JP2014189462A - 結晶製造方法、準安定形結晶、医薬の製造方法および医薬 - Google Patents
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Abstract
【課題】 準安定形結晶を選択的に製造できる結晶製造方法を提供する。
【解決手段】 前記目的を達成するために、本発明の結晶製造方法は、
結晶多形を有する物質の結晶を製造する方法であって、
前記物質の結晶形は、安定形および準安定形を含み、
前記結晶製造方法は、準安定形結晶を選択的に製造する方法であり、
前記物質の溶液を提供する溶液提供工程と、
前記溶液中からの結晶核発生条件を制御し、準安定形の結晶核を選択的に発生させる準安定形結晶核発生工程と、
前記準安定形結晶核から準安定形結晶を成長させる準安定結晶成長工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 前記目的を達成するために、本発明の結晶製造方法は、
結晶多形を有する物質の結晶を製造する方法であって、
前記物質の結晶形は、安定形および準安定形を含み、
前記結晶製造方法は、準安定形結晶を選択的に製造する方法であり、
前記物質の溶液を提供する溶液提供工程と、
前記溶液中からの結晶核発生条件を制御し、準安定形の結晶核を選択的に発生させる準安定形結晶核発生工程と、
前記準安定形結晶核から準安定形結晶を成長させる準安定結晶成長工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、結晶製造方法、準安定形結晶、医薬の製造方法および医薬に関する。
結晶多形とは、同一分子でありながら結晶中での分子の配列やコンフォメーションが異なることである。創薬ターゲットである低分子有機化合物は、微結晶化させたものを固めた錠剤として、また微結晶のまま粉剤として、またカプセルに封入したカプセル剤として製品化するが、その結晶多形と結晶品質によって薬効と経時安定性がそれぞれ異なるとともに、結晶多形が異なると薬事的に異なる薬剤として取り扱われる。このため、薬効が優れた多形の探索、および、その結晶多形が長時間安定に存在できるようにする高品質結晶化技術が重要である。
現在、結晶多形制御として、溶媒の種類、結晶化温度、過飽和度の調節等が実施されている。しかし、多くの医薬化合物では、結晶多形探索も十分でないうえに、薬効は低くとも最も経時安定性の高い最安定形を最適多形として選択し、薬剤として製造している状況である。そのため、、市販化後に新たな多形が見つかり、最適多形再検討のために、最悪の場合は、市場から製品を回収するケースも生じている(例:エイズ治療薬リトナビル)。
また、多くの医薬化合物では、前述のとおり、結晶化と経時安定性の両立が最も容易な最安定相を最適多形として選択し、製剤化している。しかし、多形の経時安定性に関しては、結晶品質と大いに相関がある(高品質ほど高安定)にも関わらず、現在の創薬プロセスでは、この点がほとんど考慮されていない。具体的には、実際の多形探索プロセスでは、ロボットなどを用いて多条件を網羅的にスクリーニングすることで全多形を探索し、各条件で得られた多形にて経時安定性が判断されているが、そこに品質向上により経時安定性を改善するという試みは取り入れられてはいない。すなわち、現在の創薬プロセスでは、多形本来の性能を十分に評価したうえで最適多形を選択しているとは言い難い状況である。
低分子有機化合物の微結晶である薬剤の場合、結晶多形の違いにより、溶解性、形態、経時安定性、バイオアベイラビリティー(投与された薬物が、どれだけ全身循環血中に到達し作用するかの指標)等が異なるため、薬としての有効性、即ち薬効に直結する。このため、薬事申請では、前述のとおり、同じ化合物であっても結晶形が異なると違う薬として取り扱われる。したがって、前記結晶を医薬に用いる場合、長期間放置しても結晶形が変化しない経時安定性が重要である。一方で、安定すぎる結晶多形は体内で溶解しにくく、吸収性に乏しいという薬剤としては不適切な特性に繋がる。創薬においては、薬剤の経時安定性と薬効の兼ね合いが大切であることから、創薬ターゲットとなる低分子有機化合物(医薬候補化合物)の全ての結晶多形の性質を事前に把握することが極めて重要となる。
しかしながら、従来技術ではそもそも結晶化が困難な材料や、一部の多形(特に安定形[安定相ともいう])しか結晶化しないケースも多い。このため、優れた薬効が期待できる準安定形(準安定相ともいう)結晶を十分に探索できず、準安定形の経時安定性を伸ばしうる高品質結晶化技術も開発されていない。よって、医薬品業界では、低分子有機化合物を容易に選択的に、しかも高品質に結晶化し、化合物本来の性能を最大限に生かしつつ、かつ薬効と経時安定性において最も折り合いがついた所望の結晶多形で製剤を可能にする技術の実現が望まれている。
そこで、本発明は、準安定形結晶を選択的に製造できる結晶製造方法、準安定形結晶、医薬の製造方法および医薬の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の結晶製造方法は、
