - 液体現像剤、画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジ、及び液体現像剤カートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電荷受容性の官能基を有する化合物がトナー粒子の表面に結合したトナーと、前記トナーを分散させた際に該トナーの表面の電荷密度が1μC/m2以下となるキャリア液と、を含む液体現像剤。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、絶縁性液体と、ポリアルキレンイミンで変性した変性ポリエステル樹脂を含む材料で構成されたトナー粒子と、を含有する液体現像剤が開示されている。
また、特許文献2には、トナー粒子と、ハイドロジェン変性シリコーン化合物で構成された絶縁性液体と、を含む液体現像剤が開示されている。
請求項1に係る発明は
電荷受容性の官能基を有する化合物がトナー粒子の表面に結合したトナーと、
前記トナーを分散させた際に該トナーの表面の電荷密度が1μC/m2以下となるキャリア液と、
を含む液体現像剤。
前記キャリア液がジメチルシリコーンオイルである、請求項1に記載の液体現像剤。
前記トナー粒子がポリエステル樹脂を含み、前記電荷受容性の官能基を有する化合物がポリアルキレンイミンである、請求項1又は請求項2に記載の液体現像剤。
前記電荷受容性の官能基を電離させる電離制御剤を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の液体現像剤。
前記電離制御剤がシリコーン誘導体である、請求項4に記載の液体現像剤。
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤において、
トナーの作製に用いる、電荷受容性の官能基を有する化合物の、酸価又はアミン価を選択することにより、該トナーの帯電性を制御する、
トナーの帯電性の制御方法。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する第一の帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤に含まれるトナーを帯電する第二の帯電手段と、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤を収容すると共に、前記第二の帯電手段により帯電したトナーを含む液体現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
像保持体の表面を帯電する第一の帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤に含まれるトナーを帯電する第二の帯電工程と、
前記第二の帯電工程により帯電したトナーを含む液体現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、
を含む画像形成方法。
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤に含まれるトナーを帯電する帯電手段と、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤を収容すると共に、前記帯電手段により帯電したトナーを含む液体現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤を収容し、画像形成装置に着脱される液体現像剤カートリッジ。
請求項2に係る発明によれば、キャリア液がジメチルシリコーンオイル以外である場合に比べ、帯電器によるトナーの帯電性により優れた液体現像剤が提供される。
請求項3に係る発明によれば、上記構成から外れる場合に比べ、トナーの帯電量の維持により優れた液体現像剤が提供される。
請求項4に係る発明によれば、電離制御剤を含まない場合に比べ、現像効率や転写効率を制御し易い液体現像剤が提供される。
請求項5に係る発明によれば、電離制御剤がシリコーン誘導体以外である場合に比べ、現像効率や転写効率をより制御し易い液体現像剤が提供される。
請求項8に係る発明によれば、液体現像剤が請求項1の構成から外れる場合に比べ、帯電器によるトナーの帯電性に優れ、且つ、トナーの帯電量の維持に優れた画像形成方法が提供される。
請求項9に係る発明によれば、液体現像剤が請求項1の構成から外れる場合に比べ、帯電器によるトナーの帯電性に優れ、且つ、トナーの帯電量の維持に優れたプロセスカートリッジが提供される。
請求項10に係る発明によれば、液体現像剤が請求項1の構成から外れる場合に比べ、帯電器によるトナーの帯電性に優れ、且つ、トナーの帯電量の維持に優れた液体現像剤カートリッジが提供される。
本実施形態に係る液体現像剤は、トナーとキャリア液とを含有する。
前記トナーは、電荷受容性の官能基を有する化合物がトナー粒子の表面に結合したトナーである。ここで「結合」とは、共有結合をなしていること、又は、イオン結合をなしていることをいう。
前記キャリア液は、前記トナーを分散させた際に該トナーの表面の電荷密度が1μC/m2以下となるキャリア液である。即ち、前記キャリア液は、前記トナーが有する電荷受容性の官能基を電離させ難いキャリア液であり、トナー表面の電荷密度を1μC/m2以下(無帯電又は帯電量が極めて小さい)の状態にするキャリア液である。
液体現像システムにおけるトナーの帯電方法としては、従来、以下の3つがあった。
