JP2009252496A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】二次電池などの外部電源を必要とせずに、触媒の表面に酸化被膜を生成して燃料電池の性能の低下を抑制し得る燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】燃料電池1の運転が停止した後、燃料電池スタック1の下流側の単位セル2の電圧、電流変化率または経過時間が、当該単位セル2の触媒の表面にほぼ均一に酸化被膜が形成される値になるまで、カソード28への空気の供給を継続し、その後に空気の供給を停止する。
【選択図】図5

Description

本発明は単位セルを複数個積層して燃料電池スタックに構成した燃料電池を有する燃料電池システムに関するものであり、特に電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた燃料電池の触媒劣化の抑制に関するものである。
固体高分子電解質膜型の燃料電池システムにおいて、カソード(酸化剤極:正極)側に空気等の酸化剤ガスが存在し、アノード(燃料極:負極)側に空気等の酸化剤ガスが存在する領域と水素等の燃料ガスとが存在する領域とが形成される場合がある。例えば燃料電池システムを停止させた場合、空気が進入することから、アノードとカソードが共に空気の混入している状態となる。
このため、アノードに水素が存在する領域においては、通常の動作状態と同様の反応が起こり、カソード側は1V以上の高電位にさらされる。一方、アノードに水素が存在しない領域では、この領域と対峙するカソードで、
C+2HO→CO+4H+4e 式(1)
という反応が生じる。その結果、触媒であるPt(白金)を担持している触媒担体のカーボンの腐食が起こり、カソードの電極触媒の機能が大きく劣化し、その後の燃料電池の性能を低下させる要因となる。このときアノード側の空気が存在する領域においては、
+4H+4e→2HO 式(2)
という反応が起こり、水が生成されている。
このように、燃料電池システムおいては、燃料電池を停止させた後に、カソード電位上昇によって触媒担体カーボンの腐食劣化が起こる。そこで、従来、この触媒担体カーボンの腐食劣化を防止する方法として、燃料電池の停止時に燃料電池に電圧を印加して、触媒の表面を酸化し、触媒の活性を低下させる酸化被膜を形成することが知られている(特許文献1)。
特開2006−140065号公報
しかしながら、特許文献1の燃料電池システムでは、触媒の表面に酸化被膜を生成するために、別途に二次電池などの外部電源を用意する必要がある。また、別途外部電源を用いて燃料電池に電力を供給することは、燃料電池システム全体のエネルギー効率を低下させる。さらに、二次電池スタック内のカソードに均一に酸化皮膜を形成させるためには、二次電池スタック中の各単位セルに対して電力を供給しなくてはならない。このため、酸化皮膜を形成させる装置が複雑になる、という問題があった。
そこで本発明の目的は、二次電池などの外部電源を必要とせずに、触媒の表面に酸化被膜を生成して燃料電池の性能の低下を抑制し得る燃料電池システムを提供することである。
上記目的を達成するため、本発明は、電解質と前記電解質を挟む白金系の触媒を有するアノードおよびカソードから構成した単位セルを複数個積層して燃料電池スタックとした燃料電池システムにおいて、燃料電池の運転停止時に、外部電源を必要とせずに触媒の表面に酸化被膜を形成させる酸化被膜生成手段を設けたものであり、次の3つの形態がある。
その第1の形態は、酸化被膜生成手段として、燃料電池の運転が停止した際に燃料電池スタックのカソードへの空気の供給を継続する空気供給手段と、前記燃料電池スタックの下流側の単位セルの電圧を検出する電圧検出手段と、前記燃料電池の運転が停止した後、前記電圧検出手段によって検出される電圧が、前記燃料電池スタックの下流側の単位セルの前記触媒に、ほぼ均一に酸化被膜が形成される電位に対応する設定電圧値、例えば0.8V以上に達するまで、前記空気供給手段による空気の供給を継続し、その後に前記空気供給手段による空気の供給を停止する空気供給制御手段と、を設けたものである。
第2の形態は、酸化被膜生成手段として、燃料電池の運転を停止した際に前記燃料電池スタックのカソードへの空気の供給を継続する空気供給手段と、前記燃料電池スタックの下流側の単位セルの電流を検出する電流検出手段と、前記燃料電池の運転が停止した後、前記電流検出手段によって検出される電流の単位時間当たりの変化が、少なくとも前記燃料電池スタックの下流側の単位セルの前記触媒に、ほぼ均一に酸化被膜が形成された際に観測される電流変化率値に対応する設定電流変化率値、例えば1秒当たり1.5%以内に達するまで、前記空気供給手段による空気の供給を継続し、その後に前記空気供給手段による空気の供給を停止する空気供給制御手段と、を設けたものである。
第3の形態は、酸化被膜生成手段として、燃料電池の運転を停止した際に前記燃料電池スタックのカソードへの空気の供給を継続する空気供給手段と、前記燃料電池の運転が停止した後の時間を計測する計時手段と、前記燃料電池の運転が停止した後、前記計時手段によって計測される計測時間が、少なくとも前記燃料電池スタックの下流側の単位セルにおける前記触媒にほぼ均一に酸化被膜が形成されるまでの時間に対応する設定経過時間、例えば10秒以上に達するまで、前記空気供給手段による空気の供給を継続し、その後に前記空気供給手段による空気の供給を停止する空気供給制御手段と、を設けたものである。
本発明によれば、燃料電池の運転停止後もカソードへの空気の供給を継続することで、燃料電池スタックの上流側から下流側までの全ての単位セルについて、カソードがすみやかに高電位(空気電位の約0.9〜1.0V)となって、触媒の表面に触媒の活性を低下させる酸化皮膜が形成される。これより燃料電池のアノードに水素と空気が混在してる場合に起こるカソードの触媒層の劣化を抑制することができる。
