JP2014190346A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に中周波振動と高周波振動に対して優れた防振効果を得ることの出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供する。
【解決手段】流体封入式防振装置10において、第一の取付部材16と第二の取付部材18とが本体ゴム弾性体20で連結されていると共に、受圧室47と平衡室62を連通する唯一の中央連通路64が仕切部材40に形成されており、可撓性膜48を押し付けて中央連通路64を遮断状態に保持し且つ負圧が及ぼされることによって押付力が解除されて中央連通路64を連通状態とする空気圧式アクチュエータ14が設けられている一方、仕切部材40において可動膜92が配置されて中間室100と作用空気室98とが形成されていると共に、周辺連通路118が形成されて中央連通路64よりも高周波数域にチューニングされている一方、作用空気室98に対して空気圧式アクチュエータ14と同期して負圧を及ぼす負圧制御手段が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、内部に封入された流体の共振作用等を利用して防振効果を得ることのできる流体封入式防振装置に係り、特に、外部から及ぼされる負圧を利用して防振特性を切り換えることの出来る流体封入式防振装置に関する。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体として、振動が入力される本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室と変形容易な可撓性膜で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室間での流体の流動作用に基づいて防振効果が発揮されるようにした流体封入式の防振装置が知られており、例えば自動車用エンジンマウント等に採用されている。
ところで、自動車用エンジンマウント等では、車両走行状況等に応じて入力される周波数や振幅の異なる複数種類の振動に対して、それぞれ、防振効果が要求されることとなるが、それら複数種類の振動に対して何れも十分な防振効果を実現することが難しい。そこで、従来から、低周波防振用のオリフィス通路と、中周波防振用のオリフィス通路と、高周波防振用の液圧吸収機構とを、併せて設けると共に、中周波防振用のオリフィス通路をアクチュエータで連通/遮断するようにした構造が提案されている。例えば特開2000−346120号公報(特許文献1),特開2004−360710号公報(特許文献2)等に開示のものがそれである。
しかしながら、このような従来構造の流体封入式防振装置では、周波数が異なる3種類の振動に対してそれぞれ或る程度の防振効果を得ることが出来るものの、その中の特定の周波数域の振動に対して特別に高度な防振効果を発揮させることが難しかった。特に防振装置の装着スペースによりサイズが制限される状況下で、受圧室と平衡室とを仕切る仕切部材に対して、大きな流路長が必要とされる低周波防振用のオリフィス通路と、大きな流路断面積と小さな流動抵抗が要求される中周波防振用のオリフィス通路と、大きな面積が要求される高周波防振用の液圧吸収機構を構成する可動膜とを、並設することが極めて困難であった。
具体的には、前記特許文献1,2にも記載されているように、低周波防振用のオリフィス通路を仕切部材の外周側を周方向に延びるように設けて流路長を確保する一方、仕切部材の中央部分と径方向中間部分との何れか一方に中周波防振用のオリフィス通路を形成すると共に、それらの他方に高周波防振用の可動膜を配設した構造となっていた。しかし、このような構造は、限られたスペースをある意味で無理に割り振って利用したものに過ぎず、それ故、各周波数域の防振機構においてそれぞれ最適な設定を実現することが難しかったのである。
特開2000−346120号公報 特開2004−360710号公報
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、低周波防振効果を実用レベルで確保しつつ、中周波防振用のオリフィス通路において大きな通路断面積と小さな流体流動抵抗を実現すると共に、高周波防振用の可動膜において大きな面積を実現することが出来て、特に中周波振動と高周波振動に対して優れた防振効果を得ることの出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
本発明の第一の態様の特徴とするところは、防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材とが本体ゴム弾性体で連結されていると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室と、変形容易な可撓性膜で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室とが、該第二の取付部材で支持される厚肉円形の仕切部材の各一方の側に形成されており、該受圧室と該平衡室を連通する唯一の中央連通路が、該仕切部材の中央部分を厚さ方向に貫通して形成されていると共に、該平衡室の外側に配設されて該可撓性膜を該中央連通路の該平衡室側への開口部に押し付けて該中央連通路を遮断状態に保持し且つ外部から負圧が及ぼされることによって該可撓性膜への押付力が解除されて該中央連通路を連通状態とする空気圧式アクチュエータが設けられている一方、該仕切部材において該中央連通路の外周側に広がる円環板状の可動膜が配置されて該可動膜の内周部分と外周部分がそれぞれ該仕切部材で保持されており、該可動膜の各一方の側に非圧縮性流体が封入された中間室と作用空気室とが形成されていると共に、該仕切部材において該中間室を該受圧室に連通する周辺連通路が形成されて該中央連通路よりも高周波数域にチューニングされている一方、該作用空気室に対して前記空気圧式アクチュエータと同期して外部から負圧を及ぼす負圧制御手段が設けられている流体封入式防振装置にある。
