JP2014190301A - 渦巻きポンプ及びそれが備える渦巻きケーシング - Google Patents

渦巻きポンプ及びそれが備える渦巻きケーシング Download PDF

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Abstract

【課題】
大型の水力機械において効率を低下させることなく、渦巻ケーシング内部を容易に塗装や補修できるようにする。
【解決手段】
渦巻きポンプ20は、回転軸11と、この回転軸の先端に取り付けられた遠心羽根車8と、遠心羽根車の外径側に配置され周方向に間隔をおいて複数の羽根が配置されたディフューザ5と、このディフューザの外径側に配置される渦巻きケーシング1とを有する。渦巻きケーシングは、周方向に断面積を徐々に変化させる渦巻き部と、渦巻き部の内径側開放部に形成され平行に配置された2枚のリング部材3a、3bとを有する。リング部材の内径端の径は、ディフューザの羽根の外径端の径以上である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、渦巻きポンプ及びそれが備える渦巻きケーシングに係り、特に吐出圧力が高圧である大型の立軸渦巻きポンプ及びそれが備える渦巻きケーシングに関する。
従来の大型の水力機械に用いる渦巻きケーシングの例が、特許文献1及び2、非特許文献1に記載されている。この中で、特許文献1に記載の渦巻きケーシングでは、水車運転時に強度面を考慮しながら、ステーベーン出口の後流の影響による排気損失及びガイドベーンにおける衝突損失の低減を図っている。具体的には、水力機械が、回転可能なランナと、ランナの外側に周方向に互いに間隔をあけて配列された可動のガイドベーンと、ガイドベーンの外側に周方向に互いに間隔をあけて配列されたステーベーンと、ステーベーンの外側に配置された渦巻きケーシングとを有している。ステーベーンの上下端は、環状の上ステーリング及び下ステーリングに固定され、ステーベーンの内周側端部の肉厚が上下端部よりも中央部で薄く形成されている。
また特許文献2には、水車またはポンプ水車で、ステーベーンを支持する主板のケーシングへの突出し長さをより一層短くしても運転中に発生する外力に対して十分な強度維持を図ることが開示されている。具体的には、ステーベーンを長翼ステーベーンと短翼ステーベーンとに区分けし、長翼ステーベーンと短翼ステーベーンとを交互に順番に主板に固定して、水力機械のスピードリングを形成している。
さらに、非特許文献には、立軸遠心渦巻き型のポンプで、渦巻きケーシングを広範溶接構造で構成することが記載されている。そして修理のため、大容量にもかかわらず、屋内完全露出とし、ケーシングとステーリングは、ボルト締結で分解できるようになっている。さらに、その図3に詳細に記載されているように、ステイリング(ディフューザ)とケーシングは分割され、ステーリングの最外径位置は、渦巻きケーシングの入口部に達している。
特開2005−140078号公報 特開2002−138939号公報
万家▲塞▼引黄プロジェクトチーム、「中国山西省/万家▲塞▼プロジェクト向けポンプ設備」、エバラ時報、No.195、2002年4月、第71頁右欄
上記特許文献1、2及び非特許文献1のいずれに記載の水力機械でも、水力機械の渦巻きケーシングとディフューザとの接続部である狭隘部に、運転中の流体力及び遠心力により発生するこの渦巻きケーシングを軸方向に広げようとする力に抗することができるよう、いわゆるステーベーンを設けている。その結果、渦巻きケーシングの軸方向への広がりは防止できるものの、ステーベーンの付け根である渦巻きケーシングの開口側、すなわちディフューザとの接続部側で、応力集中が発生することが判明した。
この応力集中を避けるために、ステーベーンの断面積を増大させたり、渦巻きケーシング部の形状にできるだけ角部を設けないようにすることで対処してきている。しかしながら、ステーベーンの断面積を増大させると、渦巻きケーシングの補修およびメンテナンスのために渦巻きケーシング内周面を塗装したり補填したりする際に、作業が著しく困難になる。それとともに、ステーベーンの断面積が大きいと流れを乱す恐れが高く、流れが乱れると水力機械の効率が低下する。同様に、水力機械の効率を維持しながら渦巻きケーシングの断面形状を変えることも困難である。