これはカソードに積極的に空気の供給をすると、燃料電池スタックの上流側から下流側までの全ての単位セルに酸素が届く結果、下流側の単位セルにおいても速やかにカソード電位が上昇して白金が酸化しやすくなり、その結果、単に運転を停止した場合に比べ、触媒担体が腐食しなくなると考えられる。
以下、添付した図面を参照して本発明を適用した最良の実施形態を説明する。
図1は、固体高分子形燃料電池の全体構成を示す斜視図であり、図2は、固体高分子形燃料電池のセル構造を示す要部拡大断面図である。
図1に示すように、燃料電池(燃料電池スタック)1は、アノードガス(燃料ガス)とカソードガス(酸化剤ガス)との反応により起電力を生じる単位電池としての単位セル2を所定数だけ積層した積層体3、積層体3の両端に集電板4、絶縁板5、およびエンドプレート6を配置し、積層体3の内部にナット(図示は省略する)を螺合させることで構成されている。
この燃料電池1においては、アノードガス、カソードガス、および冷却水をそれぞれ各単位セル2のセパレータ15、16(図2参照)に形成された流路溝(図2の凹条部25)に流通させるためのアノードガス導入口8、アノードガス排出口9、カソードガス導入口10、カソード排出口11、冷却水導入口12、および冷却水排出口13を、一方のエンドプレート6に形成している。
アノードガスは、アノードガス導入口8により導入されてセパレータに形成されたアノードガス供給用の流路溝を流れ、アノードガス排出口9より排出される。カソードガスは、カソードガス導入口10より導入されてセパレータに形成されたカソードガス供給用の流路溝を流れ、カソードガス排出口より排出される。冷却水は、冷却水導入口12より導入されてセパレータに形成された冷却水供給用の流路溝を流れ、冷却水排出口13より排出される。
単位セル2は、図2に示すように、膜−電極接合体であるMEA14と、このMEA14の両面にそれぞれ配置されるカソード側セパレータ15とアノード側セパレータ16とから構成される。
MEA14は、水素イオンを通す高分子電解質膜である電解質膜17と、カソード触媒層18およびカソードガス拡散層19からなるカソードとしてのカソード電極20と、アノード触媒層21およびアノードガス拡散層22からなるアノードとしてのアノード電極23とからなる。MEA14は、アノード電極23およびカソード電極20によって、固体高分子電解質膜をその両側から挟みこんだ積層構造とされている。
カソード側セパレータ15およびアノード側セパレータ16は、導電性を有する材料により形成される。両セパレータは、図2に示すように、発電に寄与するアクティブ領域(MEA14と接する中央部分の領域)に、凸条部24と凹条部25とを交互に形成した凹凸形状(いわゆる、コルゲート形状)を有している。
MEA14のアノード電極23側に接して配置されるアノード側セパレータ16の凸条部24と凹条部25は、MEA14との間にアノードガス(水素;Hを含むガス)を流通させる流路溝となりアノードガス流路(アノード流路)26を形成する。一方、MEA14のカソード電極20側に接して配置されるカソード側セパレータ15の凸条部24と凹条部25は、MEA14との間にカソードガス(酸素;Oを含むガス)を流通させる流路溝となりカソードガス流路(カソード流路)27を形成する。
アノードガス流路26に水素を含むガスを、カソードガス流路27に酸素を含むガスを、それぞれ流通させると、アノードガス中に含まれる水素はアノード触媒層21の触媒作用で水素イオンに変わり電子を放出する。電子を放出した水素イオンは固体高分子電解質膜17を通過する。カソード触媒層18では固体高分子電解質膜を通過してきた水素イオンと外部回路を経由してきた電子がカソードガス中に含まれる酸素と反応して水を生成する。この作用によってアノード電極23がマイナスに、カソード電極20がプラスになり、図2に示すように、カソード電極20とアノード電極23との間で直流電圧が発生する。この単位セル電圧は、電圧検出手段として機能する単位セル電圧計55によって検出される。
ここで燃料電池1の通常の動作について更に詳しく説明する。
単位セル2は、図3に概略を示すように、電解質膜17と、電解質膜17を挟持するカソード28と、アノード29から構成される。
電解質膜17としては、固体高分子膜、例えばプロトン交換膜であるパーフルオロスルホン酸膜が用いられる。電解質膜17は固体高分子中にプロトン交換基を多数持ち、含水することにより高い伝導度(低抵抗)を示し、プロトン導電性電解質として機能する。
カソード28とアノード29は、触媒として白金を担持したカーボン担体から構成した触媒層18、21と、カーボン繊維などの多孔質体から構成したガス拡散層19、22とを備える。また、触媒層18、21とセパレータ15、16の間に、それぞれガス流路27、26を備える。さらにその外側に、セパレータ15と16を備える。
このガス流路27と26は、これらのガス流路を流通する酸化剤ガスと燃料ガスが略同一方向に流通するように設ける。また酸化剤ガスとして空気を使用し、燃料ガスとして水素ガスを使用する。これによって、通常運転時には単位セル2のアノード29、カソード28で以下の反応を生じる。
アノード側:H→2H++2e 式(3)
カソード側:2H+1/2O+2e→HO 式(4)
アノード29側では式(3)に示すように燃料ガス中の水素がプロトンと電子に分離される。プロトンは電解質膜17内部を拡散してカソード28側に到達し、電子は図示しない外部回路を流れ、出力として取り出される。一方、カソード28側では、電解質膜17内を拡散してきたプロトン、図示しない外部回路を介して移動してきた電子、および空気中の酸素により形成される三相界面上で式(4)示す反応が生じる。