結晶多形を有する物質の結晶を製造する方法であって、
前記物質の結晶形は、安定形および準安定形を含み、
前記結晶製造方法は、準安定形結晶を選択的に製造する方法であり、
前記物質の溶液を提供する溶液提供工程と、
前記溶液中からの結晶核発生条件を制御し、準安定形の結晶核を選択的に発生させる準安定形結晶核発生工程と、
前記準安定形結晶核から準安定形結晶を成長させる準安定結晶成長工程とを含むことを特徴とする。
結晶多形を有する物質の結晶を製造する方法であって、
前記物質の結晶形は、安定形および準安定形を含み、
前記結晶製造方法は、準安定形結晶を選択的に製造する方法であり、
前記物質の溶液を提供する溶液提供工程と、
前記溶液中からの結晶核発生条件を制御し、準安定形の結晶核を選択的に発生させる準安定形結晶核発生工程と、
前記準安定形結晶核から準安定形結晶を成長させる準安定結晶成長工程とを含むことを特徴とする。
本発明の準安定形結晶は、前記本発明の結晶製造方法により製造される、前記物質の準安定結晶である。
本発明の医薬の製造方法は、
前記物質が、薬学的活性物質であり、
前記本発明の結晶製造方法により前記薬学的活性物質の準安定形結晶を製造する準安定形結晶製造工程と、
前記薬学的活性物質の準安定形結晶を製剤して医薬を製造する製剤工程とを含む、医薬の製造方法である。
前記物質が、薬学的活性物質であり、
前記本発明の結晶製造方法により前記薬学的活性物質の準安定形結晶を製造する準安定形結晶製造工程と、
前記薬学的活性物質の準安定形結晶を製剤して医薬を製造する製剤工程とを含む、医薬の製造方法である。
本発明の医薬は、前記本発明の医薬の製造方法により製造される医薬である。
本発明の結晶製造方法によれば、準安定形結晶を選択的に製造できる。これにより、本発明の結晶製造方法は、例えば、前記本発明の準安定形結晶の製造、前記本発明の医薬の製造方法、および前記本発明の医薬に利用可能である。
以下、本発明について例を挙げて説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。また、図中の説明、考察等も、全て例示であって、本発明を何ら限定しない。
本発明の結晶製造方法は、前述のとおり、
結晶多形を有する物質の結晶を製造する方法であって、
前記物質の結晶形は、安定形および準安定形を含み、
前記結晶製造方法は、準安定形結晶を選択的に製造する方法であり、
前記物質の溶液を提供する溶液提供工程と、
前記溶液中からの結晶核発生条件を制御し、準安定形の結晶核を選択的に発生させる準安定形結晶核発生工程と、
前記準安定形結晶核から準安定形結晶を成長させる準安定結晶成長工程とを含むことを特徴とする。
結晶多形を有する物質の結晶を製造する方法であって、
前記物質の結晶形は、安定形および準安定形を含み、
前記結晶製造方法は、準安定形結晶を選択的に製造する方法であり、
前記物質の溶液を提供する溶液提供工程と、
前記溶液中からの結晶核発生条件を制御し、準安定形の結晶核を選択的に発生させる準安定形結晶核発生工程と、
前記準安定形結晶核から準安定形結晶を成長させる準安定結晶成長工程とを含むことを特徴とする。
本発明の結晶製造方法は、前記準安定形結晶核発生工程において、前記溶液中に気泡を発生させることにより、準安定形結晶核を発生させることが好ましい。なお、「キャビテーション」は、気泡が発生する現象のことをいうが、以下において、説明の便宜上、気泡が発生することを「キャビテーション発生」などということがある。
本発明の結晶製造方法において、前記溶液中へのレーザー光照射または超音波照射により前記気泡を発生させることがより好ましい。
本発明の結晶製造方法において、前記溶液中へのレーザー光照射により前記気泡を発生させ、前記レーザー光の波長、強度および周波数からなる群から選択される少なくとも一つを制御することにより準安定形の結晶核を選択的に発生させることがさらに好ましい。前記レーザー光の波長は、特に限定されないが、例えば190〜4000nm、好ましくは260〜2000nm、より好ましくは355〜1550nm、さらに好ましくは532〜1064nm、特に好ましくは780〜1064nmである。前記レーザー光の周波数は、特に限定されないが、例えば1〜1000Hzである。レーザー光の強度も、特に限定されない。なお、レーザー光も特に限定されないが、例えば、パルスレーザー等であっても良い。
また、本発明の結晶製造方法において、前記溶液が、容器中に収容され、前記溶液中へのレーザー光照射により前記気泡を発生させ、前記レーザー光の照射位置が、前記容器の器壁近傍であることがさらに好ましい。前記レーザー光の照射位置と前記容器の器壁との距離は、好ましくは5mm以下、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下であり、下限は特に限定されないが、例えば0.1mm以上である。
