以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
なお、本願において周方向とは、雄管4及び雌管6の周方向を意味する。本願において軸方向とは、雄管4及び雌管6の軸方向を意味する。本願において、この軸方向に対して直角な方向が、軸垂直方向とも称される。
本願では、典型的な使用状態を考慮して、「上」、「上側」、「下」、「下側」等の文言が用いられる。この典型的な使用状態では、雄管4が雌管6に対して上側に位置する。もちろん、本願における継手は非典型的な使用状態で使用されてもよい。例えば、本願における継手は、軸方向が水平な状態で用いられても良い。例えば、本願における継手は、雄管4が雌管6に対して下側に位置する状態で用いられても良い。
図1及び図2は第一実施形態の継手2を示す斜視図である。図1は斜め上方から見た斜視図であり、図2は斜め下方から見た斜視図である。図3は、継手2の側面図である。図1、図2及び図3は、接続状態を示している。図1、図2及び図3において、雄管4と雌管6とは正規接続状態にある。図1、図2及び図3において、アウター部材14は正規位置にある。継手2は、例えば、水栓器具に用いられる。例えば、この水栓器具は、継手2と、水栓本体と、配管部とを有する。継手2は、上水等の供給管と上記配管部とを接続しうる。
図4は、継手2の断面図である。図4は、軸方向に沿った断面図である。図4は、非接続状態を示している。図4では、雌側接続部6aに対する雄側接続部4aの挿入が不十分である。図4では、アウター部材14は、非正規位置にある。
図5は継手2の分解斜視図である。継手2は、雄管4、雌管6及び継手用組立体を有する。この継手用組立体は、クイックファスナー8、ファスナー部材10、装着部材上部11、装着部材下部12及びアウター部材14を有する。クイックファスナー8は、雄管4と雌管6との正規接続状態を保持しうる。
本実施形態では、装着部材mt1が、2つの部材を有している。すなわち、装着部材mt1が、装着部材上部11と装着部材下部12とを有する。装着部材mt1は、1つの部材により構成されていてもよい。なお、図5において、開閉構造の装着部材下部12は、開状態である。
アウター部材14は無くてもよい。後述の通り、アウター部材14が無くても、継手2は、複数の作用及び効果を奏しうる。好ましくは、継手2は、アウター部材14を有する。アウター部材14の機能については、後述される。
装着部材mt1は、クイックファスナー8を、外部の接触から保護しうる。雄管4を雌管6に着脱するときに、装着部材mt1を取り外す必要はない。装着部材mt1が雌管6に取り付けられた状態で、雄管4は雌管6に着脱されうる。
装着部材mt1は、ファスナー部材10を保持しうる。装着部材mt1は、ファスナー部材10の可動範囲の全ての位置において、ファスナー部材10を保持しうる。ファスナー部材10の保持は、直接的であってもよいし、間接的であってもよい。すなわち、装着部材mt1が、他の部材を介して間接的にファスナー部材10を保持していてもよい。後述するように、本実施形態では、ファスナー部材10は、装着部材mt1によって直接的に保持されている。装着部材mt1は、ファスナー部材10を直接的又は間接的に保持しているのが好ましい。
クイックファスナー8は、ファスナー部材10に取り付けられている。クイックファスナー8は、ファスナー部材10に固定されている。ファスナー部材10が装着部材mt1に保持されていることにより、クイックファスナー8も装着部材mt1に保持される。なお、装着部材mt1は、ファスナー部材10のみを保持していてもよいし、クイックファスナー8のみを保持していてもよいし、ファスナー部材10及びクイックファスナー8を保持していてもよい。
図5が示すように、雄管4は、雄側接続部4aを有している。雌管6は、雌側接続部6aを有している。雄側接続部4aが雌側接続部6aに接続される。雄側接続部4aは、雌側接続部6aに着脱可能である。正規接続状態において、雄側接続部4aは、雌側接続部6aの内側に挿入される。
雄側接続部4aは、シール部材s1を有している(図5参照)。シール部材s1は、雄側接続部4aの外面に設けられた周溝に配置されている。このシール部材s1は、Oリングである。正規接続状態において、シール部材s1は、雌側接続部6aの内面に密着する。この密着は、水密性を向上させる。シール部材s1は、雌側接続部6aに設けられてもよい。水密性の観点から、雄側接続部4a又は雌側接続部6aがシール部材s1を有しているのが好ましい。
雄管4は、雄側係止部k1を有する(図5参照)。雄側係止部k1は、軸垂直方向に延在している。雄側係止部k1は、リング状である。雄側係止部k1は、フランジである。雄側係止部k1は、フランジ以外の形状であってもよい。雄側係止部k1は、雄側接続部4aの上側に位置する。
雌管6は、雌側係止部k2を有する(図5参照)。雌側係止部k2は、軸垂直方向に延在している。雌側係止部k2は、リング状である。雌側係止部k2は、フランジである。雌側係止部k2は、フランジ以外の形状であってもよい。雌側係止部k2は、雌側接続部6aの端部(上端部)を形成している。
雄側係止部k1は、当接面t1を有する(図4参照)。当接面t1は、フランジk1の下面である。雌側係止部k2は、当接面t2を有する(図4参照)。この当接面t2は、雌管6の上端面である。正規接続状態において、この当接面t2は、上記雄管4の当接面t1に当接する。正規接続状態において、当接面t1は当接面t2に面接触している。
雄側接続部4a及び雌側接続部6aは、シンプルな形状である。あらゆる軸方向位置において、雄側接続部4aの外面及び内面の断面形状は円形である。あらゆる軸方向位置において、雌側接続部6aの外面及び内面の断面形状は円形である。雄側接続部4aは、筒状部及びフランジのみからなる。雌側接続部6aは、筒状部及びフランジのみからなる。雄側接続部4aの側面に貫通孔は存在しない。雌側接続部6aの側面に貫通孔は存在しない。
装着部材上部11(装着部材mt1)は、雄側接続部4aの通過を許容する通過孔11tを有する(図4及び図5参照)。通過孔11tの直径は、雄側係止部k1の外径よりも大きい。装着部材mt1は、雌管6に対する雄管4の着脱を阻害しない。
図1、図2、図3等が示すように、装着部材上部11(装着部材mt1)は、突起部11wを有している。突起部11wは、上方に突出している。
図6は、クイックファスナー8とファスナー部材10とが示された分解斜視図である。
図7は、ファスナー組立部材810の斜視図である。クイックファスナー8にファスナー部材10が取り付けられることにより、ファスナー組立部材810が得られる。クイックファスナー8は、ファスナー部材10に保持されている。
図6が示すように、クイックファスナー8は、一対のアーム部として、第一アーム部8a及び第二アーム部8bを有する。更にクイックファスナー8は、連結部8cを有する。連結部8cは、第一アーム部8aと第二アーム部8bとを連結している。クイックファスナー8は、連結部8cとは逆側において開放されている。第一アーム部8aと第二アーム部8bとは互いに対向している。クイックファスナー8は、全体として、左右対称である。
第一アーム部8aは、第一貫通孔h1と、外方延在部g1と、拡開用傾斜面p1と、ストッパ部st1とを有する。第二アーム部8bは、第二貫通孔h2と、外方延在部g2と、拡開用傾斜面p2と、ストッパ部st2とを有する。拡開用傾斜面p1は第一貫通孔h1の上側に設けられている。拡開用傾斜面p2は第二貫通孔h2の上側に設けられている。ストッパ部st1は、第一アーム部8aの開放側の端部に設けられている。ストッパ部st1は、この開放側の端部の上側に設けられている。ストッパ部st1は、上側に突出している。ストッパ部st1の突出の方向は、軸方向である。ストッパ部st2は、第二アーム部8bの開放側の端部に設けられている。ストッパ部st2は、この開放側の端部の上側に設けられている。ストッパ部st2は、上側に突出している。ストッパ部st2の突出の方向は、軸方向である。
図6が示すように、ストッパ部st1は、ストッパ面sm1を有する。ストッパ面sm1は、軸方向に沿って延びている。ストッパ部st2は、ストッパ面sm2を有する。ストッパ面sm2は、軸方向に沿って延びている。
ストッパ部st1及びストッパ部st2の機能については後述される。
第一貫通孔h1の上側に、平板部j1が設けられている。平板部j1の上側に拡開用傾斜面p1が設けられている。第一貫通孔h1の下側に、曲面部r1が設けられている。曲面部r1の形状は、外側に向かって凸である。
第二貫通孔h2の上側に、平板部j2が設けられている。平板部j2の上側に拡開用傾斜面p2が設けられている。第二貫通孔h2の下側に、曲面部r2が設けられている。曲面部r2の形状は、外側に向かって凸である。
