JP2014189416A - マグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法 - Google Patents

マグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】石膏、マグネシウム塩及び二酸化炭素を用い、高効率で且つ穏やかな条件で、炭酸カルシウムとマグネシウムを含む溶液とを同時に回収する方法を提供する。
【解決手段】石膏及びマグネシウム塩を水に添加して調製したスラリーを撹拌しながら、二酸化炭素を導入して、マグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムを製造する方法であって、マグネシウム塩の酸化物に換算した添加量が、石膏に対するモル比(MgO/CaSO4)で1〜4の範囲である、マグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、石膏及びマグネシウム塩を出発原料としてマグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムを製造する方法に関する。
石膏(硫酸カルシウム)は天然石膏と化学石膏に大別される。天然石膏は天然に産出するものであり大部分が二水石膏である。一方、化学石膏としては、リン酸製造時に生成するリン酸石膏、酸化チタン製造時に生成するチタン石膏、フッ酸製造時に生成するフッ酸石膏、火力発電所、石油化学工業等から排出される排煙中の硫黄分を捕捉することにより発生する排煙脱硫石膏(排脱石膏)、銅精錬で発生する酸の中和により得られる鉱水・精錬石膏などがある。これらの化学石膏はいずれも副産物として産出することから副産石膏とも呼ばれている。
これら天然あるいは化学石膏は、セメントや石膏ボード、石膏プラスター、肥料等の原料として使用されている。石膏ボードは建築用内装材料として、建築物の壁・天井に広く使用されている。それに伴い建築現場からは廃石膏が多量に発生しており、その排出量は1,091t/y(社団法人石膏ボード工業会)と膨大である。このような廃石膏の処分法としては、安定処理場への埋立て処分では硫化水素が発生するため、より処分費用が高い管理型処分場での処理が必須となった(平成18年6月1日付の環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長通達)。
そこで、処理費用の削減及び管理型処分場の延命を目的とした、余剰の副産石膏や廃石膏の新規用途の開発が盛んに行われている。しかしながら、その大部分が石膏をそのまま有効利用するものであり付加価値の低いものである。
廃石膏の利用方法として、土壌改良材や肥料に用いられるのが一般的である(例えば、特許文献1及び2参照)。特に土壌改良材の分野では石膏は中性土壌固化材として用いられている。しかし、これらは安価であり、より付加価値の高い処理方法が求められている。
付加価値の高い排石膏の処理方法としては、例えば、特許文献3〜5に開示されている。
特許文献3には、堆肥製造時に発生するアンモニアと二酸化炭素を、廃棄処理される石膏ボードに反応させることにより、硫安と炭酸カルシウムを得る技術が開示されている。
特許文献4には、廃石膏ボードを水酸化アルカリ水溶液と接触させることにより、含有されているカルシウム分を水酸化カルシウムの沈殿物として回収し、回収物をクロルヒドリン化工程及びケン化工程のアルカリ剤やRDF(Refuse Derived Fuel)の製造原料とする技術が開示されている。
特許文献5には、アルカリ金属の水酸化物と、石膏と、水とが混合されたスラリー中に二酸化炭素を導入する方法が開示されている。この方法により、炭酸カルシウムとアルカリ金属の硫酸塩を製造することができる。得られた炭酸カルシウムを再度排煙脱硫又は硫酸中和に使用し石膏とすることで、循環型プロセスとするものである。
特開2001−107047号公報 特開2006−124187号公報 特開2001−000947号公報 特許4398308号公報 特許4034982号公報
特許文献3で得られた硫安は肥料に、炭酸カルシウムは土壌改良材等に用いるとしているが、処理コストの面で普及していない。
特許文献4で使用する水酸化アルカリ水溶液は劇物に指定される強アルカリ性であるため、取扱いが難しく、保管及び反応容器も対アルカリ材料でなければならない。さらに、常にバージンの水酸化アルカリ水溶液を供給しなければならず、コスト高のプロセスであり実用化には至っていない。
特許文献5で使用するアルカリ金属の水酸化物は劇物に指定される強アルカリであり、取扱いが難しく、保管及び反応容器も対アルカリ材料でなければならない。さらに、得られた炭酸カルシウムは石膏原料として再利用できるが、アルカリ金属の水酸化物は常にバージン原料を供給しなければならずコスト高のプロセスであり、実用化に到ってはいない。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、石膏、マグネシウム塩及び二酸化炭素を用い、高効率でかつ穏やかな条件で、炭酸カルシウムとマグネシウムを含む溶液とを同時に回収する方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1]石膏及びマグネシウム塩を水に添加して調製したスラリーを撹拌しながら、二酸化炭素を導入して、マグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムを製造する方法であって、マグネシウム塩の酸化物に換算した添加量が、石膏に対するモル比(MgO/CaSO4)で1〜4の範囲である、マグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
