JP2014189914A - 繊維難燃加工助剤及び難燃加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】下記式(I)で表されるトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートを含む難燃加工剤をポリエステル繊維の染色同浴処理に用いた場合においても、汚れの問題が生じず、かつ十分な難燃性及び色相が得られる繊維用難燃加工薬剤及び難燃加工方法を提供する。
【解決手段】界面活性剤およびアミノカルボン酸を含有する難燃加工助剤を用いる。
【化1】
Figure 2014189914

【選択図】なし

Description

本発明は、繊維難燃加工の加工助剤とそれを用いる難燃加工方法に関する。
従来、ポリエステル繊維又はこれによりなる布帛等の繊維製品に対して後加工により難燃性を付与するための難燃加工剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン(以下、HBCDと略記する)などの臭素系化合物を水に分散させたものが一般に使用されてきた。しかし、HBCDを用いた場合、80℃以上の高温吸尽処理を施す難燃加工時に、加工機内の缶体汚染が発生するという問題があった。この対策として、過剰なポリオキシアルキレンアリールエーテルにより原料HBCDを溶解可溶化させて水で転相乳化させてなる防炎加工剤を用いる方法(特許文献1)や、自己乳化型水溶性ポリエステル化合物を用いて、水中に微粒子化分散させた防炎加工剤を用いる方法(特許文献2)が提案されている。
しかし、HBCDはポリエステル繊維又はこれによりなる布帛等の繊維製品に対する収着率が低く、環境中に排出される量が多いため、環境負荷が大きいという問題もあり、また、最近ではHBCDが難分解・高蓄積性を有することが判明し、脱HBCDの要求が高まっている。
これに対して、トリス(2、3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(以下、TBCと略記する)を含有する水分散体である難燃加工剤による代替処方が提案されている(例えば、特許文献3,4)。しかし、TBCは融点が80〜150℃の化合物であり、その水分散体はHBCDの水分散体以上に缶体汚染かひどく、加工生地を汚染することが大きな問題となっている。特に染色同浴処理に用いる場合、生地に未収着の難燃原体を核とした凝集物や、タール状の物質に変化して染色後の生地を汚染したり、染色機の缶体汚染を引き起こしたりする問題が発生している。
本発明者らは、この問題に対し、上記特許文献1の方法にならい乳化を試みたが、製品安定性が悪く、使用することができなかった。また、特許文献2の方法にならい自己乳化型水溶性ポリエステル化合物を用いて、水中に微粒子化分散する方法も試みたが、缶体汚染、加工生地の汚れを解決することはできなかった。
さらに、特許文献5ではTBCを含有する水分散体に、特定の界面活性剤とポリアクリル酸ナトリウム塩及びホスホン酸基を含有する化合物からなるキレート剤を併用することを提案している。この方法では上記汚染の問題は大きく改善されるが、加工条件によっては加工助剤を多くする必要があり、それによりTBCや染料の分散性が高くなるため、TBCの繊維への収着性は低くなり、十分な難燃性が得られないという問題や、仕上がった生地が難燃加工をしない場合に比べて淡色化する場合がある。
このように、TBCの水分散体では、汚染の諸問題を解決し、かつ十分な難燃性及び色相が得られる難燃加工薬剤や加工方法はいまだに得られていないのが実情である。
特開平3−113072号公報、 特開平7−70924号公報 特開2009−203595号公報 特開2009−174109号公報 特開2012−127037号公報
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、TBCを含む難燃加工剤を染色同浴処理に用いた場合においても、汚れの問題が生じず、かつ十分な難燃性及び色相が得られる難燃加工助剤及び難燃加工方法を提供することを目的とする。
本発明の難燃加工助剤は、下記式(I)で表されるトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートを用いてポリエステル繊維の難燃加工をする際に使用される難燃加工助剤であって、上記の課題を解決するために、界面活性剤およびアミノカルボン酸を含有するものとする。
Figure 2014189914
上記本発明の難燃加工助剤は、界面活性剤として、下記一般式(II)で表される界面活性剤及び下記一般式(III)で表される界面活性剤からなる群から選択された1種又は2種以上を含有することが好ましい。
Figure 2014189914
