JP2014187178A - N型熱電対用負極、n型熱電対負極用合金、及びこれらを用いたn型熱電対 - Google Patents

N型熱電対用負極、n型熱電対負極用合金、及びこれらを用いたn型熱電対 Download PDF

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Abstract

【課題】温度計測において、高温下で高精度な熱起電力初期特性を長期維持するだけでなく、高温下での酸化などに対する耐久性をも備える熱電対用負極、熱電対負極用合金、及びこれらを用いた熱電対を提供する。
【解決手段】Ni−Si合金で形成されたN型熱電対用負極であって、該合金が、シリコン(Si)3〜5質量%、コバルト(Co)0.05〜0.5質量%、鉄(Fe)0.05〜0.2質量%、及びアルミニウム(Al)0.01〜0.1質量%を含み、残部がニッケル(Ni)からなることを特徴とするN型熱電対用負極。
【選択図】図1

Description

本発明は、N型熱電対用負極、N型熱電対負極用合金、及びこれらを用いたN型熱電対に関するものである。
熱電対は、2種の異なる金属をつなげた構造を有する。その両端に温度差を与えると、金属間に電圧が発生し電流が流れる。これはゼーベック効果と呼ばれ、この熱起電力から温度を計測するものとして広く用いられている。その仕様は、ASTM E230やIEC60584において細かく区分されている。中でも、ロジウムや白金などの高価な貴金属を用いずに、1000℃あるいはこれを超す領域まで耐えられるものとして、K型とN型が位置づけられている。これまで、技術的な困難性を考慮し、N型熱電対は敬遠され、規格で規定される測定温度範囲がより低いK型熱電対が提供されてきた。このような事情から、N型の熱電対の検討例は多くはない。過去に、電極(脚)ではなく、特定の合金を外皮(ケーシング)として構成したものを提案した例がある(特許文献1)。
特開S60−262377号公報
一方、上述のように、K型熱電対と比較しN型熱電対は、使用可能な常用限度、すなわち連続して使用可能な温度限度が高い。具体的に、K型熱電対の場合、素線径φ3.20mmにおいて1000℃であるのに対し、N型熱電対の場合は同線径において1200℃と、より高温で使用が可能である。このため近年、自動車部品や航空宇宙関連部品などの精密な熱処理が必要な炉の計測に、K型熱電対ではなく、N型熱電対が要望されるようになってきている。特に、航空宇宙関連製品を扱う企業においては、Nadcap(航空宇宙産業における特殊工程作業における認証制度)を取得にする機運にあり、熱処理炉の温度計測に対して、精度の高い温度管理の実現が強く求められている。こうした技術分野で安価かつ高精度な温度計測を実現するために、汎用性のある材料で形成され、しかも熱電対の高精度な熱起電力初期特性と、これを長期維持した熱起電力特性を兼ね備えるものとすることが求められている。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、温度計測において、高温下で高精度な熱起電力初期特性を長期維持するだけでなく、高温下での酸化などに対する耐久性をも備えるN型熱電対用負極、N型熱電対負極用合金、及びこれらを用いたN型熱電対の提供を目的とする。
本発明者らの検討により、N型熱電対の負極合金は、合金中のSi、Fe組成と熱起電力特性に強い相関があることが分かってきた。具体的には、これにより、溶製の際、合金中のSi、Feがわずかに変動しただけで、熱起電力特性に大きなバラツキを生じる。このため、所望の特性を得にくいだけでなく、ASTM E230−96に記載のTable38における単線熱起電力値基準値より大きく逸脱してしまうことさえあり、安定して所望特性を得ることが困難であった。本発明はこうした技術知見及び課題認識に基づきなされたものであり、以下の手段を有する。