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置では、受圧室と平衡室との間での流体流動が唯一の中央連通路でのみ許容されていると共に、かかる中央連通路が仕切部材の中央部分を厚さ方向に貫通して直線的に形成されている。それ故、中央連通路における流路断面積を十分に大きく設定しつつ、周長が大きい仕切部材の外周部分において可動膜の面積を大きく設定することが可能になる。
その結果、中央連通路において、大きな流路断面積を確保すると共に、振動入力方向に向かって直線的に延びる構造によって小さな流動抵抗を実現することが可能となって、中央連通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて中周波振動に対して優れた防振効果を得ることが出来るのである。
しかも、可動膜において、大きな面積を確保することにより、可動膜を必要以上に薄肉とすることなく、周辺連通路を流動する流体の流動作用も利用して優れた液圧吸収機能を発揮させることが可能になる。その結果、可動膜の耐久性や空気バリア特性等を十分に確保しつつ、可動膜の弾性変形に基づいて高周波振動に対する優れた防振効果を得ることが出来るのである。
ここにおいて、受圧室と平衡室を連通する唯一の中央連通路は空気圧式アクチュエータで直接に覆蓋されることにより遮断状態とされる一方、周辺連通路は可動膜が負圧で拘束されることにより遮断状態とされる。それ故、空気圧式アクチュエータと作用空気室への負圧制御手段による負圧作用の切り換えによって、中央連通路と周辺連通路は択一的に連通状態とされることから、中周波防振時には周辺連通路を通じての流体圧の逃げが実質的に完全に防止されて中央連通路と可撓性膜による防振効果が安定して且つ有効に発揮されると共に、高周波防振時には中央連通路を通じての流体圧の逃げが実質的に完全に防止されて周辺連通路と可動膜による防振効果が安定して且つ有効に発揮される。
一方、低周波振動に対しては、対応する周波数チューニングされた流体流路を備えていないが、受圧室が外部に対して完全に遮断された密閉構造とされることにより本体ゴム弾性体の減衰性能が一層効果的に発揮されることに基づいて有効な防振性能が発揮されることとなる。即ち、空気圧式アクチュエータで中央連通路が遮断されることで、受圧室が平衡室から完全に分離された密閉状態とされることにより、かかる受圧室の壁部を構成する本体ゴム弾性体の変形に対して受圧室の流体圧が拘束作用を発揮する。その結果、本体ゴム弾性体におけるゴム本来の減衰作用と、受圧室の液圧による拘束作用とが協働して、入力振動に対する実用レベルの減衰性能を発揮し得ることとなり、エンジンシェイクなどの剛体振動に対して有効な防振性能を得ることができるのである。なお、可動膜は、そもそも弾性変形許容量が小さいことから低周波振動入力時の液圧吸収機能は殆ど発揮し得ない。
すなわち、本発明にあっては、密閉状態の受圧室による本体ゴム弾性体の拘束作用を巧く利用して減衰性能を発揮させることにより、従来構造の流体封入式防振装置で採用されていた受圧室と平衡室を繋ぐ常時連通構造の低周波用オリフィスを設けることなく、実用レベルの低周波防振効果を実現し得た。併せて、仕切部材の中央部分を直線的に延びる中央連通路で中周波防振性能を得ると共に、周長の大きい仕切部材の外周部分を全周に亘って環状に広がる可動膜を配設して周辺連通路による高周波防振性能を高度に実現せしめ得た。これにより、低周波振動に対して実用レベルの防振性能を確保しつつ、中周波振動と高周波振動に対しては何れも従来構造よりも格段に優れた防振性能を得ることを可能と為し得たのである。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る流体封入式防振装置であって、前記仕切部材において前記中央連通路よりも外周側に位置する部分の有効径寸法Dに対して、前記可動膜の径方向有効幅寸法Bが、下式を満足するように設定されているものである。
B≧0.30(D/2)
ただし、D=D1−D2
D1:仕切部材の有効外径寸法
D2:中央連通路の内径寸法
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置では、仕切部材の外周側を一層有効に利用して可動膜の径方向幅寸法を大きく設定することで、可動膜の有効面積がより積極的に確保されることとなる。その結果、可動膜と周辺連通路による高周波防振性能の更なる向上が図られ得る。なお、本態様において、可動膜の径方向有効幅寸法Bが、より好適にはD/2の0.33以上、更に好適には0.35以上に設定される。
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る流体封入式防振装置において、前記可動膜の厚さ寸法が1.5〜4mmの範囲内に設定されているものである。
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置では、可動膜の耐久性とガス透過性(特に酸素バリア性)を一層効果的に確保することができる。特に、可動膜の径方向有効幅寸法(B)の大きさを、前記第二の態様の範囲内で併せて設定することで、可動膜の弾性と耐久性との両立がより高度に実現可能となる。
本発明の第四の態様は、前記第一〜三の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、前記仕切部材が、前記平衡室側に位置する第一分割体と前記受圧室側に位置する第二分割体とからなる分割構造とされており、該第一分割体における該第二分割体への重ね合わせ面に開口して形成された環状凹部の開口部に前記可動膜が配置されて該可動膜の内周部分と外周部分がそれぞれ該第一分割体と該第二分割体との間で挟持されることにより、該環状凹部が該可動膜で覆蓋されて前記作用空気室が形成されている一方、該可動膜と該第二分割体との間に前記中間室が形成されていると共に、該第二分割体を厚さ方向に貫通して前記周辺連通路が形成されているものである。