[2]マグネシウム塩が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、及び炭酸マグネシウム塩から選ばれる1つ以上である、前記[1]に記載のマグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
[3]マグネシウム塩が、半焼成ドロマイト、軽焼ドロマイト、及び水酸化ドロマイトから選ばれる1つ以上である、前記[1]又は[2]に記載のマグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
[4]前記製造方法により得られたマグネシウムを含む溶液に、アルカリ溶液を添加し、pHを9.5〜12に調整して得た炭酸マグネシウム塩を出発原料のマグネシウム塩に用いる、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のマグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
[5]前記製造方法により得られたマグネシウムを含む溶液に、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、及び塩基性炭酸マグネシウムから選ばれる1種以上を添加して得た炭酸マグネシウム塩を出発原料のマグネシウム塩に用いる、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のマグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
[6]炭酸マグネシウム塩を焼成して得られた純度が95質量%以上の酸化マグネシウムを出発原料のマグネシウム塩に用いる、マグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法であって、炭酸マグネシウム塩が、前記製造方法により得られたマグネシウムを含む溶液に、アルカリ溶液を添加し、pHを9.5〜12に調整して得たもの、又は、前記製造方法により得られたマグネシウムを含む溶液に、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、及び塩基性炭酸マグネシウムから選ばれる1種以上を添加して得たものである、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のマグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
[7]前記製造方法により得られた炭酸カルシウムを原料に用いて製造された副産石膏を出発原料の石膏に用いる、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のマグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
本発明によれば、石膏、マグネシウム塩及び二酸化炭素を用い、高効率でかつ穏やかな条件で、炭酸カルシウムとマグネシウムを含む溶液とを同時に回収することができる。また、得られた炭酸カルシウムとマグネシウムを含む溶液とは、容易に本発明の出発原料に変換することができるため、永続可能なプロセスを構築することができる。
実施例1におけるスラリー中のpH及び電気陰性度と時間との関係を示すグラフである。 実施例6におけるスラリー中のpH及び電気陰性度と時間との関係を示すグラフである。
本発明は、石膏及びマグネシウム塩を水に添加して調製したスラリーを撹拌しながら、二酸化炭素を導入して、マグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムを製造する方法であって、マグネシウム塩の酸化物に換算した添加量が石膏に対するモル比(MgO/CaSO4)で1〜4の範囲である、マグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法である。
[石膏]
本発明で使用する石膏は、天然石膏、副産石膏及び廃石膏のいずれでも良く、さらにその形態は無水石膏、半水石膏、二水石膏のいずれも使用できる。通常、副産石膏や廃石膏と呼ばれるものは、二水石膏を主成分とするものである。本発明の製造方法で得られる炭酸カルシウムを利用する観点から、石膏中に重金属やフッ素等の有害元素や石綿、アスベスト等の有害物質を含有しないことが好ましい。
本発明で使用する石膏の形態及び粒径ついては特に限定はないが、必要に応じて粉砕、分級等の前処理することが好ましい。石膏を前処理することによって、内部まで十分に炭酸化反応させることができる。一方、石膏が凝集体を形成していると表面のみが炭酸化し、内部まで炭酸化反応が進まず未反応石膏が部分的に残留することがある。また、生成する炭酸カルシウムの粒子径は、出発原料に使用する石膏の粒子径に影響されることがあるため、石膏を前処理することによって、所望の粒子径を有する炭酸カルシウムを得ることができる。