外方延在部g1は、第一アーム部8aの開放側の端部に設けられている。外方延在部g2は、第二アーム部8bの開放側の端部に設けられている。外方延在部g1と外方延在部g2との距離は、クイックファスナー8の開放端Tg(2箇所)に近づくに従って大きくされている。これら外方延在部g1及び外方延在部g2は、非係止状態8yから係止状態8xへの移行を円滑とする。
クイックファスナー8は、弾性変形可能である。クイックファスナー8は、全体として、板バネのように変形しうる。クイックファスナー8の材質は、例えば、金属又は樹脂である。クイックファスナー8は、第一アーム部8aと第二アーム部8bとの間隔が拡がるように弾性変形しうる。本願において、この変形が拡開変形とも称される。拡開変形がなされると、クイックファスナー8は、自然状態に戻ろうとする付勢力を生じる。この付勢力が、係止状態8xを維持するのに寄与する。
図6が示すように、ファスナー部材10は、全体として略U字状である。ファスナー部材10は、第一アーム10aと、第二アーム10bと、連結部10cとを有する。第一アーム10aと第二アーム10bとは互いに対向している。連結部10cは、第一アーム10aと第二アーム10bとを連結している。
連結部10cは、ファスナー保持部10hを有する。ファスナー保持部10hは、クイックファスナー8を保持している。ファスナー保持部10hは、クイックファスナー8の連結部8cを保持している(後述の図15参照)。
ファスナー部材10は、ストッパ部st10、st20を有する。図6及び図7が示すように、第一アーム10aは、ストッパ部st10を有する。第二アーム10bは、ストッパ部st20を有する。ストッパ部st10は、第一アーム10aの開放側の端部に設けられている。ストッパ部st10は、この開放側の端部の上側に設けられている。ストッパ部st10は、上側に突出している。ストッパ部st10の突出の方向は、軸方向である。ストッパ部st20は、第二アーム10bの開放側の端部に設けられている。ストッパ部st20は、この開放側の端部の上側に設けられている。ストッパ部st20は、上側に突出している。ストッパ部st20の突出の方向は、軸方向である。
図6及び図7が示すように、ストッパ部st10は、ストッパ面sm10を有する。ストッパ面sm10は、軸方向に沿って延びている。ストッパ部st20は、ストッパ面sm20を有する。ストッパ面sm20は、軸方向に沿って延びている。
ストッパ部st10及びストッパ部st20の機能については後述される。
ファスナー保持部10hは、隙間を形成しており、この隙間に、連結部8cが挿入されている(図4及び図15参照)。この隙間の寸法は、完全に挿入された連結部8cを保持しうるように設定されている。結果として、連結部8cはファスナー保持部10hに挟み込まれる。
図8(a)は自然状態のファスナー組立部材810を示す平面図である。図8(b)は、拡開変形されたファスナー組立部材810の平面図である。
図6が示すように、第一アーム10aは、端保持部th1を有している。同様に、第二アーム10bは、端保持部th2を有している。
第一アーム部8aの端部は、端保持部th1によって保持されている(図7、図8(a)及び図8(b)参照)。同様に、第二アーム部8bの端部は、端保持部th2によって保持されている。本実施形態では、クイックファスナー8の第1の開放端Tgが端保持部th1によって保持されており、クイックファスナー8の第2の開放端Tgが端保持部th2によって保持されている。2つの開放端Tgがファスナー部材10によって保持されているため、クイックファスナー8とファスナー部材10が一体的に拡開変形しやすい。
このように、クイックファスナー8の複数箇所がファスナー部材10によって保持されている。図8(b)が示すように、クイックファスナー8が拡開変形されると、ファスナー部材10も拡開変形される。拡開変形に関して、クイックファスナー8とファスナー部材10とは一体的に変形する。
上述の通り、クイックファスナー8はファスナー部材10に固定されている。ファスナー部材10が操作されると、クイックファスナー8はファスナー部材10とともに移動する。ファスナー部材10がスライド移動されると、クイックファスナー8もスライド移動される。つまり、ファスナー組立部材810がスライド移動される。このスライド移動により、第一位置(係止位置)と第二位置(解除位置)との間の相互移行が可能とされている。
図9及び図10は、係止状態8xを説明するための図である。理解を容易とするため、図9及び図10では、ファスナー部材10、装着部材上部11、装着部材下部12及びアウター部材14の記載が省略されている。
図9が示すように、使用状態において、クイックファスナー8は、雌管6に係止されている。換言すれば、クイックファスナー8は、雌側接続部6aにおいて係止位置にある。この状態が、係止可能状態8zとも称される。係止可能状態8zでは、雌側係止部k2が第一貫通孔h1及び第二貫通孔h2に入り込んでいる。換言すれば、係止可能状態8zでは、雌側係止部k2は、第一貫通孔h1から外側に突出し、且つ、第二貫通孔h2から外側に突出している。クイックファスナー8を拡開変形させる外力が加えられない限り、係止可能状態8zは維持される。
この係止可能状態8zにあるクイックファスナー8は、雄管4の挿入に伴い、拡開変形を起こす。本願では、雌管6に雄管4が挿入される動きが、雄管挿入とも称される。拡開用傾斜面p1及び拡開用傾斜面p2は、雄管挿入に伴う上記拡開変形を起こすように構成されている。拡開用傾斜面p1及び拡開用傾斜面p2は、円錐面に略沿った形状である。係止可能状態8zにおいて、拡開用傾斜面p1の上端と拡開用傾斜面p2の上端とは、雄側係止部k1の受入が可能な程度の離間距離を有している。雄管挿入により、雄側係止部k1は、拡開用傾斜面p1の内面及び拡開用傾斜面p2の内面に当接する(図示省略)。更に雄管挿入を進行させると、雄側係止部k1が、拡開用傾斜面p1及び拡開用傾斜面p2を押圧する。この押圧により、上記拡開変形が起こる。更に雄管挿入を進行させると、雄側係止部k1が第一貫通孔h1及び第二貫通孔h2に入り込むと同時に、クイックファスナー8の縮閉変形が起こる。縮閉変形とは、拡開変形とは逆の変形である。縮閉変形は、クイックファスナー8の弾性的な復元力によって起こる。この縮閉変形により、係止状態8xが実現される。
図10が示すように、この係止状態8xでは、雄側係止部k1及び雌側係止部k2の両方が、第一貫通孔h1及び第二貫通孔h2に入り込んでいる。換言すれば、係止状態8xでは、雄側係止部k1及び雌側係止部k2は、第一貫通孔h1から外側に突出し、且つ、第二貫通孔h2から外側に突出している。クイックファスナー8を拡開変形させる外力が加えられない限り、係止状態8xは維持される。第一貫通孔h1及び第二貫通孔h2により、雌管6からの雄管4の離脱は阻止される。第一貫通孔h1の軸方向幅は、雄側係止部k1の厚みと雌側係止部k2の厚みとの和に略等しい。第二貫通孔h2の軸方向幅は、雄側係止部k1の厚みと雌側係止部k2の厚みとの和に略等しい。
フランジk1の受入を容易としつつ、拡開用傾斜面p1、p2の軸方向高さを抑制する観点から、拡開用傾斜面p1、p2の傾斜角度は、20°以上が好ましく、30°以上がより好ましい。雄管挿入の抵抗を抑制する観点から、拡開用傾斜面p1、p2の傾斜角度は、60°以下が好ましく、45°以下がより好ましい。本実施形態では、拡開用傾斜面p1、p2の傾斜角度は39°とされた。この傾斜角度は、軸方向に対する角度である。
このように、係止状態8xにあるとき、雄側係止部k1及び雌側係止部k2が、第一貫通孔h1を貫通している。同時に、係止状態8xにあるとき、雄側係止部k1及び雌側係止部k2が、第二貫通孔h2を貫通している。なお、係止状態8xにおいて、クイックファスナー8は、自然状態であってもよいし、自然状態に対して拡開変形されていてもよい。
図11(a)及び図11(b)は、雄管4の装着について説明するための斜視図である。なお、図11(a)及び図11(b)の実施形態では、アウター部材14は用いられていない。
図11(a)において、ファスナー部材10、装着部材上部11及び装着部材下部12が、雌管6に取り付けられている。図11(a)では、雄管4が雌管6に接続されていない。
図11(a)及び図11(b)において、ファスナー部材10は第一位置(係止位置)にある。図11(a)及び図11(b)において、クイックファスナー8も、第一位置にある。図11(a)及び図11(b)は、実際の使用状態を示している。