〔1〕Ni−Si合金で形成されたN型熱電対用負極であって、該合金が、シリコン(Si)3〜5質量%、コバルト(Co)0.05〜0.5質量%、鉄(Fe)0.05〜0.2質量%、及びアルミニウム(Al)0.01〜0.1質量%を含み、残部がニッケル(Ni)からなることを特徴とするN型熱電対用負極。
〔2〕Ni−Si合金で形成されたN型熱電対用負極であって、該合金が、シリコン(Si)3〜5質量%、コバルト(Co)0.05〜0.5質量%、鉄(Fe)0.05〜0.2質量%、アルミニウム(Al)0.01〜0.1質量%、及びカルシウム(Ca)0.005〜0.05質量%を含み、残部がニッケル(Ni)からなることを特徴とするN型熱電対用負極。
〔3〕ASTM E230−96に記載のTable38における単線熱起電力値基準値からの熱起電力偏差(200〜1000℃)が±100μV以内となる〔1〕または〔2〕に記載のN型熱電対用負極。
〔4〕磁性を有さないことを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のN型熱電対用負極。
〔5〕製造中の熱間鍛造、溝ロール加工、または伸線加工において割れが発生しないことを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のN型熱電対用負極。
〔6〕下記熱起電力耐久性試験において800時間後の熱起電力変化量が2℃以内に抑えられたことを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のN型熱電対用負極。
(N型熱電対用負極材を900℃の大気中で800時間保持した後、1000℃における熱起電力値の経時変化を測定する。1000℃での初期特性値からの熱起電力の変化を熱起電力変化量(℃)とする。)
〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のN型熱電対用負極とN型熱電対用正極とを組み合わせてなるN型熱電対。
〔8〕N型熱電対負極用のNi−Si系合金であって、シリコン(Si)3〜5質量%、コバルト(Co)0.05〜0.5質量%、鉄(Fe)0.05〜0.2質量%、及びアルミニウム(Al)0.01〜0.1質量%を含み、残部がニッケル(Ni)からなることを特徴とするN型熱電対負極用Ni−Si系合金。
〔9〕合金熱電対負極用のNi−Si系合金であって、シリコン(Si)3〜5質量%、コバルト(Co)0.05〜0.5質量%、鉄(Fe)0.05〜0.2質量%、アルミニウム(Al)0.01〜0.1質量%、及びカルシウム(Ca)0.005〜0.05質量%を含み、残部がニッケル(Ni)からなることを特徴とするN型熱電対負極用Ni−Si系合金。
〔10〕〔8〕または〔9〕に記載された合金のN型熱電対用負極としての使用。
〔11〕〔8〕または〔9〕に記載された合金の補償導線としての使用。
本発明のN型熱電対用負極、N型熱電対負極用合金、及びこれらを用いたN型熱電対は、合金溶製時に不回避的におこるSi、Feの成分変動においても、安定して所望の熱起電力特性を得ることができる。加えて、初期の熱起電力特性を長期間維持することができ、さらに磁場による温度測定への影響を受けにくいという利点を有する。
本発明の好ましい実施形態に係るN型熱電対の一部を模式的に示す断面図である。 図2に示したN型熱電対のA−A線断面を示す拡大断面図である。 本発明の別の好ましい実施形態に係るN型熱電対の一部を模式的に示す断面図である。 本発明のまた別の好ましい実施形態に係るN型熱電対の一部を模式的に示す断面図である。 本発明のさらに別の好ましい実施形態に係るN型熱電対の一部を模式的に示す断面図である。 ASTM E220 の試験装置を示す装置図である。 実施例において作成したN型熱電対用負極の熱起電力に係る耐久性を示すグラフである。