[マグネシウム塩]
本発明で使用するマグネシウム塩として、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム(ハイドロマグネサイト)、及び炭酸マグネシウム塩等が挙げられる。この中でも、反応性の観点から、酸化マグネシウムが好ましい。
酸化マグネシウムは活性度が高いものが好ましい。酸化マグネシウムの活性度は、通常クエン酸活性度法により評価される。クエン酸活性度が20〜5000の範囲にあるものが好適である。
クエン酸活性度は、以下の方法によって測定される。すなわち、30℃±0.5℃に調整した0.4Nのクエン酸溶液100mLに1%フェノールフタレイン指示薬を1mL程度滴下し、マグネチックスターラーで撹拌する。ここに酸化マグネシウム粉末2.00g投入し、懸濁液の色がピンクに着色するまでの時間(単位:秒)をn=3で測定しその平均値を評価する。酸化マグネシウムの活性度は石膏との反応性に大きな影響を与える。クエン酸活性度が低いと、反応時間が極めて長くなるため、見かけ上反応が止まってしまい投入した酸化マグネシウム及び石膏が完全に反応せず、残渣中に未反応物として残ることがある。
また、本発明で使用するマグネシウム塩として、カルシウムが共存するマグネシウム塩も使用可能であり、例えば、半焼成ドロマイト、軽焼ドロマイト、及び水酸化ドロマイト等が挙げられる。
この中でも、反応性の観点から、半焼成ドロマイトが好ましい。半焼成ドロマイト(MgO・CaCO3)はドロマイト(CaCO3・MgCO3)をCaCO3が熱分解しないよう低温焼成したものである。半焼成ドロマイトに含まれる酸化マグネシウム(MgO)は高活性であり、反応性が高いことから好適である。さらに、半焼成ドロマイトを使用することは、得られるマグネシウムを含む溶液からマグネシウムを効率的に抽出し、高純度のマグネシウムを得る観点からも有効であり、安価にかつ高効率にドロマイト中に含まれるマグネシウム成分を分離回収することが出来る。
軽焼ドロマイトは、炭酸塩がすべて熱分解した、酸化マグネシウムと酸化カルシウムの混合物である。水酸化ドロマイトは、軽焼ドロマイトに水を加えて消化することにより得られる、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)との混合物である。
マグネシウム塩は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
マグネシウム塩は石膏及び二酸化炭素と反応し、水に対する溶解度の高い硫酸塩あるいは炭酸水素塩になり、水中に移行する。そのため、生産性の観点から、マグネシウム塩は高活性であることが好ましく、マグネシウム塩の酸化マグネシウム換算純度は高いことが好ましい。また、マグネシウム塩の粒径は特に限定されない。
[石膏とマグネシウム塩との反応について]
水中に添加された石膏とマグネシウム塩とは、撹拌しながら二酸化炭素を導入したスラリー中で下記式1のように反応し、炭酸カルシウムの沈殿、及び硫酸マグネシウムの溶解が起こる。しかし、二酸化炭素導入下では下記式2に示すようなマグネシウムの炭酸水素塩の溶解も同時に起こるため、石膏を完全に炭酸カルシウムにする観点から、マグネシウム塩が石膏に対して化学量論的に過剰であることが好ましい。
式1:CaSO4 +MgO +CO2 →CaCO3(沈殿)+MgSO4(溶解)
式2:MgO +H2O +2CO2 →Mg(HCO3)2(溶解)
酸化マグネシウム以外のマグネシウム塩でも、式1及び2と同様に、炭酸カルシウムの沈殿、及び硫酸マグネシウムの溶解が起こると同時に、マグネシウムの炭酸水素塩の溶解が起こる。
マグネシウム塩の酸化物に換算した添加量は、石膏(CaSO4)に対するモル比(MgO/CaSO4)で1〜4の範囲である。マグネシウム塩はその種類により反応性が異なるため、石膏との反応において出発原料である石膏及びマグネシウム塩の未反応物が残らないように、マグネシウム塩の添加量を適宜決定することが好ましい。ここで前記モル比が1〜4の範囲であれば、マグネシウム成分の分離抽出を主目的として、マグネシウム塩からマグネシウム成分を抽出し、純度の高い酸化マグネシウムを得ることができる。例えば半焼成ドロマイトのように酸化マグネシウム(MgO)含有率が低いマグネシウム塩を用いる場合には、前記モル比が1〜4の範囲内でマグネシウム塩の使用量を多くすることが好ましい。また、残渣中に石膏が残っても良いとする場合には、マグネシウム成分の溶解を促進する観点から、前記モル比が1〜4の範囲内で石膏の添加量を増やすことが好ましい。未反応物が残存せず、添加した石膏を十分に分解する観点からは、マグネシウム塩の添加量は前記モル比で1.5〜3の範囲であることが好ましい。
マグネシウム塩として半焼成ドロマイト、軽焼ドロマイト、及び水酸化ドロマイトから選ばれる1種以上を使用する場合、遊離酸化カルシウム〔酸化カルシウム(CaO)や水酸化カルシウム(Ca(OH)2)として存在するカルシウム成分のことであり、CaO(質量%)に換算して表示する〕を含有するため、二酸化炭素ガス導入下では、下記式3−1〜3−3に示した反応が優先的に起こる。
式3−1:CaO +CO2 →CaCO3
式3−2:CaO +CO2 +H2O →Ca(OH)2 +CO2 →CaCO3 +H2