本発明の結晶製造方法において、前記溶液中への超音波照射により前記気泡を発生させ、前記超音波の周波数、強度および照射時間からなる群から選択される少なくとも一つの制御により準安定形の結晶核を選択的に発生させることがより好ましい。前記超音波の周波数は、特に限定されないが、例えば20kHz〜1GHz、好ましくは20kHz〜1MHz、より好ましくは20kHz〜100kHz、さらに好ましくは20kHz〜50kHzである。前記超音波の照射時間も特に限定されず、適宜設定可能である。例えば、前記溶液に、断続的に超音波を照射しても良い。
本発明の結晶製造方法において、前記溶液中への超音波照射により前記気泡を発生させ、前記超音波の振幅が極大である位置において前記溶液中に超音波照射することがより好ましい。また、例えば、後述の実施例で行っているように、大容量の容器中に、超音波が伝搬する媒体としての液(例えば水)を入れ、その中に、前記溶液が入った小容器を入れ、前記超音波の振幅が極大である位置に前記小容器を配置して超音波を照射しても良い。
本発明の結晶製造方法は、さらに、前記準安定形結晶核発生工程に先立ち、前記溶液中における前記物質の分子のクラスターを破壊するクラスター破壊工程を含むことが好ましい。また、前記クラスター破壊工程において、前記溶液の撹拌、加熱および濾過からなる群から選択される少なくとも一つの方法により前記クラスターを破壊することがより好ましい。
また、前記クラスター破壊工程において、前記溶液をレーザー光散乱により観察することで、前記クラスターの破壊状況を確認することがより好ましい。この場合において、前記レーザー光散乱による観察には、例えば、電子計算機(コンピュータ)による画像解析等を用いても良い。
本発明の結晶製造方法において、前記物質は、特に限定されず、無機物質でも有機化合物でもよいが、有機化合物が好ましく、有機低分子化合物がより好ましい。また、前記有機化合物は、特に限定されないが、例えば、アセトアミノフェン、インドメタシン、カルバマゼピン、スピロノラクトン、リトナビル等が挙げられる。
本発明の準安定形結晶は、前記本発明の結晶製造方法により製造されることで、例えば、結晶欠陥が少なく高品質であり、他の結晶形(安定形等)に変化しにくい。また、本発明の医薬の製造方法は、前記本発明の結晶製造方法により薬学的活性物質の準安定形結晶を製造することで、例えば、結晶欠陥が少なく高品質な前記準安定形結晶を得て、高品質な本発明の医薬を製造できる。
従来技術は、単に溶媒を変えるだけ、または超音波を用いる場合もただ印加するのみで、クラスター状態の制御等を実施していない。このため、従来技術では、一部の多形(特に最安定形)しか析出できず(多形探索に漏れが生じる)、かつ、1条件から1多形しか出せないため、結晶多形の高選択性も実現できていない。
すなわち、従来技術では、結晶化を単なる1作業として捉え、出る/出ないの二元論に基づき多条件スクリーニングにて多形探索をしているため、1条件から1多形しか出ない・出せないという認識である。そこに、本発明のように、クラスター状態、及びキャビテーション発生状態の精密制御により1条件から複数多形を選択して出すという概念はない。
本発明によれば、例えば、溶液内のクラスター状態を測定したうえで、多形発生を誘導するのに効果的なキャビテーション(気泡)を発生させることにより、新規結晶多形探索や結晶多形の高選択性を実現できる(同じ溶液条件にも関わらず、クラスターとキャビテーション制御により複数種の多形を選択して出すことが可能である)。
本発明は、例えば、図20〜24およびそれらの図中の説明に示すとおり考察することが可能であるが、これらの考察は例示であり、本発明を何ら限定しない。
本発明によれば、例えば、従来条件では得られない結晶多形の結晶化ができる可能性がある。また、本発明によれば、例えば、不安定な結晶多形でも、100%の選択率で高品質結晶化が実現出来得る可能性がある。このような結晶多形制御はこれまでに例が無く、新規医薬候補化合物の結晶多形探索や、目的結晶多形の薬剤等を安定して製造するために有効な技術となり得る。
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により限定されない。
[実施例1:フェムト秒レーザー照射によるアセトアミノフェンの結晶多形制御]
図1〜6およびそれらの図中の説明に示すとおり、フェムト秒レーザー照射によるアセトアミノフェンの結晶多形制御を行った。
図1〜6およびそれらの図中の説明に示すとおり、フェムト秒レーザー照射によるアセトアミノフェンの結晶多形制御を行った。
アセトアミノフェンは、現在3種の結晶多形(I,II,III型)が報告されている。市販製剤には最安定形のI型が選択されているが、準安定形であるII型は薬効や錠剤化時の圧縮特性に優れ、その安定性は結晶内欠陥と相関があるとの報告もなされていることから、II型の晶出制御および高品質化は、II型の製剤化や汎用的な多形制御法を考えるにあたり、重要な意義があると考えられる。本実施例では、フェムト秒レーザー照射によるII型の多形制御を行った。
