JP2014190184A - 気化器 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピストンバルブ型の気化器において、誤組防止ピンを有効活用することにより、スロットル弁への打痕を防止し、操作上の違和感が生じることを防止する。
【解決手段】ガイドピン4f及び誤組防止ピン4gがスロットル弁4bよりも硬い材料から形成され、誤組防止ピン4gは、ガイドピン4fに対してスロットル弁4bの往復動方向に離間して配置されると共に、スロットル弁4bの往復動位置に関わらずスロットル弁4bのスリット4b1に挿入される位置に設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】ガイドピン4f及び誤組防止ピン4gがスロットル弁4bよりも硬い材料から形成され、誤組防止ピン4gは、ガイドピン4fに対してスロットル弁4bの往復動方向に離間して配置されると共に、スロットル弁4bの往復動位置に関わらずスロットル弁4bのスリット4b1に挿入される位置に設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、気化器に関するものである。
自動二輪車等には、エンジンに供給する予混合気を生成する気化器が設けられている。例えば、ピストンバルブ型の気化器では、特許文献1に示すように、吸気路が設けられた吸気胴に対して弁筒が突出するように取り付けられており、この弁筒の内部に往復動可能に設けられたスロットル弁で吸気路の開口割合を調節することによって予混合気の生成量を調節している。
ところで、ピストンバルブ型の気化器では、スロットル弁が弁筒内において往復動方向から見て回転することを抑制する必要がある。例えば、特許文献1に示すように、ピストンバルブ型の気化器では、エンジンがアイドル状態のときにおけるスロットル弁の位置を規定するためのアイドル調整ボルトを備えており、スロットル弁が最下位置のときにスロットル弁の底部にこのアイドル調節ボルトが当接される。スロットル弁のアイドル調節ボルトが当接する位置には斜面が形成されており、正確に当該斜面にアイドル調節ボルトを当接させるためには、スロットル弁が弁筒内において回転することを抑制する必要がある。
このため、従来のピストンバルブ型の気化器においては、スロットル弁に対して往復動方向に延在するスリットを形成し、弁筒に固定されたガイドピンをスリットに挿入させることでスロットル弁の回転を抑制している。
しかしながら、金属製のガイドピンを用いた場合には、スロットル弁が回転しようとしてガイドピンに当たったときに、スロットル弁に対して打痕が生じる。このため、スロットル弁が移動するときに、打痕とガイドピンとが干渉して乗員に対して操作上の違和感を与える可能性がある。
また、ピストンバルブ型の気化器には、組み立て時に、スロットル弁を弁筒に対して正確に挿入するための誤組防止ピンが備えられている。この誤組防止ピンは、弁筒の内部に突出するように取り付けられており、往復動方向から見たスロットル弁と弁筒との位置関係が本来の位置からずれたときに、スロットル弁の弁筒への侵入を規制する。このような誤組防止ピンは、完成した気化器に対しても残されたままとなるが、組み立て時のみしか用いられておらず、部品の有効活用が望まれる。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ピストンバルブ型の気化器において、誤組防止ピンを有効活用することにより、スロットル弁への打痕を防止し、操作上の違和感が生じることを防止することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