図11(a)において、第一位置(係止位置)にあるクイックファスナー8は、上記係止可能状態8zである。雄管4は、装着部材上部11の通過孔11tを通過して、雌管6に差し込まれる。雄管4を差し込むだけで、雌管6は雄管4に接続される。即ち、ワンアクションで、雄管4は雌管6に接続される。この接続において、クイックファスナー8及びファスナー部材10の操作は不要である。もちろん、この接続において、装着部材上部11及び装着部材下部12は雌管6に取り付けられたままである。このように、クイックファスナー8及びファスナー部材10が第一位置とされたまま、雄管4が雌管6に接続される。
図12は、クイックファスナー8及びファスナー部材10が第二位置(解除位置)にある状態を示している。図11(b)の状態から、ファスナー部材10は引き出されうる。ファスナー部材10が引き出されることにより、図12の状態が実現しうる。図12において、ファスナー部材10は第二位置にある。クイックファスナー8は、ファスナー部材10と一体で移動する。図12において、クイックファスナー8も第二位置にある。このクイックファスナー8の移動により、第一貫通孔h1が雄側係止部k1及び雌側係止部k2から外れる。同様に、第二貫通孔h2が雄側係止部k1及び雌側係止部k2から外れる。結果として、ファスナー部材10が引き出されることにより、クイックファスナー8は、係止状態8xから非係止状態8yへと移行しうる。逆に、第二位置にあるファスナー部材10を押し込むことにより、クイックファスナー8は、非係止状態8yから係止状態8xへと移行しうる。このように、係止状態8xと非係止状態8yとの間の相互移行は、ファスナー部材10の操作によって達成される。クイックファスナー8及びファスナー部材10は、ファスナー組立部材810として、一体で移動する。
図13(a)は、雌管6及び装着部材上部11が示された分解斜視図である。図13(b)は、装着部材上部11が組立位置に配置されたときの雌管6及び装着部材上部11を示す斜視図である。図14は、雌管6に装着部材上部11及び装着部材下部12が配置された状態を示す斜視図である。図14において、装着部材上部11及び装着部材下部12は組立位置にある。ただし、図14において、装着部材下部12の開閉構造は開状態である。図15は、組立状態における継手2の断面斜視図である。
装着部材上部11は、雌管6によって軸方向に固定されている。装着部材上部11の雌管6への固定は、装着部材下部12によって達成されている。装着部材上部11を固定するため、装着部材下部12の開閉構造は閉じられる。閉状態の装着部材下部12が、装着部材上部11と雌管6とを挟み込んでいる。結果として、装着部材上部11と装着部材下部12とを有する装着部材mt1が、雌管6に取り付けられている。図14の状態から装着部材下部12が閉じられることで、装着部材mt1の取り付けが達成される。後述されるように、装着部材mt1は、回転可能な状態で、雌管6に取り付けられている。
雌管6は、装着部材mt1との係合を可能とする係合部6kを有する。この係合部6kは、第一フランジf1と第二フランジf2とを有する(図13参照)。第一フランジf1と第二フランジf2との間には隙間が設けられている。
図13が示すように、装着部材上部11は、通過孔11t、下部貫通孔11h及び外方突出部11pを有する。外方突出部11pは、装着部材上部11の下端部に位置している。外方突出部11pは平板状である。
図14及び図5が示すように、装着部材下部12は、溝状部v1を有している。この溝状部v1は、第一仕切り部w1と第二仕切り部w2との間の隙間によって形成されている。第一仕切り部w1及び第二仕切り部w2は、水平に延在している。閉状態の装着部材下部12において、溝状部v1は周溝となる。
図15が示すように、第二フランジf2が溝状部v1に嵌っている。つまり、溝状部v1に、雌管6のフランジ(第二フランジf2)が係合している。この係合により、軸方向において、雌管6に対する装着部材下部12の移動が規制されている。閉状態が維持される限り、装着部材下部12は雌管6から脱落しない。
なお、図15における断面位置は、装着部材下部12の縦仕切り部w3(図14参照)を含んでいる。このため、図15の断面では、第二仕切り部w2と縦仕切り部w3とが連続している。図15が示すように、この縦仕切り部w3は、雌管6の外周面に当接している。この当接により、軸垂直方向における装着部材下部12の移動が規制されている。ただし、雌管6の周方向における装着部材mt1の回転は許容されている。
図15が示すように、第一仕切り部w1の端面w10は、雌管6の外周面に当接している。閉状態の装着部材下部12において、端面w10は、円周に沿った面(内周面)を形成する。この円周に沿った面が、雌管6の外周面に当接している。この当接により、軸垂直方向における装着部材下部12の移動が規制されている。ただし、上述の通り、雌管6の周方向における装着部材mt1の回転は許容されている。
図15が示すように、第二仕切り部w2の端面w20は、雌管6の外周面に当接している。閉状態の装着部材下部12において、端面w20は、円周に沿った面(内周面)を形成する。この円周に沿った面が、雌管6の外周面に当接している。この当接により、軸垂直方向における装着部材下部12の移動が規制されている。ただし、上述の通り、雌管6の周方向における装着部材mt1の回転は許容されている。
図15が示すように、装着部材下部12は、外方突出部11pに当接しうる当接保持部12tを有している。当接保持部12tの下面が、外方突出部11pの上面に当接している。当接保持部12tは、外方突出部11pの軸方向上方への移動を規制している。当接保持部12tは、装着部材上部11が軸方向上方に移動することを規制している。この規制により、装着部材上部11は、装着部材下部12から脱落しない。このように、装着部材上部11は、装着部材下部12を介して、雌管6に固定されている。ただし、上述の通り、雌管6の周方向における装着部材mt1の回転は許容されている。
以下、装着部材下部12の開閉構造について説明がなされる。図5が示すように、装着部材下部12は、第一部分12aと第二部分12bとを有する。更に、図14が示すように、装着部材下部12は、連結部12cとを有する。連結部12cは、第一部分12aと第二部分12bとを回動可能に連結している。この連結部12cは、蝶番として機能している。この連結部12cは、弾性変形可能な材質よりなる。具体的には、連結部12cは、薄い樹脂である。装着部材下部12の開閉を許容するように、連結部12cは変形可能である。
装着部材下部12は、閉状態を維持するための維持機構として、第一の維持機構及び第二の維持機構を有している。
第一の維持機構は、係合部a1と係合部b1との係合である(図5参照)。閉状態において、係合部a1と係合部b1とが係合する。本実施形態では、係合部a1が孔を有しており、係合部b1が凸部を有している。孔の代わりに凹部が設けられても良い。係合部b1の凸部が係合部a1の孔に嵌ることで、係合が達成される。なお、係合を解除するには、例えば、係合部a1を弾性変形させる。
第二の維持機構は、係合部a2と係合部b2との係合である(図5参照)。閉状態において、係合部a2と係合部b2とが係合する。本実施形態では、係合部a2が凸部であり、係合部b2が凹部である。凹部の代わりに孔が設けられても良い。係合部a2の凸部が係合部b2の凹部に嵌ることで、係合が達成される。なお、係合を解除するには、例えば、係合部a2と係合部b2とが離れるように、装着部材下部12を弾性変形させる。
このように、装着部材下部12では、開閉構造により、雌管6及び装着部材上部11の挟み込みを達成している。この挟み込みを可能とする他の構造の例は、分離構造(図示省略)である。分離構造の場合、好ましい装着部材は、2分割構造である。この装着部材は、第一部分と第二部分とを有する。第一部分は、第二部分と合体するための第一係合部を有する。第二部分は、第一部分と合体するための第二係合部を有する。好ましくは、第一係合部は凸部又は凹部である。凹部は孔であってもよい。好ましくは、第二係合部は凸部又は凹部である。凹部は孔であってもよい。第一係合部が第二係合部に係合することにより、第一部分が第二部分と合体した合体状態が維持される。上記第一係合部及び上記第二係合部は、この合体状態を維持する維持機構の一例である。
図13(b)は、装着部材下部12を雌管6に取り付けるための準備状態を示している。この準備状態では、装着部材上部11が組立位置に配置される。次に、図14に示すように、装着部材下部12を開状態とし、第二部分12bを組立位置に配置する。次に装着部材下部12が閉じられる。このようにして、装着部材上部11及び装着部材下部12が雌管6に取り付けられる。結果として、装着部材mt1と雌管6との間の係合は、軸方向における移動を規制する係合と、軸垂直方向における移動を規制する係合とを有している。