但し、一般式(II)におけるRは、炭素数8〜21のアルキル基又はアルケニル基を示し、一般式(III)におけるYは次式で表される置換基を示し、mは1〜5の数を示し、一般式(II)及び(III)におけるXは、水素原子またはアニオン性基を表し、nは1〜200の数を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。
Figure 2014189914
また、上記アミノカルボン酸としては、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、及びこれらのナトリウム塩からなる群から選択された1種又は2種以上を好適に用いることができる。
本発明の難燃加工処理液は、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートと本発明の上記難燃加工助剤とを、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート100質量部に対して、アミノカルボン酸が5〜50質量部、界面活性剤が10〜55質量部となる割合で含有するものとする。
本発明の難燃加工方法は、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートを用いてポリエステル繊維を染色同浴難燃処理する難燃加工方法であって、本発明の上記難燃加工処理液に染料をさらに含有する染色難燃加工処理液にポリエステル繊維を浸漬し、この処理液の液温を80℃以上に保持する工程を含む方法とする。
本発明の難燃加工助剤によれば、生地の汚染、染色機の缶体汚染を起こすことなく、本来求められる難燃性や色相を発現する難燃加工処理が可能になる。また、従来の加工方法に比べて、難燃剤の使用量を抑えつつ所望の効果を得ることができる。
染色同浴処理では通常60℃以下の温度から加工を開始し、最高温度120℃以上まで加熱した後、80℃以下まで冷却を行うが、この熱履歴がTBCの融点100〜115℃を超えるため、融点付近での分散状態が不安定になり、繊維素材溶出オリゴマーや染料、加工水中の金属イオンを核としたTBCの凝集物に変化して汚れを生じると考えられるところ、本願発明によればアミノカルボン酸がTBC凝集物に対して特異的な分散性能を示し、分散状態を飛躍的に向上させるため、上記効果が得られると考えられる。
本発明の難燃加工助剤は、難燃剤(難燃原体)として下記式(I)で表されるTBCを水分散体として含む難燃加工剤を用いて、通常は120℃以上の熱履歴を加えるポリエステル繊維の難燃加工処理に用いるものであり、TBCが本来有する難燃性付与機能を十分に発現させるとともに、TBCの凝集物発生を抑制し、生地の汚染、染色機の缶体汚染を起こすことのない加工を行うものである。
Figure 2014189914
上記難燃加工剤には、本発明の目的に反しない範囲であれば、難燃剤(難燃原体)としてTBC以外に臭素系難燃剤、リン系難燃剤、窒素系難燃剤及び無機系難燃剤等を含んでいてもよい。
臭素系難燃剤としては、例えば、ヘキサブロモシクロヘプタン、テトラブロモシクロヘプタン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、その他の臭素化シクロアルカン、ポリブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA(以下、TBBA)、TBBA・エポキシオリゴマー、TBBA・カーボネートオリゴマー、TBBA・ビス(ジブロモプロピルエーテル)、TBBA・ビス(ジブロモメチルプロピルエーテル)、その他のTBBA誘導体、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、1,2−ビス(2,4,6−トリスブロモフェノキシ)エタン、1,2−ビス(2,4,6−トリスブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,6−ジブロモモノフェノール、2,4−ジブロモモノフェノール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、トリブロモフェニルアリルエーテル、トリブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモベンジルアリルエーテル、ペンタブロモベンジルアクリレート、ブロモアクリレートモノマー、臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、ヘキサブロモベンゼン、2,4−ジアミノ−6−(3,3,3−トリブロモ−1−プロピル)−1,3,5−トリアジンのメチロール化合物、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどが挙げられる。