(方法)
アセトアミノフェン水溶液(濃度36mg/ml、飽和点46℃)を調製し、90℃で溶解させた後、0.8mlずつ分注した。その後50℃から0℃まで3℃/hで冷却させて過飽和状態(過飽和度4.36)にした。0℃到達2日後に未晶出であった19本のうち10本は静置、9本にフェムト秒レーザー照射(照射強度34.0μJ, パルス幅300fs, 周波数1kHz, 1分照射)を行い、II型晶出制御の可能性を検証した。照射1日後にそれぞれの結晶化確率を求め、多形の同定には顕微鏡観察、粉末X線回折法を用いた。
アセトアミノフェン水溶液(濃度36mg/ml、飽和点46℃)を調製し、90℃で溶解させた後、0.8mlずつ分注した。その後50℃から0℃まで3℃/hで冷却させて過飽和状態(過飽和度4.36)にした。0℃到達2日後に未晶出であった19本のうち10本は静置、9本にフェムト秒レーザー照射(照射強度34.0μJ, パルス幅300fs, 周波数1kHz, 1分照射)を行い、II型晶出制御の可能性を検証した。照射1日後にそれぞれの結晶化確率を求め、多形の同定には顕微鏡観察、粉末X線回折法を用いた。
(結果・考察)
図1〜6およびそれらの図中の説明において示すとおり、静置では未晶出(0/10本(0%))であったのに対し、レーザー照射を行った場合3/9本(33%)晶出し、全てがII型であった。この結果から、フェムト秒レーザー照射はII型晶出促進効果をもつことが明らかとなった。例えば、レーザー条件の最適化により、キャビテーション由来の気泡と多形の関係を最適化し、更なるII型晶出確率向上が実現できる可能性がある。
図1〜6およびそれらの図中の説明において示すとおり、静置では未晶出(0/10本(0%))であったのに対し、レーザー照射を行った場合3/9本(33%)晶出し、全てがII型であった。この結果から、フェムト秒レーザー照射はII型晶出促進効果をもつことが明らかとなった。例えば、レーザー条件の最適化により、キャビテーション由来の気泡と多形の関係を最適化し、更なるII型晶出確率向上が実現できる可能性がある。
[実施例2:超音波照射によるアセトアミノフェンの結晶多形制御]
図7〜15およびそれらの図中の説明に示すとおり、超音波照射(超音波印加)によるアセトアミノフェンの結晶多形制御を行った。
図7〜15およびそれらの図中の説明に示すとおり、超音波照射(超音波印加)によるアセトアミノフェンの結晶多形制御を行った。
本実施例では、溶液内のクラスターサイズ制御とキャビテーション発生による強制的結晶核発生を実施した。また、本実施例では、医薬化合物アセトアミノフェン(3種の多形が報告されており、I型が安定形、II型、III型は準安定形である)をモデル材料とした。通常の溶液状態では、安定系のI型しか結晶化しないが、溶液中のクラスターサイズを制御すると、安定系のI型だけでなく、準安定系のII型の結晶化も可能となることが確認された。さらに、クラスターサイズを適正化した溶液に超音波を印加して気泡(キャビテーション)を発生させたところ、I型及びII型の結晶化を高い割合で選択できるとともに、II型でも極めて安定な高品質結晶化が可能になることが確認された。
(目的)
医薬化合物アセトアミノフェンには、前述のとおり、現在3種(I,II,III型)の多形が報告されている。市販製剤は、安定性を重視して全てI型が選択されているが、準安定形であるII型は、薬効や錠剤化時の圧縮特性に優れ、その安定性は結晶内欠陥と相関があるとの報告もなされている。このため、II型の晶出制御と高品質化は、II型の製剤化や汎用的な多形制御法を考えるにあたり、重要な意義があると考えられる。本実施例では、超音波印加によるアセトアミノフェンII型の多形制御を行った。
医薬化合物アセトアミノフェンには、前述のとおり、現在3種(I,II,III型)の多形が報告されている。市販製剤は、安定性を重視して全てI型が選択されているが、準安定形であるII型は、薬効や錠剤化時の圧縮特性に優れ、その安定性は結晶内欠陥と相関があるとの報告もなされている。このため、II型の晶出制御と高品質化は、II型の製剤化や汎用的な多形制御法を考えるにあたり、重要な意義があると考えられる。本実施例では、超音波印加によるアセトアミノフェンII型の多形制御を行った。
(方法)
アセトアミノフェン水溶液(濃度32mg/ml、飽和点43℃)を調製し、90℃で溶解させた後、小型容器(1ml)に分注した。その後55℃から0℃まで3℃/hで温度降下させて過飽和状態(過飽和度3.8)とし、0℃到達後約2日経過した時点で静置条件下での結晶化確率を求めた。次に、未析出であった溶液に対し超音波印加を行った。印加周波数(28,45,100kHz)をパラメータとし、II型晶出制御の可能性を検証した。