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置では、仕切部材による弾性膜の内外周部分の挟圧保持が容易な構造と簡単な組付作業性をもって一層確実に実現可能となる。また、第二分割体の形状を調節することにより、仕切部材に形成される周辺連通路における大きさや数等を適宜に且つ容易に変更設定することが出来、周辺連通路の流路断面積等の調整による周波数等のチューニング自由度も大きく確保され得る。
本発明の第五の態様は、前記第四の態様に係る流体封入式防振装置において、前記第一分割体における前記受圧室側の全面に対して前記第二分割体が重ね合わされており、これら第一分割体と第二分割体を貫通して前記中央連通路が形成されている一方、該第二分割体における該中央連通路の開口面に比して該第二分割体における前記周辺連通路の開口面が該受圧室側に向かって突出せしめられているものである。
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置では、周辺連通路における流路長さの設定自由度が、第二分割体における周辺部分の突出高さの調節等によって一層大きく確保され得る。また、受圧室内における中央連通路の開口部分と本体ゴム弾性体との対向面間距離が大きく確保され得て、本体ゴム弾性体の変形に伴う仕切部材の中央部分との干渉や中央連通路の開口部の実質的な狭窄も低減されて、防振性能や中央連通路を通じての流体流動の安定性の更なる向上等も図られ得る。
本発明の第六の態様は、前記第五の態様に係る流体封入式防振装置において、前記第二分割体における前記受圧室側の面の中央部分には、前記中央連通孔の周囲に広がる中央凹陥部が形成されており、該中央凹陥部を外周側に外れた位置に前記周辺連通路の開口面が該受圧室側に向かって突出形成されている一方、前記第一の取付部材が固着された前記本体ゴム弾性体の中央部分には、該受圧室内で前記仕切部材の該中央凹陥部に向かって突出する中央突部が形成されているものである。
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置では、振動入力に際して仕切部材に対して接近/離隔方向に変位せしめられる本体ゴム弾性体の中央突部が受圧室に及ぼすピストン作用に基づいて、中央連通路への流体の流動作用が一層効率的に且つ低流動抵抗で発現されることとなる。これにより、中央連通路を通じての流体流動作用に基づいて発揮される防振効果の更なる向上が図られ得る。
本発明の第七の態様は、前記第一〜六の何れかの態様に係る流体封入式防振装置であって、前記空気圧式アクチュエータにおいて、外部から負圧が及ぼされていない状態で前記可撓性膜を該中央連通路の該平衡室側への開口部に押し付ける付勢手段が設けられている一方、前記仕切部材で内周部分と外周部分がそれぞれ保持された前記可動膜がそれ自体の弾性により展張状態に弾性的に保持されていると共に、前記作用空気室に対して外部から負圧が及ぼされた状態でも該可動膜の該作用空気室の内面への密着が該可動膜の弾性に基づいて防止されて該作用空気室の存在が容積減少状態で維持されるようになっているものである。
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置では、特別な部材を必要とすることなく可動膜が初期状態の展張状態に安定して保持されると共に、負圧による可動膜の吸引に際しても可動膜の作用空気室内面への当接打音等の不具合の発生が防止され得る。
本発明の第八の態様は、前記第一〜七の何れかの態様に係る流体封入式防振装置であって、前記中央連通路がアイドリング振動の周波数域にチューニングされると共に、前記周辺連通路が走行こもり音の周波数域にチューニングされて車両用エンジンマウントが構成されているものである。
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置では、停車時のアイドリング振動と走行時のこもり音に対して、何れも流体流動作用を利用した防振効果が有効に発揮され得る。なお、本態様では、例えば車両が走行状態と停車状態の何れにあるか等を検出したセンサ信号に基づいて負圧制御手段での負圧作用の切り換えが行われて、防振特性が制御されることが望ましい。
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置では、従来構造の低周波オリフィスを敢えて採用することなく、密閉状態の受圧室による本体ゴム弾性体に対する拘束作用を巧く利用して実用レベルの減衰性能を確保することにより、仕切部材の中央部分を直線的に延びる中央連通路と、その外周領域で環状に広がるゴム膜とを、何れも十分な領域をもって形成することを可能と為し得た。その結果、大きな流路断面積と小さな流動抵抗をもって中央連通路を形成して優れた中周波防振性能を実現すると共に、周長の大きい仕切部材の外周部分を全周に亘って環状に広がる可動膜を配設して周辺連通路による高周波防振性能を高度に達成せしめ得たのである。