(i)解離性基を有する化合物をトナーの表面に付着させ、解離性基の電離によりトナーを帯電させる方法。以下、本法における解離性基を有する化合物を「帯電制御剤」という。
(ii)解離性基を有する化合物をトナーの表面に結合させ、解離性基の電離によりトナーを帯電させる方法。以下、本法における解離性基を有する化合物を「表面改質剤」という。
(iii)帯電器によりトナーの表面に電荷を付与し、トナーを帯電させる方法。
一方で、キャリア液は、トナーの構成材料の意図しない変質を抑制する観点や、キャリア液の導電率を抑える観点では、低溶解性のものや極性の低いものが望ましく、即ち、帯電制御剤の電離状態を実現させるのとは相反する性質が要求される。
したがって、方法(i)では、帯電制御剤の電離状態を高度に実現させるのは容易ではなく、トナーの帯電量の向上に限界がある。
また、帯電制御剤が、液体現像剤の保存中の環境変化や、画像形成工程中のストレスによってトナー表面から離脱する場合があり、トナーの帯電量を安定させることも容易ではない。
しかし、トナーの帯電量が、解離性基の電離状態によって決まるのは方法(i)と同様であり、トナーの帯電量の向上に限界がある。
トナーがロールに付着するには、トナーの電荷によってロール表面に誘起される鏡像力の強さが重要であるところ、トナーとロールの接触部位近傍ではカウンターイオンがトナー表面から排除されロール表面に鏡像力が誘起され得るが、トナーの電荷のうち鏡像力の誘起に寄与するのは前記接触部位近傍の一部だけであり、トナーの全帯電量の割に誘起される鏡像力は小さい。したがって、トナーの全帯電量の割に、液流による擾乱等により、得られる画質が低いことがある。
さらに、カウンターイオンの存在により、キャリア液の導電率が高くなる傾向があり、現像の際や転写の際に、電圧印加の効率が低下することがある。
しかし、本発明者が検討したところ、従来の方法(iii)におけるトナーでは、帯電器により付与された電荷はトナー表面から離れ易く、一つのロールと別のロールとが接触するニップ(例えば、現像ロールと感光体とが接触する現像ニップ)をトナーが通過する際に、トナーから相当量の電荷が失われることが分かった。このため、画像形成の工程が進むほどトナーの帯電量が減衰し、その結果、画質が低下し易い。
画質の低下を抑える方策としては、例えば、以下に説明する方法が考えられるが、いずれの場合も画質の低下を十分に抑制することは容易でない。
まず、トナーの帯電量の減衰を見込んで、減衰分を補う目的で初期の帯電量を高くする方策がある。しかし、減衰分を補うと初期帯電量が高過ぎてしまい、トナーの凝集が生じたり、前半の工程では鏡像力が強過ぎる故にロールへの付着力が大き過ぎロール間での転移効率が低下したりして、画質の低下につながってしまう。
ほかに、ニップごとにニップの直前で帯電器によってトナーを再帯電させることも考えられるが、そもそもニップ通過の際にトナー表面から電荷が失われ易いので、ロール間での転移効率を上げる効果は限定的である。
前記キャリア液は、電荷受容基を電離させ難いキャリア液であり、トナー表面の電荷密度を1μC/m2以下(無帯電又は帯電量が極めて小さい)の状態にするキャリア液である。前記キャリア液に取り囲まれた電荷受容基はほとんど電離しない状態で存在し、この電離しない状態の電荷受容基が、帯電器から供給された電荷を効率よく補足して高い帯電量を実現し得ると考えられる。
そして、前記トナーにおいては、電荷受容基を有する化合物がトナー粒子の表面に結合しているので、電荷受容基は画像形成工程中のストレス、例えばニップ通過によってもトナー表面から失われ難く、トナーの帯電量の維持に優れると考えられる。
さらに、帯電量の増加に伴ってカウンターイオンが増えるということがないので、キャリア液の導電率が意図せずに高まることがないし、トナーが誘起する鏡像力の強さも意図せずに低下することがない。
本実施形態に係る液体現像剤は、帯電を担う官能基でトナーの表面を改質する点では方法(ii)を適用した液体現像剤と同様であるが、帯電を担う官能基をなるべく電離させない状態で存在させることを特徴とし、そのために前記キャリア液を組み合せるものである。
したがって、前記トナーと前記キャリア液とのみを含有する液体現像剤に、帯電器からの電荷供給なしで画像形成を行おうとしても、現像及び転写が起こらないので画像形成し得ない。
10mm×20mmのITO電極対を50μmギャップで対向させ、ギャップ内に一定濃度の液体現像剤を注入する。電極間に所定の電圧を所定の時間印加し、その間に流れた電荷量Q1を記録する。更に同濃度の液体現像剤を遠心分離し、上澄み液について同様の測定を行い、電荷量Q2を記録する。トナーによる電荷量はQ1−Q2であり、これを濃度とトナーの粒径から求められるトナーの表面積で割ることで、トナーの表面電荷密度が決定される。
測定に用いる装置は、例えば、以下の通りである。
・電源:エヌエフ回路設計ブロック社製、HSA4052
・電流計:ケースレーインスツルメンツ社製、6514
・ファンクションジェネレータ:エヌエフ回路設計ブロック社製、WF1974
・オシロスコープ:キーエンス社製、NR−500、NR−HA08
本実施形態におけるトナーは、トナー粒子の表面に、電荷受容性の官能基(電荷受容基)を有する化合物(以下「表面改質化合物」ともいう。)が結合したトナーである。
電荷受容基は、具体的には、極性基である。表面改質化合物は、極性基を2個以上有する化合物が望ましく、極性基を3個以上有する化合物がより望ましく、極性基を5個以上有する化合物が更に望ましい。