式3−3:Ca(OH)2 +CO2 →CaCO3 +H2
導入した二酸化炭素ガスは優先的にCaO又はCa(OH)2を炭酸化する反応に使用されるため、前記式1及び2の反応に遅れが生じ、前記式1及び2の反応時間が長くなる。そのため、半焼成ドロマイトは、反応時間短縮の観点から、遊離酸化カルシウムの含有量が10質量%以下であることが好ましい。また、軽焼ドロマイトや水酸化ドロマイトは、半焼成ドロマイトと比較すると遊離酸化カルシウムの含有量が多いために反応時間が長くなる。
「遊離酸化カルシウム」の含有量は、日本石灰協会の「日本石灰協会標準試験方法(2006)」に規定の「11.有効石灰の定量方法」に従って分析される。
石膏とマグネシウム塩は事前に混合し水に投入しても、別々に水に投入してもよい。石膏と水を混合したスラリーとマグネシウム塩と水を混合したスラリーとを事前に作製しておき、スラリー同士を混合しても良い。
水中に懸濁させる石膏とマグネシウム塩の量、すなわち下記計算式から求められるスラリー濃度は1〜40質量%が好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。スラリー濃度が1質量%以上であれば、製造効率が向上し、40質量%以下であれば、均一に撹拌することができ、未反応物が残存することなく、反応を速やかに進行させることができる。
計算式:スラリー濃度(質量%)=(石膏g+マグネシウム塩g)/(石膏g+マグネシウム塩g+水g)×100
二酸化炭素の導入方法としては、スラリー中に二酸化炭素を吹き込む方法が好ましい。
二酸化炭素としては、市販のボンベガスから得られる純ガス、他の成分を含有する二酸化炭素含有ガスのいずれも使用することができる。中でも、地球環境や経済性の観点から、石灰焼成炉、製鉄所、火力発電所等から発生する二酸化炭素含有排ガスを利用することが好ましい。二酸化炭素含有排ガスは、通常、二酸化炭素を10体積%以上含有する。
スラリー中への二酸化炭素の導入とスラリーの撹拌は、反応終了まで継続する。二酸化炭素の供給速度は、二酸化炭素の含有率、目標とする処理時間、反応効率、得られる炭酸カルシウムの粒径及び粒径形状の応じて任意に調整することが出来るが、通常0.5〜10(NL/min)である。
スラリーの溶液温度は、反応性の観点から、低い方が好ましく、好ましくは30℃未満であり、より好ましくは25℃未満である。スラリーの溶液温度が低い方が二酸化炭素の溶解量が増えるため、二酸化炭素ガスの利用率が上がり、反応を短時間で終了させることができる。スラリー溶液温度の下限は、特に制限はないが、5℃以上であることが好ましい、
スラリーの撹拌速度は、石膏とマグネシウム塩を好適に反応させる観点から、100rpm以上であることが好ましく、より好ましくは300rpm以上である。スラリー中に二酸化炭素を導入し、十分に撹拌することで、前記式1及び2に示した反応が十分に進行する。
反応中にpHと電気伝導度を連続して測定し、それぞれがほぼ一定となった時間を、反応終了時間とする。反応時間は、処理時間の短縮化を図るという観点から、6時間以下であることが好ましく、より好ましくは1〜4時間であり、更に好ましくは1〜3時間である。
反応終了後の溶液の濾過によって、固形物を、炭酸カルシウムとして分離して回収することができ、濾液を、マグネシウムを含む溶液として取得することができる。
[炭酸カルシウム]
得られた炭酸カルシウムは、白色度が高いものについては、製紙やプラスチック、ゴム、塗料のフィラーとして有用である。一方、得られた炭酸カルシウムの白色度が低い場合は、肥料、ソーダ工業、細骨材等の土木資材の用途に好適である。また、本発明の製造方法で得られた炭酸カルシウムを、硫酸の中和又は排煙脱硫等に使用して石膏を副産させ、この副産石膏を本発明の出発原料の石膏として活用することができる。このように、本発明によれば余剰の副産石膏や廃石膏を循環型プロセスに利用することができる。
[マグネシウム塩の回収方法]
得られたマグネシウムを含む溶液からのマグネシウム塩の回収方法としては、(1)マグネシウムを含む溶液に、アルカリ性の水溶液を添加し、pHを9.5〜12の範囲に調整する方法、(2)マグネシウムを含む溶液にマグネシウム塩を添加する方法が挙げられる。
(1)のアルカリ性の水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物の水溶液、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属の炭酸塩の水溶液、並びにアンモニア水等が挙げられる。中でも、経済性の観点から、水酸化ナトリウム溶液の水溶液、及び炭酸ナトリウムの水溶液が好ましい。
pH調整は、炭酸マグネシウム塩を析出させるのに適したpHに調整するという観点から、pH9.5〜11.5に調整することが好ましく、より好ましくはpH10〜11.5である。
(2)のマグネシウム塩としては酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、及び塩基性炭酸マグネシウム等が挙げられる。マグネシウム塩を添加して十分に撹拌することによって、炭酸マグネシウム塩を析出させる。
