JP2014188545A - アーク溶接ロボット制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
従来、溶接線方向の変化に応じて適切にガスの流量を調整するためには、作業者が曲線部や角部において必要なガス流量を熟知している必要があった。このため、教示が複雑かつ難しくなる。
【解決手段】
ロボット制御装置30は順に連続した第1溶接区間と第2溶接区間における溶接トーチの軌跡変化と、両溶接区間の前進/後退角度及び狙い角度とを作業プログラムDwから取得して、前進/後退角度及び狙い角度と軌跡変化に基づいてガス流量を算出する。アーク溶接時には第2溶接区間のために算出した前記ガス流量となるようにガス流量調整装置に対してガス流量の調整のガス制御信号Mgを出力する。
【選択図】図2

Description

本発明は、アーク溶接ロボット制御装置に関するものである。
アーク溶接では、高温となる溶接部が大気と反応することを防ぐため、不活性のガス(シールドガス)を溶接部に噴きつけて保護している。このシールドガスとしては、COやアルゴンといったガスが用いられる。しかし、図18に示すように、開先形状によってガスの流れ方は異なる。図18(a)は、開先が無い、または開先が浅い場合を示している。図中、点線は、溶接トーチ60から噴出するシールドガスの流れる状態を示している。また、図18(b)は、開先が鋭い場合を示している。これらの場合は、シールドガスが逃げやすく、シールドガスを多めに噴きつけなければシールド性能が維持できない。
一方、図18(c)は、開先が深い場合を示し、この場合はシールドガスが逃げにくくなるため、少量のシールドガスで十分なシールド性能を得ることができる。また、必要なガスの量は溶接速度や溶接姿勢のほか、溶接電流によっても異なる。
特許文献1では、ワークの開先形状と、溶接トーチの姿勢をフィードバックし、データベースを参照して溶接条件を設定する。
図19(a)、(b)、及び図20(a)、(b)は、ワーク形状の溶接の進行方向の変化、すなわち、溶接トーチ60の軌跡が急激の場合の例である。
図19(a)は溶接トーチ60の軌跡が円弧軌跡であって、頂点部分で溶接トーチ60が外回りする場合を示し、図19(b)は溶接トーチの軌跡が直線軌跡が角度を以て分割されて、分割部分(頂点部分)で溶接トーチ60が外回りする場合を示している。これらの両者の軌跡の頂点部分をそれぞれ外回りするときには、シールドガスが逃げやすい。従って、この場合は、円弧軌跡及び直線軌跡の頂点部分の外回りでは、軌跡が直線部分の場合に比較してシールドガスを多めにする必要がある。
図20(a)は、溶接トーチ60の軌跡が円弧軌跡であって、内底部分で溶接トーチ60が内回りする場合を示し、図20(b)は溶接トーチの軌跡が直線軌跡が角度を以て分割されて、分割部分(内底部分)で溶接トーチ60が内回りする場合を示している。これらの両者の軌跡の内底部分をそれぞれ内回りするときには、シールドガスが逃げにくい。従って、この場合、円弧軌跡及び直線軌跡の内底部分の内回りでは軌跡が直線部分の場合に比較してシールドガスを少なくしてしてもよい。
図19(a)、(b)の場合では、図21(a)に示すように、外回りにおいて必要とするガス流量の変化にすることが好ましい。すなわち、図21(a)に示すように、頂点部分に入る前の箇所から、ガス流量をG1から徐々に増加して、頂点部分を含む範囲ではガス流量をG2(>G1)にし、その後の直線部分になるところではガス流量をG1に徐々に戻すことが好ましい。
図20(a)、(b)では、図21(b)に示すように、内回りにおいて必要とするガス流量の変化にすることが好ましい。すなわち、図21(b)に示すように、内底部分に入る前の箇所から、ガス流量をG2(>G1)から徐々に減少させて、内底部分を含む範囲ではガス流量をG1(<G2)にし、その後の直線部分になるところではガス流量をG2に徐々に戻すことが好ましい。
しかし、溶接トーチ60の軌跡が急激に変化するとき、フィードバック制御でシールドガスの流量を調整した場合、ガス流量の変化は溶接電流や溶接速度に対して緩やかであるため、シールドガスの変化が追従せずにシールドガスの過不足が起きる。
特開平10−24370号公報
従来では、このような溶接線方向の曲がり方の影響に対応するためには、図22及び図23に示すように教示時に手動で溶接条件の変更を教示しておく必要がある。
図22は円弧軌跡の場合の例を示している。図22の例では、円弧軌跡(頂点部分)の前及び後に、溶接条件(ガス流量)の変更命令を作業プログラムにそれぞれ挿入する。
図23は、直線軌跡の場合の例を示している。図23の例では、直線軌跡の分割箇所である内底部分の前及び後に、溶接条件(ガス流量)の変更命令を作業プログラムにそれぞれ挿入する。
このように、溶接線方向の変化に応じて適切にガスの流量を調整するためには、作業者が曲線部や角部における溶接条件や必要なガス流量を熟知している必要がある。そのため、教示が複雑かつ難しくなる。
本発明の目的は、溶接線方向の変化があってもガス流量調整のために煩雑な溶接作業プログラムを教示する必要がなく、溶接線方向の変化に応じた適切なシールドガスの流量での溶接を容易に行うことができるアーク溶接ロボット制御装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、本発明のアーク溶接ロボット制御装置は、ガス流量調整装置を介して流量調整後のシールドガスを溶接トーチへ供給するアーク溶接ロボット制御装置において、順に連続した第1溶接区間と第2溶接区間における前記溶接トーチの軌跡変化と、両溶接区間のトーチ姿勢とを作業プログラムから取得して、前記トーチ姿勢と前記軌跡変化に基づいてガス流量を算出し、算出した前記ガス流量となるように前記ガス流量調整装置に対してガス流量の調整の制御信号を出力する制御部を備えるものである。
