JP2014187912A - 人工藻場および人工藻場の形成方法 - Google Patents

人工藻場および人工藻場の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、藻礁周辺の水底においても藻類を育成することができ、水底の広い範囲に人工的に藻場を形成することができる人工藻場およびその形成方法を提供することを課題とする。
【解決手段】複数の藻礁が水底に間隔を空けて設置されてなる人工藻場であって、
水底における藻礁間の領域を覆うように網状部材が配置されると共に、該網状部材が各藻礁に連結されることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、水底に設置される藻礁を用いて人工的に形成される藻場および該藻場の形成方法に関する。
藻類の胞子や藻類自体が礁材に付着してなる藻礁を水底に設置することで、人工的な藻場(人工藻場)の形成が行われている。人工藻場の形成においては、藻礁上の藻類をある程度の大きさにまで育成させる必要がある。しかしながら、藻礁上の藻類をエサとする生物(捕食生物)が水底および水底近傍の水中に多数生息している地域がある。このため、斯かる地域では、藻礁上で藻類が育成し難く、効率的に藻場を形成し難い環境となっている。
そこで、藻礁上の藻類を捕食生物から保護するべく、藻礁上の藻類を網状部材で覆う方法が提案されている(特許文献1参照)。斯かる方法では、網状部材の内側への捕食生物の侵入が防止されるため、藻礁上の藻類が捕食生物のエサとなるのを防止することができる。これにより、網状部材で覆われた藻礁上に藻類が育成し易い環境を形成することができる。
特開2007−6796号公報
ここで、藻礁を水底に設置した場合、藻礁上の藻類から放散される胞子は、礁材上だけでなく、水底における藻礁周辺の領域にも付着することになる。このため、藻礁周辺の領域でも藻類を育成させることが可能である。しかしながら、上記のような方法では、藻類が育成し易い環境を藻礁上に形成することができるものの、水底における藻礁周辺の領域は、網状部材で保護されていないため、捕食生物の影響によって藻類の育成し難い環境となっている。
そこで、本発明は、水底における藻礁周辺の領域においても効率的に藻類を育成させることができ、水底の広い範囲に人工的に藻場を形成することができる人工藻場およびその形成方法を提供することを課題とする。
本発明に係る人工藻場は、複数の藻礁が水底に間隔を空けて設置されてなる人工藻場であって、水底における藻礁間の領域を覆うように網状部材が配置されると共に、該網状部材が各藻礁に連結されることを特徴とする。
斯かる構成によれば、水底における複数の藻礁間の領域(以下、藻礁間領域とも記す)が網状部材によって覆われた状態となることで、藻礁間領域が網状部材によって捕食生物から隔離される。このため、藻類が育成し易い環境を藻礁間領域に形成することができる。これにより、藻礁上だけでなく、藻礁間領域においても藻類の育成を効率的に行うことができるため、より広い範囲に藻場を形成することができる。また、網状部材が藻礁に連結されることで、網状部材を水底に容易に固定することができる。
また、前記網状部材は、水底側に位置する水底側領域の網目寸法が該水底側領域よりも水面側に位置する水面側領域の網目寸法よりも小さくなるように形成されることが好ましい。
斯かる構成によれば、網状部材における水底側領域の網目寸法が水面側領域の網目寸法よりも小さくなるように形成されることで、水底に生息している捕食生物(ウニ・貝類など)が網状部材で覆われた領域の内側へ侵入するのが防止される。これにより、網状部材で覆われた領域(即ち、藻礁間領域)内での藻類の育成を効率的に行うことができる。
一方、水面側領域の網目寸法を大きくすることで、網状部材に意図しない藻類が付着して網目が閉塞されるのが抑制される。これにより、藻類の育成に必要な光が網状部材を通過して網状部材で覆われた領域(即ち、藻礁間領域)内の藻類にまで届きやすくなる。このため、網状部材が閉塞することによって藻類の育成が阻害されるのを抑制することができる。
また、前記網状部材の水底側領域は、水底から30cm以下の領域に形成されることが好ましい。また、前記網状部材は、水底側領域の網目寸法が10mm以上40mm以下であると共に、水面側領域の網目寸法が40mm以上70mm以下であることが好ましい。
また、前記網状部材は、水底との間に空間を形成する網状本体部と、該網状本体部における水底との接触部分から水底に沿って延びる網状延出部とを備えることが好ましい。