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、大型の水力機械において効率を低下させることなく、渦巻ケーシング内部を容易に塗装や補修できるようにすることにある。また、水力機械の運転時に、ケーシングとディフューザ部の接続部に発生しがちな過度の応力集中を回避することも目的とする。
上記目的を達成する本発明の特徴は、渦巻きポンプが、回転軸と、この回転軸の先端に取り付けられた遠心羽根車と、前記遠心羽根車の外径側に配置され周方向に間隔をおいて複数の羽根が配置されたディフューザと、このディフューザの外径側に配置される渦巻きケーシングとを有し、前記渦巻きケーシングは周方向に断面積を徐々に変化させる渦巻き部と、前記渦巻き部の内径側開放部に形成され平行に配置された2枚のリング部材とを有し、前記リング部材の内径端の径が前記ディフューザの羽根の外径端の径以上であることにある。
そしてこの特徴において、前記ディフューザでは、前記羽根の両側面にリング状の側板が配設されており、前記渦巻きケーシングの両リング部材と前記ディフューザの両側板のそれぞれの背面側に前記リング部材と前記側板を締結するカバーを設け、前記カバーと前記リング部材と前記側板とを締結部材で締結するのがよく、前記回転軸を立軸に配置し、作動流体を下方から吸い込むようにし、前記羽根車の心板の背面側であって一方の前記カバーの内面側に保護板を配置してもよい。
上記目的を達成する本発明の他の特徴は、渦巻きポンプに備えられ、複数枚の羽根を備えたディフューザを内径側に収容可能な渦巻きケーシングにおいて、周方向に断面積を徐々に変化させる渦巻き部と、前記渦巻き部の内径側開放部に形成され平行に配置された2枚のリング部材とを有し、前記リング部材の内径端の位置が前記ディフューザの羽根の外径端の位置より内径側であることにある。
そしてこの特徴において、前記渦巻き部は、薄板鋼板を曲げ加工して複数の殻構造の部材を形成した後、この曲げ加工により形成された複数の殻構造の部材と前記リング及び前記複数の部材同士を溶接して一体化したものであってもよく、前記渦巻き部と前記リング部とを、鋳造により一体化してもよい。
本発明によれば、大型の遠心型ポンプにおいて、渦巻きケーシングとディフューザ部との接続部が運転中に軸方向に拡大するのを許容して、この接続位置にステーベーンを設置するのを省くようにしたので、狭隘部となる接続部から渦巻きポンプ内部へ、メンテナンスや修理中に作業者が容易にアクセスできる。したがって、塗装や補修作業が容易になる。また、ステーベーンが接続部に無いので、ポンプ運転時に流体がステーベーンに衝突することがなく摩擦も減り、ポンプの効率を維持できるとともに過度の応力集中も回避できる。
本発明に係る渦巻きケーシングを備えるポンプの一実施例の横断面図である。 図1に示したポンプが有する渦巻きケーシング部の上面図である。 図2のA−A矢視断面図である。
以下、本発明に係る立軸の渦巻きポンプの一実施例を、図1ないし図3を用いて説明する。図1は、本発明に係る立軸渦巻きポンプ20の縦断面図であり、図2はこの立軸渦巻きポンプ20が有する渦巻きケーシング1部の上面図、図3は図2のA−A矢視断面図である。
垂直に配置された回転軸11の下端部に、羽根車8が羽根車ナット8dを用いて固定されている。羽根車8は、円周方向にほぼ等間隔に配置された複数の羽根8cの両側部を保持する心板8a及び側板8bを備えた遠心羽根車である。羽根車8の背面側(図1では上側)には、作動流体が土砂を大量に含む場合に、この土砂により渦巻きポンプ20のケーシング内壁が摩耗するのを防止するために犠牲となる保護板9が設けられている。この保護板9にはステンレス材料等を用いている。羽根車8の下流側である外径側には、詳細を後述するディフューザ5が配設されており、このディフューザ5のさらに外径側には、断面がほぼ円形で周方向に徐々に断面積を変化する渦巻きケーシング1が配設されている。
回転軸11の中間部であって羽根車8の背面側(図1では上側)にシール手段14が配設されており、羽根車8を出た流れが羽根車8の背面側に流入するのを防止する。シール手段14の上方には、この渦巻きポンプ20を回転自在に支持する軸受手段15が配設されている。