上記実施形態では、装着部材mt1が装着部材上部11と装着部材下部12とに分割されている。本実施形態では、開閉しない装着部材上部11が、ガイド壁11gを有している(図15参照)。ガイド壁11gは、挿入される雄管4を正確に雌管6に案内しうる。ガイド壁11gは、雄管4の傾斜を抑制する。雄管4が大きく傾斜することなく雌管6に挿入されることで、正規接続状態が実現しやすい。ガイド壁11gは、正規接続状態の実現を促進しうる。装着部材上部11は、開閉構造及び分離構造ではない。よって、力を加えた際に開きや割れは生じない。この装着部材上部11に設けられたガイド壁11gは、より確実に雄管4を案内する。一体部材である装着部材上部11が用いられることで、非正規接続状態の発生がより効果的に抑制される。また、この一体部材としての装着部材上部11は、ファスナー組立部材810を操作するための力によって開いたり割れたりしない。よってこの装着部材上部11は、ファスナー組立部材810のスライド移動の精度を高めうる。
なお、装着部材mt1が全体として一つの部材であってもよいことは当然である。この場合、装着部材mt1の全体が、上記開閉構造又は上記分離構造を有しているのが好ましい。
装着部材mt1は、雌管6に対して回転可能な状態で、雌管6に取り付けられている。上述した係合及び当接の全ては、雌管6に対する装着部材mt1の回転を阻害しない。この相対回転は、ファスナー部材10を操作する際の自由度を高める点で好ましい。また、この相対回転により、装着部材mt1の向きを変更できるため、狭い場所に継手2を設置する場合に有利である。
本実施形態では、装着部材mt1と雌管6との相対回転は自由回転である。本実施形態では、装着部材mt1と雌管6との相対回転角度は360°である。本実施形態では、全周にわたって上記相対回転が可能である。本実施形態では、装着部材mt1は、雌管6に対して自由に相対回転可能である。装着部材mt1、ファスナー組立部材810及びアウター部材14は、雄管4及び雌管6に対して、自由な回転Rが可能である(図1等の両矢印R参照)。この自由な相対回転Rにおいて、正規接続状態及び係止状態8xが維持されている。
雌管6と装着部材mt1との相対回転は、周方向の一部範囲であってもよい。換言すれば、装着部材mt1と雌管6との相対回転角度は360°未満であってもよい。周方向の一部範囲であっても、上記相対回転により、ファスナー部材10の操作性が向上しうる。この操作性の観点から、装着部材mt1と雌管6との相対回転角度は、90°以上が好ましく、180°以上がより好ましく、270°以上が更に好ましい。
ファスナー組立部材810のスライド方向位置に関わらず、ファスナー組立部材810及び装着部材mt1は、雌管6に対して回転可能である。換言すれば、ファスナー組立部材810のスライド方向位置に関わらず、継手用組立体は、雌管6に対して回転可能である。雄管4と雌管6とが正規接続状態にあるとき、継手用組立体は、雄管4及び雌管6に対して回転可能である。
クイックファスナー8が係止状態8xであっても、継手用組立体は、雌管6に対して回転可能である。クイックファスナー8が非係止状態8yであっても、継手用組立体は、雌管6に対して回転可能である。クイックファスナー8が係止可能状態8zであっても、継手用組立体は、雌管6に対して回転可能である。従って、ファスナー部材10の操作の自由度は高い。
上述した特許第3711224号公報及び特許第3711246号公報では、雌管とクイックファスナーとの相対回転が不能である。特許第3711246号公報では、抜止クリップ72及びカバー88が設けられているが(図4及び図6参照)、これら抜止クリップ72及びカバー88は、雌管46に対して回転することができない。また、特許第3711246号公報において、抜止クリップ72及びカバー88が雌管46に対して回転した場合、係止状態が解除され、抜止クリップ72及び/又はカバー88が破損するおそれがある。特許第4335401号公報では、ストッパ爪がストッパ面に当たるためには、抜け止めクリップの向きが一方向に限定されている。
本実施形態では、上述のような不都合が存在しない。本実施形態では、装着部材mt1が雌管6に対して回転しても、係止状態は維持され、破損等の不都合は生じない。正規接続状態を維持したまま、クイックファスナー8、ファスナー部材10及び装着部材mt1は周方向に回転可能である。また後述するように、クイックファスナー8のストッパ機構は、クイックファスナー8の向きに関わらず作用しうる。同様に、ファスナー部材10のストッパ機構は、ファスナー部材10の向きに関わらず作用しうる。
図16は、ファスナー組立部材810が第二位置(解除位置)にあるときの側面図である。図16では、雄管4は雌管6に挿入されていない。この第二位置において、雌管6の雌側係止部k2は、クイックファスナー8の貫通孔h1、h2から外れている。
図17は、ファスナー組立部材810が第二位置にあるときの側面図である。図17では、雄管4は雌管6に挿入されている。
本実施形態では、前述したワンアクションの接続に加えて、ツーアクションの接続も可能である。このツーアクションの接続では、先ず、ファーストアクションがなされる。このファーストアクションでは、ファスナー組立部材810が第二位置(解除位置)とされた状態で、雄管4が雌管6に挿入される(図17参照)。次に、セカンドアクションがなされる。セカンドアクションでは、ファスナー組立部材810が押し込まれ、ファスナー組立部材810が第一位置(正規位置)に移動する。
図13(a)及び図13(b)が示すように、装着部材上部11の側面は開口を有している。図17が示すように、ファスナー組立部材810が第二位置にあるとき、装着部材mt1の内部が視認されうる。図17が示すように、上記ファーストアクションの段階において、雄管4と雌管6との接合状態が視認されうる。したがって、正規接続状態であるか否かが、目視によって確認されうる。また、装着部材mt1及びファスナー組立部材810において、相対回転Rが可能である。よって、あらゆる方向から、正規接続状態であるか否かを目視によって確認することができる。
上述したように、ファスナー組立部材810は一体で拡開変形しうる。即ち、クイックファスナー8が拡開変形されると、ファスナー部材10も拡開変形される。この一体的な拡開変形により、非正規接続状態を検知する検知機能A及び後述の検知機能Eが奏されうる。
図19(a)及び図19(b)は、上記検知機能Aを説明するための斜視図である。
図19(a)においては、正規接続状態が達成されている。図示されていないが、図19(a)では、クイックファスナー8は、上記係止状態8xにある。図19(a)において、ファスナー組立部材810は、基準状態にある。なお、この基準状態とは、クイックファスナー8が係止状態8xにあるときにおける、ファスナー組立部材810の状態を意味する。基準状態では、クイックファスナー8は、自然状態と比較して拡開変形していてもよいし、拡開変形していなくてもよい。基準状態では、ファスナー部材10は、自然状態と比較して拡開変形していてもよいし、拡開変形していなくてもよい。
図19(b)においては、正規接続状態が達成されていない。図示されていないが、図19(b)では、クイックファスナー8は、上記非係止状態8yにある。図示されていないが、図19(b)では、雄管4の雄側係止部k1が第二貫通孔h2に入っておらず、クイックファスナー8が拡開変形されている。このため、ファスナー組立部材810は、基準状態と比較して、拡開変形されている。図19(b)が示すように、このファスナー組立部材810の拡開変形が、目視によって確認されうる。装着部材mt1とファスナー組立部材810とが組み立てられた状態において、ファスナー部材10(ファスナー組立部材810)は露出している。ファスナー部材10の第一アーム10a及び第二アーム10bは露出している。このため、ファスナー組立部材810の拡開変形は、目視によって容易に確認されうる。よって、非正規接続状態が、目視によって検知されうる。ファスナー部材10(ファスナー組立部材810)の拡開変形に起因する検知機能Aが奏される。
図20は、アウター部材14を斜め下方から見た斜視図である。アウター部材14は、上面部14a、第一側面部14b、第二側面部14c、前面部14d及び後面部14eを有する。アウター部材14の下側は開放されている。
アウター部材14は、下端面14gを有する。下端面14gは、全体として一平面である。第一側面部14bの下端面は、上記下端面14gである。第二側面部14cの下端面は、上記下端面14gである。前面部14dの下端面は、上記下端面14gである。後面部14eの下端面は、上記下端面14gである。