更に、前記藻礁は、前記網状部材の外周に沿って間隔を空けて複数設置されており、前記網状部材は、外周端部における藻礁間の領域に重り部材を備えることが好ましい。
本発明に係る人工藻礁の形成方法は、水底に設置される複数の藻礁を用いて人工的に藻場を形成する人工藻場の形成方法であって、水底における藻礁間の領域を覆うように網状部材を配置すると共に、該網状部材を複数の藻礁に連結することを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、水底における藻礁周辺の領域においても効率的に藻類を育成することができ、水底の広い範囲に人工的に藻場を形成することができる。
第一実施形態に係る人工藻場を示した斜視図と、その一部拡大図。 (a)は、同実施形態に係る網状部材の端部に備えられる塊状の重り部材が水底に接触した状態を示す断面図、(b)は、同実施形態に係る網状部材の端部に備えられる鎖状の重り部材が水底に接触した状態を示す断面図。 第二実施形態に係る人工藻場を示した斜視図とその一部拡大図 他の実施形態に係る人工藻場を示した斜視図。 更に、他の実施形態に係る人工藻場を示した斜視図。 更に、他の実施形態に係る人工藻場を示した斜視図。
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態について図1および図2を参照しながら説明する。
本実施形態に係る人工藻場1および人工藻場1の形成方法では、図1に示すように、水底L(例えば、湖底、河底、又は、海底)に間隔を空けて設置される複数の藻礁(藻類、又は、藻類の胞子が付着した礁材からなるもの)2と、水底Lにおける藻礁2間の領域を覆うように配置される網状部材3とが使用される。そして、網状部材3に複数の藻礁2が連結されることで、人工藻礁1が形成される。
藻礁2としては、コンクリートや樹脂等からなる礁材に人工的に藻類やその胞子を付着させて形成される人工藻礁が用いられる。本実施形態では、藻礁2としては、水底Lに既に設置済みの既設藻礁2aと、人工藻場1を形成するに際し、網状部材3と共に水底Lに設置される新設藻礁2bとが使用される。既設藻礁2aは、新設藻礁2bよりもサイズが大きくなるように構成される。具体的には、既設藻礁2aとしては、複数の新設藻礁2bが一体的に形成されてなるものを用いることができる。一方、新設藻礁2bとしては、人工的に藻類やその胞子を付着させた藻類増殖部材が複数連結されてなるものを用いることができる。
藻礁2は、水底Lに間隔を空けて設置される。藻礁2間の間隔としては、特に限定されるものではなく、水底Lにおける人工藻場1を形成する領域の面積や、藻類の種類に応じて適宜設定することができる。具体的には、藻礁2間の間隔としては、例えば、5m以上30m以下であることが好ましく、10m以上20m以下であることがより好ましい。
前記網状部材3は、複数の貫通孔を備えるシート材から構成される。本実施形態では、網状部材3は、柔軟性を有するシート材から構成される。また、網状部材3は、海底Lにおける藻礁2間の領域(以下、藻礁間領域とも記す)を上方から覆うように形成される網材上壁部3aと、藻礁間領域の外周全体を包囲するように形成される網材側壁部3bとから構成される。そして、網状部材3は、人工藻礁1が形成された状態で、網材側壁部3bが水底Lから起立した状態になると共に、網材上壁部3aが水底Lから離間した状態に保持される。本実施形態では、網状部材3は、人工藻礁1が形成された状態で、水底L側に開放した箱状(具体的には、立方体状)となるように構成される。
また、網状部材3(具体的には、網材側壁部3b)は、水底L側に位置する水底側領域R1の網目寸法が該水底側領域R1よりも水面側に位置する水面側領域R2の網目寸法よりも小さくなるように形成される。本実施形態では、水底側領域R1は、網材側壁部3bにおける水底Lから上方に向かって所定の距離以下の領域に形成される。具体的には、網材側壁部3bにおける水底Lからの距離が50cm以下の領域が水底側領域R1となることが好ましく、30cm以下の領域が水底側領域R1となってもよい。
水底側領域R1の網目寸法は、特に限定されるものではないが、網材側壁部3bの水底側領域R1と同じ水深に生息している捕食生物の大きさに応じて適宜設定される。例えば、水底側領域R1の網目寸法としては、10mm以上40mm以下であってもよく、10mm以上30mm以下であってもよく、20mm以上40mm以下であってもよい。
一方、網材側壁部3bにおける水底Lから上方に向かって所定の距離を超える領域が水面側領域R2となる。本実施形態では、網材側壁部3bにおける水底側領域R1よりも水面側の領域と、網材上壁部3aとによって形成される。水面側領域R2となる領域しては、水底Lからの距離が50cmを超える領域であることが好ましく、30cmを超える領域であってもよい。