マグネシウム塩の添加量は、未反応物として残存させずに反応を十分に進行させる観点から、マグネシウムを含む溶液に対して10〜25g/Lであることが好ましく、より好ましくは12〜20g/Lである。添加する酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウム塩の析出容易性の観点から純度が99質量%以上であることが好ましい。添加する塩基性炭酸マグネシウムは、入手容易性及び炭酸マグネシウム塩の析出容易性の観点からMgO含有率が40〜45質量%であることが好ましい。
(1)及び(2)の方法で炭酸マグネシウム塩を析出させた溶液を濾過することで回収される沈殿は、炭酸マグネシウム塩〔X線回折(XRD)では非晶質、或いは低結晶性の塩基性炭酸マグネシウム〕である。得られた炭酸マグネシウム塩は、本発明の出発原料であるマグネシウム塩として活用することができ、さらに、ゴムやプラスチックの充填剤、耐火物や各種セラミック原料、肥料等の用途に利用可能である。
回収した炭酸マグネシウム塩を分解温度である600℃以上で焼成して、マグネシウム成分としての酸化マグネシウムを回収することができる。炭酸マグネシウム塩の焼成は、焼成に係るエネルギー及び時間の浪費防止の観点から、温度が1000〜1500℃であることが好ましく、より好ましくは1000〜1300℃であることが好ましく、更に好ましくは1000〜1200℃である。焼成時間が2〜10時間であることが好ましく、より好ましくは2〜5時間である。この方法により、純度が95質量%以上の酸化マグネシウムを得ることができる。得られた酸化マグネシウムは、本発明の出発原料であるマグネシウム塩として活用することができ、さらに、肥料、耐火物、各種セラミック原料、高純度酸化マグネシウムの原料として利用可能である。
[回収物の再利用]
本発明の方法で得られた炭酸カルシウムを排煙脱硫等の副産石膏製造プロセス用途に利用し、副産石膏を製造し、かつ本発明の方法で得られたマグネシウムを含む溶液から回収した炭酸マグネシウム塩又は酸化マグネシウムを再度本発明の出発原料とすることで、永続可能なプロセスを構築できるため、本発明の製造方法は、産業上の利用価値が高いプロセスである。
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
≪粉末X線回折分析≫
X線回折(XRD)法としては、粉末X線回折装置(株式会社リガク製、製品名「マルチフレックス」、光源:Cu−Kα、管電圧:40kV、管電流:30mA)を用いて、2θ=2〜60°の範囲を操作間隔0.01°、走査速度10°/min、発散縦制限スリット10mm、発散スリット1°、受光スリット0.3mm、散乱スリット自動の条件で、室温にて粉末X線回折測定を行った。
<実施例1>
排脱石膏(d50 18.5μm、d90 44.4μm)100gと、酸化マグネシウム(試薬、関東化学株式会社製、純度98質量%以上、クエン酸活性度2500)45.1gとを、温度20℃(室温)のイオン交換水1Lに投入し、300rpmで撹拌しながらスラリーを調整し、炭酸ガス(ボンベガス、CO2濃度99.5体積%以上)を1L/minの速度で吹き込んだ。ここで酸化マグネシウムの添加量は石膏に対し化学量論比2とした。
スラリーの電気伝導率(EC)を連続して測定し、ほぼ一定となった時点を反応終了とした。反応終了後、スラリーを0.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、固形物と溶液とに分離した。固形物をイオン交換水で洗浄し105℃で乾燥した。
図1に反応時間とスラリーのpH及びECの関係を示す。ECは反応時間の経過とともに増加し、反応開始から210分でほぼ一定となった為、これを反応終了時間とした。一方、pHは反応時間の経過とともに緩やかに低下し、反応開始から210分以降でほぼ一定になった。反応中のpHは8.7〜7.1と弱アルカリ〜中性域である。
乾燥後の固形物をXRDで分析したところ、CaCO3(Calcite,Aragonite)のみであり石膏及び出発原料であるMgOに起因するピークは消失していた。また、固形物中の硫黄含有量を分析したところ0.2質量%であった。これらの結果から、石膏はすべて反応し炭酸カルシウムになったと判断できる。
得られた炭酸カルシウムの白色度を、白色度計(日本電色工製、NW−1)で測定した結果、96%であった。
分離した溶液をICP発光分光分析装置(バリアン株式会社製、製品名「720−ES」)により、分析したところ、カルシウムイオンは40mg/L、マグネシウムイオンは26g/L、硫酸イオンは52g/Lであった。
<実施例2>
添加する試薬の酸化マグネシウムの量を22.5gとした以外、実施例1と同様の条件で行った。ここで酸化マグネシウムの添加量は石膏に対し化学量論比1.0とした。
スラリーのECが反応開始から150分でほぼ一定となった為、これを反応終了時間とした。
分離した溶液をICP発光分光分析装置(バリアン株式会社製、製品名「720−ES」)により、分析したところ、カルシウムイオンは920mg/L、マグネシウムイオンは13g/L、硫酸イオンは29g/Lであった。
乾燥後の固形物をXRDで分析したところ、CaCO3(Calcite,Aragonite)とCaSO4・2H2O(二水石膏)のピークが確認された。
これらの結果から、出発原料のMgOはすべて消失したことが分かる。そのため、固形物中に未反応のCaSO4・2H2Oが残ったと推察する。
<実施例3>