上記電荷受容基を有する表面改質化合物としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリイソプロピレンイミン等のポリアルキレンイミンが挙げられる。電荷受容基の密度が高く正電荷を高密度で補足し得る観点で、ポリアルキレンイミン(ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリイソプロピレンイミン等)が望ましい。
上記表面改質化合物のアミン価としては、500mgKOH/g以上1300mgKOH/g以下の範囲が望ましく、800mgKOH/g以上1200mgKOH/g以下の範囲がより望ましい。
上記電荷受容基を有する表面改質化合物としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、テレフタル酸等の多価カルボン酸が挙げられ、高い帯電量を実現する観点で多価カルボン酸が望ましい。
上記表面改質化合物の酸価としては、300mgKOH/g以上1300mgKOH/g以下の範囲が望ましく、800mgKOH/g以上1200mgKOH/g以下の範囲がより望ましい。
例えば、結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、表面改質化合物としては、ポリエステル樹脂が有するカルボキシル基と共有結合又はイオン結合するアミノ基を有する化合物が望ましく、具体的にはポリアルキレンイミン(ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリイソプロピレンイミン等)が望ましく、ポリエチレンイミンがより望ましい。
例えば、結着樹脂がスチレン・アクリル樹脂で、アクリル酸エステル由来のアミノ基を有する樹脂の場合、表面改質化合物としては、前記アミノ基と共有結合又はイオン結合するカルボキシル基を有する化合物が望ましく、具体的には、多価カルボン酸(例えば、シュウ酸、コハク酸、テレフタル酸等)が望ましい。
ポリアルキレンイミンは、本来負帯電性のトナー粒子(例えば、ポリエステル樹脂を結着樹脂として含有するトナー粒子)を正帯電の液体現像剤に適用するために、前記負帯電性のトナー粒子の表面改質化合物として適している。
トナー粒子は、結着樹脂と着色剤とを含むことが望ましい。トナー粒子は、離型剤や、各種の内添剤及び外添剤を含んでいてもよい。
代表的な結着樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、スチレン・アクリル樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィン、ワックス類が挙げられる。
本実施形態において「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。一方、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶性樹脂とする。
結晶性樹脂は、重量平均分子量が5000超える樹脂が望ましく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂が挙げられ、中でも結晶性ポリエステル樹脂が望ましい。
トナー粒子中の結晶性樹脂の望ましい含有量は、1質量%以上10質量%以下であり、より望ましくは2質量%以上8質量%以下である。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーン・オキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3等が挙げられる。
離型剤の含有量は、トナー粒子の0.5質量%以上50質量%以下が望ましく、より望ましくは1質量%以上30質量%以下、更に望ましくは5質量%以上15質量%以下である。
トナー粒子の体積平均粒度分布指標GSDvは、1.15以上1.25以下が望ましい。
体積平均粒度分布指標GSDvの測定は、例えば、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液としてISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用して測定し、測定によって得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径をD16v、累積50%となる粒径をD50v、累積84%となる粒径をD84vと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標GSDvは、(D84v/D16v)1/2として算出される。また、体積平均粒径は、上記D50vとして得られた値である。
また、上記方法で得られた粒子をコアにして、さらに樹脂粒子を付着させ、加熱融合して、コアシェル構造を有するトナー粒子を製造する方法も挙げられる。
トナー粒子表面への表面改質化合物の結合(「改質処理」ともいう。)は、例えば、トナー粒子を含む水系分散液(以下「トナー粒子分散液」ともいう。)と表面改質化合物とを混合し、攪拌することにより実現し得る。
トナー粒子分散液中のトナー粒子の固形分濃度は、改質処理を効率よく進行させるため、1質量%以上30質量%以下が望ましい。
表面改質化合物の使用量は、トナー粒子表面を偏りなく改質するため、トナー粒子の固形分量に対し0.5質量%以上5質量%以下が望ましい。
改質処理は、室温下(例えば15℃以上25℃以下)で行ってもよいし、トナー粒子分散液と表面改質化合物との混合液を例えば30℃以上40℃以下に加温しつつ行ってもよい。混合液を攪拌する時間は、例えば1時間以上3時間以下としてよい。