本発明の一実施形態としての流体封入式防振装置を示す縦断面図であって、図2のI−I断面に対応する断面図。 図1の流体封入式防振装置を構成する仕切部材を示す平面図。 図2に示された仕切部材の正面図。 図2に示された仕切部材の底面図。 図1の流体封入式防振装置を構成する可動膜を示す平面図。 図5のVI−VI断面における部分断面拡大図。 図1の流体封入式防振装置における負圧作用状態を示す縦断面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図1には本発明の一実施形態としての流体封入式防振装置である自動車用のエンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、マウント本体12に空気圧式アクチュエータ14を組み付けた構造とされている。また、マウント本体12は、第一の取付部材16と第二の取付部材18が本体ゴム弾性体20で弾性連結された構造を有しており、第一の取付部材16と第二の取付部材18の各一方が防振連結される部材に取り付けられて装着されるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、主たる振動入力方向となるマウント中心軸方向である、図1中の上下方向をいう。
より詳細には、第一の取付部材16は、上下に延びる略円形のブロック形状とされており、軸方向中間部分の外周面には、円環板形状のフランジ部22が一体形成されている。また、第一の取付部材16には、上面に開口して軸方向に延びるボルト穴24が形成されており、このボルト穴24に螺着されるボルトで、第一の取付部材16が、防振連結される一方の部材であるパワーユニット側に固定されるようになっている。
また、第二の取付部材18は薄肉大径の略円筒形状とされており、その軸方向中間部分に段差部26が形成されて、段差部26より上側の大径筒部28と下側の小径筒部30からなる段付円筒形状とされている。更に、小径筒部30の下側の開口周縁部には、内周側に突出する係止爪32が全周に亘って円環形状で形成されている。そして、図示しないブラケット等を介して、第二の取付部材が、防振連結される他方の部材である車両ボデー側に固定されるようになっている。
本体ゴム弾性体20は略円錐台形状とされており、その中央部分には第一の取付部材16が固着されて、小径側端部から軸方向に挿し入れられている。また、本体ゴム弾性体20の大径側端部の外周面には、第二の取付部材18の大径筒部28が重ね合わされて固着されている。本実施形態では、本体ゴム弾性体20が、これら第一及び第二の取付部材16,18を備えた一体加硫成形品とされている。
なお、第一及び第二の取付部材16,18は、鉄等の金属や硬質樹脂等により好適に形成される。また、第二の取付部材18の小径筒部30の内周面には、本体ゴム弾性体20から下方に延び出して一体形成されたシールゴム層36が被着形成されている。
さらに、本体ゴム弾性体20の大径側端面には、下方に向かって拡径して開口する大径凹所34が形成されて、ばね特性の調節や引張歪の緩和等が図られている。また、大径凹所34の上底の中央部分には、下方に向かって突出する中央突部38が形成されている。この中央突部38は、第一の取付部材16の下端が所定厚さの本体ゴム弾性体20で被覆された構造とされている。
また、第二の取付部材18の下側開口部分には、仕切部材40が嵌め入れられて固着されている。仕切部材40は、図2〜4にも示されているように、厚肉大径の略円板形状とされており、それぞれ略円板形状とされた第一分割体42と第二分割体44とが上下方向で互いに重ね合わされて固着された構造とされている。特に、本実施形態では、第一分割体42と第二分割体44が略同じ外径寸法とされて、第一分割体42の上面の略全体に対して第二分割体44の下面が重ね合わされている。なお、これら第一及び第二の分割体42,44は、金属や硬質樹脂等によって形成され得る。
仕切部材40を構成する第一分割体42の外周面には、全周に亘って延びる上側係止溝46が形成されており、この係止溝46に対して、第二の取付部材18の下側開口周縁部に設けられた係止爪32が係止固定されることにより、仕切部材40が第二の取付部材18に組み付けられている。かかる組付状態下、仕切部材40は、軸方向上側部分が第二の取付部材18の小径筒部30に差し入れられていると共に、軸方向下側部分が第二の取付部材18から下方に向かって外部に突出せしめられている。
また、第二の取付部材18に差し入れられた仕切部材40の上側部分は、その外周面がシールゴム層36を介して小径筒部30に対して流体密に当接されている。これにより、第二の取付部材18の下側開口部が仕切部材40で流体密に封止されており、本体ゴム弾性体20と仕切部材40との対向面間には、外部空間に対して遮断された受圧室47が画成されている。また、受圧室47には、水やアルキレングリコール等の非圧縮性流体が封入されており、第一及び第二の取付部材16,18間への振動入力時に、本体ゴム弾性体20の弾性変形に基づいて受圧室47に圧力変動が惹起されるようになっている。
一方、仕切部材40の軸方向下方には、仕切部材40の下面を覆うようにして可撓性膜48が配設されている。この可撓性膜48は、変形容易な薄膜であって、例えばゴム弾性膜によって構成されている。特に本実施形態では、可撓性膜48において、中央部分が僅かに厚肉とされた円板形状の中央当接部50とされていると共に、外周部分が弛みをもった変形許容部52とされている。
また、可撓性膜48の外周縁部にはリング状の固定金具54が固着されており、仕切部材40の下端部分に固定金具54が外挿されることで可撓性膜48が仕切部材に組み付けられている。なお、仕切部材40の外周面には、周方向に連続して延びる下側係止溝56が形成されており、固定金具50の内周面に突設された固定爪58が下側係止溝56に係止固定されている。
これにより、可撓性膜48の開口部分が仕切部材40で流体密に覆蓋されて、可撓性膜48と仕切部材40との対向面間には、外部空間に対して遮断された平衡室62が画成されている。この平衡室62には、受圧室47と同様に非圧縮性流体が封入されており、可撓性膜48の変形が容易に許容されることで内部圧力が略大気圧に保たれるようになっている。
