JP2014186891A - 燃料電池発電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化剤極に付着する不純物の影響を従来よりも効果的に低減する。
【解決手段】燃料極と酸化剤極とを備え燃料極に供給される燃料と酸化剤極に供給される酸化剤ガスとの反応により発電を行う燃料電池と、酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給器と、燃料電池から燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極に酸化剤ガスとして空気を供給するように酸化剤ガス供給器を制御する第1モードと、燃料電池から燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極上の酸素分圧が第1モードよりも高くなるように酸化剤ガスを供給すべく酸化剤ガス供給器を制御する第2モードとを選択的に実行する制御器と、を備える、燃料電池発電システム。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池発電システムに関する。より詳しくは、酸化剤ガスとして空気を用いる燃料電池発電システムに関する。
従来の一般的な燃料電池発電システムは、電解質膜の両側に燃料極と酸化剤極とを形成した燃料電池を備える。燃料電池発電システムは、例えば、水素を含む燃料ガスを燃料極に供給し、酸素を含む酸化剤ガスを酸化剤極に供給することで発電する。
一般的に、酸化剤ガスとしては、空気(大気)が用いられる。空気中には様々な不純物が含まれている場合が多い。これらの不純物の中には、酸化剤極に付着して酸化剤極の触媒活性を低下させ、発電に必要な化学反応を阻害して燃料電池の出力電圧を低下させる物質がある。
特許文献1の燃料電池発電システムは、酸化剤極に付着した不純物を除去するため、出力制御部を備え、出力制御部は、決定部が決定した時間ごとに、燃料電池の発電を所定の時間停止して燃料電池を開回路状態にする。
国際公開第2010/023949号
本発明は、酸化剤極に付着する不純物の影響を従来よりも効果的に低減することを目的の一つとする。
本発明による燃料電池発電システムの一態様は、燃料極と酸化剤極とを備え前記燃料極に供給される燃料と前記酸化剤極に供給される酸化剤ガスとの反応により発電を行う燃料電池と、前記酸化剤極に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給器と、前記燃料電池から前記燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、前記酸化剤極に前記酸化剤ガスとして空気を供給するように前記酸化剤ガス供給器を制御する第1モードと、前記燃料電池から前記燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、前記酸化剤極上の酸素分圧が前記第1モードよりも高くなるように前記酸化剤ガスを供給すべく前記酸化剤ガス供給器を制御する第2モードとを選択的に実行する制御器と、を備える。
本発明による燃料電池発電システムの他の一態様は、燃料極と酸化剤極とを備え前記燃料極に供給される燃料と前記酸化剤極に供給される酸化剤ガスとの反応により発電を行う燃料電池と、前記酸化剤極に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給器と、前記燃料電池から前記燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、前記酸化剤極に前記酸化剤ガスとして空気を供給するように前記酸化剤ガス供給器を制御する第1モードと、前記燃料電池から前記燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、酸素含有率が前記空気よりも高いガスを前記酸化剤ガスとして供給するように前記酸化剤ガス供給器を制御する第2モードとを選択的に実行する制御器と、を備える。
本発明の一態様によれば、酸化剤極に付着する不純物の影響を従来よりも効果的に低減することができるという効果を奏する。
図1は、第1実施形態にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。 図2は、第1実施形態にかかる燃料電池発電システムが備える燃料電池の概略構成の一例を示す断面図である。 図3は、第1実施形態にかかる燃料電池発電システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。 図4は、第1実施形態の変形例にかかる燃料電池発電システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。 図5は、第2実施形態にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。 図6は、第3実施形態にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。 図7は、第4実施形態にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。 図8は、第5実施形態にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。 図9は、第1実施例にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。 図10は、第1実施例にかかる燃料電池発電システムの概略構成の運転方法の一例を示すフローチャートである。 図11は、第2実施例にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。 図12は、実施例にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。 図13は、不純物を供給しながら、通常の運転シーケンスで発電した場合のスタック電圧の推移を示す図である。 図14は、実施例の不純物除去制御運転を定期的に行った場合のスタック電圧の推移を示す図である。
燃料電池発電システムにおいて、酸化剤極に付着する不純物の影響を従来よりも効果的に低減すべく、鋭意検討が加えられた。その結果、以下の知見が得られた。
特許文献1に記載の燃料電池発電システムは、不純物を除去するために、燃料電池を開回路状態にする。しかしながら、特に空気中の不純物濃度が高い場合に、開回路状態にするだけでは、不純物を完全に除去できないことがありうることが判明した。具体的には例えば、石炭を燃焼させるボイラが配置されていた地下室等に燃料電池発電システムを設置した場合に、かかる問題が発生しうる。
そこで、以下のような構成とすることで、かかる問題を解決することができる。
すなわち、燃料電池から燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極上の酸素分圧が高くなるように酸化剤ガスを酸化剤極へと供給することで、酸化剤極に付着する不純物の影響を従来よりも効果的に低減することができる。
あるいは、燃料電池から燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、酸素含有率が空気よりも高いガスを酸化剤ガスとして酸化剤極へと供給することで、酸化剤極に付着する不純物の影響を従来よりも効果的に低減することができる。
以下、添付図面を参照しつつ、各実施形態について説明する。各実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、あくまで一例である。また、以下の実施形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より望ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比等については正確な表示ではない場合がある。また、製造方法においては、必要に応じて、各工程の順序等を変更でき、かつ、他の公知の工程を追加できる。
