JP2014190213A - ベーンポンプ - Google Patents

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Kazuya Mizuno
和哉 水野
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Abstract

【解決手段】 ベーンポンプのポンプ室Pには、当該ポンプ室Pと上記エンジンの内部空間S1とを連通させる排出通路12と、当該排出通路12に設けられて上記ポンプ室Pの内部が所定の圧力に達すると開放されて上記空気および潤滑油を上記エンジンの内部空間S1に排出するリード弁14(弁手段)とが設けられている。
エンジンの内部空間S1に上記リード弁14を覆うカバー8を設けるとともに、当該カバー8に穿設されて当該カバーの内部空間S2と上記エンジンの内部空間S1と連通させる排出孔8bとを設けている。
【効果】 エンジンの騒音を低減させるとともに、上記排出通路から排出された潤滑油を燃焼させずに回収することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明はベーンポンプに関し、詳しくはポンプ室の内部で回転するロータおよびベーンと、上記ポンプ室と上記エンジンの内部空間とを連通させる排出通路と、当該排出通路に設けた弁手段とを備えたベーンポンプに関する。
従来、エンジンに固定されて内部に略円形のポンプ室が形成されたハウジングと、ポンプ室の中心に対して偏心した位置で回転するロータと、当該ロータと一体的に回転するとともにエンジンの内部に突出してカムシャフトに連結される駆動軸と、上記ロータによって回転してポンプ室を常に複数の空間に区画するベーンと、上記ハウジングに形成されて上記ポンプ室と上記エンジンの内部空間とを連通させる排出通路と、当該排出通路に設けられて上記ポンプ室の内部が所定の圧力に達すると開放されて上記空気および潤滑油をエンジンの内部空間に排出する弁手段とを備えたベーンポンプが知られている(特許文献1)。
この特許文献1における弁手段はリード弁となっており、ポンプ室の内部が所定の圧力に達すると開放されて、上記空気および潤滑油をエンジンの内部空間へと排出するようになっている。
特開2006−226164号公報
ここで、上記潤滑油がポンプ室の内部において圧縮された状態から略大気圧のエンジンの内部空間に排出されると、急激な圧力変動により霧状となってエンジンの内部空間に噴射される。
すると、潤滑油が霧状となる際に噴射音が発生してエンジンの騒音の原因となる。
またPCV方式(positive crankcase
ventilation)を採用するエンジンにおいて、上記霧状となった潤滑油はエンジンの内部空間に排出されたブローバイガスと混合されたのち、当該ブローバイガスとともに燃焼室へと還元される。
そして上記霧状となった潤滑油のうち粒径が小さいものは、上記ブローバイガスを吸気系に還元する際にPCV用フィルターで捕集できず、ブローバイガスとともにエンジンの燃焼室に流入して燃焼してしまい、潤滑油が消費されてしまうという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明はエンジンの騒音を低減させるとともに、上記排出通路から排出された潤滑油を燃焼させずに回収することが可能なベーンポンプを提供するものである。
すなわち本発明は、エンジンに固定されて内部に略円形のポンプ室が形成されたハウジングと、ポンプ室の中心に対して偏心した位置で回転するロータと、当該ロータと一体的に回転するとともにエンジンの内部に突出してカムシャフトに連結される駆動軸と、上記ロータによって回転してポンプ室を常に複数の空間に区画するベーンと、上記ハウジングに形成されて上記ポンプ室と上記エンジンの内部空間とを連通させる排出通路と、当該排出通路に設けられて上記ポンプ室の内部が所定の圧力に達すると開放されて上記空気および潤滑油を上記エンジンの内部空間に排出する弁手段とを備えたベーンポンプにおいて、
上記エンジンの内部空間側に設けられて上記弁手段を覆うカバーと、当該カバーに穿設されてカバーの内部空間と上記エンジンの内部空間と連通させる排出孔とを設けたことを特徴としている。
上記請求項1の発明によれば、弁手段よりエンジンの内部空間に霧状となって噴射された潤滑油は、当該弁手段を覆うカバーの内部空間に噴射されることとなる。
これにより、潤滑油の噴射による噴射音を上記カバーの内部空間によって吸収することができ、エンジンの騒音を低減させることができる。