リン系難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、その他の芳香族リン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステル、リン酸ジフェニルモノオルソキセニル、2−ナフチルジフェニルホスフェート、10−ベンジル−9,10−ジヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、トリフェニルホスフィンオキシド、5,5−ジメチル−2−(2’−フェニルフェノキシ)−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−オキシド、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェートなどが挙げられる。
窒素系難燃剤としては、例えば、グアニジン系化合物、グアニル尿素系化合物(例えば、リン酸グアニル尿素)、メラミン系化合物(例えば、ポリ化リン酸メラミン、硫酸メラミン、メラミンシアヌレート)及びポリリン酸アンモニウム塩などが挙げられる。
無機系難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
本発明の難燃助剤は、アミノカルボン酸を含有することにより、難燃性低下や淡色化の問題を生じずに従来技術の汚染の問題を解決する。アミノカルボン酸の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)及びこれらのナトリウム塩等の金属塩が挙げられる。これらの中でも、本発明による上記効果が顕著に得られることから、EDTA、DTPAのナトリウム塩が好適に使用できる。
上記アミノカルボン酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
本発明の難燃加工助剤に用いる界面活性剤、及び難燃加工剤においてTBCを分散させるのに使用する界面活性剤は、共に特に限定されず、一般的な非イオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤を利用可能である。
非イオン界面活性剤の具体的な例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物、アルキルグリコシド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン界面活性剤の具体的な例としては、高級アルコール硫酸エステル塩や、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩,ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、更には、高級アルコールリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボキシレート塩、ポリカルボン酸塩、ロート油、石油スルホネート、アルキルジフェニルエーテルスルホネート塩等が挙げられる。
界面活性剤としては、下記一般式(II)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩や、一般式(III)で表されるポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸エステル塩が好適に使用できる。これらの界面活性剤を使用することにより、汚れの問題を解決し、かつ十分な難燃性及び色相が得られるという本発明の効果が特に顕著に得られる。
Figure 2014189914
一般式(II)におけるRは、炭素数8〜21のアルキル基又はアルケニル基を示し、一般式(III)におけるYは次式で表される置換基を示し、mは1〜5の数を示し、一般式(II)及び(III)におけるXは、水素原子またはアニオン性基を表し、nは1〜200の数を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。
Figure 2014189914
上記界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
本発明の難燃加工助剤及び難燃加工方法におけるアミノカルボン酸の使用量は、TBC100質量部に対して5質量部以上が好ましく、より好ましくは5〜50質量部とし、さらに好ましくは10〜30質量部とする。使用量が5質量部未満であると所望のキレート効果が得られず、生地の汚染、染色機の缶体汚染を引き起こすおそれが生じ、50質量部を超えると使用量が多くなり、環境への悪影響が懸念される。
また界面活性剤の使用量は、TBCの分散に使用する界面活性剤と難燃加工助剤に使用するものとの総量で、TBC100質量部に対して10質量部以上が好ましく、より好ましくは10〜100質量部とし、さらに好ましくは10〜55質量部とする。使用量が10質量部未満であると所望の分散安定性が得られず、100質量部を超えるとTBCの分散性が高くなり過ぎ、生地への吸着率が低くなり、十分な難燃性能が得られなくなるおそれが生じる。