本発明のN型熱電対用負極は、Ni−Si合金で形成され、各々特定量のシリコン(Si)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、必要によりさらにカルシウム(Ca)を含み、残部がニッケル(Ni)からなる。各成分の添加目的(作用)を含めて言うと、必須の成分元素であるSi、Feに、Si、Fe成分との熱起電力特性の相関緩和のために一定割合のCoを加えている。さらに、高温使用下での熱起電力変動防止、すなわち熱起電力の耐久性向上ために一定割合のAlを含有させる。そこに、必要により、溶製時に必須元素Si、Fe、Coの成分変動の低減のため一定割合のCaを添加する。以下、上記合金の各成分および組成を中心に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
・ケイ素(Si)
Siは含有量が3質量%未満では、ASTM E230−96に記載のTable38の単線熱起電力値基準値より、熱起電力特性がプラス方向に逸脱するということがある。さらに、3質量%未満では、磁性を有し、磁場の影響を受けることがある。またSi含有量が5質量%超になると、NiSi化合物が生成し脆弱になるため、高温及び常温での加工が難しくなる。これらのことから、Si含有量は、3〜5質量%の範囲とする。
・鉄(Fe)
Feの含有量が0.05質量%未満では前記単線熱起電力値基準値より熱起電力特性がプラス方向に逸脱するということがあり、また前記0.2質量%を超えると前記単線熱起電力値基準値より熱起電力特性がマイナス方向に逸脱するということが生じることがある。これらのことから、Feの含有量は、0.05〜0.2質量%とする。
・コバルト(Co)
Coは、含有量が0.05質量%未満では、Si、Feの変動した場合、熱起電力特性に、大きな変動を生じることがある。また前記0.5質量%を超えると前記単線熱起電力値基準値より、熱起電力特性がプラス方向に逸脱することがある。Coは、適正な範囲では、合金中のSi、Fe成分と熱起電力値との相関を緩和する効果を有する。これらのことからCo含有量は、0.05〜0.5質量%とする。
・アルミニウム(Al)
Alの含有量が0.01質量%未満では前記単線熱起電力値基準値より熱起電力特性がマイナス方向に逸脱するということがある。また前記0.1質量%を超えると前記単線熱起電力値基準値より熱起電力特性がプラス方向に逸脱するこがある。これらのことから、Al含有量は、0.01〜0.1質量%とする。さらに、Alを含有させることにより、耐酸化性が向上して、高温環境下での高寿命化に寄与する。
・カルシウム(Ca)
Caは任意元素であり、必要により、0.005〜0.05質量%で含まれる。この含有量が前記の範囲ではASTM E230−96に記載のTable38の単線熱起電力値基準値に一層好適に合致する。Caは、前記必須成分であるNi、Si、Co、Feよりも、酸化反応を受けやすい元素である。このことから、溶製時に溶湯中の酸素と優先的に酸化反応を受けて、他の元素の酸化反応が防止され、その結果組成の変動が低減される効果を有している。
なお、本発明において上記で規定される以外の成分は不可避的不純物として位置づけられる。例えば、C、S、O、Crなどが挙げられ、100ppm以下で含まれることがある。
以下に本発明のNi−Si合金熱電対合金の製造例を記載する。
Ni、Si、Co及びFeを所定の割合に配合して溶解させ、更にメルトダウン後に所定量のCaを添加して、その後Alを添加して鋳造、冷却しNi−Si熱電対合金である鋳塊を作製する。
さらに前記鋳塊を旋盤等で削出して、熱間鍛造で丸棒とし,更に溝ロールで線材に延伸する。該線材を中間焼鈍、冷間伸線加工して最終焼鈍を施して熱電対の負極として使用できる線材を得ることができる。