上面部14aは、欠落部kaを有する。欠落部kaは、上面部14aの前縁から後面部14eに向かって延びている。前面部14dは、欠落部kdを有する。欠落部kaと欠落部kdとは連続している。結果として、前方側に開放された欠落部k14が形成されている。
このように、アウター部材14は、欠落部k14を有している。この欠落部k14により、雄管4との干渉が回避されうる。雄管4の存在下において、アウター部材14の着脱が可能とされている。
図20が示すように、アウター部材14は、下方延在部14fを有する。下方延在部14fは、欠落部k14の後面部14e側の端部に位置している。下方延在部14fは、第一部分140と第二部分142とを有する。第一部分140は、第二部分142よりも下方にまで延びている。第一部分140の両側に第二部分142が配置されている。図4が示すように、下方延在部14f(第一部分140)の端面は、雄管4の雄側係止部k1に当接しうる。
図21(a)は、アウター部材14が非正規位置にあるときの、継手2の側面図である。図21(a)は、図4に対応する側面図である。図21(b)は、アウター部材14が正規位置にあるときの、継手2の側面図である。
正規接続状態と比較して雄管4が雌管6から離れているとき、下方延在部14fは、雄側係止部k1に当接する(図4参照)。換言すれば、雌管6に対する雄管4の挿入が不十分であるとき、下方延在部14fは雄側係止部k1に当接する。この当接に起因して、アウター部材14を正規位置にまで下げることができない。つまり、非正規接続状態では、アウター部材14を正規位置に配置することはできない。このように、アウター部材14は、雄管4と雌管6との正規接続状態を検知しうる検知機能Bを有する。
典型的には、この検知機能Bの発現は、次の現象(P1)及び(P2)に基づく。
(P1)雌管6に対する雄管4の挿入が不十分であるとき、雄側係止部k1は、拡開用傾斜面p1、p2に当接しうる位置に存在しうる。この場合、下方延在部14fが雄側係止部k1を押圧すると、雄側係止部k1が拡開用傾斜面p1、p2を押圧する。
(P2)拡開用傾斜面p1、p2が押圧されると、ファスナー組立部材810は拡開変形しようとするが、アウター部材14(特に第一側面部14b及び第二側面部14c)によってこの拡開変形が阻害される。よって、雄側係止部k1が拡開用傾斜面p1、p2を押圧しても、ファスナー組立部材810は拡開変形できない。このため、雄側係止部k1は下方に移動することができず、アウター部材14は正規位置に下がらない。
前述のとおり、ガイド壁11gにより、雄管4の大きな傾斜は抑制されている。ただし、雌管6に対する雄管4の挿入が極端に不十分である場合、雄管4の大きな傾斜は生じることがある。この大きな傾斜が生じた状態でアウター部材14が下方に押し込まれると、下方延在部14fが異常な状態で雄側係止部k1に当接する。例えばこの場合、傾斜した雄側係止部k1を、下方延在部14fと他の部分(例えばファスナー組立部材810)とが挟み込む。結果として、下方延在部14fの当接によって、雄側係止部k1の傾斜状態が保持される。この状態において、ファスナー組立部材810の外側に第一側面部14b及び第二側面部14cが位置しているため、上記現象(P2)が生じる。よって、上記検知機能Bが発現する。また、雄管4が大きく傾斜している場合、雄側係止部k1が傾斜する。この場合、下方延在部14fのいずれかの部分(第一部分140又は第二部分142)は、雄管4のいずれかの部分(雄側係止部k1等)に当接しうる。この異常な当接により、アウター部材14を正規位置にまで下げることができない。この場合も、上記検知機能Bが発現する。このように、上記検知機能Bは、雄管4の軸方向位置の他、雄管4の姿勢をも検知しうる。
図20が示すように、下方延在部14fの端面(下端面)は、雄管4の雄側係止部k1に沿うような円弧形状を有している。雄管4の姿勢が軸方向に沿っているとき、下方延在部14fの端面は、雄側係止部k1の上面に面接触しうる。一方、雄管4の姿勢が傾斜しているとき、下方延在部14fの端面は、雄側係止部k1の上面に面接触できない。よって、雄管4の姿勢が精度よく検知されうる。アウター部材14が正規位置にあるとき、雄管4と雌管6とは正規接続状態にあり、且つ、下方延在部14fの端面は雄側係止部k1の上面に面接触している。
図21(a)が示すように、アウター部材14が非正規位置にあるとき、装着部材下部12と側面部14b、14cとの間に、ファスナー部材10が視認される。図21(a)では図示されないが、アウター部材14が非正規位置にあるとき、装着部材下部12と後面部14eとの間にも、ファスナー部材10が視認される。一方、図21(b)が示すように、アウター部材14が正規位置にあるとき、装着部材下部12と側面部14b、14cとの間に隙間は存在せず、装着部材下部12と後面部14eとの間にも、隙間は存在しない。アウター部材14が正規位置にあるとき、アウター部材14の下端面14g(図21(a)参照)が、装着部材mt1(装着部材下部12)の上向き面12gに当接する。上向き面12gは、軸垂直方向に延在している。本実施形態では、上向き面12gは平面である。本実施形態では、上向き面12gはスライド面12sである。この上向き面12gに、アウター部材14の下端面14gが当接する。この当接により、アウター部材14の軸方向における下限が決定される。この当接により、アウター部材14の姿勢が(水平に)定まる。
アウター部材14が正規位置にあるとき、装着部材下部12と側面部14b、14cとの間からファスナー部材10を視認することはできない。このように、アウター部材14の位置に起因して、視覚的に大きな相違が生ずる。更に、触覚的にも大きな相違が生ずる。正規位置に至ったアウター部材14の下端面14gは、装着部材下部12の上面に面接触する。この面接触は、触覚によって感知される。図21(a)と図21(b)との対比から理解されるように、アウター部材14が正規位置にあるか否かの判断は容易である。上記検知機能Bは、視覚及び触覚により検知されうる。
図20が示すように、アウター部材14(後面部14e)は、係合部14sを有する。この係合部14sは、貫通孔である。本願において、この係合部14sは、係合部Xとも称される。一方、図5及び図14が示すように、装着部材mt1(装着部材上部11)は、係合部11sを有する。この係合部11sは突起である。本願において、この係合部11sは、係合部Yとも称される。
アウター部材14が正規位置にあるとき、係合部11sが係合部14sに係合する。アウター部材14が非正規位置にあるとき、係合部11sは係合部14sに係合することができない。
このように、係合部11s(係合部Y)と係合部14s(係合部X)との係合Cが生じるか否かによって、アウター部材14が正規位置か否かが検知されうる。すなわち、上記係合Cによって、アウター部材14が正規位置か否かを検知する検知機能Cが奏されうる。この係合Cが生じるとき、アウター部材14の変形及び/又は振動が生じうる。よって、この係合Cは、触覚及び/又は聴覚により検知されうる。上記検知機能Cは、触覚及び/又は聴覚により検知されうる。また、係合部14sが貫通孔であるため、上記係合Cは、視覚により検知されうる。上記検知機能Cは、視覚により検知されうる。この検知機能Cも、正規接続状態か否かを検知しうる。
図22(a)は、ファスナー組立部材810が第一位置にある状態を示す斜視図である。図22(a)では、雄管4と雌管6とは正規接続状態にあり、クイックファスナー8は係止状態8xにある。この場合、アウター部材14は、正規位置に設置されうる。
図22(b)は、ファスナー組立部材810(クイックファスナー8)が第二位置(解除位置)にある状態を示す斜視図である。この図22(b)では、クイックファスナー8が非係止状態8yにある。図22(b)では、アウター部材14がファスナー組立部材810に干渉する。より詳細には、前面部14dがファスナー組立部材810に干渉する。よって、アウター部材14は、正規位置に設置され得ない。クイックファスナー8が解除位置にあるとき、アウター部材14は正規位置に装着不能である。クイックファスナー8が係止位置以外の位置にあるとき、アウター部材14は正規位置に装着不能である。このように、アウター部材14は、クイックファスナー8及びファスナー部材10(ファスナー組立部材810)が解除位置あることを検知しうる検知機能Dを有する。この検知機能Dは、クイックファスナー8が係止状態8xか否かを検知しうる。この検知機能Dも、正規接続状態の確認に寄与しうる。