また、前記トーチ姿勢が、前記溶接トーチの前進/後退角度及び狙い角度を含むことが好ましい。
また、前記制御部が前記トーチ姿勢と前記軌跡変化に基づいて算出するガス流量は、前記トーチ姿勢に応じた補正値と、前記軌跡変化に応じた補正値を算出し、算出したこれらの補正値を、予め設定された基本ガス流量に加算して得るものである。
また、前記制御部は、前記軌跡変化を起こす第2溶接区間のために、第1溶接区間でガス流量の調整が必要の場合は、予め設定された溶接速度と、ガス流量の調整に必要な調整時間に基づいて、第1溶接区間中に前記制御信号を出力するタイミングである変更タイミングを算出して、その変更タイミングで前記制御信号を出力し、第2溶接区間の全区間を通過してから余裕時間を経過後、または第2溶接区間の一部を前記溶接トーチが通過してから余裕時間を経過後に、第1溶接区間で出力した制御信号がガス流量を増量又は減量させる旨の制御信号である場合には、反対の減量または増量させる旨の制御信号を出力することが好ましい。
また、前記基本ガス流量は、前記溶接区間の溶接電流、溶接速度、及びアーク溶接を行うワークの開先形状により設定されていることが好ましい。
本発明のアーク溶接ロボット制御装置によれば、溶接ロボットはシールドガスの流量を溶接トーチの動作軌跡に応じて自動的に調整できるようになり、作業者は溶接ワークに沿った軌跡を教示するのみで溶接作業プログラムを作成することができ、溶接線方向の変化があってもガス流量調整のために煩雑な溶接作業プログラムを教示する必要がなく、適切なシールドガスの流量での溶接を容易に行うことができる。
一実施形態のアーク溶接ロボット制御システムの概略構成図。 ロボット制御装置の内部構成を示す機能ブロック図。 (a)〜(d)は溶接条件データベースの概略図。 作業プログラムの説明図。 溶接電流、溶接速度、開先形状を入力することによる基本ガス流量の算出概念図。 作業プログラム実行時のガス流量及びガス量切り替えタイミングの算出を示すフローチャート。 移動命令S1〜S4を有する一例の溶接区間の説明図。 同じく前進/後退角度の取得に関する説明図。 溶接トーチの狙い角度の取得の説明図。 (a)〜(f)は、動作軌跡に変化がある例を平面にした状態での説明図。 ガス流量補正値の取得のフローチャート。 一例における動作軌跡L上でのガス流量の変更タイミングT1〜T4を示す説明図。 他の例における本実施形態のガス流量の変更タイミングの説明図。 同じく他の例におけるガス流量の変更タイミングのタイミングチャート。 他の実施形態の形状取得センサによって開先の形状を探査する場合のワークと溶接トーチの説明図。 (a)は円弧軌跡の場合のワークの斜視図、(b)はその形状の推測の説明図。 (a)は直線軌跡の分割箇所を有するワークの斜視図、(b)はその形状の推測の説明図。 (a)〜(c)はそれぞれ開先が無いまたは浅い場合、開先が深い場合、及び開先が深い場合のシールドガスの流れる状態の説明図。 (a)、(b)はワーク形状の溶接の進行方向の変化が急激の場合の例の説明図。 (a)、(b)はワーク形状の溶接の進行方向の変化が急激の場合の例の説明図。 (a)は、(b)はガス流量の変化を示すタイムチャート。 円弧軌跡の頂点部分の前後において、作業プログラム作成時に溶接条件(ガス流量)の変更命令を挿入する場合の説明図。 直線軌跡の分割箇所の前後において、作業プログラム作成時に溶接条件(ガス流量)の変更命令を挿入する場合の説明図。
(実施形態の構成)
以下、図1〜図12を参照して、本発明のアーク溶接ロボット制御装置(以下、単にロボット制御装置という)を含むアーク溶接ロボット制御システムを説明する。
図1に示すように、アーク溶接ロボット制御システムは、マニピュレータ10、ティーチペンダント20、ロボット制御装置30及び溶接電源40によって大略構成されている。マニピュレータ10は例えば、6軸のマニピュレータであるが軸数は限定するものではない。
図1に示すように、マニピュレータ10は、ワーク50に対してアーク溶接を自動で行うものであり、複数のアーム部12及び手首部14と、これらを回転駆動するための複数のサーボモータ(いずれも図示せず)とによって構成されている。このマニピュレータ10の上アームの先端部分には、溶接トーチ60が取り付けられている。溶接トーチ60は、ワイヤリール(図示せず)に巻回された溶接ワイヤ16を、ワーク50上の教示された溶接線に導くためのものである。
ティーチペンダント20は、溶接加工を行う区間の各教示点、溶接条件(溶接電流、溶接電圧、溶接速度V等)を、作業プログラムDwとして入力するためのものであり、これらはロボット制御装置30に入力される。
ロボット制御装置30は、ティーチペンダント20から入力された作業プログラムDwを解釈し、解釈結果に基づいた所定のタイミングで、動作制御信号Mcをマニピュレータ10に出力する。同様に、溶接制御信号Ws、ガス制御信号Mgを溶接電源40に出力する。ガス制御信号Mgは請求項の制御信号に相当する。
溶接電源40は、ロボット制御装置30からの溶接制御信号Wsを入力として、溶接トーチ60とワーク50との間の電力供給を行う。
また、溶接電源40は、ガス制御信号Mgを入力として、後述するガス流量調整装置70に対し、シールドガスを出力または停止させたり、シールドガスの流量を設定するための指令信号Sgを出力する。ガス流量調整装置70は、例えばマスフローコントローラにて構成されている。
ガス流量調整装置70は、溶接電源40と接続されており、溶接電源40からの入力に応じて、シールドガスの供給自体を出力または停止させる。また、ロボット制御装置30が算出したガス流量となるよう、ガスシリンダ80から供給されるシールドガスの流量を調整する。なお、シールドガスは、COやアルゴン等の不活性なガスである。ガス流量調整装置70から出されて流量調整後のシールドガスは、図示しないコンジットケーブルの内部に設けられたガスホース75を介して溶接トーチ60へと供給される。この結果、溶接トーチ60からシールドガスが噴出される。