燃料電池スタック1を移動体、例えば自動車用の動力源として活用した場合には、起動/停止が頻繁に繰り返される。燃料電池スタック1の運転停止中には、燃料電池スタック1への水素および空気の供給が停止された状態で放置され、放置が長時間継続された場合には、アノードガス流路26内に外部より空気が侵入し、存在している可能性がある。アノードガス流路26内に空気が混入した状態から燃料電池システムを起動すると、起動初期に燃料電池スタック1内は、図4に示すような状態となる。
図4の状態では、カソードガス流路27に空気が全領域において充満しているが、アノードガス流路26には水素が存在している領域(領域A)と、空気が存在している領域(領域C)が形成される。また、領域Aと領域Cの間には水素と空気の界面Bが形成される(以下、この界面を水素/空気フロントBという)。
領域Aにおいては、式(3)、(4)の通常の発電時の反応が起こり、カソード28では1V以上の高電位となる。一方、水素/空気フロントBを境に領域Cにおいては、カソード28で式(1)の反応が起こり、アノード29で式(2)の反応が起こる。つまりカソード28で白金を担持している触媒層18のカーボンに腐食劣化が生じる。なお、式(1)の反応は白金の表面上でかつカーボンに接した部分で生じる。これによりカソード28が劣化し、燃料電池スタック1の劣化が生じることになる。
燃料電池システムの停止時にも上記の起動時と同様の反応が生じる。そこで本発明は、この停止時における上記カソード28の劣化を抑制するものである。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムを図5を用いて説明する。この燃料電池システムは、上記単位セル2を積層した燃料電池スタック1と、そのカソードガス流路27にコンプレッサ(空気供給手段)30から空気を供給する空気供給系31と、アノードガス流路26に水素ボンベ32から水素を供給する水素供給系33と、排出された排出ガスを水素消費装置34に供給して処理するカソード排気系35と、排出された水素を水素消費装置34に供給するアノード排気系36と、燃料電池スタック1で発電した電力を負荷37に供給する電力供給系38とを備える。
燃料電池スタック1は単位セル2を例えば200枚程度積層して構成され、その燃料電池スタック1の両端の集電板4から負荷37に電力が供給される。また各単位セル2のカソード側セパレータ15とアノード側セパレータ16から計測用ライン39が引き出される。
空気供給系31は、その上流側から下流側にかけて、空気フィルタ40、コンプレッサ30、三方弁41、42、加湿装置43、三方弁44を有しており、コンプレッサ30が空気フィルタ40で不純物を取り除いた空気を、カソードガス流路27に供給する。加湿装置43には迂回経路45が設けられている。この空気供給系31は、燃料電池1の運転を停止した際に、燃料電池スタック1のカソード28への空気の供給を継続する空気供給手段30として働く。
燃料電池スタック1で使用されなかった酸素を含む排出ガス(排出空気)は、カソード排気系35から水素消費装置34に供給され、その後大気に排出される。
水素供給系33は、その上流側から下流側にかけて、水素ボンベ32、減圧弁46、流量コントローラ47、四方弁48が順次設けてある。水素ボンベ32からアノードガス流路26に供給される水素は、減圧弁46によって減圧され、流量コントローラ47によって流量を制御される。
アノード排気系36には三方弁49が設けてあり、燃料電池スタック1で使用されなかった水素は、この三方弁49から四方弁48にかけて設けた水素循環流路51を介し、リサイクルコンプレッサ52によって水素供給系33に戻され、再び燃料電池スタック1に供給される。
上記した四方弁48の一つのポートは、切換路53を通して空気供給系31中の三方弁41に接続されており、空気供給系31のコンプレッサ30からの空気を、四方弁48を通して水素供給系33へ流し、水素供給系33からアノードガス流路26へ空気を供給することを可能としている。
なお、燃料電池スタック1から排出される水素中にカソード28側から電解質膜17を通り空気中の窒素が多く混入した場合、燃料電池スタック1から排出された水素は、アノード排気系36を通り、水素を消費する水素消費装置34に供給される。水素消費装置34は水素を消費する触媒などを有しており、燃料電池スタック1のカソード28から排出された排出ガスが供給され、この排出ガスによって水素を消費し、その後水素を含まないガスを燃料電池システムの外部へ排出する。
燃料電池スタック1で発電した電力を負荷37に供給する電力供給系38には、負荷37への通電をオンオフする負荷スイッチ54が設けてある。負荷37は、例えば自動車のモータであり、上記負荷スイッチ54を介して燃料電池スタック1のアノード集電板とカソード集電板に電気的に接続され、燃料電池スタック1で発電された電力を消費する。
また燃料電池スタック1を構成する単位セル2のうち、下流側の単位セル2の電極間(カソード側セパレータ15とアノード側セパレータ16間)には、セル電圧を検出する電圧計(電圧検出手段)55を接続してある。この実施形態の場合、最下流側の単位セル2の電極間に電圧計55が接続されている。
また上記下流側の単位セル2の電極間(カソード側セパレータ15とアノード側セパレータ16間)には、セル電流を検出する電流計(電流検出手段)56が接続されている。この実施形態の場合、電流計56は、最下流側の単位セル2の電極間に限流抵抗57および計測用スイッチ58を介して接続してある。
また、この燃料電池システムにおいては、コンプレッサ30、三方弁41、42、44、減圧弁46、流量コントローラ47、リサイクルコンプレッサ52、四方弁48、三方弁49、負荷スイッチ54、計測用スイッチ58を制御するコントローラ60(図示せず)を備えている。