また、上記霧状の潤滑油を上記カバーの内部空間に噴射することでこれを液状化させることができ、液状化した潤滑油を上記排出孔を介してエンジンの内部空間へと排出することができる。
特にPCV方式のエンジンにおいては、霧状の潤滑油が維持されたとしても、その粒径をPCV用フィルターで捕集可能な程度に大きくすることができ、これにより潤滑油の燃焼室への流入を防止して燃焼による潤滑油の消費を防止することができる。
本発明の実施例を示すベーンポンプの断面図。 ベーンポンプの正面図。
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1、図2は自動車のエンジン1の側面に固定されたベーンポンプ2を示し、このベーンポンプ2は図示しないブレーキ装置の倍力装置に接続されて負圧を供給するようになっている。
また本実施例における上記エンジン1はいわゆるPCV方式を採用しており、燃焼室からエンジンの内部空間S1に排出されたブローバイガスを回収し、これを図示しないインテークマニホールドを介して燃焼室に還元するようになっており、上記ブローバイガスの経路にはブローバイガス中の潤滑油を回収する図示しないPCV用フィルターが設けられている。
上記ベーンポンプ2は、エンジン1の側面に固定されてその内部にポンプ室Pが形成されたハウジング3と、上記ポンプ室Pの内部で回転するロータ4と、上記ロータ4によって上記ポンプ室Pの内部を回転するとともに、当該ポンプ室Pを常時複数の空間に区画するベーン5と、上記ロータ4に一体的に設けられて上記エンジン1の内部で回転するカムシャフト6に連結された駆動軸7と、エンジンの内部空間S1に設けられて駆動軸7を囲繞するカバー8とを備えている。
上記ハウジング3は円筒状に形成されて上記ポンプ室Pを形成する大径部3aと、当該大径部3aよりも小径に形成されて上記駆動軸7を軸支する軸受部3bとを備え、当該大径部3aと軸受部3bとの境界に形成された段差部が上記エンジン1の側面に密着し、また上記軸受部3bの先端がエンジン1を貫通してエンジンの内部空間S1に臨むようになっている。
また上記ハウジング3の大径部3aに形成された開口部にはキャップ9が装着され、上記大径部3aの開口部の周囲には環状の溝が形成されるとともに、当該溝にはゴム製のリングシール10が設けられており、上記キャップ9とリングシール10とが密着することで上記ポンプ室Pが密閉されるようになっている。
また上記ハウジング3には、上記ポンプ室Pと上記ブレーキ倍力装置とを連通させる吸気通路11と、ポンプ室Pとエンジンの内部空間S1とを連通させる排出通路12とが形成されている。
上記吸気通路11はポンプ室Pの上部に設けられ、ポンプ室Pの内周面に開口するとともにエンジン1の外部空間と連通するように設けられている。また吸気通路11にはチェックバルブ13が設けられており、エンジン1が停止した際には倍力装置の負圧を保持するようになっている。
上記排出通路12は図1に示すように軸受部3bの内部に形成されており、ポンプ室Pの側面から当該軸受部3bを軸方向に貫通して上記エンジンの内部空間S1に連通している。
そして、当該排出通路12におけるエンジンの内部空間S1側の開口部には弁手段としてのリード弁14が設けられており、当該リード弁14は、上記排出通路12内が所定の圧力に達すると弾性変形して当該排出通路12を開放し、圧力が低下すると弾性変形が解除されて再び排出通路12を閉鎖するようになっている。
なお、上記弁手段としてはポンプ室の内部が所定の圧力に達すると開放されてその後閉鎖されるものであればよく、上記リード弁14のほか、チェックバルブ等を用いることができる。
上記ロータ4はポンプ室P内で回転するとともに外周面の一部がポンプ室Pの内周面に接するように設けられた円筒状の部材となっており、当該ロータ4には上記ベーン5を摺動可能に収容する直径方向に形成された溝が形成され、ロータ4の回転に伴って上記ベーン5が当該溝に沿って往復動するようになっている。
上記ベーン5は板状の部材となっており、当該ベーン5の両端にはキャップ5aが設けられている。そして上記ロータ4によってベーン5が回転すると、上記キャップ5aが常にポンプ室Pの内周面に摺接した状態を維持し、ポンプ室Pを常時複数の空間に区画するようになっている。
そして図2に示すように、上記ロータ4およびベーン5の回転に対して上流側には上記吸気通路11が開口し、その下流側に排出通路12が開口している。
上記駆動軸7は上記ロータ4と同軸上に一体的に設けられており、上記ハウジング3の軸受部3bより突出して、その端部がエンジンの内部空間S1側に露出している。