次に、図2〜図4を参照して、ロボット制御装置30の内部構成の機能ブロック及び関連構成について説明する。
図2に示すように、ロボット制御装置30は、マイクロコンピュータ及び各種メモリ等によって構成されており、より詳細には、作業プログラム解析部31、ハードディスク32、軌道計画部33、RAM34、バッファ35、サーボ制御部36、サーボ駆動部37、現在位置監視部38及び溶接制御部39を備えている。ロボット制御装置30は制御部に相当する。
ハードディスク32は記憶手段としての不揮発性メモリであり、作業プログラムDw、基本ガス流量Gk、溶接条件データベースDA1〜DA4等が記憶されている。
図3(a)に示すように、溶接条件データベースDA1は、作業プログラムDwの再生時に使用する溶接電流、溶接速度V、開先形状、及び基本ガス流量が互いに関連付けされたものである。本実施形態の溶接条件データベースDA1は、開先形状、溶接電流、及び溶接速度Vを抽出条件として、ティーチペンダント20の操作により入力されると、基本ガス流量が一義的に抽出できるようにされている。
また、図3(b)に示すように、溶接条件データベースDA2は、作業プログラムDwの再生時に使用する前進/後退角度、及びガス流量補正値K1が互いに関連付けされたものである。溶接条件データベースDA2は、前進/後退角度を抽出条件としてガス流量補正値K1を一義的に抽出するためのものである。
また、図3(c)に示すように、溶接条件データベースDA3は、作業プログラムDwの再生時に使用する狙い角度、及びガス流量補正値K2が互いに関連付けされたものである。溶接条件データベースDA3は、狙い角度を抽出条件としてガス流量補正値K2を一義的に抽出するためのものである。
また、図3(d)に示すように、溶接条件データベースDA4は、作業プログラムDwの再生時に、内回り(又は外回り)、円弧半径(又は、異なる直線軌跡の変化角度)、及びガス流量補正値K3が互いに関連付けされたものである。溶接条件データベースDA4は、円弧半径(又は、直線軌跡の変化角度)を抽出条件としてガス流量補正値K3を一義的に抽出するためのものである。
溶接条件データベースDA4では、外回りと内回りにおいて、円弧半径(又は、直線軌跡の変化角度)、狙い角度、前進/後退角度の、それぞれの項目同士の大きさが同じであった場合、外回りと内回りのガス流量補正値K3の絶対値は相互に同じとし、外回りのガス流量補正値K3は正値とし、内回りのガス流量補正値K3は負値とするようにしている。このようにして、外回りのガス流量補正値K3は、内回りのガス流量補正値K3よりも大きくしている。
本実施形態では、ガス流量補正値K1〜K3は、基本ガス流量に乗算するための係数であるが、補正ガス流量であってもよい。ガス流量補正値K1〜K3は、正負いずれの値も取り得る。
なお、溶接条件データベースDA2〜DA4の各値は、試験等により取得して予め設定されている。
作業プログラム解析部31は、ハードディスク32に格納されている作業プログラムDwを教示ステップである作業ステップごとに読み出し、その内容を解析するものである。例えば、作業プログラム解析部31は、作業プログラム中に含まれている作業ステップの移動命令(座標、速度情報等のデータからなる)を読み出し、それを軌道計画部33に通知する。さらに、ガス出力を開始及び終了するタイミングを求めて、軌道計画部33に通知する。
軌道計画部33は、作業プログラム解析部31から送られる各種の移動命令をバッファ35に格納するものである。この移動命令には、ガス出力・停止のタイミング等も付与されている。また、軌道計画部33は、バッファ35に格納された移動命令を読み出し、それに基づいて溶接トーチ60の軌道計画を立案して、マニピュレータ10の各モータの回転角、回転速度等の情報をサーボ制御部36に対して通知する。
バッファ35は、いわゆる先入れ先出し(FIFO:first-in first-out)用のメモリからなり、軌道計画部33から送られた移動命令を格納するものである。
サーボ制御部36は、軌道計画部33から送られる軌道計画に基づいて、マニピュレータ10の各モータを回転駆動すべく駆動信号をサーボ駆動部37に送るものである。また、サーボ制御部36は、図示しないエンコーダからの出力を取得して、現在位置監視部38にその情報を送るものである。
サーボ駆動部37は、サーボ制御部36からの指令に基づいて各モータに対して動作制御信号Mcを出力するものである。
現在位置監視部38は、マニピュレータ10の各アームのモータに設けられた図示しないエンコーダからの検出信号により、溶接トーチ60の現在位置を監視するものである。
溶接制御部39は、現在位置監視部38からの各種命令を適切な処理タイミングで溶接電源40に出力することで、溶接トーチ60による溶接及びシールドガスの噴出を行わせるものである。
より具体的には、溶接制御部39は、現在位置監視部38から指定された処理タイミングで溶接電源40に対して必要なガス流量でのシールドガスを噴出させるためのガス制御信号Mgを出力する。ここで、ガス制御信号Mgは、ガス流量の調整の制御信号に相当する。
また、溶接制御部39は、現在位置監視部38からの溶接制御命令に基づいて溶接電源40によって溶接が行われるための溶接制御信号Wsを出力する。
また、サーボ駆動部37は、サーボ制御部36からの駆動命令に基づいてマニピュレータ10の各モータに対して動作制御信号Mcを送るものである。
(実施形態の作用)
前記アーク溶接ロボット制御システム及びロボット制御装置30の作用を説明する。
(1.準備段階)
図1に示すように作業者はティーチペンダント20を使用して、ワーク50に適応した作業プログラムDwを作成し、図2に示すロボット制御装置30のハードディスク32に格納する。