このコントローラ60は、CPUおよびメモリを主体として構成されており、燃料電池1の運転が停止した後、上記電圧計55によって検出される電圧が、燃料電池スタック1の下流側の単位セル2の触媒に、ほぼ均一に酸化被膜が形成される電位に対応する設定電圧値に達するまで、空気供給系31のコンプレッサ30による空気の供給を継続し、その後にコンプレッサ30による空気の供給を停止する空気供給制御手段61を有する。
また、このコントローラ60は、燃料電池1の運転が停止した後、上記電流計56によって検出される電流の単位時間当たりの変化が、少なくとも燃料電池スタック1の下流側の単位セル2の触媒に、ほぼ均一に酸化被膜が形成された際に観測される電流変化率値に対応する設定電流変化率値に達するまで、空気供給系31のコンプレッサ30による空気の供給を継続し、その後にコンプレッサ30による空気の供給を停止する空気供給制御手段61を有する。
また、このコントローラ60は、燃料電池1の運転が停止した後の時間を計測する計時手段62としての時計と、燃料電池1の運転が停止した後、上記計時手段62によって計測される計測時間が、少なくとも燃料電池スタック1の下流側の単位セル2における触媒にほぼ均一に酸化被膜が形成されるまでの時間に対応する設定経過時間に達するまで、空気供給系31のコンプレッサ30による空気の供給を継続し、その後にコンプレッサ30による空気の供給を停止する空気供給制御手段61を有する。
次にコントローラ60による燃料電池システムの停止制御について、図6のフローチャートを用いて説明する。燃料電池システムの停止時には、通常であれば、負荷37が負荷スイッチ54によって切断され、流量コントローラ47、コンプレッサ30、リサイクルコンプレッサ52は停止状態となる。
しかし、コントローラ60はステップS101において、燃料電池システムの運転の停止指令を検知すると、アノード29への水素の供給を継続する(S102)。すなわち、アノード29の制御として、流量コントローラ47によって水素ボンベ32からアノードガス流路26に水素の供給を継続し、リサイクルコンプレッサ52も運転を続行する。これは燃料電池システムの運転停止により空気がアノード29へ入り込む可能性があるため、これを防止するためである。
次に、ステップS103において、カソードガス流路27への空気の供給を継続する。ここでは、空気供給系31の三方弁42、44を制御して、通常経路を閉じ迂回経路45を開くことにより、加湿装置43を迂回させ、低温、低加湿の空気をカソード28へ供給する。低温、低加湿の空気とは、少なくとも運転時の供給空気よりも温度、湿度が低い空気をいう。
ここで燃料電池スタック1へ空気を供給した場合の燃料電池スタック1の状態を図7〜図8を用いて説明する。
図7は、固体高分子形燃料電池の触媒に用いられている白金(Pt)のサイクリックボルタモグラムの概略図である。サイクリックボルタモグラムとは、電位に対する電流の関係を示したグラフである。本発明では、後述する実施形態において触媒に白金(Pt)を用いているので、Pt触媒を例にとって説明する。
アノード29側に水素ガスを、カソード28側に窒素(酸素の場合と同じ挙動を示す)を流した状態で測定した個体高分子形燃料電池の単位セル2のサイクリックボルタモグラムは、縦軸が単位セル2に流れる電流値(電流密度[mA/cm])であり、横軸は可逆水素電極(RHE)を基準にした電極電位(vs.RHE)[V]を示している。また図7において、カソード28側に酸素ではなく窒素を流している理由は、後述で詳細に説明するが、図9に示すように、電圧 VS RHEが約1.0V以上の範囲では、窒素、酸素、および水素のいずれも同じ挙動を示すことが判っている。さらに、測定機器の測定限界の問題から、本発明においてはカソード側に窒素を流すことで、酸素や水素を流した場合よりも同様の挙動をするものと類推して実験を行っている。
図7を参照すれば、Ptの酸化は、およそ0.6ボルト位から開始し、0.8ボルトで最大となっている。本発明では、0.6ボルト以上の電圧では触媒の酸化が促進され、酸化白金(PtOまたはPtO)が生成される点に着目し、積極的にこの酸化被膜を形成させて、後の腐食を防止することが好ましい。
そこで、電圧計55によって検出されるセル電圧が、すなわち燃料電池スタック1の下流側の単位セル2の電圧が、触媒の表面にほぼ均一に酸化被膜が形成された際に発生する電位に対応する所定の設定電圧値に達するまで、コンプレッサ30を作動させて空気の供給を継続し、触媒表面に酸化膜を形成する。燃料電池スタック1の下流側の単位セル2の電圧が所定の設定電圧値に達した場合は、燃料電池スタック1の上流側から下流側までの全ての単位セル2について、それらの触媒の表面にほぼ均一に酸化被膜が形成されたと判断できるので、この時点までコンプレッサ30を作動させて空気の供給を継続するのである。なお、所定の設定電圧値とは白金の場合0.8ボルト以上の値であり、これは白金に対する酸化膜の形成が完了したときに、単位セル2に生成される電位に対応する電圧値である。
また図8を参照すれば、運転の停止後、可逆水素電極(RHE)に対するカソード電極電位(vs.RHE)[V](曲線a)が、急上昇して一定電位に落ち着く。この一定電位は、カソード28に空気を供給することでカソード28が空気電位の約0.9〜1.0Vに晒されることを示している。一方、曲線bの電流密度(酸化電流)も、運転の停止後に20mA/cmを越える値にまで急激に上昇し、その直後に急速に低下して、2mA/cm程度の低い値に落ち着く。これは白金の酸化が進み、酸化膜の形成が完了した時点で低い電流値になることを示している。
ここで図7および図8のグラフにおいて、酸素または空気の替わりに窒素を用いている理由について説明する。