アセトアミノフェン水溶液(濃度32mg/ml、飽和点43℃)を調製し、90℃で溶解させた後、小型容器(1ml)に分注した。その後55℃から0℃まで3℃/hで温度降下させて過飽和状態(過飽和度3.8)とし、0℃到達後約2日経過した時点で静置条件下での結晶化確率を求めた。次に、未析出であった溶液に対し超音波印加を行った。印加周波数(28,45,100kHz)をパラメータとし、II型晶出制御の可能性を検証した。
(結果・考察)
図7〜15およびそれらの図中の説明に示すとおり、静置条件下では0/50本(0%)と全く晶出が無かったのに対し、超音波印加の場合、28kHzでは6/9本(67%)、45kHzでは6/10本(60%)と高確率でII型の晶出がみられた。但し、100kHzの場合、0/10本(0%)と全く晶出は確認できなかった。以上より、超音波印加は晶出促進効果をもつこと、周波数依存性があることが明らかとなり、また、アセトアミノフェンII型晶出には低周波(28,45kHz)の超音波印加が有効であった。
図7〜15およびそれらの図中の説明に示すとおり、静置条件下では0/50本(0%)と全く晶出が無かったのに対し、超音波印加の場合、28kHzでは6/9本(67%)、45kHzでは6/10本(60%)と高確率でII型の晶出がみられた。但し、100kHzの場合、0/10本(0%)と全く晶出は確認できなかった。以上より、超音波印加は晶出促進効果をもつこと、周波数依存性があることが明らかとなり、また、アセトアミノフェンII型晶出には低周波(28,45kHz)の超音波印加が有効であった。
また、本実施例によれば、キャビテーションがII型晶出促進に有効であることが示唆された。すなわち、図7〜15およびそれらの図中の説明に示すとおり、キャビテーションの可視化によれば、低周波(28,45kHz)では、容器設置箇所で多くのキャビテーションが発生したのに対し、100kHzでは、容器設置箇所でほとんどキャビテーションが発生していなかった。さらに、本実施例において、超音波により晶出したII型結晶は、溶媒中および大気中において長期間安定であった。
[実施例3:溶媒の選択によるアセトアミノフェンの結晶多形制御]
図16〜19およびそれらの図中の説明に示すとおり、溶媒の選択によるアセトアミノフェンの結晶多形制御を行った。
図16〜19およびそれらの図中の説明に示すとおり、溶媒の選択によるアセトアミノフェンの結晶多形制御を行った。
(目的)
医薬化合物はほぼすべてが多形を有しており、市販製剤には安定性を重視して最安定形が選ばれていることが多い。しかしながら、準安定形は溶解性がより高く、その安定性も結晶内欠陥や作製法により変わるとの報告もされている。したがって、準安定形の晶出を制御し、かつその安定化を実現できれば、より薬効の高い製剤や難溶性製剤の実用化に繋がる可能性がある。晶出多形は溶媒により変わるとの知見は多く報告されているが、その理由は未だ不明であり、その鍵となる因子を見出すことが多形制御のために重要と考えられる。本実施例では、アセトアミノフェンを用い、溶媒の種類や溶液濃度をパラメータとし、晶出多形との相関および多形に影響しうる因子について検証するとともに、準安定形であるII型の晶出制御と安定性評価を行った。
医薬化合物はほぼすべてが多形を有しており、市販製剤には安定性を重視して最安定形が選ばれていることが多い。しかしながら、準安定形は溶解性がより高く、その安定性も結晶内欠陥や作製法により変わるとの報告もされている。したがって、準安定形の晶出を制御し、かつその安定化を実現できれば、より薬効の高い製剤や難溶性製剤の実用化に繋がる可能性がある。晶出多形は溶媒により変わるとの知見は多く報告されているが、その理由は未だ不明であり、その鍵となる因子を見出すことが多形制御のために重要と考えられる。本実施例では、アセトアミノフェンを用い、溶媒の種類や溶液濃度をパラメータとし、晶出多形との相関および多形に影響しうる因子について検証するとともに、準安定形であるII型の晶出制御と安定性評価を行った。
(方法)
図16〜19およびそれらの図中の説明に示すとおり、アセトアミノフェン溶液を調製し、飽和点より高温にて溶解させた後、溶液を過飽和状態となるまで冷却した。その後、超音波印加にて晶出を促し、多形を粉末X線回折法にて同定し、II型の晶出確率を求めた。溶媒には水、メタノール、アセトニトリルの3種を用い、溶液濃度は溶媒による溶解度の違いを考慮し、溶媒毎に0℃にて過飽和状態になる濃度を1〜数条件ずつ準備した。また、水、メタノールから得られたII型結晶をそれぞれ乾燥させて大気中に長期間保管し、安定性(I型(最安定形)に転移するまでの期間)の比較検証を行った。
図16〜19およびそれらの図中の説明に示すとおり、アセトアミノフェン溶液を調製し、飽和点より高温にて溶解させた後、溶液を過飽和状態となるまで冷却した。その後、超音波印加にて晶出を促し、多形を粉末X線回折法にて同定し、II型の晶出確率を求めた。溶媒には水、メタノール、アセトニトリルの3種を用い、溶液濃度は溶媒による溶解度の違いを考慮し、溶媒毎に0℃にて過飽和状態になる濃度を1〜数条件ずつ準備した。また、水、メタノールから得られたII型結晶をそれぞれ乾燥させて大気中に長期間保管し、安定性(I型(最安定形)に転移するまでの期間)の比較検証を行った。