添加する試薬の酸化マグネシウムの量を90.2gとした以外、実施例1と同様の条件で行った。ここで酸化マグネシウムの添加量は石膏に対し化学量論比4.0とした。
スラリーのECが反応開始から210分でほぼ一定となった為、これを反応終了時間とした。乾燥後の固形物をXRDで分析したところ、CaCO3(Calcite,Aragonite)とMgOとMg(OH)2のピークが確認された。これらの結果から、石膏はすべて反応し炭酸カルシウムになったと判断できる。また、反応に関与するCaSO4・2H2Oが消失したため、固形物中に、未反応のMgOとMg(OH)2が残ったと推察する。
<実施例4>
添加する排脱石膏の量を50g、酸化マグネシウムに代えて、水酸化マグネシウム(関東化学株式会社製、MgO含有率67質量%以上)を49.5g使用し、炭酸ガスの吹き込み速度を2L/minとした以外、実施例1と同様の条件で行った。ここで水酸化マグネシウムの添加量は石膏に対し化学量論比3とした。スラリーのECは反応時間の経過とともに増加していき、反応開始から240分でほぼ一定となった為、これを反応終了時間とした。
乾燥後の固形物をXRDで分析したところ、CaCO3(Calcite,Aragonite)のみであり石膏及び出発原料であるMg(OH)2に起因するピークは消失していた。固形物を分析した結果、石膏由来の硫黄含有量は0.4質量%と低いことから、水酸化マグネシウムと二酸化炭素により石膏をすべて分解できたと判断した。得られた炭酸カルシウムの白色度は、92%であった。
<実施例5>
添加する排脱石膏の量を50g、酸化マグネシウムに代えて、塩基性炭酸マグネシウム(関東化学株式会社製、MgO含有率44質量%以上)を75.3g使用し、炭酸ガスの吹き込み速度を2L/minとした以外、実施例1と同様の条件で行った。ここで塩基性炭酸マグネシウムの添加量は石膏に対し化学量論比3とした。スラリーのECは反応時間の経過とともに増加していき、反応開始から240分でほぼ一定となった為、これを反応終了時間とした。
乾燥後の固形物をXRDで分析したところ、CaCO3(Calcite,Aragonite)のみであり石膏及び出発原料である塩基性炭酸マグネシウムに起因するピークは消失していた。固形分を分析した結果、石膏由来の硫黄含有量は0.6質量%と低いことから、塩基性炭酸マグネシウムと二酸化炭素により石膏をすべて分解できたと判断した。得られた炭酸カルシウムの白色度は91%であった。
<実施例6>
排脱石膏50gと半焼成ドロマイト(吉澤石灰工業株式会社製、商品名「メタクリア1000」、MgO含有率22質量%、遊離酸化カルシウム8質量%)を75.3gとを温度20℃(室温)のイオン交換水1Lに投入し、300rpmで撹拌を行いながら、石灰石焼成炉(ロータリーキルン)からの排ガス(CO2濃度17〜18体積%程度含有)を5L/minの速度で吹き込んだ。ここで半焼成ドロマイトの添加量は石膏に対し化学量論比1.5とした。それ以外の条件は、実施例1と同様の条件で行った。
反応時間とスラリーのpH及びECの関係を図2に示す。半焼成ドロマイトは遊離酸化カルシウムを含むため、原料投入後直ちにpHは12まで上昇し、ECも急増した。しかし、水中のカルシウムイオンは前記式3−1〜3−3で示したように、二酸化炭素と反応し炭酸カルシウムとして沈降する反応が起こるため、反応開始20分程度でpH及びECは低下した。その後は時間の経過とともに前記式1及び2で示した反応が進行し、pHは緩やかに低下、ECは暫時増加していき、反応開始から130分でどちらもほぼ一定となった為、これを反応終了時間とした。
乾燥後の固形物をXRDで分析したところ、半焼成ドロマイト中に残留する未焼成のドロマイト〔CaMg(CO32〕とCaCO3(Calcite,Aragonite)が確認され、石膏及びMgOに起因するピークは消失していた。固形物の硫黄含有量を分析したところ0.2質量%と低いことから、石膏はすべて反応し炭酸カルシウムになったと判断できる。
固形物の化学分析の結果CaO52.5質量%,MgO1.5質量%であった。分離した溶液を分析したところ、カルシウムイオンは28mg/L、マグネシウムイオンは9.5g/L、硫酸イオンは27g/Lであった。得られた炭酸カルシウムの白色度は、85%であった。
<実施例7>
廃石膏(d50 68.2μm、d90 221.4μm)100gと半焼成ドロマイト(吉澤石灰工業株式会社製、商品名「メタクリア1000」、MgO含有率22質量%)142.7gとを温度20℃(室温)のイオン交換水1Lに投入し、300rpmで撹拌を行いながら、石灰石焼成炉(ロータリーキルン)からの排ガス(CO2濃度17〜18体積%程度含有)を5L/minの速度で吹き込んだ。ここで半焼成ドロマイトの添加量は石膏に対し化学量論比1.5とした。それ以外の条件は、実施例1と同様の条件で行った。ECが反応開始から150分でほぼ一定となった為、これを反応終了時間とした。
乾燥後の固形物をXRDで分析したところ、半焼成ドロマイト中に残留する未焼成のドロマイト〔CaMg(CO32〕とCaCO3(Calcite,Aragonite)のみであり石膏及びMgOに起因するピークは消失していた。固形物の石膏由来の硫黄含有量は0.6質量%と低いことから、石膏はすべて反応し炭酸カルシウムになったと判断できる。得られた炭酸カルシウムの白色度は、80%であった。