駆動軸7の端部には上記カムシャフト6が連結されており、上記カムシャフト61の回転によって駆動軸7が駆動されると、上記ロータ4およびベーン5が回転するようになっている。
駆動軸7の中心軸上には、ポンプ室Pには開口しないがエンジンの内部空間S1側に開口する軸方向給油孔7aが設けられており、この軸方向給油孔7aは上記カムシャフト6の内部に形成された給油通路6aと連通し、カムシャフト6からの潤滑油が供給されるようになっている。
また上記駆動軸7における上記ハウジング3の軸受部3bと摺動する部分には、上記軸方向給油孔7aの端部に接続され、かつ駆動軸7を直径方向に貫通してその外周面に開口する直径方向給油孔7bが形成されている。
さらに、上記ハウジング3における軸受部3bの内周面下方には、上記駆動軸7の直径方向給油孔7bの開口部の位置に合わせて、上記ポンプ室Pと連通するように形成された軸方向溝3cが形成されている。
このような構成により、上記駆動軸7が回転すると、上記直径方向給油孔7bが上記軸方向溝3cと断続的に連通し、これにより直径方向給油孔7bの潤滑油が軸方向溝3cを流通してポンプ室P内へと流入し、上記ロータ4やベーン5の潤滑を行うようになっている。
上記カバー8は有底円筒状に形成され、当該カバー8における図示右方の底部には上記カムシャフト6が貫通する貫通孔8aが穿設され、またカバー8の下側の側面には排出孔8bが穿設されている。
さらに上記カバー8の内周面は、上記ハウジング3における上記軸受部3bの外周面に嵌合し、また外周面は上記エンジン1の側面に形成された貫通孔1aに嵌合するように設けられている。
これらが嵌合する軸受部3bの外周面および上記カバー8の外周面には、それぞれ溝が形成されるとともにそれぞれリングシール15、16が設けられており、これらのシールを行っている。
このような構成を有するカバー8によれば、上記ハウジング3におけるエンジン1の内部空間側に設けられた上記リード弁14を、当該カバー8の内部に形成されたカバーの内部空間S2に収容して、上記エンジンの内部空間S1から区画するようになっている。
以上の構成を有するベーンポンプ2について、以下にその動作を説明すると、従来のベーンポンプ2と同様、エンジン1の作動によってエンジン1の内部でカムシャフト6が回転すると、これに連動して上記駆動軸7および上記ロータ4が回転する。
上記ロータ4が回転すると、上記ベーン5がロータ4に形成された溝を往復動しながら回転し、当該ベーン5によって区画されたポンプ室Pの空間がロータ4の回転に応じてその容積を変化させる。
その結果、上記吸気通路11側のベーン5によって区画された空間では、容積が増大してポンプ室P内に負圧が生じ、吸気通路11を介して倍力装置へと負圧が供給される。
一方、エンジン1の始動とともに、潤滑油が上記カムシャフト6の内部に形成された給油通路6aを流通し、上記駆動軸7の軸方向給油孔7aを介して上記直径方向給油孔7bへと流入する。
さらに上記駆動軸7が回転して、上記直径方向給油孔7bが上記軸受部3bに形成された軸方向溝3cに連通すると、潤滑油はこの直径方向給油孔7bから軸方向溝3cを介して上記ポンプ室Pへと流入し、当該ポンプ室Pにおいて上記ロータ4やベーン5の潤滑をするようになっている。
一方、倍力装置から吸引された気体は、ベーン5の回転によって上記排出通路12より排出され、その際上記ポンプ室Pに流入した潤滑油の一部も排出されるようになっている。
ここで、上記ベーン5によって排出通路12側の空間の容積が減少すると、上記排出通路12における空気と潤滑油の圧力が高くなり、この圧力が所定圧力を超えると、それまで閉鎖されていた上記リード弁14が弾性変形して排出通路12を開放し、空気と潤滑油とが排出される。
そして、略大気圧であるエンジンの内部空間S1に対し、上記排出通路12は高圧となっているため、急激な圧力変動によって空気と潤滑油とが霧状となって噴射される。
しかして、本実施例には上記リード弁14を覆うように上記カバー8を設けているため、この霧状となった潤滑油は上記カバーの内部空間S2に噴射され、エンジンの内部空間S1には直接噴射されないようになっている。
まず、噴射された潤滑油のうち、カバー8の内周面に付着した潤滑油は、その後液状化して当該カバー8の内周面を重力により下方に移動し、カバー8の下部に形成された排出孔8bよりエンジンの内部空間S1に排出され、オイルパン等に回収される。
一方、一部の潤滑油は霧状を維持したまま上記排出孔8bや上記カムシャフト6と貫通孔8aとの間からエンジンの内部空間S1に排出され、この霧状の潤滑油はエンジン1の燃焼室から排出されたブローバイガスとともに燃焼室へと還元される経路を流通する場合がある。