図22(c)は、ファスナー組立部材810が上記基準状態と比較して拡開変形した状態を示す斜視図である。図22(c)では、クイックファスナー8が、係止状態8xと比較して拡開変形している。この変形に伴い、ファスナー部材10も拡開変形している。この図22(c)では、アウター部材14がファスナー組立部材810に干渉する。より詳細には、第二側面部14cがファスナー組立部材810に干渉する。図22(c)では図示されていないが、第一側面部14bも、ファスナー組立部材810に干渉する。少なくとも、第一側面部14b又は第二側面部14cのいずれかが、ファスナー組立部材810に干渉する。よって、アウター部材14は、正規位置に設置され得ない。このように、アウター部材14は、ファスナー組立部材810が上記基準状態よりも拡開変形していることを検知しうる検知機能Eを有する。この検知機能Eも、クイックファスナー8が係止状態8xか否かを検知しうる。この検知機能Eは、正規接続状態か否かを検知しうる。
前述の通り、装着部材mt1は、突起部11wを有する。突起部11wは、アウター部材14が正規位置に設置されることを阻害しない。突起部11wは、正規位置にあるアウター部材14に干渉しない。突起部11wは、アウター部材14が正規位置にあるとき、突起部11wは、アウター部材14の欠落部k14に位置している。
図22(a)では、アウター部材14は正しい向きである。これに対して、アウター部材14が誤った向きで装着される場合がある。特に、アウター部材14が、180度逆の向きで装着される場合がある。この場合、アウター部材14の上面部14aが突起部11wに当接する。この当接により、アウター部材14を正規位置にまで押し下げることができない。また、アウター部材14が正規位置にあるとき、突起部11wは、欠落部k14から上方に突出している(図21参照)。よって、アウター部材14が正規位置にあることが、突起部11wによって視覚的に確認されうる。このように、突起部11wは、アウター部材14の装着方向を確認する機能を有している。
アウター部材14は、ファスナー組立部材810を保護しうる。図1等が示すように、正規位置にあるアウター部材14は、ファスナー部材10の一部を覆っている。正規位置にあるアウター部材14は、第一アーム10aの全体を覆っている。正規位置にあるアウター部材14は、第二アーム10bの全体を覆っている。更に、正規位置にあるアウター部材14は、連結部10cの一部を覆っている。アウター部材14が正規位置にあるとき、ファスナー部材10を操作することは困難である。アウター部材14により、ファスナー部材10の意図しない操作が防止されうる。アウター部材14は、係止状態8xの維持に寄与しうる。アウター部材14は、正規接続状態の維持に寄与しうる。
ファスナー部材10と装着部材mt1(装着部材上部11)との間に、脱落を抑制する係合機構Xが設けられている。図5、図12、図13(a)、図13(b)、図16等が示すように、装着部材mt1(装着部材上部11)は、ストッパ面sm11を有している。図16が示すように、この係合機構Xは、ストッパ部st10、st20とストッパ面sm11との係合である。より詳細には、この係合機構Xは、ストッパ面sm10、sm20とストッパ面sm11との係合である。この係合機構Xは、ファスナー組立部材810の脱落を規制している。また、この係合機構Xは、ファスナー組立部材810のスライド可能範囲を画定している。
クイックファスナー8と装着部材mt1(装着部材上部11)との間に、脱落を規制する係合機構Yが設けられている。図18が示すように、この係合機構Yは、ストッパ部st1、st2とストッパ面sm11との係合である。より詳細には、この係合機構Yは、ストッパ面sm1、sm2とストッパ面sm11との係合である。この係合機構Yは、ファスナー組立部材810の脱落を規制している。また、この係合機構Yは、ファスナー組立部材810のスライド可能範囲を画定している。
このように、2つの係合機構X及び係合機構Yにより、ファスナー組立部材810の脱落が効果的に規制されている。なお、係合機構X又は係合機構Yのいずれか一方のみが採用されてもよい。前述の通り、クイックファスナー8はファスナー部材10に固定されて、ファスナー組立部材810が形成されている。よって、係合機構X又は係合機構Yのいずれか一方のみであっても、高い効果が奏されうる。
上述の通り、装着部材mt1及びファスナー組立部材810は、雌管6に対して回転可能である。装着部材mt1及びファスナー組立部材810の向きに関わらず、係合機構X及び係合機構Yは機能しうる。よって、ファスナー組立部材810は、操作しやすく、且つ、脱落しにくい。
図5、図11(a)、図11(b)、図12、図14等が示すように、装着部材mt1(装着部材下部12)は、変形規制部d1を有する。本実施形態では、2つの変形規制部d1が設けられている。これらの変形規制部d1は、ファスナー組立部材810(ファスナー部材10)の両側に位置する。より詳細には、第一の変形規制部d1が第一アーム10aの外側に位置し、第二の変形規制部d1が第二アーム10bの外側に位置する。
変形規制部d1は、装着部材mt1(装着部材下部12)のスライド面12sに設けられている。変形規制部d1は、突起である。変形規制部d1は、上側に突出している。
本願において、スライド方向Ds(図12参照)における手前側及び奥側が定義される。手前側とは、上記第二位置の側である。これに対して、奥側とは、上記第一位置の側である。ファスナー組立部材810が奥側にスライドされることで、係止状態8xが達成されうる。一方、ファスナー組立部材810が手前側にスライドされることで、係止状態8xから非係止状態8yへの移行が達成されうる。ファスナー組立部材810のスライド移動は、スライド方向Dsに沿った力Fxによって達成される(図12参照)。
変形規制部d1は、ファスナー組立部材810の変形を規制しうる。変形規制部d1は、力Fy(後述)による変形に起因する下記変位を抑制しうる。変形規制部d1は、係合機構X及び係合機構Yの失効を阻止しうる。変形規制部d1により、ファスナー組立部材810の脱落が効果的に規制されうる。
第二位置(解除位置)にあるファスナー組立部材810は、横向きの力Fyを受ける場合がある。この力Fyの方向は、上記力Fxの方向に対して直角である。上記スライド移動では、この力Fyは不要である。しかし、操作ミスや他の物体との衝突等により、この力Fyが作用する場合がある。仮に、変形規制部d1が存在しない場合、この力Fyにより、ファスナー組立部材810は変形しうる。変形規制部d1は、この変形を抑制しうる。
上記変形により、ストッパ部st10が、ストッパ面sm11に係合し得ない位置に変位する可能性がある。上記変形により、ストッパ部st20が、ストッパ面sm11に係合し得ない位置に変位する可能性がある。仮に、変形規制部d1が存在しない場合、これらの変位により、上記係合機構Xが失効しうる。変形規制部d1は、この係合機構Xの失効を抑制しうる。
同様に、上記変形により、ストッパ部st1が、ストッパ面sm11に係合し得ない位置に変位する可能性がある。上記変形により、ストッパ部st2が、ストッパ面sm11に係合し得ない位置に変位する可能性がある。仮に、変形規制部d1が存在しない場合、これらの変位により、上記係合機構Yが失効しうる。変形規制部d1は、この係合機構Yの失効を抑制しうる。
図18において両矢印Wdで示されているのは、変形規制部d1とストッパ面sm11との距離である。この距離は、スライド方向Dsに沿って測定される。
変形規制部d1は、比較的手前側に位置している。上記脱落規制効果を高める観点から、距離Wdは小さくされるのが好ましい。具体的には、距離Wdは、9mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、2mm以下がより好ましい。距離Wdは、ゼロであってもよい。スライド方向Dsの位置において、変形規制部d1とストッパ面sm11とが重複していてもよい。
ファスナー組立部材810は、スライド面12sの上をスライドしている。変形規制部d1は、ファスナー組立部材810がスライド面12sから外れることを効果的に規制しうる。
図23は、図17のA−A線に沿った断面図である。
継手2は、ファスナー組立部材810の解除位置を保持しうる係合機構Zを有している。図6及び図7が示すように、ファスナー部材10は、係合部10sを有している。本実施形態では、この係合部10sは、球面状の突起である。左右それぞれに係合部10sが設けられている。即ち、図23が示すように、第一アーム10a及び第二アーム10bのそれぞれに、係合部10sが設けられている。