(第1実施形態)
第1実施形態の燃料電池発電システムは、燃料極と酸化剤極とを備え燃料極に供給される燃料と酸化剤極に供給される酸化剤ガスとの反応により発電を行う燃料電池と、酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給器と、燃料電池から燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極に酸化剤ガスとして空気を供給するように酸化剤ガス供給器を制御する第1モードと、燃料電池から燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極上の酸素分圧が第1モードよりも高くなるように酸化剤ガスを供給すべく酸化剤ガス供給器を制御する第2モードとを選択的に実行する制御器と、を備える。
かかる構成では、酸化剤極に付着する不純物の影響を従来よりも効果的に低減することができる。
上記燃料電池発電システムにおいて、制御器は、第2モードにおいて、酸化剤極に酸化剤ガスとして空気を供給しつつ酸化剤極上の圧力を上昇させることで、酸化剤極上の酸素分圧が第1モードよりも高くなるように、酸化剤ガス供給器を制御してもよい。
上記燃料電池発電システムにおいて、制御器は、第2モードにおいて、酸化剤極上の酸素分圧が、酸化剤極に吸着した二酸化硫黄を酸化させるために必要な酸素分圧以上となるように、酸化剤ガス供給器を制御してもよい。
上記燃料電池発電システムにおいて、制御器は、第2モードにおいて、酸化剤極上の酸素分圧が、酸化剤極の電圧を所定電圧よりも高くするために必要な酸素分圧以上となるように、酸化剤ガス供給器を制御してもよい。
上記燃料電池発電システムにおいて、所定電圧は、第1モードにおいて、燃料電池から燃料電池の外部に電力を供給しない開回路状態で計測される酸化剤極の電圧であってもよい。
上記燃料電池発電システムにおいて、所定電圧は、第1モードにおいて、燃料電池から燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で計測される酸化剤極の電圧であってもよい。
[装置構成]
図1は、第1実施形態にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す例において、第1実施形態の燃料電池発電システム100は、燃料電池10と、酸化剤ガス供給器16と、制御器20とを備えている。
燃料電池10は、燃料極12と、酸化剤極14とを備えている。燃料電池10は、燃料極12に供給される燃料と酸化剤極14に供給される酸化剤ガスとの反応により発電を行う。発電により生じた電力は、燃料電池発電システム100の外部にある外部負荷へと供給されうる。発電により生じた電力は、燃料電池発電システム100の内部にある内部負荷へと供給されてもよい。内部負荷としては、例えば、制御器20、酸化剤ガス供給器16、および、その他のポンプ等の補機が挙げられる。
燃料電池10は、いずれの種類であってもよく、具体的には例えば、高分子電解質形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、および、燐酸形燃料電池等が例示される。なお、燃料電池が固体酸化物形燃料電池である場合には、改質器と燃料電池とが1つの容器内に内蔵されるよう構成されてもよい。
燃料は、水素含有ガスでもよいし、炭素及び水素を構成元素とする有機化合物を含むものでもよい。具体的には、天然ガス、都市ガス、LPG、LNG等の炭化水素、および、メタノール、エタノール等のアルコール、および、これらを原料として生成される水素含有ガス等が例示される。都市ガスとは、ガス会社から配管を通じて各家庭等に供給されるガスをいう。
酸化剤ガスは、例えば、酸素を含有するガスとしうる。酸化剤ガスとしては、例えば、空気および酸素を添加した空気等を用いることができる。
燃料電池10は、例えば、固体高分子電解質膜の両側に酸化剤極と燃料極とを配置した燃料電池構造体(燃料電池セル)をセパレータで挟持し、これを複数積層して構成される燃料電池スタックを備えてもよい。
図2は、第1実施形態にかかる燃料電池発電システムが備える燃料電池の概略構成の一例を示す断面図である。
図2に示す例において、燃料電池発電システム100が備える燃料電池10は、複数の燃料電池セル11を備えるが、そのうちの一つの燃料電池セル11のみを図示している。一つの燃料電池セル11は、中心に、固体高分子電解質膜1が配置されている。固体高分子電解質膜1の一方の面には、燃料極側触媒層2と、燃料極側ガス拡散層4と、燃料流路6が形成された燃料極側セパレータ8とが配置されている。固体高分子電解質膜1の他方の面には、酸化剤極側触媒層3と、酸化剤極ガス拡散層5と、酸化剤ガス流路7が形成された酸化剤極側セパレータ9とが配置されている。燃料電池スタックは、燃料電池セル11が複数積層されて構成されうる。
燃料極側触媒層2および酸化剤極側触媒層3は、例えば、白金などの貴金属もしくは非貴金属を担持した、耐酸化性の高い多孔質カーボンで構成されうる。
燃料極側ガス拡散層4および酸化剤極ガス拡散層5は、例えば、撥水処理を施したカーボン繊維および耐酸化性の高い多孔質カーボンの複合材料から構成されうる。
燃料極側セパレータ8および酸化剤極側セパレータ9は、例えば、カーボンおよび金属等の導電性材料で構成されうる。
複数の燃料電池セル11を積層して、両側に集電板、絶縁板および端板を配置し、締結板で強固に締結することにより、燃料電池スタックが構成されうる。
燃料は、燃料極側セパレータ8に形成された燃料流路6を通じて、燃料極側ガス拡散層4へと供給される。燃料極側ガス拡散層4へと供給された燃料は、さらに、燃料極側触媒層2へと供給される。
酸化剤ガスは、酸化剤極側セパレータ9に形成された酸化剤ガス流路7を通じて、酸化剤極ガス拡散層5へと供給される。酸化剤極ガス拡散層5へと供給された酸化剤ガスは、さらに、酸化剤極側触媒層3へと供給される。
図2に示す例では、燃料極側触媒層2および燃料極側ガス拡散層4により、燃料極12が構成されている。図2に示す例では、酸化剤極側触媒層3および酸化剤極ガス拡散層5により、酸化剤極14が構成されている。
酸化剤ガス供給器16は、酸化剤極14に酸化剤ガスを供給する。酸化剤ガス供給器16としては、具体的には例えば、空気を供給するブロワおよびポンプ、空気よりも高い濃度の酸素を含有するガスを貯留するボンベ、化学反応等により酸素を発生する酸素生成器等が挙げられる。
図2に示す例では、酸化剤ガス供給器16から燃料電池10へ供給された酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路7を通じて、酸化剤極ガス拡散層5および酸化剤極側触媒層3へと供給される。図2に示す例では、燃料供給器(図示せず)から燃料電池10へ供給された燃料は、燃料流路6を通じて、燃料極側ガス拡散層4および燃料極側触媒層2へと供給される。
制御器20は、燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極14に酸化剤ガスとして空気を供給するように酸化剤ガス供給器16を制御する第1モードと、燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極14上の酸素分圧が第1モードよりも高くなるように酸化剤ガスを供給すべく酸化剤ガス供給器16を制御する第2モードとを選択的に実行する。
「燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で」とは、例えば、燃料電池10から電力を取り出さない開回路状態であってもよいし、燃料電池10から取り出した電力を燃料電池システム100の内部にある補機(燃料電池システム100が備える補機)等にのみ供給している状態であってもよい。
図2に示す例では、酸化剤極14上の酸素分圧は、酸化剤ガス流路7(酸化剤極ガス拡散層5の表面)に存在するガス中の酸素分圧である。