図4は作業プログラムDwの一例である。
また、図7及び図12に示すように、この作業プログラムDwにより、溶接トーチ60はワーク50上の図示しない溶接線に沿った動作軌跡Lを描くことが可能である。具体的には、作業プログラムDwは、作業ステップ0〜作業ステップ8により構成されている。なお、図7、図12は動作軌跡Lを平面視したものである。
作業ステップ1では、移動命令(直線軌跡)、作業ステップ2では溶接開始命令AS、作業ステップ3では移動命令S1(直線軌跡)、作業ステップ4では移動命令S2(円弧軌跡)、作業ステップ5では、移動命令S3(直線軌跡)、作業ステップ5では移動命令S4(直線軌跡)、作業ステップ6では、溶接終了命令AEが記述されている。
なお、図7及び図12では、説明の便宜上、移動命令S1〜S4が実行される溶接区間を明示するために、この溶接区間には移動命令と同じ符号を付している。また、一般化するために、溶接開始命令ASがあった後から溶接終了命令AEがあるまでに、移動命令がある溶接区間にはSn(n=1,2,……)を付す。
また、作業者は、ティーチペンダント20を使用して、溶接電流と溶接速度Vとワーク50の開先形状を入力する。
次に、図5に示すように、作業者は、ティーチペンダント20を操作して、溶接電流、溶接速度V、開先形状を指定してロボット制御装置30に入力する。ロボット制御装置30は、溶接条件データベースDA1を参照して、入力された溶接電流、溶接速度V、開先形状を抽出条件として、基本ガス流量を算出(抽出)し、抽出した基本ガス流量Gkをハードディスク32に格納する。なお、本実施形態では、ルート幅を考慮していないため、ルート幅を0と仮定して前記基本ガス流量を算出している。
なお、基本ガス流量Gkは、基準となる溶接線の溶接箇所に応じた最適な流量のことである。
(2.作業プログラムの実行段階)
次に、作業プログラムDwを再生実行する場合について説明する。なお、以下の説明では、図4に示す作業プログラムDwに関しても交えて説明することとする。なお、図4に示す作業プログラムDwを明示する場合は、ことわり書きである「図4に示す」を付す。
(ST10) 図6に示すように、作業プログラムDwを再生実行する場合、ロボット制御装置30の作業プログラム解析部31は、作業ステップを複数読込みして前記構成で説明した公知の解析を行う。
(ST20) ST20では、作業プログラム解析部31は、前記構成で説明した公知の解析の他にさらに下記の算出も行う。
すなわち、作業プログラム解析部31は、溶接開始命令ASがある作業ステップの後において、移動命令Snがある作業ステップNから、その次に実行する移動命令がある作業ステップN+1までを読込みする。
図4に示す作業プログラムDwの例では、作業ステップNは作業ステップ3であり、作業ステップN+1は作業ステップ4である。
そして、図7及び図8に示すように、作業プログラム解析部31は、読込した2つの作業ステップN,N+1におけるそれぞれの溶接線の進行方向と、溶接トーチ60の長手方向軸線のベクトルの向きから、溶接区間Sn、Sn+1におけるそれぞれの前進/後退角度AVと、溶接区間Sn、Sn+1の動作軌跡Lを求める。図8は、動作軌跡Lを平面視したものである。
ここで、溶接区間Snは第1溶接区間に相当し、溶接区間Sn+1は第2溶接区間に相当する。
なお、後述するST80からリターンしてST20に至った場合は、溶接区間Sn+1の前進/後退角度AVと、溶接区間Sn+1の動作軌跡Lを求め、溶接区間Snの前進/後退角度AVと、溶接区間Snの動作軌跡Lは前回求められているため、この値を採用する。
すなわち、図6に示すST20において、溶接区間Sn、Sn+1の両区間におけるそれぞれの前進/後退角度AVと、溶接区間Sn、Sn+1の動作軌跡Lを求めるのは、溶接区間SnがS1のときだけであり、後述するST80からST10に戻る毎に、次に算出すべき溶接区間を順次1つずつ更新している。このため、前回Sn+1であった溶接区間は更新後はSnとなり、この溶接区間の前進/後退角度AVと、動作軌跡Lは既に算出されているため、この算出した結果を利用するものである。このため、新たに読み込まれた次の作業ステップに関する溶接区間に関してのみ、前進/後退角度AVと、動作軌跡Lを求めるものとする。
なお、上記のように前回の値を利用することなく、ST20において、溶接区間Sn、Sn+1のそれぞれの前進/後退角度AVと、動作軌跡Lを再度求めてもよい。
図4に示す作業プログラムDwの例では、作業ステップ2に溶接開始命令ASがあるため、移動命令S1がある作業ステップ3から、その次に実行する移動命令S2がある作業ステップ4までを読込みして、溶接区間Sn(n=1)の溶接線の進行方向と、溶接トーチ60の角度から、溶接区間Sn(n=1)の前進/後退角度AVと、溶接トーチ60が移動する予定の動作軌跡Lを求める。
また、作業プログラム解析部31は、公知の方法により、図9に示す溶接区間Sn,Sn+1の狙い角度AHを算出する。
なお、図9に示すように、狙い角度AHは、ワーク50の基準面PLに対して、溶接線Y(図9では溶接線Yは紙面から垂直方向の延びている)と溶接トーチ60の長手方向軸線Bとが共に乗る平面Hのなす角をいう。
ここで、前記前進/後退角度AV及び狙い角度AHは、トーチ姿勢に相当する。
(ST30) 作業プログラム解析部31は、溶接区間Snの動作軌跡Lと、溶接区間Sn+1の動作軌跡Lとを比較し、動作軌跡の変化、すなわち、軌跡変化があるか否かを判定し、動作軌跡に変化がある場合は、ST40に移行し、動作軌跡に変化がない場合にはST70に移行する。
動作軌跡に変化がある例としては、下記(1)〜(3)がある。
動作軌跡に変化がない例としては、溶接区間Sn,Sn+1は直線軌跡であり、分割箇所において相互の角度が180度を有する場合である。