図23が示すように、ファスナー組立部材810が解除位置にあるとき、係合部10sが変形規制部d1に係合しうる。本実施形態では、この係合は、変形規制部d1と係合部10sとの当接である。この当接により、2つの係合部10sが、ファスナー部材10の中央側に押圧される。この押圧により、ファスナー部材10は、第一アーム10aと第二アーム10bとが近づくように変形される。この変形は弾性変形である。この弾性変形の復元力により、係合部10sが変形規制部d1を押圧する。この押圧により、係合部10sと変形規制部d1との間に作用する静止摩擦力が高められている。この静止摩擦力により、ファスナー組立部材810の解除位置が保持されうる。なお、係合部10sと変形規制部d1との会合は、例えば、凹凸係合であってもよい。
上述の通り、ファスナー組立部材810は、スライド面12sの上をスライド移動する。クイックファスナー8が係止状態8xにあるとき、ファスナー組立部材810の下端面は、スライド面12sに当接している。スライド面12sは平面である。スライド面12sは軸垂直方向に延在している。ファスナー組立部材810の下端面とスライド面12sとの当接により、ファスナー組立部材810の傾斜が抑制されている。更に、ファスナー組立部材810の上端面と装着部材上部11の下向き面11k(図17参照)との当接により、ファスナー組立部材810の傾斜が抑制されている。よって、非正規接続状態が起こりにくい。更に、スライド面12sとファスナー組立部材810との当接により、ファスナー組立部材810の軸方向位置が定まる。この当接により、ファスナー組立部材810の軸方向位置が正規位置となる。よって、非正規接続状態が効果的に抑制されている。
図24は、クイックファスナー8の平面図である。図24において、最小幅Wxが示されている。この幅Wxは、非係止状態8yから係止状態8xへの移行において、雌管6又は雄管4と当接しうる当接部分の最小幅である。この幅Wxは、自然状態のクイックファスナー8において測定される。
雄管4又は雌管6において、ファスナー拡開幅Wy(図示省略)が定義される。ファスナー拡開幅Wyは、非係止状態8yから係止状態8xへの移行においてクイックファスナー8と当接する部分の最大幅である。本実施形態では、この当接する部分が、雌側係止部k2である。本実施形態では、雌側係止部k2の外径が、ファスナー拡開幅Wyに該当する。係止状態8xの維持の観点から、幅Wxは幅Wyよりも小さく設定される。
非係止状態8yから係止状態8xへの移行の過程において、幅Wxの部分が幅Wyとなった拡張状態が経由される。
係止状態8xが容易に解除されることを防止する観点から、差(Wy−Wx)は、4mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましい。良好な係止フィーリング及び解除フィーリングを得る観点からも、これらの数値範囲が好ましい。係止フィーリングとは、非係止状態8yから係止状態8xに移行するときに触覚によって得られる感覚である。解除フィーリングとは、係止状態8xから非係止状態8yに移行するときに触覚によって得られる感覚である。係止状態8xと非係止状態8yとの間の相互移行を円滑とする観点から、差(Wy−Wx)は、7mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましい。上記実施形態では、幅Wxが13mmとされ、幅Wyが19mmとされた。
図24において両矢印θで示されるのは、クイックファスナー8の先端開き角度である。本実施形態では、この角度θは、直線L1と直線L2との成す角度である。この角度θは、図24のような平面視において測定される。直線L1は外方延在部g1の内面に沿った直線である。直線L2は外方延在部g2の内面に沿った直線である。
非係止状態8yから係止状態8xへの移行を円滑とする観点から、角度θは、60°以上が好ましく、70°以下が好ましい。なお、外方延在部g1及び外方延在部g2を長くすれば、角度θが小さくても、非係止状態8yから係止状態8xへの移行は円滑とされうる。この観点から、上記角度θは、45°以上であってもよい。ただし、装置の小型化の観点から、外方延在部g1及び外方延在部g2は短いほうが好ましい。この場合、上記角度θは、60°以上70°以下が好ましい。
図8(a)において両矢印Wzで示されるのは、拡開用傾斜面p1、p2とファスナー部材10との最小隙間距離である。ファスナー組立部材810の組み立てにおいて、クイックファスナー8がファスナー部材10に装着される。距離Wzが小さい場合、拡開用傾斜面p1、p2がファスナー部材10に当接しやすい。この当接により、外方延在部g1、g2と端保持部th1、th2との間に大きな力が作用しやすい状態となる。この状態では、装着作業が行いにくい。この観点から、距離Wzは、0.4mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、0.6mm以上がより好ましい。全体的な小型化の観点から、距離Wzは、1mm以下が好ましく、0.9mm以下がより好ましく、0.8mm以下がより好ましい。
なお、ファスナー部材10とクイックファスナー8とが一体成形されていてもよい。即ち、ファスナー組立部材810が全体として一体成形されてもよい。例えば、板バネ状の部材に、クイックファスナー8に相当する部分とファスナー部材10に相当する部分とが設けられても良い。また、弾性変形しうる樹脂によって、ファスナー部材10とクイックファスナー8とが一体成形されてもよい。
上記実施形態では、装着部材mt1は、雌管6に取り付けられている。これとは異なり、装着部材mt1は、雄管4に取り付けられても良い。より好ましい形態は、上記実施形態のように、装着部材mt1は雌管6に取り付けられる。通常の使用形態では、雌管6に装着部材mt1を取り付けて、雄管4を出し入れするほうが、着脱操作が容易である。また通常、雄管4に比べて雌管6は太い。通過孔11tを小さくして接続部の保護効果を高める観点からも、装着部材mt1は雌管6に取り付けられるのが好ましい。
装着部材mt1が、開閉構造又は分離構造を含まなくても良い。例えば、雌管6を装着部材に圧入することで、雌管6を装着部材に装着する構成も可能である。ただしこの場合、装着部材mt1の材質が、弾性変形が容易な材質に限定されうる。よって装着部材mt1の剛性が不足する恐れがある。また、装着部材mt1の材料の自由度が低下しうる。また、上記実施形態に比較すると、装着部材の取り付けが行いにくい。更に、上記弾性変形の繰り返しにより、装着部材に破損又は摩耗が生じうる。
上記実施形態では、開閉構造によって雌管6を挟み込んでいるため、弾性変形を伴うことなく、容易な取り付けが可能である。また、装着部材mt1の材料選択の自由度が高い。更に、装着部材mt1を雌管6に取り付けるための取り付け構造の設計自由度が高い。
図25は、前述したクイックファスナー8と、変形例のファスナー部材100をと示す斜視図である。このファスナー部材100と、前述したファスナー部材10との相違点は、2つである。第1の相違点は、ファスナー部材100が貫通孔h10、h12を有していることである。前述したファスナー部材10は、このような貫通孔h10、h12を有していない。第2の相違点は、ファスナー部材100が凸部tk1を有していることである。前述したファスナー部材10は、凸部tk1を有していない。
第一貫通孔h10は、第一アーム10aに設けられている。第二貫通孔h12は、第二アーム10bに設けられている。第一貫通孔h10の設置領域は、クイックファスナー8の第一貫通孔h1に対応する設置領域の少なくとも一部を含む。よって、ファスナー組立部材として組み立てられたとき、第一貫通孔h10は、クイックファスナー8の第一貫通孔h1の少なくとも一部と重複する。この重複した部分は、継手接続状態を確認するための確認用窓として機能しうる。すなわち、第一貫通孔h1及び第一貫通孔h10を通して、継手接続部を外部から視認することが可能である。同様に、ファスナー組立部材として組み立てられたとき、第二貫通孔h12は、クイックファスナー8の第二貫通孔h2の少なくとも一部と重複する。この重複した部分は、継手接続状態を確認するための確認用窓として機能しうる。すなわち、第二貫通孔h2及び第二貫通孔h12を通して、継手接続部を外部から視認することが可能である。これらの確認用窓により、正規接続状態か否かを確認するための目視機能が高まる。
凸部tk1は、第一アーム10aの内面に設けられている。図示されていないが、本実施形態では、凸部tk1は2箇所に設けられている。すなわち、凸部tk1は、第二アーム10bの内面にも設けられている。第二アーム10bの凸部tk1は、第一アーム10aの凸部tk1に対応する位置に設けられている。なお凸部tk1は、1箇所であってもよい。第一アーム10a又は第二アーム10bのいずれか一方のみに凸部tk1が設けられてもよい。