「酸化剤極14上の酸素分圧が第1モードよりも高くなるように酸化剤ガスを供給する」とは、例えば、第1モードよりも、酸化剤極14の表面上でのガス中の酸素の分圧が高くなるように、酸化剤極14に空気を供給しつつ酸化剤極14の表面上での空気の圧力(全圧)を上昇させたり、酸化剤極14に空気よりも酸素の含有率が高いガスを供給したりすることとしうる。
制御器20は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備えてもよい。演算処理部としては、MPU、CPUが例示される。記憶部としては、メモリーが例示される。制御器20は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。制御器20は、計時器(図示せず)を備えていてもよい。
制御器20は、第2モードにおいて、酸化剤極14に酸化剤ガスとして空気を供給しつつ酸化剤極14上の圧力(全圧)を上昇させることで、酸化剤極14上の酸素分圧が第1モードよりも高くなるように、酸化剤ガス供給器16を制御してもよい。
図2に示す例では、酸化剤極14上の圧力(全圧)は、酸化剤ガス流路7(酸化剤極ガス拡散層5の表面)に存在するガスの全圧である。
酸化剤極14上の圧力を上昇させる方法としては、例えば、空気の流量を増やすこと、および、酸化剤極と外部とを連通する酸化剤ガス流路を弁により封止して、ポンプ等により該封止された内部空間(燃料電池内部の酸化剤ガス流路7を含む空間)へと空気を注入すること、等が挙げられる。
空気の流量を増やすと、酸化剤ガス流路での圧力損失により、酸化剤ガス流路中の空気の圧力(全圧)は上昇する。空気中の酸素濃度が一定であるとすれば、全圧の上昇に伴って、酸化剤ガス流路中での酸素分圧も上昇する。例えば、非発電状態で全圧を1.1kPa以上、もしくは1.5kPa以上、もしくは2.0kPa以上に保持することのできる空気流に設定する(燃料電池のセパレータの流路構造に応じて、上記圧力を保持するために必要な酸素供給量は変わるため、全圧および酸素分圧を規定する)。全圧および酸素分圧の上昇に伴って増加する開回路電圧は、ネルンスト式により算出することができる。全圧および酸素分圧が増加することで、開回路電圧が増加する。触媒上に化学吸着した不純物(アンモニア、二酸化硫黄、二酸化窒素など)は、酸化剤極の電圧が0.85V以上で不純物の酸化反応が促進される。また、0.85V以上の電圧領域において電圧を上昇させることで、不純物の酸化反応量は電圧増加量に対して直線的に増加する。0.85V以上かつ、実現可能な範囲で高電圧状態を維持すると、不純物除去に対して特に有効である。
制御器20は、第2モードにおいて、酸化剤極14上の酸素分圧が、酸化剤極14に吸着した二酸化硫黄(SO)を酸化させるために必要な酸素分圧(例えば、1.1atm)以上となるように、酸化剤ガス供給器16を制御してもよい。
酸化剤ガス供給器16による酸素分圧の制御は、具体的には例えば、酸化剤極14上の圧力(図2の例では、酸化剤ガス流路7におけるガスの圧力)を制御することで行われてもよいし、酸化剤極14へと供給する酸化剤ガス中の酸素濃度を制御することで行われてもよい。
制御器20は、第2モードにおいて、酸化剤極14上の酸素分圧が、酸化剤極14の電圧を所定電圧よりも高くするために必要な酸素分圧以上となるように、酸化剤ガス供給器16を制御してもよい。該所定電圧は、第1モードにおいて、燃料電池10から燃料電池10の外部に電力を供給しない開回路状態で計測される酸化剤極14の電圧(例えば、1.03V程度)であってもよい。該所定電圧は、第1モードにおいて、燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で計測される酸化剤極14の電圧(例えば、0.953V程度)であってもよい。
酸化剤極14の電圧とは、非発電状態における燃料極の電極電位を基準として測定した電位である。
以下、不純物が二酸化硫黄である場合を例として、不純物が除去されるメカニズムを説明する。なお、以下の例において、電極触媒は白金(Pt)とする。
不活性雰囲気において、酸化剤極14の電圧が上昇すると、以下の反応により、触媒上に吸着した硫黄が酸化される。
PtS+4HO→Pt+SO 2−+8H+6e ・・・・・(1)
すなわち、電圧上昇と共に、高電位側の酸化電流が増加することから、触媒に吸着した硫黄の酸化が促進される。
酸化剤極14上の酸素分圧が上昇すると、以下の反応等により、触媒上に吸着した硫黄の酸化、および、SO/SOの脱離が促進されると推定される。
PtS+2PtO+2HO→3Pt+SO 2−+4H+2e ・・・・・(2)
PtS+4PtOH→5Pt+SO 2−+4H+2e ・・・・・(3)
酸化剤極14上の酸素分圧が上昇することで、電極触媒に吸着した二酸化硫黄が酸化されて除去される。酸化剤極14の電圧が上昇することで、電極触媒に吸着した二酸化硫黄が酸化されて除去される。
酸素分圧が上昇することは、電極の電圧を上昇させるのみならず、酸素の存在量が増加すること自体により、触媒上の不純物の酸化を促進させる。すなわち、酸素分圧を上昇させると、不純物の量が多くても、より効果的にこれを酸化して除去することができる。よって、酸化剤極に付着する不純物の影響を従来よりも効果的に低減することができる。
酸化剤極14に空気を供給しつつ、空気を加圧した場合、酸素分圧と共に、不純物の分圧も上昇する。しかしながら、かかる場合でも、電極触媒からの不純物の除去は進行する。その理由は、酸化剤極が加圧されることで、酸化剤極内部の凝縮水量が増加するため、水溶性の不純物(特に、アンモニア、二酸化窒素、二酸化硫黄)が凝縮水に捕捉され、酸化剤極の電極触媒に拡散する不純物量が低減されるためである。
なお、空気に由来して電極触媒を被毒する不純物としては、例えば、火山および燃焼排ガスなどに含まれている二酸化硫黄などの硫黄化合物、工場および自動車の燃焼排ガスなどに多く含まれている窒素酸化物、トルエン、塩素系ガス、および、悪臭成分であるアンモニア等が挙げられる。すなわち、本実施形態において、不純物の種類は特に限定されない。
[動作]
図3は、第1実施形態にかかる燃料電池発電システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。図3に示す運転方法(動作)は、例えば、制御器20の制御により実行されうる。
燃料電池発電システム100において、被毒判定および回復動作が開始されると(スタート)、まず、電極触媒の回復処理が必要か否かの判定が行われる(ステップS101)。
該判定は、さまざまな方法で実行されうる。具体的には例えば、燃料電池発電システム100の累積運転時間、燃料電池発電システム100における酸化剤ガスの累積供給量、燃料電池発電システム100の累積発電量、燃料電池10の出力電圧、酸化剤極14の電圧、および、燃料電池発電システム100の累積運転時間と燃料電池10の出力電圧との関係等に基づいて、電極触媒の被毒の程度、および、回復処理により電極触媒の性能が満足できる程度に回復できるか否か等が判定されうる。
ステップS101の判定結果がNOである場合には、燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極14に酸化剤ガスとして空気を供給するように酸化剤ガス供給器16を制御し(第1モードによる運転)(ステップS102)、被毒判定および回復動作が終了する(エンド)。
「燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で」とあるが、ステップS102において燃料電池発電システム100の外部への電力供給を停止してもよいし、ステップS101の判定前に燃料電池発電システム100の外部への電力供給が停止されていてもよい。
ステップS101の判定結果がYESである場合には、燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極14上の酸素分圧が第1モードよりも高くなるように酸化剤ガスを供給すべく酸化剤ガス供給器16を制御し(第2モードによる運転)(ステップS103)、被毒判定および回復動作が終了する(エンド)。
「燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で」とあるが、ステップS103において燃料電池発電システム100の外部への電力供給を停止してもよいし、ステップS101の判定前に燃料電池発電システム100の外部への電力供給が停止されていてもよい。
[変形例]
第1実施形態の変形例の燃料電池発電システムは、燃料極と酸化剤極とを備え燃料極に供給される燃料と酸化剤極に供給される酸化剤ガスとの反応により発電を行う燃料電池と、酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給器と、燃料電池から燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極に酸化剤ガスとして空気を供給するように酸化剤ガス供給器を制御する第1モードと、燃料電池から燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、酸素含有率が空気よりも高いガスを酸化剤ガスとして供給するように酸化剤ガス供給器を制御する第2モードとを選択的に実行する制御器と、を備える。
かかる構成では、酸化剤極に付着する不純物の影響を従来よりも効果的に低減することができる。
本変形例において、制御器20は、燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極14に酸化剤ガスとして空気を供給するように酸化剤ガス供給器16を制御する第1モードと、燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で、酸素含有率が空気よりも高いガスを酸化剤ガスとして供給するように酸化剤ガス供給器16を制御する第2モードとを選択的に実行する。
酸素含有率が空気よりも高いガスは、例えば、純酸素であってもよいし、空気に純酸素を添加して得られるガスであってもよい。
図4は、第1実施形態の変形例にかかる燃料電池発電システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。図4に示す運転方法(動作)は、例えば、制御器20の制御により実行されうる。
燃料電池発電システム100において、被毒判定および回復動作が開始されると(スタート)、まず、電極触媒の回復処理が必要か否かの判定が行われる(ステップS201)。
ステップS201は、図3のステップS101と同様とすることができるので、詳細な説明を省略する。
ステップS201の判定結果がNOである場合には、燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極14に酸化剤ガスとして空気を供給するように酸化剤ガス供給器16を制御し(第1モードによる運転)(ステップS102)、被毒判定および回復動作が終了する(エンド)。
「燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で」とあるが、ステップS202において燃料電池発電システム100の外部への電力供給を停止してもよいし、ステップS201の判定前に燃料電池発電システム100の外部への電力供給が停止されていてもよい。
ステップS201の判定結果がYESである場合には、燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で、酸素含有率が空気よりも高いガスを酸化剤ガスとして供給するように酸化剤ガス供給器16を制御し(第2モードによる運転)(ステップS203)、被毒判定および回復動作が終了する(エンド)。
「燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で」とあるが、ステップS203において燃料電池発電システム100の外部への電力供給を停止してもよいし、ステップS201の判定前に燃料電池発電システム100の外部への電力供給が停止されていてもよい。
以上の点を除き、本変形例にかかる燃料電池発電システムは、第1実施形態の燃料電池発電システム100と同様の構成とすることができる。よって、共通する構成要素については同一の符号および名称を付して、詳細な説明を省略する。
(第2実施形態)
第2実施形態の燃料電池発電システムは、第1実施形態の燃料電池発電システムであって、さらに、酸化剤ガス供給器は、酸素含有率が空気よりも高いガスを貯溜するガス貯留器を備え、制御器は、第2モードにおいて、酸素含有率が空気よりも高いガスをガス貯留器から酸化剤極へと供給するように酸化剤ガス供給器を制御する。
図5は、第2実施形態にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図5に示す例において、第2実施形態の燃料電池発電システム200は、酸化剤ガス供給器16に代えて、酸化剤ガス供給器26を備える。
酸化剤ガス供給器26は、空気供給器22と、ガス貯留器24とを備える。
空気供給器22は、例えば、燃料電池発電システム200の外部から空気を取り込んで、下流へと供給する。空気供給器22としては、例えば、ブロワおよびポンプ等を用いることができる。
ガス貯留器24は、酸素含有率が空気よりも高いガスを貯溜する。酸素含有率が空気よりも高いガスとしては、例えば、純酸素を用いることができる。ガス貯留器24としては、例えば、ガスボンベ等を用いることができる。
以上の点を除き、酸化剤ガス供給器26は、第1実施形態の酸化剤ガス供給器16と同様の構成とすることができる。
制御器20は、第2モードにおいて、酸素含有率が空気よりも高いガスをガス貯留器24から酸化剤極14へと供給するように酸化剤ガス供給器26を制御する。
酸素含有率が空気よりも高いガスは、そのまま酸化剤ガスの全体となり、酸化剤極14へと供給されてもよいし、空気等と混合されることで、酸化剤ガスの一部として酸化剤極14へと供給されてもよい。
以上の点を除き、第2実施形態にかかる燃料電池発電システム200は、第1実施形態の燃料電池発電システム100と同様の構成とすることができる。よって、図1と図5とで共通する構成要素については同一の符号および名称を付して、詳細な説明を省略する。
第2実施形態にかかる燃料電池発電システム200の運転方法は、例えば、図4に示すフローチャートのステップS203を、燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で、酸素含有率が空気よりも高いガスをガス貯留器24から酸化剤極14へと供給するように酸化剤ガス供給器16を制御するように変形すればよい。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の変形が可能である。
(第3実施形態)
第3実施形態の燃料電池発電システムは、第1実施形態の燃料電池発電システムであって、さらに、酸化剤ガス供給器は、酸素含有率が空気よりも高いガスを生成するガス生成器を備え、制御器は、第2モードにおいて、酸素含有率が空気よりも高いガスをガス生成器から酸化剤極へと供給するように酸化剤ガス供給器を制御する。
図6は、第3実施形態にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図6に示す例において、第3実施形態の燃料電池発電システム200は、酸化剤ガス供給器16に代えて、酸化剤ガス供給器27を備える。
酸化剤ガス供給器27は、空気供給器22と、ガス生成器25とを備える。
空気供給器22は、例えば、燃料電池発電システム200の外部から空気を取り込んで、下流へと供給する。空気供給器22としては、例えば、ブロワおよびポンプ等を用いることができる。
ガス生成器25は、酸素含有率が空気よりも高いガスを生成する。酸素含有率が空気よりも高いガスとしては、例えば、純酸素を用いることができる。ガス生成器25としては、例えば、水の電気分解により酸素を生成する装置、および、過酸化水素水から触媒を用いて酸素を生成する装置等を用いることができる。
以上の点を除き、酸化剤ガス供給器27は、第1実施形態の酸化剤ガス供給器16と同様の構成とすることができる。
制御器20は、第2モードにおいて、酸素含有率が空気よりも高いガスをガス生成器25から酸化剤極14へと供給するように酸化剤ガス供給器27を制御する。