(1)図10(a)、(b)に示すように、溶接区間Sn,Sn+1は直線軌跡であるが、分割箇所において相互に角度(なお、ここでの角度は180度を除く)を有する場合
図10(a)の場合には、溶接区間Sn,Sn+1の動作軌跡の頂点部分を外回りすることになり、シールドガスが逃げやすい。また、図10(a)の場合には、直線軌跡の溶接区間Snの後、直線軌跡の溶接区間Sn+1に移行した後は、溶接区間Snでの調整(増量)後のシールドガスを溶接区間Sn+1では減量調整する必要がある場合である。
図10(b)の場合には、溶接区間Sn,Sn+1の動作軌跡の頂点部分を内回りすることになり、シールドガスが逃げにくい。また、図10(b)の場合には、直線軌跡の溶接区間Snの後、直線軌跡の溶接区間Sn+1に移行した後は、溶接区間Snでの調整(減量)後のシールドガスを溶接区間Sn+1では増量調整する必要がある場合である。
これらの場合は、溶接区間Sn+1に入る前には、溶接区間Snの終了側の領域でガス流量の調整を開始し、溶接区間Sn+1の始端でガス流量の調整を完了させる必要がある。さらに、溶接区間Snの後、溶接区間Sn+1に移行した後は、溶接区間Snでの調整後のシールドガスを溶接区間Sn+1では調整し直す必要がある場合である。
(2)図10(c)、(d)に示すように、溶接区間Snが直線軌跡で、溶接区間Sn+1が円弧軌跡の場合
図10(c)の場合には、溶接区間Sn,Sn+1の動作軌跡の頂点部分を外回りすることになり、シールドガスが逃げやすい。
図10(d)の場合には、溶接区間Sn,Sn+1の動作軌跡の頂点部分を内回りすることになり、シールドガスが逃げにくい。
これらの場合は、溶接区間Snの終端側の領域でガス流量の調整を開始し、溶接区間Sn+1の始端でガス流量の調整を完了させ、さらに、溶接区間Sn+1の全区間でガス調整後のガス流量を維持させる必要がある場合である。
(3)図10(e)、(f)に示すように、溶接区間Snが円弧軌跡で、溶接区間Sn+1が直線軌跡の場合
図10(e)の場合には、溶接区間Snの動作軌跡の頂点部分を外回りして、直線軌跡の溶接区間Sn+1に移行するため、溶接区間Snでの調整(増量)後のシールドガスを溶接区間Sn+1では減量調整する必要がある場合である。
図10(f)の場合には、溶接区間Snの動作軌跡の内底部分を内回りして、直線軌跡の溶接区間Sn+1に移行するため、溶接区間Snでの調整(減量)後のシールドガスを溶接区間Sn+1では増量調整する必要がある場合である。
これらの場合は、溶接区間Sn+1の始端からガス流量の調整を開始する必要がある場合である。
(ST40) ST40では、作業プログラム解析部31は、溶接トーチ60が溶接区間Sn、Sn+1を外回りで移動するのか、内回りで移動するのかを、溶接線の進行方向のベクトルと、溶接トーチ60の長手方向軸線のベクトルに基づいて判定を行い、その判定結果のフラグをセットする。
(ST50) ST50では、軌跡変化に伴うガス流量の算出を行う。
図11を参照して、ガス流量の算出について説明する。
(ST52) 図11に示すST52では、作業プログラム解析部31は、溶接条件データベースDA2を参照し、溶接区間Sn+1の前進/後退角度AVを抽出条件にしてガス流量補正値K1を取得する。
(ST54) ST54では、作業プログラム解析部31は、溶接条件データベースDA3を参照し、溶接区間Sn+1の狙い角度AHを抽出条件にしてガス流量補正値K2を取得する。
(ST56) 図11に示すST56では、作業プログラム解析部31は、ST30の(1)〜(3)の判定及びST40で設定した外回り又は内回りを明示するフラグに基づき、溶接条件データベースDA4を参照して、ガス流量補正値K3を取得する。
図6に示すST30で(1)の判定が行われた場合は、作業プログラム解析部31は、溶接区間Sn,Sn+1の直線軌跡の変化角度を算出し、この変化角度と、ST40での外回り、又は内回りのいずれかを明示するフラグを抽出条件にして溶接条件データベースDA4を参照してガス流量補正値K3を取得する。
ST30で(2)の判定が行われた場合は、作業プログラム解析部31は、溶接区間Sn+1の円弧軌跡の円弧半径を算出し、この円弧半径と、ST40での外回り、又は内回りのいずれかを明示するフラグを抽出条件にして溶接条件データベースDA4を参照してガス流量補正値K3を取得する。なお、円弧半径の算出は、移動命令(円弧軌跡)に円弧半径を算出するためのデータを備えるため、このデータに基づいて行われる。
図6に示すST30で(3)の判定が行われた場合は、溶接区間Snの軌跡に対する溶接区間Sn+1の直線軌跡の変化角度を算出し、この変化角度と、ST40での外回り、又は内回りのいずれかを明示するフラグを抽出条件にして溶接条件データベースDA4を参照してガス流量補正値K3を取得する。
(ST58) 図11に示すST58では、作業プログラム解析部31は、ガス流量補正値K1〜K3を合算する。本実施形態では、ガス流量補正値K1〜K3は係数であるので、基本ガス流量Gkにこの合算値を乗算することにより、ガス流量G2を算出する。
なお、ガス流量補正値K1〜K3が係数でなく、補正ガス流量の場合は、合算した値に対して基本ガス流量を加算して、ガス流量G2を算出する。なお、この場合、合算後の補正ガス流量が負値の場合は、前記加算の意味は実質的に減算の意味である。
(ST60) 図6に示すST60では、作業プログラム解析部31は、ST58で算出したガス流量G2と、調整前のガス流量の差を算出する。この差分を満たすようにガス流量調整装置70を使用してガス流量を変化させる時間、すなわち調整時間Aを、作業プログラム解析部31はハードディスク32に予め記憶した「差分と調整時間」のテーブルから求める。前記テーブルは、ある差分とその差分を調整するのに要する時間(調整時間)のテーブルである。これらのデータは、前記ガス流量調整装置70の試験を行って得られたものであり、任意の差分を抽出条件とすると一義的に調整時間Aを求めることができる。