本発明の難燃加工助剤の使用方法は特に限定されず、難燃加工剤(TBCの水分散体)に直接添加してもよく、上記界面活性剤及びアミノカルボン酸を水に混合撹拌して加工処理液(水分散体)を調製したのち、難燃加工剤に添加してもよい。
難燃加工剤には、分散、乳化状態を安定化させるため、水溶性高分子、アルコール類、芳香族系溶剤類、グリコールエーテル類をさらに使用することもできる。
難燃加工剤には、また、キャリヤー成分や、キレート成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合することもできる。キャリヤー成分としては、例えば、安息香酸ベンジル、安息香酸メチル、芳香族ハロゲン化合物、N−アルキルフタルイミド類、メチルナフタレン、ジフェニル、ジフェニルエステル類、ナフトールエステル類、フェノールエーテル類およびヒドロキシジフェニル類などを挙げることができる。
難燃加工方法としては、ポリエステル繊維に対し後加工処理により上記難燃加工助剤を含む難燃加工剤を付与し、80℃以上の熱処理を施す工程よりなる方法が好ましい。このような後加工処理の例としては、高温吸尽法等が挙げられる。
高温吸尽法では、難燃加工剤を添加した処理浴(処理液)中にポリエステル繊維を浸漬し、高温(通常80℃以上、好ましくは110〜140℃)で所定時間(例えば2〜60分間)処理することにより、難燃剤成分を繊維に収着させる。好ましくは、難燃剤成分を染料と同時に繊維に収着させる染色同浴法を用いる。すなわち、難燃加工剤を染色浴に添加しておいて、この染色浴中にポリエステル繊維を浸漬して、高温にて吸尽処理を行うことが効率的であり、本発明による効果が顕著に得られる点から好ましい。
なお、難燃加工処理対象のポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリトリメチレンテレフタレート(PTT)の他、これらにイソフタル酸、イソフタル酸スルホネート、アジピン酸、ポリエチレングリコールなどの第3成分を共重合したものなどが挙げられ、特に、カチオン可染ポリエステル(CD−PET)が含まれるものが好適に用いられる。その他、糸を生成する際、顔料を練り込んで作る原着糸も使用できる。また、処理対象の繊維製品には、各種の糸、織編物、不織布、ロープなどが含まれ、上記繊維の異なった糸を使用した交織布、複合素材であってもよく、例えばポリエステル原着糸交織布等が含まれる。繊維製品は、他の合成繊維、天然繊維、又は半合成繊維が混紡等により組み合わされたものであってもよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において「%」とあるのは、特にことわらない限り「質量%」であるものとする。
1.難燃加工助剤の調製
下記表1に示す配合(有効成分重量%)に従って、処方液を混合撹拌し、各難燃加工助剤を調製した。なお、界面活性剤(1)及び(2)は、以下の方法により製造した。
[界面活性剤(1)の調製]
オートクレーブに、スチレン化フェノール(三光(株)製 TSP)415g、水酸化カリウム1gを仕込み、均一に混合した。その後、反応系の温度を130℃まで昇温させた。次いで、反応系の温度を130℃に保ったまま、エチレンオキシド660gを4時間かけて反応系に滴下した。エチレンオキシドの滴下終了後、130℃にて1時間熟成させて、スチレン化フェノール15EO付加物1054g(収率98%)を得た。
[界面活性剤(2)の調製]
1Lセパラブルフラスコに、界面活性剤(1)753gを仕込んだ。その後、反応系の温度を120℃まで昇温させた。次いで、スルファミン酸68gを反応系に添加した。添加後、110〜120℃にて2時間反応させた。これにより、スチレン化フェノール15EO付加物硫酸エステルアンモニウム塩805g(収率98%)を得た。
Figure 2014189914
2.難燃加工剤の調製
[難燃加工剤1の調製]
TBC(日本化成(株) TAIC−6B)160g、上記で得たスチレン化フェノール15EO付加物硫酸エステルアンモニウム塩8g、水222gを仕込み、処方液を混合撹拌し、スラリーを得た後、このスラリーと同じ容積の直径1.0mmのガラスビーズを混合攪拌し、これをバッチ式ビーズミル(アイメックス(株)製 レディミル)に充填し、2時間粉砕処理した。粉砕処理後100メッシュのろ布によりガラスビーズと分散体とを分離し、その後、カルボキシメチルセルロース・Na塩1%水溶液10gにて粘度調整を行い、分散状態が良好な難燃加工剤1を得た。
[難燃加工剤2の調製]
TBC(日本化成(株) TAIC−6B)160g、上記で得たスチレン化フェノール15EO付加物硫酸エステルアンモニウム塩8g、水222gを仕込み、処方液を混合撹拌し、スラリーを得た後、このスラリーと同じ容積の直径1.0mmのガラスビーズを混合攪拌し、これをバッチ式ビーズミル(アイメックス(株)製 レディミル)に充填し、2時間粉砕処理した。粉砕処理後100メッシュのろ布によりガラスビーズと分散体とを分離し、その後、EDTA・4Na(キレスト(株)製 キレスト40(含有量40%))50g、界面活性剤(1)4g、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(第一工業製薬(株)製 ラベリンFP)4g、水132gを添加し、カルボキシメチルセルロース・Na塩1%水溶液20gにて粘度調整を行い、分散状態が良好な難燃加工剤2を得た。