ファスナー組立部材において、これらの凸部tk1は、クイックファスナー8がファスナー部材100から脱落することを抑制するように配置されている。後述の通り、これらの凸部tk1は、クイックファスナー8がファスナー部材100から脱落する場合にファスナー部材100の弾性変形を必要とするように、構成されている。
凸部tk1は、斜面tk10を有している。ファスナー部材100がクイックファスナー8に組み付けられる場合、クイックファスナー8が、下方からファスナー部材100に組み付けられる。すなわち、この組み付け工程では、ファスナー部材10に対して、クイックファスナー8が、ファスナー部材10の下側から、上方に向かって移動する。この組み付け工程においては、連結部8cが、ファスナー保持部10hの上記隙間に挿入される(図4及び図15参照)。同時に、この組み付け工程において、拡開用傾斜面p1、p2の上縁部が、凸部tk1の斜面tk10を押圧する。この斜面tk10は、上側にいくほど突出方向に向かうように傾斜している。この押圧により、第一アーム10a及び第二アーム10bが弾性変形される。この弾性変形は、互いに対向する凸部tk1同士の距離が離れるような変形である。クイックファスナー8の上側への移動が更に進行すると、拡開用傾斜面p1、p2の上縁部が凸部tk1を乗り越える。この乗り越えにより、第一アーム10a及び第二アーム10bの弾性変形が復元(解消)される。この乗り越えに伴い、クイックファスナー8の組み付けが完了し、ファスナー組立部材が形成される。
ファスナー部材100からクイックファスナー8が脱落しようとすると、拡開用傾斜面p1、p2の裏面が凸部tk1に当たる。凸部tk1は、クイックファスナー8の脱落の障害となる。クイックファスナー8が脱落するためには、第一アーム10a及び第二アーム10bが弾性変形する必要がある。よって凸部tk1は、クイックファスナー8の脱落を効果的に抑制しうる。なお、凸部tk1は、ファスナー部材100の拡開変形に影響しない。凸部tk1が、ファスナー組立部材の拡開変形の障害となることはない。よって、凸部tk1は、正規接続状態と解除状態との相互移行において障害とはならない。
雄管4を雌管6に挿入することによってクイックファスナーを拡開変形させる場合、雌管の内側において雄管をクイックファスナーに当接させる必要がある。この当接を実現させるには、例えば、雌管の周方向の2箇所に孔を設け、この2箇所の孔を挟むようにしてクイックファスナーを設けることが考えられる。そして、この2箇所の孔から、クイックファスナーを、雌管の内側に突出させる。この突出した部分には、雌管に挿入された雄管が当接しうる。この当接により、クイックファスナーを拡開変形させることが可能となる。このような構成が採用される場合、雄管を雌管に挿入することでクイックファスナーの拡開変形が実現される。このような構造は、上述した特許第3711224号公報及び特許第3711246号公報において採用されている。
ただしこの構成は、いくつかの問題を有する。第一の問題は、2箇所の孔を設けることにより、雌管6の構造が複雑となることである。この場合、水密性に係る部分に孔を設けることになり、水密性に影響が出るような寸法誤差等が生じることがある。また、この複雑化は、製造コストを上昇させうる。第二の問題は、装着部材に回転力が作用した場合の耐久性である。この構成では、クイックファスナー8の回転(雌管6の中心軸回りの回転)が不能であり、このクイックファスナー8を保持する装着部材の回転も不能である。回転不能な装着部材に回転力が作用した場合、いずれかの部位又は部品において、変形又は破損が生じうる。上記実施形態では、装着部材mt1及びクイックファスナー8の回転が許容されているため、このような問題は生じない。
また、本実施形態では、ファスナー組立部材810(ファスナー部材10)の回転が許容されているため、周方向におけるあらゆる方向からファスナー部材10を操作することができる。よって、設置場所が狭い場合においても、操作が容易である。
クイックファスナー8の材質は限定されない。強度の観点から、クイックファスナー8の材質は金属が好ましく、弾性(バネ性)の観点からバネ鋼がより好ましい。また、防錆性の観点から、クイックファスナー8の材質は、ステンレス系金属が好ましく、ステンレス鋼がより好ましい。例えば、SUS304が好ましい。上記実施形態では、クイックファスナー8の材質として、「SUS304−CSP−3/4H」を用いた。
ファスナー部材10の材質は限定されない。成形の自由度及び操作性の観点から、ファスナー部材10の材質として、樹脂が好ましい。この樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)等が挙げられる。それほど高い強度は必要ないので、ポリプロピレン(PP)、ABS等の汎用樹脂が好適に用いられうる。上記実施形態では、低コストの観点から、ポリプロピレンが用いられた。
装着部材mt1(装着部材上部11、装着部材下部12)の材質は限定されない。成形の自由度の観点から、装着部材mt1の材質として、樹脂が好ましい。この樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)等が挙げられる。ヒンジ状構造の可動性及び耐久性の観点、及び低コストの観点から、上記実施形態では、装着部材上部11及び装着部材下部12の材質として、ポリプロピレンが用いられた。
なお、装着部材上部11と装着部材下部12とで異なる材質が用いられても良い。ファスナー組立部材810のスライド移動のガイド機能、及び、挿入時における雄管4のガイド機能を考慮すると、装着部材上部11には、比較的剛性の高い材質が好ましい。一方、装着部材下部12には、連結部12cにおける蝶番機能の観点から、比較的剛性の高い材質が好ましい。これらの観点から、装着部材上部11の材質の剛性が、装着部材下部12の材質の剛性よりも高くされてもよい。
アウター部材14の材質は限定されない。成形の自由度の観点から、アウター部材14の材質として、樹脂が好ましい。この樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)等が挙げられる。装着部材mt1との係合を容易とする観点及び低コストの観点から、上記実施形態では、ポリプロピレンが用いられた。
上記実施形態では、継手の着脱の際にクイックファスナー8が保持されているため、クイックファスナー8の取り付け忘れ及び紛失が防止されうる。また、クイックファスナー8の移動がファスナー部材10の操作によってなされるため、クイックファスナー8の装着が容易である。また、クイックファスナー8が装着部材mt1及びファスナー部材10によって覆われているため、クイックファスナー8が異物に引っかかる事態が防止される。よって、意図しないクイックファスナー8の外れが防止される。更に、ファスナー部材10によって、非正規接続状態が検知されうる。更に、アウター部材14によって、非正規接続状態を検知精度が向上しうる。このように、クイックファスナーの装着及び継手接続の不具合が高い精度で検知されうる。
本願には、独立形式請求項に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成等は、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
例えば、本願には、雄管4及び雌管6を構成要件としない発明も記載されている。例えば、本願には、継手用組立体の発明が記載されている。この継手用組立体の発明の例として、次の発明A及び発明Bが挙げられる。
[発明A]
クイックファスナーと、
上記クイックファスナーの外側に取り付けられたファスナー部材と、
継手の雄管又は雌管に取り付け可能な装着部材とを備えており、
上記クイックファスナーが、継手の正規接続状態を保持する係止状態と、上記正規接続状態の解除を許容する非係止状態とを実現可能であり、
上記係止状態と上記非係止状態との相互移行が、上記ファスナー部材の操作によって可能とされており、
上記装着部材が、上記操作を許容しつつ、上記非係止状態において上記ファスナー部材及び/又は上記クイックファスナーを保持可能であり、
上記クイックファスナーが拡開変形されると、上記ファスナー部材も拡開変形されるように構成されている、継手用組立体。
[発明B]
上記装着部材及び上記ファスナー部材の外側に装着可能なアウター部材を更に備えており、
上記クイックファスナーが上記係止状態にあり、且つ、上記雄側接続部と上記雌側接続部とが上記正規接続状態にあるとき、上記アウター部材は正規位置に装着可能であり、
上記クイックファスナーが上記係止状態に比較して拡開変形しているとき、上記アウター部材は正規位置に装着不能である上記発明Aに記載の継手用組立体。
上記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。