こうして得たトナーをキャリア液に分散し液体現像剤を得る。液体現像剤に占めるトナーの割合は、10質量%以上50質量%以下が望ましく、20質量%以上40質量%以下がより望ましい。
本実施形態におけるキャリア液は、前記トナーを分散させた際に該トナーの表面の電荷密度が1μC/m2以下となるキャリア液である。
本実施形態におけるキャリア液は、無色透明で、保存安定性に優れ、蒸気圧が低く、引火点が高く、人体への有害性が低く、電気抵抗が高いものが望ましい。
中でも、ジメチルシリコーンオイルは、トナーを構成する成分を溶解させ難く、また、トナー表面の電荷受容基を電離させ難いので、帯電器からの電荷の供給によって、より効率的にトナーが高帯電し得る。
キャリア液は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
キャリア液の引火点としては、例えば、100℃以上が挙げられ、150℃以上であることが望ましい。
本実施形態に係る液体現像剤は、トナー表面の電荷受容基を電離させる電離制御剤を含んでもよい。
電離してカウンターイオンにより中和されている基は、トナーの泳動には寄与するものの、鏡像力の誘起にはあまり寄与しない。また、電離してカウンターイオンにより中和されている基は、帯電器によって供給される電荷を効率よく補足し得ないと考えられる。
したがって、電離制御剤によりトナー表面の電荷受容基の一部を電離させておくことで、トナーの鏡像力を抑制し得る。トナーの鏡像力が強過ぎると、トナーがロール(現像ロールや感光体)から離れ難くなり、トナーの転移効率(現像効率や転写効率)が低下することがあるが、この事象を抑制する目的で、電離制御剤を使用し得る。
アミノ基、イミノ基等の正電荷を補足する電荷受容基の場合、電離制御剤としては、例えば、酸変性シリコーン(例えば、ハイドロジェン変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン)等が挙げられる。
カルボキシル基等の負電荷を補足する電荷受容基の場合、電離制御剤としては、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。
これらシリコーン誘導体は、キャリア液に好適なジメチルシリコーンとの相溶性がよく、効率よく電荷受容基を電離させるので、現像効率や転写効率を制御し易い。市販品のシリコーン誘導体としては、例えば、信越化学工業社製の変性シリコーンオイルが挙げられる。
本実施形態に係る液体現像剤は、その他の成分を含んでよく、例えば、分散剤、乳化剤、界面活性剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、消泡剤、沈降防止剤、老化防止剤、粘着防止剤、付香剤等を含んでいてもよい。
本実施形態に係る液体現像剤において、以下のトナーの帯電性の制御方法が提供される。即ち、トナーの作製に用いる、表面改質化合物の酸価又はアミン価を選択することにより、該トナーの帯電性を制御する、トナーの帯電性の制御方法である。
トナー表面が補足し得る単位重量当たりの電荷の量(μC/g)は、表面改質化合物が有する電荷受容基の密度によって変化するので、表面改質化合物の酸価又はアミン価を選択することによって、トナーの帯電性(いわば、潜在的な帯電量)を制御し得る。
なお、本実施形態におけるトナーは、帯電器により帯電されて、絶対値で300μC/g以上1800μC/g以下に帯電することが望ましい。より望ましい帯電量はトナーの粒径(表面積)によって異なるが、例えば粒径が4μmのトナーの場合、400μC/g以上700μC/g以下が望ましい。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する第一の帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、液体現像剤に含まれるトナーを帯電する第二の帯電手段と、液体現像剤を収容すると共に、前記第二の帯電手段により帯電したトナーを含む液体現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える。そして、液体現像剤として、本実施形態に係る液体現像剤が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、液体現像剤を収容する部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(液体現像剤カートリッジ)であってもよい。液体現像剤カートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る液体現像剤を収容する液体現像剤カートリッジが好適に用いられる。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成図である。
図1に示す画像形成装置101は、湿式の画像形成装置であって、感光体10(像保持体の一例)と、帯電装置12(第一の帯電手段の一例)と、露光装置14(潜像形成手段の一例)と、帯電装置15(第二の帯電手段の一例)と、現像装置16(現像手段の一例)と、転写装置18(転写手段の一例)と、定着装置26(定着手段の一例)と、クリーナ20と、を備える。
露光装置14は、帯電した感光体10の表面を、画像信号に基づき、例えばレーザー光線によって露光して静電潜像を形成する。