網状部材3(具体的には、網材側壁部3b)には、複数の藻礁2が間隔を空けて連結される。具体的には、網材側壁部3bにおける一の対向する二つの領域に藻礁2が連結される。具体的には、網材側壁部3bにおける一の対向する二つの領域のそれぞれに、二つの藻礁2が連結される。より詳しくは、網材側壁部3bにおける一の対向する二つの領域の一方に、二つの既設藻礁2aが連結され、他方に、二つの新設藻礁2bが連結される。また、本実施形態では、網材側壁部3bにおける他の対向する二つの領域にも藻礁2が連結される。具体的には、網材側壁部3bにおける他の対向する二つの領域のそれぞれに、二つの藻礁2(具体的には、新設藻礁2b)が連結される。
また、人工藻場1を上方から見た際に、立方体状となる網状部材3の各角部に藻礁2が連結される。具体的には、網材側壁部3bにおける一の対向する二つの領域、又は、他の対向する二つの領域の水平方向の両端部に藻礁2が連結される。つまり、立方体状となる網状部材3の隣り合う2つの角部のそれぞれに既設藻礁2aと新設藻礁2bとが連結されると共に、他の2つの隣り合う角部のそれぞれに2つの新設藻礁2bに連結される。つまり、本実施形態では、2つの既設藻礁2aと6つの新設藻礁2bとが網状部材3(具体的には、網材側壁部3b)に連結される。
網状部材3(具体的には、網材側壁部3b)と各藻礁2との連結位置としては、特に限定されるものではなく、水底Lから10cm以上30cm以下の範囲であることが好ましく、20cm程度であることがより好ましい。また、網材側壁部3bの上端部と各藻礁2とが更に連結されてもよい。このように、網状部材3(具体的には、網材側壁部3b)と各藻礁2とが部分的に連結されることで、網状部材3(具体的には、網材側壁部3b)が波や海流の影響によって揺動し易くなる。これにより、網状部材3(具体的には、網材側壁部3b)が波や海流の影響を受け流し易くなり、網状部材3が容易に破損してしまうのを抑制することができる。
また、網状部材3は、図2に示すように、端部(具体的には、網材側壁部3bの下端部)に重り部材3cを備える。具体的には、網状部材3は、自身に連結される藻礁2間の領域に重り部材3cを備える。該重り部材3cは、水底Lに接触することで水底Lの形状に沿って変形自在に構成される。これにより、網状部材3の端部(具体的には、網材側壁部3bの下端部)が水底Lの形状に沿った状態となるように構成される。
なお、重り部材3cは、藻礁2間の領域に部分的に設置されてもよい。このように、重り部材c3が部分的に設置されることで、網状部材3の端部(具体的には、網材側壁部3bの下端部)が部分的に(具体的には、重り部材c3が設置されていない部分で)波や海流の影響によって揺動し易くなる。これにより、網状部材3(具体的には、網材側壁部3b)が波や海流の影響を受け流し易くなり、網状部材3が容易に破損してしまうのを抑制することができる。
重り部材3cの構成としては、特に限定されるものではなく、例えば、図2(a)に示すように、複数の塊状体3dから構成されるものを用いることができる。斯かる塊状体3dは、網材側壁部3bの下端部に間隔を空けずに取り付けられることで、重り部材3cを構成する。また、他の構成の重り部材3cとしては、例えば、図2(b)に示すように、鎖状に形成された金属製の鎖状体3eから構成されるものを用いることができる。このように、重り部材3cが複数の塊状体3dや鎖状体3eから構成されることで、重り部材3cが水底Lの形状に沿って変形する。このため、網材側壁部3bの下端部が水底Lの形状に沿って変形可能となり、網材側壁部3bの下端部が水底Lの形状に沿って水底Lに固定される。
上記のような構成の人工藻場1を形成する際には、水底Lに設置される複数の既設藻礁2aから離間した位置に、複数の新設藻礁2bを設置する。そして、水底Lにおける各藻礁2(具体的には、既設藻礁2aおよび新設藻礁2b)間の領域を覆うように、網状部材3を配置すると共に、網材側壁部3bに各藻礁2を連結する。これにより、網状部材3が水底Lに固定されると共に、網状部材3(具体的には、網材上壁部3a)と水底Lとの間に藻類の育成環境が形成される。
以上のように、本発明に係る人工藻場およびその形成方法によれば、水底における藻礁周辺の領域においても藻類を育成することができ、水底の広い範囲に人工的に藻場を形成することができる。