このように構成した立軸の渦巻きポンプ20においては、羽根車8の下方に位置する吸込み管13から吸い込まれた水が、図示しない原動機に接続された回転軸11の先端部に取り付けた羽根車8の回転Nにより、昇圧してディフューザ5に流入する。ディフューザ5は、周方向にほぼ等間隔に配置された複数の羽根5cと、この複数の羽根5cの両側部を挟み込むディフューザ上側板5a及びディフューザ下側板5bとを有している。ディフューザ5では流れの運動エネルギが圧力エネルギに変換され、作動流体はさらに昇圧する。各ディフューザ羽根5c間を経た流れは、周方向に徐々に断面積が増加する渦巻きケーシング1に流入してまとめられ、吐出口12から外部へ吐出される。
ここで、本実施例に係る渦巻きポンプ20は、例えば吐出口12の口径が1000〜2000mmにも達するものであり、最大揚程も150〜250mにも達する。このような大型のポンプ20であるため、渦巻きケーシング1は、可能な限り製缶構造としている。ただし、鋳物構造を排除するものではない。そして、渦巻きケーシング1を含むポンプ20のケーシングは、下面をコンクリート等で形成された基礎16に支持部材7bにより支持されている。
このように揚程が高く、流量も大の渦巻きポンプ20では、運転中の流体力も大きくなる。その結果、特に高圧となるディフューザ5の出口部や渦巻きケーシング1の入口部では、多大な圧力により、ディフューザ5及び渦巻きケーシング1を軸方向、すなわち図1の上下方向に押し広げようとする力が発生する。このディフューザ5や渦巻きケーシング1を押し広げようとする力に、ディフューザ5では羽根5cが対抗している。
一方、渦巻きケーシング1では、従来この押し広げようとする力に対抗させるために、ステーベーンをディフューザ羽根5c同様に周方向複数個所に設けていた。しかしながら、ステーベーンを設けると、渦巻きケーシング1の開口部が拡大することは防止できるが、ステーベーンの両側面部の渦巻きケーシング1への取付け部で応力集中が発生する。
この二律背反を解消するため、本発明者らは渦巻きケーシング1の開口部の運転中の挙動を数値実験的に研究した結果、以下の知見を得た。すなわち、ステーベーンを省いた渦巻きポンプ20を駆動しても、従来危惧されていたほどには渦巻きケーシング1の開口部の軸方向拡大は発生せず、わずかに数100μm程度であり、吐出口径1000mmを超える場合では、実用的にほとんど影響がない。さらに、ステーベーンを取り去った結果、渦巻きケーシング1では過度な応力集中が発生しない。
このようにステーベーンを省略することにより、作動流体の流路となるケーシング1の内面の塗装や、オーバーホール時の補修や再塗装の際に、ステーベーンが邪魔になり補修施工が困難になるという事態を回避できる。また、ステーベーンのためにポンプ20の運転時に作動流体の衝突損失や摩擦損失が増加して効率が低下するという事態も回避できる。
このような特徴を有する本実施例に係る渦巻きケーシング1の詳細を、以下に説明する。以下に説明する渦巻きケーシング1は、製缶工法により作成している。渦巻きケーシング1は、プレス等により薄板鋼板を切頭円錐状に形成した胴板1を、順次その径を変えながら複数個形成し、各胴板1(i=1,n)間を溶接することにより渦巻き状に形成される。なお、各胴板1は、渦巻きの内周側に相当する部分に平行な切り欠き部が形成されており、この切り欠き部の上下両端は、図3に詳細を示すように、上リング3a及び下リング3bの外周端部に溶接されている。その結果、渦巻きケーシング1の断面形状は、円形の胴板1の内周側に、平行な2枚の板が上下に接続して内径側に延びたフラスコ状を呈している。
この渦巻きケーシング1の内径側には、複数の翼形状の羽根5cの両側部(図3では上下端部)をリング状のディフューザ上側板5a及びディフューザ下側板5cで保持したディフューザ5がほぼ隙間なく嵌合している。そして、ディフューザ5を渦巻きケーシング1に、上下方向を位置決めして保持するために、上カバー7a及び下カバー7bがディフューザ5と渦巻きケーシング1とを連結している。この連結には数重に複数のボルト(締結部材)6を用い、渦巻きポンプ1を運転した時に発生する作動流体の圧力に耐え得るようにしている。
ここで図3に示すように、渦巻きケーシングは内径側に延びる上リング3a及び下リング3bを有しているので、これらリング3a、3bの内周端、すなわちディフューザ出口以降から殻構造部材2により形成される渦巻き流路部までの間の半径流れ部の距離δの区間では、流路を妨げる部材がない。