現像剤収容容器32は、液体現像剤Gを収容する。現像剤収容容器32には、液体現像剤Gを攪拌する攪拌部材(不図示)が設けられていてもよい。
現像剤供給ロール34は、現像剤収容容器32に収容された液体現像剤Gに一部が浸り、且つ、現像ロール38に近接(又は接触)するように設けられており、現像剤収容容器32中の液体現像剤Gを現像ロール38の表面に供給する。規制部材36は、現像剤供給ロール34による液体現像剤Gの供給量を制御する。
現像ロール38は、現像剤供給ロール34から供給された液体現像剤Gを保持し、現像ロール38上で、帯電装置15によって液体現像剤Gに含まれるトナーに電荷が付与され、液体現像剤Gが帯電する。現像ロール38は、帯電した液体現像剤Gによって、感光体10の表面に形成された静電潜像をトナー像Tとして現像する。
帯電装置15は、液体現像剤G中のトナーを、絶対値で300μC/g以上に帯電させる出力が望ましく、400μC/g以上に帯電させる出力がより望ましい。
転写装置18は、例えば、ベルト状の中間転写体22を備えた構成であってもよいし、中間転写体22を備えず、転写ロール24により感光体10から直接、記録媒体Pにトナー像Tを転写する直接転写方式の構成であってもよい。
画像形成装置101は、さらに、転写後かつ次の帯電までに感光体10の表面を除電する除電装置(不図示)を備えていてもよい。
帯電装置12、露光装置14、帯電装置15、現像装置16、転写装置18、定着装置26、及びクリーナ20は、感光体10の回転速度と同期をとって動作される。
まず、帯電装置12が、矢印B方向に回転する感光体10の表面を、予め定められた電位に帯電させる。
次に、露光装置14が、帯電した感光体10の表面を画像信号に基づき露光し、静電潜像を形成する。
液体現像剤Gは、感光体10へ搬送される間に、現像ロール38上で帯電装置15によって帯電する。帯電した液体現像剤Gは、現像ロール38と感光体10とが近接(又は接触)する位置で、感光体10上の静電潜像に供給され、静電潜像を現像(顕像化)してトナー像Tを形成する。
次に、中間転写体22の表面に転写されたトナー像Tを、転写ロール24との接触位置において、記録媒体Pに転写する。本転写は、転写ロール24と中間転写体22とによって記録媒体Pを挟み、中間転写体22の表面のトナー像Tを記録媒体Pに密着させることにより実施される。
中間転写体22にトナー像Tを転写した後の感光体10は、クリーナ20により転写残トナーが除去及び回収され、再び帯電工程へ移行する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る液体現像剤に含まれるトナーを帯電する帯電手段と、本実施形態に係る液体現像剤を収容すると共に、前記帯電手段により帯電したトナーを含む液体現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
例えば、図1に示す画像形成装置において、現像剤収容容器32は、本実施形態に係る液体現像剤カートリッジでもよい。該カートリッジ内に収納されている液体現像剤が少なくなった場合には、該カートリッジが交換される。
以下において、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
〔樹脂の分子量〕
樹脂の分子量(ポリスチレン換算)の測定は、以下の測定装置及び測定条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で行った。
・測定装置:HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSKgel SuperHM−H (6.0mmID×15cm×2本)(東ソー社製)
・溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
・測定条件:試料濃度0.5%、流速0.6mL/分、サンプル注入量10μL、測定温度40℃、RI検出器による検出。検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
粒子の体積平均粒径の測定方法は下記のとおりである。
・測定用試料:アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(界面活性剤)の5%水溶液2mLに粒子を0.5mg以上50mg以下加え、これを電解液(ベックマン−コールター社製アイソトンII)100mL以上150mL以下に添加し、超音波分散器で1分間分散処理を行って調製した。
・測定装置:コールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)、アパーチャー径100μm。
上記の測定用試料及び測定装置を用いて、2μm以上60μm以下の粒子50,000個の粒径を測定して、粒度分布から体積平均粒度分布を求めた。
粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、粒度の小さいほうから体積累積分布を描き、累積50%になったところを体積平均粒径とした。
・測定用試料:固形分2gの粒子分散液にイオン交換水を添加して40mLにし、測定用試料とした。
・測定装置:レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−700)
上記の測定用試料をセルに適当な濃度になるまで投入し、2分間待って、セル内の濃度が安定したところで測定した。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とした。