即ち、前記人工藻場1およびその形成方法は、水底Lにおける複数の藻礁2間の領域(以下、藻礁間領域とも記す)が網状部材3によって覆われた状態となることで、藻礁間領域が網状部材3によって捕食生物から隔離される。このため、藻類が育成し易い環境を藻礁間領域に形成することができる。これにより、藻礁2上だけでなく、藻礁間領域においても藻類の育成を行うことができるため、より広い範囲に人工藻場を形成することができる。また、網状部材3が藻礁2に連結されることで、網状部材3を水底Lに容易に固定することができる。
また、網状部材3における水底側領域R1の網目寸法が水面側領域R2の網目寸法よりも小さくなるように形成されることで、水底Lに生息している捕食生物(ウニ・貝類など)が網状部材3で覆われた領域の内側へ侵入するのが防止される。これにより、網状部材3で覆われた領域(即ち、藻礁間領域)内での藻類の育成を効率的に行うことができる。
一方、水面側領域R2の網目寸法を大きくすることで、網状部材3に意図しない藻類が付着して網目が閉塞されるのが抑制される。これにより、藻類の育成に必要な光が網状部材3を通過して網状部材3で覆われた領域内の藻類にまで届きやすくなる。このため、網状部材3が閉塞することによって藻類の育成が阻害されるのを抑制することができる。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、図3を用いて説明する。第二実施形態に係る人工藻場10は、第一実施形態に係る人工藻場1と比較すると、主に網状部材30の構成が一部異なる点を有する。従って、以下では、第一実施形態と異なる点を中心に説明し、同一の構成に対しては同一の符号を付すこととして説明を省略する。
網状部材30は、水底Lとの間に空間を形成する網状本体部30aと、該網状本体部30aにおける水底Lとの接触部分から水底Lに沿って延びる網状延出部30bとを備える。網状本体部30aは、前記網材上壁部3aと前記網材側壁部3bとから構成される。一方、網状延出部30bは、網状本体部30aと一体的に形成される。また、網状延出部30bは、該網状本体部30aにおける水底Lとの接触部分から所定の幅Wで延出するように形成される。網状延出部30bの幅Wとしては、特に限定されるものではなく、例えば、20cm以上50cm以下であることが好ましく、30cm程度あることがより好ましい。
上記のように、網状延出部30bを備えることで、網状延出部30bが水底Lの形状に対応して変形するため、第一実施形態のような重り部材3cを備えずとも、網状部材30と水底Lとの間に隙間が形成されるのを抑制することができる。また、網状部材30の端部近傍(具体的には、網材側壁部3bの下端部および網状延出部30b)が波や海流の影響によって揺動し易くなる。これにより、網状部材3(具体的には、網材側壁部3b)が波や海流の影響を受け流し易くなり、網状部材30が容易に破損してしまうのを抑制することができる。
なお、本発明に係る人工藻場およびその形成方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
例えば、上記実施形態では、藻礁2として、人工藻礁が用いられているが、これに限定されるものではなく、水底Lの岩や石などに藻類やその胞子が自然に付着して形成される天然藻礁を用いてもよい。該天然藻礁を用いる場合には、水底Lの天然藻礁を移動させることなく、水底Lにおける天然藻礁間の領域を覆うように網状部材3が配置され、該網状部材3が複数の天然藻礁に連結される。これにより、人工藻礁1が形成される。また、天然藻礁を用いる場合、天然藻礁自体に網状部材を被せ、天然藻礁における藻類の育成を行いつつ、又は、ある程度育成した後、人工藻礁1を構成してもよい。
また、上記実施形態では、既設藻礁2aと新設藻礁2bとが網状部材3に連結されているが、これに限定されるものではなく、例えば、既設藻礁2aのみ、又は、新設藻礁2bのみが網状部材3に連結されてもよい。また、上記実施形態では、既設藻礁2aが新設藻礁2bよりもサイズが大きくなるように構成されているが、既設藻礁2aと新設藻礁2bとが略同一のサイズとなるように構成されてもよく、既設藻礁2aが新設藻礁2bよりもサイズが小さくなるように構成されてもよい。
また、上記実施形態では、既設藻礁2a及び新設藻礁2bは、網状部材で覆われていないが、これに限定されるものではなく、既設藻礁2a及び新設藻礁2bにおける藻類の育成を良好に行うべく、既設藻礁2a及び/又は新設藻礁2bを網状部材で覆うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、人工藻場1を上方から見た際に、立方体状に形成された網状部材3の各角部に藻礁2が連結されているが、これに限定されるものではなく、例えば、立方体状に形成された網状部材3における各角部間の領域に藻礁2が連結されてもよい。また、人工藻場1を上方から見た際に、立方体状に形成された網状部材3の周方向に既設藻礁2aと新設藻礁2bとが交互に設置されるように構成されてもよい。