図9は、硫酸中に直径3mmの白金線を浸して、これを電極として使用した場合の電圧(vs.RHE)[V]と電流密度[mA/cm]の関係を示す。曲線(イ)が窒素雰囲気の場合、曲線(ロ)が酸素雰囲気の場合、曲線(ハ)が水素雰囲気の場合である。
窒素と酸素の結果を比較すると、図9中の点線で囲った範囲つまり約0.9V以上の電位では、どちらもほぼ同じ軌跡を辿っている。これは白金酸化物形成の挙動は、窒素雰囲気中で行っても酸素雰囲気中で行っても、ほぼ同じになることを意味している。したがって、窒素雰囲気中で行った実験結果の挙動から、酸素雰囲気中で行った結果の挙動を、高い精度で推測することが可能である。
なお、約0.9V以下の電位では形状自体は似ているものの、酸素雰囲気の場合には窒素雰囲気の場合よりも大きな電流が流れる。これは酸素雰囲気では、「窒素雰囲気で起こる挙動 + 酸素還元反応」が進行しているためであり、このような形状の違いが現れることは一般的に知られている。
一方、図7、図8はMEA14のカソード28を窒素雰囲気にした実験結果を示すものであるが、この実験を酸素雰囲気ですると、MEA14では反応面積が非常に大きいため、約0.6V付近で過剰に大きな電流が流れてしまい、測定が困難である。
上記の2点が、図7、図8の試験を窒素雰囲気で行っている理由である。
そこで、図6のステップS104において、電圧計55によって下流側の単位セル2におけるセル電圧Vaを検出し、セル電圧Vaが所定の設定電圧値V1よりも高いか否か判断する(S105)。ここで所定の設定電圧値V1とは、下流側の単位セル2における触媒に酸化被膜がほぼ均一に形成されて酸化被膜形成完了となったときに、当該単位セル2に生成されているであろう電位に対応する設定電圧値であり、ここでは0.8V以上の値である。そこで下流側の単位セル2の検知電圧Vaが0.8V以上の値に達したとき、触媒に酸化被膜の形成が完了し、触媒担体のカーボン腐食を抑制できる状態になったと判断する。
コントローラ60は、セル電圧Vaが所定の設定電圧値V1である0.8V以上になるとステップS105からS106へ進み、コンプレッサ30を止めて、カソード28への空気の供給を停止する(S106)。またアノード29への水素の供給も停止する(S107)。
上記カソード28への空気の供給を停止した後、続いて、ステップS108に進み、アノード29を空気パージする。この空気パージは、アノードガス流路26の下流側におけるセル電圧Vaがゼロボルト[0V]になるまで行い(S108〜S109)、ゼロボルトになったときにアノード29への空気供給を停止して(S110)、空気パージを終了する。かくして停止制御を終了する。
上記のように、本実施形態では、燃料電池1の運転が停止した後、アノードガス流路上流側のセル電圧Vaが、少なくとも触媒にほぼ均一に酸化被膜が形成された単位セル2に生成される電位に対応する設定電圧値V1、つまり0.8V以上に達するまで、コンプレッサ30による空気の供給を継続して停止する空気供給制御手段(S103〜S106)を有する。したがって、単位セル2の電圧Vaの変化から、停止操作のカソード空気供給の終了を判断することができる。
このようにコントローラ60により、カソード28への空気の供給を制御する(S103〜S106)ことにより、二次電池などの外部電源を必要とせずに、燃料電池スタック1の全ての単位セル2について触媒の表面に酸化被膜を生成し、これよりアノード29に水素と空気が混在している場合に起こるカソード28の触媒層の劣化を抑制することができる。その際、カソード28へ供給する空気は、運転時の供給空気以下の温度と湿度の空気であるので、カーボン腐食の反応自体を抑制することができる。
また、コンプレッサ30によりカソード28へ空気が供給されている間、アノード29へ水素を供給する手段(S102、S107)を有しているため、アノード29に空気が進入してアノード電位が上昇するのを防止することができる。またアノード電位が安定することから、カソード空気供給時のセル電圧よりカソード電位を推定することが容易となる。
また、コンプレッサ30によるカソード28への空気の供給が停止した後、つまりカソード28への酸化皮膜の形成完了後、アノード29を空気パージするパージ手段(S108〜S110)を有するので、アノード29の空気フロント形成時間を短縮することができる。そして、アノード29の空気フロント形成時間を短縮することで、燃料電池1の停止時の劣化を極力抑制することができる。
また上記パージ手段は、第2の電圧計によって検出される下流側のセル電圧Vaがゼロになった場合に、アノード29およびカソード28の両極が十分に空気雰囲気になったとみなし、空気パージを停止するため、アノード空気パージの終了のタイミングをセル電圧Vaを監視することで知ることができる。
上記した図6の実施形態では、カソード制御(ステップS103〜S106)の他に、アノード制御として、アノード29への水素供給制御(S102、S107)および空気パージ制御(S108〜S110)をも行ったが、これらは本発明において本質的なものではなく、三方弁41および四方弁48により切換路53を制御することで、省略することができる。
[実施形態2:図10〜図11]
図10〜図11に第2の実施形態を示す。図10の燃料電池システムの構成は、図6と比べて、加湿装置43に迂回経路45がなく、またコンプレッサ30からの空気を四方弁48を通して水素供給系33へ流すための切換路53が存在しない点を除き、図6の場合と同じである。
図11は、この図10の燃料電池システムの停止制御を示したもので、上記図6のステップS103〜S106に対応するカソード制御として、ステップS103a〜S106だけを行う。切換路53がないため、図6のアノード制御(S102、S107〜S110)は行わない。また迂回経路45がないため、図11のステップS103aでは、カソード28へ通常運転時と同じ空気を供給する。