溶融温度及びガラス転移温度は、DSC(示差走査型熱量計)測定法によりASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークより求めた。
主体極大ピークの測定には、パーキンエルマー社製のDSC−7を用いた。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との溶融温度を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いた。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/分で測定を行った。
〔非晶性ポリエステル樹脂(1)の調製〕
・ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
35モル部
・ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
65モル部
・テレフタル酸 76モル部
・n−ドデセニルコハク酸 14モル部
・トリメリット酸 10モル部
上記の材料と、ジブチル錫オキサイド(上記の酸成分の合計量100モル部に対して0.05モル部)と、を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150℃以上230℃以下で12時間共縮重合反応させ、その後、210℃以上250℃以下で徐々に減圧して、非晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。
非晶性ポリエステル樹脂(1)の溶融温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は62℃であった。
乳化装置(キャビトロンCD1010、スリット0.4mm)の乳化タンクに、非晶性ポリエステル樹脂(1)3000部、イオン交換水10000部、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム90部を投入し、130℃にて加熱溶融後、110℃にて10000回転で30分間分散させ、流量3L/分で冷却タンクを通過させて樹脂粒子分散液を回収し、非晶性樹脂粒子分散液(1)を得た。
非晶性樹脂粒子分散液(1)に含まれる樹脂粒子の体積平均粒径は0.2μm、標準偏差1.2であった。
・1,4−ブタンジオール 293部
・ドデカンジカルボン酸 750部
・触媒(ジブチル錫オキサイド) 0.3部
上記の材料を加熱乾燥した3口フラスコに入れ、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で2時間攪拌を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い5時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂(2)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂(2)の溶融温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示し、ピークトップの温度は70℃であった。
結晶性ポリエステル樹脂(2)を用いた以外は、非晶性樹脂粒子分散液(1)における条件にて結晶性樹脂粒子分散液(2)を作製した。
結晶性樹脂粒子分散液(2)に含まれる粒子の体積平均粒径は0.2μm、標準偏差1.3であった。
・フタロシアニン顔料(大日精化社製、PVFASTBLUE) 25部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンRK) 2部
・イオン交換水 125部
上記の材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散処理して着色剤分散液(1)を得た。
・ペンタエリスリトールベヘン酸テトラエステルワックス 100部
・アニオン界面活性剤(日油社製、ニューレックスR) 2部
・イオン交換水 300部
上記の材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散処理し、更に圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤粒子分散液(1)を得た。
・疎水性シリカ(日本アエロジル製、RX200) 100部
・アニオン界面活性剤(日油社製、ニューレックスR) 2部
・イオン交換水 1000部
上記の材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散処理し、更に超音波ホモジナイザー(RUS−600CCVP、日本精機製作所)にて200パス、分散処理し、無機粒子分散液(1)を得た。
・非晶性樹脂粒子分散液(1) 145部
・結晶性樹脂粒子分散液(2) 30部
・着色剤分散液(1) 42部
・離型剤粒子分散液(1) 36部
・無機粒子分散液(1) 10部
・硫酸アルミニウム 0.5部
・イオン交換水 300部