第1の発明は、弁筒内に往復動可能に設けられると共に往復動方向に延在するスリットが形成されたスロットル弁と、上記弁筒に固定されると共に上記スリットに挿入されて上記スロットル弁をガイドするガイドピンと、上記弁筒に固定されると共に組み立て時にて上記弁筒と上記スロットル弁との位置関係を規定する誤組防止ピンとを備える気化器であって、上記ガイドピン及び上記誤組防止ピンが上記スロットル弁よりも硬い材料から形成され、上記誤組防止ピンが、上記ガイドピンに対して上記スロットル弁の往復動方向に離間して配置されると共に、上記スロットル弁の往復動位置に関わらず上記スリットに挿入される位置に設けられているという構成を採用する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記誤組防止ピンが、上記ガイドピンと同一形状かつ同一材により形成されているという構成を採用する。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記スロットル弁がアルミニウムから形成され、上記ガイドピン及び上記誤組防止ピンがステンレス鋼から形成されているという構成を採用する。
本発明によれば、ガイドピン及び誤組防止ピンがスロットル弁よりも硬い材料から形成されている。このため、ガイドピン及び誤組防止ピンがスロットル弁と摺動することにより摩耗することを防止することができる。
また、本発明によれば、誤組防止ピンが、スロットル弁の往復動位置に関わらずスロットル弁のスリットに挿入される位置に設けられている。このため、スロットル弁が弁筒内で回転しようとしたときに、スロットル弁の移動がガイドピン及び誤組防止ピンとの両方で規制されることになる。このため、ガイドピンのみでスロットル弁の移動を規制する場合と比較して、スロットル弁に局所的に作用する衝撃力の最大値が小さくなり、スロットル弁に打痕が生じることを防止することができる。
このように、本発明によれば、ピストンバルブ型の気化器において、誤組防止ピンを有効活用することにより、スロットル弁への打痕を防止することができ、これによって操作上の違和感が生じることを防止することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係る気化器の一実施形態について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本実施形態の気化器1の一部を切断した斜視図である。また、図2は、本実施形態の気化器1が備える後述の弁部4を主とした拡大縦断面図である。なお、図1においては、後述する戻しバネ4e及びキャップ4dについては、省略して図示している。
本実施形態の気化器1は、吸気胴2と、フロート部3と、弁部4と、ノズル5と、アイドル調節ボルト6とを備えている。なお、本実施形態の気化器1は、いわゆるピストンバルブ型の気化器である。
吸気胴2は、内部が吸気路2aとされた円筒状の部位であり、図1に示すように、水平方向に開口されている。これらの開口の一方が吸気路2aに空気を取り込むための吸気口とされ、他方が吸気路2aの内部で生成された予混合気を吐出するための吐出口とされている。フロート部3は、吸気胴2の下方に取り付けられており、外部の燃料タンクから供給される燃料を一時的に貯蔵すると共に、弁部4が開放されたときに貯蔵された燃料の一部が吸気路2aに供給されるように吸気路2aと接続されている。
弁部4は、弁筒4aと、スロットル弁4bと、ニードル弁4cと、キャップ4dと、戻しバネ4eと、ガイドピン4fと、誤組防止ピン4gとを備えている。弁筒4aは、吸気胴2の周面に対して取り付けられており、吸気胴2の半径方向外側に向けて突出するようにして設けられている。この弁筒4aは、内部が中空とされた円筒形状をしており、内部が吸気路2aと接続されている。
スロットル弁4bは、弁筒4aの内部に収容される有底円筒状の部品であり、弁筒4a内において上下方向に往復動可能とされている。図3は、スロットル弁4b、戻しバネ4e、ガイドピン4f、誤組防止ピン4g及びアイドル調節ボルト6のみを図示した拡大斜視図である。この図に示すように、スロットル弁4bには、下端から上端近傍まで延在するスリット4b1が形成されている。このスリット4b1は、図3に示すように、スロットル弁4bの往復動方向に延在して設けられている。このスリット4b1が形成されたスロットル弁4bは、ガイドピン4fの先端部及び誤組防止ピン4gの先端部がスリット4b1に挿入された状態で上下方向に往復動する。また、図2に示すように、スリット4b1と反対側の底部には、スロットル弁4bの半径方向外側に向けて高くなる斜面4b2が設けられている。この斜面4b2には、スロットル弁4bが最も低い位置にあるときに、アイドル調節ボルト6の先端が当接される。このようなスロットル弁4bは、本実施形態においては、アルミニウムにより形成されている。