この第2の実施形態によれば、二次電池などの外部電源を必要とせずに、触媒の表面に酸化被膜を生成できる。また、三方弁41、42、44や迂回経路45や四方弁48を設ける必要がなく、システムの構造が簡単である、という長所が得られる。
[実施形態3:図12〜図13]
図12〜図13に第3の実施形態を示す。図12の燃料電池システムは、供給する空気が、少なくとも運転時の供給空気以下の温度、湿度である点で第1の実施形態(図6)と大きく相違する。また、コンプレッサ30からの空気を四方弁48を通して水素供給系33へ流すための切換路53が存在しない。
図13は、この図12の燃料電池システムの停止制御の仕方を示したもので、上記図6のステップS103〜S106に対応するカソード制御として、ステップS103b〜S106だけを行う。第2の実施形態(図10〜図11)との違いは、図11のステップS103aでは、カソード28へ通常運転時と同じ空気を供給するのに対し、図13のステップS103bでは、三方弁42、44を制御して迂回経路45を有効にし、加湿装置43を通さずに、大気中空気をカソード28へ供給する点にある。図13中のステップS103bに、「低温、低加湿の空気(大気中空気)を供給」と記しているのは、運転時の供給空気以下の温度、湿度である空気を、昇温、加湿せずに供給することを意味している。
この第3の実施形態においても、二次電池などの外部電源を必要とせずに、触媒の表面に酸化被膜を生成できる。また、三方弁41、42、44や迂回経路45や四方弁48を設ける必要がなく、システムの構造が簡単である、という長所が得られる。また、この第3の実施形態によれば、運転時の供給空気よりも大気中の空気の方が温度、湿度が低いため、カーボン腐食反応が抑制される。
[実施形態4:図14〜図17]
上記実施形態では、燃料電池1の運転停止後のセル電圧を検知することにより、触媒への酸化膜形成の完了を判断したが、下流側の単位セル2の電流を検知することにより、触媒への酸化膜形成の完了を判断することもできる。
本発明では、燃料電池1の停止時に負荷37を遮断して空気を流し続け、開回路電圧に所定時間保持する。図14は、この酸化膜形成時の保持時間(Holding Time)[S]の経過に対し、還元電気量(Reduction of quantity of electricity)[mC/cm−Pt](曲線c)と、CO発生電気量(CO emission of quantity of electricity)[mC/cm](曲線d)との関係を示したものである。還元電気量の曲線cは、どの程度白金酸化物が生成されたかを示し、CO発生電気量の曲線dは、どの程度カーボンが不足するかを示す。
図14の曲線c、dは、空気を供給し続けた場合、運転停止と同時に急峻に変化しており、ここで急激に白金酸化物が生成され、担体のカーボンが不足してゆくことが分かる。ポイントd1、d2はこの急峻領域中の2点を示す。その後、曲線c、dの変化は領域Dで緩やかとなって、白金酸化物の生成とカーボンの不足する度合が小さくなり、安定化して来る。
図15は、可逆水素電極を基準にしカソード電位[vs.RH](曲線e)と、電流密度[mA/cm](曲線f)が、時経過間[S]と共にどのように変化するかを示したものである。
曲線eで示すカソード電位[vs.RH]は、運転を停止した直後に空気電位の約1.0V程度に上昇し、その後もこの値が持続する。他方、曲線fで示す酸化電流の電流密度については、運転の停止後に急激に大きな値に上昇した後に急速低下し、運転停止から約10秒経過したf1の点で、ほぼ運転停止直前の値(約1.7mA/cm2)まで落ち、その後、徐々に低下し、f2点以降では単位時間(1秒)当たりの変化が1.5%以内に落ち着く。これは白金酸化物の生成がf1までの10秒間に大きく進み、その後f2点までの間にほぼ均一の酸化膜の形成が完了することを示している。この酸化膜は触媒のさらなる活性を低下させるため、さらに時間が経過するにつれ、約1.0mA/cm2の値に近づいて行く。この図15の曲線f上のf1点、f2点は図13の曲線d上のd1点、d2点にほぼ対応し、領域Fは図14の領域Dに対応するものである。
図16に第4の実施形態に係る燃料電池システムの構成を示す。これは第2の実施形態(図10)における電圧計55の代わりに、下流側の単位セル2の電流を検出するための電流計56を、計測用スイッチ58および限流抵抗57を介して、カソード側セパレータ15とアノード側セパレータ16の間に接続したものである。
フローの説明
次にコントローラ60における燃料電池システムの停止制御について、図17のフローチャートを用いて説明する。
コントローラ60は、ステップS201において、燃料電池システムの運転の停止指令を検知した場合(S201:YES)、カソード28への空気の供給をそのまま継続する(S203)。このため、コンプレッサ30により、空気フィルタ40およびを加湿装置43を経た空気を、カソード28へ供給する。この空気は、運転時の供給空気以下の温度、湿度の空気である。
一方、ステップS204において、電流計56によって単位セル2に流れる電流を検出し、そのセル電流の単位時間(1秒)当たりの変化が、所定の設定電流変化率値よりも高いか否か判断する(S205)。
ここで所定の設定電流変化率値は、触媒に酸化被膜がほぼ均一に形成されて酸化被膜形成完了となったときに、単位セル2の電流が到達しているであろう電流変化率に対応する設定電流変化率値であり、ここでは1秒当たり1.5%以内の値である。そこで単位セル2の1秒当たりの電流変化が1.5%以内の値に達したとき、触媒に酸化被膜の形成が完了して、触媒担体のカーボン腐食を抑制できる状態になったと判断する。
コントローラ60は、セル電流の1秒当たりの電流変化が所定の設定電流変化率値である1.5%以内になると、ステップS205からS206へ進み、コンプレッサ30を止めて、カソード28への空気の供給を停止する(S206)。