図1は本発明の好ましい実施形態に係るN型熱電対を模式的に示した断面図である。図1Aは図1熱電対のA−A線断面図である。本実施形態において正極(+脚)11は、負極(−脚)12と接合点(熱接点)13で接合されている。この正極11と負極12との組合せにより熱電対1が形成されている。熱電対1は、マグネシア(MgO)、アルミナ(Al)などで構成された絶縁材(耐熱材)3で被覆され、ケーシング(外皮)2の内部に封入され、熱電対製品10を形成している。ケーシング2にはどのような材料を用いても良いが、熱耐久性の観点から、熱電対と同じを素材、あるいはそれよりも耐久性のある素材を用いることが好ましい。ただし、ケーシング2には、電気特性は求められないため、熱耐久性や加工性などの観点から適宜その材料が選ばれればよく、熱電対の素材と同一である必要はない。なお、説明の便宜から、正極と負極との組合せを熱電対と呼び、最終製品を熱電対製品として区別して称したが、広義には両者ともに熱電対と呼ぶ。
さらに図示していないが、熱電対1の前記接合点(熱接点)13の反対側には計測器が設置され、その内部で正極と負極とが補償導線(図示せず)を介して接合された冷接点(図示せず)が形成されている。このような機構により、測定対象部位に前記接合点(熱接点)を配置することで、その温度を計測することができる。
正極(+脚)11にはどのような材料のものを適用してもよい。例えば、市販されているN型熱電対用正極を用いることができる。市販品の測定精度等はそれほど高くないことが考慮されるが、そのような場合にも、本発明に係る負極(−脚)を用いることで、熱電対としたときの特性の良化効果が発現される。中でも、本発明者らが提案する同時係属中の出願に係るN型熱電対用正極と組み合わせて用いることが好ましい。この正極は本発明と同様に高い耐久性と高い精度とを有し、熱起電力初期特性を長期間維持することができる。したがって、本発明に係る負極と対応する発明に係る正極とを組み合わせることで、熱電対としたときに、耐久性を始めとした各性能について大きな改善効果を得ることができる。以下に、対応する発明に係る正極の合金組成の一例を記載する。
(質量%)
Fe Si Cr Al Mg Ni
0.12 1.43 14.3 0.02 0.02 残部
図2〜図4は本発明に係る熱電対用電極を用いた熱電対製品の変形例である。熱電対製品20(図2)は接合点(熱接点)13が露出した形態を有する。熱電対製品30(図3)は接合点(熱接点)13がケーシング1に連結される形態で構成された例である。熱電対製品40(図4)はがいし31を絶縁材(耐熱材)として用い、そこに設けられた穴に正極11と負極12とを通す形で構成したものである。用途や要求特性等に合わせて各形態の熱電対製品を使い分けることができる。
熱電対を構成する正極(+脚)および負極(−脚)の形状は特に限定されないが、線材や条材が典型的である。線材とするときの線径は使用用途により異なるが、例えば、100μm〜6mmであることが好ましく、2〜4mmであることがより好ましい。条材とするときの厚さは、例えば、50μm〜2mmであることが好ましく、0.2〜1.0mmであることがより好ましい。条材の幅は、例えば、2〜10mmであることが好ましい。
本発明のN型熱電対用負極は、ASTM E230−96に記載のTable38の単線熱起電力値基準値からの熱起電力偏差(200〜1000℃)が±100μV以内となることが好ましく、±80μV以内となることがより好ましく、±60μV以内となることがさらに好ましく、±40μV以内となることがさらに好ましく、±30μV以内となることが特に好ましい。
本発明に係るN型熱電対用負極およびこれを適用した熱電対は、高温、高精度、高耐久性が要求される各分野で好適に使用することができる。例えば、上述したような、航空宇宙産業が挙げられる。その他、排気ガス温度やエンジン温の測定などの自動車産業用や鉄鋼産業用の高温用途の測定に用いることができる。また、熱電対と同等の熱起電力特性が要求される熱電対の補償導線に用いることができる。
[実施例1]
Ni−Si合金熱電対材料合金を作製して、熱電対の負極合金としての評価を行った。
(Ni−Si熱電対合金料の作製)
表1のように組成を変化させたNi−Si熱電対合金を作成した。残部はNiである。