そして、上述の如く仕切部材40を挟んだ上下に形成された受圧室47と平衡室62は、仕切部材40に形成された中央連通路64で相互に連通されている。この中央連通路64は、第一及び第二の分割体42,44を厚さ方向に貫通して仕切部材40の中心軸上を直線的に一定断面形状で延びる貫通孔とされている。なお、仕切部材40の下面と上面には、それぞれ中央連通路64の開口部の周囲を囲むように広がる円形凹所構造をもって、中央下凹所66と中央凹陥部としての中央上凹所68が形成されている。そして、これら中央下凹所66と中央上凹所68の各中央に位置して中央連通路64が開口されている。
中央連通路64は、その流路断面積と長さが調節されることにより、例えば20〜40Hz程度となる中周波数域のアイドリング振動に対してチューニングされている。即ち、振動入力時に受圧室47と平衡室62との圧力差に基づいて中央連通路64を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振作用として低動ばね作用が発揮されてアイドリング振動に対して優れた防振効果が得られるようになっている。
さらに、中央連通路64は、平衡室62側への開口部が開閉されることにより、連通状態と遮断状態とに切り換えられるようになっている。この中央連通路64の平衡室62側への開口部の開閉は、仕切部材40における中央連通路64の開口部分に対して、空気圧式アクチュエータ14により可撓性膜48を押し付けたり解除したりすることで行われるようになっている。
空気圧アクチュエータ14は、大径円筒形状の連結筒部材70の底部開口が略円板形状の底壁部材72で覆蓋されたハウジング74を備えており、このハウジング74内に出力側ゴム部材76が組み付けられている。出力側ゴム部材76は、底壁部材72と対応する外周円形状とされており、外周縁部に固定リング78が固着されていると共に、中央部分に補強部材79が固着されている。補強部材79は、逆カップ形状とされており、下側開口周縁部にはフランジ状の鍔部が一体形成されており、出力側ゴム部材76に埋設状態で固着されて、表裏両面が出力側ゴム部材76により所定厚さで被覆されている。
そして、固定リング78が連結筒部材70に対して圧入固定されることにより、底壁部材72と出力側ゴム部材76との対向面間において外部空間に対して遮断されたアクチュエータ用空気室80が画成されている。また、アクチュエータ用空気室80には、付勢手段としての圧縮コイルスプリング82が収容されており、底壁部材72と出力側ゴム部材76との間に組み付けられている。かかる圧縮コイルスプリング82により、補強部材79が固着された出力側ゴム部材76の中央部分が底壁部材72から離隔する方向へ常時付勢されている。更に、底壁部材72には、中央部分を貫通して外部に突出する給排ポート部86が形成されており、この給排ポート部86を通じて、外部からアクチュエータ用空気室80に対してエアの給排が行われ得るようになっている。
かくの如き空気圧式アクチュエータ14は、連結筒部材70の開口部分が第二の取付部材18の小径筒部30に対して外嵌固定されることにより、マウント本体12に組み付けられている。これにより、空気圧式アクチュエータ14が、可撓性膜48の下方に所定距離を隔てて配置されており、空気圧式アクチュエータ14の補強部材79の上底部分88が、可撓性膜48の中央当接部50に対して対向位置せしめられている。
そして、空気圧式アクチュエータ14の補強部材79の上底部分88に及ぼされる圧縮コイルスプリング82の付勢力で、可撓性膜48の中央当接部50が、仕切部材40の中央下凹所66における中央連通路64の開口周縁部に押し付けられることにより、中央連通路64が遮断状態に保持されるようになっている。また一方、給排ポート部86を通じてアクチュエータ用空気室80へ外部から負圧を及ぼすことにより、圧縮コイルスプリング82の付勢力に抗して補強部材79が下方に変位せしめられて、可撓性膜48の中央当接部50への押付力が解除される。その結果、中央連通路64が平衡室62に連通されて、受圧室47と平衡室62との間での中央連通路64を通じての流体流動が許容されるようになっている。要するに、アクチュエータ用空気室80を大気中への開放と負圧源への連通とに択一的に切り換えて内圧を制御することにより、中央連通路64を遮断状態と連通状態とに切り換える弁機構が構成されている。
なお、空気圧式アクチュエータ14の補強部材79の上底部分88は、可撓性膜48の中央当接部50よりも僅かに小さな外周形状とされており、これら補強部材79の上底部分88と可撓性膜48の中央当接部50が、中央連通路64の中心軸上で同軸的に重ね合わされるようになっている。また、補強部材79の上底部分88は、中央連通路64の開口よりも一回り大きな外周形状とされている一方、可撓性膜48の中央当接部50は、仕切部材40の中央下凹所66よりも一回り小さな外周形状とされている。
また、連結筒部材70は、可撓性膜48を外方から覆う保護カバーを兼ねている。なお、連結筒部材70に外部連通孔90が形成されており、可撓性膜48と空気圧式アクチュエータ14との対向面間の内部空間が、外部連通孔90を通じて外部空間に常時連通されることにより、可撓性膜48の変形が安定して許容されるようになっている。
さらに、仕切部材40には、中央連通路64の周囲に位置して、図5,6に示されているような略円環板形状の可動膜92が、第一分割体42と第二分割体44の重ね合わせ面間に挟まれるようにして組み付けられている。
すなわち、第一分割体42と第二分割体44の重ね合わせ面には、それぞれの径方向中間部分を周方向に延びるようにして下側環状凹部94と上側環状凹部96が形成されている。そして、これら下側環状凹部94と上側環状凹部96の各開口部分が、可動膜92を挟んで互いに突き合わされるようにして、第一分割体42と第二分割体44が重ね合わされている。
これにより、仕切部材40の内部には、可動膜92の下側に位置する環状の作用空気室98と、可動膜92の上側に位置する環状の中間室100が、可動膜92で仕切られて形成されている。