3.液流染色機による評価
(1)分散性の評価
加工水のカルシウムイオン濃度が高い条件において、上記により得られた分散体状の難燃加工剤及び難燃加工助剤を用いて、染色工程における熱履歴に対する分散、乳化の安定性を確認するため、通常加工条件よりも大過剰の難燃加工剤、難燃加工助剤、染料を用いた染色試験を実施した。
詳細には、実施例6以外の実施例及び比較例では、染色機として(株)テクサム技研製Mini−JETを用い、レギュラーポリエステル/カチオン可染ポリエステル混素材(CD混率50%)の織物に対し、下記に示す染色浴処方について実施した。まず、60℃から昇温して、130℃で30分間処理し、80℃まで降温し、廃液した。その後、80℃で湯洗10分間行い、廃液した後、織物を取り出し、評価を行った。なお、「%owf」(on the weight of fiber)は、繊維重量に対する比率であり、表2中の数値も「%owf」で示す。
実施例6については、下記処方の難燃加工助剤及び難燃加工剤1に代えて難燃加工剤2300%owfを用いた以外は上記と同様にして処理を行い、評価を行った。
[染色浴処方]
Dianix Red AC−E 2.0 %owf
Dianix Yellow AC−E 1.2 %owf
Dianix Blue AC−E 0.2 %owf
(以上、ダイスタージャパン(株)製)
Kayacryl Black BS−ED 3.0 %owf
(日本化薬(株)製)
酢酸 1.0 g/l
無水酢酸ナトリウム 1.0 g/l
難燃加工助剤 150 %owf
難燃加工剤1 150 %owf
加工水のカルシウムイオン濃度 200 ppm
上記において、分散性を調べた結果を表2及び表3に示す。なお、分散性の評価方法は以下の通りである。
[釜内の汚れ]・・・処理浴を廃液した際、内部に汚れが無いものを「○」、凝集物の付着が認められるものを「×」とした。
[生地の汚れ]・・・加工後の生地汚れがまったくないものを「◎」、凝集物の付着による生地汚れが1〜5ヶ所あるものを「○」、凝集物の付着による生地汚れが6ヶ所以上あるもの、もしくは染色ムラが発生しているものを「×」とした。
(2)難燃性の評価
レギュラーポリエステル/カチオン可染ポリエステル混素材(CD混率50%)に対し染色同浴法により難燃加工を施した。詳細には、染色機として(株)テクサム技研製Mini−JETを用い、下記に示す染色浴処方について、浴比1:20で、60℃から昇温して、140℃で30分間処理した。難燃加工剤の処理量は15%owfであった。処理後、80℃まで降温してから織物を取り出し、湯水洗5分間の後、下記の還元洗浄浴処方、浴比1:20、80℃で10分間還元洗浄を行い、更に、湯水洗5分間の後、180℃で30秒間ヒートセットを行った。
[染色浴処方]
Dianix Red AC−E 0.20 %owf
Dianix Yellow AC−E 0.12 %owf
Dianix Blue AC−E 0.02 %owf
(以上、ダイスタージャパン(株)製)
Kayacryl Black BS−ED 0.30 %owf
(日本化薬(株)製)
酢酸 1.0 g/l
無水酢酸ナトリウム 1.0 g/l
難燃加工助剤 15 %owf
難燃加工剤 15 %owf
加工水のカルシウムイオン濃度 200 ppm
[還元洗浄浴処方]
ハイドロサルファイトナトリウム 2.0 g/L
ソーダ灰 1.0 g/L
トライポールTK(第一工業製薬(株)製) 1.0 g/L
上記において、以下の方法で難燃性及び生地の色相を調べた結果を表2及び表3に示す。
[難燃性の評価]
難燃加工した織物について、加工上りのものと、これを下記条件で水洗濯又はドライクリーニングしたものについて、JIS L 1091 A−1法(ミクロバーナー法)及びD法(コイル法)にて難燃性を測定した。評価は、ミクロバーナー法で1分加熱後及び着炎3秒後ともに、残炎が3秒以下で、残塵が5秒以下、かつ炭化面積が30cm以下であり、更に、コイル法で接炎回数3回以上であるものを「○」とし、それ以外を「×」とした。
(水洗濯)JIS K 3371に従って、弱アルカリ性第1種洗剤を1g/Lの割合で用い、浴比1:40として、60℃±2℃で15分間水洗濯した後、40℃±2℃で5分間のすすぎを3回行い、遠心脱水を2分間行い、その後、60℃±5℃で熱風乾燥する処理を1回として、これを5回行った。
(ドライクリーニング)試料1gにつき、テトラクロロエチレン12.6mL、チャージソープ(ノニオン界面活性剤/アニオン界面活性剤/水=10/10/1(質量比))0.265gを用いて、30℃±2℃で15分間の処理を1回とし、これを5回行った。
[生地の色相]