上記第4の実施形態によれば、燃料電池1の運転が停止した後、カソード28への空気の供給時に、電流計56によって検出される電流の単位時間当たりの変化が、少なくとも触媒にほぼ均一に酸化被膜が形成された単位セル2に観測される電流変化率に対応する設定電流変化率値(1秒当たり1.5%以内)に達するまで、コンプレッサ30による空気の供給を継続し、その後にコンプレッサ30による空気の供給を停止する空気供給制御手段(S203〜S206)を有する。したがって、酸化電流の変化から、停止操作のカソード空気供給の終了を判断することができる。
[実施形態5:図18]
図18は、第5の実施形態における燃料電池システムの停止制御を示したフローチャートである。前提となる燃料電池システムのブロック図の構成は、コントローラ60の内容を除き図16と同じになるので、説明を省略する。
図18のステップS301〜S306は、図17のステップS201〜S206にほぼ対応しているが、ステップS305はステップS205と異なっている。
ステップS301において、燃料電池システムの運転の停止指令を検知した場合(S301:YES)、コントローラ60は、カソード28への空気の供給をそのまま継続する(S303)。このため、コンプレッサ30により、空気フィルタ40およびを加湿装置43を経た空気を、カソード28へ供給する。この空気は、運転時の供給空気以下の温度、湿度の空気である。
一方、ステップS304において、電流計56によって単位セル2に流れる電流を検出し、そのセル電流の流れる運転停止後からの経過時間を計測する。そして、運転を停止してからの計測時間が、所定の設定経過時間に達したか否かを判断する(S305)。
ここで所定の設定経過時間とは、触媒に酸化被膜がほぼ均一に形成されて酸化被膜形成完了となるまでに要する時間に対応する経過時間であり、10秒以上である。そこで運転停止から10秒以上という時間(この実施形態では10秒)を計時したときに、触媒に酸化被膜の形成が完了して触媒担体のカーボン腐食を抑制できる状態となったと判断する。
コントローラ60は、運転停止後にセル電流が流れている経過時間として10秒を経過すると、ステップS305からS306へ進み、コンプレッサ30を止めて、カソード28への空気の供給を停止する(S306)。
上記第5の実施形態は、燃料電池1の運転が停止した後、計時手段62(S305)によって計測される計測時間が、少なくとも触媒にほぼ均一に酸化被膜が形成されるまでの時間に対応する設定経過時間(10秒)に達するまで、コンプレッサ30による空気の供給を継続し、その後にコンプレッサ30による空気の供給を停止する空気供給制御手段(S303〜S306)を有する。この構成によれば、下流側の単位セル2内に均一に空気が供給されるまでの時間幅にわたり、カソード28への空気の供給を継続させるので、均一に酸化皮膜を形成した状態で、カソード28への空気の供給を停止することができる。
固体高分子形燃料電池の全体構成を示す斜視図である。 固体高分子形燃料電池のセル構造を示す要部拡大断面図である。 燃料電池セルの概略構成を示す断面図である。 燃料電池セルの作用の説明に供する図である。 本発明の第1の実施形態に係る燃料電池システムを示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る燃料電池システムの制御内容を示すフローチャートである 固体高分子形燃料電池の触媒に用いられる白金(Pt)のサイクリックボルタモグラフの概略図である。 運転停止後の、可逆水素電極に対するカソード電極電位と酸化電流の変化を示した図である。 硫酸中に白金線を浸し、これを電極として使用した場合の電圧と電流の関係を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池システムを示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池システムの制御内容を示すフローチャートである 本発明の第3の実施形態に係る燃料電池システムを示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る燃料電池システムの制御内容を示すフローチャートである 運転停止後の、還元電気量とCO発生電気量の変化を示した図である。 運転停止後の、単位セルの電圧と電流密度の変化を示した図である。 本発明の第4の実施形態に係る燃料電池システムを示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係る燃料電池システムの制御内容を示すフローチャートである 本発明の第5の実施形態に係る燃料電池システムの制御内容を示すフローチャートである
符号の説明
1 燃料電池(燃料電池スタック)、
2 単位セル、
3 積層体、
4 集電板、
5 絶縁板、
6 エンドプレート、
8 アノードガス導入口、
9 アノードガス排出口、
10 カソードガス導入口、
11 カソード排出口、
12 冷却水導入口、
13 冷却水排出口、
14 MEA、
15 カソード側セパレータ、
16 アノード側セパレータ、
17 電解質膜、
18 カソード触媒層、
19 カソードガス拡散層、
20 カソード電極、
21 アノード触媒層、
22 アノードガス拡散層、
23 アノード電極、
24 凸条部、
25 凹条部、
26 アノードガス流路、
27 カソードガス流路、
28 カソード、
29 アノード、
30 コンプレッサ(空気供給手段)、
31 空気供給系、
32 水素ボンベ、
33 水素供給系、
34 水素消費装置、
35 カソード排気系、
36 アノード排気系、
37 負荷、
38 電力供給系、
39 計測用ライン、
40 空気フィルタ、
41、42、44、49 三方弁、