作用空気室98は、仕切部材40の第一分割体42を貫通して形成されたエア通路110を通じて、外周面に開口する給排ポート部112に連通されている。かかる給排ポート部112は、第一分割体42の外周面において、第二の取付部材18と固定金具54との間で露出されており、連結筒部材70に設けられた貫通孔を介して給排ポート部112へアクセスできるようになっている。これにより、外部からの空気圧を、給排ポート部112から作用空気室98に及ぼすことができるようになっている。
そして、作用空気室98を大気中に開放させることにより、可動膜92の弾性変形が許容されて、中間室100の圧力変動が可動膜92の弾性変形に基づいて吸収され得るようになっている。また一方、作用空気室98へ外部から負圧を及ぼすことにより、可動膜92に対して下面に及ぼされる負圧吸引力が変形拘束力として作用する。その結果、図7に示されているように可動膜92が全体として下方へ引っ張られて弾性変形せしめられた状態とされて、可動膜92のばね剛性が大幅に増大されることで可動膜92の弾性変形が実質的に阻止された状態に保持され得るようになっている。要するに、作用空気室98を大気中への開放と負圧源への連通とに択一的に切り換えて内圧を制御することにより、可動膜92における中間室100に対する液圧吸収機能をON/OFFする切換機構が構成されている。
なお、可動膜92は、略一定の厚さ寸法で広がっており、その内周縁部と外周縁部には、板厚方向両側にそれぞれ突出して厚肉環状とされた内周側固定部102および外周側固定部104が一体形成されている。そして、これら内外周の固定部102,104が、第一分割体42と第二の分割体44で挟圧保持されていると共に、内周側固定部102の外周面と外周側固定部104の内周面とが、何れも、第一分割体42と第二分割体44に突設された環状の係止突起108,108で係止されることによって、それら内外周の固定部102,104が、仕切部材40に対して径方向に位置決めされて、可動膜92がそれ自体の弾性で展張状態に保持され得る状態で配設されている。なお、可動膜92における内外周の固定部102,104には、第一分割体42および第二の分割体44で挟圧される各軸方向端面に、それぞれ周方向の全周に亘って延びるシール用の突条116が一体形成されている。
一方、かかる可動膜92により作用空気室98から流体密に仕切られた中間室100には、受圧室47や平衡室62と同じ非圧縮性流体が封入されている。更に、仕切部材40の第二分割体42には、受圧室47と平衡室62を連通する周辺連通路118が形成されている。特に本実施形態では、第二分割体42の中央部分が上方に向かって突出した厚肉部120とされており、この厚肉部120の上面中央部分に位置して中央連通路64が開口する中央上凹所68が形成されていると共に、厚肉部120の外周部分を板厚方向に貫通して延びる周辺連通路118が形成されている。また、かかる周辺連通路118は、図2に示されているように、中央連通路64の周囲を周方向に延びる円弧状をもって、周方向で略等間隔に4つ形成されている。
そして、これら4つの周辺連通路118は、その流路断面積と長さが調節されることにより、例えば60〜120Hz程度となる高周波数域の走行こもり音振動に対してチューニングされている。即ち、振動入力時に本体ゴム弾性体20の弾性変形により受圧室47に惹起される圧力変動と、大気中に連通された作用空気室98で弾性変形が許容された可動膜92による圧力吸収機能が発揮される平衡室62との圧力差に基づいて、周辺連通路118を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振作用として低動ばね作用が発揮されて走行こもり音振動に対して優れた防振効果が得られるようになっている。
上述の如き構造とされたエンジンマウント10は、車両への装着状態下において、図1に示されているように、アクチュエータ用空気室80の給排ポート部86と作用空気室98の給排ポート部112に対して、それぞれ外部の空気圧管路126が接続される。これにより、各空気室80,98は、かかる空気圧管路126により、切換弁128を介して、大気中と負圧源130とに対して選択的に接続可能とされる。
そして、車両のパワーユニットの制御装置や走行装置などからの検出信号に基づいて、制御装置132により切換弁128を切換作動させることにより、車両の走行状態に応じて各空気室80,98が大気中と負圧源130とに対する接続状態が択一的に切り換えられることとなり、車両の走行状態に応じて防振性能が変更設定されることとなる。これにより、各空気室80,98に対して外部から負圧を及ぼす負圧制御手段が、切換弁128と負圧源130を含んで構成されている。
ここにおいて、アクチュエータ用空気室80と作用空気室98は、互いに同期して、大気中および負圧源130への接続状態が設定されるようになっている。例えば図1に示されているように、切換弁128に接続された外部管路126が分岐されてアクチュエータ用空気室80の給排ポート部86と作用空気室98の給排ポート部112に対して何れも連通されることにより、切換弁128の切換作動に伴って、アクチュエータ用空気室80および作用空気室98には、同時に大気圧と負圧が切り換えられて及ぼされる。
より具体的には、例えば車両の通常の走行状態では、アクチュエータ用空気室80と作用空気室98が何れも大気中に連通される一方、車両が停車したアイドリング状態や発進直後のごく低速走行状態などでは、アクチュエータ用空気室80と作用空気室98が何れも負圧源に連通されるように、制御装置132により切換弁128が切り換えられる。