具体的には、Co以外の原料成分を所定量配合した後、溶解させ、メルトダウン後にAlを添加して、次いで鋳造、冷却し鋳塊とし、該鋳塊を旋盤で外削後、熱間鍛造により直径15mmの丸棒とし,さらに溝ロールで7mmの線材とした。該線材に対し、適宜中間焼鈍(850℃×2時間)を行い、直径3.2mmまで冷間伸線加工して最終焼鈍(950℃×4.5m/min)を施した。
(Ni−Si熱電対合金のCo効果評価)
最終焼鈍を施した線材を白金線と接続し、下記の比較校正法により200〜1000℃の範囲で熱起電力の測定を行った。このとき、評価基準はASTM E230−96のTable38における、200〜1000℃の単線熱起電力値基準値からの偏差が全温度域で76μV未満をGood、76μV以上をBadとして判定した。
[比較校正法]
ASTM E220 に規定された条件および手順に準拠して行った。概略は以下のとおりである。測定装置は、図5に記載されたものを採用した(ASTM E220 の図1を引用)。検流計(Galvanometer)には市販のデジタルマルチメーターを用い電位(起電力)を測定した。具体的には、基準熱電対(Reference Thermocouple)と試験熱電対(Test Thermocouple)の熱起電力を温度に換算し、それぞれの温度差より試験熱電対の誤差を測定した。基準熱電対には、R型のものを適用した。図示した2つの熱電対は1つの電気炉(図示せず)に挿入され、200℃から1000℃まで昇温させることにより試験を行った。
Figure 2014187178
資料NoがCから始まる試料は比較例で、太字下線部分が規定値を外れる。以下の表も同様。
試験C15(比較例)として、特開2007−270185号公報に開示されたK型熱電対用合金(Si 2.50質量%、Co 1.20質量%、Cu 2.50質量%、Fe 0.15質量%、Mg 0.012質量%)を用いて同様の評価試験を行った。その結果、熱起電力の偏差はBadを大きく下回る結果であった。
上記の結果より、Coの含有量が0.05質量%未満では、主成分のSi、Feがわずかに変動した場合、熱起電力特性に、大きな変動を生じる。Co含有量は、0.05〜0.5質量%の範囲では、成分のSi、Feに変動を生じた場合においても、熱起電力特性への影響が低減される。しかし、前記0.5質量%を超えると前記単線熱起電力値基準値より、熱起電力特性がプラス方向に逸脱を生じる。このことからCo含有量は、0.05〜0.5質量%に規定される。
[実施例2]
Feの含有量の異なるNi−Si合金熱電対材料合金を作製して、熱電対の負極合金としての評価を行った。
(Ni−Si熱電対合金試料の作製)
Si:4.40質量%、Co:0.13質量%、Al:0.02質量%、残部がNiとする以外は、実施例1に記載した同様な方法で、Feの添加量を表2のように変化させた試料を作製した。
(Ni−Si熱電対合金のFe影響評価)
実施例1と同様に比較校正法により評価を行った。
Figure 2014187178
Fe含有量が0.05質量%未満では前記単線熱起電力値基準値より熱起電力特性がプラス方向に逸脱を生じる。
また前記0.20質量%を超えると前記単線熱起電力値基準値より熱起電力特性がマイナス方向に逸脱するという問題が生じることから、Fe含有量は、0.05〜0.20質量%が望ましい。
[実施例3]
Caの含有量の異なるNi−Si合金熱電対材料合金を作製して、熱電対の負極合金としての評価を行った。
(Ni−Si熱電対合金料の作製)
Si:4.40質量%、Fe:0.12質量%、Co:0.13質量%、Al:0.02質量%、残部がNiとする以外は、Caの添加量を表3のように変化させた試料を、それぞれ8試料ずつ作成した。具体的には、Ca以外の原料成分を所定量配合した後、溶解させ、さらにメルトダウン後にCaを添加した。次いで鋳造、冷却し鋳塊とし、該鋳塊を旋盤で外削後、熱間鍛造により直径15mmの丸棒とし,さらに溝ロールで7mmの線材とした。該線材に対し、適宜中間焼鈍(850℃×2時間)を行い、直径3.2mmまで冷間伸線加工して最終焼鈍(950℃×4.5m/min)を施した。
(Ni−Si熱電対合金のCa効果評価)