<実施例8>
排脱石膏50gと軽焼ドロマイト(吉澤石灰工業株式会社製の一般品、MgO含有率32質量%)69.0gとを温度20℃(室温)のイオン交換水1Lに投入し、300rpmで撹拌しながら、石灰石焼成炉(ロータリーキルン)からの排ガス(CO2濃度17〜18体積%程度含有)を5L/minの速度で吹き込んだ。ここで軽焼ドロマイトの添加量は石膏に対し化学量論比2とした。それ以外の条件は、実施例1と同様の条件で行った。ECが反応開始から210分でほぼ一定となった為、これを反応終了時間とした。
乾燥後の固形物をXRDで分析したところ、CaCO3(Calcite,Aragonite)のみであり石膏及びMgOに起因するピークは消失していた。固形物の石膏由来の硫黄含有量は0.3質量%と低いことから、酸化マグネシウムと二酸化炭素により石膏を100%分解できたと判断した。得られた炭酸カルシウムについて白色度は94%であった。
<実施例9>
排脱石膏50gと水酸化ドロマイト(吉澤石灰工業株式会社製の特殊品、MgO含有率25質量%)88.4gとを温度20℃(室温)のイオン交換水1Lに投入し、300rpmで撹拌しながら、石灰石焼成炉(ロータリーキルン)からの排ガス(CO2濃度17〜18体積%程度含有)を5L/minの速度で吹き込んだ。ここで水酸化ドロマイトの添加量は石膏に対し化学量論比2とした。それ以外の条件は、実施例1と同様の条件で行った。ECが反応開始から210分でほぼ一定となった為、これを反応終了時間とした。
乾燥後の固形物をXRDで分析したところ、CaCO3(Calcite,Aragonite)のみであり石膏及びMg(OH)2に起因するピークは消失していた。固形物の石膏由来の硫黄含有量は0.5質量%と低いことから、石膏はすべて反応し炭酸カルシウムになったと判断できる。得られた炭酸カルシウムの白色度は91%であった。
<実施例10>
実施例1で得られたマグネシウムを含む溶液1Lを200rpmで撹拌しながら、3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下しpHが11になるように調整した。得られた懸濁液をろ過し蒸留水で十分に洗浄後、110℃×24h乾燥機内で乾燥し白色沈殿物(以下、「回収品Mg塩」と称す)を回収した。溶液中からのマグネシウム回収率を算出したところ97質量%であった。回収品Mg塩をXRDで分析したところ、ハローのみが確認され、非晶質であった。回収品Mg塩の化学成分を、JIS R 9011:2006の「石灰の分析方法」に規定された方法により分析したところ、MgO42質量%,CaO2質量%,CO230質量%,Ig.loss54質量%であった。以上の分析結果から、回収品Mg塩は塩基性炭酸マグネシウムに類似した炭酸マグネシウム塩であることが推測される。
この回収品Mg塩78.9gと排脱石膏50gを温度20℃(室温)のイオン交換水1Lに投入し、300rpmで撹拌しながら、石灰石焼成炉(ロータリーキルン)からの排ガス(CO2濃度17〜18体積%程度含有)を5L/minの速度で吹き込んだ。ここで回収品Mg塩の添加量は石膏に対し化学量論比3とした。それ以外の条件は、実施例1と同様の条件で行った。ECが反応開始から210分でほぼ一定となった為、これを反応終了時間とした。
乾燥後の固形物をXRDで分析したところ、CaCO3(Calcite,Aragonite)のみであり石膏に起因するピークは消失していた。固形物の石膏由来の硫黄含有量は0.5質量%と低いことから、石膏はすべて反応し炭酸カルシウムになったと判断できる。
<実施例11>
実施例6で得られたマグネシウムを含む溶液1Lに試薬の酸化マグネシウムを添加し200rpmで3時間撹拌した。ここで、酸化マグネシウムは溶液中のマグネシウムイオンと等量になるよう添加した。所定時間撹拌後、懸濁液をろ過し蒸留水で十分に洗浄後、110℃×24h乾燥機内で乾燥し白色沈殿物を得た。溶液中からのマグネシウム回収率を算出したところ95質量%であった。得られた白色沈殿物をXRDで分析したところ、この白色沈殿物は結晶性の低い塩基性炭酸マグネシウムであり、実施例10の回収品Mg塩と類似していた。
この白色沈殿物をマグネシウム匣鉢内に入れ、電気炉にて1000℃で5時間焼成し、酸化マグネシウム粉末(以下、「回収品MgO」と称す)を得た。回収品MgOの化学成分を、JIS R 9011:2006の「石灰の分析方法」に規定された方法により分析したところ、はMgO 96質量%,CaO 1.4質量%であり、クエン酸活性度は980であった。
この回収品MgO34.5gと排脱石膏100gを温度20℃(室温)のイオン交換水1Lに投入し、300rpmで撹拌しながら、石灰石焼成炉(ロータリーキルン)からの排ガス(CO2濃度17〜18体積%程度含有)を5L/minの速度で吹き込んだ。ここで回収品MgOの添加量は石膏に対し化学量論比1.5とした。それ以外の条件は、実施例1と同様の条件で行った。ECが反応開始から150分でほぼ一定となった為、これを反応終了時間とした。
乾燥後の固形物をXRDで分析したところ、CaCO3(Calcite,Aragonite)のみであり石膏及びMgOに起因するピークは消失していた。固形物の石膏由来の硫黄含有量は0.5質量%と低いことから、石膏はすべて反応し炭酸カルシウムになったと判断できる。以上、マグネシウム溶液から炭酸マグネシウム塩を回収し、これを焼成することで酸化マグネシウムを回収することが出来た。さらに再び出発原料へと再利用できることを検証した。