そして、作業プログラム解析部31は、ガス量調整の間に移動する溶接トーチ60の移動距離(以下、ガス量調整移動距離GK)を求める。
ガス量調整移動距離GK=溶接速度V×調整時間A ……(1)
前記溶接速度Vは、上記したようにティーチペンダント20により入力された溶接条件であり、ハードディスク32に記憶されている。
次に、作業プログラム解析部31は、図10(a)、(b)に示すように、溶接区間Snの終了側の領域でガス流量の調整を開始し、溶接区間Sn+1の始端でガス流量の調整を完了させる必要な場合、及び図10(c)、(d)に示すように、溶接区間Snの終端側の領域でガス流量の調整を開始し、溶接区間Sn+1の始端でガス流量の調整を完了させ、さらに、溶接区間Sn+1の全区間でガス調整後のガス流量を維持させる必要がある場合には、下記(2)式で変更タイミングTGを算出する。
変更タイミングTG=
(溶接区間Snの溶接距離−ガス量調整移動距離GK)/溶接速度V……(2)
そして、作業プログラム解析部31は、溶接区間Snで溶接トーチ60の溶接移動が開始されてから変更タイミングTGで、ガス制御信号Mgを出力するようにバッファ35の特定領域に記憶(予約)する。この場合のガス制御信号Mgは、S50で算出したガス流量Gに変化(増量)させるための制御信号となる。
また、作業プログラム解析部31は、図10(e)、(f)に示すように、溶接区間Snを経過して溶接区間Sn+1の始端からガス流量の調整を開始する必要がある場合には、予め設定された余裕時間Uの終了時点を変更タイミングTGとする。
そして、この場合は、溶接区間Sn+1で溶接トーチ60の溶接移動が開始されてから変更タイミングTGで、ガス制御信号Mgを出力するようにバッファ35の特定領域に記憶(予約)する。この場合のガス制御信号Mgは、S50で算出したガス流量Gに変化(減量)させるための制御信号となる。
このガス制御信号Mgは、増量又は減量を示す次のガス制御信号Mgが入力されるまで、或いは、溶接終了命令AEが実行されるまでは、制御周期毎に維持されるように設定される。
図4に示す作業プログラムDwの例では、図12に示すように溶接区間S1は直線軌跡、溶接区間S2は円弧軌跡、溶接区間S3は直線軌跡、溶接区間S4が直線軌跡である。そして、溶接区間S2では、溶接トーチ60が外回りとなり、溶接区間S4の直線軌跡は、溶接区間S3の直線軌跡に対して変化角度を有するものとなっているとともに溶接トーチ60が内回りとなる。この実施例の場合では、溶接区間S2では円弧軌跡で外回りとなり、シールドガスが逃げやすく、反対に溶接区間S3,S4間では内回りとなり、シールドガスが逃げにくい。
このため、図4に示す作業プログラムDwの例では、ST60の処理により、図12に示す溶接区間S1中には、ガス流量を増量するためのガス制御信号Mgが出力する変更タイミングTGとしてT1が予約(設定)される。また、溶接区間S3中には、ガス流量を減量するためのガス制御信号Mgが出力する変更タイミングTGとしてT2が予約(設定)される。また、溶接区間S3中には、ガス流量を増量するためのガス制御信号Mgが出力する変更タイミングTGとしてT3が予約(設定)される。さらに、溶接区間S4中には、ガス流量を減量するためのガス制御信号Mgが出力する変更タイミングTGとしてT4が予約(設定)される。
この後、作業プログラム解析部31はST80に移行する。
(ST70)
図6に示すST30からST70に移行した場合、作業プログラム解析部31は、解析した溶接区間Snと次の溶接区間Sn+1では動作軌跡に変化がないとして、軌道計画部33に指令して、シールドガスの流量を基本ガス流量で行うためのガス制御信号Mgを、溶接区間Snの作業ステップの実行時に読み出されるようにバッファ35に格納し、ST80に移行する。
(ST80) 図6に示すST80では、作業プログラム解析部31は、解析した作業ステップに溶接終了命令AEがない場合は、次に解析すべき溶接区間の番号を順次1つずつ更新して、S10に戻り、以後ST10以降の処理を繰り返す。
この繰り返しにより、溶接開始命令ASを有する作業ステップと、溶接終了命令AEがある作業ステップ間に挟まれる作業ステップにおいて、移動命令(直線軌跡)又は移動命令(円弧軌跡)がある溶接区間における各ガス量切り替えタイミングが決定されて、それらのガス量切り替えタイミングは、バッファ35に記憶される。
また、ST80において、作業プログラム解析部31は、解析した作業ステップに溶接終了命令AEがある場合は、このフローチャートを終了する。
(実施例)
図12は前述したように図4に示す作業プログラムDwを再生実行した場合の変更タイミングTGを、T1〜T4で示している。
上記したように本実施例では、作業プログラムDwが図6のフローチャートにより解析されて、ガス切り替えタイミングT1〜T4が予約された上で実行される。
このため、シールドガスが不足しやすい溶接区間S2に溶接トーチ60が至る前の溶接区間S1中の変更タイミングT1で、ガス流量を増量するためのガス制御信号Mgがロボット制御装置30から溶接電源40に出力される。変更タイミングT1以後、溶接区間S1が終了した時点で、ガス流量調整が完了して必要とするシールドガスがガス流量調整装置70から溶接トーチ60に供給される。そして、溶接区間S2の全区間では、調整後のガス流量が維持される。
また、溶接トーチ60が溶接区間S3に入ってから余裕時間Uを経過した変更タイミングT2で、ロボット制御装置30から溶接電源40に減量のガス制御信号Mgが出力される。出力されたガス制御信号Mgに基づいて、ガス流量調整装置70は制御され、調整時間経過した時点で、ガス流量調整が完了して必要とする減量されたシールドガスがガス流量調整装置70から溶接トーチ60に供給される。