最終焼鈍を施した線材を白金線と接続し、前記比較校正法により200〜1000℃の範囲で熱起電力の測定を行った。製作した8試料について熱起電力を測定し、各測定温度の熱起電力基準からの偏差を求めた。それぞれの熱起電力基準からの各測定温度における熱起電力の測定値の偏差データを用いて、これらの8個の偏差データが正規分布を有する母集団のデータと見なして標準偏差を求め、さらに前記標準偏差σから3σを求めて各温度における測定データのばらつきを評価した結果を表3に示す。
評価基準は、200〜1000℃の温度範囲における3σの最大値が20μV未満であるものをA1、20μV以上30μV未満であるものをA2、30μV以上であるものをA3として判定した。
Figure 2014187178
この結果から、Ca含有量が0.005〜0.02質量%の範囲(好ましくは0.005〜0.05質量%の範囲)では、製作毎の熱起電力の変動が低減される効果を有することが分かる。この結果から、Caを所定の範囲で添加することで、熱起電力のばらつきを防止できる。
[実施例4]
(Ni−Si熱電対合金料の作製)
Co:0.13質量%、Fe:0.12質量%、Al:0.02質量%、残部がNiとする以外は、実施例1に記載した同様な方法で、Siの添加量を表4のように変化させた試料を作製した。
(熱電対合金のSi影響評価)
実施例1と同様に比較校正法により評価を行った。
(Ni−Si熱電対合金の磁性評価)
最終焼鈍を施した線材の磁性を確認するため、室温下において磁石を用いて各試料の磁性確認を行った。このとき、磁性のあるものをBad、磁性のないものをGoodとして判定した。なお、磁性の有無はN型熱電対用負極とフェライト磁石を接触させ吸着させ評価した。吸着の有無で判断した。この磁性は磁場が発生する環境下でN型熱電対用負極使用される場合、磁場の影響により測定値に影響を生じ、正確な温度計測が出来ない場合があるため、通常ないことが好ましい。
(Ni−Si熱電対合金の加工性評価)
試料作製での熱間鍛造、溝ロール加工、伸線加工中において、試料に割れが発生した場合をBad、割れの発生がない場合をGoodで評価した。
Figure 2014187178
上記の結果より、Si含有量が3.0質量%未満では、ASTM E230−96に記載のTable38の単線熱起電力値基準値より、熱起電力特性がプラス方向に逸脱するということがあることが分かる。さらに、合金に磁性を付与することができることも分かる。Siの含有量が5.0質量%以上になると、熱間工程、伸線工程で割れが発生し加工が困難であった。これらのことから、Si含有量は、3.0〜5.0質量%の範囲に規定される。
[実施例5]
Alの含有量を変えて、Ni−Si合金熱電対材料合金を作製して、熱電対の負極合金としての評価を行った。
(Ni−Si熱電対合金料の作製)
Si:4.40質量%、Fe:0.12質量%、Co:0.13質量%、残部がNiとする以外は実施例1に記載した同様な方法で、Alの添加量を表5のように変化させた試料を作成した。
(Ni−Si熱電対合金のAl影響)
実施例1と同様に比較校正法により評価を行った。
Figure 2014187178
Alの含有量が0.01質量%未満では前記単線熱起電力値基準値より熱起電力特性がマイナス方向に逸脱するということがあることが分かる。また前記0.10質量%を超えると前記単線熱起電力値基準値より熱起電力特性がプラス方向に逸脱することが分かる。これらのことから、Al含有量は、0.01〜0.10質量%に規定される。
[実施例6]
(熱起電力の耐久性評価試料作製)
上記と同様な方法で表6に示すNi−Si熱電対合金を作製した。評価試料はφ3.2mmとした。また、耐久性評価のために同線径のN型熱電対正極合金と表6に示す試料を接続したN型熱電対を作製した。熱起電力耐久性試験は、合金試料を900℃の大気中で所定時間保持した後、1000℃における熱起電力値の経時変化を測定することにより、1000℃での初期特性値からの特性変化を評価したものである。