これにより、車両の走行状態では、中央連通路64が遮断状態に保たれて受圧室47の圧力変動が平衡室62に逃げることがなく、受圧室47と中間室100との間に大きな圧力変動が惹起される。また、作用空気室98が大気中に開放されることにより、可動膜92の弾性変形が容易に許容されて、可動膜92による中間室100の液圧吸収機能が発揮されるようになる。それ故、振動入力に伴って受圧室47と中間室100との間に惹起される相対的な圧力変動に基づいて、それら両室47,100間で周辺連通路118を通じての流体流動が生ぜしめられ得て、かかる流体の共振作用に基づいて高周波数域の走行こもり音に対して優れた防振効果が発揮され得ることとなる。
また、車両の停車状態では、中央連通路64が連通状態に保たれて受圧室47と平衡室62との間での中央連通路64を通じての流体流動が許容される一方、作用空気室98に負圧が及ぼされて可動膜92が負圧吸引されて拘束される。かかる状態では、中間室100の容積変化が実質的に阻止されることとなり、受圧室47と中間室100との間での周辺連通路118を通じての流体流動が阻止されて、受圧室47の圧力変動が中間室100に逃げることもない。それ故、振動入力に伴って受圧室47と平衡室62との間に惹起される相対的な圧力変動に基づいて、それら両室47,62間で中央連通路64を通じての流体流動が生ぜしめられ得て、かかる流体の共振作用に基づいて中周波数域のアイドリング振動に対して優れた防振効果が発揮され得ることとなる。
また一方、車両の走行状態で段差乗り越え等に伴う大荷重が入力されて、パワーユニットの剛体振動などの低周波大振幅振動の入力に際しては、通常の走行状態で中央連通路64は遮断状態に保たれていることに加えて、中間室100は平衡室62に比して容積変化許容量が大幅に小さく、可撓性膜48に比して可動膜92のばね剛性も大きく且つ弾性変形域も小さい。それ故、エンジンシェイク等の低周波大振幅振動の入力時には、受圧室47に惹起される大きな圧力変動に対して中間室100による液圧吸収機能が殆ど機能し得ず、中央連通路64だけでなく周辺連通路118も実質的に流体流路とならない。その結果、受圧室47が実質的に密閉構造とされて大振幅振動の入力に伴って大きな圧力が惹起されることとなり、この受圧室47の発生圧力が本体ゴム弾性体20の弾性変形を拘束することによって、本体ゴム弾性体20のばね特性が単体の場合よりも硬くなってパワーユニットの揺動を抑えるように作用し、入力振動に対して効果的な制振作用や減衰効果が発揮され得ることとなる。
このように低周波大振幅振動に対しては、本体ゴム弾性体20そのもののばね特性を実質的に密閉構造とされた受圧室47の流体圧力でサポートすることによって制振効果を向上させることにより、特許文献1,2に記載の従来構造の流体封入式防振装置のように仕切部材の外周部分で周方向の流路長を確保して低周波用オリフィス通路を設ける必要がない。それ故、仕切部材40において、中央連通路64や周辺連通路118の形成スペースを十分に大きく確保して、それら各連通路64,118において大きなチューニング自由度や流体流動量を容易に確保することが可能になる。特に、中央連通路64の流路断面積を十分に確保しつつ、その周囲において可動膜92の面積を大きく確保することが可能になることから、走行こもり音等の高周波振動に対する防振作用のチューニング自由度が大幅に向上されると共に、可動膜92の弾性変形に基づいて生ぜしめられる周辺連通路118を通じての流体流動量を大きく確保して高周波防振性能の更なる向上を図ることも可能になるのである。
ここにおいて、可動膜92において弾性変形が許容される領域の径方向有効幅寸法B(図6参照)は、仕切部材40の径方向有効幅寸法Dに対して、B≧0.30×(D/2)とされることが望ましい。なお、仕切部材40の径方向有効幅寸法Dは、図1に示されているように、仕切部材40において受圧室47に晒される領域の径方向有効幅寸法D1と中央連通路64の内径寸法D2から、D=D1−D2として算出される。これにより、仕切部材40の有効スペースを一層効率的に利用して、中央連通路64や周辺連通路118の通路断面積を確保したり可動膜92の有効面積を大きくして、上述の如き防振性能をより効果的に得ることが可能になる。
また、このようにして可動膜92の有効面積を十分に大きく設定することが可能になることから、可動膜92に要求される液圧吸収機能を確保しつつ、可動膜92の板厚寸法を1.5mm以上に設定して耐久性や酸素などのガスバリア性の向上を図ることができる。なお、可動膜92の厚さ寸法は、要求されるばね特性を考慮して4mm以下とすることが望ましい。
更にまた、可動膜92のばね特性は、作用空気室98に及ぼされる負圧で可動膜92が吸引された場合でも、可動膜92が作用空気室98の内面に密着されずに所定の隙間が残存するように設定されることが望ましい。これにより、可動膜92と作用空気室98との当接に基づく打音等の発生が防止され得る。
さらに、本実施形態のエンジンマウント10では、仕切部材40の下面に開口形成された中央下凹所66に入り込むようにして、空気圧式アクチュエータ14の出力部材である補強部材79の上底部分88や可撓性膜48の中央当接部50が配設されており、それら補強部材79や中央当接部50の径方向への大きな位置ずれが中央下凹所66で防止されることで、作動安定性の向上が図られている。
また、本実施形態のエンジンマウント10では、仕切部材40の上面に開口形成された中央上凹所68の底面に対して、本体ゴム弾性体20の大径凹所34の中央突部38が対向配置されており、荷重入力に際して仕切部材40と第一の取付部材16が相互に接近した場合における中央連通路64の受圧室47への開口面積を確保しつつ、周辺連通路118の流路長さが一層大きく確保され得るようになっている。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明は上述の解決手段や実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜に修正,改良などを加えた態様で実施され得る。