しかしながら、上記霧状の潤滑油は上記カバーの内部空間S2に噴射された際にカバー8の内周面に衝突等することによってその粒径が大きくなっており、上記ブローバイガスの経路上に設けられた図示しないPCV用フィルターによって捕集することができることから、当該潤滑油が燃焼室まで供給されて燃焼してしまうのを防止することができる。
一方、上記リード弁14から空気および潤滑油が排出される際、潤滑油が霧状となることによって噴射音が発生し、またリード弁14が弾性力によって排出通路12を閉鎖する際にリード弁14とハウジング3との衝突音が発生する。
また上記ロータ4およびベーン5は高速で回転しており、上記リード弁14は上記ベーン5が上記排出通路12を通過するたびに開閉することから、上記噴射音および衝突音は繰り返し発生しており、これがエンジン1の発生させる騒音の原因の一つとなっている。
しかしながら、上記カバー8によって当該リード弁14を覆うことで、上記リード弁14の開閉に伴って発生するこのような噴射音や衝突音を抑制することができる。
なおカバー8の形状については、上記実施例のように有底円筒状としてその底部に駆動軸7が貫通するような貫通孔8aを備えた構成とする必要はなく、上記リード弁14を覆ってエンジンの内部空間S1から区画された内部空間S2を形成するような形状であればよい。
例えば、上記ハウジング3におけるリード弁14の位置に、上記リード弁14よりも若干大きな開口部を有する有底筒状の部材としたり、上記ハウジング3側に開口するとともに上記軸受部3bを囲繞する断面コ字形のリング状の部材としてもよい。
そして、上記各実施例では1枚のベーン5を備えたベーンポンプ2を用いて説明を行っていたが、従来知られるような複数枚のベーン5を備えたベーンポンプ2であっても適用可能であり、またその用途も倍力装置に負圧を発生させるためだけに限られないのは言うまでもない。
1 エンジン 2 ベーンポンプ
3 ハウジング 3b 軸受部
4 ロータ 5 ベーン
7 駆動軸 8 カバー
8a 貫通孔 8b 排出孔
P ポンプ室 S1 エンジンの内部空間
S2 カバーの内部空間

Claims (5)

  1. エンジンに固定されて内部に略円形のポンプ室が形成されたハウジングと、ポンプ室の中心に対して偏心した位置で回転するロータと、当該ロータと一体的に回転するとともにエンジンの内部に突出してカムシャフトに連結される駆動軸と、上記ロータによって回転してポンプ室を常に複数の空間に区画するベーンと、上記ハウジングに形成されて上記ポンプ室と上記エンジンの内部空間とを連通させる排出通路と、当該排出通路に設けられて上記ポンプ室の内部が所定の圧力に達すると開放されて上記空気および潤滑油を上記エンジンの内部空間に排出する弁手段とを備えたベーンポンプにおいて、
    上記エンジンの内部空間側に設けられて上記弁手段を覆うカバーと、当該カバーに穿設されてカバーの内部空間と上記エンジンの内部空間と連通させる排出孔とを設けたことを特徴とするベーンポンプ。
  2. 上記弁手段が上記排出通路におけるエンジンの内部空間側の開口部を閉鎖するリード弁であることを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ。
  3. 上記カバーを有底筒状に形成するとともに、中央に上記駆動軸もしくはカムシャフトが貫通する貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のベーンポンプ。
  4. 上記ハウジングは、エンジンの内部空間側に形成されて上記駆動軸を軸支する筒状の軸受部を備え、上記排出通路を当該軸受部の内部を軸方向に貫通するように設け、
    上記カバーを上記軸受部の外周に嵌合するように設けて、上記弁手段を覆うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のベーンポンプ。
  5. 上記カバーの外周面を、エンジンに形成した貫通孔に嵌合させたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のベーンポンプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016075229A (ja) * 2014-10-07 2016-05-12 三輪精機株式会社 ベーン式真空ポンプ
CN109891098A (zh) * 2016-11-03 2019-06-14 大丰工业株式会社 叶片泵

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