<比較例1>
マグネシウム塩を添加せず、排脱石膏のみ100g添加し、炭酸ガス(CO2濃度100体積%)の吹込み速度を2l/minで24h吹込んだ以外、実施例1と同様の条件で行った。
乾燥後の固形物をXRDで分析したところ、CaSO4・2H2Oのみが同定され、炭酸カルシウムの生成は確認されなかった。分離した溶液を分析したところ、カルシウムイオンは820mg/L、硫酸イオンは1900mg/Lであり、微量の石膏の溶解が確認された。
<比較例2>
排脱石膏100g、試薬の酸化マグネシウム45.1gを添加し、炭酸ガス(CO2濃度100%)の吹込みを行わず撹拌のみを24時間継続した以外、実施例1と同様の条件で行った。
乾燥後の固形物をXRDで分析したところ、CaSO4・2H2O、Mg(OH)2、MgOが同定され、炭酸カルシウムの生成は確認されなかった。分離した溶液を分析したところ、カルシウムイオンは1200mg/L、マグネシウムイオンは45mg/L、硫酸イオンは2800mg/Lであり、マグネシウム塩の溶液への移行は確認できなかった。
Figure 2014189416
実施例1〜11より、本発明に属する方法は、高効率でかつ穏やかな条件で、炭酸カルシウムとマグネシウムを含む溶液とを同時に回収できることが分かる。
実施例1、4、5、8及び9で得られた炭酸カルシウムは白色度が高く、製紙、プラスチック、ゴム、塗料等のフィラーとして有用であることが分かる。
実施例6及び7で得られた炭酸カルシウムは、建設土木資材、肥料、排脱用途に好適である。
実施例10及び11から、マグネシウムを含む溶液から炭酸マグネシウム塩又は酸化マグネシウムを効率的に回収し、さらに本発明の方法における出発原料として再利用できることが分かる。
実施例1、3〜11では、マグネシウム塩の添加量を石膏に対するモル比(MgO/CaSO4)で1.5〜3の範囲に調整することで、未反応物が残存することなく、石膏を炭酸カルシウムに変換させ、マグネシウム塩を水中に溶解させることができる。

Claims (7)

  1. 石膏及びマグネシウム塩を水に添加して調製したスラリーを撹拌しながら、二酸化炭素を導入して、マグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムを製造する方法であって、マグネシウム塩の酸化物に換算した添加量が、石膏に対するモル比(MgO/CaSO4)で1〜4の範囲である、マグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
  2. マグネシウム塩が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、及び炭酸マグネシウム塩から選ばれる1つ以上である、請求項1に記載のマグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
  3. マグネシウム塩が、半焼成ドロマイト、軽焼ドロマイト、及び水酸化ドロマイトから選ばれる1つ以上である、請求項1又は2に記載のマグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
  4. 前記製造方法により得られたマグネシウムを含む溶液に、アルカリ溶液を添加し、pHを9.5〜12に調整して得た炭酸マグネシウム塩を出発原料のマグネシウム塩に用いる、請求項1〜3のいずれかに記載のマグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
  5. 前記製造方法により得られたマグネシウムを含む溶液に、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、及び塩基性炭酸マグネシウムから選ばれる1種以上を添加して得た炭酸マグネシウム塩を出発原料のマグネシウム塩に用いる、請求項1〜3のいずれかに記載のマグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
  6. 炭酸マグネシウム塩を焼成して得られた純度が95質量%以上の酸化マグネシウムを出発原料のマグネシウム塩に用いる、マグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法であって、炭酸マグネシウム塩が、前記製造方法により得られたマグネシウムを含む溶液に、アルカリ溶液を添加し、pHを9.5〜12に調整して得たもの、又は、前記製造方法により得られたマグネシウムを含む溶液に、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、及び塩基性炭酸マグネシウムから選ばれる1種以上を添加して得たものである、請求項1〜5のいずれかに記載のマグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
  7. 前記製造方法により得られた炭酸カルシウムを原料に用いて製造された副産石膏を出発原料の石膏に用いる、請求項1〜6のいずれかに記載のマグネシウムを含む溶液及び炭酸カルシウムの製造方法。
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