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコ中に収容してpH2.7に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで攪拌しながら加熱した。48℃で120分間保持した後、更に30分48℃で加熱攪拌を保持した。この時点の分散液のpHは3.2であった。続いて、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を穏やかに添加してpHを8.0に調整した後、攪拌を継続しながら90℃まで加熱し、3時間保持した。その後、反応生成物を濾過し、イオン交換水で洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥してトナー粒子(1)を得た。
トナー粒子(1)の体積平均粒径は3.8μmであった。
トナー粒子(1)を、10質量%になるように、イオン交換水に分散し、50倍希釈の塩酸水溶液でpH4.2に調整した。ここに、ポリエチレンイミン(純正化学社製、重量平均分子量70,000)を、トナー粒子の固形分量に対し1質量%添加し、1時間攪拌した。続いて、遠心分離機でトナー粒子を分離しイオン交換水で洗浄する操作を2回行った。その後、凍結乾燥により乾燥させて、トナー粒子(1)の表面にポリエチレンイミンが結合したトナー(1)を得た。
〔トナー粒子(1)の調製〕において、加熱温度や処理時間を適宜変更して、体積平均粒径2.8μmのトナー粒子(2)を得た。
トナー粒子(1)の代わりにトナー粒子(2)を用いて、トナー(1)の作製と同様にしてトナー(2)を作製した。
液体現像剤のキャリア液として、以下のシリコーンオイルを用意した。各オイルにトナー(1)を固形分濃度30質量%で分散させて測定した該トナーの表面電荷密度を併せて記載する。
・ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−96−20cs):1μC/m2以下
・メチルハイドロジェンシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−99−20cs):18μC/m2
〔実施例1〕
トナー(1)とジメチルシリコーンオイルとを混合し、固形分濃度30質量%の液体現像剤(A1)を得た。
トナー(2)とジメチルシリコーンオイルとを混合し、固形分濃度30質量%の液体現像剤(A2)を得た。
液体現像剤(A2)に、電離制御剤としてカルボン酸変性ジメチルシリコーン(信越化学工業社製、X−22−3710)を0.1質量%添加し、液体現像剤(A3)を得た。
トナー粒子(1)とパラフィンオイル(モレスコ社製、P40)とを混合し、固形分濃度30質量%の液体現像剤(C1)を得た。
トナー粒子(1)とジメチルシリコーンオイルとを混合し、固形分濃度30質量%の液体現像剤(C2)を得た。
トナー粒子(2)とジメチルシリコーンオイルとを混合し、固形分濃度30質量%の液体現像剤(C3)を得た。
トナー(1)とメチルハイドロジェンシリコーンオイルとを混合し、固形分濃度30質量%の液体現像剤(C4)を得た。
液体現像剤(A1)及び液体現像剤(C1)について、液体現像剤中のトナーの表面電位の経時的な維持性を比較した。
導電性基板上に液体現像剤を塗布し、厚さ5μm乃至8μmの液膜を形成した。この液膜に対し、高圧電源(トレック・ジャパン社製610C)を用いて5.5kVの電圧をワイヤ電極に印加し7mmの距離でコロナ放電し、正に帯電させた。そして、表面電位計(トレック・ジャパン社製Model344)を用いて、トナーの表面電位(V)を経時測定した。その結果を図2及び表2に示す。
液体現像剤(A1)と液体現像剤(C2)とについて、以下の評価を行った。
液体現像剤中のトナーの表面電位の経時的な維持性を調べた。
導電性基板上に液体現像剤を塗布し、厚さ5μm乃至8μmの液膜を形成した。この液膜に対し、高圧電源(トレック・ジャパン社製610C)を用いて4kVの電圧をワイヤ電極に印加し7mmの距離でコロナ放電し、正に帯電させた。そして、表面電位計(トレック・ジャパン社製Model344)を用いて、トナーの表面電位(V)を経時測定した。その結果を表3及び図3に示す。
現像ニップを通過する際のトナーの表面電位の維持性を調べた。
現像ロールに液体現像剤を付与し、高圧電源(トレック・ジャパン社製610C)を用いて1000μAの電流値をコロナ帯電器に流して正に帯電させ、続いて、現像バイアス−300Vで現像ニップを通過させ、感光体に液体現像剤を移行させた。この際に、コロナ放電器による帯電直後の現像ロール上と、現像ニップを通過した直後の感光体上とで、表面電位計(トレック・ジャパン社製Model344)を用いて、トナーの表面電位(V)を測定した。感光体上での表面電位を、現像ロール上での表面電位を指数100とした場合の相対値として、表4に示す。
評価用の画像形成装置として、株式会社ミヤコシ製MDP1260を用意し、感光体上でオイル除去ロールを適用した場合の画質を調べた。従来、オイル除去ロールは、ロール上のキャリア液の残留量を減らしトナーを濃縮する目的で使用されるロールである。トナーの剥離を抑えるため、ロールには逆バイアス電圧が印加されるが、トナーの帯電量が低いと、オイル除去ロールによって画像のハイライト部のドットが消失して画像が低下することがある。
なお、液体現像剤(C2)の場合は、オイル除去ロールの使用直前に感光体上においてもコロナ放電器を用いて正に帯電(セットチャージ)を行い、逆バイアス電圧に対するトナーの応答性を向上させた。液体現像剤(A1)の場合は、このセットチャージを行わなかった。
評価用の画像として、50μmφドットを154μm間隔で紙(王子製紙社製、フォームグロス両面N、85gsm)上に形成した。紙上に形成された画像の写真を、図4に示す。
液体現像剤(C2)中のトナーは、ニップで電荷が失われたため逆バイアス電圧への応答性が低下し、ドットの剥離が生じるものと考えられた。セットチャージを行っても、ドットの剥離は抑制されなかった。