酸素含有率が空気よりも高いガスは、そのまま酸化剤ガスの全体となり、酸化剤極14へと供給されてもよいし、空気等と混合されることで、酸化剤ガスの一部として酸化剤極14へと供給されてもよい。
以上の点を除き、第3実施形態にかかる燃料電池発電システム300は、第1実施形態の燃料電池発電システム100と同様の構成とすることができる。よって、図1と図6とで共通する構成要素については同一の符号および名称を付して、詳細な説明を省略する。
第3実施形態にかかる燃料電池発電システム300の運転方法は、例えば、図4に示すフローチャートのステップS203を、燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で、酸素含有率が空気よりも高いガスをガス生成器25から酸化剤極14へと供給するように酸化剤ガス供給器16を制御するように変形すればよい。
第3実施形態においても、第1実施形態と同様の変形が可能である。第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせてもよい。
(第4実施形態)
第4実施形態の燃料電池発電システムは、第1実施形態の燃料電池発電システムであって、さらに、燃料極に燃料を供給する燃料供給器を備え、制御器は、第2モードにおいて、燃料極へ燃料を供給しないように燃料供給器を制御する。
図7は、第4実施形態にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図7に示す例において、第4実施形態の燃料電池発電システム400は、燃料供給器18を備える。
燃料供給器18は、燃料極12に燃料を供給する。燃料供給器18は、例えば、原料から水素含有ガスを生成する改質器(図示せず)を備えていてもよい。この場合、燃料電池発電システム400の外部から燃料供給器18へと供給されるのは、燃料ではなく原料となる。
制御器20は、第2モードにおいて、燃料極12へ燃料を供給しないように燃料供給器18を制御する。
本実施形態では、第2モードにおいて、燃料極12へ燃料が供給されないため、酸化剤極14から燃料極12へと浸透する酸素によって燃料極12の電圧も上昇し、燃料極12の電極触媒上に吸着した不純物が酸化され除去される。
以上の点を除き、第4実施形態にかかる燃料電池発電システム400は、第1実施形態の燃料電池発電システム100と同様の構成とすることができる。よって、図1と図7とで共通する構成要素については同一の符号および名称を付して、詳細な説明を省略する。
第4実施形態にかかる燃料電池発電システム400の運転方法は、例えば、図3に示すフローチャートのステップS103を、燃料電池10から燃料電池発電システム100の外部に電力を供給しない状態で、かつ、燃料極12へ燃料を供給しない状態で、酸化剤極14上の酸素分圧が第1モードよりも高くなるように酸化剤ガスを供給すべく酸化剤ガス供給器16を制御するように変形すればよい。
第4実施形態においても、第1実施形態と同様の変形が可能である。第2実施形態および第3実施形態のいずれか一方または両方と第4実施形態とを組み合わせてもよい。
(第5実施形態)
第5実施形態の燃料電池発電システムは、第1実施形態の燃料電池発電システムであって、さらに、酸化剤極が備える電極触媒に吸着した硫黄化合物の蓄積量に関する指標を取得する硫黄化合物蓄積量推定器を備え、制御器は、硫黄化合物蓄積量推定器により取得された硫黄化合物蓄積量に関する指標に基づいて、第1モードと第2モードとを選択する。
上記燃料電池発電システムにおいて、硫黄化合物蓄積量推定器は、硫黄化合物の蓄積量に関する指標として燃料電池の発電時間を積算した積算発電時間を取得する発電時間積算器であり、制御器は、発電時間積算器により取得された積算発電時間に基づいて、第1モードと第2モードとを選択してもよい。
上記燃料電池発電システムにおいて、硫黄化合物蓄積量推定器は、硫黄化合物の蓄積量に関する指標として酸化剤極の電圧を検出する電圧検出器であり、制御器は、電圧検出器が検出した電圧が、予め定められた閾値電圧未満であるか否かの判断結果に基づいて、第1モードと第2モードとを選択してもよい。
図8は、第5実施形態にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図8に示す例において、第5実施形態の燃料電池発電システム500は、硫黄化合物蓄積量推定器30を備える。
硫黄化合物蓄積量推定器30は、酸化剤極14が備える電極触媒に吸着した硫黄化合物の蓄積量に関する指標を取得する。硫黄化合物の蓄積量に関する指標としては、例えば、燃料電池発電システム500の累積運転時間、燃料電池発電システム500における酸化剤ガスの累積供給量、燃料電池発電システム500の累積発電量、燃料電池10の出力電圧、酸化剤極14の電圧、および、燃料電池発電システム500の累積運転時間と燃料電池10の出力電圧との関係等とすることができる。
制御器20は、硫黄化合物蓄積量推定器30により取得された硫黄化合物蓄積量に関する指標に基づいて、第1モードと第2モードとを選択する。制御器20と硫黄化合物蓄積量推定器30とは、通信可能に接続されていてもよい。
制御器20と硫黄化合物蓄積量推定器30とは、同一の装置であってもよいし、互いに独立した装置であってもよい。
硫黄化合物蓄積量推定器30は、硫黄化合物の蓄積量に関する指標として燃料電池10の発電時間を積算した積算発電時間を取得する発電時間積算器であってもよい。この場合、制御器20は、発電時間積算器により取得された積算発電時間に基づいて、第1モードと第2モードとを選択する。積算発電時間は、最後に第2モードでの運転を行った後の発電時間の積算値であってもよい。積算発電時間が第1閾値を超えたら第2モードでの運転を選択することとしてもよい。第1閾値は、燃料電池10の製造後の総発電時間に応じて変化してもよい。総発電時間に伴い、電極の不可逆的な劣化が進行する場合に、第2モードを選択する間隔を調整しうる。
硫黄化合物蓄積量推定器30は、硫黄化合物の蓄積量に関する指標として酸化剤極14の電圧を検出する電圧検出器であってもよい。この場合、制御器20は、電圧検出器が検出した電圧が、予め定められた閾値電圧未満であるか否かの判断結果に基づいて、第1モードと第2モードとを選択する。予め定められた閾値電圧は、燃料電池10の製造後の総発電時間に応じて変化してもよい。総発電時間に伴い、電極の不可逆的な劣化による電極電圧の低下が進行する場合に、これに応じて閾値電圧を調整しうる。
以上の点を除き、第5実施形態にかかる燃料電池発電システム500は、第1実施形態の燃料電池発電システム100と同様の構成とすることができる。よって、図1と図8とで共通する構成要素については同一の符号および名称を付して、詳細な説明を省略する。
第5実施形態にかかる燃料電池発電システム500の運転方法は、例えば、図3に示すフローチャートのステップS101を、硫黄化合物蓄積量推定器30により取得された硫黄化合物蓄積量に関する指標に基づいて、電極触媒の回復処理が必要か否かの判定が行われるように変形すればよい。
第5実施形態においても、第1実施形態と同様の変形が可能である。第2実施形態、第3実施形態、および、第4実施形態の任意の組合せと、第5実施形態とを組み合わせてもよい。
(実施例)
実施例の燃料電池発電システムは、電圧回復制御を備えた燃料電池である。
図9は、第1実施例にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
第1実施例の燃料電池発電システムは、固体高分子電解質膜を挟んで酸化剤極と燃料極とを対設した燃料電池構造体(燃料電池セル)をセパレータで挟持して、これを複数積層して構成される燃料電池スタック44(燃料電池)を備える。燃料電池内部の発電セル(燃料電池セル)の構造は、図2に示したものと同様とすることができるので、詳細な説明を省略する。
燃料電池発電システムには、燃料電池スタック44に燃料ガスを供給するための燃料供給器と、燃料電池スタックに空気を供給するための空気供給器とが備えられている。