(結果)
図16〜19およびそれらの図中の説明に示すとおり、溶媒を問わず、II型の晶出を確認した。晶出確率については溶媒、溶媒毎の溶液濃度により異なる傾向がみられたものの、本実施例では、有意な傾向は見いだせなかった。一方、安定性については、メタノールから得たII型の場合、約3か月後にI型への転移がみられたのに対し、水から得たII型結晶は約4か月後でもII型構造を維持し、10か月後の評価にてI型ピークが混在し始める傾向がみられた。この結果は、多形の安定性と使用溶媒には大いに相関があること、適切な溶媒の選択により、準安定形の安定性を高められることを示している。
図16〜19およびそれらの図中の説明に示すとおり、溶媒を問わず、II型の晶出を確認した。晶出確率については溶媒、溶媒毎の溶液濃度により異なる傾向がみられたものの、本実施例では、有意な傾向は見いだせなかった。一方、安定性については、メタノールから得たII型の場合、約3か月後にI型への転移がみられたのに対し、水から得たII型結晶は約4か月後でもII型構造を維持し、10か月後の評価にてI型ピークが混在し始める傾向がみられた。この結果は、多形の安定性と使用溶媒には大いに相関があること、適切な溶媒の選択により、準安定形の安定性を高められることを示している。
または、図16〜19およびそれらの図中の説明に示すとおり、溶媒には、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、メタノールの4種を用い、溶媒毎に数種の濃度の溶液を複数本準備した。各溶液をそれぞれ飽和点以上の高温で溶解後、冷却して過飽和状態とし、超音波にて晶出を促し、得られた準安定形(II型)の晶出確率を求めた。多形の同定には粉末X線回折法を用いた。その結果、どの溶媒からもII型の晶出がみられ、晶出確率は酢酸エチル(14%)、アセトン(25%)、アセトニトリル(63%)、メタノール(83%)の順に増加する傾向がみられた。これは、溶媒極性の指標としてDimorthとReichardが提唱したE値の順と一致しており、またアセトアミノフェンの場合、水素結合とCH-π結合の比率が多形毎で異なるとの報告もあることから、溶媒極性が分子間相互作用に関与し、II型晶出確率を変化させたものと解釈することができる。ただし、この解釈は一例であり、本発明を限定しない。
[実施例4〜6:超音波照射によるアセトアミノフェン、インドメタシンまたはカルバマゼピンの結晶多形制御]
図25〜36およびそれらの図中の説明に示すとおり、超音波照射(超音波印加)によるアセトアミノフェンの結晶多形制御を行った(実施例4)。また、図37〜42およびそれらの図中の説明に示すとおり、超音波照射(超音波印加)によるインドメタシンの結晶多形制御を行った(実施例5)。さらに、図43〜46およびそれらの図中の説明に示すとおり、超音波照射(超音波印加)によるカルバマゼピンの結晶多形制御を行った(実施例6)。
図25〜36およびそれらの図中の説明に示すとおり、超音波照射(超音波印加)によるアセトアミノフェンの結晶多形制御を行った(実施例4)。また、図37〜42およびそれらの図中の説明に示すとおり、超音波照射(超音波印加)によるインドメタシンの結晶多形制御を行った(実施例5)。さらに、図43〜46およびそれらの図中の説明に示すとおり、超音波照射(超音波印加)によるカルバマゼピンの結晶多形制御を行った(実施例6)。
(目的)
医薬化合物の多くは結晶多形を有し、市販製剤には安定性を重視して最安定形が選択される場合が多い。しかし、準安定形は薬効により優れ、その安定性は結晶内欠陥により低下するとの報告もある。したがって、安定性の高い準安定形の晶出制御は、準安定形の製剤化、および最適多形を判別・制御するプロセスにおいて極めて重要な技術となる。本実施例(実施例4〜5)では、超音波を用い、アセトアミノフェンの準安定形であるII型、インドメタシンの準安定形であるα形、およびカルバマゼピンの準安定形の多形制御と安定性向上を行った。
医薬化合物の多くは結晶多形を有し、市販製剤には安定性を重視して最安定形が選択される場合が多い。しかし、準安定形は薬効により優れ、その安定性は結晶内欠陥により低下するとの報告もある。したがって、安定性の高い準安定形の晶出制御は、準安定形の製剤化、および最適多形を判別・制御するプロセスにおいて極めて重要な技術となる。本実施例(実施例4〜5)では、超音波を用い、アセトアミノフェンの準安定形であるII型、インドメタシンの準安定形であるα形、およびカルバマゼピンの準安定形の多形制御と安定性向上を行った。
(方法)
アセトアミノフェン水溶液(32mg/ml)、インドメタシン-アセトニトリル溶液(25mg/ml)を調製し、高温で溶解後、0℃に冷却し過飽和状態(それぞれ過飽和度3.8、3.5)とした。それぞれ10本の容器を準備し、各容器に超音波(周波数45kHz、時間〜400s)を印加し、晶出後すぐに印加を停止し、準安定形の結晶化確率と安定性を評価した。