Figure 2014187178
熱起電力耐久性試験結果を図6に示す。図6より、本発明合金は、従来の合金と比較し高温状時間の環境下において、熱起電力特性の経時変化が従来よりも抑制されており、熱起電力耐久性に優れていることが分かる。
上記実施例では、いずれも線材形状のものを用いて評価したが、任意の形状で使用することができる。例えば、板・条・棒等にも用いることができる。また、上記実施例は、いずれも熱電対用途として評価をしたが、例えばJIS C 1610規定(熱電対用補償導線)の補償導線にも適用可能である。
本発明のNi−Si熱電対合金は、所望の熱起電力特性を再現よく得ることができる。加えて高温下や磁場下においても高精度に温度を測定することが可能となる。
1 N型熱電対
11 正極(+脚)
12 負極(−脚)
13 接合点(熱接点)
2 外皮(ケーシング)
3 絶縁材(耐熱材)
10、20、30、40 N型熱電対製品

Claims (11)

  1. Ni−Si合金で形成されたN型熱電対用負極であって、該合金が、シリコン(Si)3〜5質量%、コバルト(Co)0.05〜0.5質量%、鉄(Fe)0.05〜0.2質量%、及びアルミニウム(Al)0.01〜0.1質量%を含み、残部がニッケル(Ni)からなることを特徴とするN型熱電対用負極。
  2. Ni−Si合金で形成されたN型熱電対用負極であって、該合金が、シリコン(Si)3〜5質量%、コバルト(Co)0.05〜0.5質量%、鉄(Fe)0.05〜0.2質量%、アルミニウム(Al)0.01〜0.1質量%、及びカルシウム(Ca)0.005〜0.05質量%を含み、残部がニッケル(Ni)からなることを特徴とするN型熱電対用負極。
  3. ASTM E230−96に記載のTable38における単線熱起電力値基準値からの熱起電力偏差(200〜1000℃)が±100μV以内となる請求項1または2に記載のN型熱電対用負極。
  4. 磁性を有さないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のN型熱電対用負極。
  5. 製造中の熱間鍛造、溝ロール加工、または伸線加工において割れが発生しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のN型熱電対用負極。
  6. 下記熱起電力耐久性試験において800時間後の熱起電力変化量が2℃以内に抑えられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のN型熱電対用負極。
    (N型熱電対用負極材を900℃の大気中で800時間保持した後、1000℃における熱起電力値の経時変化を測定する。1000℃での初期特性値からの熱起電力の変化を熱起電力変化量(℃)とする。)
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のN型熱電対用負極とN型熱電対用正極とを組み合わせてなるN型熱電対。
  8. N型熱電対負極用のNi−Si系合金であって、シリコン(Si)3〜5質量%、コバルト(Co)0.05〜0.5質量%、鉄(Fe)0.05〜0.2質量%、及びアルミニウム(Al)0.01〜0.1質量%を含み、残部がニッケル(Ni)からなることを特徴とするN型熱電対負極用合金。
  9. 合金熱電対負極用のNi−Si系合金であって、シリコン(Si)3〜5質量%、コバルト(Co)0.05〜0.5質量%、鉄(Fe)0.05〜0.2質量%、アルミニウム(Al)0.01〜0.1質量%、及びカルシウム(Ca)0.005〜0.05質量%を含み、残部がニッケル(Ni)からなることを特徴とするN型熱電対負極用合金。
  10. 請求項8または9に記載された合金のN型熱電対用負極としての使用。
  11. 請求項8または9に記載された合金の補償導線としての使用。
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