10:エンジンマウント(流体封入式防振装置)、12:マウント本体、14:空気圧式アクチュエータ、16:第一の取付部材、18:第二の取付部材、20:本体ゴム弾性体、38:中央突部、40:仕切部材、42:第一分割体、44:第二分割体、47:受圧室、48:可撓性膜、50:中央当接部、52:変形許容部、62:平衡室、64:中央連通路、66:中央下凹所、68:中央上凹所、72:底壁部材、74:ハウジング、76:出力側ゴム部材、79:補強部材、80:アクチュエータ用空気室、82:コイルスプリング(付勢手段)、86:給排ポート部、92:可動膜、98:作用空気室、100:中間室、110:エア通路、112:給排ポート部、118:周辺連通路、120:厚肉部、126:外部管路、128:切換弁、130:負圧源、132:制御装置

Claims (8)

  1. 防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材とが本体ゴム弾性体で連結されていると共に、
    該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室と、変形容易な可撓性膜で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室とが、該第二の取付部材で支持される厚肉円形の仕切部材の各一方の側に形成されており、
    該受圧室と該平衡室を連通する唯一の中央連通路が、該仕切部材の中央部分を厚さ方向に貫通して形成されていると共に、
    該平衡室の外側に配設されて該可撓性膜を該中央連通路の該平衡室側への開口部に押し付けて該中央連通路を遮断状態に保持し且つ外部から負圧が及ぼされることによって該可撓性膜への押付力が解除されて該中央連通路を連通状態とする空気圧式アクチュエータが設けられている一方、
    該仕切部材において該中央連通路の外周側に広がる円環板状の可動膜が配置されて該可動膜の内周部分と外周部分がそれぞれ該仕切部材で保持されており、該可動膜の各一方の側に非圧縮性流体が封入された中間室と作用空気室とが形成されていると共に、
    該仕切部材において該中間室を該受圧室に連通する周辺連通路が形成されて該中央連通路よりも高周波数域にチューニングされている一方、該作用空気室に対して前記空気圧式アクチュエータと同期して外部から負圧を及ぼす負圧制御手段が設けられていることを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記仕切部材において前記中央連通路よりも外周側に位置する部分の有効径寸法Dに対して、前記可動膜の径方向有効幅寸法Bが、下式を満足するように設定されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
    B≧0.30(D/2)
    ただし、D=D1−D2
    D1:仕切部材の有効外径寸法
    D2:中央連通路の内径寸法
  3. 前記可動膜の厚さ寸法が1.5〜4mmの範囲内に設定されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記仕切部材が、前記平衡室側に位置する第一分割体と前記受圧室側に位置する第二分割体とからなる分割構造とされており、
    該第一分割体における該第二分割体への重ね合わせ面に開口して形成された環状凹部の開口部に前記可動膜が配置されて該可動膜の内周部分と外周部分がそれぞれ該第一分割体と該第二分割体との間で挟持されることにより、該環状凹部が該可動膜で覆蓋されて前記作用空気室が形成されている一方、
    該可動膜と該第二分割体との間に前記中間室が形成されていると共に、該第二分割体を厚さ方向に貫通して前記周辺連通路が形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記第一分割体における前記受圧室側の全面に対して前記第二分割体が重ね合わされており、これら第一分割体と第二分割体を貫通して前記中央連通路が形成されている一方、
    該第二分割体における該中央連通路の開口面に比して該第二分割体における前記周辺連通路の開口面が該受圧室側に向かって突出せしめられている請求項4に記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記第二分割体における前記受圧室側の面の中央部分には、前記中央連通孔の周囲に広がる中央凹陥部が形成されており、該中央凹陥部を外周側に外れた位置に前記周辺連通路の開口面が該受圧室側に向かって突出形成されている一方、
    前記第一の取付部材が固着された前記本体ゴム弾性体の中央部分には、該受圧室内で前記仕切部材の該中央凹陥部に向かって突出する中央突部が形成されている請求項5に記載の流体封入式防振装置。
  7. 前記空気圧式アクチュエータにおいて、外部から負圧が及ぼされていない状態で前記可撓性膜を該中央連通路の該平衡室側への開口部に押し付ける付勢手段が設けられている一方、
    前記仕切部材で内周部分と外周部分がそれぞれ保持された前記可動膜がそれ自体の弾性により展張状態に弾性的に保持されていると共に、前記作用空気室に対して外部から負圧が及ぼされた状態でも該可動膜の該作用空気室の内面への密着が該可動膜の弾性に基づいて防止されて該作用空気室の存在が容積減少状態で維持されるようになっている請求項1〜6の何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  8. 前記中央連通路がアイドリング振動の周波数域にチューニングされると共に、前記周辺連通路が走行こもり音の周波数域にチューニングされて車両用エンジンマウントが構成されている請求項1〜7の何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
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