アセトアミノフェン水溶液(32mg/ml)、インドメタシン-アセトニトリル溶液(25mg/ml)を調製し、高温で溶解後、0℃に冷却し過飽和状態(それぞれ過飽和度3.8、3.5)とした。それぞれ10本の容器を準備し、各容器に超音波(周波数45kHz、時間〜400s)を印加し、晶出後すぐに印加を停止し、準安定形の結晶化確率と安定性を評価した。
(結果)
図25〜36およびそれらの図中の説明に示すとおり、アセトアミノフェンの場合、全容器から晶出がみられ、うち6/10本(60%)はII型であった。また、図37〜42およびそれらの図中の説明に示すとおり、インドメタシンの場合、7/10本晶出し、全てα形(100%)であった。安定性は、溶媒中にてII型が3ヶ月以上安定、α形が1ヶ月以上安定であったことから、大気中ではより長期間安定であることが期待できる。また、カルバマゼピンについては、図43〜46に記載のとおりである。以上より、本実施例によれば、超音波印加は安定性の高い準安定形晶出の促進に極めて有効であることが明らかとなった。
図25〜36およびそれらの図中の説明に示すとおり、アセトアミノフェンの場合、全容器から晶出がみられ、うち6/10本(60%)はII型であった。また、図37〜42およびそれらの図中の説明に示すとおり、インドメタシンの場合、7/10本晶出し、全てα形(100%)であった。安定性は、溶媒中にてII型が3ヶ月以上安定、α形が1ヶ月以上安定であったことから、大気中ではより長期間安定であることが期待できる。また、カルバマゼピンについては、図43〜46に記載のとおりである。以上より、本実施例によれば、超音波印加は安定性の高い準安定形晶出の促進に極めて有効であることが明らかとなった。
[実施例7〜8:フェムト秒レーザー照射によるパラセタモール(アセトアミノフェン)またはインドメタシンの結晶多形制御]
図47〜74およびそれらの図中の説明に示すとおり、フェムト秒レーザー照射によるパラセタモール(アセトアミノフェン)の結晶多形制御を行った(実施例7)。また、図75〜78およびそれらの図中の説明に示すとおり、フェムト秒レーザー照射によるインドメタシンの結晶多形制御を行った(実施例8)。
図47〜74およびそれらの図中の説明に示すとおり、フェムト秒レーザー照射によるパラセタモール(アセトアミノフェン)の結晶多形制御を行った(実施例7)。また、図75〜78およびそれらの図中の説明に示すとおり、フェムト秒レーザー照射によるインドメタシンの結晶多形制御を行った(実施例8)。
インドメタシンには現在3種(α, β, γ形)の結晶多形が報告されており、市販製剤には最安定形のγ形が選択されているが、薬効は準安定形のα形がより優れている。一方で、α形は晶出後、溶媒中で約18時間後にγ形へ転移するという報告もあり、極めて安定性が低い。準安定形の安定性は結晶欠陥により低下するとの報告もあり、安定性の高いα形の晶出制御は、α形の製剤化や、準安定形本来の性能を知り最適多形を判別・制御する技術として極めて重要である。そこで本研究では、タンパク質結晶の結晶化・高品質化で実績のあるフェムト秒レーザー誘起結晶化技術により、α形の晶出制御と安定性向上を試みた。インドメタシン-アセトニトリル溶液(25mg/ml)を調製し、高温で溶解後、0℃に冷却し過飽和状態(過飽和度3.5)とした。その3日後に未晶出であった19本のうち10本にレーザー照射(強度30μJ/pulse, パルス幅200fs, パルス数60000pulses)を実施(残り9本は未照射)し、1日後の結晶化確率を求めた。多形の同定は粉末X線回折法にて行った。結果、レーザー照射を行った条件のみから高確率(9/10本(90%))でα形のみが晶出した。更に、得られたα形は溶媒中で1か月以上安定であり、継続して安定性を評価している状況である。以上より、本技術は安定性の高いα形の晶出制御に有効であり、他の医薬化合物への応用も期待できる。
以上の実施例が示す通り、本発明は、例えば、溶液内のクラスター状態制御技術とキャビテーション発生による強制的結晶核発生を用いた全く新しい結晶多形探索・結晶化技術となり得る。本実施例では、前述のとおり、医薬化合物アセトアミノフェン(3種の多形が報告されており、I型が安定形、II型、III型は準安定形である)をモデル材料とした。通常の溶液状態では、安定形のI型しか結晶化しないが、溶液中のクラスター状態を制御すると、安定形のI型だけでなく、準安定形のII型の結晶化も可能となることを見出した。さらにクラスター状態を適正化した溶液にフェムト秒レーザーや超音波を印加してキャビテーションを発生させたところ、I型及びII型の結晶化を最大90%の高確率で選択できるとともに、II型でも極めて安定な高品質結晶化が可能になることを世界で初めて見出した。特に超音波による効果が顕著に優れており、レーザーに比べて溶液全体にキャビテーションを発生できる方式であることが理由と考えられる。以上の研究成果は、本発明による「クラスター状態制御」、及び「キャビテーション発生の制御」が、様々な低分子有機化合物の選択的な結晶多形制御と高品質結晶の大量生産を可能する新技術と成り得ることを示唆している。また、以上の実施例が示す通り、本発明は、アセトアミノフェン以外にも医薬化合物インドメタシンの結晶多形制御を含め、数多くの低分子有機化合物の新規多形探索・結晶化にも有効であり、汎用的な技術になり得る可能性が高いと考えられる。