また、溶接区間S3の終端側の領域中の変更タイミングT3で、ロボット制御装置30から溶接電源40に減量のガス制御信号Mgが出力される。
そして、変更タイミングT3以後、溶接区間S3が終了するまでは徐々に減量し、溶接区間S3が終了した時点で、ガス流量調整が完了して必要とするシールドガスがガス流量調整装置70から溶接トーチ60に供給される。
そして、溶接区間S4に溶接トーチ60が移動を開始してから、余裕時間Uを経過した変更タイミングT4で、ロボット制御装置30から溶接電源40に増量のガス制御信号Mgが出力される。出力されたガス制御信号Mgに基づいて、ガス流量調整装置70は制御され、調整時間経過した時点で、ガス流量調整が完了して必要とする増量されたシールドガスがガス流量調整装置70から溶接トーチ60に供給される。
本実施形態のロボット制御装置30によれば、下記の特徴がある。
(1) 本実施形態のロボット制御装置30は、制御部として順に連続した溶接区間Sn(第1溶接区間)と溶接区間Sn+1(第2溶接区間)における溶接トーチ60の軌跡変化と、両溶接区間の前進/後退角度AV及び狙い角度AH(トーチ姿勢)とを作業プログラムDwから取得して、前進/後退角度AV及び狙い角度AH(トーチ姿勢)と軌跡変化に基づいてガス流量を算出するようにした。そして、ロボット制御装置30は、算出した前記ガス流量となるようにガス流量調整装置70に対してガス流量の調整のガス制御信号Mg(制御信号)を出力する制御部として機能する。
この結果、本実施形態のロボット制御装置によれば、溶接ロボットはシールドガスの流量を溶接トーチの動作軌跡に応じて自動的に調整できるようになる。また、作業者は溶接ワークに沿った軌跡を教示するのみで溶接作業プログラムを作成することができ、溶接線方向の変化があってもガス流量調整のために煩雑な溶接作業プログラムを教示する必要がなく、アーク溶接で消費するシールドガスを常に最適な量にすることができる。
(2) 本実施形態のロボット制御装置30では、トーチ姿勢としては、溶接トーチの前進/後退角度及び狙い角度を含むようにしている。この結果、前進/後退角度及び狙い角度にてトーチ姿勢を得ることができ、その結果、上記(1)の効果を容易に実現できる。
(3) 本実施形態のロボット制御装置30では、前記トーチ姿勢に応じた補正値と、前記軌跡変化に応じた補正値をそれぞれ算出し、算出したこれらの補正値を、予め設定された基本ガス流量Gkに加算することにより、前記トーチ姿勢と前記軌跡変化に基づいて算出するガス流量を得るようにした。この結果、シールドガスの流量を溶接トーチの動作軌跡に応じて自動的に調整できるようになる。
(4) 本実施形態のロボット制御装置30(制御部)は、前記軌跡変化を起こす溶接区間Sn+1(第2溶接区間)のために、溶接区間Sn(第1溶接区間)でガス流量の調整が必要の場合は、予め設定された溶接速度Vと、ガス流量の調整に必要な調整時間Aに基づいて、溶接区間Sn(第1溶接区間)中にガス制御信号Mg(制御信号)を出力するタイミングである変更タイミングを算出して、その変更タイミングで前記制御信号を出力するようした。また、溶接区間Sn+1(第2溶接区間)の全区間を通過してから余裕時間Uを経過後、または溶接区間Sn+1(第2溶接区間)の一部を溶接トーチ60が通過してから余裕時間Uを経過後に、溶接区間Sn(第1溶接区間)で出力したガス制御信号Mg(制御信号)がガス流量を増量又は減量させる旨の制御信号である場合には、反対の減量または増量させる旨のガス制御信号Mg(制御信号)を出力するようにした。この結果、本実施形態によれば、動作軌跡において、シールドガスが逃げにくい領域と、逃げやすい領域に応じて、ガス流量を自動的に調整できるようになる。
(5) 本実施形態のロボット制御装置30では、基本ガス流量Gkは、溶接区間の溶接電流、溶接速度、及びアーク溶接を行うワークの開先形状により設定されている。この結果、ベースとなる基本ガス流量Gkをこれらのパラメータにより一義的に決定することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように構成してもよい。
・ 前記実施形態では、図6のST10において作業プログラム解析部31が、読込みする作業ステップは、2つの作業ステップとしたが、3つ以上で連続する作業ステップを読込みして解析するようにしてもよい。
例えば、図6のST10において、3つの作業ステップN,N+1,N+2を読込する。以後、ST10〜ST30の処理は、前記実施形態と同様に行うが、溶接開始命令AS後の隣接する溶接区間をSn,Sn+1、Sn+2とする。そして、溶接区間Sn,Sn+1と、溶接区間Sn+1、Sn+2について、それぞれ動作軌跡の変化があるか否かを判定する。ここで、いずれか一方に動作軌跡の変化がある場合は、ST30の判定を「YES」とし、いずれも動作軌跡の変化がない場合は、「NO」と判定して、ST70に移行する。
ST40では、溶接区間Sn,Sn+1と、溶接区間Sn+1、Sn+2のそれぞれの溶接区間同士において、前記実施形態で説明した処理を行う。
ST50では、同じく溶接区間Sn,Sn+1と、溶接区間Sn+1、Sn+2のそれぞれの溶接区間同士において、前記実施形態で説明した処理を行う。
ST60では、同じく溶接区間Sn,Sn+1と、溶接区間Sn+1、Sn+2のそれぞれの溶接区間同士において、前記実施形態で説明した処理を行うものとする。但し、以下の場合は、ガス流量が大きい方を優先した値を採用し、この変更タイミングで予約するものとする。
図13、図14に示す例では、溶接区間Sn、Sn+1,Sn+2、Sn+3がそれぞれ、直線軌跡、円弧軌跡、直線軌跡、円弧軌跡の場合である。
この場合、溶接区間Sn中に減量のための制御信号の変更タイミングT1(出力タイミング)が、溶接区間Sn+1中に溶接区間Sn+3のガス流量を増量するための制御信号の変更タイミングT3(出力タイミング)が算出されたとする。また、溶接区間Sn+2中に、溶接区間Sn+2での軌跡では増量するための制御信号の変更タイミングT3(出力タイミング)が算出されたとする。