ニードル弁4cは、図2に示すように、スロットル弁4bの底部に対して取り付けられており、下方に向かって突出するように設けられている。このニードル弁4cは、僅かに先細りとなる形状とされており、吸気路2aとフロート部3の内部とを連通するノズル5に挿入されている。このニードル弁4cは、スロットル弁4bとともに上下方向に移動される。ニードル弁4cが上方に移動されたときには、ニードル弁4cが先細り形状であることから、ノズル5の開口割合が増加し、吸気路2aに対して多くの燃料が供給可能な状態となる。一方、ニードル弁4cが下方に移動されたときには、ノズル5の開口割合が減少し、吸気路2aに多くの燃料が供給されない状態となる。
キャップ4dは、弁筒4aの上端を覆うようにして弁筒4aに取り付けられており、中央部が開口されている。この開口を介して不図示の操作ワイヤが弁筒4aの上方からスロットル弁4bの底部と接続されている。当該操作ワイヤが上下動されることにより、スロットル弁4bが上下に往復動される。戻しバネ4eは、キャップ4dとスロットル弁4bとの間に介装されており、スロットル弁4bを下方に向けて付勢している。
図4は、ガイドピン4f及び誤組防止ピン4gを含む拡大分解図である。この図に示すように、ガイドピン4fは、弁筒4aのスリット4b1に対向する位置に設けられた貫通孔4a1に圧入されることにより弁筒4aに対して固定される円柱状部品である。このガイドピン4fは、スロットル弁4bの往復動位置に関わらず、常にスリット4b1に先端部が挿入される高さに設置されており、往復動するスロットル弁4bをガイドする。
誤組防止ピン4gは、図4に示すように、ガイドピン4fが圧入された貫通孔4a1の上方に形成された貫通孔4a2に圧入されることにより弁筒4aに対して固定される円柱状部品である。この誤組防止ピン4gは、ガイドピン4fの上方(往復動方向)に離間して配置されており、組み立て時に往復動方向から見てスロットル弁4bを180°回転させた状態で弁筒4a内に挿入しようとしたときに、スロットル弁4bの斜面4b2に当接し、スロットル弁4bの上端部が弁筒4a内に落ち込まない高さに配置されている。また、この誤組防止ピン4gは、ガイドピン4fと同様に、スロットル弁4bの往復動位置に関わらず、常にスリット4b1に先端部が挿入される高さに設置されている。
これらのガイドピン4f及び誤組防止ピン4gは、同一形状かつ同一材により形成されている。このようなガイドピン4f及び誤組防止ピン4gを形成する材料としては、スロットル弁4bを形成する材料(本実施形態においてはアルミニウム)よりも硬い材料が用いられ、例えば、ステンレス鋼を用いることができ、より詳細にはSUS−XM7またはSUS−303を用いることができる。
ノズル5は、フロート部3の内部と吸気路2aとを接続しており、フロート部3に貯蔵された燃料を吸気路2aに供給するための流路である。アイドル調節ボルト6は、弁筒4aに螺合されており、弁筒4aの外側から弁筒4aを貫通して先端が弁筒4aの内部に配置されている。このアイドル調節ボルト6は、回転させることによって、スロットル弁4bの斜面4b2に当接する先端の位置を水平方向に移動可能とされている。このアイドル調節ボルト6の先端位置によってスロットル弁4bの最も低い位置が規定される。
このような構成を有する本実施形態の気化器1においては、スロットル弁4bが上昇されると、吸気路2aの開口割合が増加すると共に、ノズル5の開口割合が増加する。この結果、多量の予混合気が生成されて気化器1から吐出される。
一方、スロットル弁4bが下降されると、吸気路2aの開口割合が減少すると共に、ノズル5の開口割合が減少する。この結果、最小限の予混合気が生成されて気化器1から吐出される。
そして、本実施形態の気化器1においては、スロットル弁4bが上下方向に往復動されるときに、ガイドピン4fの先端部と誤組防止ピン4gの先端部とが常にスロットル弁4bのスリット4b1に挿入された状態とされる。