以上説明したとおり、本発明によれば、従来条件では得られない結晶多形の結晶化や不安定な結晶多形でも、100%の選択率で高品質結晶化が実現出来得る可能性を有している。このような結晶多形制御はこれまでに例が無く、新規医薬候補化合物の結晶多形探索や、目的結晶多形の薬剤等を安定して大量に製造するために非常に有効な技術となる。
Claims (15)
- 結晶多形を有する物質の結晶を製造する方法であって、
前記物質の結晶形は、安定形および準安定形を含み、
前記結晶製造方法は、準安定形結晶を選択的に製造する方法であり、
前記物質の溶液を提供する溶液提供工程と、
前記溶液中からの結晶核発生条件を制御し、準安定形の結晶核を選択的に発生させる準安定形結晶核発生工程と、
前記準安定形結晶核から準安定形結晶を成長させる準安定結晶成長工程とを含むことを特徴とする
結晶製造方法。 - 前記準安定形結晶核発生工程において、前記溶液中に気泡を発生させることにより、準安定形結晶核を発生させる請求項1記載の結晶製造方法。
- 前記溶液中へのレーザー光照射または超音波照射により前記気泡を発生させる請求項2記載の結晶製造方法。
- 前記溶液中へのレーザー光照射により前記気泡を発生させ、前記レーザー光の波長、強度および周波数からなる群から選択される少なくとも一つを制御することにより準安定形の結晶核を選択的に発生させる請求項3記載の結晶製造方法。
- 前記溶液が、容器中に収容され、
前記溶液中へのレーザー光照射により前記気泡を発生させ、
前記レーザー光の照射位置が、前記容器の器壁近傍である請求項3または4記載の結晶製造方法。 - 前記溶液中への超音波照射により前記気泡を発生させ、前記超音波の周波数、強度および照射時間からなる群から選択される少なくとも一つの制御により準安定形の結晶核を選択的に発生させる請求項3記載の結晶製造方法。
- 前記溶液中への超音波照射により前記気泡を発生させ、
前記超音波の振幅が極大である位置において前記溶液中に超音波照射する請求項3または6記載の結晶製造方法。 - さらに、前記準安定形結晶核発生工程に先立ち、前記溶液中における前記物質の分子のクラスターを破壊または除去するクラスター破壊工程を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の結晶製造方法。
- 前記クラスター破壊工程において、前記溶液の撹拌、加熱および濾過からなる群から選択される少なくとも一つの方法により前記クラスターを破壊または除去する請求項8記載の結晶製造方法。
- 前記クラスター破壊工程において、前記溶液をレーザー光散乱により観察することで、前記クラスターの破壊、除去および再形成の状況を確認する請求項8または9記載の結晶製造方法。
- 前記物質が、有機化合物である請求項1から10のいずれか一項に記載の結晶製造方法。
- 前記有機化合物が、アセトアミノフェン、インドメタシン、およびカルバマゼピンからなる群から選択される少なくとも一つである請求項11記載の結晶製造方法。
- 請求項1から12のいずれか一項に記載の結晶製造方法により製造される、前記物質の準安定形結晶。
- 前記物質が、薬学的活性物質であり、
請求項1から12のいずれか一項に記載の結晶製造方法により前記薬学的活性物質の準安定形結晶を製造する準安定形結晶製造工程と、
前記薬学的活性物質の準安定形結晶を製剤して医薬を製造する製剤工程とを含む、医薬の製造方法。 - 請求項14記載の製造方法により製造される医薬。
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CN104311447A (zh) * | 2014-10-09 | 2015-01-28 | 吉林省吴太感康药业有限公司 | 对乙酰氨基酚新晶型、其制备方法及复方氨酚烷胺制剂 |
US10703697B2 (en) | 2016-08-19 | 2020-07-07 | Ngk Insulators, Ltd. | Method for refining organic compound |
WO2022014397A1 (ja) | 2020-07-13 | 2022-01-20 | 日本碍子株式会社 | 精製方法 |
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-
2013
- 2013-03-27 JP JP2013067629A patent/JP2014189462A/ja active Pending
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