燃料供給器は、メタンなどの炭化水素を含む都市ガスなどの原料ガスを改質して水素を含む燃料ガスを供給する。燃料供給部は、ポンプ46と、腐臭剤などに含まれる硫黄化合物を吸着除去する脱硫器47と、メタンなどを含む燃料ガスを改質する改質器48と、改質反応で発生する一酸化炭素(CO)を変成するCO変成器49と、さらにCOを選択的に除去するCO除去器50で構成されている。
原料ガスは、まず脱硫器47で脱硫された後、改質器48で改質されて水素を含む燃料ガスとなる。原料ガスにメタンを用いた場合、改質器48では、水蒸気を伴って(化1)で示した反応が起こり、燃料ガスである水素とともに約10%のCOが発生する。
Figure 2014186891
燃料電池スタック44の運転温度域において燃料極42に含まれる白金触媒はわずかなCOでも被毒し、その触媒活性が低下するため、改質器48で発生したCOは(化2)で示すようにCO変成器49で二酸化炭素に変成され、その濃度は約5000ppmまで減少する。下流側のCO除去器50では、COだけでなく、燃料ガスの水素まで酸化されてしまうので、このCO変成器49においてできるだけCO濃度を低下させる必要がある。
Figure 2014186891
さらに残ったCOは(化3)で示すようにCO除去器50において大気中から取り込んだ空気によって選択的に酸化され、その濃度は燃料極42の触媒活性の低下を抑制できる約10ppm以下までに減少する。
Figure 2014186891
なお、改質器48(燃料処理部)が実行する水素生成方法は、水蒸気改質法に限るものでなく、オートサーマル法などでもよい。
また、図9に示す例では、燃料極42の手前に空気を供給するエアブリード器51を設け、改質器48で生成した燃料ガスに1〜2%程度の空気を混合し、わずかに残るCOの影響をさらに軽減させる構成が採用されている。なお、燃料ガスに含まれるCO濃度に応じてエアブリード器51を省略してもよい。
酸化剤ガス供給器は、酸化剤ガスを取り込むブロワ41と、酸化剤ガスを加湿する加湿器52で構成され、燃料電池スタック44の酸化剤極43に加湿した酸化剤ガスを供給する。酸化剤ガスとは、少なくとも酸素を含む(あるいは酸素を供給することのできる)ガスの総称であり、例えば、大気(空気)が挙げられる。なお、燃料電池スタックの仕様に応じて加湿器12を省略してもよい。
また、図9に示す例では、ブロワ41と加湿器52とを接続する流路に弁55が配設されている。この弁は、燃料電池の運転停止時に酸化剤極への空気の流入を抑制するガス遮断弁である。また、酸化剤極43から排出されるガス(カソードオフガス)が通流する流路に、圧力調整弁57が設けられている。この弁は、燃料電池の酸化剤極内を加圧するための、圧力調整弁である。
ここで、上記構成の燃料電池スタック44の動作について説明する。燃料極42および酸化剤極43にそれぞれ燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給して負荷を接続すると、燃料極42に供給された燃料ガス中に含まれる水素は反応式(化4)で示すように燃料極側触媒層と固体高分子電解質膜との界面で電子を放って水素イオンとなる。
Figure 2014186891
水素イオンは固体高分子電解質膜を通って酸化剤極43へと移動し、酸化剤極側触媒層と固体高分子電解質膜との界面で電子を受け取り、酸化剤極43に供給された酸化剤ガス中に含まれる酸素と反応し、水を生成する。この反応式は(化5)のようになる。
Figure 2014186891
全反応を(化6)に示す。
Figure 2014186891
このとき、燃料極42と酸化剤極43とを接続する経路(負荷)上を電子が流れるが、この電子の流れを、直流の電気エネルギーとして利用できる。また、一連の反応は発熱反応であるため、反応熱を熱エネルギーとして利用できる。
また、図9において、制御器53は、負荷変動に応じて燃料電池スタック44の出力を制御している。燃料電池スタック44の負荷が上がり、多くの発電量を必要とする場合は、改質器48に供給する原料ガスの供給量を増加させ、生成する燃料ガス量を増加し、また、ブロワ1の能力値を上げて酸化剤ガスの供給量を増加させる。
逆に、あまり発電量が必要とされない場合は、燃料ガスや酸化剤ガスの供給量を低減させて、出力を低減することができる構成となっている。
[不純物]
大気中には様々な不純物が含まれている場合が多い。不純物としては、例えば、火山や燃焼排ガスなどに含まれている二酸化硫黄などの硫黄化合物や、工場や自動車の燃焼排ガスなどに多く含まれている窒素酸化物、あるいは悪臭成分であるアンモニアなどが含まれている。
これらの不純物は燃料電池スタック44に悪影響を及ぼす。すなわち、不純物が酸化剤ガスに混入して酸化剤極43に到達した場合、酸化剤極43に含まれる触媒に付着(吸着)して発電に必要な化学反応を阻害する結果、燃料電池スタック44の出力が低下することがある。中でも硫黄化合物は比較的吸着力が強い。このため、多量の硫黄化合物が蓄積した場合、除去することが困難になり、燃料電池スタック44の発電効率や耐久性を劣化させる原因となる。
一方、酸化剤極43の酸素被覆率(酸化剤極に用いられる貴金属触媒の電気化学的有効反応表面に化学吸着した酸素種の割合)および電極電圧によって、不純物の酸化反応を促進させることができ、水や空気と反応させることにより、酸化剤極43に付着した不純物を酸化剤極43から脱離させやすくすることができる。
[酸化剤極に付着した不純物を除去する方法]
本実施例における燃料電池発電システムは、少なくとも水素を含む燃料ガスが供給される燃料極42と、少なくとも酸素を含む酸化剤ガスが供給される酸化剤極43と、燃料極42と酸化剤極43が形成された固体高分子電解質膜を含む燃料電池スタック44と、燃料電池発電システム外部に電力を供給しない状態で酸化剤極43に所定酸素分圧以上の酸素分圧を付与する制御器53と、制御器53により所定酸素分圧以上の酸素分圧を付与する時期を決定する決定器54を備えたものである。
燃料電池発電システムには、外部負荷(図示せず)に交流電力を供給するインバータなどの電力出力器(図示せず)が設けられている。燃料電池スタック44は、この外部負荷と燃料電池発電システム内部にある補機や制御基板の電源などの内部負荷(図示せず)とに電力を供給している。燃料電池発電システム外部に電力を供給しない状態とは、内部負荷の全てあるいは一部への電力供給を継続した状態で、外部負荷を切断する状態としうる。
本実施例の構成によれば、決定器54が、不純物による不可逆な電圧低下を引き起こす前に、制御器53により所定酸素分圧以上の酸素分圧を付与する時期を決定する。
また、電圧検出器45により、酸化剤極の電圧を検出することで、不純物による酸化剤極の電圧低下を評価および判定する。
更に、燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で酸化剤極に所定酸素分圧以上の酸素分圧を付与するように制御器53を駆動することにより、酸化剤極43の酸素被覆率を増加させ、酸化剤極43に付着した不純物を酸化し、脱離させて除去することとなり、燃料電池スタック44が活性化し、所望の性能を維持できる、耐久性に優れた燃料電池発電システムを得ることができる。
所定酸素分圧以上の酸素分圧は、燃料電池スタック44の通常運転時より高い酸素分圧とすることができる。酸化剤極43の酸素被覆率を増加することで、酸化剤極43に付着した不純物を酸化除去して燃料電池スタック44を活性化することができる。
所定酸素分圧以上の酸素分圧は、酸化剤極43に付着した不純物を酸化させるのに必要な酸素分圧としてもよい。酸化剤極43の酸素被覆率を増加させ、酸化剤極43に付着した不純物を酸化除去して燃料電池スタック44を活性化することができる。
燃料電池発電システムの負荷を低負荷状態にした後、所定酸素分圧以上の酸素分圧を付与してもよい。酸化剤極43に付着した不純物の酸化除去を促進することができ、燃料電池スタック44を活性化することができる。
燃料電池スタック44の負荷を全て切断して開回路状態にした後、所定酸素分圧以上の酸素分圧を付与してもよい。酸化剤極43に付着した不純物の酸化除去をさらに促進することができ、燃料電池スタック44を活性化することができる。