加工後の生地の色相が難燃剤未使用処方と比較して変わらなかったものを「○」、淡色化が起こったものを「×」とした。
Figure 2014189914
Figure 2014189914
表2及び3に示した結果から分かるように、アミノカルボン酸化合物を含有しない従来の難燃加工助剤を使用した比較例1,4,7では、生地の汚染が起こり、難燃加工助剤を増量した比較例2,5,8では、難燃性が低下し、生地色相も淡色化した。さらに難燃加工剤、難燃加工助剤ともに増量した比較例3,6,9では、難燃性は向上したが、生地色相は淡色化している。
それに対して、本願発明に係る難燃加工助剤を使用した実施例1〜6では、難燃加工剤及び難燃加工助剤で、釜内や生地の汚れはなく、十分な難燃性を発現し、色相の淡色化もない加工ができており、明らかな効果が認められる。
4.液流染色機を用いた実加工
染色機として(株)日阪製作所のマルチサーキュラーCUT−MR−2を使用し、表4に示した染色処方を用いた以外は上記と同様に実施した。
上記において、加工特性、難燃性の結果を表4に示す。なお、分散性の評価方法は以下の通りであり、難燃性の評価方法は上記の通りである。
[缶体の汚染]・・・生地取り出し後の染色機内部に汚れが無いものを「○」、汚れの付着が認められるものを「×」とした。
[凝集物の発生]・・・加工後に熱交換器フィルターがきれいなものを「○」、凝集物が付着しているものを「×」とした。
[生地の汚れ]・・・加工後の生地汚れがまったくないものを「◎」、凝集物の付着による生地汚れが1〜5ヶ所あるものを「○」、凝集物の付着による生地汚れが6ヶ所以上あるもの、もしくは染色ムラが発生しているものを「×」とした。
[泡立ち]・・・・加工時の泡立ちがないものを「◎」、泡立ちはあるが機械停止しないものを「○」、泡立ちが高く機会が停止するものを「×」とした。
Figure 2014189914
表4に示した結果から、量産機においても、本願発明の難燃加工助剤の効果が同様に得られることが分かる。
本発明の難燃加工剤又は難燃加工方法は、ポリエステル繊維製品全般、例えばカーテン、布製ブラインド、絨毯その他の敷物、壁張り材等の各種インテリア用途、カーシート用表皮材のような自動車内装材料、ソファーその他の表皮材、暗幕、緞帳等に広く用いられる。

Claims (5)

  1. 下記式(I)で表されるトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートを用いてポリエステル繊維の難燃加工をする際に使用される難燃加工助剤であって、
    界面活性剤およびアミノカルボン酸を含有することを特徴とする難燃加工助剤。
    Figure 2014189914
  2. 前記界面活性剤が、下記一般式(II)で表される界面活性剤及び下記一般式(III)で表される界面活性剤からなる群から選択された1種又は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の難燃加工助剤。
    Figure 2014189914
    但し、一般式(II)におけるRは、炭素数8〜21のアルキル基又はアルケニル基を示し、一般式(III)におけるYは次式で表される置換基を示し、mは1〜5の数を示し、一般式(II)及び(III)におけるXは、水素原子またはアニオン性基を表し、nは1〜200の数を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。
    Figure 2014189914
  3. 前記アミノカルボン酸が、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、及びこれらのナトリウム塩からなる群から選択された1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の難燃加工助剤。
  4. トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートと請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃加工助剤とを、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート100質量部に対して、アミノカルボン酸を5〜50質量部、界面活性剤を10〜55質量部の割合で含有する難燃加工処理液。
  5. トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートを用いてポリエステル繊維を染色同浴難燃処理する難燃加工方法であって、
    請求項4に記載の難燃加工処理液に染料をさらに含有する染色難燃加工処理液にポリエステル繊維を浸漬し、この処理液の液温を80℃以上に保持する工程を含むことを特徴とする難燃加工方法。
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