また、上記実施形態では、網材上壁部3aと、網材側壁部3bとから網状部材3が形成されているが、これに限定されるものではなく、網材上壁部3aのみで網状部材3が形成されてもよい。斯かる場合には、シート状の網材上壁部3aの外周端部に複数の藻礁2が連結されると共に、藻礁2間の領域に重り部材3cを備えるように構成される。そして、網材上壁部3aの中央部が底部Lから離間した状態に保持されることで、網材上壁部3aの中央部と水底Lとの間に藻類の育成環境が形成される。
また、網材上壁部3aを底部Lから離間した状態に保持する方法としては、特に限定されるものではなく、網材上壁部3aにおける底部Lから離間させたい領域にフロート(浮き)を取り付ける方法を採用することができる。
具体的には、図4に示すように、網状部材3を構成する綱材よりも太く形成された親綱材Tを立方体状に形成される網状部材3の各辺に沿って取り付け、網材上壁部3aの外周部に取り付けられた親綱材Tに複数のフロートFが取り付けられることで、網材上壁部3aの外周端部に浮力を与え、網材上壁部3aの全体が水底Lから離間した状態に保持されるように構成されてもよい。
又は、図5に示すように、網材上壁部3aの外周部に取り付けられた親綱材Tに複数のフロートFが取り付けられると共に、網材上壁部3aの外周部から中央部に亘って取り付けられる親綱材TにフロートFが複数取り付けられることで、網材上壁部3aの外周端部および中央部に浮力を与え、網材上壁部3aの全体が水底Lから離間した状態に保持されるように構成されてもよい。
更に、図6に示すように、網状部材3が円筒状に形成される場合には、網材上壁部3aの外周部に取り付けられた親綱材Tに、網材上壁部3aの周方向に略等間隔でフロートFが複数取り付けられることで、網材上壁部3aの全体が水底Lから離間した位置に保持されるように構成されてもよい。
親綱材Tの太さとしては、網状部材3を構成する綱材の太さの5倍以上10倍以下であることが好ましい。このような親綱材Tを使用することで、網状部材3の外周部が親綱材Tによって補強されるため、網状部材3の損傷を抑制することができる。
1…人工藻場、2…藻礁、3,30…網状部材、30a…網状本体部、30b…網状延出部、3a…網材上壁部、3b…網材側壁部、3c…重り部材、3d…塊状体、3e…鎖状体、L…水底、R1…水底側領域、R2…水面側領域

Claims (7)

  1. 水底に間隔を空けて設置される複数の藻礁と、水底における藻礁間の領域を覆う網状部材とを備え、該網状部材が各藻礁に連結されてなることを特徴とする人工藻場。
  2. 前記網状部材は、水底側に位置する水底側領域の網目寸法が該水底側領域よりも水面側に位置する水面側領域の網目寸法よりも小さくなるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の人工藻場。
  3. 前記網状部材の水底側領域は、水底から30cm以下の領域に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工藻場。
  4. 前記網状部材は、水底側領域の網目寸法が10mm以上40mm以下であると共に、水面側領域の網目寸法が40mm以上70mm以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の人工藻場。
  5. 前記網状部材は、水底との間に空間を形成する網状本体部と、該網状本体部における水底との接触部分から水底に沿って延びる網状延出部とを備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の人工藻場。
  6. 前記藻礁は、前記網状部材の外周に沿って間隔を空けて複数設置されており、前記網状部材は、外周端部における藻礁間の領域に重り部材を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の人工藻場。
  7. 水底に設置される複数の藻礁を用いて人工的に藻場を形成する人工藻場の形成方法であって、
    水底における藻礁間の領域を覆うように網状部材を配置すると共に、該網状部材を複数の藻礁に連結することを特徴とする人工藻場の形成方法。
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