燃料電池スタック44の負荷を切断した開回路状態で所定酸素分圧以上の酸素分圧を付与することで、酸化剤極43に付着した不純物を酸化除去する構成について、以下に説明する。
二酸化硫黄などの硫黄化合物が酸化剤極43の触媒サイトに付着した際に、隣接する触媒サイトの酸素被覆率を増加させる。これにより、隣接する触媒サイトに吸着した酸素原子が、触媒上に付着した硫黄化合物の酸化を促進する。
負荷が切断された開回路状態では、自然電位が、燃料電池の運転状態よりも高くなる。開回路状態では、酸素の被覆率をさらに増加することができる。酸化剤極43に付着したかなりの部分の硫黄化合物を酸化することが可能となる。さらに、酸化剤ガスの供給を継続することで、酸化された硫黄化合物を酸化剤極43から脱離させて除去できる。以上の事実を見出した。
本実施例では、触媒層において、ある程度の量の硫黄化合物が蓄積すると、不可逆な電圧低下が生じる事実に着目した。不可逆な電圧低下が生じる前、すなわち硫黄化合物の蓄積量が少ないときに、燃料電池スタック44を開回路状態にして、酸化剤極43の酸素分圧を所定の酸素分圧まで増加させる。これにより、酸化剤極43に付着した硫黄化合物を酸化除去して燃料電池スタック44を活性化する。
また、燃料電池スタック44を開回路状態にする判断に用いる、酸化剤極43に供給される不純物の積算量の閾値は、実験により求めることができる。すなわち、不可逆な電圧低下を引き起こさず、また、酸素分圧を所定の値まで増加した際に得られる自然電位を1秒から10分程度保持すれば回復する(硫黄化合物が十分に除去される)ように、上限積算量を予め実験的に求めておき、上限積算量以下の積算量を閾値とすることができる。
本実施例では、決定器54が、不純物による不可逆な電圧低下を引き起こす前に、燃料電池スタック44を開回路状態にする時期を決定する。よって、電圧低下により発電効率が低下する可能性を低減できる。
さらに、決定器54で決定された時期に、制御器53が、燃料電池スタック44を開回路状態とし、酸化剤極43上の酸素分圧を所定の酸素分圧まで増加させる。これにより、酸化剤極43に付着した不純物が酸化され、酸化剤ガスによって酸化された不純物は脱離されて除去される。よって、燃料電池スタック44が活性化し、所望の性能を維持できる、耐久性に優れた燃料電池発電システムを得ることができる。
次に、不純物の積算量の閾値を得る具体例を以下に説明する。
不純物の積算量は、燃料電池スタック44の累積発電時間が長くなるのに伴って、加算されていく。そこで、決定器54は、燃料電池スタック44の発電時間を積算する発電時間積算器(図示せず)を備え、発電時間積算器により得られた積算時間が不純物の積算量の閾値に相当する時間となった時に、燃料電池スタック44を開回路状態にする時期であると決定する。決定器54で決定された時期に、制御器53は、燃料極42と酸化剤極43とに燃料ガスと酸化剤ガスとをそれぞれ供給した状態で、燃料電池スタック44の負荷を切断して開回路状態とする。
本実施例によれば、発電時間を積算するという非常に簡単な構成に基づき、酸化剤極43に付着した不純物を除去して燃料電池スタック44を活性化することができる燃料電池発電システムを得ることができる。
なお、前述の説明で、制御器53は、燃料極42と酸化剤極43に燃料ガスと酸化剤ガスを各々供給した状態で、開回路状態にすると説明したが、開回路状態とすることなく、燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極43に所定酸素分圧以上の酸素分圧を付与してもよい。かかる構成でも、酸化剤極43に付着した不純物を酸化除去して燃料電池を活性化することができる燃料電池発電システムを得ることができる。
さらに、制御器53は、燃料極42に燃料ガスを供給せず、酸化剤極43のみに酸化剤ガスを供給した状態で、かつ、燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、酸化剤極43に所定酸素分圧以上の酸素分圧を付与してもよい。かかる構成では、燃料ガスの供給を停止した状態であっても、供給停止の直前まで燃料極42に供給されていたガスにより、所定の電圧が付与される。
[不純物除去制御を実施するシーケンス]
図10は、第1実施例にかかる燃料電池発電システムの概略構成の運転方法の一例を示すフローチャートである。図10は、不純物除去制御を実施するシーケンスである。
ステップS1では、酸化剤極に付着した不純物を除去する必要性を判定し、不純物除去が必要と判定された場合は、ステップS2に移行する。
ステップS2では、酸素分圧増加処理を実施する。ステップS3は、ステップS2の工程が所定時間T1だけ実施されたことを確認する工程である。所定時間T1だけ実施されていない場合には、ステップS2を再度実施する。ステップS2の処理時間が所定時間T1だけ経過したことを確認した後、不純物除去制御(酸素分圧増加処理)を終了する。
酸素分圧増加処理方法は、以下のような方法を採用しうる。
[不純物を除去するための酸素分圧を増加させる方法]
1)第1実施例
燃料電池の酸化剤ガス供給器に設置されている酸化剤ガス供給圧調整弁57の開度を調整して酸化剤極を加圧することで酸素分圧を増加させる。
2)第2実施例
燃料電池の酸化剤ガス供給ラインに、ガスボンベ56より高濃度酸素ガスを供給することで、酸化剤極の酸素分圧を増加させる。図11は、第2実施例にかかる燃料電池発電システムの概略構成の一例を示すブロック図である。符号58は、開閉弁である。
3)第3実施例
燃料電池の酸化剤ガス供給ラインに、ガスボンベ56より高濃度酸素ガスを供給し、さらに燃料電池の酸化剤ガス供給器が備える酸化剤ガス供給圧調整弁57の開度を調整して酸化剤極を加圧することで、酸化剤極の酸素分圧を増加させる。燃料電池発電システムの装置構成は、第2実施例(図11)と同様とすることができる。
4)第4実施例
燃料電池の酸化剤ガス供給ラインに、酸素ガス生成デバイスより高濃度酸素ガスを供給することで、酸化剤極の酸素分圧を増加させる。燃料電池発電システムの装置構成は、ガスボンベ56を酸素ガス生成デバイスに置き換える以外は、第2実施例(図11)と同様とすることができる。
5)第5実施例
燃料電池の酸化剤ガス供給ラインに、酸素ガス生成デバイスより高濃度酸素ガスを供給し、さらに燃料電池の酸化剤ガス供給器が備える酸化剤ガス供給圧調整弁57の開度を調整して酸化剤極を加圧することで、酸化剤極の酸素分圧を増加させる。燃料電池発電システムの装置構成は、ガスボンベ56を酸素ガス生成デバイスに置き換える以外は、第2実施例(図11)と同様とすることができる。
[不純物除去制御の有効性検討試験]
本実施例の燃料電池発電システムの効果を確認するため、実際に燃料電池の酸化剤極に不純物(二酸化硫黄)を含む酸化剤ガスを供給しながら、模擬発電試験を行った。酸化剤ガスには空気を用い、燃料には燃料模擬ガス(水素、二酸化炭素、一酸化炭素、空気)を用いた。供給する空気中の二酸化硫黄の濃度は、大気環境中の最大濃度を模擬した濃度(0.11ppm)とした。発電試験は、燃料ガス利用率が80%、酸化剤ガス利用率が46%になるよう設定し、発電量は燃料電池システムで750Wに相当する直流電流で実施した。また、本試験には、白金系合金触媒(触媒担持量は白金量換算で0.3mg/cm)、フッ素系電解質、多孔質カーボン層付カーボンペーパーから成る酸化剤極を備えた燃料電池を用いた。不純物除去シーケンスは起動停止毎に、毎回実施した。検討試験結果を図13、14に概念的に示す。
図13は、不純物を供給しながら、通常の運転シーケンスで発電した場合のスタック電圧の推移を示す図である。一回の運転は約20時間であり、約4時間経過後の電圧を黒丸で示す(図14も同じ)。図に示すように、累積運転時間が長くなるにつれて、電圧は大きく低下する。酸化剤ガス中の二酸化硫黄が徐々に酸化剤極に蓄積し、触媒を被毒するために化学反応が阻害され活性が低下することによるものと考えられる。
図14は、実施例の不純物除去制御運転を定期的に行った場合のスタック電圧の推移を示す図である。図に示すように、運転中、不純物の蓄積量に応じて周期的に開回路状態で酸素分圧を所定の値まで増加することで、累積運転時間が長くなっても、電圧の低下は図13よりも小さくなる。