一方、液体現像剤(A1)中のトナーは、ニップを通過する際の表面電位の維持に優れるので、逆バイアス電圧によりトナーが感光体方向に押し付けられ、セットチャージなしでもドットの剥離が抑制されるものと考えられた。
液体現像剤(A1)〜(A3)、液体現像剤(C2)及び(C3)について、以下の方法で、液体現像剤中のトナーの帯電量と画質との相関関係を調べた。
評価用の画像形成装置として、株式会社ミヤコシ製MDP1260を用意した。トナーを現像ロール上でコロナ放電器を用いて正に帯電させた。そして、感光体上で、トナーの表面電位(V)を、表面電位計(トレック・ジャパン社製Model344)を用いて測定し、表面電位とトナー重量とから感光体上のトナーの帯電量(μC/g)を求めた。
画質は、1mm以下のピッチでの濃度ムラを定量化したカラーノイズ(CN)と呼ばれる指標で評価した。その結果を表5に示す。CN指標は官能評価値である粒状性を定量化したものであり、低いほど画質が良好であることを意味する。
但し、液体現像剤(C3)と液体現像剤(A2)では、トナー帯電が上がり過ぎて2次障害が発生したため、それほど画質の向上が見られていない。これに比して液体現像剤(A3)の画質が良好であるので、電離制御剤の添加による帯電量の調整が有効であることが分かる。
現像ロール上の現像ニップ前後の液膜、及び、感光体上に転写後の液膜を、一定面積、ガーゼに拭き取り、重量を測定した。該重量と、吸光度測定により決定した各々の液膜の現像剤濃度とから、各ロール上のトナー量を算出した。そして、トナー量の比から現像効率を求めた。
液体現像剤(C4)に、帯電器で電荷を供給し、トナーの帯電量と経時的な維持性を調べた。
導電性基板上に液体現像剤を塗布し、厚さ5μm乃至8μmの液膜を形成した。この液膜に対し、高圧電源(トレック・ジャパン社製610C)を用いて5.5kVの電圧をワイヤ電極に印加し7mmの距離でコロナ放電し、正電荷を供給した。そして、表面電位計(トレック・ジャパン社製Model344)を用いて、トナーの表面電位(V)を経時測定した。その結果を表7に示す。表7には、評価Iにおける液体現像剤(A1)の結果も併記する。
10 感光体(像保持体)
12 帯電装置(第一の帯電手段)
14 露光装置(潜像形成手段)
15 帯電装置(第二の帯電手段)
16 現像装置(現像手段)
18 転写装置(転写手段)
20 クリーナ
22 中間転写体
24 転写ロール
26 定着装置(定着手段)
32 現像剤収容容器
34 現像剤供給ロール(アニロックスロール)
36 規制部材
38 現像ロール
G 液体現像剤
T トナー像
P 記録媒体
Claims (10)
- 電荷受容性の官能基を有する化合物がトナー粒子の表面に結合したトナーと、
前記トナーを分散させた際に該トナーの表面の電荷密度が1μC/m2以下となるキャリア液と、
を含む液体現像剤。 - 前記キャリア液がジメチルシリコーンオイルである、請求項1に記載の液体現像剤。
- 前記トナー粒子がポリエステル樹脂を含み、前記電荷受容性の官能基を有する化合物がポリアルキレンイミンである、請求項1又は請求項2に記載の液体現像剤。
- 前記電荷受容性の官能基を電離させる電離制御剤を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の液体現像剤。
- 前記電離制御剤がシリコーン誘導体である、請求項4に記載の液体現像剤。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤において、
トナーの作製に用いる、電荷受容性の官能基を有する化合物の、酸価又はアミン価を選択することにより、該トナーの帯電性を制御する、
トナーの帯電性の制御方法。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する第一の帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤に含まれるトナーを帯電する第二の帯電手段と、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤を収容すると共に、前記第二の帯電手段により帯電したトナーを含む液体現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。 - 像保持体の表面を帯電する第一の帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤に含まれるトナーを帯電する第二の帯電工程と、
前記第二の帯電工程により帯電したトナーを含む液体現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、
を含む画像形成方法。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤に含まれるトナーを帯電する帯電手段と、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤を収容すると共に、前記帯電手段により帯電したトナーを含む液体現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体現像剤を収容し、画像形成装置に着脱される液体現像剤カートリッジ。
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