そのため渦巻きポンプ20の稼働により発生する内圧により軸方向(図3では上下方向)にリング3a、3b間が拡大する恐れがあるが、上述した通りこの拡大量はせいぜい数100μmであり、実用上何ら問題はない。それにもましてこの半径流路部に、流れを妨げる従来は使用していたステーベーンのような邪魔ものがないので、流れの衝突損失及び摩擦損失が確実に低減され、渦巻きポンプ20の効率が向上する。さらに、ステーベーンをディフューザやリングに取り付けたとき、ステーベーンの根元部で発生していた過大な応力集中が排除される。
また、ディフューザ5と渦巻きケーシング1とを別体としたことにより、渦巻きケーシング1の胴板1aの内面の塗装や、オーバーホール時の補修、再塗装の際に、ディフューザ5の羽根5aやステーベーンが邪魔になって補修施工困難になる、または補修施工方法が制限されるという問題を回避できる。すなわち、本実施例のポンプは上述した通り、吐出口径が大きいので、上記塗装作業や補修作業では、作業者が胴板1a内にアクセスできれば、作業性が大幅に向上する。本実施例のポンプでは、ディフューザが別体であるので、ディフューザ5を取り外した状態で渦巻きケーシング1を単体で塗装及び補修できる。さらに、渦巻きケーシングの半径方向流れ部が開放されているので、塗装や補修の作業への支障がない。また、ケーシング1の胴板1aが全体的に変形することによって内圧による荷重を分散して受け持ち、応力集中を避けることができる。
なお、上記実施例では製缶構造のケーシングの場合を例にとり説明したが、鋳物構造のケーシングでも本発明は適用できる。鋳物構造にすると、渦巻きケーシングの形状をより正確な渦巻き形状とすることが可能になる。
1…渦巻ケーシング、1…胴板(殻構造部材)、2…渦巻き部、3a…上リング、3b…下リング、5…ディフューザ、5a…ディフューザ上側板、5b…ディフューザ下側板、5c…羽根、6…締結ボルト、7a…上カバー、7b…下カバー、8…羽根車、8a…心板、8b…側板、8c…羽根、9…保護板、11…回転軸、12…吐出口、13…吸込み管、14…シール、15…軸受、16…基礎、20…立軸渦巻きポンプ。

Claims (6)

  1. 回転軸と、この回転軸の先端に取り付けられた遠心羽根車と、前記遠心羽根車の外径側に配置され周方向に間隔をおいて複数の羽根が配置されたディフューザと、このディフューザの外径側に配置される渦巻きケーシングとを有し、前記渦巻きケーシングは周方向に断面積を徐々に変化させる渦巻き部と、前記渦巻き部の内径側開放部に形成され平行に配置された2枚のリング部材とを有し、前記リング部材の内径端の径が前記ディフューザの羽根の外径端の径以上であることを特徴とする渦巻きポンプ。
  2. 前記ディフューザでは、前記羽根の両側面にリング状の側板が配設されており、前記渦巻きケーシングの両リング部材と前記ディフューザの両側板のそれぞれの背面側に前記リング部材と前記側板を締結するカバーを設け、前記カバーと前記リング部材と前記側板とを締結部材で締結したことを特徴とする請求項1に記載の渦巻きポンプ。
  3. 前記回転軸を立軸に配置し、作動流体を下方から吸い込むようにし、前記羽根車の心板の背面側であって一方の前記カバーの内面側に保護板を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の渦巻きポンプ。
  4. 渦巻きポンプに備えられ、複数枚の羽根を備えたディフューザを内径側に収容可能な渦巻きケーシングにおいて、周方向に断面積を徐々に変化させる渦巻き部と、前記渦巻き部の内径側開放部に形成され平行に配置された2枚のリング部材とを有し、前記リング部材の内径端の位置が前記ディフューザの羽根の外径端の位置より内径側であることを特徴とする渦巻きケーシング。
  5. 前記渦巻き部は、薄板鋼板を曲げ加工して複数の殻構造の部材を形成した後、この曲げ加工により形成された複数の殻構造の部材と前記リング及び前記複数の部材同士を溶接して一体化したものであることを特徴とする請求項4に記載の渦巻きケーシング。
  6. 前記渦巻き部と前記リング部とを、鋳造により一体化したことを特徴とする請求項4に記載の渦巻きケーシング。
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