本実施例の燃料電池発電システムによれば、酸化剤ガス中に不純物の濃度をリアルタイムに検出して、実際の不純物の積算量に応じて酸化剤極に付着した不純物を酸化させて除去して燃料電池を活性化できるので、燃料電池の発電効率と耐久性を向上させることができる。不純物濃度の検出方法としては、酸化剤ガス供給経路に電気化学ガスセンサを設置し、ガス中の不純物の酸化電流を上記センサにより捕捉することで不純物反応量を算出し、酸化剤ガスの通気量より、燃料電池スタックに供給される不純物の暴露量を積算する。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明の一態様は、酸化剤極に付着する不純物の影響を従来よりも効果的に低減することができる燃料電池発電システムとして有用である。
1 固体高分子電解質膜
2 燃料極側触媒層
3 酸化剤極側触媒層
4 燃料極側ガス拡散層
5 酸化剤極ガス拡散層
6 燃料流路
7 酸化剤ガス流路
8 燃料極側セパレータ
9 酸化剤極側セパレータ
10 燃料電池
11 燃料電池セル
12 燃料極
14 酸化剤極
16 酸化剤ガス供給器
18 燃料供給器
20 制御器
22 空気供給器
24 ガス貯留器
25 ガス生成器
26 酸化剤ガス供給器
27 酸化剤ガス供給器
30 硫黄化合物蓄積量推定器
41 ブロワ
42 燃料極
43 酸化剤極
44 燃料電池スタック
45 電圧検出器
46 ポンプ
47 脱硫器
48 改質器
49 CO変成器
50 CO除去器
51 エアブリード器
52 加湿器
53 制御器
54 決定器
55 空気入弁
56 ガスボンベ
57 圧力調整弁
100、200、300、400、500 燃料電池発電システム

Claims (13)

  1. 燃料電池発電システムであって、
    燃料極と酸化剤極とを備え前記燃料極に供給される燃料と前記酸化剤極に供給される酸化剤ガスとの反応により発電を行う燃料電池と、
    前記酸化剤極に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給器と、
    前記燃料電池から前記燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、前記酸化剤極に前記酸化剤ガスとして空気を供給するように前記酸化剤ガス供給器を制御する第1モードと、前記燃料電池から前記燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、前記酸化剤極上の酸素分圧が前記第1モードよりも高くなるように前記酸化剤ガスを供給すべく前記酸化剤ガス供給器を制御する第2モードとを選択的に実行する制御器と、を備える、
    燃料電池発電システム。
  2. 燃料電池発電システムであって、
    燃料極と酸化剤極とを備え前記燃料極に供給される燃料と前記酸化剤極に供給される酸化剤ガスとの反応により発電を行う燃料電池と、
    前記酸化剤極に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給器と、
    前記燃料電池から前記燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、前記酸化剤極に前記酸化剤ガスとして空気を供給するように前記酸化剤ガス供給器を制御する第1モードと、前記燃料電池から前記燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で、酸素含有率が前記空気よりも高いガスを前記酸化剤ガスとして供給するように前記酸化剤ガス供給器を制御する第2モードとを選択的に実行する制御器と、を備える、
    燃料電池発電システム。
  3. 前記制御器は、前記第2モードにおいて、前記酸化剤極に前記酸化剤ガスとして空気を供給しつつ前記酸化剤極上の圧力を上昇させることで、前記酸化剤極上の酸素分圧が前記第1モードよりも高くなるように、前記酸化剤ガス供給器を制御する、請求項1または2に記載の燃料電池発電システム。
  4. 前記酸化剤ガス供給器は、酸素含有率が前記空気よりも高いガスを貯溜するガス貯留器を備え、
    前記制御器は、前記第2モードにおいて、酸素含有率が前記空気よりも高いガスを前記ガス貯留器から前記酸化剤極へと供給するように前記酸化剤ガス供給器を制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  5. 前記酸化剤ガス供給器は、酸素含有率が前記空気よりも高いガスを生成するガス生成器を備え、
    前記制御器は、前記第2モードにおいて、酸素含有率が前記空気よりも高いガスを前記ガス生成器から前記酸化剤極へと供給するように前記酸化剤ガス供給器を制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  6. 前記制御器は、前記第2モードにおいて、前記酸化剤極上の酸素分圧が、前記酸化剤極に吸着した二酸化硫黄を酸化させるために必要な酸素分圧以上となるように、前記酸化剤ガス供給器を制御する、請求項1から5のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  7. 前記制御器は、前記第2モードにおいて、前記酸化剤極上の酸素分圧が、前記酸化剤極の電圧を所定電圧よりも高くするために必要な酸素分圧以上となるように、前記酸化剤ガス供給器を制御する、請求項1から5のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  8. 前記所定電圧は、前記第1モードにおいて、前記燃料電池から前記燃料電池の外部に電力を供給しない開回路状態で計測される酸化剤極の電圧である、請求項7に記載の燃料電池発電システム。
  9. 前記所定電圧は、前記第1モードにおいて、前記燃料電池から前記燃料電池発電システムの外部に電力を供給しない状態で計測される酸化剤極の電圧である、請求項7に記載の燃料電池発電システム。
  10. さらに、前記燃料極に前記燃料を供給する燃料供給器を備え、
    前記制御器は、前記第2モードにおいて、前記燃料極へ前記燃料を供給しないように前記燃料供給器を制御する、
    請求項1から9のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  11. さらに、前記酸化剤極が備える電極触媒に吸着した硫黄化合物の蓄積量に関する指標を取得する硫黄化合物蓄積量推定器を備え、
    前記制御器は、前記硫黄化合物蓄積量推定器により取得された硫黄化合物蓄積量に関する指標に基づいて、前記第1モードと前記第2モードとを選択する、
    請求項1から10のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  12. 前記硫黄化合物蓄積量推定器は、前記硫黄化合物の蓄積量に関する指標として前記燃料電池の発電時間を積算した積算発電時間を取得する発電時間積算器であり、
    前記制御器は、前記発電時間積算器により取得された積算発電時間に基づいて、前記第1モードと前記第2モードとを選択する、
    請求項11に記載の燃料電池発電システム。
  13. 前記硫黄化合物蓄積量推定器は、前記硫黄化合物の蓄積量に関する指標として前記酸化剤極の電圧を検出する電圧検出器であり、
    前記制御器は、前記電圧検出器が検出した電圧が、予め定められた閾値電圧未満であるか否かの判断結果に基づいて、前記第1モードと前記第2モードとを選択する、
    請求項11に記載の燃料電池発電システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017084451A (ja) * 2015-10-22 2017-05-18 日産自動車株式会社 燃料電池の触媒劣化判定方法及び触媒劣化判定装置
JP2020155405A (ja) * 2019-03-14 2020-09-24 大阪瓦斯株式会社 燃料電池システムの検査方法及び取付対象決定方法

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