このような本実施形態の気化器1によれば、ガイドピン4f及び誤組防止ピン4gがスロットル弁4bよりも硬い材料から形成されている。このため、ガイドピン4f及び誤組防止ピン4gがスロットル弁4bと摺動することにより摩耗することを防止することができる。なお、スロットル弁4bをアルミニウムによって形成し、ガイドピン4f及び誤組防止ピン4gをSUS−XM7またはSUS−303によって形成することで、ガイドピン4f及び誤組防止ピン4gがスロットル弁4bと摺動することにより摩耗することを防止することができる。
また、本実施形態の気化器1によれば、誤組防止ピン4gが、スロットル弁4bの往復動位置に関わらずスロットル弁4bのスリット4b1に挿入される位置に設けられている。このため、スロットル弁4bが弁筒4a内で回転しようとしたときに、スロットル弁4bの移動がガイドピン4f及び誤組防止ピン4gとの両方で規制されることになる。このため、ガイドピン4fのみでスロットル弁4bの移動を規制する場合と比較して、スロットル弁4bに局所的に作用する衝撃力の最大値が小さくなり、スロットル弁4bに打痕が生じることを防止することができる
このように、本実施形態の気化器1によれば、ピストンバルブ型の気化器において、誤組防止ピン4gを有効活用することにより、スロットル弁4bへの打痕を防止することができ、これによって操作上の違和感が生じることを防止することが可能となる。
また、本実施形態の気化器1によれば、ガイドピン4f及び誤組防止ピン4gは、同一形状かつ同一材により形成されている。このため、ガイドピン4f及び誤組防止ピン4gを1つの部品で兼用することができ、部品の製造コストや管理コストを削減することが可能となる。さらに、ガイドピン4f及び誤組防止ピン4gが同一形状であることから、スロットル弁4bが弁筒4a内で回転しようとしたときに、ガイドピン4f及び誤組防止ピン4gの両方が確実にスロットル弁4bに当接する。このため、スロットル弁4bに局所的に作用する衝撃力の最大値をより確実に小さくすることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、ガイドピン4f及び誤組防止ピン4gは、同一形状かつ同一材により形成されているという構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ガイドピン4fをSUS−XM7で形成し、誤組防止ピン4gをSUS−303で形成することも可能である。また、ガイドピン4fあるいは誤組防止ピン4gのいずれか一方を角柱状の部品としても良い。
1……気化器、2……吸気胴、2a……吸気路、3……フロート部、4……弁部、4a……弁筒、4a1……貫通孔、4a2……貫通孔、4b……スロットル弁、4b1……スリット、4b2……斜面、4c……ニードル弁、4d……キャップ、4e……戻りバネ、4f……ガイドピン、4g……誤組防止ピン、5……ノズル、6……アイドル調節ボルト
Claims (3)
- 弁筒内に往復動可能に設けられると共に往復動方向に延在するスリットが形成されたスロットル弁と、前記弁筒に固定されると共に前記スリットに挿入されて前記スロットル弁をガイドするガイドピンと、前記弁筒に固定されると共に組み立て時にて前記弁筒と前記スロットル弁との位置関係を規定する誤組防止ピンとを備える気化器であって、
前記ガイドピン及び前記誤組防止ピンが前記スロットル弁よりも硬い材料から形成され、
前記誤組防止ピンは、前記ガイドピンに対して前記スロットル弁の往復動方向に離間して配置されると共に、前記スロットル弁の往復動位置に関わらず前記スリットに挿入される位置に設けられている
ことを特徴とする気化器。 - 前記誤組防止ピンは、前記ガイドピンと同一形状かつ同一材により形成されていることを特徴とする請求項1記載の気化器。
- 前記スロットル弁がアルミニウムから形成され、
前記ガイドピン及び前記誤組防止ピンがステンレス鋼から形成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の気化器。
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