43 加湿装置、
45 迂回経路、
46 減圧弁、
47 流量コントローラ、
48 四方弁、
51 水素循環流路、
52 リサイクルコンプレッサ、
53 切換路、
54 負荷スイッチ、
55 電圧計(電圧検出手段)、
56 電流計(電流検出手段)、
57 限流抵抗、
58 計測用スイッチ、
60 コントローラ、
61 空気供給制御手段、
62 計時手段。

Claims (12)

  1. 電解質と前記電解質を挟む白金系の触媒を有するアノードおよびカソードから単位セルを構成し、この単位セルを複数個積層して燃料電池スタックとした燃料電池を有する燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池の運転を停止した際に前記燃料電池スタックのカソードへの空気の供給を継続する空気供給手段と、
    前記燃料電池スタックの下流側の単位セルの電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記燃料電池の運転が停止した後、前記電圧検出手段によって検出される電圧が、前記燃料電池スタックの下流側の単位セルの前記触媒に、ほぼ均一に酸化被膜が形成される電位に対応する設定電圧値に達するまで、前記空気供給手段による空気の供給を継続し、その後に前記空気供給手段による空気の供給を停止する空気供給制御手段と、を設けた、
    ことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記設定電圧値が0.8V以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 電解質と前記電解質を挟む白金系の触媒を有するアノードおよびカソードから単位セルを構成し、この単位セルを複数個積層して燃料電池スタックとした燃料電池を有する燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池の運転を停止した際に前記燃料電池スタックのカソードへの空気の供給を継続する空気供給手段と、
    前記燃料電池スタックの下流側の単位セルの電流を検出する電流検出手段と、
    前記燃料電池の運転が停止した後、前記電流検出手段によって検出される電流の単位時間当たりの変化が、少なくとも前記燃料電池スタックの下流側の単位セルの前記触媒に、ほぼ均一に酸化被膜が形成された際に観測される電流変化率値に対応する設定電流変化率値に達するまで、前記空気供給手段による空気の供給を継続し、その後に前記空気供給手段による空気の供給を停止する空気供給制御手段と、を設けた、
    ことを特徴とする燃料電池システム。
  4. 前記設定電流変化率値が1秒当たり1.5%以内であることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  5. 電解質と前記電解質を挟む白金系の触媒を有するアノードおよびカソードから単位セルを構成し、この単位セルを複数個積層して燃料電池スタックとした燃料電池を有する燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池の運転を停止した際に前記燃料電池スタックのカソードへの空気の供給を継続する空気供給手段と、
    前記燃料電池の運転が停止した後の時間を計測する計時手段と、
    前記燃料電池の運転が停止した後、前記計時手段によって計測される計測時間が、少なくとも前記燃料電池スタックの下流側の単位セルにおける前記触媒にほぼ均一に酸化被膜が形成されるまでの時間に対応する設定経過時間に達するまで、前記空気供給手段による空気の供給を継続し、その後に前記空気供給手段による空気の供給を停止する空気供給制御手段と、を設けた、
    ことを特徴とする燃料電池システム。
  6. 前記設定経過時間が10秒以上であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 供給する空気は、少なくとも運転時の供給空気以下の温度、湿度である、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
  8. 供給する空気は大気の空気である、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
  9. 前記空気供給手段により空気が前記カソードへ供給されている間、前記アノードへ水素を供給する手段をさらに有する、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
  10. 前記空気供給手段による前記カソードへの空気の供給が停止した後、前記アノードを空気パージするパージ手段をさらに有する、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
  11. 前記パージ手段は、前記空気パージの開始後、少なくとも10秒経過してから前記空気パージを停止する、ことを特徴とする請求項10に記載の燃料電池システム。
  12. 前記空気供給手段による前記カソードへの空気の供給が停止した後、前記アノードを空気パージするパージ手段をさらにさらに有し、
    前記パージ手段は、前記電圧検出手段によって検出される前記燃料電池スタックの下流側のセル電圧がゼロになった場合に前記空気パージを停止する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017010620A (ja) * 2015-06-16 2017-01-12 パナソニックIpマネジメント株式会社 燃料電池システムおよびその運転方法

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