この場合、溶接区間Snの基本ガス流量をGk(=G0)とし、変更タイミングT1での制御信号によるガス流量をG1(<G0)とし、変更タイミングT2での制御信号によるガス流量をG2(=G0)とし、変更タイミングT3での制御信号によるガス流量をG3(>G2)とする。
具体的には、単位時間当たりのガス量を、G0=G2=20L、G1=18L、G3=25Lとする。この場合は、変更タイミングT3がT2よりも早期となるとともに、変更タイミングT3のガス流量G3>G2であるので、変更タイミングT3を優先して予約し、変更タイミングT2を無視するものとする。
なお、ST70〜ST80の処理は、前記実施形態と同様に行うものとする。
・ 前記実施形態では、開先形状を作業者が入力するようにしたが、レーザセンサ等からなる開先形状センサを溶接トーチ60に並設するようにして設け、開先形状センサにて開先形状を検出し、その検出結果を開先形状のデータとして使用としてもよい。この場合、図15中、FOVはレーザセンサLSの視野範囲を示している。
レーザセンサLSによる検出結果である開先形状のデータは、前記実施形態で説明した(2.作業プログラムの実行段階)において、レーザセンサLSにより開先形状のデータが図16(a)、(b)または図17(a)、(b)に示すように、溶接線上にある現在の開先形状が取得される。ロボット制御装置30では、その現在の開先形状に基づいて、溶接線上の進行方向の開先形状を予想することもできる。
そして、図6に示すST20において、レーザセンサLSが取得した前記開先形状に基づいて狙い角度を算出するようにしてもよい。
・ 前記実施形態の構成中、溶接条件データベースDA1を、溶接電流、溶接速度、開先形状、及び基本ガス流量を互いに関連付けしたが、溶接電流、溶接速度、開先形状、ルート幅(ルート間隔ともいう)及び基本ガス流量を互いに関連付けしてもよい。この場合、溶接条件データベースDA1は、開先形状、溶接電流、ルート幅及び溶接速度が入力されると、基本ガス流量が一義的に特定できるようにされている。
・ 前記実施形態の構成では、溶接線は主に水平面に含まれる場合を想定しているが、溶接線を上下方向に延びる場合にも適用できることはいうまでもない。
さらに、この場合は、下進の場合と上進の場合の補正値を試験等によりそれぞれ予め求めておき、この値を新たな溶接条件データベースとして作成し、或いは、上進、下進を抽出条件に含めるようにして溶接条件データベースDA2〜DA4を作成することか好ましい。
そして、これらのデータ溶接条件データベースを使用する際に、溶接線の進行方向のベクトルと、溶接トーチ60の長手方向軸線のベクトルから、上進或いは下進を判定して、判定結果を抽出条件の1つとしてもよい。
・ 前記実施形態では図6に示すST30において、動作軌跡に変化がない例として、溶接区間Sn,Sn+1は直線軌跡であり、分割箇所において相互の角度が180度を有する場合としたが、180度±αの範囲は動作軌跡に変化がない例としてもよい。αは例えば、10〜30度を挙げることができるが、溶接線に応じて代えてもよい。
10…マニピュレータ、16…溶接ワイヤ、
20…ティーチペンダント、
30…ロボット制御装置(アーク溶接ロボット制御装置)、
31…作業プログラム解析部、32…ハードディスク、
33…軌道計画部、35…ガスホース、
36…サーボ制御部、37…サーボ駆動部、
38…現在位置監視部、39…溶接制御部、
40…溶接電源、50…ワーク、
60…溶接トーチ、70…ガス流量調整装置、
80…ガスシリンダ。

Claims (5)

  1. ガス流量調整装置を介して流量調整後のシールドガスを溶接トーチへ供給するアーク溶接ロボット制御装置において、
    順に連続した第1溶接区間と第2溶接区間における前記溶接トーチの軌跡変化と、両溶接区間のトーチ姿勢とを作業プログラムから取得して、前記トーチ姿勢と前記軌跡変化に基づいてガス流量を算出し、算出した前記ガス流量となるように前記ガス流量調整装置に対してガス流量の調整の制御信号を出力する制御部を備えるアーク溶接ロボット制御装置。
  2. 前記トーチ姿勢が、前記溶接トーチの前進/後退角度及び狙い角度を含む請求項1に記載のアーク溶接ロボット制御装置。
  3. 前記制御部が前記トーチ姿勢と前記軌跡変化に基づいて算出するガス流量は、前記トーチ姿勢に応じた補正値と、前記軌跡変化に応じた補正値を算出し、算出したこれらの補正値を、予め設定された基本ガス流量に加算して得る請求項1または請求項2に記載のアーク溶接ロボット制御装置。
  4. 前記制御部は、
    前記軌跡変化を起こす第2溶接区間のために、第1溶接区間でガス流量の調整が必要の場合は、予め設定された溶接速度と、ガス流量の調整に必要な調整時間に基づいて、第1溶接区間中に前記制御信号を出力するタイミングである変更タイミングを算出して、その変更タイミングで前記制御信号を出力し、
    第2溶接区間の全区間を通過してから余裕時間を経過後、または第2溶接区間の一部を前記溶接トーチが通過してから余裕時間を経過後に、第1溶接区間で出力した制御信号がガス流量を増量又は減量させる旨の制御信号である場合には、反対の減量または増量させる旨の制御信号を出力する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のアーク溶接ロボット制御装置。
  5. 前記基本ガス流量は、前記溶接区間の溶接電流、溶接速度、及びアーク溶接を行うワークの開先形状により設定されている請求項3に記載のアーク溶接ロボット制御装置。
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